JP6429816B2 - 薄膜トランジスタおよびその製造方法、薄膜トランジスタ基板、液晶表示装置 - Google Patents

薄膜トランジスタおよびその製造方法、薄膜トランジスタ基板、液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜トランジスタおよび薄膜トランジスタをスイッチングデバイスとして用いた薄膜トランジスタ基板に関する。
スイッチングデバイスとして薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下「TFT」と呼称)がアレイ状に配列形成されたTFTアクティブマトリックス基板(以下「TFT基板」と呼称)は、例えば液晶表示装置(Liquid Crystal Display:以下「LCD」と呼称)等の電気光学装置に利用されている。
TFTに代表される半導体装置は、低消費電力および薄型であるという特徴がある。このような半導体装置の特徴を活かして、CRT(Cathode Ray Tube)に代わって、フラットパネルディスプレイへの応用がなされるようになった。
フラットパネルディスプレイに用いられるLCDでは、一般に、TFT基板と対向基板との間に液晶層が設けられている。このようなTFT基板および対向基板の外側にはそれぞれ偏光板が設けられ、透過型および半透過型のLCDでは、TFT基板または対向電極の偏光板のさら外側にバックライトユニットが設けられている。また、カラー表示のLCDでは、例えば対向基板に1色または2色以上のカラーフィルタが設けられており、良好なカラー表示が得られる。
従来、液晶表示装置用のTFT基板のスイッチングデバイスにおいては、一般的にアモルファスシリコン(Si)が半導体の活性層(チャネル層)として用いられていた。しかし近年では、酸化物半導体が活性層に用いられたTFTの開発が盛んになされている。
酸化物半導体は、アモルフアスシリコンよりも高い移動度を有するため、小型で高性能なTFTを実現できるという利点がある。酸化物半導体としては、酸化亜鉛(ZnO)系材料、酸化亜鉛に酸化ガリウム(Ga)、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)などを添加した材料が主に用いられている。
ただし、酸化物半導体は、アモルファスシリコンよりも信頼性が劣るとされている。例えば、酸化物半導体の電気特性の時間に対する変化量がアモルファスシリコンに比べて大きく、酸化物半導体を使用したTFTの閾値がアモルファスシリコンを使用したTFTの閾値に比べてシフトしやすいとされている。これは酸化物半導体の電気特性を決めているのは酸化物半導体中の酸素欠損であるが、酸素は吸着、脱離し易いからである。
例えば、特許文献1および特許文献2には、酸化物半導体電気特性の劣化を抑制するために、酸化物半導体を積層させた構造が開示されている。
特開2014−131025号公報 特開2014−30001号公報
しかしながら、特許文献1および特許献2の積層構造を用いる場合、成膜工程が複数回必要となりスループットが低下する。また、酸化物半導体それぞれのドープ材料が細かく設定されているため、成膜材料(例えばスパッタターゲット)の作成、管理が難しいといった問題がある。
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、酸化物半導体を使用した薄膜トランジスタにおいても、電気特性の変化が抑制され、TFT動作の信頼性を高めた薄膜トランジスタを得ることを目的とする。
本発明に係る薄膜トランジスタは、基板上に配設されたゲート電極と、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜を間に介して、前記ゲート電極に対向する位置に設けられた酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層の表面に、互いに間を開けて接するソース電極およびドレイン電極と、前記酸化物半導体層の上に設けられた絶縁膜と、を備え、前記酸化物半導体層はインジウム、セリウムおよび亜鉛を少なくとも含み、前記酸化物半導体層の前記絶縁膜側の前記セリウムの濃度は、前記ゲート絶縁膜側と比べて高く、前記酸化物半導体層の前記絶縁膜側の表面内が、前記ゲート絶縁膜側の表面内と比べて亜鉛の濃度が少ない。

本発明係る薄膜トランジスタによれば、電気特性の変化が抑制され、TFT動作の信頼性を高めた薄膜トランジスタを得ることができる。
本発明に係る実施の形態の液晶表示装置の構成を示す斜視図である。 本発明に係る実施の形態のTFT基板の構成を示す平面図である。 本発明に係る実施の形態のTFT基板の画素の構成を示す平面図である。 本発明に係る実施の形態のTFT基板の画素の構成を示す断面図である。 本発明に係る実施の形態のTFT基板の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る実施の形態のTFT基板の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る実施の形態のTFT基板の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る実施の形態のTFT基板の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る実施の形態のTFT基板の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る実施の形態のTFT基板の製造工程を示す断面図である。 本発明に係る実施の形態の半導体層におけるキャリア濃度の測定結果をテーブルで示す図である。 本発明に係る実施の形態の半導体層におけるキャリア濃度の測定結果をグラフで示す図である。 本発明に係る実施の形態の半導体層における原子の比率を測定した結果をテーブルで示す図である。 本発明に係る実施の形態の半導体層における原子の比率を測定した結果をグラフで示す図である。 本発明に係る実施の形態の薄膜トランジスタのドレイン電流−ゲート電圧特性の試験結果を示す図である。 本発明に係る実施の形態の薄膜トランジスタのキャリア濃度とゲートの閾値電圧との関係をグラフで示す図である。
<液晶表示装置の全体構成>
図1はTFT基板を備えた液晶表示装置1000の構成を模式的に示す斜視図である。以下、図1を用いて液晶表示装置1000の構成について説明する。
図1に示すように液晶表示装置1000は、光源1001、導光板1002、偏光板1003、TFT基板1004、液晶層1005、対向基板1006および偏光板1007を備えている。
光源1001は、液晶表示装置1000全体の光源であり、例えば発光ダイオードなどが用いられる。面状の導光板1002は、その1つの端面の外側に設けられた光源1001から入射された光を、導光板1002の主面全体から出射するように導く。光源1001および導光板1002を合わせてバックライトユニットと呼称することもある。
導光板1002の光出射側の主面上には、偏光板1003、TFT基板1004、液晶層1005、対向基板1006および偏光板1007が、この順に配設される。このように、対向基板1006とのTFT基板1004との間に液晶層1005が挟持されている。
ここで、液晶表示装置1000の動作の概略を説明する。TFT基板1004に形成されたTFTは、外部からの信号に応じて液晶層1005に印加する電界を制御することにより、液晶層1005の液晶の偏光方向を制御する。このようなTFT基板1004を偏光板1003、液晶層1005、対向基板1006および偏光板1007と組み合わせ、導光板1002から出射された光1008を画素ごとに透光または遮光することで、液晶表示装置1000に所望の画像を表示することができる。
<実施の形態>
本実施の形態に係るTFT基板は、スイッチングデバイスとしてTFTがマトリックス状に配列形成されたアクティブマトリックス基板であるものとして説明する。なお、本実施の形態に係るTFT基板は、図1を用いて説明したように、液晶表示装置に代表される平面型表示装置(フラットパネルディスプレイ)などに用いられる。
<TFT基板の全体構成>
