JP2020031107A - 薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化物半導体をチャネル層に用いた薄膜トランジスタの特性及び信頼性を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。【解決手段】薄膜トランジスタは、酸化物半導体を含む半導体層7と、エッチングストッパ層8と、ソース電極9と、ドレイン電極10とを備える。半導体層7のうちソース電極9及びドレイン電極10が配設された両側部分の間の部分はチャネル領域CNに対応する。半導体層7の当該部分、及び、エッチングストッパ層8のそれぞれは、ソース電極9及びドレイン電極10からソース電極9及びドレイン電極10の幅方向に突出している。【選択図】図1
Description
本発明は、薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ基板、及び薄膜トランジスタ基板の製造方法に関する。
薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)は、低消費電力かつ薄型という特徴があり、電子デバイスへの応用が盛んになされている。またTFTをスイッチング素子として用いたTFTアクティブマトリックス基板、すなわち薄膜トランジスタ基板(TFT基板)は、例えば、液晶または有機EL(Electro-Luminescence)を利用した表示装置(電気光学装置)に利用されている。
液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)用の電気光学素子には、単純マトリックス型LCDと、TFTをスイッチング素子として用いるTFT−LCDとがある。このうちTFT−LCDは、モバイルコンピューター、パソコンまたはテレビジョンなどのディスプレイまたはモニターとして広く用いられている。
一般に、TFT−LCDは、マトリックス状に配設された複数のTFTを有するTFT基板と、カラーフィルタ等を有する対向基板との間に、液晶層が挟持された構造の液晶表示パネルを含む。液晶表示パネルの前面側及び背面側の各々には偏光板が配設されており、さらにそのうちの一方側にはバックライトが配設されている。この構造によって、良好なカラー表示が得られる。
LCDにおける液晶の駆動方式としては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モードなどの縦電界方式と、IPS(In Plane Switching)モード(「IPS」は登録商標)、FFS(Fringe Field Switching)モードなどの横電界方式とがある。
TNモードに代表される縦電界方式のLCDでは、画像信号に応じた電圧が印加される画素電極がTFT基板に配設され、一定の電位(共通電位)に固定される共通電極が対向基板に配設される。従って、液晶層の液晶は、液晶表示パネルの表面に対してほぼ垂直な電界によって駆動される。
一方、横電界方式の液晶表示パネルでは、画素電極と共通電極との両方がTFT基板上に配設され、液晶層の液晶は、液晶表示パネルの表面に対してほぼ水平な電界によって駆動される。特に、FFSモードのTFT基板では、画素電極と共通電極とが絶縁膜を介して上下に対向するように配設される。画素電極と共通電極はどちらを上下に形成してもよいが、下側に配設される電極は平板状に形成され、上側(液晶層に近い側)に配設される電極はスリットを有する格子状または櫛歯状に形成される。なお、一般に、横電界方式のLCDは、縦電界方式のものに比べて広視野角化に有利であるため、パソコンや車載用表示機器などのディスプレイ製品では主流になりつつある。
ところで、従来、LCD用のTFT基板のスイッチング素子には、TFTの活性層(チャネル層)を構成する半導体膜として、主にアモルファスシリコン(a−Si)が用いられてきた。
a−Siをチャネル層とするTFTは、通常、逆スタガ構造と呼ばれるTFT構造が用いられる。逆スタガ構造のTFTを用いると、例えば特許文献1に示されるように、一般的な構成のTNモードのTFT基板を、(1)ゲート電極の形成工程、(2)ゲート絶縁膜及びチャネル層の形成工程、(3)ソース電極及びドレイン電極の形成工程、(4)保護絶縁膜の形成及びコンタクトホール形成工程、(5)画素電極の形成工程、という5回の写真製版工程で効率良く低コストで製造することができる。これらの逆スタガ構造のTFTは、バックチャネルエッチング(BCE)型のTFT構造がベースとなっている。
また逆スタガ構造のTFTでは、特許文献2に示されるように、一般的なBCE型TFTをベースとした構成のFFSモードのTFT基板を、(1)ゲート電極の形成工程、(2)対向電極(共通電極)の形成工程、(3)ゲート絶縁膜及びチャネル層の形成工程、(4)ソース電極及びドレイン電極の形成工程、(5)保護絶縁膜(層間絶縁膜)の形成及びコンタクトホール形成工程、(6)画素電極の形成工程、という計6回の写真製版工程で生産効率よく低コストで製造することができる。
近年、チャネル層に酸化物半導体膜を用いたTFT(以下、酸化物TFT)が新たに開発された。酸化物半導体は、従来のa−Siよりも高い移動度を有しており、高性能なTFTを実現することができる。このため、パネルの高精細化や低消費電力化に有利であり、スマートフォンやモバイルコンピューター等の携帯機器やパソコン等への実用化が進められている。酸化物半導体としては、酸化亜鉛(ZnO)系材料や、酸化亜鉛に酸化ガリウム(Ga2O3)及び酸化インジウム(In2O3)を添加した非晶質のInGaZnO系材料が主に用いられる。これらの酸化物TFTの技術は、例えば特許文献3、4及び非特許文献1〜3等に開示されている。
しかしながら、酸化物半導体膜の薬液耐性が充分ではない。このため、TFTのソース電極及びドレイン電極に用いられる一般的な金属膜(例えばCr、Ti、Mo、Ta、Al、Cu及びこれらの合金)のエッチング加工に用いられる酸系溶液によって酸化物半導体膜がエッチングダメージを受け、特性を劣化させてしまうことがある。また、酸化物半導体材料の種類によっては、これらの酸系溶液に溶けてしまうことがある。従って、例えば特許文献1,2のBCE型TFTのチャネル層に酸化物半導体を適用する構成では、ソース電極及びドレイン電極の加工に用いる酸系溶液によってチャネル層がダメージを受け、TFT特性を劣化させてしまう問題があった。
この問題を解決するための構造として、特許文献5,6に示すような、半導体膜のチャネル領域に保護絶縁膜を配設したTFT構造を利用することが考えられる。このTFT構造では、金属膜をソース電極及びドレイン電極に加工するためのエッチングによって、酸化物半導体膜がダメージを受けたり消失したりすることを抑制できる。このような構造のTFTは、一般的に、エッチングストッパまたはエッチストッパ(ES)型TFTと呼ばれる。
Kenji Nomura等著、「Room-temperature fabrication of transparent flexible thin-film transistors using amorphous oxide semiconductors」、Nature、2004年、第432巻、第488頁〜第492頁
Chio-Shun Chuang等著、「Photosensitivity of Amorphous IGZO TFTs for Active-Matrix Flat-Panel Displays」、SID DIGEST、2008年、第1215頁〜第1218頁
Dharam Pal Gosain等著、「Instability of Amorphous Indium Gallium Zinc Oxide Thin Film Transistors under Light Illumination」、Japanese Journal of Applied Physics、2009年、第48巻、第03B018-1頁〜第03B018-5頁
しかしながら、ES型TFTでは、酸化物半導体材料からなるチャネル層を形成した後に、チャネル層上に保護絶縁膜からなるエッチングストッパ層を形成する工程が新たに必要となる。例えば特許文献1に示されるTNモードのTFT基板、及び特許文献2に示されるFFSモードのTFT基板を製造する場合は、それぞれ6回及び7回の写真製版工程が必要となる。このため、生産効率を低下させ、製造コストの増加を招くといった問題が生じる。
また、ZnO系やInGaZnO系に代表される一般的な酸化物半導体膜は、薬液耐性だけでなく耐熱性も充分ではなく、例えばTFTの製造工程中の熱処理によって亜鉛(Zn)や酸素(O)等の原子が離脱し格子欠陥を生じることが知られている。このような格子欠陥は、酸化物半導体膜中の電子キャリアを増大させてTFT動作時の閾値電圧(threshold voltage:Vth)を低下させ、リーク電流を増大させてしまう。さらに格子欠陥は、酸化物半導体膜と接する絶縁膜と反応して界面近傍に欠陥準位を形成するため、TFT動作時の電流ストレスにより大きな閾値電圧の変動、つまりVthシフトが起こり、TFT特性の信頼性(安定性)を劣化させてしまう。
特に、TFTのチャネル層として形成される島状の酸化物半導体膜においては、島状パターンの端面(側端部)にこのような格子欠陥が発生しやすい。従って、チャネル層表面に保護絶縁膜としてエッチングストッパ層を配設した場合でも、チャネル層の端面に格子欠陥が生じて、酸化物TFT特性の劣化や信頼性の劣化してしまうという問題点があった。
さらに、例えば非特許文献2,3に示されるように、一般的な酸化物半導体膜をチャネル層に用いたTFTは、光、特に紫外(UV:Ultra Violet)光に対してTFT特性が劣化(光劣化)する問題があることが知られている。このため、LCD用途では、TFT基板の背面側からのバックライト(BL)光や表面側からの外光の一部が漏れ光(迷光)として半導体層のチャネル領域に入光することによって光劣化が発生し、表示不良を生じさせる問題があった。
そこで、本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、酸化物半導体をチャネル層に用いた薄膜トランジスタの特性及び信頼性を向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
本発明に係る薄膜トランジスタは、基板上に選択的に配設されたゲート電極と、前記基板及びゲート電極上に配設されたゲート絶縁層と、平面視において少なくとも一部が前記ゲート電極と重なるように前記ゲート絶縁層上に配設された、酸化物半導体を含む半導体層と、前記半導体層のうち前記ゲート電極と平面視にて重なる領域上に配設されたエッチングストッパ層とを備え、前記半導体層は、平面視の第1方向において前記エッチングストッパ層が配設されていない両側部分を有する。薄膜トランジスタは、前記半導体層の前記両側部分の一方及び前記エッチングストッパ層の一部上に、前記第1方向に延在しかつ前記第1方向と直交する第2方向に幅を有して配設されたソース電極と、前記半導体層の前記両側部分の他方及び前記エッチングストッパ層の一部上に、前記第1方向に延在しかつ前記第2方向に幅を有して配設され、前記エッチングストッパ層上で前記ソース電極と離間されたドレイン電極とをさらに備える。前記半導体層のうち平面視における前記両側部分の間の部分はチャネル領域に対応し、前記半導体層の前記部分、及び、前記エッチングストッパ層のそれぞれは、前記ソース電極及び前記ドレイン電極から前記ソース電極及び前記ドレイン電極の幅方向に突出している。
本発明によれば、半導体層のうちソース電極及びドレイン電極が配設された両側部分の間の部分はチャネル領域に対応し、半導体層の当該部分、及び、エッチングストッパ層のそれぞれは、ソース電極及びドレイン電極からソース電極及びドレイン電極の幅方向に突出している。このような構成によれば、酸化物半導体をチャネル層に用いた薄膜トランジスタの特性及び信頼性を向上させることができる。
<実施の形態1>
<構造>
図1〜図5を参照して、本発明の実施の形態1に係るTFTの構成について説明する。図1は、本実施の形態1に係るTFTの平面構成を示す図である。図2、図3、図4、図5は、当該TFTの断面構成を示す図であり、それぞれ図1に示すX−X線、Y−Y線、A−A線、B−B線に沿った断面図である。なお、以下の平面図においては、図が複雑にならないようにするため、ゲート絶縁層及び保護絶縁層などの図示は適宜省略されている。
<構造>
図1〜図5を参照して、本発明の実施の形態1に係るTFTの構成について説明する。図1は、本実施の形態1に係るTFTの平面構成を示す図である。図2、図3、図4、図5は、当該TFTの断面構成を示す図であり、それぞれ図1に示すX−X線、Y−Y線、A−A線、B−B線に沿った断面図である。なお、以下の平面図においては、図が複雑にならないようにするため、ゲート絶縁層及び保護絶縁層などの図示は適宜省略されている。
図2〜図5に示されるように、例えばガラス等の透明絶縁性基板からなる基板1の上に、第1導電膜からなるゲート電極2が選択的に配設されている。第1導電膜には、例えば、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)もしくはアルミニウム(Al)等の金属、またはこれらの金属に他の元素を微量に添加してなる合金を用いることができる。また、第1導電膜には、これらの金属または合金を組み合わせた積層膜を用いてもよい。
図2〜図5に示されるように、ゲート電極2を覆うように、基板1及びゲート電極2上に第1絶縁膜からなるゲート絶縁層6が配設されている。第1絶縁膜には、例えば、窒化シリコン(SiN、Si3N4)、酸窒化シリコン(SiON)、酸化シリコン(SiO、SiO2)の他、酸化アルミニウム(AlO、Al2O3)、酸化イットリウム(YO、Y2O3)、酸化ハフニウム(HfO、HfO2)、または酸化タンタル(TaO、Ta2O5)等の金属の酸化物絶縁膜を用いることができる。また、第1絶縁膜には、これらの絶縁膜を組み合わせた積層膜を用いることもできる。特に酸化物半導体膜と直接接する面には酸素(O)原子を含む酸化物絶縁膜を配設しておくことが好ましい。これにより、酸化物半導体膜の界面が還元すること、つまり、酸化物半導体膜において酸素原子が奪われて酸素欠損が生じることを抑制でき、還元による格子欠陥の発生を抑制することができる。
図1〜図5に示されるように、平面視において少なくとも一部がゲート電極2と重なるように、ゲート絶縁層6上に酸化物半導体を含む半導体層7が配設されている。本実施の形態1では、半導体層7は酸化物半導体膜からなり、酸化物半導体膜には、例えば、ZnOからなる酸化物半導体材料や、ZnOに酸化インジウム(In2O3)を添加したInZnO系、ZnOに酸化ガリウム(Ga2O3)を添加したGaZnO系、ZnOにIn2O3と酸化すず(SnO2)とを添加したInZnSnO系、またはZnOにIn2O3とGa2O3とを添加したInGaZnO系の酸化物半導体材料等を用いることができる。
図1〜図5に示されるように、半導体層7のうちゲート電極2と平面視にて重なる領域上に、第2絶縁膜からなるエッチングストッパ層8が配設されている。
エッチングストッパ層8の材料である第2絶縁膜は、酸化物半導体膜からなる半導体層7に直接接するように配設されることから、半導体層7の還元反応を抑制するために、第2絶縁膜には酸化物からなる絶縁膜材料を用いることが好ましく、例えばSiO、AlO、YO、HfOまたはTaO等を用いることができる。なお、第2絶縁膜には、酸化物からなる絶縁膜の上にさらに異なる絶縁膜を配設した積層膜を用いることもできる。この場合、酸化物からなる絶縁膜の上に配設される絶縁膜として、SiNのような非酸化物系の絶縁膜材料を用いることも可能である。
本実施の形態1では、第1方向は、後述するソース電極9及びドレイン電極10が延在する方向(図4の左右方向)であるとする。図4に示されるように、上述した半導体層7は、平面視の第1方向においてエッチングストッパ層8が配設されていない両側部分を有している。
図1及び図4に示されるように、半導体層7の上記両側部分の一方及びエッチングストッパ層8の一部上に、第2導電膜からなるソース電極9が配設されている。ソース電極9は、第1方向に延在しかつ第1方向と直交する第2方向に幅を有している。さらに、半導体層7の上記両側部分の他方及びエッチングストッパ層8の一部上に、第2導電膜からなるドレイン電極10が配設されている。ドレイン電極10は、ソース電極9と同様に、第1方向に延在しかつ第1方向と直交する第2方向に幅を有している。そして、ソース電極9及びドレイン電極10は、エッチングストッパ層8上で互いに一定の距離だけ離間して対向するように配設されている。なお、ソース電極9及びドレイン電極10に用いられる第2導電膜には、例えば第1導電膜と同じ金属もしくは合金膜、または、これらを組み合わせた積層膜を用いることができる。
図1〜図5において、半導体層7は、エッチングストッパ層8、ソース電極9及びドレイン電極10を含む構造体の下面全体にわたって配設されている。すなわち、平面視において、半導体層7の形状は、エッチングストッパ層8、ソース電極9及びドレイン電極10を含む構造体の形状によって規定されている。そして、半導体層7のうちエッチングストッパ層8と接する領域がTFTのチャネル領域CNとして機能する。なお、半導体層7のうち平面視における上記両側部分の間の部分は、チャネル領域CNに対応する部分(「チャネル対応部分CN」と記すこともある)である。
図2〜図5に示されるように、エッチングストッパ層8、ソース電極9及びドレイン電極10を覆うように、ゲート絶縁層6上の全体に第3絶縁膜からなる保護絶縁層121が配設される。第3絶縁膜には、SiN(Si3N4)、SiON、SiO(SiO2)の他、AlO(Al2O3)、YO(Y2O3)、HfO(HfO2)、及びTaO(Ta2O5)等の金属の酸化物絶縁膜を用いることができる。また、第3絶縁膜には、これらの絶縁膜を組み合わせた積層膜を用いることもできる。
図1に示すように、エッチングストッパ層8とソース電極9との間の境界線を第1の境界線Lb1とし、エッチングストッパ層8とドレイン電極10との間の境界線を第2の境界線Lb2と定義する。この場合、TFTのチャネル幅Wcは、第1の境界線Lb1及び第2の境界線Lb2のそれぞれの長さで定義される。本実施の形態1に係るTFTでは、TFTのチャネル幅Wcは、ソース電極9及びドレイン電極10のそれぞれの幅Wsdと等しくなっている。また図1に示すように、第1の境界線Lb1と第2の境界線Lb2とは、互いに一定の距離だけ離間して対向し、この距離によってTFTのチャネル長Lcが定義される。本実施の形態1に係るTFTでは、TFTのチャネル長Lcは、エッチングストッパ層8の幅Weと等しくなっている。
図1において、チャネル幅Wc方向のエッチングストッパ層8の長さLe1は、第1の境界線Lb1及び第2の境界線Lb2よりも長くなっている。すなわち、エッチングストッパ層8の長さLe1は、ソース電極9及びドレイン電極10のそれぞれの幅Wsdよりも長くなっている。これにより、半導体層7のうちのチャネル対応部分CN、及び、エッチングストッパ層8のそれぞれは、ソース電極9及びドレイン電極10からソース電極9及びドレイン電極10の幅方向に突出している。
<実施の形態1のまとめ>
TFTのチャネル領域CNが形成される島状の酸化物半導体膜においては、島状パターンの端面(側端部)に格子欠陥が発生しやすい。島状の酸化物半導体膜の端面にこのような格子欠陥が発生すると、格子欠陥が劣化チャネルとして機能し、本来のTFTの特性を劣化させてしまうことがある。しかしながら、図1に示されるように、本実施の形態1に係るTFTでは、半導体層7のうちソース電極9及びドレイン電極10の間のチャネル対応部分CN、並びに、エッチングストッパ層8のそれぞれは、ソース電極9及びドレイン電極10からソース電極9及びドレイン電極10の幅方向に突出するように構成されている。従って、チャネル対応部分CNのうち劣化チャネルのチャネル長として機能する端面の長さLe2が、TFTの実質的なチャネル長Lcよりも長くなる。これにより、劣化チャネルの影響を小さくすることができるので、TFT特性の劣化を抑制することができる。
TFTのチャネル領域CNが形成される島状の酸化物半導体膜においては、島状パターンの端面(側端部)に格子欠陥が発生しやすい。島状の酸化物半導体膜の端面にこのような格子欠陥が発生すると、格子欠陥が劣化チャネルとして機能し、本来のTFTの特性を劣化させてしまうことがある。しかしながら、図1に示されるように、本実施の形態1に係るTFTでは、半導体層7のうちソース電極9及びドレイン電極10の間のチャネル対応部分CN、並びに、エッチングストッパ層8のそれぞれは、ソース電極9及びドレイン電極10からソース電極9及びドレイン電極10の幅方向に突出するように構成されている。従って、チャネル対応部分CNのうち劣化チャネルのチャネル長として機能する端面の長さLe2が、TFTの実質的なチャネル長Lcよりも長くなる。これにより、劣化チャネルの影響を小さくすることができるので、TFT特性の劣化を抑制することができる。
