JP6428033B2 - 積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体、更に詳しくは、透磁性の高い積層体、具体的には電磁波の透過を抑制することのできる磁性シート等に用いられる積層体に関するものである。
近年、各種電子機器等において、機器内部にて発生する電磁波の透過を抑制するために、電磁波を吸収することにより電磁波の透過を抑制することのできる電磁波抑制シート、いわゆる磁性シートが使用されている。
このような磁性シートとしては、より高品質なものを高生産にて製造することが求められており、例えば、少なくとも扁平な軟磁性粉末と溶媒に溶解した高分子結合剤とを混合して作製された磁性塗料を所定の基材上に塗布した後に乾燥させ、磁性シートを形成した後、乾燥して形成した上記磁性シートの上にさらに上記磁性塗料を塗布して乾燥させることにより磁性シートを製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2008−60395号公報
通常、その使用用途から磁性シート自体にはタックがないことが要求されるが、特許文献1に開示の磁性シートでは、磁性粉末を含有する磁性シート単独でフィルム状に形成することから、タックの生起を回避するために、タック要因となる非晶性ポリエステル樹脂に対して架橋剤を用いることによりタックのないシートとしている。このように、特許文献1では、上記架橋剤が必須であり、結果、養生時間を必要とするため生産性が低下するという問題があった。このようなことから、いわゆる磁性シートとして、透磁性が高いことはもちろん、タックのないものが要望されており、しかも電気絶縁性に関しても優れたものが求められている。
そこで、本発明はこのような背景下において、電磁波の透過を効果的に抑制することが可能となるうえに、それを用いた部位に対して電気絶縁性を発揮することのできる積層体を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者らはこのような事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、電磁波の透過抑制作用を奏する磁性体層として、磁性粉末とともに、結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有する特殊なバインダー樹脂を用いて磁性体層を形成するとともに、この磁性体層単独ではなく高分子化合物製フィルムを積層してなる積層体構造をとると、上記磁性体層としては透磁率の高いものが得られ、また上記高分子化合物製フィルムの積層により、高い絶縁性が付与されるとともに磁性体層の脱落等が抑制され、結果、高品質の磁性シートとなりうる積層体が得られることを見出し、本発明に到達したのである。
すなわち、本発明は、磁性粉末およびバインダー樹脂を含有する形成材料からなる磁性体層、および、高分子化合物製フィルム層の積層構造を有する積層体であって、上記バインダー樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有する積層体を要旨とするものである。
本発明の積層体は、上記構成を有するため、透磁率の高いものとなり、また高分子化合物製フィルムが積層されていることにより、高い電気絶縁性を備えるようになる。さらに、高分子化合物製フィルムに磁性体層が積層されていることから、磁性体層の脱落が抑制されるため、高品質の磁性シートを形成するための積層体となる。
結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)の含有割合が、重量比で、(A)/(B)=95/5〜40/60であると、高分子化合物製フィルムに対する接着性および磁性体層の耐ブロッキング性がより一層向上する。
磁性体層の厚み(x)と高分子化合物製フィルムの厚み(y)の比(x:y)が、x:y=0.1〜100:1であると、透磁率とフィルム強度を両立することができるという効果を奏する。
磁性粉末とバインダー樹脂の含有割合が、重量比で、磁性粉末:バインダー樹脂=1:1〜10:1であると、より一層高い透磁率を奏するようになる。
本発明の積層体の構成を模式的に示す断面図である。
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
本発明の積層体は、磁性粉末およびバインダー樹脂を含有する形成材料からなる磁性体層、および、高分子化合物製フィルム層が積層されてなる積層構造を備えるものである。そして、本発明においては、磁性体層形成材料として、結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有する特殊なバインダー樹脂を用いることを特徴とする。本発明の積層体は、例えば、図1に示すように、高分子化合物製フィルム層1面上に、磁性粉末3およびバインダー樹脂4を用いた形成材料からなる磁性体層2が積層形成された積層構造をとる。上記磁性粉末3は、磁性体層2の厚み方向に対して略垂直となるように磁性体層2に分散分布している。このような磁性粉末3の分布により、積層体の厚み方向に対して電磁波の透過を効果的に抑制することが可能となるのである。
本発明の積層体における磁性体層2の形成材料は、磁性粉末3、バインダー樹脂4を用いて得られる。
〈磁性粉末3〉
上記磁性粉末3としては、鉄系粉末や、各種の軟磁性合金等の軟磁性粉末を用いることができ、例えば、磁性ステンレス(Fe−Cr−Al−Si合金)、センダスト(Fe−Si−A1合金)、パーマロイ(Fe−Ni合金)、ケイ素銅(Fe−Cu−Si合金)、Fe−Si合金、Fe−Si―B(−Cu−Nb)合金、Fe−Ni−Cr−Si合金、Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al−Ni−Cr合金、フェライト等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらの中でも、磁気特性の点からFe−Si−Al合金を好ましく使用できる。