図2は、本発明に係る実施の形態のTFT基板の全体構成を模式的に説明する平面図であり、ここでは、LCD用のTFT基板を例に採っている。
図2に示すTFT基板200(図1のTFT基板1004に対応)は、画素TFT201がマトリックス状に配列されたTFTアレイ基板であり、表示領域202と、表示領域202を囲むように設けられた額縁領域203とに大きく分けられる。
表示領域202には、複数のゲート配線(走査信号線)3、複数の補助容量配線210および複数のソース配線(表示信号線)9が配設され、複数のゲート配線3は互いに平行に配設され、複数のソース配線9は、複数のゲート配線3と直交して交差するように互いに平行に配設されている。図2では、ゲート配線3が横方向(X方向)に延在するように配設され、ソース配線9が縦方向(Y方向)に延在するように配設されている。
そして、隣接する2本のゲート配線3および隣接する2本のソース配線9に囲まれた領域が画素204となるので、TFT基板200では、画素204がマトリックス状に配列された構成となる。
図2では、一部の画素204について、その構成を拡大して示しており、画素204内には、少なくとも1つの画素TFT201が配設されている。画素TFT201はソース配線9とゲート配線3の交差点近傍に配置され、画素TFT201のゲート電極がゲート配線3に接続され、画素TFT201のソース電極がソース配線9に接続され、画素TFT201のドレイン電極は透過画素電極11に接続されている。また、透過画素電極11には補助容量209が接続され、複数のゲート配線3のそれぞれと平行に設けられた補助容量配線210が、補助容量電極を兼ねている。
TFT基板200の額縁領域203には、走査信号駆動回路205と表示信号駆動回路206とが設けられている。ゲート配線3は、表示領域202から走査信号駆動回路205が設けられた側の額縁領域203まで延在しており、ゲート配線3は、TFT基板200の端部で、走査信号駆動回路205に接続されている。
ソース配線9も同様に表示領域202から表示信号駆動回路206が設けられた側の額縁領域203まで延在しており、ソース配線9は、TFT基板200の端部で、表示信号駆動回路206に接続されている。
また、走査信号駆動回路205の近傍には、外部との接続基板207が配設され、表示信号駆動回路206の近傍には、外部との接続基板208が配設されている。なお、接続基板207および208は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)などの配線基板である。
接続基板207および208のそれぞれを介して、走査信号駆動回路205および表示信号駆動回路206に外部からの各種信号が供給される。走査信号駆動回路205は、外部からの制御信号に基づいて、ゲート信号(走査信号)をゲート配線3に供給する。このゲート信号によって、ゲート配線3が順次選択される。表示信号駆動回路206は、外部からの制御信号および表示データに基づいて表示信号をソース配線9に供給する。これにより、表示データに応じた表示電圧を各画素204に供給することができる。
なお、走査信号駆動回路205と表示信号駆動回路206は、TFT基板200上に配置される構成に限られるものではなく、例えば、TCP(Tape Carrier Package)で駆動回路を構成し、TFT基板200とは別の部分に配置しても良い。
また、補助容量配線210は、後に平面図を用いて説明するように透過画素電極11と平面視的に一部が重複(重畳)するように構成され、透過画素電極11を一方の電極とし、補助容量配線210の一部を他方の電極として補助容量209を形成する。なお、透過画素電極11と重畳した部分の補助容量配線210が補助容量電極5として機能する。全ての補助容量配線210は表示領域外で電気的に結束し、例えば表示信号駆動回路206から共通電位が供給される。
画素TFT201は、透過画素電極11に表示電圧を供給するためのスイッチングデバイスとして機能し、ゲート配線3から入力されるゲート信号によって画素TFT201のONとOFFが制御される。そして、ゲート配線3に所定の電圧が印加され、画素TFT201がONすると、ソース配線9から電流が流れるようになる。これにより、ソース配線9から、画素TFT201のドレイン電極に接続された透過画素電極11に表示電圧が印加され、透過画素電極11と対向電極(図示せず)との間に、表示電圧に応じた電界が生じる。透過画素電極11と対向電極との間には液晶によって補助容量209と並列に液晶容量(図示せず)が形成される。なお、In-Plane-Switching方式およびFFS(Fringe-Field-Switching)方式の液晶表示装置の場合、対向電極はTFT基板200側に配置される。
これらの液晶容量と補助容量209によって透過画素電極11に印加された表示電圧が一定期間保持される。なお、TFT基板200の表面には、配向膜(図示せず)が形成されていても良い。
また、図1を用いて説明した対向基板1006のように、TFT基板200に対向して対向基板が配置される。対向基板1006は、例えばカラーフィルタ基板であり、視認側に配置される。対向基板1006には、カラーフィルタ、ブラックマトリックス(BM)および配向膜等が形成され、液晶表示装置の方式によっては対向電極も対向基板1006に形成される。
そして、図1を用いて説明したようにTFT基板1004(TFT基板200)と対向基板1006とは、一定の間隙(セルギャップ)を介して貼り合わされる。そして、この間隙に液晶が注入され封止される。すなわち、TFT基板1004と対向基板1006との間に液晶層1005が配置される。さらに、TFT基板1004および対向基板1006の外側の面には、偏光板1003、1007および位相差板等が設けられる。また、以上のように構成された液晶表示装置の視認側とは反対側には、光源1001および導光板1002を含むバックライトユニット等が配設される。
<液晶表示装置の動作>
ここで、図1および図2を用いて液晶表示装置1000の動作をさらに説明する。透過画素電極11と、対向電極との間の電界によって、液晶層1005の液晶が駆動されると、液晶層1005の液晶の配向方向が変化する。これにより、液晶層1005を通過する光の偏光状態が変化する。つまり、偏光板1003を通過して直線偏光となった後に液晶層1005を通過する光の偏光状態も変化する。具体的には、バックライトユニットからの光は、TFT基板1004側の偏光板1003によって直線偏光になる。そして、この直線偏光が液晶層1005を通過することによって、偏光状態が変化する。
従って、対向基板1006側の偏光板1007を通過する光量が、偏光状態、ひいては上述の電界によって変化する。すなわち、バックライトユニットから液晶表示装置を透過する透過光のうち、視認側の偏光板1007を通過する光1008の光量を、上述の電界によって変化させることができる。このような構成において、画素ごとに表示電圧を制御することによって、液晶表示装置に所望の画像を表示することができる。
<TFT基板の画素の構成>
次に、図3および図4を参照して、本実施の形態のTFT基板200の構成について説明する。図3は、図2に示した画素204の平面構成を示す平面図であり、図4は、図3におけるX−X線での断面構成(ゲート配線−ソース配線交差部、画素TFT部、画素−ドレインコンタクト部、画素電極部および補助容量部の断面構成)、Y−Y線での断面構成(ゲート端子部の断面構成)およびZ−Z線での断面構成(ソース端子部の断面構成)を示す断面図である。なお、以下においてTFT基板200は透過型の液晶表示装置に用いるものとして説明する。
図3に示すように、その一部がゲート電極2を構成するゲート配線3がX方向に延在するように配設され、また、その一部が補助容量電極を構成する補助容量配線210がゲート配線3に平行してX方向に延在するように配設されている。また、Y方向に延在するソース配線9からは、X方向に延在する分岐配線91が分岐し、その先端部分がゲート電極2の上方に重畳しソース電極7となっている。
そして、隣接する2本のゲート配線3および隣接する2本のソース配線9に囲まれた画素領域において透過画素電極11が設けられており、透過画素電極11はドレイン電極8に接続されている。