次に、本実施の形態1に係る薄膜トランジスタと、それに関連する関連トランジスタとを比較した。
本実施の形態1に係る薄膜トランジスタとして、図6に示されるような、チャネル幅Wcが20μm、チャネル長Lcが10μm、劣化チャネルのチャネル長となる半導体層7(チャネル対応部分CN)の側端部の長さLe2が15μmとなるようなTFTサンプルを作製した。このTFTサンプルでは、劣化チャネルのチャネル長Le2が、実質的なチャネル長Lcよりも大きくなっている。
一方、関連トランジスタとして、図7に示されるような、チャネル幅Wcが20μm、チャネル長Lcが10μm、劣化チャネルのチャネル長となる半導体層7(チャネル対応部分CN)の側端部の長さLe2が3.5μmとなるようなTFTサンプルを作製した。このTFTサンプルでは、劣化チャネルのチャネル長Le2が、実質的なチャネル長Lc以下となっている。
図8は、横軸をゲート電圧(Vg)、縦軸をドレイン−ソース間の電流(ドレイン電流;Id)にとったTFTサンプルの初期伝達特性(初期Id−Vg特性)を示す図である。関連トランジスタのTFTサンプルでは、破線で示される初期伝達特性の形状に「こぶ(ハンプ:Hump)」が図の左側に突出しており、比較的好ましくないId−Vg特性が得られている。このようなハンプは、劣化チャネルの影響によるものと考えられる。一方、本実施の形態1に係るTFTサンプルでは、実線で示される初期伝達特性のように、劣化チャネルの影響が抑制されるので、良好な初期Id−Vg特性が得られている。
図9は、TFTサンプルのストレス試験の測定結果を示す図である。ストレス試験では、負バイアスストレス(NBS)の印加条件として、室温25℃の下でゲート電極に−6Vの電圧(Vg=−6V)を30000秒(約8時間)印加し、Id−Vg特性における閾値電圧(Vth)の初期状態からの変化を調べた。なおVthは、このストレス試験では、例えば図8に示されるId−Vg特性においてIdが1×10−10AとなるVgの値とした。図9では、縦軸をVthの変化(VthシフトであるΔVth)、横軸をストレス印加時間としている。関連トランジスタのTFTサンプルでは、三角マーク及び破線で示されるように、ストレス印加時間が1000秒を超えたあたりから、ΔVthが急激に負側にシフトしていく。これは劣化チャネルでのストレスの影響によるものと考えられる。一方、本実施の形態1に係るTFTサンプルでは、黒丸マーク及び実線で示されるように、ΔVthはほとんど変化せず、優れた負バイアスストレス耐性を有していることがわかる。これは劣化チャネルの影響が抑制された効果によるものと考えられる。
さらに、本実施の形態1に係るTFTは、チャネル領域CNの表面がエッチングストッパ層8で完全に覆われるととともに、チャネル領域CN全体が、平面視でゲート電極2の外縁の内側に配置されている。これにより、チャネル領域CNへのUV光の入光を遮断(遮光)することができるので、光劣化も抑制することができる。以上のように、本実施の形態1によれば、TFTの特性及び安定性を向上させることができる。
なお図5に示すように、本実施の形態1では、チャネル対応部分CNは、平面視においてエッチングストッパ層8の外縁まで配設されているが、これに限ったものではない。例えば、半導体層7及びエッチングストッパ層8のパターニング加工時のプロセスのばらつきによって、両者の外縁形状に若干の相違が生じる場合がある。この場合、チャネル対応部分CNの一部が、平面視においてエッチングストッパ層8の外縁からはみ出ることもある。
図10に示されるように、チャネル対応部分CNの端面が、エッチングストッパ層8の外縁よりも外側に出た構成では、製造工程のプロセスダメージによって当該端面に格子欠陥を生じさせてしまうので好ましくない。また図11に示されるように、チャネル対応部分CNの端面が傾斜を有するテーパー形状である構成では、製造工程のプロセスダメージによって当該端面に格子欠陥を生じさせるだけでなく、当該端面の面積が増大して格子欠陥の領域を増大させてしまうので好ましくない。しかしながら、図10及び図11に示されるような構成であっても、本実施の形態1に係るTFTによれば、TFTの特性や安定性をある程度向上させることができる。
<実施の形態1の変形例>
上記実施の形態1では、半導体層7のうち劣化チャネルとなる側端部の長さLe2をTFTの実質的なチャネル長Lcよりも長くすることで、劣化チャネルの影響を抑制した。一方、このように構成するだけでなく、劣化チャネルの発生自体を抑制することも劣化チャネルによる影響の抑制にとって有効である。劣化チャネルを引き起こす、半導体層7の端面における格子欠陥は、製造工程におけるプロセスダメージが原因で生じることが多い。このため、製造工程において半導体層7をできるだけ露出させないことは、劣化チャネルの発生抑制にとって有効である。
上記実施の形態1では、半導体層7のうち劣化チャネルとなる側端部の長さLe2をTFTの実質的なチャネル長Lcよりも長くすることで、劣化チャネルの影響を抑制した。一方、このように構成するだけでなく、劣化チャネルの発生自体を抑制することも劣化チャネルによる影響の抑制にとって有効である。劣化チャネルを引き起こす、半導体層7の端面における格子欠陥は、製造工程におけるプロセスダメージが原因で生じることが多い。このため、製造工程において半導体層7をできるだけ露出させないことは、劣化チャネルの発生抑制にとって有効である。
上記実施の形態1では、図1〜図5に示されるように、チャネル領域CNの表面をエッチングストッパ層8で覆うとともに、半導体層7の外縁形状がエッチングストッパ層8の外縁形状と同一となるようにした。つまり、チャネル対応部分CNは、平面視においてエッチングストッパ層8の外縁まで配設されていた。これにより、半導体層7の露出が少なくなるので、劣化チャネルの発生領域をある程度小さくすることができる。これに対して、以下で説明する本変形例では、劣化チャネルの発生をさらに抑制可能となっている。
図12は、本変形例に係るTFTの構成を示す断面図である。図12は、図1に示すX−X線に沿った断面図である。図12の例では、チャネル対応部分CNは、平面視においてエッチングストッパ層8の外縁よりも内側に配設されている。このような構成によれば、第3絶縁膜からなる保護絶縁層121を成膜する場合でも、半導体層7の端面での、成膜のプロセスダメージによる格子欠陥の発生を抑制することができる。この結果、TFTの特性及び安定性をさらに向上させることができる。
図13は、本変形例に係るTFTの別構成を示す断面図である。図13は、図1に示すX−X線に沿った断面図である。図13の例では、チャネル対応部分CNの端面がエッチングストッパ層8で覆われるように構成されている。このような構成によれば、チャネル対応部分CNの端面での、製造工程のプロセスダメージによる格子欠陥の発生をさらに抑制することができる。この結果、TFTの特性及び安定性をさらに向上させることができる。
以上のように、本変形例では、チャネル対応部分CNの端面で発生する劣化チャネルについて、その発生領域を小さくしたり、それによる悪影響を緩和したりする構成が採られる。これらの構成では、チャネル対応部分CNの側端部の長さをTFTの実質的なチャネル長よりも長くする必要性は低くなる。このため、本変形例では、必ずしもエッチングストッパ層8の長さを、ソース電極9及びドレイン電極10の幅よりも長くする必要はない。つまり、チャネル対応部分CN及びエッチングストッパ層8のそれぞれが、ソース電極9及びドレイン電極10からソース電極9及びドレイン電極10の幅方向に突出する必要はない。
従って、例えば、図12または図13の構成に、チャネル対応部分CN及びエッチングストッパ層のそれぞれの、ソース電極及びドレイン電極の幅方向における長さが、ソース電極及びドレイン電極の幅以下である構成を組み合わせてもよい。つまり、図12または図13の構成に、エッチングストッパ層の長さを、ソース電極及びドレイン電極の幅と同じとした構成、または、これらの幅より短くした構成を組み合わせてもよい。
このような構成によれば、エッチングストッパ層のサイズを小さくすることができるので、TFTの平面的なサイズを小さく設計することができる。つまり、実施の形態1に係るTFTと同様に、TFTの特性及び安定性を向上することができるという効果が得られるだけでなく、TFTの平面的なサイズを小さくすることができるという付加的な効果も得ることができる。参考のため、エッチングストッパ層8の、ソース電極9及びドレイン電極10の幅方向における長さが、ソース電極9及びドレイン電極10の幅より短い構成を、図12または図13の構成に組み合わせた構成を図14に示す。
なお、本変形例の劣化チャネル部分に対して、酸化処理の追加により絶縁化すること、または、エッチングなどの方法の追加によって実質的に劣化チャネル部分を除去することなどを行ってもよい。この場合、劣化チャネルによる悪影響をさらに抑制することができる。
<実施の形態2>
<構造>
図15及び図16を参照して、本発明の実施の形態2に係るTFT及びTFT基板の構成について説明する。図15は、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板における画素部、画素部(画素表示領域)の外側のゲート端子部、及びソース端子部の平面構成を示す図であり、図16は、その断面構成を示す図である。図16では、図15に示すX−X’線、Y−Y’線及びZ−Z’線に沿った断面構成が示されている。X−X’線に沿った断面構成は、TFTの配設領域「TFT部」と、画素電極20を含む画素の配設領域「画素電極部」と、ゲート配線3とソース配線11とが交差する領域「ゲート配線×ソース配線の交差部」とに対応する。Y−Y’線に沿った断面構成は、ゲート配線3にゲート信号を供給するための領域「ゲート端子部」に対応する。Z−Z’線に沿った断面構成は、ソース配線11に表示信号を印加するための領域「ソース端子部」に対応する。
<構造>
図15及び図16を参照して、本発明の実施の形態2に係るTFT及びTFT基板の構成について説明する。図15は、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板における画素部、画素部(画素表示領域)の外側のゲート端子部、及びソース端子部の平面構成を示す図であり、図16は、その断面構成を示す図である。図16では、図15に示すX−X’線、Y−Y’線及びZ−Z’線に沿った断面構成が示されている。X−X’線に沿った断面構成は、TFTの配設領域「TFT部」と、画素電極20を含む画素の配設領域「画素電極部」と、ゲート配線3とソース配線11とが交差する領域「ゲート配線×ソース配線の交差部」とに対応する。Y−Y’線に沿った断面構成は、ゲート配線3にゲート信号を供給するための領域「ゲート端子部」に対応する。Z−Z’線に沿った断面構成は、ソース配線11に表示信号を印加するための領域「ソース端子部」に対応する。
図16に示されるように、画素部は、「TFT部」と、「画素電極部」と、「ゲート配線×ソース配線の交差部」とを含んでいる。TFT基板には、例えばガラス等の透明性絶縁基板である基板1が用いられる。基板1上の「TFT部」、「ゲート端子部」及び「画素電極部」には、それぞれ第1導電膜からなるゲート電極2、ゲート端子4及び共通電極5が選択的に配設されている。
図15において、ゲート配線3及び共通電極5は、互いに概略平行であり、横方向に延在している。TFTのゲート電極2は、ゲート配線3の一部分であり、ゲート配線3に含まれる。すなわち、ゲート配線3におけるTFTの配置部分がゲート電極2となっている。そして、ゲート端子4は、ゲート配線3の一方の端部に配設されている。
本実施の形態2では、ゲート配線3などの第1導電膜として、例えばCu、Mo、Ti、もしくはAl等の金属、または、これらの金属に他の元素を微量に添加してなる合金を用いることができる。ここでは第1導電膜として、Moを用いる。
図16に示されるように、ゲート配線3、ゲート端子4及び共通電極5を覆うように、これらの上及び基板1上に第1絶縁膜からなるゲート絶縁層6が配設されている。第1絶縁膜は、バリア(透過遮断)性に優れ、かつ透湿性が低い材料を含むことが好ましい。ここでいうバリア性は、基板1に含まれる不純物原子(イオン)、例えば、リチウム(Li)、ホウ素(B)、炭素(C)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)及びカリウム(K)等を透過させ難い性質を意味する。本実施の形態2では、第1絶縁膜として、まず不純物原子のバリア性に優れ、かつ高い比誘電率(約6.9)を有するSiN膜を配設し、さらにSiN膜上に酸化物絶縁膜であるSiO膜(誘電率約3.9)を配設した二層構成の絶縁膜を用いる。
酸化物絶縁膜であるSiO膜は、酸化物半導体膜からなる半導体層7と直接接する界面において、半導体層7が還元されることを抑制する目的で配設される。従って、SiO膜に限らず、AlO、YO、HfOまたはTaO等の金属の酸化物絶縁膜を配設してもよい。このような金属の酸化物絶縁膜は、不純物原子のバリア性にも優れた特性を有する。
図16に示されるように、ゲート絶縁層6上の「TFT部」には、平面視において少なくとも一部がゲート電極2と重なるように、ゲート絶縁層6上に酸化物半導体を含む半導体層7が配設されている。本実施の形態2では、半導体層7は酸化物半導体膜からなり、酸化物半導体膜には、例えば、ZnOや、ZnOにIn2O3を添加したInZnO系、ZnOにGa2O3を添加したGaZnO系、ZnOにIn2O3とSnO2とを添加したInZnSnO系、またはZnOにIn2O3とGa2O3とを添加したInGaZnO系を用いることができる。ここでは、酸化物半導体膜としてInGaZnO膜を用いる。
図16に示されるように、半導体層7のうちゲート電極2と平面視にて重なる領域上に、第2絶縁膜からなるエッチングストッパ層8が配設されている。第2絶縁膜としては、酸化物半導体膜からなる半導体層7が還元されないように、酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。酸化物絶縁膜には、例えばSiO膜や、AlO、YO、HfOまたはTaO等の金属の酸化物絶縁膜を用いることができる。ここでは、第2絶縁膜としてSiO膜を用いる。
本実施の形態2では、第1方向は、ソース電極9及びドレイン電極10が延在する方向であるとする。図16に示されるように、上述した半導体層7は、平面視の第1方向においてエッチングストッパ層8が配設されていない両側部分を有している。
図15及び図16に示されるように、半導体層7の上記両側部分の一方及びエッチングストッパ層8の一部上に、第2導電膜からなるソース電極9が配設されている。ソース電極9は、第1方向に延在しかつ第1方向と直交する第2方向に幅を有している。さらに、半導体層7の上記両側部分の他方及びエッチングストッパ層8の一部上に、第2導電膜からなるドレイン電極10が配設されている。ドレイン電極10は、ソース電極9と同様に、第1方向に延在しかつ第1方向と直交する第2方向に幅を有している。そして、ソース電極9及びドレイン電極10は、エッチングストッパ層8上で互いに一定の距離だけ離間して対向するように配設されている。なお、ソース電極9及びドレイン電極10に用いられる第2導電膜には、例えば第1導電膜と同じ金属もしくは合金膜、または、これらを組み合わせた積層膜を用いることができる。本実施の形態2では、第2導電膜として第1導電膜と同じMo膜を用いる。
なお、図15の平面視において、ソース電極9及びソース端子12を含み、第2導電膜からなるソース配線11が、ゲート配線3及び共通配線(共通電極5)と交差するように縦方向に延設されている。なお、ソース電極9は、ソース配線11から分岐され、ソース端子12は、ソース配線11の一方の端部に配設されている。
図15及び図16において、酸化物半導体膜からなる半導体層7は、エッチングストッパ層8、ソース配線11(ソース電極9,ソース端子12)及びドレイン電極10を含む構造体の下面全体にわたって配設されている。すなわち、平面視において、半導体層7の形状は、エッチングストッパ層8、ソース配線11及びドレイン電極10を含む構造体の形状によって規定されている。そして、半導体層7のうちエッチングストッパ層8と接する領域がTFTのチャネル領域CNとして機能する。なお、半導体層7のうち平面視における上記両側部分の間の部分は、チャネル領域CNに対応するチャネル対応部分CNである。
図15に示されるように、本実施の形態2のTFT部の平面構成では、本実施の形態1のTFTと同様に、エッチングストッパ層8の長さLe1は、ソース電極9及びドレイン電極10のそれぞれの幅Wsdよりも長くなっている。これにより、半導体層7のうちのチャネル対応部分CN、及び、エッチングストッパ層8のそれぞれは、ソース電極9及びドレイン電極10からソース電極9及びドレイン電極10の幅方向に突出している。
図15及び図16に示されるように、「画素電極部」には第3導電膜からなる画素電極20が配設されている。画素電極20は、平面視においてドレイン電極10の一部領域と接する領域を有し、ドレイン電極10と電気的に接続されている。また、画素電極20は、平面視でゲート配線3、共通電極5及び隣接する2本のソース配線11で囲まれる領域に概ね配設される。本実施の形態2では、平面視において画素電極20の一部が、共通電極5の一部と重なるように配設されている。これによりゲート絶縁層6を挟んで対向する画素電極20と共通電極5との間で画素電極20の保持容量が構成される。
本実施の形態2では、画素電極20の第3導電膜として光透過性を有する酸化物の透明導電膜を用いる。このような酸化物の透明導電膜としては、例えばIn2O3とSnO2とを混合したITO膜、または、In2O3とZnOとを混合したInZnO膜等を用いることができる。ここでは第3導電膜にInZnO膜を用いる。これにより、「画素電極部」には光透過性を有する透過型の画素電極20が配設される。
本実施の形態2では、透明導電膜であるInZnO膜を、画素電極20だけに用いるようにしたが、例えば、ソース電極9、ソース配線11及びソース端子12上に配設されてもよい。この場合は、ソース電極、ソース配線及びソース端子が、実質的に、第2導電膜のMo膜と、第3導電膜のInZnO膜との積層膜で構成されることになるので、膜中の異物やパターニング不良等に起因するソース配線やソース端子の断線不良を低減することができる。
図16に示されるように、チャネル領域CN、ソース電極9、ソース配線11、ドレイン電極10及び画素電極20等を覆うように、画素電極20上などに第3絶縁膜からなる層間絶縁層21(層間絶縁膜)が配設されている。本実施の形態2においては、層間絶縁層21が、酸化物半導体膜からなる半導体層7とほとんど直接接しないので、必ずしも酸素を含む酸化物絶縁膜を第3絶縁膜に用いる必要はない。ここでは、第3絶縁膜として、比誘電率が高く、不純物原子のバリア性に優れるSiN膜などの絶縁性窒化膜を用いる。
図15及び図16に示されるように、「画素電極部」では、共通電極5の表面を露出させるように、ゲート絶縁層6及び層間絶縁層21に共通電極部コンタクトホール22が設けられている。また「ゲート端子部」では、ゲート端子4の表面を露出させるように、ゲート絶縁層6及び層間絶縁層21にゲート端子部コンタクトホール23が設けられている。さらに「ソース端子部」では、ソース端子12の表面を露出させるように、層間絶縁層21にソース端子部コンタクトホール24が設けられている。
さらに図15及び図16に示されるように、「画素電極部」では、平面視にて画素電極20と重なるように層間絶縁層21上に、第4導電膜からなる対向電極25が配設されている。対向電極25の一部は、共通電極部コンタクトホール22を通して下方の共通電極5と電気的に接続されており、共通電極5から対向電極25に一定の電位(共通電位)の信号が供給される。
図15及び図16に示されるように、対向電極25は、平面視で画素電極20の大部分と重なるように層間絶縁層21上に配設されている。また本実施の形態2では、対向電極25は、ゲート配線3、共通電極5及び隣接する2本のソース配線11に囲まれてなる複数の画素領域に跨っており、各画素領域の対向電極25同士が接続されるように連続した形状を有している。これにより、例えばひとつの画素領域の共通電極部コンタクトホール22において、共通電極5と対向電極25との接触(コンタクト)不良による共通電位信号の導通不良が生じたとしても、隣接した画素領域からの共通電位信号が対向電極25に供給される。このため、画素単位の表示不良(点欠陥)の発生を抑制することができる。
対向電極25にはスリット状の開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極20と対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。このため本実施の形態2に係るTFT基板は、横電界駆動仕様であるFFSモードのLCDに適用可能となる。なお、対向電極25には、スリット状の開口部SLの代わりに櫛歯形状を設けてもよい。
