JP6430428B2 - 電界紡糸装置、および堆積体の製造方法 - Google Patents
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Description
電界紡糸装置により形成された堆積体は、部材の表面から剥離して用いる場合がある。
そのため、堆積体は損傷なく部材から剥離する必要がある。
図1は、第1の実施形態に係る電界紡糸装置1を例示するための模式図である。
図2は、堆積体110の断面の顕微鏡写真である。
なお、本実施の形態においては、収集部5が、ファイバ100を堆積させる部材となる。
ノズルヘッド2は、ノズル20、接続部21、および本体部22を有する。
ノズル20は、針状を呈している。ノズル20の内部には、原料液を排出するための孔が設けられている。原料液を排出するための孔は、ノズル20の接続部21側の端部と、ノズル20の収集部5側の端部(先端)との間を貫通している。原料液を排出するための孔の、収集部5側の開口が排出口20aとなる。
複数のノズル20を設ける場合には、複数のノズル20は、所定の間隔を空けて並べて設けられる。なお、複数のノズル20の配設形態には特に限定はない。例えば、本実施形態においては、複数のノズル20は、一列に並べて設けることもできるし、円周上あるいは同心円上に並べて設けることもできるし、千鳥状、あるいはマトリクス状に並べて設けることもできる。
接続部21は、導電性材料から形成されている。接続部21の材料は、導電性と原料液に対する耐性を有するものとすることが好ましい。接続部21は、例えば、ステンレスなどから形成することができる。
本体部22の材料は、導電性と原料液に対する耐性を有するものとすることが好ましい。本体部22は、例えば、ステンレスなどから形成することができる。
高分子物質には特に限定がなく、形成したいファイバ100の材質に応じて適宜変更することができる。
また、原料液制御部33は、原料液の供給の開始と、供給の停止を切り替えるものとすることもできる。
電源4は、例えば、直流高圧電源とすることができる。電源4は、例えば、10kV以上100kV以下の直流電圧を出力するものとすることができる。
収集部5は、例えば、板状やシート状を呈するものとすることができる。シート状を呈する収集部5の場合には、ロール等に巻きつけられた収集部5にファイバ100を堆積させるようにしてもよい。
収集部5から堆積体110を剥離する際には、堆積体110の表面側を上方に引っ張る様にする。
ところが、ファイバ100の密度が高い領域110aと、ファイバ100の密度が低い領域110bとの間の接合力は、ファイバ100の密度が高い領域110aと、収集部5との間の接合力よりも弱い。
そのため、図3に示すように、ファイバ100の密度が高い領域110aと収集部5との間が剥離せず、ファイバ100の密度が低い領域110bとファイバ100の密度が高い領域110aとの間が剥離するおそれがある。すなわち、堆積体100を収集部5から剥離する際に、堆積体100が破損するおそれがある。
以上のように、エレクトロスピニング法により堆積体を形成すると、堆積体の厚み方向において、部材に近い方の部分にファイバの密度が高い領域が生じ、このファイバ密度の高い領域上には、それよりもファイバの密度が低い領域が生じる。この場合、堆積体を部材から剥離する際に、ファイバの密度が高い領域と部材との間が剥離せず、ファイバの密度が低い領域とファイバの密度が高い領域との間が剥離し易くなる。
加工部6は、堆積体110を加工して、ファイバ100の密度が高い領域110aにあるファイバ100と、ファイバ100の密度が低い領域110bにあるファイバ100とが混在する混在部110cを堆積体110に形成する。
すなわち、加工部6は、堆積体100の収集部5側にあるファイバ100と、堆積体110の収集部5側とは反対側にあるファイバ100と、が混在する混在部110cを堆積体110に形成する。
接触部60は、堆積体110に接触する。接触部60は、堆積体110を掻き上げることで混在部110cを堆積体110に形成する。
接触部60は、例えば、ローラやブラシなどの回転体とすることができる。この場合、接触部60の表面の摩擦係数は大きい方が好ましい。また、接触部60は弾性を有するものとすることが好ましい。接触部60は、例えば、金属の軸にゴムなどの樹脂をライニングしたローラとすることができる。樹脂の種類には特に限定はないが、樹脂は、例えば、ウレタンゴムなどとすることができる。
移動部61は、堆積体110に近接させる方向、および、堆積体110から離れる方向に接触部60を移動させるように構成されている。
また、移動部61は、接触部60を堆積体110に押し付ける際の力(押し付け力)を制御する。
移動部61は、例えば、サーボモータなどの制御モータやエアシリンダなどを備えたものとすることができる。
制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリなどを備えたコンピュータとすることができる。
原料液は、表面張力によりノズル20の排出口20aの近傍に留まっている。
