JP4115305B2 - 自動車用オイルパンおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用のオイルパンおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、接触するエンジンオイルの浸透性を改善し、酸化の過程で生じるフリーラジカルを消去することによりその進行を防止し、高温時での潤滑性能を保持し、負荷重が低下することによりエンジン部品の損傷を抑えるとともにエンジンオイルの寿命をも大幅に延長させ、さらに、燃料の消費量を減少させることのできる自動車用オイルパンおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンにおいて、オイルパンに入れられたエンジンオイルは、ポンプで圧送され、カム軸、シリンダー内、クランク軸などに送られ、フィルターで金族粉やスラッジなどの異物を除去された後、再びオイルパンに集められる。
従来より、エンジン部品の摩擦を減少させる、負荷重を低減させ部品の損傷を防止する、あるいは省エネルギーなどの目的のために、エンジンオイルの品質向上剤として、リン系、イオウ系、ハロゲン系、特に塩素系などの化合物、固体潤滑剤などの添加剤の開発および改良がすすめられてきた。しかしながら、いずれも、過酷な高温時における性能保持には限界があり、エンジンオイルを頻繁に交換しても省エネルギーに貢献するまでには至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたものであり、エンジンオイルを細分子化し、さらにエンジンオイルの粘度の上昇を抑えることのできる自動車用オイルパンおよびその製造方法を提供することを目的とする。
さらに具体的には、自動車用オイルパンの内面にコーティング剤を塗布、乾燥、硬化させて、塗膜を形成させ、この塗膜にエンジンオイルが接触することにより、エンジンオイルを細分子化させて浸透性を改善し、さらに、炭化水素特有の酸化連鎖反応時に生成されるフリーラジカルを消去させて分子の巨大化を阻止して、粘度の上昇を抑えることにより部品の磨耗を防止し、負荷重をより小さくして、省エネルギー化させる自動車用オイルパンおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内面を、(A)アルミノケイ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物からなる群から選ばれた少なくとも1種の微粒子100重量部に対し、銀および/または銅1〜12重量部を担持した微粒子、ならびに(B)無機微粒子、ならびに(C)金属アルコキシド、金属ヒドロキシド、またはアルカリ金属塩および硬化剤からなる群から選ばれた少なくとも1種である結合剤を含む、無機系コーティング剤で加工してなることを特徴とする自動車用オイルパンに関する。
ここで、無機系コーティング剤は、その100重量部に対し、各成分の割合が固形分換算で(A)成分0.5〜10重量部、(B)成分5〜50重量部、(C)成分15〜50重量部(ただし(A)、(B)、(C)成分の固形分濃度の合計は25〜75重量部)であることが好ましい。
次に、本発明は、自動車用オイルパンの内面に上記の無機系コーティング剤を塗布した後、乾燥・硬化することを特徴とする自動車用オイルパンの製造方法に関する。
ここで、乾燥・硬化時の温度は80〜400℃の範囲であることが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
無機系コーティング剤
本発明の自動車用オイルパンに塗布される無機系コーティング剤は、(A)銀および/または銅を担持した微粒子、ならびに(B)無機微粒子を含むことを特徴とする。
(A)銀および/または銅を担持した微粒子;
本発明において、(A)成分に用いられる、銀や銅を担持させる微粒子は、粒子状もしくは繊維状のものが好ましく、アルミノケイ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物などの微粒子を挙げることができる。これらは、1種または2種以上用いてもよい。微粒子の平均粒径は0.01〜15μmのものが好ましく、さらに好ましくは0.1〜3μm程度のものである。0.01μm未満では、銀や銅が埋没して、その機能が発揮され難く、またコーティング剤が増粘したりして好ましくない。一方、15μmを超えると、密着力が低下したり、表面積が小さくなりすぎたりして好ましくない。
【0006】
上記微粒子の具体例としては、ゼオライト、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、シリカゲル、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸カリウム(ウィスカー)、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素などの微粒子あるいは繊維状のものが挙げられる。