また「ゲート端子部」及び「ソース端子部」では、層間絶縁層21に設けられたゲート端子部コンタクトホール23及びソース端子部コンタクトホール24の領域に、第4導電膜からなるゲート端子パッド26及びソース端子パッド27が、それぞれ配設されている。
本実施の形態2では、対向電極25などの第4導電膜として、酸化物からなる透明導電膜を用いる。ここでは、第4導電膜として、画素電極20の透明導電膜と同じInZnO膜を用いる。これにより、「画素電極部」に、画素電極20及び対向電極25がともに光透過性を有する透過型の電極を構成することができる。また、「ゲート端子部」及び「ソース端子部」において、信号入力のための駆動用IC(Integrated Circuit)端子と、ゲート端子またはソース端子との剥がれを抑制できるので、信頼性の高いIC実装を実現することができる。
以上のように構成された本実施の形態2に係るTFT及びTFT基板は、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板として用いることができる。
<製造方法>
次に、本実施の形態2に係るTFT基板の製造方法について、図17〜図32に示す製造工程図を参照して説明する。図17〜図32のうち図17などの奇数番号の図は、本実施の形態2に係るTFT基板の製造工程を示す平面図である。図17〜図32のうち図18などの偶数番号の図は、本実施の形態2に係るTFT基板の製造工程を示す断面図であり、対応する平面図に示すX−X’線、Y−Y’線及びZ−Z’線に沿った断面構成が示されている。これら断面図において、X−X’線に沿った断面構成は、「TFT部」などに対応し、Y−Y’線に沿った断面構成は、「ゲート端子部」に対応し、Z−Z’線に沿った断面構成は、「ソース端子部」に対応する。図17〜図32では、図15及び図16に示される構成要素に対応する構成要素に、それと同一符号が付されている。なお、製造の最終工程図である図31及び図32は、図15及び図16に対応している。
次に、本実施の形態2に係るTFT基板の製造方法について、図17〜図32に示す製造工程図を参照して説明する。図17〜図32のうち図17などの奇数番号の図は、本実施の形態2に係るTFT基板の製造工程を示す平面図である。図17〜図32のうち図18などの偶数番号の図は、本実施の形態2に係るTFT基板の製造工程を示す断面図であり、対応する平面図に示すX−X’線、Y−Y’線及びZ−Z’線に沿った断面構成が示されている。これら断面図において、X−X’線に沿った断面構成は、「TFT部」などに対応し、Y−Y’線に沿った断面構成は、「ゲート端子部」に対応し、Z−Z’線に沿った断面構成は、「ソース端子部」に対応する。図17〜図32では、図15及び図16に示される構成要素に対応する構成要素に、それと同一符号が付されている。なお、製造の最終工程図である図31及び図32は、図15及び図16に対応している。
<第1回目の写真製版工程:図17及び図18に示す工程>
まず、基板1を洗浄液または純水を用いて洗浄する。本実施の形態2では、厚さ0.5mmのガラス基板を基板1として用いる。そして、洗浄された基板1上に、ゲート電極2、ゲート配線3等の材料である第1導電膜を成膜する。
まず、基板1を洗浄液または純水を用いて洗浄する。本実施の形態2では、厚さ0.5mmのガラス基板を基板1として用いる。そして、洗浄された基板1上に、ゲート電極2、ゲート配線3等の材料である第1導電膜を成膜する。
第1導電膜としては、例えばCu、Mo、Ti、W、TaもしくはAlなどの金属、または、これらの金属元素を主成分として他の元素を1種類以上添加した合金等を用いることができる。ここで、主成分の元素とは、合金を構成する元素のうち、含有量が最も多い元素のことを示すものとする。また、第1導電膜は、これらの金属または合金からなる層を2以上含む積層構造であってもよい。これらの金属または合金を用いることによって、比抵抗値が50μΩcm以下の低抵抗な導電膜を得ることができる。本実施の形態2では、第1導電膜としてMoターゲットを用い、アルゴン(Ar)ガスを用いたスパッタリング法で金属膜であるMo膜を200nmの厚さに成膜する。
その後、第1導電膜上にフォトレジスト材を塗布し、フォトレジスト材のパターン露光及び現像プロセスを含む1回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成する。フォトレジスト材の現像には、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(Tetramethylammonium hydroxide:TMAH)を2.38重量%(wt%)の濃度で含む有機アルカリ現像液が用いられる。そして、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第1導電膜のMo膜をエッチングによりパターニングする。ここでは、リン酸(Phosphoric acid)、酢酸(Acetic acid)、硝酸(Nitric acid)を含む混酸であるPAN薬液によるウエットエッチング法を第1導電膜のパターニングに用いることができる。その後、フォトレジストパターンを除去すると、図17及び図18に示されるように、基板1上に、ゲート電極2、ゲート配線3、ゲート端子4及び共通電極5が選択的に形成される。図17に示すようにゲート配線3及び共通電極5は、平面視で互いに平行であり、横方向に延びるように形成される。ゲート電極2はゲート配線3の一部分として形成され、ゲート端子4はゲート配線3の一方の端部に形成される。
<第2回目の写真製版工程:図19及び図20に示す工程>
次に、基板1、及び、ゲート電極2を含むゲート配線3上などに、ゲート絶縁層6の材料である第1絶縁膜を成膜する。本実施の形態2では、第1絶縁膜を2層の積層膜で形成する。まず、シラン(SiH4)ガス、アンモニア(NH3)ガス及び窒素(N2)ガスを原料ガスとしたPECVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition)法を用いて、SiN膜を350nmの厚さで成膜する。PECVD法で成膜したSiN膜は、多量の水素(H)を含む原料ガスを用いて形成されることから、膜中には一般的に20〜25at%の水素(H)が含まれる。一方で、SiN膜は、一般的に密度が大きく緻密な膜質を有する。このため、SiN膜は、水分(H2O)やLi、B、C、Na、MgまたはK等のTFT特性に悪影響を及ぼす不純物元素に対するバリア能力が高く、基板1に含まれる不純物が、次に形成される酸化物半導体膜に拡散することを抑制することができる。さらにSiN膜の比誘電率が大きいため、TFT動作時のゲート電極の印加電圧を小さくすることができる。
次に、基板1、及び、ゲート電極2を含むゲート配線3上などに、ゲート絶縁層6の材料である第1絶縁膜を成膜する。本実施の形態2では、第1絶縁膜を2層の積層膜で形成する。まず、シラン(SiH4)ガス、アンモニア(NH3)ガス及び窒素(N2)ガスを原料ガスとしたPECVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition)法を用いて、SiN膜を350nmの厚さで成膜する。PECVD法で成膜したSiN膜は、多量の水素(H)を含む原料ガスを用いて形成されることから、膜中には一般的に20〜25at%の水素(H)が含まれる。一方で、SiN膜は、一般的に密度が大きく緻密な膜質を有する。このため、SiN膜は、水分(H2O)やLi、B、C、Na、MgまたはK等のTFT特性に悪影響を及ぼす不純物元素に対するバリア能力が高く、基板1に含まれる不純物が、次に形成される酸化物半導体膜に拡散することを抑制することができる。さらにSiN膜の比誘電率が大きいため、TFT動作時のゲート電極の印加電圧を小さくすることができる。
成膜されたSiN膜の上に、SiH4ガス及び一酸化二窒素(N2O)ガスを原材料ガスとしたPECVD法を用いてSiO膜を50nmの厚さで成膜する。SiO膜は一般に多孔質になりやすく不純物元素に対するバリア性はSiN膜に劣る。しかしながら、SiO膜は、SiN膜に比べてH含有量が少ない(2〜7%)ことや、O原子を含むことから、次に形成される酸化物半導体膜との界面において酸化物半導体膜が還元されることを抑制することができる。
次に、ゲート絶縁層6上に半導体層7の材料である酸化物半導体膜SE1を成膜する。本実施の形態2では、InとGaとZnを含む酸化物であるInGaZnOターゲットを用いたスパッタリング法で酸化物半導体膜SE1を成膜する。具体的には、In:Ga:Zn:Oの原子組成比が1:1:1:4であるIn−Ga−Zn−O[In2O3・Ga2O3・2(ZnO)]ターゲットを用いて、ArガスにO2ガスを添加した混合ガスを用いたスパッタリング法でInGaZnO膜を50nmの厚さで成膜する。このとき、O2/Arのガス分圧比は、InGaZnO膜が半導体領域の比抵抗値となるように調整する。ここでは、O2/Arガス分圧比が10%の条件でスパッタリングを行い、約1×104Ωcmの比抵抗値を有するInGaZnO膜からなる酸化物半導体膜SE1を成膜する。
なお、酸化物半導体膜SE1のスパッタリングには、Arガスの代わりに、他にも18族不活性ガスであるNeガスやKrガスを用いることができる。特にArよりも原子量の大きいKrガスを用いた場合は、膜密度の高いInGaZnO半導体膜を得ることができるため、より特性が安定した信頼性に優れる酸化物半導体膜を成膜することができる。また、O2/Ar分圧比を10%としたが、これに限らない。例えば、使用するスパッタリング装置に合わせて、比抵抗値が1×10−2Ωcm以上1×106Ωcm未満、より好ましくは1Ωcm以上1×105Ωcm未満となるような酸化物半導体膜が得られるように、O2/Ar分圧比を適宜調整すればよい。一般的にInGaZnO系に代表される金属酸化物膜は、スパッタリング時のO2/Arガス、O2/Neガス、または、O2/Krガスの分圧比を変えることによって、比抵抗値を変えることができる。具体的には、分圧比を下げると比抵抗値を下げることができ、分圧比を上げると比抵抗値を上げることができる。
続けて、酸化物半導体膜SE1の上に、エッチングストッパ層8の材料である第2絶縁膜を成膜する。本実施の形態2では、第2絶縁膜として、SiH4ガス及び一酸化二窒素(N2O)ガスを原材料ガスとしたPECVD法を用いてSiO膜を100nmの厚さで成膜する。O原子を含むSiO膜などの絶縁性酸化膜を形成することによって、その下層である酸化物半導体膜SE1との界面において酸化物半導体膜SE1が還元されることを抑制することができる。
その後、第2絶縁膜上にフォトレジスト材を塗布し、2回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第2絶縁膜であるSiO膜をエッチングすることによりパターニングする。このエッチングには、フッ素(F)を含むガスを用いたドライエッチング法を用いることができる。ここでは、六フッ化硫黄(SF6)に酸素(O2)を加えたガスを用いたドライエッチング法を用いてエッチングを行う。その後、フォトレジストパターンを除去すると、図19及び図20に示されるように、「TFT部」の酸化物半導体膜SE1上に、エッチングストッパ層8が形成される。エッチングストッパ層8は、酸化物半導体膜SE1のうちゲート電極2と平面視で重なる領域上に形成される。
<第3回目の写真製版工程:図21〜図26に示す工程>
<図21及び図22に示す工程>
次に、酸化物半導体膜SE1及びエッチングストッパ層8上などに、ソース電極及びドレイン電極等の材料となる導電膜である第2導電膜M0を成膜(形成)する。本実施の形態2では、第2導電膜M0として、第1導電膜と同様にして金属膜であるMo膜を200nmの厚さに成膜する。
<図21及び図22に示す工程>
次に、酸化物半導体膜SE1及びエッチングストッパ層8上などに、ソース電極及びドレイン電極等の材料となる導電膜である第2導電膜M0を成膜(形成)する。本実施の形態2では、第2導電膜M0として、第1導電膜と同様にして金属膜であるMo膜を200nmの厚さに成膜する。
その後、第2導電膜M0上にフォトレジスト材を塗布し、3回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成する。図22に示されるように、フォトレジストパターンは、「TFT部」に形成されるフォトレジストパターンPR1,PR2と、「ゲート配線×ソース配線の交差部」に形成されるフォトレジストパターンPR3と、「ソース端子部」に形成されるフォトレジストパターンPR4とを含む。
図21に示されるように、TFTのソース電極を形成するためのフォトレジストパターンPR2と、ゲート配線との交差部を含みソース電極から延設されるソース配線を形成するためのフォトレジストパターンPR3と、ソース配線から延設されソース配線の一方の端部に配設されるソース端子を形成するためのフォトレジストパターンPR4とは、平面視で連続している。
ドレイン電極を形成するためのフォトレジストパターンPR1と、ソース電極を形成するためのフォトレジストパターンPR2とは、エッチングストッパ層8上で互いに一定の距離だけ離間して対向するように形成される。この一定の距離を隔てた領域はTFTのチャネル領域の一部となる。チャネル領域を含む領域では、第2導電膜M0がフォトレジストパターンPR1,PR2と、第2絶縁膜からなるエッチングストッパ層8とで覆われてマスキングされる。
<図23及び図24に示す工程>
次に、図23及び図24に示されるように、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとして第2導電膜M0を選択的にエッチングし、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4及びエッチングストッパ層8をマスクとして、酸化物半導体膜SE1を選択的にエッチングする。まず、PAN薬液によるウエットエッチング法を用いて、Moからなる第2導電膜M0を選択的にエッチングする。続けて、シュウ酸(ジカルボン酸:Oxalic acid)5wt%濃度の水溶液を含む薬液によるウエットエッチング法を用いて、InGaZnOからなる酸化物半導体膜SE1を選択的にエッチングする。
次に、図23及び図24に示されるように、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとして第2導電膜M0を選択的にエッチングし、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4及びエッチングストッパ層8をマスクとして、酸化物半導体膜SE1を選択的にエッチングする。まず、PAN薬液によるウエットエッチング法を用いて、Moからなる第2導電膜M0を選択的にエッチングする。続けて、シュウ酸(ジカルボン酸:Oxalic acid)5wt%濃度の水溶液を含む薬液によるウエットエッチング法を用いて、InGaZnOからなる酸化物半導体膜SE1を選択的にエッチングする。
このとき、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとしてエッチングされる領域では、用いられる薬液によっては、フォトレジストパターン端部と第2導電膜M0との界面の密着力が低下して、フォトレジストパターン端部が第2導電膜M0の界面からわずかに剥離する場合がある。この剥離による隙間に薬液が入りこむことで、第2導電膜M0のエッチング時に基板面と水平方向のエッチング(サイドエッチング)が進む。この結果、第2導電膜M0のエッチング端面がテーパー状になり、かつ、平面視でフォトレジストパターン端部よりも大きく内側に後退した態様でエッチングされてしまうことがある。このような状態で、酸化物半導体膜SE1のエッチングを続けると、さらに薬液がフォトレジストパターン端部の剥離部へ染み込み、第2導電膜M0の端面がフォトレジストパターン端部から大きく内側に後退した領域内へも薬液が浸入しながらエッチングが進行する。この結果、酸化物半導体膜SE1のエッチング端面もテーパー状に仕上がってしまう場合がある。
すなわち、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとしてエッチングされた第2導電膜M0及び酸化物半導体膜SE1のエッチング端面が、テーパー状に形成される場合がある。
しかしながら本実施の形態2の製造方法によれば、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとして、第2導電膜M0のエッチングが完了した後、チャネル対応部分CNを形成するための酸化物半導体膜SE1のエッチングは、エッチングストッパ層8などをマスクとして行われることになる。エッチングストッパ層8と酸化物半導体膜SE1との密着力は強固であるため、エッチングストッパ層8のパターン端部はエッチングの薬液によって酸化物半導体膜SE1から剥離されることはない。従って、チャネル対応部分CNの端面が概ねテーパー状になることはなく、最終的にチャネル対応部分CNの外縁形状とエッチングストッパ層8の外縁形状とがほぼ同一形状となるパターニングを行うことができる。
なお、適宜エッチング時間を十分に長くすれば、酸化物半導体膜SE1のパターン端面を平面視でエッチングストッパ層8のパターン端面よりも内側に後退させることは可能である。つまり、最終的にチャネル対応部分CN及びエッチングストッパ層8の端面を図12に示されるような形状に仕上げることによって、チャネル対応部分CNの露出ができるだけ少なくなるような構成を形成することは可能である。
<図25及び図26に示す工程>
その後、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4を除去する。以上により、図25及び図26に示されるように、「TFT部」では、酸化物半導体膜SE1からなる半導体層7と、第2導電膜M0からなるソース配線11及びドレイン電極10とが形成される。
その後、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4を除去する。以上により、図25及び図26に示されるように、「TFT部」では、酸化物半導体膜SE1からなる半導体層7と、第2導電膜M0からなるソース配線11及びドレイン電極10とが形成される。
半導体層7は、平面視において少なくとも一部がゲート電極2と重なるようにゲート絶縁層6上に形成される。エッチングストッパ層8は、平面視において半導体層7の両側部分の間の領域のうちゲート電極2と重なる領域上に形成される。
第2導電膜M0からなるソース配線11のソース電極9は、半導体層7の上記両側部分の一方及びエッチングストッパ層8の一部上に形成される。第2導電膜M0からなるドレイン電極10は、半導体層7の上記両側部分の他方及びエッチングストッパ層8の一部上に形成される。そして、ソース電極9及びドレイン電極10は、エッチングストッパ層8上で互いに一定の距離だけ離間して対向するように形成される。
半導体層7(酸化物半導体膜SE1)は、エッチングストッパ層8、ソース配線11(ソース電極9,ソース端子12)及びドレイン電極10を含む構造体の下面全体にわたって形成されている。すなわち、平面視において、半導体層7の形状は、エッチングストッパ層8、ソース配線11及びドレイン電極10を含む構造体の平面視での形状によって規定されている。そして、半導体層7のうちエッチングストッパ層8と接する領域がTFTのチャネル領域CNとして機能する。
図25において、本実施の形態2のTFTの平面構成では、本実施の形態1のTFTと同様に、エッチングストッパ層8の長さLe1は、ソース電極9及びドレイン電極10のそれぞれの幅Wsdよりも長くなっている。これにより、半導体層7のうちのチャネル対応部分CN、及び、エッチングストッパ層8のそれぞれは、ソース電極9及びドレイン電極10からソース電極9及びドレイン電極10の幅方向に突出している。
第2導電膜M0からなるソース電極9は、ゲート配線3と交差部を有するソース配線11からソース端子12まで延設された連続したパターンで形成されている。さらに酸化物半導体膜SE1は、ソース配線11及びソース端子12の下面全体にわたって形成されており、それらの部分が最下層ソース配線11S及び最下層ソース端子12Sとして形成されている。
<第4回目の写真製版工程:図27及び図28に示す工程>
次に基板1の上面全面に、画素電極の材料となる第3導電膜C0を成膜する。本実施の形態2では、第3導電膜C0として光透過性を有する酸化物からなる透明導電膜を成膜する。ここでは透明導電膜として、In2O3とZnOとを9:1の割合で混合したInZnOターゲットを用いて、ArガスにO2ガスを添加した混合ガスを用いたスパッタリング法でInZnO膜を100nmの厚さで成膜する。具体的にはO2/Arガス分圧比が1%の条件でスパッタリングを行い、2×10−4Ωcmの比抵抗値を有するInZnO膜からなる透明導電膜を第3導電膜C0として成膜する。