ゲート配線3は、その線幅が他の部分よりも広くなった部分がゲート電極2として機能し、ゲート電極2上には酸化物半導体で構成される半導体層12(半導体層)が設けられ、ソース電極7およびドレイン電極8は、互いに間を開けて半導体層12に接続されている。これらにより画素TFT201が構成されている。なお、画素TFT201の動作時には、ソース電極7とドレイン電極8との間の半導体層12内にチャネル部13が形成される。
画素領域において、補助容量配線210は、Y方向に延在する2つの分岐配線115を有している。分岐配線115は、画素領域のソース配線9側の2つの端縁部に該当する部分に設けられ、補助容量配線210のうち補助容量電極5となる部分と分岐配線115とで平面視形状がΠ(パイ)の字状となるように構成されている。そして、補助容量電極5および分岐配線115と。これらに重畳する透過画素電極11との間に補助容量209(図2)が形成される。なお、補助容量電極5と分岐配線115とで構成される形状は、Πの字状に限ったものではなく、所望の補助容量が得られるのであれば、直線状でも、L字状でも良い。
また、額縁領域にまで延在するゲート配線3のそれぞれの端部はゲート端子4となっており、ゲート端子部コンタクトホール16を介してゲート端子パッド18が接続され、ゲート端子パッド18を介して、外部からの映像の走査信号がゲート端子4に与えられる構成となっている。
同様に、額縁領域にまで延在するソース配線9のそれぞれの端部はソース端子10となっており、ソース端子部コンタクトホール17を介してソース端子パッド19が接続され、ソース端子パッド19を介して、外部からの映像信号がソース端子10に与えられる構成となっている。
また、全ての補助容量配線210は額縁領域において電気的に結束され、共通電位が与えられる構成となっている。
次に、図4を用いて画素204の断面構成を説明する。図4に示すようにTFT基板200は、例えば、ガラス、プラスチック等の透明絶縁性基板である基板1上に形成され、基板1上には同じ導電膜が選択的に配設されて配線および電極を構成している。
すなわち、ゲート電極2、ゲート配線3、ゲート端子4および補助容量配線210は、例えばアルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)およびこれらに他の元素を微量に添加した合金等を用いた単層膜または多層膜で構成されている。
そして、これらを覆うように絶縁膜6が配設されている。なお、絶縁膜6は、画素TFT201の部分ではゲート絶縁膜として機能するのでゲート絶縁膜6と呼称する場合もある。ゲート絶縁膜6は、窒化シリコン膜とその上に形成された酸化シリコン膜との積層膜で構成されている。
図4の画素TFT部に示されるように画素TFT201の形成領域では、ゲート絶縁膜6を介してゲート電極2に対面するように半導体層12が設けられている。ここでは、半導体層12は平面視でゲート電極2と重なるようゲート絶縁膜6の上に形成され、ゲート電極2の上方内に収まるように構成されている。
半導体層12は、酸化物半導体で形成されており、少なくともインジウム(In)および亜鉛(Zn)を含んだ酸化物半導体、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム(In)およびZnOを配合したIn−Zn−O系の酸化物半導体を用いることができる。また、インジウムおよび亜鉛の以外に他の金属を添加しても良い。他の金属としては、Al(アルミニウム)、Ti(チタニウム)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Si(シリコン)、Sn(スズ)、La(ランタニウム)、Ce(セリウム)およびHf(ハフニウム)などが挙げられ、これらの金属を1種または2種以上添加しても良い。例えば、In−Zn−O系の酸化物半導体にGaを加えたIn−Ga−Zn−O系の酸化物半導体で形成しても良い。
また、本実施の形態の酸化物半導体層(半導体層12)の導電率は、例えば1×10−7〜10S/cmであるものとする。また、酸化物半導体層のキャリア濃度は、例えば1×1011〜1×1018個/cmの範囲にあるものとする。導電率が10S/cmよりも大きい場合、あるいはキャリア濃度が1×1018個/cmよりも大きい場合には、電気が常時流れやすくなり、半導体層としてのスイッチング機能を示さないことがあるからである。酸化物半導体層の導電率が、例えば1×10−5〜10−1S/cm、あるいはキャリア濃度が、例えば1×1011〜1×1015個/cmの範囲であればより好ましい。
このような酸化物半導体層をチャネル層として用いることで、アモルファスシリコンよりも高い移動度を有するTFTを実現することができ、動作速度を向上させることができる。また、アモルファスシリコンを用いたTFTと比べて製造工程を簡素化することができる。
そして、半導体層12上には、導電膜で構成されるソース電極7およびドレイン電極8が互いに間隔を開けて接するように配設され、画素TFT201の動作時には、ソース電極7とドレイン電極8との間の半導体層12内にチャネル部13が形成される。
また、画素TFT部のソース電極7およびドレイン電極8、ゲート−ソース配線交差部のソース配線9および分岐配線91、ソース端子部のソース端子10は保護絶縁膜14で覆われている。なお、保護絶縁膜14は、ゲート端子部のゲート絶縁膜6上を覆うと共に、画素電極部および補助容量部のゲート絶縁膜6上も覆っている。
画素電極部においては保護絶縁膜14上に透明導電膜で構成される透過画素電極11が形成され、透過画素電極11は、保護絶縁膜14を貫通してドレイン電極8に達する画素ドレインコンタクトホール15を介して、ドレイン電極8に接続される構成となっている。透過画素電極11は、画素ドレインコンタクトホール15上から補助容量電極5の上方にかけて延在しており、透過画素電極11と補助容量電極5(分岐配線115含む)との間に補助容量209(図2)が形成される。
また、ソース端子部においては、保護絶縁膜14を貫通してソース端子10に達するソース端子部コンタクトホール17を介して、ソース端子パッド19がソース端子10に接続される構成となっている。ソース端子パッド19は表示信号駆動回路206(図2)に電気的に接続され、表示信号駆動回路206から表示信号がソース配線9に供給可能となっている。
また、ゲート端子部においては、保護絶縁膜14およびゲート絶縁膜6を貫通してゲート端子4に達するゲート端子部コンタクトホール16を介して、ゲート端子パッド18がゲート端子4に接続される構成となっている。ゲート端子パッド18は走査信号駆動回路205(図2)に電気的に接続され、走査信号駆動回路205から走査信号がゲート配線3に供給可能となっている。
<製造方法>
次に、本実施の形態のTFT基板200の製造方法について、製造工程を順に示す断面図である図5〜図10を用いて説明する。なお、図5〜図10は、図4に示す断面図に対応する断面図であり、図4は最終工程を示す断面図に相当する。
まず、ガラス等の透明絶縁性基板である基板1を洗浄液または純水を用いて洗浄する。なお、本実施の形態では厚さ0.5mmの無アルカリガラス基板を基板1として用いた。
そして、洗浄後の基板1上に、第1の導電膜(図示せず)を形成し、それをパターニングすることによって、図5に示すように、基板1上にゲート電極2、ゲート配線3、ゲート端子4および補助容量電極5(補助容量配線210含む)を形成する。
ここで、第1の導電膜としては、例えばAl、Cr、Cu、Moおよびこれらに他の元素を微量に添加した合金等を用いることができる。また、これらの金属および合金を2層以上形成した積層膜を第1の導電膜として用いても良い。これらの金属および合金を用いることによって、比抵抗値が50μΩcm以下(導電率が2×10S/cm以上)の低抵抗膜を得ることができる。
なお、本実施の形態においては第1の導電膜としてMo膜を用いるものとし、公知のArガスを用いたスパッタリング法によってMo膜を200nmの厚さに形成する。その後、Mo膜上にレジスト材を塗布し、塗布したレジスト材をフォトマスクを用いて露光し、レジスト材を感光させる。次に、感光させたレジスト材を現像して、レジスト材をパターニングすることでフォトレジストパターンを得る。以後、フォトレジストパターンを形成する一連の工程を写真製版工程(フォトリソグラフィープロセス)と呼称する。