【0007】
ここで、ゼオライトとしては天然、合成どちらのものも用いることができる。天然ゼオライトとしては、アナルシン、チャバサイト、クリノプチロライト、エリオナイト、フォジャサイト、モルデナイトなどがあり、一方合成ゼオライトとしては、A型ゼオライト、X−型ゼオライト、Y−型ゼオライト、T−ゼオライトなどを挙げることができる。
また、縮合ケイ酸の一部をアルミニウムで置き換えたアルミノケイ酸イオンと各種の金属イオンからなる塩である、カオリナイト、ハロサイト、白雲母、モンモリロナイト、蛭石、長石、その他の天然鉱物を用いることもできる。
さらに、一般式Al23 ・xSiO2 ・yH2 O+Al(OH)3 で表されるアルミノ−シリカゲルを用いることもできる。
【0008】
本発明では、これらの無機系の微粒子に、銀および/または銅をイオン交換、吸着、固着して担持させて用いる。銀および/または銅を担持した微粒子を含む塗膜は、エンジンオイルを細分子化し、さらにエンジンオイルの酸化の過程で生じるフリーラジカルを消去することにより酸化反応の進行を防止することができる。
【0009】
(A)成分における銀および/または銅の担持量は、無機系の微粒子100重量部に対し、1〜12重量部、好ましくは2〜8重量部である。1重量部未満では、本発明の目的である重合防止力、細分子化能が小さすぎ好ましくなく、一方、12重量部を超えると、銀や銅が溶出したりして好ましくない。
これらの(A)銀および/または銅が担持された微粒子のコーティング剤中の含有量は、コーティング剤100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜6重量部である。0.5重量部未満では、重合防止や細分子化効果がほとんどなく、一方、10重量部を超えると、コーティング剤が増粘しすぎたり、溶出することが起こったりして好ましくない。
【0010】
かかる銀を担持させるには、銀塩あるいはコロイダル銀を用いる。銀塩としては、具体的には硝酸銀、硫酸銀、塩化銀、ジアンミン銀イオンなどを挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。これらは、1種または2種以上を水に溶解させ混合水溶液として使用される。これらの銀塩水溶液は、上記(A)成分の微粒子の担体にイオン交換または吸着、固着させることができる。コロイダル銀としては、平均粒径が3〜100mμ、好ましくは5〜20mμ、さらに好ましくは5mμ前後のものであり、これは上記微粒子に吸着、固着することができる。
また、銅を担持させるには、銅塩を用いる。銅塩としては、硝酸銅、硫酸銅、テトラアンミン銅(II)イオンなどを挙げることができる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。これらは、1種または2種以上を水に溶解させ混合水溶液として使用される。これらの銅塩水溶液は、上記(A)成分の微粒子の担体にイオン交換または吸着、固着させることができる。
【0011】
(B)無機微粒子
コーティング剤を構成する(B)成分の無機微粒子としては、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムカルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、雲母、タルク、カオリン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、水酸化亜鉛、酸化チタンウィスカー、酸化鉄、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、窒化ケイ素、塩基性モリブデン酸亜鉛、塩基性モリブデン酸カルシウム、チタン酸カリウム(ウィスカー)、酸化スズ、ケイ酸塩ガラス、合成酸化物、ケイ酸塩化合物、炭酸塩化合物、カーボン、ストロンチウムクロメート、酸化クロム、酸化ニッケル、炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、天然鉱物粉などの微粒子あるいは繊維状のものが挙げられる。これらの無機微粒子としては、コロイド状でもよく、平均粒径0.01〜15μm程度、好ましくは0.1〜10μm程度のものが適当である。
【0012】
(B)成分は、得られる塗膜の表面積の拡大、膜厚の確保などにより、エンジンオイルの細分化、酸化防止を促進させるため、さらには耐衝撃性を向上させて密着性をよりよくするために使用されるものである