上記磁性粉末3としては、その用途から扁平な形状を示す磁性粉末3が用いられるが、好ましくは平均粒子径が3.5〜200μm、平均厚さが0.3〜10μm、より好ましくは平均粒子径が10〜100μm、平均厚さが0.5〜5μmである。上記平均粒子径および平均厚さは、例えば、母集団から任意の測定試料を取り出し、市販のレーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
そして、上記磁性粉末3としては、その扁平率は3〜24であることが好ましく、より好ましくは10〜22である。なお、扁平状の磁性粉末3の大きさを揃えるためには、必要に応じて、ふるい等を使用して分級すればよい。また、磁性粉末3の透磁率を大きくするためには、扁平状の磁性粉末3の粒子サイズを大きくして粒子同士の間隔をより小さくし、かつ扁平状の磁性粉末3のアスペクト比を高めて磁性体層2における反磁場の影響を小さくすることが有効である。
〈バインダー樹脂4〉
上記バインダー樹脂4は、結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)を用いて得られる。なお、上記結晶性ポリエステル樹脂(A)における結晶性とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分で測定したときに、融点と結晶化融解熱が測定できる特性を備えることをいい、結晶性ポリエステル樹脂(A)とはその特性を備えたポリエステル樹脂である。また、上記非晶性ポリエステル樹脂(B)における非晶性とは、上記と同様の測定において、融点と結晶化融解熱が測定されない特性を備えることをいい、非晶性ポリエステル樹脂(B)とはその特性を備えたポリエステル樹脂である。
上記結晶性ポリエステル樹脂(A)は、結晶性を有するポリエステル樹脂であればよいが、中でも、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸および脂肪族ジカルボン酸を含有し、ジオール成分として1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびシクロヘキサンジメタノールを含有し、これらを重合して得られるポリエステル樹脂であることが、例えば、高分子化合物製フィルムに対する接着性と有機溶剤に対する溶液安定性に優れる点で好ましい。
上記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸があげられ、中でもアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸が好適に用いられる。
上記ジカルボン酸成分中のテレフタル酸、イソフタル酸および脂肪族ジカルボン酸の含有割合としては、テレフタル酸が40〜90モル%、イソフタル酸が5〜55モル%、脂肪族ジカルボン酸が5〜55モル%であることが好ましく、特にはテレフタル酸が45〜85モル%、イソフタル酸が5〜40モル%、脂肪族ジカルボン酸が10〜50モル%であることが好ましく、更にはテレフタル酸が50〜80モル%、イソフタル酸が5〜30モル%、脂肪族ジカルボン酸が10〜45モル%であることが好ましい。
上記テレフタル酸の含有量が少なすぎると耐熱性が低下する傾向があり、多すぎると塗工液としたときの溶液安定性が低下する傾向がある。また、上記イソフタル酸の含有量が少なすぎると溶液安定性が低下する傾向があり、多すぎると耐熱性が低下する傾向がある。そして、上記脂肪族ジカルボン酸が少なすぎると溶液安定性が低下する傾向があり、多すぎると耐熱性が低下する傾向がある。
上記ジオール成分中の1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールの含有割合としては、1,4−ブタンジオールが10〜80モル%、1,6−ヘキサンジオールが10〜80モル%、シクロヘキサンジメタノールが10〜80モル%であることが好ましく、特には1,4−ブタンジオールが10〜60モル%、1,6−ヘキサンジオールが10〜60モル%、シクロヘキサンジメタノールが10〜60モル%であることが好ましく、更には1,4−ブタンジオールが15〜50モル%、1,6−ヘキサンジオールが15〜50モル%、シクロヘキサンジメタノールが15〜50モル%であることが好ましい。
上記1,4−ブタンジオールの含有量が少なすぎると高分子化合物製フィルムとポリエステル系樹脂(バインダー樹脂)層との接着性が低下する傾向があり、多すぎると塗工液としたときの溶液安定性が低下する傾向がある。また、上記1,6−ヘキサンジオールの含有量が少なすぎると溶液安定性が低下する傾向があり、多すぎると接着性が低下する傾向がある。そして、上記シクロヘキサンジメタノールの含有量が少なすぎると溶液安定性が低下する傾向があり、多すぎると接着性が低下する傾向がある。
また、結晶性ポリエステル樹脂(A)には、上記した主成分以外のカルボン酸成分、例えば、(無水)フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸およびこれらのアルキルエステル誘導体、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸およびこれらのアルキルエステル誘導体、シクロブタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸およびこれらのアルキルエステル誘導体等のカルボン酸成分や、上記以外のアルコール成分、例えば、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー ル、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5− ペンタンジオール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族グリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSのエチレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、スピログリコール等の脂環族グリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールや、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、p−ヒドロキシ安息香酸等のアルコール成分を、本発明の特性を 損なわない範囲で共重合してもよい。