次に基板1の上面全面に、画素電極の材料となる第3導電膜C0を成膜する。本実施の形態2では、第3導電膜C0として光透過性を有する酸化物からなる透明導電膜を成膜する。ここでは透明導電膜として、In2O3とZnOとを9:1の割合で混合したInZnOターゲットを用いて、ArガスにO2ガスを添加した混合ガスを用いたスパッタリング法でInZnO膜を100nmの厚さで成膜する。具体的にはO2/Arガス分圧比が1%の条件でスパッタリングを行い、2×10−4Ωcmの比抵抗値を有するInZnO膜からなる透明導電膜を第3導電膜C0として成膜する。
その後、第3導電膜C0上にフォトレジスト材を塗布し、4回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第3導電膜C0であるInZnO膜をエッチングすることによりパターニングする。このエッチングには、シュウ酸5wt%の薬液によるウエットエッチング法を用いることができる。その後、フォトレジストパターンを除去すると、図27及び図28に示されるように、「画素電極部」に、ドレイン電極10と電気的に接続された、光透過性を有する透過型の画素電極20が形成される。
図27において、画素電極20は、平面視でゲート配線3、共通電極5及び隣接する2本のソース配線11で囲まれる領域に形成される。また本実施の形態2では、平面視において画素電極20の一部が、共通電極5の一部と重なるように形成されている。これによりゲート絶縁層6を挟んで対向する画素電極20と共通電極5との間で画素電極の保持容量が形成される。
なお、本工程において、画素電極20の形成だけではなく、第3導電膜C0をソース電極9、ソース配線11及びソース端子12上に形成してもよい。この場合は、ソース電極、ソース配線及びソース端子が、実質的に、第2導電膜のMo膜と、第3導電膜のInZnO膜との積層膜で構成されることになるので、膜中の異物やパターニング不良等に起因するソース配線やソース端子の断線不良を低減することができる。
<第5回目の写真製版工程:図29及び図30に示す工程>
次に、基板1の上面全面に、層間絶縁層21の材料である第3絶縁膜を成膜する。本実施の形態2では、第3絶縁膜として、SiH4ガス、アンモニアNH3ガス及び窒素N2ガスを原料ガスとしたPECVD法を用いて、SiN膜を200nmの厚さで成膜する。SiN膜は、H2OやLi、B、C、Na、MgまたはK等のTFT特性に悪影響を及ぼす不純物に対するバリア能力が高く、不純物が外部から半導体層7に拡散することを抑制することができる。またSiN膜の比誘電率は比較的大きいため、画素電極20と、この後の第6回目の写真製版工程で層間絶縁層21上に形成される対向電極25との間で形成される画素電極の単位面積あたりの保持容量を大きくすることができる。これにより、LCDの高い表示品質を得ることができる。
次に、基板1の上面全面に、層間絶縁層21の材料である第3絶縁膜を成膜する。本実施の形態2では、第3絶縁膜として、SiH4ガス、アンモニアNH3ガス及び窒素N2ガスを原料ガスとしたPECVD法を用いて、SiN膜を200nmの厚さで成膜する。SiN膜は、H2OやLi、B、C、Na、MgまたはK等のTFT特性に悪影響を及ぼす不純物に対するバリア能力が高く、不純物が外部から半導体層7に拡散することを抑制することができる。またSiN膜の比誘電率は比較的大きいため、画素電極20と、この後の第6回目の写真製版工程で層間絶縁層21上に形成される対向電極25との間で形成される画素電極の単位面積あたりの保持容量を大きくすることができる。これにより、LCDの高い表示品質を得ることができる。
本実施の形態2では、酸化物半導体膜からなるチャネル対応部分CNの大部分が、SiO膜からなるエッチングストッパ層8で覆われるため、チャネル対応部分CNは層間絶縁層21とほとんど直接接することがない。このことに鑑みて、ここではSiN膜の単層で層間絶縁層21を形成するようにしたが、SiN膜を成膜する前に、エッチングストッパ層8上に例えばSiO膜等のO原子を含む酸化物絶縁膜を成膜してもよい。SiO膜を形成することによって、SiN膜の成膜時に酸化物半導体膜からなる半導体層7の還元抑制に対するマージンを向上させることができる。
その後、第3絶縁膜上にフォトレジスト材を塗布し、5回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第3絶縁膜であるSiN膜をエッチングすることによりパターニングする。このエッチングには、SF6にO2を加えたガスを用いたドライエッチング法を用いることができる。
その後、フォトレジストパターンを除去すると、図29及び図30に示されるように、層間絶縁層21が形成される。「画素電極部」では、共通電極5の表面を露出させるように、ゲート絶縁層6及び層間絶縁層21に共通電極部コンタクトホール22が形成される。また「ゲート端子部」では、ゲート端子4の表面を露出させるように、ゲート絶縁層6及び層間絶縁層21にゲート端子部コンタクトホール23が形成される。さらに「ソース端子部」では、ソース端子12の表面を露出させるように、層間絶縁層21にソース端子部コンタクトホール24が形成される。
<第6回目の写真製版工程:図31及び図32に示す工程>
次に、基板1の上面全面に、対向電極25等の材料となる第4導電膜を成膜する。本実施の形態2では、第4導電膜として第3導電膜C0と同じ透明導電膜であるInZnO膜を用いる。ここでは第3導電膜C0と同様にして、InZnO膜を100nmの厚さに成膜する。
次に、基板1の上面全面に、対向電極25等の材料となる第4導電膜を成膜する。本実施の形態2では、第4導電膜として第3導電膜C0と同じ透明導電膜であるInZnO膜を用いる。ここでは第3導電膜C0と同様にして、InZnO膜を100nmの厚さに成膜する。
その後、第4導電膜上にフォトレジスト材を塗布し、6回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第4導電膜であるInZnO膜をエッチングすることによりパターニングする。このエッチングには、シュウ酸5wt%の薬液によるウエットエッチング法を用いることができる。
その後、フォトレジストパターンを除去すると、図31及び図32に示されるように、「画素電極部」では、画素電極20に重なる領域の層間絶縁層21の上に、第4導電膜からなる対向電極25が形成される。対向電極25の一部は、共通電極部コンタクトホール22を通して下方の共通電極5と電気的に接続されており、一定の電位が印加できるように形成されている。
図31において、対向電極25は、平面視で画素電極20の大部分と重なるように形成されている。また対向電極25は、ゲート配線3、共通電極5及び隣接する2本のソース配線11に囲まれてなる複数の画素領域に跨っており、各画素領域の対向電極25同士が接続されるように連続した形状を有している。これにより、例えばひとつの画素領域の共通電極部コンタクトホール22において、共通電極5と対向電極25との接触(コンタクト)不良による共通電位信号の導通不良が生じたとしても、隣接した画素領域からの共通電位信号が対向電極25に供給される。このため、画素単位の表示不良(点欠陥)の発生を抑制することができる。
対向電極25にはスリット状の開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極20と対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。このため本実施の形態2に係るTFT基板は、横電界駆動仕様であるFFSモードのLCDに適用可能となる。なお、対向電極25には、スリット状の開口部SLの代わりに櫛歯形状を設けてもよい。
図31及び図32において、「ゲート端子部」及び「ソース端子部」では、層間絶縁層21に設けられたゲート端子部コンタクトホール23及びソース端子部コンタクトホール24の領域に、第4導電膜からなるゲート端子パッド26及びソース端子パッド27が、それぞれ形成されている。
本実施の形態2では、対向電極25などの第4導電膜として、酸化物からなる透明導電膜であるInZnO膜を用いる。これにより、「画素電極部」に、画素電極20及び対向電極25がともに光透過性を有する透過型の電極を形成することができ、画素電極領域の開口透過率を向上させることができる。また、「ゲート端子部」及び「ソース端子部」において、信号入力のための駆動用IC端子と、ゲート端子またはソース端子との剥がれを抑制できるので、信頼性の高いIC実装を実現することができる。
本実施の形態2に係るTFT及びTFT基板は、以上の工程を経て製造が完了され、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板として用いることができる。
液晶表示パネルの組み立ての際には、完成したTFT基板の表面に配向膜やスペーサを形成する。配向膜は、液晶を配列させるための膜であり、ポリイミド等で構成される。また、別途作製したカラーフィルタ及び配向膜等を備えた対向基板を、本実施の形態2のTFT基板と貼り合わせる。このときスペーサによってTFT基板と対向基板との間に隙間が形成され、その隙間に液晶層を封止することによって、FFSモードなどの横電界方式の液晶表示パネルが形成される。最後に、液晶表示パネルの外側に偏光板、位相差板、駆動回路及びバックライトユニット等を配設することによってLCDが完成する。
<実施の形態2のまとめ>
本実施の形態2に係るTFT及びTFT基板の製造方法によれば、「TFT部」に上記実施の形態1及びその変形例と同じ構成のES型の酸化物TFTを形成することができるので、良好な特性及び高い信頼性を有する酸化物TFTを製造することができる。
本実施の形態2に係るTFT及びTFT基板の製造方法によれば、「TFT部」に上記実施の形態1及びその変形例と同じ構成のES型の酸化物TFTを形成することができるので、良好な特性及び高い信頼性を有する酸化物TFTを製造することができる。
また、2回目の写真製版工程で、酸化物半導体膜SE1上にパターニングされたエッチングストッパ層8を形成した後、3回目の写真製版工程で、半導体層7、ソース電極9及びドレイン電極10を一括して形成することができる。このため、ES型の酸化物TFTを備えたFFSモードなどの横電界方式のLCD用TFT基板を、6回という比較的少ない回数の写真製版工程で製造することができる。このため、生産性の向上及び低コスト化が期待できる。
なお、本実施の形態2では、横電界方式のLCD用TFT基板の構成及び製造方法について説明したが、対向電極25を形成する前の5回目の写真製版工程まで完了したTFT基板を用いることで、ES型の酸化物TFTを備えたTNモードなどの縦電界方式のLCD用TFT基板を製造することも可能である。
このようなTNモードの液晶表示パネルの組み立ての際、完成したTFT基板の表面に配向膜やスペーサを形成する。また、別途作製したカラーフィルタ、配向膜、及び、対向電極等を備えた対向基板を、当該TFT基板と貼り合わせる。このときスペーサによってTFT基板と対向基板との間に隙間が形成され、その隙間に液晶層を封止することによって、縦電界方式のTNモードの液晶表示パネルが形成される。最後に、液晶表示パネルの外側に偏光板、位相差板、駆動回路及びバックライトユニット等を配設することによってLCDが完成する。
<実施の形態2の変形例>
<構造>
図33及び図34を参照して、実施の形態2の変形例に係るTFT基板の構成について説明する。図33は、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板における画素部、画素部(画素表示領域)の外側のゲート端子部、及びソース端子部の平面構成を示す図であり、図34は、その断面構成を示す図である。図34では、図33に示すX−X’線、Y−Y’線及びZ−Z’線に沿った断面構成が示されている。これら断面図において、X−X’線に沿った断面構成は、「TFT部」などに対応し、Y−Y’線に沿った断面構成は、「ゲート端子部」に対応し、Z−Z’線に沿った断面構成は、「ソース端子部」に対応する。
<構造>
図33及び図34を参照して、実施の形態2の変形例に係るTFT基板の構成について説明する。図33は、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板における画素部、画素部(画素表示領域)の外側のゲート端子部、及びソース端子部の平面構成を示す図であり、図34は、その断面構成を示す図である。図34では、図33に示すX−X’線、Y−Y’線及びZ−Z’線に沿った断面構成が示されている。これら断面図において、X−X’線に沿った断面構成は、「TFT部」などに対応し、Y−Y’線に沿った断面構成は、「ゲート端子部」に対応し、Z−Z’線に沿った断面構成は、「ソース端子部」に対応する。
図33及び図34に示されるように、本実施の形態2の変形例に係るTFT基板では、ゲート配線3とソース配線11とが交差する「ゲート配線×ソース配線の交差部」の領域に、絶縁層であるエッチングストッパ層13が配設されている。このエッチングストッパ層13の絶縁材料は、TFTのチャネル領域CNに配設されたエッチングストッパ層8の絶縁材料と同じ第2絶縁膜である。
図33において、エッチングストッパ層13は、ゲート配線3及び共通電極5とソース配線11とが交差する領域に、島状パターンで配設されている。図34において、「ゲート配線×ソース配線の交差部」の領域では、エッチングストッパ層13が、ゲート配線3による段差部に跨ってソース配線11下に配設されている。このエッチングストッパ層13によって、ゲート配線3の厚みに起因する凸部の段差形状が緩やかになるように緩和される。このため、段差部におけるソース配線11のカバレッジが改善されるので、段差部におけるソース配線11の断線不良を低減することが可能となる。
<実施の形態3>
<構造>
図35及び図36を参照して、本発明の実施の形態3に係るTFT及びTFT基板の構成について説明する。図35は、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板における画素部、画素部(画素表示領域)の外側のゲート端子部、及びソース端子部の平面構成を示す図であり、図36は、その断面構成を示す図である。図36では、図35に示すX−X’線、Y−Y’線及びZ−Z’線に沿った断面構成が示されている。X−X’線に沿った断面構成は、TFTの配設領域「TFT部」と、画素電極20を含む画素の配設領域「画素電極部」と、ゲート配線3とソース配線11とが交差する領域「ゲート配線×ソース配線の交差部」とに対応する。Y−Y’線に沿った断面構成は、ゲート配線3にゲート信号を供給するための領域「ゲート端子部」に対応する。Z−Z’線に沿った断面構成は、ソース配線11に表示信号を印加するための領域「ソース端子部」に対応する。
<構造>
図35及び図36を参照して、本発明の実施の形態3に係るTFT及びTFT基板の構成について説明する。図35は、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板における画素部、画素部(画素表示領域)の外側のゲート端子部、及びソース端子部の平面構成を示す図であり、図36は、その断面構成を示す図である。図36では、図35に示すX−X’線、Y−Y’線及びZ−Z’線に沿った断面構成が示されている。X−X’線に沿った断面構成は、TFTの配設領域「TFT部」と、画素電極20を含む画素の配設領域「画素電極部」と、ゲート配線3とソース配線11とが交差する領域「ゲート配線×ソース配線の交差部」とに対応する。Y−Y’線に沿った断面構成は、ゲート配線3にゲート信号を供給するための領域「ゲート端子部」に対応する。Z−Z’線に沿った断面構成は、ソース配線11に表示信号を印加するための領域「ソース端子部」に対応する。
図36に示されるように、画素部は、「TFT部」と、「画素電極部」と、「ゲート配線×ソース配線の交差部」とを含んでいる。TFT基板には、例えばガラス等の透明性絶縁基板である基板1を用いられる。基板1上の「TFT部」、「ゲート端子部」及び「画素電極部」には、それぞれ第1導電膜からなるゲート電極2、ゲート端子4及び共通電極5が選択的に配設されている。
図35において、ゲート配線3及び共通電極5は、互いに概略平行であり、横方向に延在している。TFTのゲート電極2は、ゲート配線3の一部分であり、ゲート配線3に含まれる。すなわち、ゲート配線3におけるTFTの配置部分がゲート電極2となっている。そして、ゲート端子4は、ゲート配線3の一方の端部に配設されている。
本実施の形態3では、ゲート配線3などの第1導電膜として、例えばCu、Mo、Ti、もしくはAl等の金属、または、これらの金属に他の元素を微量に添加してなる合金を用いることができる。ここでは第1導電膜として、上記実施の形態2と同様にMoを用いる。
図36に示されるように、ゲート電極2、ゲート端子4及び共通電極5を覆うように、これらの上及び基板1上に第1絶縁膜からなるゲート絶縁層6が配設されている。本実施の形態3では、上記実施の形態2と同様に、第1絶縁膜として、不純物原子のバリア性に優れるSiN膜と、SiN膜上に酸化物絶縁膜であるSiO膜を配設した二層構成の絶縁膜を用いる。
酸化物絶縁膜であるSiO膜は、酸化物半導体膜からなる半導体層7と直接接する界面において、半導体層7が還元されることを抑制する目的で配設される。従って、SiO膜に限らず、AlO、YO、HfOまたはTaO等の金属の酸化物絶縁膜を配設してもよい。本実施の形態3では、酸化物半導体膜として、上記実施の形態2と同様にInGaZnO膜を用いる。
図36に示されるように、ゲート絶縁層6上の「TFT部」には、平面視において少なくとも一部がゲート電極2と重なるように、ゲート絶縁層6上に酸化物半導体を含む半導体層7が配設されている。本実施の形態3では、上記実施の形態2と同様に、半導体層7は酸化物半導体膜であり、酸化物半導体膜としてInGaZnO膜を用いる。
図36に示されるように、半導体層7のうちゲート電極2と平面視にて重なる領域上に、第2絶縁膜からなるエッチングストッパ層8が配設されている。第2絶縁膜としては、酸化物半導体膜からなる半導体層7が還元されないように、酸化物絶縁膜を用いることが好ましく、ここでは第2絶縁膜として、上記実施の形態2と同様にSiO膜を用いる。
本実施の形態3では、第1方向は、ソース電極9及びドレイン電極10が延在する方向であるとする。図36に示されるように、上述した半導体層7は、平面視の第1方向においてエッチングストッパ層8が配設されていない両側部分を有している。
図35及び図36に示されるように、半導体層7の上記両側部分の一方及びエッチングストッパ層8の一部上に、下層導電膜C1からなる下層ソース電極9Cが配設されている。下層ソース電極9Cは、第1方向に延在しかつ第1方向と直交する第2方向に幅を有している。さらに、半導体層7の上記両側部分の他方及びエッチングストッパ層8の一部上に、下層導電膜C1からなる下層ドレイン電極10Cが配設されている。下層ドレイン電極10Cは、下層ソース電極9Cと同様に、第1方向に延在しかつ第1方向と直交する第2方向に幅を有している。そして、下層ソース電極9C及び下層ドレイン電極10Cは、エッチングストッパ層8上で互いに一定の距離だけ離間して対向するように配設されている。
本実施の形態3では、ソース配線(ソース電極,ソース端子)及びドレイン電極は、実質的に、下層導電膜C1と上層導電膜M1とからなる二層を含んでいる。そして、下層導電膜C1としては、下層ソース配線11C(下層ソース電極9C,下層ソース端子12C)及び下層ドレイン電極10Cが配設されている。上層導電膜M1としては、ソース配線11(ソース電極9,ソース端子12)及びドレイン電極10が配設されている。
本実施の形態3では、下層導電膜C1として酸化物を含む透明導電体からなる透明導電膜を用いる。このような酸化物導電膜としては、例えばIn2O3とSnO2とを混合したITO膜、または、In2O3とZnOとを混合したInZnO膜等を用いることができる。ここでは下層導電膜C1としてInZnO膜を用いる。また本実施の形態3では、上層導電膜M1として金属または合金からなる導電膜を用いる。ここでは上層導電膜M1として第1導電膜と同じMo膜を用いる。
酸化物半導体膜からなる半導体層7は、エッチングストッパ層8、ソース配線11(ソース電極9,ソース端子12)、ドレイン電極10、下層ソース配線11C(下層ソース電極9C,下層ソース端子12C)及び下層ドレイン電極10Cを含む構造体の下面全体にわたって配設されている。すなわち、平面視において、半導体層7の形状は、エッチングストッパ層8、ソース配線11、ドレイン電極10、下層ソース配線11C及び下層ドレイン電極10Cを含む構造体の形状によって規定されている。そして、半導体層7のうちエッチングストッパ層8と接する領域がTFTのチャネル領域CNとして機能する。なお、半導体層7のうち平面視における上記両側部分の間の部分は、チャネル領域CNに対応するチャネル対応部分CNである。