この1回目の写真製版工程で得られたフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして、Mo膜を選択的にエッチングしてパターニングする。その後、フォトレジストパターンを除去することで、図5に示すように、基板1上に、ゲート電極2、ゲート配線3、ゲート端子4および補助容量電極5(補助容量配線210含む)を形成する。
このエッチングプロセスでは、公知であるリン酸(Phosphoric acid)、硝酸(Acetic acid)および酢酸(Nitric acid)を含む溶液(以下「PAN溶液」と呼称)によるウェットエッチングを用いることができる。PAN溶液としては、リン酸が40〜93wt%(重量%)、酢酸が1〜40wt%、硝酸が0.5〜15wt%の範囲のものが好ましい。なお、本実施の形態においては、リン酸70wt%、酢酸7wt%、硝酸5wt%および水を含むPAN溶液を用い、その液温を25℃に設定してMo膜をエッチングした。
次に、図6に示す工程において、基板1上にゲート絶縁膜6を形成して、ゲート電極2、ゲート配線3、ゲート端子4および5(補助容量配線210含む)をゲート絶縁膜6で覆う。ゲート絶縁膜6は、例えば化学的気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成された酸化シリコン(SiO)膜が用いられる。ここでは、シラン(SiHガスと一酸化二窒素(NO)ガスとを用いて、厚さ300nmのSiO膜を、150〜400℃の基板加熱条件下で形成する。
ただし、ゲート絶縁膜6はこれに限ったものではない。例えば、SiO膜は、水分(HO)、水素(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)のようなTFT特性に影響を及ぼす不純物元素に対するバリア性(遮断性)が弱い。このため、SiO膜の下にバリア性に優れる窒化シリコン(SiN)膜などを設けた積層膜としても良い。SiN膜は、例えばSiHガス、アンモニア(NH)ガス、窒素(N)ガスを用いたCVD法によって形成することができる。この場合、SiO膜とSiN膜の積層膜の膜厚が例えば100〜500nmとなるように、それぞれの膜の厚さを調整すれば良い。
次に、ゲート絶縁膜6上に、半導体層12の材料としての酸化物半導体膜を形成する。半導体層12は、スパッタリング法、蒸着法およびイオンプレーティング法などの物理蒸着法によって形成される。これらは、成膜室内(反応室内)に設置されているターゲット材料にプラズマまたはアーク放電を照射し、その衝撃によってターゲット材料から飛び出した材料を、基板上に堆積させる形成方法である。この場合、成膜室内には、ターゲット材料以外に、放電に必要なガス(例えばアルゴンガスなど)を導入する。さらに、基板上に堆積させる膜の組成を変化させるためのガス(例えば酸素、窒素など)も導入することもできる。
このように、スパッタリング法、蒸着法およびイオンプレーティング法などの物理蒸着法によれば、成膜室内に設置するターゲット材料と、導入されるガスとの組み合わせで、様々な特性を持つ薄膜を形成することができる。
半導体層12の形成方法をさらに詳細に説明する。成膜室内(反応室内)に基板1を配置した後、成膜室内を減圧する。その後に、成膜室内にて金属酸化物をターゲット材料に用いた物理蒸着法によって酸化物半導体層を形成する。なお、ターゲット材料には、例えばIn:Ga:Zn:Oの原子組成比が1:1:1:4であるInGaZnOターゲット[In・Ga・(ZnO)]が用いられ、物理蒸着法としては、例えばスパッタリング法が用いられる。
なお、公知のArガスまたはKrガスを用いたスパッタリング法で酸化物ターゲットをスパッタリングすると、酸素の原子組成比が化学量論組成よりも少なく、酸素イオンが欠乏した状態([In・Ga・(ZnO)]の例ではOの組成比が4未満)の酸化物半導体層が形成されてしまう。このため、Arガスに酸素(O)ガスを混合させてスパッタリングを行うことが望ましい。本実施の形態では、Arガスに対して分圧比で10%のOガスを添加した混合ガスを用いてスパッタリングを行い、40nmの厚さの酸化物半導体層を形成した。
ゲート絶縁膜6上に酸化物半導体層を形成した後、当該酸化物半導体層上にレジスト材を塗布し、2回目の写真製版工程でフォトレジストパターン(図示せず)を形成し、当該フォトレジストパターンをエッチングマスクとして、酸化物半導体層を選択的にエッチングしてパターニングする。その後、フォトレジストパターンを除去することで、図6に示すように、画素TFT部のゲート電極2の上方に半導体層12を形成した。
このエッチングプロセスでは、公知のカルボン酸を含む溶液によるウェットエッチングを用いることができる。カルボン酸を含む溶液としては、シュウ酸を1〜10wt%の範囲で含むものが好ましい。本実施の形態においては、シュウ酸5wt%と水を含むシュウ酸系溶液を用いてその液温を25℃に設定して、半導体層12をパターニングした。
なお、半導体層12の端縁部は、図3にも示すように、平面視においてゲート電極2の端縁部より外側にはみ出さず、端縁部全体がゲート電極2の端縁部の内側に収まるように、半導体層12をパターニングする。これにより、図1においてバックライトユニットからTFT基板1004の裏面に照射された光を、選択的に透過して表示を行う透過型LCDにおいて、ゲート電極2のパターンが遮光マスクとなって半導体層12に光が直接入射することを抑制できる。この結果、光照射によるTFT特性の劣化を抑制することができる。
上記エッチングプロセスを行った後、大気中で350℃のアニール処理を1時間行う。この工程を行うことで、次工程のエッチングプロセスにおける半導体層12へのエッチングダメージを低減させることができる。
次に、図7に示す工程において、基板1上に導電膜8A(第2の導電膜)を形成し、それをパターニングすることによって、図8に示すように、ソース電極7、ドレイン電極8、ソース配線9およびソース端子10をパターニングする。この際、半導体層12のチャネル部13上には間隙が形成されることとなる。
ここで、導電膜8Aとしては、例えばAl、Cr、Cu、Moおよびこれらに他の元素を微量に添加した合金等を用いることができる。また、これらの金属および合金を2層以上形成した積層膜を導電膜8Aとして用いても良い。これらの金属および合金を用いることによって、比抵抗値が50μΩcm以下(導電率が2×10S/cm以上)の低抵抗膜を得ることができる。
なお、本実施の形態においては導電膜8AとしてMo膜を用いるものとし、公知のArガスを用いたスパッタリング法によってMo膜を200nmの厚さに形成する。その後、Mo膜上にレジスト材を塗布し、3回目の写真製版工程でフォトレジストパターン(図示せず)を形成し、当該フォトレジストパターンをエッチングマスクとして、Mo膜を選択的にエッチングしてパターニングする。
このエッチングプロセスでは、公知であるPAN溶液によるウェットエッチングを用いることができる。なお、本実施の形態においては、リン酸70wt%、酢酸7wt%、硝酸5wt%および水を含むPAN溶液を用い、その液温を25℃に設定してMo膜をエッチングした。
次に、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウムを含む溶液に基板1を浸漬する。フォトレジストパターンを除去した後だと、パターニングしたソース電極7、ドレイン電極8、ソース配線9およびソース端子10がエッチングされてしまうので、本工程はフォトレジストパターンを除去する前に行うことで、ソース電極7等が無用にエッチングされることを抑制できる。
ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウムを含む溶液は、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム以外の材料が入っていても良い。そのため、市販されているクロム膜エッチング液を使用しても良い。本実施の形態では、硝酸セリウム第二アンモニウム、硝酸、過塩素酸および水を含むヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム濃度16%の溶液を使用し、5秒間浸漬した。