電源4は、ノズル20に電圧を印加する。すると、排出口20aの近傍にある原料液が所定の極性に帯電する。図1に例示をしたものの場合には、排出口20aの近傍にある原料液がプラスに帯電する。
図4は、混在部110cの形成を例示するための模式図である。
図4に示すように、移動部61は、接触部60を回転させるとともに、接触部60を堆積体110に押し付ける。すると、堆積体110が掻き上げられて、ファイバ100の密度が高い領域110aにあるファイバ100と、ファイバ100の密度が低い領域110bにあるファイバ100とが混ざり合い、混在する混在部110cが形成される。
そのため、混在部110cを上方に引っ張れば、ファイバ100の密度が低い領域110bとファイバ100の密度が高い領域110aとの間が剥離することなく、収集部5から堆積体110を剥離することができる。
すなわち、本実施の形態に係る電界紡糸装置1によれば、堆積体110の損傷を抑制することができる。
図5に示すように、加工部6aは、接触部60a、移動部61a、および案内部62を有する。
接触部60aは、堆積体110に接触する。接触部60aは、堆積体110を掻き寄せることで混在部110cを堆積体110に形成する。
接触部60aは、例えば、板状体とすることができる。この場合、接触部60aの硬度は、収集部5の硬度より低くなるようにすることが好ましい。接触部60aの硬度が収集部5の硬度より低ければ、接触部60aと収集部5とを接触させても収集部5に損傷が発生するのを抑制することができる。接触部60aは、例えば、樹脂などから形成することができる。
移動部61aは、例えば、サーボモータなどの制御モータやエアシリンダなどを備えたものとすることができる。
すなわち、本実施の形態に係る電界紡糸装置1によれば、堆積体110の損傷を抑制することができる。
この様に、加工部は、ファイバ100の密度が高い領域110aにあるファイバ100と、ファイバ100の密度が低い領域110bにあるファイバ100とが混在する混在部110cを堆積体110に形成することができれば、その構成に限定はない。
図6は、第2の実施形態に係る電界紡糸装置1aを例示するための模式図である。
なお、図6においては、原料液供給部3、電源4、および制御部7を省略して描いている。
図6に示すように、収集部5aは、ノズル20の原料液が排出される側に設けられている。
なお、本実施の形態においては、収集部5aが、ファイバ100を堆積させる部材となる。
収集部5aは、接地されている。収集部5aには、ノズル20に印加する電圧と逆極性の電圧を印加するようにしてもよい。収集部5aは、導電性材料から形成することができる。収集部5aの材料は、導電性と原料液に対する耐性を有するものとすることが好ましい。収集部5aの材料は、例えば、ステンレスなどとすることができる。
張力部8は、一対の支持ローラ80と、ダンサローラ81を有する。
一対の支持ローラ80は、後述するローラ5a上の帯状の堆積体を支持する。
ダンサローラ81は、支持ローラ80と支持ローラ80の間に設けられ、後述する帯状の堆積体に張力を付与する。ダンサローラ81により、後述する帯状の堆積体に張力を付与することで、収集部5aからその堆積体が剥離される。また、収集部5aと巻き取りローラ9との間において、後述する帯状の堆積体が弛むのが抑制される。
ダンサローラ81は、重量により、後述する堆積体に張力を付与するものであってもよいし、バネなどにより、その堆積体に張力を付与するものであってもよい。
剥離部10は、混在部110cを保持し、所定の方向に移動して混在部110cを収集部5aから離隔させる。すなわち、剥離部10は、収集部5aから所定の長さの堆積体110を剥離する。
剥離部10は、粘着テープや機械的なチャックを備えたものとすることができる。また、加工部6と同様に、粘着テープや機械的なチャックを移動させる移動部と、移動部の移動方向を規定する案内部などを備えたものとすることができる。
図7(a)〜図9は、電界紡糸装置1aの作用を例示するための模式図である。
まず、図7(a)に示すように、ノズル20から原料液を引き出してファイバ100を形成し、形成したファイバ100を収集部5aの上に堆積させて堆積体110を形成する。この際、収集部5aを回転させることで帯状の堆積体110を形成する。
次に、図7(b)に示すように、移動部61は、接触部60を回転させるとともに、接触部60を堆積体110に押し付ける。すると、堆積体110が掻き上げられて、混在部110cが形成される。
次に、図8(b)に示すように、収集部5aから離れる方向に剥離部10を移動させる。すると、所定の長さの堆積体110が収集部5aから剥離される。
その後、電界紡糸装置1と同様にして、収集部5aの上に堆積体110を形成する。また、収集部5aと巻き取りローラ9を回転させることで、帯状の堆積体110を連続的に形成する。この際、ダンサローラ81により帯状の堆積体110に張力を付与することで、収集部5aから堆積体110が剥離される。また、収集部5aと巻き取りローラ9との間において帯状の堆積体110が弛むのが抑制される。