図35に示されるように、本実施の形態3のTFT部の平面構成では、本実施の形態1,2のTFTと同様に、エッチングストッパ層8の長さLe1は、ソース電極9及びドレイン電極10のそれぞれの幅Wsdよりも長くなっている。これにより、半導体層7のうちのチャネル対応部分CN、及び、エッチングストッパ層8のそれぞれは、ソース電極9及びドレイン電極10からソース電極9及びドレイン電極10の幅方向に突出している。
図35及び図36において、下層導電膜C1からなる下層ドレイン電極10Cは、その下の半導体層7と接した状態で「画素電極部」まで延設されている。一方、上層導電膜M1からなるドレイン電極10は、「画素電極部」において除去されている。これにより、「画素電極部」では、半導体層7と同じ酸化物半導体膜SE1からなる下層画素電極20Sと、下層ドレイン電極10Cと同じ下層導電膜C1(透明導電膜)との積層構造が、画素電極として機能する。酸化物半導体膜SE1も下層導電膜C1も光透過性を有するため、「画素電極部」では光透過性を有する透過型の電極が配設される。
「画素電極部」の下層導電膜C1である画素電極20は、平面視でゲート配線3、共通電極5及び隣接する2本のソース配線11で囲まれる領域に概ね配設される。また本実施の形態3では、平面視において画素電極20の一部が、共通電極5の一部と重なるように配設されている。これによりゲート絶縁層6を挟んで対向する画素電極20と共通電極5との間で画素電極20の保持容量が構成される。
「TFT部」では、上層導電膜M1からなるソース電極9と、下層導電膜C1からなる下層ソース電極9Cとの積層構成が、ソース配線11からソース端子12まで連続的に延設されている。すなわち、上層導電膜M1からなるソース配線11は、下層導電膜C1からなる下層ソース配線11Cに積層されており、上層導電膜M1からなるソース端子12は、下層導電膜C1からなる下層ソース端子12Cに積層されている。また、半導体層7が、下層ソース配線11C及び下層ソース端子12Cなどの下面全体にわたって配設されており、それぞれ最下層ソース配線11S及び最下層ソース端子12Sとして配設される。すなわち、半導体層7が、下層ソース配線11Cから下層ソース端子12Cまでわたって連続するパターンなどを有している。このような構成によれば、膜中の異物やパターニング不良に起因するソース配線やソース端子の断線不良を低減することができる。
図36に示されるように、チャネル領域CN、ソース電極9、ソース配線11、ドレイン電極10及び画素電極20等を覆うように、画素電極20上などに第3絶縁膜からなる層間絶縁層21(層間絶縁膜)が配設されている。本実施の形態3においては、層間絶縁層21が、酸化物半導体膜からなる半導体層7とほとんど直接接しないので、必ずしも酸素を含む酸化物絶縁膜を第3絶縁膜に用いる必要はない。ここでは、第3絶縁膜として、上記実施の形態2と同様に、比誘電率が高く、不純物原子のバリア性に優れるSiN膜などの絶縁性窒化膜を用いる。
図35及び図36に示されるように、「画素電極部」では、共通電極5の表面を露出させるように、ゲート絶縁層6及び層間絶縁層21に共通電極部コンタクトホール22が設けられている。また「ゲート端子部」では、ゲート端子4の表面を露出させるように、ゲート絶縁層6及び層間絶縁層21にゲート端子部コンタクトホール23が設けられている。さらに「ソース端子部」では、ソース端子12の表面を露出させるように、層間絶縁層21にソース端子部コンタクトホール24が設けられている。
「画素電極部」では、平面視にて画素電極20と重なるように層間絶縁層21上に、第3導電膜からなる対向電極25が配設されている。対向電極25の一部は、共通電極部コンタクトホール22を通して下方の共通電極5と電気的に接続されており、共通電極5から対向電極25に一定の電位(共通電位)信号が供給される。
図35及び図36に示されるように、対向電極25は、平面視で画素電極20の大部分と重なるように層間絶縁層21上に配設されている。また本実施の形態3では、上記実施の形態2と同様に、対向電極25は、ゲート配線3、共通電極5及び隣接する2本のソース配線11に囲まれてなる複数の画素領域に跨っており、各画素領域の対向電極25同士が接続されるように連続した形状を有している。これにより、例えばひとつの画素領域の共通電極部コンタクトホール22において、共通電極5と対向電極25との接触(コンタクト)不良による共通電位信号の導通不良が生じたとしても、隣接した画素領域からの共通電位信号が対向電極25に供給される。このため、画素単位の表示不良(点欠陥)の発生を抑制することができる。
対向電極25にはスリット状の開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極20と対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。このため本実施の形態3に係るTFT基板は、横電界駆動仕様であるFFSモードのLCDに適用可能となる。なお、対向電極25には、スリット状の開口部SLの代わりに櫛歯形状を設けてもよい。
また「ゲート端子部」及び「ソース端子部」では、層間絶縁層21に設けられたゲート端子部コンタクトホール23及びソース端子部コンタクトホール24の領域に、第3導電膜からなるゲート端子パッド26及びソース端子パッド27が、それぞれ配設されている。
本実施の形態3では、対向電極25などの第3導電膜として、酸化物からなる透明導電膜を用いる。ここでは、第3導電膜として、下層導電膜C1と同じInZnO膜を用いる。これにより、「画素電極部」に、画素電極20及び対向電極25がともに光透過性を有する透過型の電極を構成することができる。また、「ゲート端子部」及び「ソース端子部」において、信号入力のための駆動用IC端子と、ゲート端子またはソース端子との剥がれを抑制できるので、信頼性の高いIC実装を実現することができる。
以上のように構成された本実施の形態3に係るTFT及びTFT基板は、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板として用いることができる。
<製造方法>
次に、本実施の形態3に係るTFT基板の製造方法について、図面を参照して説明する。本実施の形態3に係るTFT基板の製造方法においては、ゲート電極2等が形成される第1回目の写真製版工程と、エッチングストッパ層8等が形成される第2回目の写真製版工程とは、上記実施の形態2のTFT基板と同じ製造方法を用いることができる。このため、以下の説明では、これらの説明は省略し、第3回目の写真製版工程から図面を参照して説明する。
次に、本実施の形態3に係るTFT基板の製造方法について、図面を参照して説明する。本実施の形態3に係るTFT基板の製造方法においては、ゲート電極2等が形成される第1回目の写真製版工程と、エッチングストッパ層8等が形成される第2回目の写真製版工程とは、上記実施の形態2のTFT基板と同じ製造方法を用いることができる。このため、以下の説明では、これらの説明は省略し、第3回目の写真製版工程から図面を参照して説明する。
図37〜図50のうち図37などの奇数番号の図は、本実施の形態3に係るTFT基板の製造工程を示す平面図である。図37〜図50のうち図38などの偶数番号の図は、本実施の形態3に係るTFT基板の製造工程を示す断面図であり、対応する平面図に示すX−X’線、Y−Y’線及びZ−Z’線に沿った断面構成が示されている。これら断面図において、X−X’線に沿った断面構成は、「TFT部」などに対応し、Y−Y’線に沿った断面構成は、「ゲート端子部」に対応し、Z−Z’線に沿った断面構成は、「ソース端子部」に対応する。図37〜図50では、図35及び図36に示される構成要素に対応する構成要素に、それと同一符号が付されている。なお、製造の最終工程図である図49及び図50は、図35及び図36に対応している。
<第3回目の写真製版工程:図37〜図46に示す工程>
<図37及び図38に示す工程>
上記実施の形態2に係るTFT基板の製造方法の第2回目までの写真製版工程(図19及び図20)を経て、酸化物半導体膜SE1及びエッチングストッパ層8などが基板1上に形成されている。これら酸化物半導体膜SE1及びエッチングストッパ層8上などに、ソース電極、ドレイン電極及び画素電極等の材料となる、上層導電膜M1及び下層導電膜C1を含む第2導電膜を成膜する。まず第2導電膜の下層導電膜C1として光透過性を有する酸化物からなる透明導電膜を成膜する。ここでは透明導電膜として、In2O3とZnOとを9:1の割合で混合したInZnOターゲットを用いて、ArガスにO2ガスを添加した混合ガスを用いたスパッタリング法でInZnO膜を100nmの厚さで成膜する。具体的にはO2/Arガス分圧比が1%の条件でスパッタリングを行い、2×10−4Ωcmの比抵抗値を有するInZnO膜からなる下層導電膜C1を成膜する。その後、下層導電膜C1の上に、第2導電膜の上層導電膜M1として、第1導電膜と同様にMo膜を200nmの厚さに成膜する。
<図37及び図38に示す工程>
上記実施の形態2に係るTFT基板の製造方法の第2回目までの写真製版工程(図19及び図20)を経て、酸化物半導体膜SE1及びエッチングストッパ層8などが基板1上に形成されている。これら酸化物半導体膜SE1及びエッチングストッパ層8上などに、ソース電極、ドレイン電極及び画素電極等の材料となる、上層導電膜M1及び下層導電膜C1を含む第2導電膜を成膜する。まず第2導電膜の下層導電膜C1として光透過性を有する酸化物からなる透明導電膜を成膜する。ここでは透明導電膜として、In2O3とZnOとを9:1の割合で混合したInZnOターゲットを用いて、ArガスにO2ガスを添加した混合ガスを用いたスパッタリング法でInZnO膜を100nmの厚さで成膜する。具体的にはO2/Arガス分圧比が1%の条件でスパッタリングを行い、2×10−4Ωcmの比抵抗値を有するInZnO膜からなる下層導電膜C1を成膜する。その後、下層導電膜C1の上に、第2導電膜の上層導電膜M1として、第1導電膜と同様にMo膜を200nmの厚さに成膜する。
その後、第2導電膜の上層導電膜M1上にフォトレジスト材を塗布し、3回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成する。図38に示されるように、フォトレジストパターンは、「TFT部」から「画素電極部」まで跨って形成されるフォトレジストパターンPR1と、「TFT部」に形成されるフォトレジストパターンPR2と、「ゲート配線×ソース配線の交差部」に形成されるフォトレジストパターンPR3と、「ソース端子部」に形成されるフォトレジストパターンPR4とが形成される。フォトレジストパターンPR1は、TFTのドレイン電極を形成するためのドレイン電極領域のフォトレジストパターンPR1aと、画素電極を形成するための画素電極領域のフォトレジストパターンPR1bとを含む。
図37に示されるように、TFTのソース電極を形成するためのフォトレジストパターンPR2と、ゲート配線との交差部を含みソース電極から延設されるソース配線を形成するためのフォトレジストパターンPR3と、ソース配線から延設されソース配線の一方の端部に配設されるソース端子を形成するためのフォトレジストパターンPR4とは、平面視で連続している。
フォトレジストパターンPR1とフォトレジストパターンPR2とは、エッチングストッパ層8上で互いに一定の距離だけ離間して対向するように形成される。この一定の距離を隔てた領域はTFTのチャネル領域の一部となる。チャネル領域を含む領域では、上層導電膜M1がフォトレジストパターンPR1,PR2と、第2絶縁膜からなるエッチングストッパ層8とで覆われてマスキングされる。
図38に示されるように、第1フォトレジストパターンであるフォトレジストパターンPR1a,PR2,PR3,PR4のそれぞれの厚さh1a,h2,h3,h4はほぼ同じである。一方、第2フォトレジストパターンである画素電極領域のフォトレジストパターンPR1bの厚さh1bは、厚さh1a,h2,h3,h4よりも薄くなっている。本実施の形態3では、厚さh1a,h2,h3,h4が約2.5μmであり、厚さh1bが約1.0μmである。なお、各々のフォトレジストパターンPR1a,PR2,PR3,PR4において、若干の厚さの差異があってもよい。このような差異は、フォトレジストが形成される表面の形状に起因して生じ得るものであり、例えば、第1導電膜または第2絶縁膜の膜厚程度の大きさである。
このように異なる厚さを有するフォトレジストパターンは、第2導電膜の上層導電膜M1上に、例えばノボラック系樹脂で構成されるほぼ均一な厚さを有するポジ型のフォトレジストを所望の最大膜厚(上記の例では2.5μm)となるように塗布形成した後に、当該フォトレジストを露光する時に露光量を多段階に制御することで形成することができる。すなわち、当該フォトレジスト露光時に、露光光を遮光する領域(フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4に対応した領域)と、露光光の強度を減光させて照射する領域(フォトレジストパターンPR1bに対応した領域)と、露光光を直接照射する領域と、に分けて露光処理を行う。その後、フォトレジストの現像処理を行うと、フォトレジストのうち、露光光が直接照射された領域の部分は完全に除去され、遮光された領域の部分は最大膜厚で残存し、減光された領域の部分の膜厚は低減される。このように露光量を多段階に制御する方法としては、グレイトーンまたはハーフトーンのフォトマスクを用いた公知のフォトリソグラフィープロセスを用いることができる。
<図39及び図40に示す工程>
次に、図39及び図40に示されるように、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとして、第2導電膜の上層導電膜M1及び下層導電膜C1を順に選択的にエッチングする。その後、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4及びエッチングストッパ層8をマスクとして酸化物半導体膜SE1を選択的にエッチングする。まず、PAN薬液によるウエットエッチング法を用いて、第2導電膜のMoからなる上層導電膜M1を選択的にエッチングする。続けて、シュウ酸5wt%濃度の水溶液を含む薬液によるウエットエッチング法を用いて、第2導電膜のInZnOからなる下層導電膜C1とInGaZnOからなる酸化物半導体膜SE1とを順に選択的にエッチングする。
次に、図39及び図40に示されるように、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとして、第2導電膜の上層導電膜M1及び下層導電膜C1を順に選択的にエッチングする。その後、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4及びエッチングストッパ層8をマスクとして酸化物半導体膜SE1を選択的にエッチングする。まず、PAN薬液によるウエットエッチング法を用いて、第2導電膜のMoからなる上層導電膜M1を選択的にエッチングする。続けて、シュウ酸5wt%濃度の水溶液を含む薬液によるウエットエッチング法を用いて、第2導電膜のInZnOからなる下層導電膜C1とInGaZnOからなる酸化物半導体膜SE1とを順に選択的にエッチングする。
このとき、上記実施の形態2においても述べたように、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとしてエッチングされる領域では、用いられる薬液によっては、フォトレジストパターン端部と第2導電膜の上層導電膜M1との界面の密着力が低下して、フォトレジストパターン端部が第2導電膜の上層導電膜M1の界面からわずかに剥離する場合がある。この剥離による隙間に薬液が入りこむことで、第2導電膜の上層導電膜M1のエッチング時に基板面と水平方向のエッチング(サイドエッチング)が進む。この結果、上層導電膜M1のエッチング端面がテーパー状になり、かつ、平面視でフォトレジストパターン端部よりも大きく内側に後退した態様でエッチングされてしまうことがある。このような状態で、第2導電膜の下層導電膜C1及び酸化物半導体膜SE1のエッチングを続けると、さらに薬液がフォトレジストパターン端部の剥離部へ染み込み、第2導電膜の上層導電膜M1の端面がフォトレジストパターン端部から大きく内側に後退した領域内へも薬液が浸入しながらエッチングが進行する。この結果、第2導電膜の下層導電膜C1及び酸化物半導体膜SE1のエッチング端面もテーパー状に仕上がってしまう場合がある。
すなわち、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとしてエッチングされた第2導電膜の上層導電膜M1及び下層導電膜C1並びに酸化物半導体膜SE1のエッチング端面が、テーパー状に形成される場合がある。
しかしながら本実施の形態3の製造方法によれば、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとして、第2導電膜(上層導電膜M1及び下層導電膜C1)のエッチングが完了した後、チャネル対応部分CNを形成するための酸化物半導体膜SE1のエッチングは、エッチングストッパ層8などをマスクとして行われることになる。エッチングストッパ層8と酸化物半導体膜SE1との密着力は強固であるため、エッチングストッパ層8のパターン端部はエッチングの薬液によって酸化物半導体膜SE1から剥離されることはない。従って、チャネル対応部分CNの端面が概ねテーパー状になることはなく、最終的にチャネル対応部分CNの外縁形状とエッチングストッパ層8の外縁形状とがほぼ同一形状となるパターニングを行うことができる。
なお、適宜エッチング時間を十分に長くすれば、酸化物半導体膜SE1のパターン端面を平面視でエッチングストッパ層8のパターン端面よりも内側に後退させることは可能である。つまり、最終的にチャネル対応部分CN及びエッチングストッパ層8の端面を図12に示されるような形状に仕上げることによって、チャネル対応部分CNの露出ができるだけ少なくなるような構成を形成することは可能である。
<図41及び図42に示す工程>
その後、図42の複数の矢印に示されるように、基板1の上面全体にO2プラズマを照射して、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をアッシング(Ashing)する。これにより厚さが薄いフォトレジストパターンPR1bが完全に除去され、「画素電極部」において上層導電膜M1が露出する。また、厚さが厚いフォトレジストPR1a,PR2,PR3,PR4は薄膜化し(後退し)、図41及び図42に示されるように、それぞれの厚さがh1a’,h2’,h3’,h4’である後退されたフォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’が形成される。なお、アッシングによる薄膜化に伴い、フォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’の外縁形状は、平面視で元のフォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4の外縁形状に比べて、全体的に内側に後退して縮小化される。一方、TFTのチャネル対応部分CNを形成するためのマスクとなるエッチングストッパ層8は、膜厚及び形状ともにほとんど変化せず、O2プラズマの照射によりO原子が供給されてさらに酸化される。これにより、エッチングストッパ層8は、化学量論比のSiO2に近い、化学的に安定なSiO膜となる。
その後、図42の複数の矢印に示されるように、基板1の上面全体にO2プラズマを照射して、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をアッシング(Ashing)する。これにより厚さが薄いフォトレジストパターンPR1bが完全に除去され、「画素電極部」において上層導電膜M1が露出する。また、厚さが厚いフォトレジストPR1a,PR2,PR3,PR4は薄膜化し(後退し)、図41及び図42に示されるように、それぞれの厚さがh1a’,h2’,h3’,h4’である後退されたフォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’が形成される。なお、アッシングによる薄膜化に伴い、フォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’の外縁形状は、平面視で元のフォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4の外縁形状に比べて、全体的に内側に後退して縮小化される。一方、TFTのチャネル対応部分CNを形成するためのマスクとなるエッチングストッパ層8は、膜厚及び形状ともにほとんど変化せず、O2プラズマの照射によりO原子が供給されてさらに酸化される。これにより、エッチングストッパ層8は、化学量論比のSiO2に近い、化学的に安定なSiO膜となる。