その後、フォトレジストパターンを除去することで、図8に示すように、半導体層12と電気的に接続されるソース電極7およびドレイン電極8、ソース配線9およびソース端子10を形成する。
次に、図9に示す工程において、ソース電極7、ドレイン電極8、ソース配線9、ソース端子10およびチャネル部13を覆うように保護絶縁膜14を形成した後、保護絶縁膜14を貫通してドレイン電極8に達する画素ドレインコンタクトホール15、保護絶縁膜14を貫通してソース端子10に達するソース端子部コンタクトホール17、保護絶縁膜14およびゲート絶縁膜6を貫通してゲート端子4に達するゲート端子部コンタクトホール16を形成する。
より具体的には、保護絶縁膜14は、例えば、基板1を150〜400℃の温度範囲内で加熱した条件下で、CVD法を用いて厚さ300nmのSiO膜を形成することで得られる。そして、酸化シリコン膜上にレジスト材を塗布し、4回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをエッチングマスクとして、酸化シリコン膜を選択的にエッチングする。このエッチング工程では、公知のフッ素ガスを用いたドライエッチング法を用いることができる。
なお、SiO膜は、水分(HO)、水素(H)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)のようなTFT特性に影響を及ぼす不純物元素に対するバリア性(遮断性)が弱い。このため、SiO膜の下にバリア性に優れる窒化シリコン(SiN)膜などを設けた積層膜を保護絶縁膜14としても良い。このような積層膜でも、公知のフッ素ガスを用いたドライエッチング法を用いてコンタクトホールを形成することができる。
次に、図10に示す工程において、基板1上に導電膜11A(第3の導電膜)形成し、画素ドレインコンタクトホール15、ゲート端子部コンタクトホール16およびソース端子部コンタクトホール17を埋め込む。
導電膜11Aとしては透明導電膜を形成する。透明導電膜として、本実施の形態では、公知の導電性酸化物であるInZnO膜(酸化インジウム(In)と酸化亜鉛(ZnO)との重量%における混合比が90:10)を用いる。ここでは、公知のスパッタリング法を用いて厚さ100nmのInZnO膜を形成した。ただし、透明導電膜は上述のようなIZO(Indium Zinc Oxide)膜に限定されず、ITO(Indium Tin Oxide)膜なども用いることができる。
その後、導電膜11A上にレジスト材を塗布し、5回目の写真製版工程でフォトレジストパターン(図示せず)を形成し、当該フォトレジストパターンをエッチングマスクとして、導電膜11Aを選択的にエッチングしてパターニングする。その後、フォトレジストパターンを除去することで、図4に示したように、透過画素電極11、ゲート端子パッド18およびソース端子パッド19が形成され、TFT基板200が完成する。
このエッチングプロセスでは、公知のシュウ酸系溶液によるウェットエッチングを用いることができる。
なお、導電膜11Aに透明導電膜を用いる理由は、バックライトユニットからの光を選択的に透過して表示を行う透過型LCDにおいては、透光性の画素電極を形成する必要があるためである。一方、外光を選択的に反射して表示を行う反射型LCDにおいては、光を反射するAlおよび銀(Ag)のような金属膜を画素電極として形成すれば良い。また反射および透過の両方を兼ね備えた半透過型LCDの場合は、光反射性および透光性の両方の特性を有した画素電極を形成すれば良い。
完成したTFT基板200(図1のTFT基板1004に対応)の表面に図示しない配向膜およびスペーサを形成する。配向膜は、液晶分子を配列させるための膜であり、ポリイミド等で構成される。また、カラーフィルタおよび配向膜を備えた対向基板1006(図1)を準備し、TFT基板1004と対向基板1006とを貼り合わせる。そして、上記のスペーサによって両基板間に形成される間隙に液晶を注入し保持する。その後、両基板の外側に偏光板1003および1007を配設し、TFT基板1004のさらに外側にバックライトユニットを配設し、対向基板1006のさらに外側に位相差板を配設する。これによって、図1の液晶表示装置1000を得ることができる。
<TFTの信頼性向上>
以上説明したTFT基板200の製造方法においては、導電膜8A(第2の導電膜)をエッチングによりパターニングした後、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウムを含む溶液に基板1を浸漬する処理を行っている。この処理は本発明に係るTFTの動作特性に影響を与える処理であり本発明の特徴の1つである。以下、当該処理とTFTの動作特性に影響を与える酸化物半導体層中の亜鉛の濃度について説明する。
なお、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウムを含む溶液に基板1を浸漬する代わりに、シャワータイプのエッチングシステムを用いて、基板1の上部からヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液を浴びせる方法を採っても良い。要するに、ソース電極7とドレイン電極8との間に露出する半導体層12の表面がヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に一定の時間曝されれば良い。基板1を浸漬する場合は、比較的簡単なエッチングシステム構成で済み、シャワータイプのエッチングシステムを用いる場合は、常に新鮮な溶液による処理が可能となる。
ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に含まれる4価のセリウムが3価となる際に強酸化性を示す。先に説明したように、半導体層12は酸化インジウム(In)および酸化亜鉛(ZnO)を含んでいるが、耐酸性の高い酸化インジウムは、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に溶けないが、耐酸性が低い酸化亜鉛はヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に溶けやすい。そのため、半導体層12におけるチャネル部13の表面にヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液が触れることによって、半導体層12に含まれる酸化インジウムおよび酸化亜鉛のうち、チャネル部表面の酸化亜鉛だけが選択的に減少することになる。この結果、半導体層12の保護絶縁膜14側の表面内では、ゲート絶縁膜6側の表面内と比べて亜鉛の濃度が減少する。また、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に含まれるセリウムが、チャネル部13の表面に残留し、後工程のアニールなどにより、半導体層12に取り込まれる。このため、半導体層12の保護絶縁膜14側の表面内のセリウムの濃度が、ゲート絶縁膜6側の表面内よりも高くなる。
ここで、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に浸漬する前後の半導体層12の電気特性について説明する。酸化物半導体の電気特性は酸素欠損量に影響され、半導体層12の形成工程および後の工程によって酸化および還元反応が起こった場合、半導体層12の電気特性が変化する。
半導体層12の材料は酸化インジウムおよび酸化亜鉛が主な材料であり、それらの酸素欠損量が電気特性に直結する。ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に浸漬すると、酸化亜鉛量が減少し、キャリア濃度が減少して比抵抗が増加する。
すなわち、上述したように、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液は酸化力が強く、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に曝される半導体層12の表面の酸化亜鉛の一部が溶けて亜鉛の濃度が減少する。また、酸化インジウム、酸化亜鉛はどちらも酸素空孔がドナーとして機能しやすく、酸化物半導体層中のキャリアとして機能する。このため、酸化物半導体層中における酸化亜鉛の濃度が減少すると、キャリア濃度も減少し、比抵抗が増加することとなる。