本発明に用いられるコーティング剤において、上記(B)成分は、コーティング剤100重量部に、固形分換算で、5〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜40重量部である。5重量部未満では、上記の効果が充分でなく、一方、50重量部を超えると、密着性が低下したり、他成分の割合が少なすぎたりして好ましくない。
【0013】
C)結合剤
本発明のコーティング剤には、(C)結合剤が含まれる
結合剤としては、金属アルコキシド、金属ヒドロキシド、またはアルカリ金属塩および硬化剤からなる群から選ばれた少なくとも1種が用いられ、2種以上混合して用いてもよい。
金属アルコキシド、金属ヒドロキシド:
金属アルコキシドや金属ヒドロキシドとしては、下記の式(1)〜(3)が例示される。
(1)R1 i1(OR2j(式中、R1 は炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、R2 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、M1 はカルシウムまたはバリウム、iは0または1、jは1また2の整数を示す)で表される化合物。
(2)R3 k2(OR4l(式中、R3 は炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、R4 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、M2 はアルミニウム、イットリウムまたはランタン、kは0または1、lは1,2または3の整数を示す)で表される化合物。
(3)R5 m3(OR6n(式中、R5 は炭素数1〜3のアルキル基またはビニル基、R6 は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、またはt−ブチル基、M3 はチタン、ジルコニウム、マンガン、スズ、ケイ素またはストロンチウム、mは0または1、nは3または4の整数を示す)で表される化合物。
これらの化合物は、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもでき、また、2種以上が縮合しているものを用いてもよい。
【0014】
上記金属アルコキシドや金属ヒドロキシドの具体例としては、Ca(OCH32、Ca(OC252、Ca(OC372、Ca(OC492、Ba(OCH32、Ba(OC252、Ba(OC372、Ba(OC492、Al(OCH33、Al(OC253、Al(OC373、Al(OC493、CH3Al(OCH32、CH3Al(OC252、CH3Al(OC372、CH3Al(OC492、Ti(OCH34、Ti(OC254、Ti(OC374、Ti(OC494、CH3Ti(OCH33、CH3Ti(OC253、CH3Ti(OC373、CH3Ti(OC493、C25Ti(OCH33、C25Ti(OC253、C25Ti(OC373、C25Ti(OC493、Si(OCH34、Si(OC254、Si(OC374、Si(OC494、CH3Si(OCH33、CH3Si(OC253、CH3Si(OC373、CH3Si(OC493、C25Si(OCH33、C25Si(OC253、C25Si(OC373、C25Si(OC493、Zr(OCH34、Zr(OC254、Zr(OC374、Zr(OC494、CH3Zr(OCH33、CH3Zr(OC253、CH3Zr(OC373、CH3Zr(OC493、C25Zr(OCH33、C25Zr(OC253、C25Zr(OC373、C25Zr(OC493、Y(OCH34、Y(OC254、Y(OC374、Y(OC494、La(OCH34、La(OC254、La(OC374、La(OC494、Mn(OCH34、Mn(OC254、Mn(OC374、Mn(OC494、Sn(OCH34、Sn(OC254、Sn(OC374、Sn(OC494、Sr(OCH34、Sr(OC254、Sr(OC374、Sr(OC494、Ca(OH)2、Ba(OH)2、Al(OH)3、CH3Al(OH)2、Ti(OH)4、CH3Ti(OH)3、C25Ti(OH)3、Si(OH)4、CH3Si(OH)3、C25Si(OH)3、Zr(OH)4、CH3Zr(OH)3、C25Zr(OH)3、Y(OH)4、La(OH)4、Mn(OH)4、Sn(OH)4、Sr(OH)4などを挙げることができる。
【0015】
また、これらの化合物を組み合わせた縮合物としては、上記の化合物の任意の組み合わせにより自由に縮合でき、分子量も適宜選択できる。例えば、ZrOSi(OC256、AlOSi(OC256、TiOSi(OC256、(C37O)3ZrOSi(OC253、(C49O)3ZrOSi(OC253、(C37O)3TiOSi(OC253、(C49O)3TiOSi(OC253、(C37O)2AlOSi(OC253、(C49O)2AlOSi(OC253などを挙げることができる。
【0016】
アルカリ金属塩および硬化剤:
本発明において、結合剤の一つであるアルカリ金属塩および硬化剤のうち、アルカリ金属塩とは、一般式M2O・pSiO2・qH2O〔ただし、MはNa、Li、K、Cs、NR3、NR4(Rは炭素数1以上のアルキル基である。)であり、pはモル比(M2O1モルに対するモル数)、qは1以上の整数である。〕で示されるケイ酸塩であり、Zn、ZnO、MgO、CaO、Zn(OH)2、Mg(OH)2、Ca(OH)2、AlPO4、Al2(PO33、H3PO4、H3BO3、MgCO3、Al23、SiO2などの硬化剤と組み合わせて用いられる。硬化剤はこれらに限定されるものではない。 これらは、1種単独で使用することも、または2種以上を併用することもできる
【0017】
具体的には、リチウムシリケートと酸化マグネシウム、ケイ酸ソーダと縮合リン酸塩、ケイ酸カリウムと亜鉛とケイ酸アルミニウム、第4アンモニウム塩と炭酸マグネシウムなどの組み合わせが挙げられる。
ケイ酸塩と硬化剤の割合は、ケイ酸塩100重量部に対して硬化剤5〜100重量部が好ましく、さらに好ましくはケイ酸塩100重量部に対して硬化剤10〜50重量部である。5重量部未満では、耐水性や硬度、密着力などが不足したり、一方、100重量部を超えるとゲル化して好ましくない。
【0018】
(C)結合剤の使用量は、コーティング剤100重量部中に、好ましくは15〜50重量部、さらに好ましくは20〜40重量部である。15重量部未満では、密着力や硬度が不充分になり、一方、50重量部を超えると、被覆力が強くなり、性能の発現が不充分になったり、耐衝撃性が悪くなり、好ましくない。
【0019】
無機系コーティング剤には、上記の成分の他に、アルコールや水のような(D)分散媒を用いることができる。
このアルコールとしては、1価アルコールまたは2価アルコールであるエチレングリコールもしくはこの誘導体が使用でき、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜5の低級脂肪族アルコールが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどを挙げることができ、またエチレングリコールもしくはこの誘導体としてはエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
これらのアルコール類は、好ましくはi−プロピルアルコール、n−ブチルアルコールである。これらのアルコール類は、1種でもまた2種以上を併用することもできる。
【0020】
また、水としては、一般水道水、蒸留水、あるいはイオン交換水を用いることができる。特に、コーティング剤を高純度にする場合には、蒸留水またはイオン交換水が好ましい。
ここで、上記水や有機溶剤には、上記コロイド状無機物などに含まれる水や有機溶剤や、上記金属アルコキシドや金属ヒドロキシドの加水分解による縮合によって生成する水や有機溶剤なども包含される。
【0021】
本発明のオイルパンに使用するコーティング剤中における(D)分散媒の割合は、コーティング剤100重量部に、好ましくは23〜73重量部、さらに好ましくは30〜60重量部である。(D)分散媒の使用量が、23重量部未満では、コーティング剤が二層分離したりゲル化が生起したり、コーティング剤の粘度が高くなるため作業性が悪くなり、一方、73重量部を超えると性能の発現が困難になったり、コーティング剤の安定性が悪化するようになり好ましくない。
【0022】
さらに、必要により、(E)添加剤も添加することができる。(E)添加剤としては、キレート剤、界面活性剤、カップリング剤、無機酸または有機酸、分散剤、増粘剤、硬化調整剤、無機顔料などの従来公知の添加剤を必要に応じて用いることができる。
上記添加剤は、本発明の目的を損なわない範囲で任意の量を添加することができる。
【0023】
コーテイング剤の固形分濃度は、通常、25〜75重量%、好ましくは30〜60重量%であり、25重量%未満では得られる塗膜の厚さが薄すぎて重合防止効果や細分子化効果が減少したり、塗膜強度が低すぎたりし、一方、75重量%を超えるとゲル化し易くなったり、粘度が上昇しすぎたり、密着性が悪化したり、レべリング性が悪くなったりして好ましくない。
【0024】
コーテイング剤を調製するには、まず第1に以上のような(A)〜(D)成分、あるいは(A)〜(E)成分を混合するが、この場合の混合方法は、(A)〜(D)成分、あるいは(A)〜(E)成分を同時に混合する方法などを挙げることができる。なお、(A)成分は、予め銀および/または銅を微粒子に担持させておかず、銀塩および/または銅塩の水溶液と微粒子を(B)、(C)、(D)成分、あるいはさらに(E)成分と混合してもよい。
本発明に用いられるコーティング剤は、高速撹拌機、ボールミル、その他の分散機により分散させ、ろ過することにより、均一な安定性の良い分散液とすることができる。
【0025】