<図43及び図44に示す工程>
次に、図43及び図44に示されるように、フォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’をマスクとして、第2導電膜のMoからなる上層導電膜M1を選択的にエッチングすることによりパターニングする。このエッチングには、例えばPAN薬液によるウエットエッチング法が用いられる。これにより、「画素電極部」に、酸化物半導体膜SE1と、第2導電膜の下層導電膜C1との積層膜からなる画素電極が形成される。酸化物半導体膜SE1も第2導電膜の下層導電膜C1も光透過性を有するため、「画素電極部」では光透過性を有する透過型の電極が形成される。
次に、図43及び図44に示されるように、フォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’をマスクとして、第2導電膜のMoからなる上層導電膜M1を選択的にエッチングすることによりパターニングする。このエッチングには、例えばPAN薬液によるウエットエッチング法が用いられる。これにより、「画素電極部」に、酸化物半導体膜SE1と、第2導電膜の下層導電膜C1との積層膜からなる画素電極が形成される。酸化物半導体膜SE1も第2導電膜の下層導電膜C1も光透過性を有するため、「画素電極部」では光透過性を有する透過型の電極が形成される。
<図45及び図46に示す工程>
その後、フォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’を除去する。これにより、図45及び図46に示されるように、「TFT部」では、酸化物半導体膜SE1からなる半導体層7と、第2導電膜M0からなるソース配線11及びドレイン電極10とが形成される。
その後、フォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’を除去する。これにより、図45及び図46に示されるように、「TFT部」では、酸化物半導体膜SE1からなる半導体層7と、第2導電膜M0からなるソース配線11及びドレイン電極10とが形成される。
半導体層7は、平面視において少なくとも一部がゲート電極2と重なるようにゲート絶縁層6上に形成される。エッチングストッパ層8は、平面視において半導体層7の両側部分の間の領域のうちゲート電極2と重なる領域上に形成される。
上層導電膜M1からなるソース配線11のソース電極9は、半導体層7の上記両側部分の一方及びエッチングストッパ層8の一部上に形成される。ソース電極9下には、下層導電膜C1からなる下層ソース電極9Cが形成されている。上層導電膜M1からなるドレイン電極10は、半導体層7の上記両側部分の他方及びエッチングストッパ層8の一部上に形成される。ドレイン電極10下には、下層導電膜C1からなる下層ドレイン電極10Cが形成されている。そして、ソース電極9及び下層ソース電極9Cと、ドレイン電極10及び下層ドレイン電極10Cとは、エッチングストッパ層8上で互いに一定の距離だけ離間して対向するように形成される。
半導体層7(酸化物半導体膜SE1)は、エッチングストッパ層8、ソース配線11(ソース電極9,ソース端子12)、ドレイン電極10、下層ソース配線11C(下層ソース電極9C,下層ソース端子12C)及び下層ドレイン電極10Cを含む構造体の下面全体にわたって形成されている。すなわち、平面視において、半導体層7の形状は、エッチングストッパ層8、ソース配線11ドレイン電極10、下層ソース配線11C及び下層ドレイン電極10Cを含む構造体の平面視での形状によって規定されている。そして、半導体層7のうちエッチングストッパ層8と接する領域がTFTのチャネル領域CNとして機能する。
図45において、本実施の形態3のTFTの平面構成では、本実施の形態1,2のTFTと同様に、エッチングストッパ層8の長さLe1は、ソース電極9及びドレイン電極10のそれぞれの幅Wsdよりも長くなっている。これにより、半導体層7のうちのチャネル対応部分CN、及び、エッチングストッパ層8のそれぞれは、ソース電極9及びドレイン電極10からソース電極9及びドレイン電極10の幅方向に突出している。
図45及び図46において、下層導電膜C1(透明導電膜)からなる下層ドレイン電極10Cは、その下の半導体層7(酸化物半導体膜SE1)と接した状態で「画素電極部」まで延設されている。一方、上層導電膜M1からなるドレイン電極10は、「画素電極部」において除去されている。これにより、「画素電極部」では、酸化物半導体膜SE1からなる下層画素電極20Sと、下層ドレイン電極10Cと同じ下層導電膜C1(透明導電膜)からなる画素電極20との積層構造が、画素電極として機能する。酸化物半導体膜SE1も下層導電膜C1も光透過性を有するため、「画素電極部」では光透過性を有する透過型の電極が形成される。
「画素電極部」の下層導電膜C1である画素電極20は、平面視でゲート配線3、共通電極5及び隣接する2本のソース配線11で囲まれる領域に概ね形成される。また本実施の形態3では、平面視において画素電極20の一部が、共通電極5の一部と重なるように形成されている。これによりゲート絶縁層6を挟んで対向する画素電極20と共通電極5との間で画素電極20の保持容量が形成される。
「TFT部」では、上層導電膜M1からなるソース電極9と、下層導電膜C1からなる下層ソース電極9Cとの積層構成が、ソース配線11からソース端子12まで連続的に延設されている。すなわち、上層導電膜M1からなるソース配線11は、下層導電膜C1からなる下層ソース配線11Cに積層されており、上層導電膜M1からなるソース端子12は、下層導電膜C1からなる下層ソース端子12Cに積層されている。また、半導体層7が、下層ソース配線11C及び下層ソース端子12Cなどの下面全体にわたって形成されており、それぞれの部分が、最下層ソース配線11S及び最下層ソース端子12Sとして形成される。このような構成によれば、膜中の異物やパターニング不良に起因するソース配線やソース端子の断線不良を低減することができる。
<第4回目の写真製版工程:図47及び図48に示す工程>
次に、基板1の上面全面に、層間絶縁層21の材料である第3絶縁膜を成膜する。本実施の形態3では、第3絶縁膜として、上記実施の形態2と同様にSiN膜を200nmの厚さで成膜する。SiN膜は、H原子を多く含むので、酸化物半導体膜からなる半導体層7を還元させて特性を劣化させるが、本実施の形態3ではチャネル対応部分CNの大部分が、SiO膜からなるエッチングストッパ層8で覆われるため、SiN膜の単層で形成することができる。さらに本実施の形態3では、第3回目の写真製版工程において、フォトレジストをアッシングするためのO2プラズマ照射時に、エッチングストッパ層8のSiO膜にO原子が供給されて化学的に安定なSiO膜が形成されているので、SiN膜による還元作用の影響をさらに強力に抑制できる。もちろん、SiN膜を成膜する前に、エッチングストッパ層8上にSiO膜等のO原子を含む酸化物絶縁膜を成膜してもよい。
次に、基板1の上面全面に、層間絶縁層21の材料である第3絶縁膜を成膜する。本実施の形態3では、第3絶縁膜として、上記実施の形態2と同様にSiN膜を200nmの厚さで成膜する。SiN膜は、H原子を多く含むので、酸化物半導体膜からなる半導体層7を還元させて特性を劣化させるが、本実施の形態3ではチャネル対応部分CNの大部分が、SiO膜からなるエッチングストッパ層8で覆われるため、SiN膜の単層で形成することができる。さらに本実施の形態3では、第3回目の写真製版工程において、フォトレジストをアッシングするためのO2プラズマ照射時に、エッチングストッパ層8のSiO膜にO原子が供給されて化学的に安定なSiO膜が形成されているので、SiN膜による還元作用の影響をさらに強力に抑制できる。もちろん、SiN膜を成膜する前に、エッチングストッパ層8上にSiO膜等のO原子を含む酸化物絶縁膜を成膜してもよい。
その後、第3絶縁膜上にフォトレジスト材を塗布し、4回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第3絶縁膜であるSiN膜をエッチングすることによりパターニングする。このエッチングには、SF6にO2を加えたガスを用いたドライエッチング法を用いることができる。
その後、フォトレジストパターンを除去すると、図47及び図48に示されるように、層間絶縁層21が形成される。「画素電極部」では、共通電極5の表面を露出させるように、ゲート絶縁層6及び層間絶縁層21に共通電極部コンタクトホール22が形成される。また「ゲート端子部」では、ゲート端子4の表面を露出させるように、ゲート絶縁層6及び層間絶縁層21にゲート端子部コンタクトホール23が形成される。さらに「ソース端子部」では、ソース端子12の表面を露出させるように、層間絶縁層21にソース端子部コンタクトホール24が形成される。
<第5回目の写真製版工程:図49及び図50に示す工程>
次に、基板1の上面全面に、対向電極25等の材料となる第3導電膜を成膜する。本実施の形態3では、第3導電膜として第2導電膜の下層導電膜C1と同じ酸化物の透明導電膜であるInZnO膜を用いる。ここでは第2導電膜の下層導電膜C1と同様にして、InZnO膜を100nmの厚さに成膜する。
次に、基板1の上面全面に、対向電極25等の材料となる第3導電膜を成膜する。本実施の形態3では、第3導電膜として第2導電膜の下層導電膜C1と同じ酸化物の透明導電膜であるInZnO膜を用いる。ここでは第2導電膜の下層導電膜C1と同様にして、InZnO膜を100nmの厚さに成膜する。
その後、第3導電膜上にフォトレジスト材を塗布し、5回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第3導電膜であるInZnO膜をエッチングすることによりパターニングする。このエッチングには、シュウ酸5wt%の薬液によるウエットエッチング法を用いることができる。
その後、フォトレジストパターンを除去すると、図49及び図50に示されるように、「画素電極部」では、画素電極20に重なる領域の層間絶縁層21の上に、第3導電膜からなる対向電極25が形成される。対向電極25の一部は、共通電極部コンタクトホール22を通して下方の共通電極5と電気的に接続されており、一定の電位が印加できるように形成されている。
図49において、対向電極25は、平面視で画素電極20の大部分と重なるように形成されている。また対向電極25は、上記実施の形態2と同様に、ゲート配線3、共通電極5及び隣接する2本のソース配線11に囲まれてなる複数の画素領域に跨っており、各画素領域の対向電極25同士が接続されるように連続した形状を有している。これにより、例えばひとつの画素領域の共通電極部コンタクトホール22において、共通電極5と対向電極25との接触(コンタクト)不良による共通電位信号の導通不良が生じたとしても、隣接した画素領域からの共通電位信号が当該対向電極25に供給される。このため、画素単位の表示不良(点欠陥)の発生を抑制することができる。
対向電極25にはスリット状の開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極20と対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。このため本実施の形態3に係るTFT基板は、横電界駆動仕様であるFFSモードのLCDに適用可能となる。なお、対向電極25には、スリット状の開口部SLの代わりに櫛歯形状を設けてもよい。
図49及び図50において、「ゲート端子部」及び「ソース端子部」では、層間絶縁層21に設けられたゲート端子部コンタクトホール23及びソース端子部コンタクトホール24の領域に、第3導電膜からなるゲート端子パッド26及びソース端子パッド27が、それぞれ形成されている。
本実施の形態3では、対向電極25などの第3導電膜として、酸化物からなる透明導電膜を用いる。これにより、「画素電極部」を、画素電極20及び対向電極25がともに光透過性を有する透過型の電極として形成することができ、画素電極領域の開口透過率を向上させることができる。また、「ゲート端子部」または「ソース端子部」において、信号入力のための駆動用IC端子と、ゲート端子またはソース端子との剥がれを抑制できるので、信頼性の高いIC実装を実現することができる。
本実施の形態3に係るTFT及びTFT基板は、以上の工程を経て製造が完了され、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板として用いることができる。
液晶表示パネルの組み立ての際は、完成したTFT基板の表面に配向膜やスペーサを形成する。配向膜は、液晶を配列させるための膜であり、ポリイミド等で構成される。また、別途作製したカラーフィルタ及び配向膜等を備えた対向基板を、本実施の形態3のTFT基板と貼り合わせる。このときスペーサによってTFT基板と対向基板との間に隙間が形成され、その隙間に液晶層を封止することによって、FFSモードなどの横電界方式の液晶表示パネルが形成される。最後に、液晶表示パネルの外側に偏光板、位相差板、駆動回路及びバックライトユニット等を配設することによってLCDが完成する。
<実施の形態3のまとめ>
本実施の形態3に係るTFT及びTFT基板の製造方法によれば、「TFT部」に上記実施の形態1及びその変形例と同じ構成のES型の酸化物TFTを形成することができるので、良好な特性及び高い信頼性を有する酸化物TFTを製造することができる。
本実施の形態3に係るTFT及びTFT基板の製造方法によれば、「TFT部」に上記実施の形態1及びその変形例と同じ構成のES型の酸化物TFTを形成することができるので、良好な特性及び高い信頼性を有する酸化物TFTを製造することができる。
また、2回目の写真製版工程で、酸化物半導体膜SE1上にパターニングされたエッチングストッパ層8を形成した後、3回目の写真製版工程で、半導体層7、ソース電極9、ドレイン電極10及び画素電極20を一括して形成することができる。このため、ES型の酸化物TFTを備えたFFSモードなどの横電界方式のLCD用TFT基板を、上記実施の形態2よりも1回少ない5回の写真製版工程で製造することができる。このため、さらなる生産性の向上及び低コスト化が期待できる。
なお、本実施の形態3では、横電界方式のLCD用TFT基板の構成及び製造方法について説明したが、対向電極25を形成する前の4回目の写真製版工程まで完了したTFT基板を用いることで、ES型の酸化物TFTを備えたTNモードなどの縦電界方式のLCD用TFT基板を製造することも可能である。
このようなTNモードの液晶表示パネルの組み立ての際、完成したTFT基板の表面に配向膜やスペーサを形成する。また、別途作製したカラーフィルタ、配向膜及び対向電極等を備えた対向基板を、当該TFT基板と貼り合わせる。このときスペーサによってTFT基板と対向基板との間に隙間が形成され、その隙間に液晶層を封止することによって、縦電界方式のTNモードの液晶表示パネルが形成される。最後に、液晶表示パネルの外側に偏光板、位相差板、駆動回路及びバックライトユニット等を配設することによってLCDが完成する。
<実施の形態3の変形例>
<構造>
本実施の形態3に係るTFT基板においても、上記実施の形態2の変形例と同様に、ゲート配線3とソース配線11とが交差する「ゲート配線×ソース配線の交差部」の領域に、絶縁層であるエッチングストッパ層13が配設されてもよい。このエッチングストッパ層13の絶縁材料は、TFTのチャネル領域CNに配設されたエッチングストッパ層8の絶縁材料と同じ第2絶縁膜である。
<構造>
本実施の形態3に係るTFT基板においても、上記実施の形態2の変形例と同様に、ゲート配線3とソース配線11とが交差する「ゲート配線×ソース配線の交差部」の領域に、絶縁層であるエッチングストッパ層13が配設されてもよい。このエッチングストッパ層13の絶縁材料は、TFTのチャネル領域CNに配設されたエッチングストッパ層8の絶縁材料と同じ第2絶縁膜である。
エッチングストッパ層13は、ゲート配線3及び共通電極5とソース配線11とが交差する領域に、島状パターンで配設される。このエッチングストッパ層13によって、ゲート配線3の厚みに起因する凸部の段差形状が緩やかになるように緩和される。このため、段差部におけるソース配線11のカバレッジが改善されるので、段差部におけるソース配線11の断線不良を低減することが可能となる。
<実施の形態4>
<構造>
本発明の実施の形態4に係るTFT及びTFT基板は、上記実施の形態3において「画素電極部」に配設される画素電極の膜構成を変えたものである。図51及び図52を参照して、本実施の形態4に係るTFT及びTFT基板の構成について説明する。図51は、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板における画素部、画素部(画素表示領域)の外側のゲート端子部、及びソース端子部の平面構成を示す図であり、図52は、その断面構成を示す図である。図52では、図51に示すX−X’線、Y−Y’線及びZ−Z’線に沿った断面構成が示されている。X−X’線に沿った断面構成は、TFTの配設領域「TFT部」と、画素電極120Sを含む画素の配設領域「画素電極部」と、ゲート配線3とソース配線11とが交差する領域「ゲート配線×ソース配線の交差部」とに対応する。Y−Y’線に沿った断面構成は、ゲート配線3にゲート信号を供給するための領域「ゲート端子部」に対応する。Z−Z’線に沿った断面構成は、ソース配線11に表示信号を印加するための領域「ソース端子部」に対応する。
<構造>
本発明の実施の形態4に係るTFT及びTFT基板は、上記実施の形態3において「画素電極部」に配設される画素電極の膜構成を変えたものである。図51及び図52を参照して、本実施の形態4に係るTFT及びTFT基板の構成について説明する。図51は、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板における画素部、画素部(画素表示領域)の外側のゲート端子部、及びソース端子部の平面構成を示す図であり、図52は、その断面構成を示す図である。図52では、図51に示すX−X’線、Y−Y’線及びZ−Z’線に沿った断面構成が示されている。X−X’線に沿った断面構成は、TFTの配設領域「TFT部」と、画素電極120Sを含む画素の配設領域「画素電極部」と、ゲート配線3とソース配線11とが交差する領域「ゲート配線×ソース配線の交差部」とに対応する。Y−Y’線に沿った断面構成は、ゲート配線3にゲート信号を供給するための領域「ゲート端子部」に対応する。Z−Z’線に沿った断面構成は、ソース配線11に表示信号を印加するための領域「ソース端子部」に対応する。
図51において、画素部は、「TFT部」と、「画素電極部」と、「ゲート配線×ソース配線の交差部」とを含んでいる。本実施の形態4では、上記実施の形態3とは異なり、「画素電極部」に配設される透過型の下層導電膜からなる下層ドレイン電極10C(図35)が省略されている。そして本実施の形態4では、半導体層7(酸化物半導体膜SE1)のうち導電特性が付与された領域によって透過型の画素電極120Sが配設されている。
また図51及び図52に示されるように、ソース電極9から延設されたソース配線11、及びソース配線11の一方の端部に配設されるソース端子12に至る下面全体には、それぞれ酸化物半導体膜SE1からなり導電特性が付与された最下層ソース配線111S及び最下層ソース端子112Sが配設されている。これにより、膜中の異物やパターニング不良に起因するソース配線やソース端子の断線不良を低減することができる。
以上のように、本実施の形態4に係るTFT及びTFT基板は、画素電極に固有の透明導電膜の代わりに、光透過性を有する酸化物半導体膜SE1のうち導体化させた部分を画素電極120Sとして有する。これにより、良好な特性及び高い信頼性を有するES型の酸化物TFTを備えたFFSモードなどの横電界方式のLCD用TFT基板の製造工程が簡略化されるので、上記実施の形態3よりも生産性の向上及び低コスト化が期待できる。
<製造方法>
次に、本実施の形態4に係るTFT基板の製造方法について、図面を参照して説明する。本実施の形態4に係るTFT基板の製造方法においては、ゲート電極2等が形成される第1回目の写真製版工程と、エッチングストッパ層8等が形成される第2回目の写真製版工程とは、上記実施の形態2のTFT基板と同じ製造方法を用いることができる。このため、以下の説明では、これらの説明は省略し、第3回目の写真製版工程から図面を参照して説明する。
次に、本実施の形態4に係るTFT基板の製造方法について、図面を参照して説明する。本実施の形態4に係るTFT基板の製造方法においては、ゲート電極2等が形成される第1回目の写真製版工程と、エッチングストッパ層8等が形成される第2回目の写真製版工程とは、上記実施の形態2のTFT基板と同じ製造方法を用いることができる。このため、以下の説明では、これらの説明は省略し、第3回目の写真製版工程から図面を参照して説明する。