半導体層12において、TFTのスイッチング機能を司るチャネルは、ゲート絶縁膜6と半導体層12との界面部分に形成される。このため、半導体層12のゲート絶縁膜6側のキャリア濃度は、保護絶縁膜14側のキャリア濃度と比べて高い方が望ましく、半導体層12をヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に曝すことで、半導体層12における保護絶縁膜14側のキャリア濃度を減少させることができ、相対的に半導体層12におけるゲート絶縁膜6側のキャリア濃度を増加させることができ、比抵抗を相対的に減少させることができる。
また、酸化セリウムは絶縁体であり、酸化インジウムおよび酸化亜鉛と比べて安定で比抵抗が大きい。そのため、半導体層12の保護絶縁膜14側の表面内が、ゲート絶縁膜6側の表面内と比べてセリウムの濃度が高くなると、亜鉛の濃度が低くなるのと同様の理由で、半導体層12における保護絶縁膜14側のキャリア濃度を減少させることができ、相対的に半導体層12におけるゲート絶縁膜6側のキャリア濃度を増加させることができ、比抵抗を相対的に減少させることができる。
亜鉛の濃度の減少とセリウムの濃度の増加とで、半導体層12におけるゲート絶縁膜6側のキャリア濃度を相対的に増加させる相乗効果が期待できる。この結果、半導体層12におけるゲート絶縁膜6側のキャリア濃度が相対的にさらに増加し、比抵抗は相対的にさらに減少する。このため、酸素欠損により電気特性が変化しやすい酸化物半導体層を用いた画素TFT201においても、半導体層12のゲート絶縁膜6側の比抵抗が低減され、閾値電圧のばらつきが抑制されて電気特性の変化が抑制され、TFT動作の信頼性を高めることができる。
<TFTの信頼性向上の検証>
本発明においては、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウムの持つ強力な酸化効果によって酸化物半導体層中の亜鉛が減少しセリウムが増加するという現象に着目し、発明者等が検証試験を行った結果、酸化物半導体層中のキャリア濃度が低下するという新規な知見を得たことによりなされた発明である。以下、半導体層12におけるゲート絶縁膜6側のキャリア濃度を相対的に増加させることで、結果的にTFT動作の信頼性を高めることができる。以下、その仕組みと検証試験の結果について説明する。
以下の検証試験においては、基板1をヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に浸漬する条件を変えて試験を行った。すなわち、基板1の浸漬時間を5秒とした試験を実施例1、浸漬時間を20秒とした試験を実施例2、浸漬時間を60秒とした試験を実施例3とした。なお、実施例3では230℃で1時間、大気中でのアニールを行った。また、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に浸漬しない試験を比較例1とした。
なお、実施例1〜3および比較例1では、専用TEG(Test Element Group)を用いて試験を行い、キャリア濃度を測定した。専用TEGは、一辺が1cmの四角形のガラス基板上に、ゲート絶縁膜6、半導体層12をTFT基板200と同じ条件で順次形成し、大気中で350℃のアニールを1時間行った後、TFT基板200と同じ条件で導電膜8Aを形成し、PAN溶液を用いて導電膜8Aをエッチングしたものを用いた。また、キャリア濃度の測定には、株式会社東陽テクニカ(TOYO Corporation)製のホール測定システムを用いた。
図11は、実施例1、実施例2、実施例3および比較例1における半導体層12中のキャリア濃度の測定結果をテーブルで示しており、各TEGのヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液(CANと表記)の浸漬時間(sec)と、測定されたキャリア濃度を示している。なお、CAN浸漬0secとはCANに浸漬していないことを示している。図12はキャリア濃度の測定結果をグラフで示しており、縦軸はキャリア濃度(個/cm)を示している。
図11より、比較例1のキャリア濃度は4.5×1016個/cmであり、実施例1のキャリア濃度は2.9×1014個/cmであり、実施例2のキャリア濃度は1.0×1014個/cmであり、実施例3のキャリア濃度は1.6×1011個/cmとなっており、比較例1と比べて実施例1〜3では半導体層12のキャリア濃度が減少していることが判る。また、実施例3は実施例1および実施例2よりもさらにキャリア濃度が減少していることが判る。このことは、酸化物半導体で構成される半導体層12をヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に浸漬することによりキャリア濃度が減少し、また、熱処理(アニール)と組み合わせることでキャリア濃度がさらに減少することを示している。なお、図11および図12より、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に浸漬する時間が長くなればキャリア濃度が減少する傾向であることが判るが、画素TFTとしてはキャリア濃度は1×1011個/cm〜1×1015個/cmの範囲とすることが望ましいので(理由は後に説明)、浸漬時間は5〜60秒程度とすることが望ましい。なお、図11および図12では最短の浸漬時間を5秒としたが、1秒以下の僅かな時間でもヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に半導体層12が曝されればキャリア濃度は減少する。
図13および14は、実施例1、実施例2、実施例3および比較例1において、XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて、それぞれの半導体層12におけるゲート絶縁膜6との界面と保護絶縁膜14との界面の原子の比率を測定した結果を示す図である。
図13は、原子の比率の測定結果をテーブルで示しており、各TEGのCANの浸漬時間(sec)と、測定した原子の濃度(atomic%)を、O、Zn、Ga、InおよびCeのそれぞれについて示している。なお、その他の原子についてはその他として示している。また、実施例1、実施例2、実施例3および比較例1におけるゲート絶縁膜6との界面においてはヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に曝されないので、測定結果は同じであるものとして示されている。
図14においては、測定した各原子の濃度を処理内容ごとに並べたグラフで示しており、縦軸は濃度(atomic%)を示している。
図13および図14より、実施例1、実施例2、実施例3および比較例1におけるゲート絶縁膜6側界面と比較例1における半導体層12の保護絶縁膜14側界面は、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に曝されていないので、実施例1、実施例2および実施例3における保護絶縁膜14側界面に比べて、Zn2p3(亜鉛)の濃度が高く、またCe3d5(セリウム)の濃度が低い(測定されていない)。
一方、実施例1、実施例2および実施例3における半導体層12の保護絶縁膜14側界面は、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に曝されているので、Zn2p3(亜鉛)の濃度が比較的低く、またCe3d5(セリウム)の濃度が比較的高い。XPSによる測定結果に基づいて亜鉛の減少量を算出すると、実施例1〜3では比較例1に比べて35〜45%程度亜鉛が減少したこととなる。なお、実際には亜鉛濃度の減少は1%程度に止まる場合もある。また、XPSによる測定結果に基づいてセリウムの原子量を算出すると、実施例1〜3では半導体層12全体の原子量に対して1〜3%程度となる。なお、実際には0.1%程度でもセリウムが含まれていれば半導体層12におけるゲート絶縁膜6側のキャリア濃度を低減する効果はあると考えられる。