オイルパンの製造
本発明のオイルパンを製造するには、上記コーティング剤を、アルミニウム、鉄、合金などの基材からなるオイルパンに塗布し、乾燥、硬化させ、塗膜を形成させる。なお、基材面はブラスト処理などをして、表面積を大きくした方がよい。
【0026】
上記コーティング剤の塗布は、特に限定はなく、例えば、スプレー、デイッピング、刷毛などの塗装手段を採用することができる。
塗布後、コーティング膜を乾燥、硬化する。硬化は、常温下でも進行するが、低温加熱することによって、ゲル化時間が短縮され、また重合密度が上がって、塗膜がより緻密化する。加熱は80〜400℃が好ましく、さらに好ましくは120〜300℃程度で、時間は好ましくは10〜100分、さらに好ましくは30〜60分程度である。80℃未満の場合、硬化時間がほとんど短縮されず、一方、400℃を超えると、基材に影響がでて好ましくない。また、コーティング剤の塗布は、乾燥後、さらに1層または複層行ってもよい。
【0027】
以上のコーティング剤の基材への塗布量は、乾燥目付で、80〜300g/m2が好ましく、さらに好ましくは120〜240g/m2である。80g/m2未満では、塗膜が薄すぎて目的とする性能が発現せず、一方、300g/m2を超えると、塗膜が割れたり、剥離したりして好ましくない。
【0028】
以上のようにして得られた本発明のオイルパンは、その塗膜中に、銀および/または銅を担持した微粒子を含み、接触するエンジンオイルのクラスターを小さくして浸透性を向上させ、さらに、酸化の過程で生じるフリーラジカルを消去して、エンジンオイルの重合を防止することができる。
エンジンオイルは以下に示すようなフリーラジカル連鎖反応により酸化が進む。
Figure 0004115305
(ただし、RHは炭化水素分子、ROOHはハイドロパーオキサイドを示す。)
【0029】
本発明のオイルパンに塗布されたコーティング剤は、前式におけるR・とROO・とが反応してR−R(二量体)が生成することを阻止するものと考えられる。
これは、銀および/または銅を含有する本発明に用いられるコーティング剤に炭化水素類が接触して励起され、R・、ROO・ラジカルを消去して重合を阻止するものである。すなわち、本発明のオイルパンは、分子の巨大化を阻止して重合物の生成を阻害して炭化水素類の動粘度の上昇を防止するものである。そして、これは、特にエンジンオイルのように、熱重合が急激に進行する条件下での効果が大きいものである。また、エンジンオイルなどの炭化水素類は、通常、分子が凝集しているが、本発明のオイルパンに触れると、凝集分子が細分子化されるため、浸透性が改善され、さらに、上記のように、粘度の上昇が抑えるられことにより、部品の磨耗を防止し、負荷重をより小さくして、省エネルギー化させるものである。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、特許請求の範囲を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中、部および%は、特に断らないかぎり重量基準である。
【0031】
実施例1〜3
コーティング剤(1)〜(3)の調製
表1に示す(1)〜(3)の3種類のコーティング剤を作製した。これらのコーティング剤は、攪拌タンクに、(A)〜(D)成分、さらに必要に応じて、レベリング剤や酢酸を入れ、軽く混合攪拌したのち、高速撹拌機を使用して15,000rpmで5分間攪拌し、100メッシュでろ過して調製した。
【0032】
【表1】
Figure 0004115305
【0033】
*1)コロイド状シリカ:分散媒=水、固形分濃度30%、pH9
*2)酸化アルミニウム:平均粒径5μm
*3)シリカ:平均粒径15μm
*4)チタン酸カリウムウィスカー:.平均粒径0.2〜0.5μm、長さ10〜20μm
*5)酸化チタン:平均粒径0.5μm
*6)レベリング剤:楠本化成(株)製、ディスパロン609
【0034】
性能試験用容器の作製
次に、性能試験を行うために、アルミニウム製の丸型容器を用意し、その内面をサンドブラスト処理した後、表1に示したコーティング剤(1)、(2)をそれぞれエアースプレー法にて、1m2当たり約180g塗布し、180℃で1時間加熱し、硬化させた。
【0035】
エンジンオイルの動粘度試験
上記で作製した丸型容器に表2に示す2種のエンジンオイルを入れて、表2に示す条件で高温に長時間曝した後、エンジンオイルの動粘度を測定した。なお、無加工の容器を対照とした。本発明の無機系コーティング剤が塗布された容器に入れたエンジンオイルは粘度の上昇を抑えることができた。
【0036】
【表2】
Figure 0004115305
【0037】
塗膜の溶出試験
塗膜の耐久性(塗膜成分の溶出の有無)を調べるため、動粘度試験で使用したAエンジンオイル(220℃×8hr×3回)について、原子吸光法により、分析試験を行なった。結果を表3に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0004115305