図53〜図66のうち図53などの奇数番号の図は、本実施の形態4に係るTFT基板の製造工程を示す平面図である。図53〜図66のうち図54などの偶数番号の図は、本実施の形態4に係るTFT基板の製造工程を示す断面図であり、対応する平面図に示すX−X’線、Y−Y’線及びZ−Z’線に沿った断面構成が示されている。これら断面図において、X−X’線に沿った断面構成は、「TFT部」などに対応し、Y−Y’線に沿った断面構成は、「ゲート端子部」に対応し、Z−Z’線に沿った断面構成は、「ソース端子部」に対応する。図53〜図66では、図51及び図52に示される構成要素に対応する構成要素に、それと同一符号が付されている。なお、製造の最終工程図である図65及び図66は、図51及び図52に対応している。
<第3回目の写真製版工程:図53〜図62に示す工程>
<図53及び図54に示す工程>
上記実施の形態2に係るTFT基板の製造方法の第2回目までの写真製版工程(図19及び図20)を経て、酸化物半導体膜SE1及びエッチングストッパ層8などが基板1上に形成されている。これら酸化物半導体膜SE1及びエッチングストッパ層8上などに、ソース電極及びドレイン電極及び画素電極等の材料となる、第2導電膜M2を成膜する。ここでは第2導電膜M2を、第1導電膜と同様にして金属のMo膜を200nmの厚さに成膜する。
<図53及び図54に示す工程>
上記実施の形態2に係るTFT基板の製造方法の第2回目までの写真製版工程(図19及び図20)を経て、酸化物半導体膜SE1及びエッチングストッパ層8などが基板1上に形成されている。これら酸化物半導体膜SE1及びエッチングストッパ層8上などに、ソース電極及びドレイン電極及び画素電極等の材料となる、第2導電膜M2を成膜する。ここでは第2導電膜M2を、第1導電膜と同様にして金属のMo膜を200nmの厚さに成膜する。
その後、第2導電膜M2上にフォトレジスト材を塗布し、3回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成する。図54に示されるように、フォトレジストパターンは、「TFT部」から「画素電極部」まで跨って形成されるフォトレジストパターンPR1と、「TFT部」に形成されるフォトレジストパターンPR2と、「ゲート配線×ソース配線の交差部」に形成されるフォトレジストパターンPR3と、「ソース端子部」に形成されるフォトレジストパターンPR4が形成される。フォトレジストパターンPR1は、TFTのドレイン電極を形成するためのドレイン電極領域のフォトレジストパターンPR1aと、画素電極を形成するための画素電極領域のフォトレジストパターンPR1bとを含む。
図53に示されるように、TFTのソース電極を形成するためのフォトレジストパターンPR2と、ゲート配線との交差部を含みソース電極から延設されるソース配線を形成するためのフォトレジストパターンPR3と、ソース配線から延設されソース配線の一方に端部に配設されるソース端子を形成するためのフォトレジストパターンPR4とは、平面視で連続している。
フォトレジストパターンPR1とフォトレジストパターンPR2とは、エッチングストッパ層8上で互いに一定の距離だけ離間して対向するように形成される。この一定の距離を隔てた領域はTFTのチャネル領域の一部となる。チャネル領域を含む領域では、第2導電膜M2がフォトレジストパターンPR1,PR2と、第2絶縁膜からなるエッチングストッパ層8とで覆われてマスキングされる。
図54に示されるように、第1フォトレジストパターンであるフォトレジストパターンPR1a,PR2,PR3,PR4のそれぞれの厚さh1a,h2,h3,h4はほぼ同じである。一方、第2フォトレジストパターンである画素電極領域のフォトレジストパターンPR1bの厚さh1bは、厚さh1a,h2,h3,h4よりも薄くなっている。本実施の形態4では、厚さh1a,h2,h3,h4が約2.5μmであり、厚さh1bが約1.0μmである。なお、各々のフォトレジストパターンPR1a,PR2,PR3,PR4において、若干の厚さの差異があってもよい。このような差異は、フォトレジストが形成される表面の形状に起因して生じ得るものであり、例えば、第1導電膜または第2絶縁膜の膜厚程度の大きさである。
このように異なる厚さを有するフォトレジストパターンは、第2導電膜M2上に、例えばノボラック系樹脂で構成されるほぼ均一な厚さを有するポジ型フォトレジストを所望の最大膜厚(上記の例では2.5μm)となるように塗布形成した後に、当該フォトレジストを露光する時に露光量を多段階に制御することで形成することができる。すなわち、当該フォトレジスト露光時に、露光光を遮光する領域(フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4に対応した領域)と、露光光の強度を減光させて照射する領域(フォトレジストパターンPR1bに対応した領域)と、露光光を直接照射する領域と、に分けて露光処理を行う。その後、フォトレジストの現像処理を行うと、フォトレジストのうち、露光光が直接照射された領域の部分は完全に除去され、遮光された領域の部分は最大膜厚で残存し、減光された領域の部分の膜厚は低減される。このように露光量を多段階に制御する方法としては、グレイトーンまたはハーフトーンのフォトマスクを用いた公知のフォトリソグラフィープロセスを用いることができる。
<図55及び図56に示す工程>
次に、図55及び図56に示されるように、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとして、第2導電膜M2を選択的にエッチングする。その後、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4及びエッチングストッパ層8をマスクとして酸化物半導体膜SE1を選択的にエッチングする。まず、PAN薬液によるウエットエッチング法を用いて、Moからなる第2導電膜M2を選択的にエッチングする。続けて、シュウ酸5wt%濃度の水溶液を含む薬液によるウエットエッチング法を用いて、InGaZnOからなる酸化物半導体膜SE1を選択的にエッチングする。
次に、図55及び図56に示されるように、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとして、第2導電膜M2を選択的にエッチングする。その後、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4及びエッチングストッパ層8をマスクとして酸化物半導体膜SE1を選択的にエッチングする。まず、PAN薬液によるウエットエッチング法を用いて、Moからなる第2導電膜M2を選択的にエッチングする。続けて、シュウ酸5wt%濃度の水溶液を含む薬液によるウエットエッチング法を用いて、InGaZnOからなる酸化物半導体膜SE1を選択的にエッチングする。
このとき、上記実施の形態2においても述べたように、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとしてエッチングされる領域では、用いられる薬液によっては、フォトレジストパターン端部と第2導電膜M2との界面の密着力が低下して、フォトレジストパターン端部が第2導電膜M2の界面からわずかに剥離する場合がある。この剥離による隙間に薬液が入りこむことで、第2導電膜M2のエッチング時に基板面と水平方向のエッチング(サイドエッチング)が進む。この結果、第2導電膜M2のエッチング端面がテーパー状になり、かつ、平面視でフォトレジストパターン端部よりも大きく内側に後退した態様でエッチングされてしまうことがある。このような状態で、酸化物半導体膜SE1のエッチングを続けると、さらに薬液がフォトレジストパターン端部の剥離部へ染み込み、第2導電膜M2の端面がフォトレジストパターン端部から大きく内側に後退した領域内へも薬液が浸入しながらエッチングが進行する。この結果、酸化物半導体膜SE1のエッチング端面もテーパー状に仕上がってしまう場合がある。
すなわち、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとしてエッチングされた第2導電膜M2及び酸化物半導体膜SE1のエッチング端面が、テーパー状に形成される場合がある。
しかしながら本実施の形態4の製造方法によれば、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をマスクとして、第2導電膜M2のエッチングが完了した後、チャネル対応部分CNを形成するための酸化物半導体膜SE1のエッチングは、エッチングストッパ層8などをマスクとして行われることになる。エッチングストッパ層8と酸化物半導体膜SE1との密着力は強固であるため、エッチングストッパ層8のパターン端部はエッチングの薬液によって酸化物半導体膜SE1から剥離されることはない。従って、チャネル対応部分CNの端面が概ねテーパー状になることはなく、最終的にチャネル対応部分CNの外縁形状とエッチングストッパ層8の外縁形状とがほぼ同一形状となるパターニングを行うことができる。
なお、適宜エッチング時間を十分に長くすれば、酸化物半導体膜SE1のパターン端面を平面視でエッチングストッパ層8のパターン端面よりも内側に後退させることは可能である。つまり、最終的にチャネル対応部分CN及びエッチングストッパ層8の端面を図12に示されるような形状に仕上げることによって、チャネル対応部分CNの露出ができるだけ少なくなるような構成を形成することは可能である。
<図57及び図58に示す工程>
その後、図58の複数の矢印に示されるように、基板1上の上面全体にO2プラズマを照射して、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をアッシングする。これにより厚さが薄いフォトレジストパターンPR1bが完全に除去され、「画素電極部」において第2導電膜M2が露出する。また、厚さが厚いフォトレジストPR1a,PR2,PR3,PR4は薄膜化し(後退し)、図57及び図58に示されるように、それぞれの厚さがh1a’,h2’,h3’,h4’である後退されたフォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’が形成される。なお、アッシングによる薄膜化に伴い、フォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’の外縁形状は、平面視で元のフォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4の外縁形状に比べて、全体的に内側に後退して縮小化される。一方、TFTのチャネル対応部分CNを形成するためのマスクとなるエッチングストッパ層8は、膜厚及び形状ともにほとんど変化せず、O2プラズマの照射によりO原子が供給されてさらに酸化される。これにより、エッチングストッパ層8は、化学量論比のSiO2に近い、化学的に安定なSiO膜となる。
その後、図58の複数の矢印に示されるように、基板1上の上面全体にO2プラズマを照射して、フォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4をアッシングする。これにより厚さが薄いフォトレジストパターンPR1bが完全に除去され、「画素電極部」において第2導電膜M2が露出する。また、厚さが厚いフォトレジストPR1a,PR2,PR3,PR4は薄膜化し(後退し)、図57及び図58に示されるように、それぞれの厚さがh1a’,h2’,h3’,h4’である後退されたフォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’が形成される。なお、アッシングによる薄膜化に伴い、フォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’の外縁形状は、平面視で元のフォトレジストパターンPR1,PR2,PR3,PR4の外縁形状に比べて、全体的に内側に後退して縮小化される。一方、TFTのチャネル対応部分CNを形成するためのマスクとなるエッチングストッパ層8は、膜厚及び形状ともにほとんど変化せず、O2プラズマの照射によりO原子が供給されてさらに酸化される。これにより、エッチングストッパ層8は、化学量論比のSiO2に近い、化学的に安定なSiO膜となる。
<図59及び図60に示す工程>
次に、図59及び図60に示されるように、フォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’をマスクとして、Moからなる第2導電膜M2を選択的にエッチングすることによりパターニングする。このエッチングには、例えばPAN薬液によるウエットエッチング法が用いられる。これにより、「画素電極部」において、第2導電膜M2が除去され、酸化物半導体膜SE1が残る。
次に、図59及び図60に示されるように、フォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’をマスクとして、Moからなる第2導電膜M2を選択的にエッチングすることによりパターニングする。このエッチングには、例えばPAN薬液によるウエットエッチング法が用いられる。これにより、「画素電極部」において、第2導電膜M2が除去され、酸化物半導体膜SE1が残る。
<図61及び図62に示す工程>
その後、フォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’を除去する。その後、図62の複数の矢印に示されるように、例えば低圧水銀灯を用いて、基板1に対して裏面側から全面に紫外線(UV)光を照射する。この処理を行うことで、基板1を透過したUV光が照射される酸化物半導体膜SE1が選択的に導電化される。これにより、酸化物半導体膜SE1のうちUV光が照射された部分の電気抵抗が低減し、その部分は半導体から導電体に変化する。このときの導電体の比抵抗値は、1×10−2Ω・cm以下であることが好ましく、1×10−3Ω・cm以下であることがさらに好ましい。このような酸化物半導体膜SE1の導電化された部分が、画素電極120Sと、ソース配線11の下層である最下層ソース配線111Sと、ソース端子12の下層である最下層ソース端子112Sとなる。
その後、フォトレジストパターンPR1a’,PR2’,PR3’,PR4’を除去する。その後、図62の複数の矢印に示されるように、例えば低圧水銀灯を用いて、基板1に対して裏面側から全面に紫外線(UV)光を照射する。この処理を行うことで、基板1を透過したUV光が照射される酸化物半導体膜SE1が選択的に導電化される。これにより、酸化物半導体膜SE1のうちUV光が照射された部分の電気抵抗が低減し、その部分は半導体から導電体に変化する。このときの導電体の比抵抗値は、1×10−2Ω・cm以下であることが好ましく、1×10−3Ω・cm以下であることがさらに好ましい。このような酸化物半導体膜SE1の導電化された部分が、画素電極120Sと、ソース配線11の下層である最下層ソース配線111Sと、ソース端子12の下層である最下層ソース端子112Sとなる。
UV光としては、酸化物半導体膜SE1を効率よく導体化できるように、450nm以下の波長領域に強度ピークを有する光を用いことが好ましい。なお、本実施の形態4では低圧水銀灯を照射したが、これに限られることなく、例えば紫外線レーザー光等を用いることもできる。
一方、図61の平面視において、酸化物半導体膜SE1のうちゲート電極2、ゲート配線3及び共通電極5と重なる領域は、基板裏面からのUV光が遮光されるため半導体としての特性が維持される。このため、図61及び図62に示されるように、「TFT部」では、酸化物半導体膜SE1のうちゲート電極2と重なる部分であってエッチングストッパ層8下の部分を、半導体層7として残存させることができる。つまり、半導体層7は、平面視において少なくとも一部がゲート電極2と重なるようにゲート絶縁層6上に形成される。エッチングストッパ層8は、平面視において半導体層7の両側部分の間の領域のうちゲート電極2と重なる領域上に形成される。
さらに「TFT部」では、第2導電膜M2からなるソース配線11のソース電極9は、半導体層7の上記両側部分の一方及びエッチングストッパ層8の一部上に形成される。第2導電膜M2からなるドレイン電極10は、半導体層7の上記両側部分の他方及びエッチングストッパ層8の一部上に形成される。そして、ソース電極9及びドレイン電極10は、エッチングストッパ層8上で互いに一定の距離だけ離間して対向するように形成される。
半導体層7は、エッチングストッパ層8、ソース配線11(ソース電極9,ソース端子12)及びドレイン電極10を含む構造体の下面全体にわたって形成されている。すなわち、平面視において、半導体層7の形状は、エッチングストッパ層8、ソース配線11及びドレイン電極10を含む構造体の平面視での形状によって規定されている。そして、半導体層7のうちエッチングストッパ層8と接する領域がTFTのチャネル領域CNとして機能する。
図61において、本実施の形態4のTFTの平面構成では、本実施の形態1乃至3のTFTと同様に、エッチングストッパ層8の長さLe1は、ソース電極9及びドレイン電極10の幅Wsdよりも長くなっている。これにより、半導体層7のうちのチャネル対応部分CN、及び、エッチングストッパ層8のそれぞれは、ソース電極9及びドレイン電極10からソース電極9及びドレイン電極10の幅方向に突出している。
図61及び図62において、半導体層7から連続し、ドレイン電極10と接する酸化物半導体膜SE1は、「画素電極部」まで延設されて形成されており、導体化されている。また、「画素電極部」ではドレイン電極10を形成している第2導電膜M2は除去されている。このため、「画素電極部」では、半導体層7から連続する、導体化された酸化物半導体膜SE1によって、光透過性を有する透過型の画素電極120Sが形成される。
図61において、画素電極120Sは、平面視でゲート配線3、共通電極5及び隣接する2本のソース配線11で囲まれる領域に形成される。また本実施の形態4では上記実施の形態2と同様に、平面視において画素電極120Sの一部が、共通電極5の一部と重なるように形成されている。これによりゲート絶縁層6を挟んで対向する画素電極120Sと共通電極5との間で画素電極の保持容量が形成される。
ソース配線11及びソース端子12の下面全体に形成されている酸化物半導体膜SE1は、ゲート配線3及び共通電極5と重なる部分を除いて、ほとんどの部分が導体化される。そのうちのいくつかの部分が、最下層ソース配線111S及び最下層ソース端子112Sとして形成される。これにより、膜中の異物やパターニング不良等に起因するソース配線やソース端子の断線不良を低減することができる。
なお、この工程において、UV光の照射後に熱処理を行ってもよい。これにより、導体化された領域の導体特性を安定化することができ、かつ、エッチングストッパ層8からチャネル対応部分CNに酸素を提供することができる。
<第4回目の写真製版工程:図63及び図64に示す工程>
次に、基板1の上面全面に、層間絶縁層21の材料である第3絶縁膜を成膜する。本実施の形態4では、第3絶縁膜として、上記実施の形態2と同様にSiN膜を200nmの厚さで成膜する。SiN膜は、H原子を多く含むので、酸化物半導体膜からなる半導体層7を還元させて特性を劣化させるが、本実施の形態4ではチャネル対応部分CNの大部分が、SiO膜からなるエッチングストッパ層8で覆われるため、SiN膜の単層で形成することができる。本実施の形態4では上記実施の形態3と同様に、第3回目の写真製版工程において、フォトレジストをアッシングするためのO2プラズマ照射時に、エッチングストッパ層8のSiO膜にO原子が供給されて化学的に安定なSiO膜が形成されているので、SiN膜による還元作用の影響をさらに強力に抑制できる。もちろん、SiN膜を成膜する前に、エッチングストッパ層8上にSiO膜等のO原子を含む酸化物絶縁膜を成膜してもよい。
次に、基板1の上面全面に、層間絶縁層21の材料である第3絶縁膜を成膜する。本実施の形態4では、第3絶縁膜として、上記実施の形態2と同様にSiN膜を200nmの厚さで成膜する。SiN膜は、H原子を多く含むので、酸化物半導体膜からなる半導体層7を還元させて特性を劣化させるが、本実施の形態4ではチャネル対応部分CNの大部分が、SiO膜からなるエッチングストッパ層8で覆われるため、SiN膜の単層で形成することができる。本実施の形態4では上記実施の形態3と同様に、第3回目の写真製版工程において、フォトレジストをアッシングするためのO2プラズマ照射時に、エッチングストッパ層8のSiO膜にO原子が供給されて化学的に安定なSiO膜が形成されているので、SiN膜による還元作用の影響をさらに強力に抑制できる。もちろん、SiN膜を成膜する前に、エッチングストッパ層8上にSiO膜等のO原子を含む酸化物絶縁膜を成膜してもよい。