このように、半導体層12の保護絶縁膜14側表面をヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に曝すことで、亜鉛濃度を1〜45%減少させることができ、半導体層12全体の原子量に対してセリウムを0.1〜3%の濃度で含ませることができる。
このことは、半導体層12がヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に曝されることで、亜鉛濃度が低下し、セリウムが半導体層12に含まれることによって半導体層12の動作特性においてキャリア濃度が低下することの証左となる。
図15は、実施例1、実施例2、実施例3および比較例1における、画素TFTのドレイン電流−ゲート電圧特性についての試験結果を示す図である。本試験においては、TFTとして動作可能なように実施の形態と同様の条件で画素TFTを形成したTEGを作成した。もちろん、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液への浸漬を行った後のTEGに対して保護絶縁膜14、ソース電極7およびドレイン電極8を形成した。
図15においては、横軸にゲート電圧(V)を示し、縦軸にドレイン電流(A)を示している。なお、各試験においてヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液への浸漬時間は、実施例1で5秒、実施例2で20秒および実施例3で60秒とし、比較例1として、ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に浸漬しないTEGを作成した。
ドレイン電流−ゲート電圧特性についての試験においては、ソース電極7とドレイン電極8との間に1Vの電圧をかけた状態でゲート電圧を−20Vから+20Vまで変化させて、その間の各々のゲート電圧についてドレイン電流を測定した。
図15において、比較例1のTFTでは、ゲート電圧の立ち上がり(ゲートの閾値電圧)が−12V付近であり、飽和電流の80%程度まで立ち上がるまでの電圧範囲は−12V〜−4Vであり、立ち上がり特性は緩やかである。これに対して、実施例1のTFT(すなわち実施の形態の画素TFT201と浸漬時間が同じ)では、ゲート電圧の立ち上がり(ゲートの閾値電圧)が0V付近であり飽和電流の80%程度まで立ち上がるまでの電圧範囲は−1V〜4Vの範囲であり、立ち上がり特性は急峻である。このように、実施の形態の画素TFT201によれば、急峻な立ち上がり特性が得られるので、優れた電気特性の薄膜トランジスタとなる。
一方、実施例2および実施例3のTFTでは、ゲート電圧の立ち上がりが0V以上(2V〜4V)になっている。そのため、実施例2および実施例3のTFTは、TFT基板において、画素TFTだけでなく駆動回路内のTFTとして使用することができる。すなわち、TFTにおけるゲート電極のオン電圧とオフ電圧はそれぞれ別個に設定されるが、ゲート電圧の立ち上がりが0V以上であればオフ電圧を0Vに設定できる。その場合、グランド電圧(=0V)をオフ電圧として使用できるので、オフ電圧を発生させる構成が不要となり、回路構成が簡略化でき、また回路負荷の低減が可能となるので、駆動回路内のTFTとして適しているからである。もちろん、実施例1のTFTも駆動回路内のTFTとして使用することは可能である。
TFT基板内に駆動回路を内蔵することで、最終製品である液晶パネルにおいて駆動ICを実装する必要がなくなり、コスト低減にもつながる。
ここで、キャリア濃度とゲートの閾値電圧との関係を示すグラフを図16に示す。図16においては横軸にチャネルキャリア濃度(個/cm)を示し、縦軸にゲートの閾値電圧Vth(V)を示している。図16より、キャリア濃度が3×1014個/cm程度であればゲートの閾値電圧が0V付近となり、キャリア濃度が1×1015個/cm程度を超えるとゲートの閾値電圧が負側にシフトすることが判る。このため、キャリア濃度は1×1011個/cm〜1×1015個/cmの範囲とすることが望ましい。また、キャリア濃度を1×1011個/cm〜1×1015個/cmの範囲とすることで、半導体層12のゲート絶縁膜6側の比抵抗が低減され、閾値電圧Vthのばらつきが抑制されて電気特性の変化を抑制した薄膜トランジスタを得ることができる。
<効果>
以上説明したように、本実施の形態に係る画素TFT201は、基板1上に配設されたゲート電極2と、ゲート電極2を覆うゲート絶縁膜6と、ゲート絶縁膜6を間に介して、ゲート電極2に対向する位置に設けられた半導体層12と、半導体層12の表面に、互いに間を開けて接するソース電極7およびドレイン電極8と、半導体層12、ソース電極7およびドレイン電極8の上に設けられた保護絶縁膜14と、を備え、半導体層12はインジウムおよび亜鉛を少なくとも含み、半導体層12の保護絶縁膜14側の表面内が、ゲート絶縁膜6側の表面内と比べて亜鉛の濃度が少なくなっている。
このため半導体層12におけるゲート絶縁膜6側のキャリア濃度を相対的に増加させることができ、酸素欠損により電気特性が変化しやすい酸化物半導体層を用いた画素TFT201においても、半導体層12のゲート絶縁膜6側の比抵抗が低減され、閾値電圧のばらつきが抑制されて電気特性の変化が抑制され、TFT動作の信頼性を高めることができる。
また、半導体層12の保護絶縁膜14側の表面内の亜鉛濃度は、ゲート絶縁膜6側の表面内の亜鉛濃度よりも1〜45%低い。このため半導体層12におけるゲート絶縁膜6側のキャリア濃度がその分だけ相対的に増加することとなる。
また、半導体層12の保護絶縁膜14側の表面内にセリウムを含んでいる。このため亜鉛濃度の減少との相乗効果で、半導体層12におけるゲート絶縁膜6側のキャリア濃度をさらに低減できる。
また、半導体層12の保護絶縁膜14側の表面内のセリウムの原子量は、半導体層12の全体の原子量に対して1〜3%である。このため半導体層12におけるゲート絶縁膜6側のキャリア濃度をさらに低減できる。
また、半導体層12のキャリア濃度は1×1011個/cm〜1×1015個/cmの範囲である。このため、ゲート電圧の立ち上がり範囲は−1V〜4Vとなり、急峻な立ち上がり特性が得られる。
また、本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法は、(a)基板1上にゲート電極2を形成する工程と、(b)ゲート電極2を覆うゲート絶縁膜6を形成する工程と、(c)ゲート絶縁膜6上のゲート電極2に対向する位置に半導体層12を形成する工程と、(d)半導体層12の表面に、互いに間を開けて接するソース電極7およびドレイン電極8を形成する工程と、(e)半導体層12、ソース電極7およびドレイン電極8の上に保護絶縁膜14を形成する工程と、を備え、工程(c)は、少なくともインジウムおよび亜鉛を含む酸化物半導体で半導体層12を形成する工程を含み、工程(d)と工程(e)との間に、(f)基板1をヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に曝す工程を備える。
このため半導体層12におけるゲート絶縁膜6側のキャリア濃度を相対的に増加させることができ、酸素欠損により電気特性が変化しやすい酸化物半導体層を用いた画素TFT201においても、電気特性の変化が抑制され、TFT動作の信頼性を高めた画素TFT201が得られる。
また、工程(d)は、半導体層12が形成された基板1上に導電膜8Aを形成する工程と、導電膜8A上に写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、該フォトレジストパターンをエッチングマスクとして、導電膜8Aを選択的にエッチングしてソース電極7およびドレイン電極8を形成する工程を含み、工程(f)は、フォトレジストパターンを除去する前の基板1をヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に曝す工程を含む。このため、ソース電極7およびドレイン電極8がヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液でエッチングされることを抑制できる。