【0039】
実車テスト
本発明の自動車用オイルパンの実車テストをするために、表4に示す3台の自動車を用意した。
【0040】
【表4】
Figure 0004115305
【0041】
オイルパンに直接塗布する方法に準ずる試験方法として、直径25mm、厚さ2mmの、両端に直径1mmの穴を開けたステンレス製の円板40枚を用意し、両面をサンドプラストした後、20枚に表1のコーティング剤(1)を両面に塗布し、また、他の20枚にはコーティング剤(3)を両面に塗布し、それぞれ200℃で30分間加熱して、約40μmの膜を形成した。この円板を図1のように針金で5枚ずつつなげたテストピース8組を作製した。これをオイルパンに直接塗布したものに準ずるテストピースとした。なお、テストピース1〜4はコーティング剤(1)を、テストピース5〜8はコーティング剤(3)を用いた。
【0042】
比較例1
表4に示す自動車のエンジンオイルを新しいエンジンオイルに交換して約2カ月間走行した後、エンジンオイルの性状および燃料の消費量を調べた。なお、エンジンオンオイルの性状は、JIS K2514による内燃機関潤滑油酸化安定度試験により行った。エンジンオイルの性状を表5に、燃料の消費量を表6に示す。
【0043】
【表5】
Figure 0004115305
【0044】
【表6】
Figure 0004115305
【0045】
実施例4
比較例1で使用した自動車のエンジンオイルを抜き取り、上記テストピースを小型乗用車に2組(テストピース1,5)、普通乗用車に3組(テストピース2,3,4)および小型貨物車に3組(テストピース6,7,8)設置した後、新しいエンジンオイルを入れて、約2カ月走行した。その後、エンジンオイルの性状および燃料の消費量を、比較例と同様に調べた。このエンジンオイルの性状を表7に、燃料の消費量を表8に示す。
【0046】
【表7】
Figure 0004115305
【0047】
【表8】
Figure 0004115305
【0048】
実施例5
本発明の自動車用オイルパンを用いて、実車テストを行うため、表4に示す小型乗用車を用意した。テスト前の走行距離数は43,561kmであった。この車のオイルパンを取り外し、充分に脱脂洗浄した後、表1に示したコーティング剤(1)を、エアースプレーによって、1m2換算約180g塗布し、180℃で1時間加熱して硬化させ、本発明のオイルパンを作製した。
このオイルパンを上記の小型車にセットした後、新しいエンジンオイルを入れて実車テストを行った。エンジンオイルの性状を表9に、燃料の消費量を表10に示す。
【0049】
【表9】
Figure 0004115305
【0050】
【表10】
Figure 0004115305
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、エンジンオイルの重合物の生成を防止することができ、また、エンジンオイルの細分化により浸透性を改善することができる。これによって、エンジンオイルの粘度上昇を抑えることができ、エンジン部品の摩擦減少により摩耗を低減でき、また、負荷重を小さくすることにより、省エネルギー効果をもたらすことのできる、自動車用オイルパンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いたテストピースを示す構成図である。

Claims (4)

  1. 内面を、(A)アルミノケイ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、および金属炭化物からなる群から選ばれた少なくとも1種の微粒子100重量部に対し、銀および/または銅1〜12重量部を担持した微粒子、(B)無機微粒子、ならびに(C)金属アルコキシド、金属ヒドロキシド、またはアルカリ金属塩および硬化剤からなる群から選ばれた少なくとも1種である結合剤を含む、無機系コーティング剤で加工してなることを特徴とする自動車用オイルパン。
  2. 無機系コーティング剤が、その100重量部に対し、上記各成分固形分換算で(A)成分0.5〜10重量部、(B)成分5〜50重量部、(C)成分15〜50重量部の割合で含み、かつ、(A)、(B)、(C)成分の固形分濃度の合計25〜75重量部である、請求項1記載の自動車用オイルパン。
  3. 自動車用オイルパンの内面に請求項1または2に記載の無機系コーティング剤を塗布した後、乾燥・硬化することを特徴とする自動車用オイルパンの製造方法。
  4. 乾燥・硬化の温度が80〜400℃の範囲である請求項3記載の特徴とする自動車用オイルパンの製造方法。
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