その後、第3絶縁膜上にフォトレジスト材を塗布し、4回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第3絶縁膜であるSiN膜をエッチングすることによりパターニングする。このエッチングには、SF6)にO2を加えたガスを用いたドライエッチング法を用いることができる。
その後、フォトレジストパターンを除去すると、図63及び図64に示されるように、層間絶縁層21が形成される。「画素電極部」では、共通電極5の表面を露出させるように、ゲート絶縁層6及び層間絶縁層21に共通電極部コンタクトホール22が形成される。また「ゲート端子部」では、ゲート端子4の表面を露出させるように、ゲート絶縁層6及び層間絶縁層21にゲート端子部コンタクトホール23が形成される。さらに「ソース端子部」では、ソース端子12の表面を露出させるように、層間絶縁層21にソース端子部コンタクトホール24が形成される。
<第5回目の写真製版工程:図65及び図66に示す工程>
次に、基板1の上面全面に、対向電極25等の材料となる第3導電膜を成膜する。本実施の形態4では、上記実施の形態3と同様にしてInZnO膜を100nmの厚さに成膜する。
次に、基板1の上面全面に、対向電極25等の材料となる第3導電膜を成膜する。本実施の形態4では、上記実施の形態3と同様にしてInZnO膜を100nmの厚さに成膜する。
その後、第3導電膜上にフォトレジスト材を塗布し、5回目の写真製版工程でフォトレジストパターンを形成し、当該フォトレジストパターンをマスクとして、第3導電膜であるInZnO膜をエッチングすることによりパターニングする。このエッチングには、シュウ酸5wt%の薬液によるウエットエッチング法を用いることができる。
その後、フォトレジストパターンを除去すると、図65及び図66に示されるように、「画素電極部」では、画素電極120Sに重なる領域の層間絶縁層21の上に、第3導電膜からなる対向電極25が形成される。対向電極25の一部は、共通電極部コンタクトホール22を通して下方の共通電極5と電気的に接続されており、一定の電位が印加できるように形成されている。
図65において、対向電極25は、平面視で画素電極120Sの大部分と重なるように形成されている。また対向電極25は、上記実施の形態2と同様に、ゲート配線3、共通電極5及び隣接する2本のソース配線11に囲まれてなる複数の画素領域に跨っており、各画素領域の対向電極25同士が接続されるように連続した形状を有している。これにより、例えばひとつの画素領域の共通電極部コンタクトホール22において、共通電極5と対向電極25との接触(コンタクト)不良による共通電位信号の導通不良が生じたとしても、隣接した画素領域からの共通電位信号が当該対向電極25に供給される。このため、画素単位の表示不良(点欠陥)の発生を抑制することができる。
対向電極25にはスリット状の開口部SLが設けられている。この構造により、画素電極120Sと対向電極25との間に信号電圧が印加されると、対向電極25の上方に基板面に対して概略水平方向の電界が発生する。このため本実施の形態4に係るTFT基板は、横電界駆動仕様であるFFSモードのLCDに適用可能となる。なお、対向電極25には、スリット状の開口部SLの代わりに櫛歯形状を設けてもよい。
図65及び図66において、「ゲート端子部」及び「ソース端子部」では、層間絶縁層21に設けられたゲート端子部コンタクトホール23及びソース端子部コンタクトホール24の領域に、第3導電膜からなるゲート端子パッド26及びソース端子パッド27が、それぞれ形成されている。
本実施の形態4では、対向電極25などの第3導電膜として、酸化物からなる透明導電膜を用いる。これにより、「画素電極部」に、画素電極120S及び対向電極25がともに光透過性を有する透過型の電極を形成することができ、画素電極領域の開口透過率を向上させることができる。また、「ゲート端子部」または「ソース端子部」において、信号入力のための駆動用IC端子と、ゲート端子またはソース端子との剥がれを抑制できるので、信頼性の高いIC実装を実現することができる。
本実施の形態4に係るTFT及びTFT基板は、以上の工程を経て製造が完了され、光透過型の画像表示を行うことができるFFSモードのLCD用TFT基板として用いることができる。
液晶表示パネルの組み立ての際は、完成したTFT基板の表面に配向膜やスペーサを形成する。配向膜は、液晶を配列させるための膜であり、ポリイミド等で構成される。また、別途作製したカラーフィルタ及び配向膜等を備えた対向基板を、本実施の形態4のTFT基板と貼り合わせる。このときスペーサによってTFT基板と対向基板との間に隙間が形成され、その隙間に液晶層を封止することによって、FFSモードなどの横電界方式の液晶表示パネルが形成される。最後に、液晶表示パネルの外側に偏光板、位相差板、駆動回路及びバックライトユニット等を配設することによってLCDが完成する。
<実施の形態4のまとめ>
本実施の形態4に係るTFT及びTFT基板の製造方法によれば、「TFT部」に上記実施の形態1及びその変形例と同じ構成のES型の酸化物TFTを形成することができるので、良好な特性及び高い信頼性を有する酸化物TFTを製造することができる。
本実施の形態4に係るTFT及びTFT基板の製造方法によれば、「TFT部」に上記実施の形態1及びその変形例と同じ構成のES型の酸化物TFTを形成することができるので、良好な特性及び高い信頼性を有する酸化物TFTを製造することができる。
また本実施の形態4に係るTFT及びTFT基板の構成及び製造方法によれば、画素電極に固有の透明導電膜の成膜工程を省略して、半導体層7の材料である酸化物半導体膜SE1を導体化させて画素電極120Sを形成する。このため、ES型の酸化物TFTを備えたFFSモードなどの横電界方式のLCD用TFT基板の製造に関して、上記実施の形態3よりも生産性の向上及び低コスト化が期待できる。
なお、本実施の形態4において、対向電極25を形成する前の4回目の写真製版工程まで完了したTFT基板を用いることで、ES型の酸化物TFTを備えたTNモードなどの縦電界方式のLCD用TFT基板を製造することも可能である。
このようなTNモードの液晶表示パネルの組み立ての際、完成したTFT基板の表面に配向膜やスペーサを形成する。また、別途作製したカラーフィルタ、配向膜及び対向電極等を備えた対向基板を、当該TFT基板と貼り合わせる。このときスペーサによってTFT基板と対向基板との間に隙間が形成され、その隙間に液晶層を封止することによって、縦電界方式のTNモードの液晶表示パネルが形成される。最後に、液晶表示パネルの外側に偏光板、位相差板、駆動回路及びバックライトユニット等を配設することによってLCDが完成する。
<実施の形態4の変形例>
本実施の形態4に係るTFT基板においても、上記実施の形態3の変形例と同様に、ゲート配線3とソース配線11とが交差する「ゲート配線×ソース配線の交差部」の領域に、絶縁層であるエッチングストッパ層13が配設されてもよい。このエッチングストッパ層13の絶縁材料は、TFTのチャネル領域CNに配設されたエッチングストッパ層8の絶縁材料と同じ第2絶縁膜である。この場合においても、上記実施の形態3の変形例と同様の効果を得ることができる。
本実施の形態4に係るTFT基板においても、上記実施の形態3の変形例と同様に、ゲート配線3とソース配線11とが交差する「ゲート配線×ソース配線の交差部」の領域に、絶縁層であるエッチングストッパ層13が配設されてもよい。このエッチングストッパ層13の絶縁材料は、TFTのチャネル領域CNに配設されたエッチングストッパ層8の絶縁材料と同じ第2絶縁膜である。この場合においても、上記実施の形態3の変形例と同様の効果を得ることができる。
<その他の変形例>
上記実施の形態及び変形例におけるFFSモードのLCD用TFT基板では、第1導電膜からなる共通電極5を、ゲート配線3と平行に配設して各画素電極部に配設し、対向電極25が共通電極部コンタクトホール22を通して各画素電極部に共通電極5と電気的に接続させる構成を例示して説明した。しかしながら、各画素に設けられる対向電極25を画素表示領域内で連続したパターン形状で配設することにより、共通電位信号が対向電極同士において充分に均一化することが可能であれば、例えば、各画素電極部に設けられる対向電極25及び共通電極部コンタクトホール22を適宜省略することは可能である。
上記実施の形態及び変形例におけるFFSモードのLCD用TFT基板では、第1導電膜からなる共通電極5を、ゲート配線3と平行に配設して各画素電極部に配設し、対向電極25が共通電極部コンタクトホール22を通して各画素電極部に共通電極5と電気的に接続させる構成を例示して説明した。しかしながら、各画素に設けられる対向電極25を画素表示領域内で連続したパターン形状で配設することにより、共通電位信号が対向電極同士において充分に均一化することが可能であれば、例えば、各画素電極部に設けられる対向電極25及び共通電極部コンタクトホール22を適宜省略することは可能である。
また、上記実施の形態及び変形例では、酸化物半導体としてInGaZnO系材料を用い、他にもZnOに酸化インジウムIn2O3を添加したInZnO系、ZnOにGa2O3を添加したGaZnO系、またはZnOにIn2O3とSnO2とを添加したInZnSnO系を用いることができることを例示した。しかしながら、酸化物半導体は、これらに限らず、例えば、InGaO系、InSnO系、InGaZnSnO系、InAlZnO系、InHfZnO系、InZrZnO系、InMgZnO系、InYZnO系のような酸化物半導体材料を用いることが可能である。これらの酸化物半導体膜を用いた場合でも、a−Si半導体膜よりも高い移動度を有する高性能なTFT基板を得ることができる。
さらに、上記実施の形態及び変形例では、LCD用のTFT基板の構成及び製造方法を例示して説明したが、これ以外のTFT基板にも適用可能である。例えば、画素電極20などの代わりに、有機EL材料を含む自発光層を備えた画素表示素子を「画素電極部」に配設することにより、有機ELディスプレイ(OLEDディスプレイ:Organic Light-Emitting Diode Display)用のTFT基板に適用することも可能である。この場合でも、良好な特性及び高い信頼性を有する高性能酸化物TFTを備えた表示装置を生産性よく低コストで製造することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態及び各変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態及び各変形例を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
1 基板、2 ゲート電極、3 ゲート配線、6 ゲート絶縁層、7 半導体層、8,13 エッチングストッパ層、9 ソース電極、10 ドレイン電極、11 ソース配線、20,120S 画素電極、21 層間絶縁層、25 対向電極、CN チャネル領域(チャネル対応部分)、SL 開口部、SE1 酸化物半導体膜、M0,M2 第2導電膜、C1 下層導電膜、M1 上層導電膜、PR1,PR1a,PR1b,PR2,PR3,PR4 フォトレジストパターン。
Claims (15)
- 基板上に選択的に配設されたゲート電極と、
前記基板及びゲート電極上に配設されたゲート絶縁層と、
平面視において少なくとも一部が前記ゲート電極と重なるように前記ゲート絶縁層上に配設された、酸化物半導体を含む半導体層と、
前記半導体層のうち前記ゲート電極と平面視にて重なる領域上に配設されたエッチングストッパ層と
を備え、
前記半導体層は、平面視の第1方向において前記エッチングストッパ層が配設されていない両側部分を有し、
前記半導体層の前記両側部分の一方及び前記エッチングストッパ層の一部上に、前記第1方向に延在しかつ前記第1方向と直交する第2方向に幅を有して配設されたソース電極と、
前記半導体層の前記両側部分の他方及び前記エッチングストッパ層の一部上に、前記第1方向に延在しかつ前記第2方向に幅を有して配設され、前記エッチングストッパ層上で前記ソース電極と離間されたドレイン電極と
をさらに備え、
前記半導体層のうち平面視における前記両側部分の間の部分はチャネル領域に対応し、
前記半導体層の前記部分、及び、前記エッチングストッパ層のそれぞれは、前記ソース電極及び前記ドレイン電極から前記ソース電極及び前記ドレイン電極の幅方向に突出している、薄膜トランジスタ。 - 請求項1に記載の薄膜トランジスタであって、
前記半導体層は、前記エッチングストッパ層、前記ソース電極及び前記ドレイン電極を含む構造体の下面全体に配設され、
平面視において、前記半導体層の形状は、前記構造体の形状によって規定されている、薄膜トランジスタ。 - 請求項1に記載の薄膜トランジスタであって、
前記半導体層の前記部分は、平面視において前記エッチングストッパ層の外縁まで、または当該外縁よりも内側に配設されている、薄膜トランジスタ。 - 請求項1に記載の薄膜トランジスタと、
前記ゲート電極を含むゲート配線と、
前記ソース電極を含み、前記ゲート配線と平面視で交差するソース配線と
を備え、
前記ドレイン電極は、画素電極と電気的に接続されている、薄膜トランジスタ基板。 - 請求項4に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記半導体層は、前記エッチングストッパ層、前記ソース配線及び前記ドレイン電極を含む構造体の下面全体に配設され、
平面視において、前記半導体層の形状は、前記構造体の形状によって規定されている、薄膜トランジスタ基板。 - 請求項4に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記半導体層の前記部分は、平面視において前記エッチングストッパ層の外縁まで、または当該外縁よりも内側に配設されている、薄膜トランジスタ基板。 - 請求項4から請求項6のうちのいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記ゲート配線と前記ソース配線とが交差する領域に配設され、前記エッチングストッパ層の絶縁材料と同じ絶縁材料からなる絶縁層をさらに備える、薄膜トランジスタ基板。 - 請求項4から請求項7のうちのいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ基板であって、
前記画素電極上に配設され、絶縁性窒化膜を含む層間絶縁膜と、
前記画素電極と平面視で重なるように前記層間絶縁膜上に配設され、櫛歯形状またはスリット状の開口部を有する対向電極と
をさらに備え、
前記エッチングストッパ層は絶縁性酸化膜を含む、薄膜トランジスタ基板。 - (a)基板上に、ゲート電極を含むゲート配線を選択的に形成する工程と、
(b)前記基板及びゲート配線上にゲート絶縁層を形成する工程と、
(c)前記ゲート絶縁層上に酸化物半導体膜を形成する工程と、
(d)前記酸化物半導体膜のうち前記ゲート電極と平面視で重なる領域上にエッチングストッパ層を形成する工程と、
(e)前記酸化物半導体膜及び前記エッチングストッパ層上に導電膜を形成する工程と、
(f)前記導電膜上にフォトレジストパターンを形成する工程と、
(g)前記フォトレジストパターンをマスクとして前記導電膜を選択的にエッチングし、前記フォトレジストパターン及び前記エッチングストッパ層をマスクとして前記酸化物半導体膜を選択的にエッチングすることによって、前記酸化物半導体膜を含む半導体層を形成し、かつ、前記エッチングストッパ層上で互いに離間され、前記半導体層と電気的に接続された前記導電膜を含むソース配線及びドレイン電極を形成する工程とを備える、薄膜トランジスタ基板の製造方法。 - 請求項9に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法であって、
前記ソース配線は、ソース電極を含み、前記ゲート配線と平面視で交差し、
前記半導体層は、平面視において少なくとも一部が前記ゲート電極と重なるように前記ゲート絶縁層上に形成され、
前記エッチングストッパ層は、平面視において前記半導体層の両側部分の間の領域のうち前記ゲート電極と重なる領域上に形成され、
前記ソース電極は、前記半導体層の前記両側部分の一方及び前記エッチングストッパ層の一部上に形成され、
前記ドレイン電極は、前記半導体層の前記両側部分の他方及び前記エッチングストッパ層の一部上に形成され、
前記半導体層は、前記エッチングストッパ層、前記ソース配線及び前記ドレイン電極を含む構造体の下面全体に形成され、
平面視において、前記半導体層の形状は、前記構造体の形状によって規定されている、薄膜トランジスタ基板の製造方法。 - 請求項9または請求項10に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法であって、
(h)前記工程(g)の後、前記ドレイン電極と電気的に接続された画素電極を形成する工程をさらに備える、薄膜トランジスタ基板の製造方法。 - 請求項9または請求項10に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法であって、
前記工程(e)で形成される前記導電膜は、透明導電体を含む下層導電膜と、前記下層導電膜上に形成され、金属または合金を含む上層導電膜とを含み、
前記工程(f)で形成されるフォトレジストパターンは、第1フォトレジストパターンと、前記第1フォトレジストパターンよりも薄い第2フォトレジストパターンとを含み、
前記工程(g)は、
(g−1)前記フォトレジストパターンをマスクとして前記導電膜を選択的にエッチングし、前記フォトレジストパターン及び前記エッチングストッパ層をマスクとして前記酸化物半導体膜を選択的にエッチングする工程と、
(g−2)前記フォトレジストパターンをアッシングすることによって、前記第1フォトレジストパターンから後退されたフォトレジストパターンを形成し、かつ、前記第2フォトレジストパターンを除去する工程と、
(g−3)後退された前記フォトレジストパターンをマスクとして前記上層導電膜を選択的にエッチングすることによって、前記ソース配線及び前記ドレイン電極を形成し、かつ、前記ドレイン電極と電気的に接続され、前記上層導電膜が除去された前記下層導電膜を画素電極として形成する工程と
を含む、薄膜トランジスタ基板の製造方法。 - 請求項9または請求項10に記載の薄膜トランジスタ基板の製造方法であって、
前記工程(e)で形成される前記導電膜は、金属または合金を含み、
前記工程(f)で形成されるフォトレジストパターンは、第1フォトレジストパターンと、前記第1フォトレジストパターンよりも薄い第2フォトレジストパターンとを含み、
前記工程(g)は、
(g−1)前記フォトレジストパターンをマスクとして前記導電膜を選択的にエッチングし、前記フォトレジストパターン及び前記エッチングストッパ層をマスクとして前記酸化物半導体膜を選択的にエッチングする工程と、
(g−2)前記フォトレジストパターンをアッシングすることによって、前記第1フォトレジストパターンから後退されたフォトレジストパターンを形成し、かつ、前記第2フォトレジストパターンを除去する工程と、
(g−3)後退された前記フォトレジストパターンをマスクとして前記導電膜を選択的にエッチングする工程と、
(g−4)前記酸化物半導体膜に電気抵抗を低減する導体化を選択的に行うことよって、前記半導体層を形成し、かつ、前記半導体層から連続する、導体化された前記酸化物半導体膜を画素電極として形成する工程と
を含む、薄膜トランジスタ基板の製造方法。 - 基板上に選択的に配設されたゲート電極と、
前記基板及びゲート電極上に配設されたゲート絶縁層と、
平面視において少なくとも一部が前記ゲート電極と重なるように前記ゲート絶縁層上に配設された、酸化物半導体を含む半導体層と、
前記半導体層のうち前記ゲート電極と平面視にて重なる領域上に配設されたエッチングストッパ層と
を備え、
前記半導体層は、平面視の第1方向において前記エッチングストッパ層が配設されていない両側部分を有し、
前記半導体層の前記両側部分の一方及び前記エッチングストッパ層の一部上に、前記第1方向に延在しかつ前記第1方向と直交する第2方向に幅を有して配設されたソース電極と、
前記半導体層の前記両側部分の他方及び前記エッチングストッパ層の一部上に、前記第1方向に延在しかつ前記第2方向に幅を有して配設され、前記エッチングストッパ層上で前記ソース電極と離間されたドレイン電極と
をさらに備え、
前記半導体層のうち平面視における前記両側部分の間の部分はチャネル領域に対応し、
前記半導体層の前記部分は、平面視において前記エッチングストッパ層の外縁まで、または当該外縁よりも内側に配設されている、薄膜トランジスタ。 - 請求項14に記載の薄膜トランジスタであって、
前記半導体層の前記部分、及び、前記エッチングストッパ層のそれぞれの、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の幅方向における長さは、前記ソース電極及び前記ドレイン電極の幅以下である、薄膜トランジスタ。
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