また、工程(f)は、基板1をヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に5秒〜60秒間曝す工程を含む。このため、半導体層12のキャリア濃度を1×1011個/cm〜1×1015個/cmの範囲とすることができる。
また、工程(f)は、基板をヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に浸漬する工程を含むようにしても良い。この場合、比較的簡単なエッチングシステムの構成での処理が可能となる。
また、工程(f)は、基板にヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液を浴びせる工程を含むようにしても良い。この場合、常に新鮮な溶液による処理が可能となる。
また、本実施の形態に係るTFT基板200は、画素TFT201が基板1上にマトリックス状に複数配設されている。このため、電気特性の変化が抑制され、信頼性の高いTFT動作により安定した動作が可能な薄膜トランジスタ基板が得られる。
また、本実施の形態に係る液晶表示装置は、TFT基板1004と、TFT基板1004に間隔を開けて対向して配設された対向基板1006と、TFT基板1004と対向基板1006との間に保持された液晶層1005とを備えている。このため、製品品質に優れた液晶表示装置が得られる。
<変形例>
以上説明した実施の形態では、ソース電極7およびドレイン電極8、ソース配線9およびソース端子10を形成した後、図9に示す工程において、ソース電極7、ドレイン電極8、ソース配線9、ソース端子10およびチャネル部13を覆うように保護絶縁膜14を形成するものとして説明したが、保護絶縁膜14を形成する前に、酸素(O)または水蒸気(HO)を含む雰囲気下で基板1に熱処理(アニール)を行っても良い。この熱処理は、200℃以上400℃以下の温度条件で行うことが望ましい。また、熱処理の代わりに、UV(紫外線)光を照射したり、Oガス、NOガスを用いたプラズマに曝す処理を行っても良い。このような処理によって、実施例3と同様にキャリア濃度がさらに減少する効果が得られると共に、半導体層12のチャネル部13の表面の酸素欠乏状態および原子配列の乱れなどを緩和することができるため、画素TFT201の動作特性をさらに向上させることができる。
なお、以上説明した実施の形態のTFT基板200は、液晶表示装置以外の表示装置に利用しても良い。例えば、有機EL(electro luminescence)ディスプレイなどの電気光学表示装置に適用することができる。また、画素TFT201を、電気光学表示装置以外の半導体装置に用いられる薄膜トランジスタとして使用しても良いし、電気光学表示装置以外のアクティブマトリックス基板の薄膜トランジスタとして使用しても良い。
なお、上述した実施の形態では、保護絶縁膜14は、半導体層12,ソース電極7およびドレイン電極8の上に設けられた構造を例示して説明したが、この例示の構造に限られない。つまり、ゲート電極2の上にチャネル保護膜としての保護絶縁膜14を配置したチャネル保護膜型TFTに対しても本発明は適用できる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 基板、2 ゲート電極、6 ゲート絶縁膜、7 ソース電極、8 ドレイン電極、12 半導体層、14 保護絶縁膜、201 画素TFT。

Claims (11)

  1. 基板上に配設されたゲート電極と、
    前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜を間に介して、前記ゲート電極に対向する位置に設けられた酸化物半導体層と、
    前記酸化物半導体層の表面に、互いに間を開けて接するソース電極およびドレイン電極と、
    前記酸化物半導体層の上に設けられた絶縁膜と、を備え、
    前記酸化物半導体層はインジウム、セリウムおよび亜鉛を少なくとも含み、
    前記酸化物半導体層の前記絶縁膜側の前記セリウムの濃度は、前記ゲート絶縁膜側と比べて高く、前記酸化物半導体層の前記絶縁膜側の表面内が、前記ゲート絶縁膜側の表面内と比べて亜鉛の濃度が少ない薄膜トランジスタ。
  2. 前記酸化物半導体層の前記絶縁膜側の表面内の亜鉛濃度は、前記ゲート絶縁膜側の表面内の亜鉛濃度よりも1〜45%低い、請求項1記載の薄膜トランジスタ。
  3. 前記酸化物半導体層の前記絶縁膜側の表面内のセリウムの原子量は、前記酸化物半導体層の全体の原子量に対して0.1〜3%である、請求項記載の薄膜トランジスタ。
  4. 前記酸化物半導体層のキャリア濃度は1×1011個/cm〜1×1015個/cmの範囲である、請求項記載の薄膜トランジスタ。
  5. (a)基板上にゲート電極を形成する工程と、
    (b)前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成する工程と、
    (c)前記ゲート絶縁膜上の前記ゲート電極に対向する位置に酸化物半導体層を形成する工程と、
    (d)前記酸化物半導体層の表面に、互いに間を開けて接するソース電極およびドレイン電極を形成する工程と、
    (e)前記酸化物半導体層、前記ソース電極および前記ドレイン電極の上に絶縁膜を形成する工程と、を備え、
    前記工程(c)は、
    少なくともインジウムおよび亜鉛を含む酸化物半導体で前記酸化物半導体層を形成する工程を含み、
    前記工程(d)と前記工程(e)との間に、
    (f)前記基板をヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に曝す工程を備えることで、前記酸化物半導体層の前記絶縁膜側のセリウムの濃度を前記亜鉛の濃度よりも高くする、薄膜トランジスタの製造方法。
  6. 前記工程(d)は、
    前記酸化物半導体層が形成された前記基板上に導電膜を形成する工程と、
    前記導電膜上に写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、該フォトレジストパターンをエッチングマスクとして、前記導電膜を選択的にエッチングして前記ソース電極および前記ドレイン電極を形成する工程を含み、
    前記工程(f)は、
    前記フォトレジストパターンを除去する前の前記基板を前記ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に曝す工程を含む、請求項5記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  7. 前記工程(f)は、
    前記基板を前記ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に5秒〜60秒間曝す工程を含む、請求項記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  8. 前記工程(f)は、
    前記基板を前記ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液に浸漬する工程を含む、請求項記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  9. 前記工程(f)は、
    前記基板に前記ヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム溶液を浴びせる工程を含む、請求項記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  10. 請求項1記載の薄膜トランジスタが前記基板上にマトリックス状に複数配設された薄膜トランジスタ基板。
  11. 請求項10記載の薄膜トランジスタ基板と、
    前記薄膜トランジスタ基板に間隔を開けて対向して配設された対向基板と、
    前記薄膜トランジスタ基板と前記対向基板との間に保持された液晶層とを備える、液晶表示装置。
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