図10は、第3の実施形態に係る電界紡糸装置1bを例示するための模式図である。
なお、図10においては、原料液供給部3、電源4、および制御部7を省略して描いている。
また、本実施の形態においては、基材120が、ファイバ100を堆積させる部材となる。
図10に示すように、元巻きローラ11aには、堆積体110が形成される前の基材120が巻き付けられている。基材120は、帯状を呈している。基材120の材料には特に限定はなく、例えば、紙やアルミニウムなどから形成することができる。
元巻きローラ11aと巻き取りローラ11bは、図示しない駆動装置により回転するようになっている。
図11〜図15は、電界紡糸装置1bの作用を例示するための模式図である。
まず、図11に示すように、ノズル20から原料液を引き出してファイバ100を形成し、形成したファイバ100を基材120の上に堆積させて堆積体110を形成する。この際、元巻きローラ11aと巻き取りローラ11bを回転させることで帯状の堆積体110を形成する。
次に、図13に示すように、剥離部10を混在部110cの位置に移動させて、剥離部10に混在部110cを保持させる。
次に、図15に示すように、作業者が、張力部8を介して混在部110cを巻き取りローラ9に固定する。
エレクトロスピニング法を用いて、部材の上にファイバ100を堆積させて堆積体110を形成する工程。
堆積体110の部材側にあるファイバ100と、堆積体110の部材側とは反対側にあるファイバ100と、が混在する混在部110cを堆積体110に形成する工程。
この場合、堆積体110の部材側にあるファイバ100は、堆積体110と接触しているものとすることができる。
あるいは、混在部110cを形成する工程において、堆積体110を掻き寄せることで混在部110cを形成するようにすることができる。
また、混在部110cを保持し、所定の方向に移動して、混在部110cを部材から離隔させる工程をさらに備えることができる。
なお、各工程の内容は、前述したものと同様とすることができるので詳細な説明は省略する。
Claims (14)
- 部材の上にファイバを堆積させて堆積体を形成する電界紡糸装置であって、
前記堆積体の前記部材上にある第1のファイバ部と、前記堆積体の前記第1のファイバ部上にある第2のファイバ部と、が混在する混在部を前記堆積体に形成するとともに前記堆積体を前記部材から剥離させる加工部を備えた電界紡糸装置。 - 前記第1のファイバ部は、第1の密度の領域を有し、前記第2のファイバ部は、前記第1のファイバ密度よりも密度が低い第2のファイバ密度の領域を有する請求項1記載の電界紡糸装置。
- 前記堆積体の前記第1のファイバ部は、前記部材と接触している請求項1または2に記載の電界紡糸装置。
- 前記加工部は、前記堆積体に接触する接触部を有し、
前記接触部は、前記堆積体を掻き上げることで前記混在部を形成するように構成される請求項1〜3のいずれれか1つに記載の電界紡糸装置。 - 前記加工部は回転体を有し、前記回転体は、前記堆積体と接触した状態で回転して、前記混在部を形成するように構成される請求項4に記載の電界紡糸装置。
- 前記加工部は、前記堆積体に接触するように移動可能な接触部を有し、
前記接触部が、前記部材上を移動し、前記堆積体を掻き寄せて前記混在部を形成するように構成された請求項1〜3のいずれれか1つに記載の電界紡糸装置。 - 前記混在部を保持し、前記混在部を保持した状態で所定の方向に移動して、前記部材から前記堆積部を離隔させるように構成された剥離部をさらに備えた請求項1〜6のいずれか1つに記載の電界紡糸装置。
- エレクトロスピニング法を用いて、部材の上にファイバを堆積させて堆積体を形成する工程と、
前記堆積体の前記部材上にある第1のファイバ部と、前記堆積体の前記第1のファイバ部上にある第2のファイバ部と、が混在する混在部を前記堆積体に形成するとともに前記堆積体を前記部材から剥離させる工程と、
を備えた堆積体の製造方法。 - 前記堆積体の前記第1のファイバ部は、前記部材と接触している請求項8記載の堆積体の製造方法。
- 前記第1のファイバ部は、第1の密度の領域を有し、前記第2のファイバ部は、前記第1のファイバ密度よりも密度が低い第2のファイバ密度の領域を有する請求項8または9に記載の堆積体の製造方法。
- 前記混在部は、前記堆積体の端部に形成する請求項8〜10のいずれか1つに記載の堆積体の製造方法。
- 前記混在部を形成する工程において、前記堆積体を掻き上げることで前記混在部を形成する請求項8〜11のいずれか1つに記載の堆積体の製造方法。
- 前記混在部を形成する工程において、前記堆積体を所定の方向に掻き寄せることで前記混在部を形成する請求項8〜12のいずれか1つに記載の堆積体の製造方法。
- 前記混在部を保持した状態で、所定の方向に移動させ、前記混在部を前記部材から離隔させる工程をさらに備えた請求項8〜13のいずれか1つに記載の堆積体の製造方法。
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