また、上記結晶性ポリエステル樹脂(A)については、先に述べたように、示差走査熱量計(DSC)にて融点と結晶化融解熱が測定され、融点は80〜160℃であることが好ましく、特には90〜155℃、更には100〜150℃であることが好ましい。融点が低すぎると耐熱性が低下する傾向があり、高すぎると塗工液としたときの溶液安定性が低下する傾向がある。
また、結晶化融解熱は5〜30J/gであることが好ましく、特には5〜25J/g、更には5〜20J/gであることが好ましい。結晶化融解熱が低すぎると、例えば積層体を形成しロール状にて保管する場合にブロッキングする傾向があり、高すぎると高分子化合物製フィルムに対する接着性と、磁性体層2形成材料として塗工液とした際の溶液安定性が低下する傾向がある。
また、結晶性ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は10000〜30000(末端基法による測定)が好ましく、特には13000〜28000、更には15000〜25000であることが好ましい。数平均分子量が小さすぎると凝集力が低下し接着性が低下する傾向があり、大きすぎると塗工液としたときの溶液安定性が低下したり、塗工時の作業性が低下したりする傾向がある。
上記数平均分子量は、具体的には、標準ポリスチレン分子量換算による数平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定される。
上記結晶性ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度については−20〜40℃(Fox式により算出)が好ましく、特には−15〜35℃、更には−10〜30℃であることが好ましい。ガラス転移温度が低すぎると、例えば積層体を形成しロール状にて保管する場合にブロッキングする傾向があり、高すぎると高分子化合物製フィルムに対する接着性が低下する傾向がある。
上記結晶性ポリエステル樹脂(A)とともに用いられる非晶性ポリエステル樹脂(B)は、先に述べたように、示差走査熱量計(DSC)を用いた前述の測定において、融点と結晶化融解熱が測定されない樹脂であればよいが、中でも、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸および/またはイソフタル酸を含有し、ジオール成分として側鎖にアルキル基を持つジオールを含有し、これらを重合して得られるポリエステル樹脂であることが、例えば、積層体をロール状にて保管する場合の耐ブロッキング性に優れ、更に磁性体層2形成材料としての塗工液とする際の有機溶剤への溶液安定性に優れる点で好ましい。
上記側鎖にアルキル基を持つジオールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,2−プロピレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、 2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール等があげられ、これらを単独でまたは二種以上併せて用いることができる。これらの中でも、有機溶剤への溶液安定性に優れる点から、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物等が好ましい。
上記ジカルボン酸成分中のテレフタル酸および/またはイソフタル酸の含有割合としては、80〜100モル%が好ましく、特には85〜100モル%が好ましい。上記含有割合が少なすぎると耐ブロッキング性が低下する傾向がある。また、テレフタル酸とイソフタル酸の使用については各々単独使用でもよいが、塗工液としたときの溶液安定性の点から併用することが好ましい。上記テレフタル酸とイソフタル酸を併用する場合には、モル比で、テレフタル酸:イソフタル酸=20:80〜70:30、特には30:70〜60:40、更には40:60〜60:40とすることが好ましい。
上記ジオール成分中の側鎖にアルキル基を持つジオールの含有割合としては、30〜90モル%、特には40〜80モル%が好ましい。かかる含有割合が少なすぎると塗工液としたときの溶液安定性が低下する傾向があり、多すぎると高分子化合物製フィルムに対する接着性が低下する傾向がある。
また、非晶性ポリエステル樹脂(B)には、主成分のテレフタル酸および/またはイソフタル酸以外のカルボン酸成分、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)フタル酸、ナフタレンジ カルボン酸、ジフェン酸等の芳香族ジカルボン酸およびこれらのアルキルエステル誘導体、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸およびこれらのアルキルエステル誘導体、シクロブタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸およびこれらのアルキルエステル誘導体等のカルボン酸成分や、上記以外のアルコール成分、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、スピログリコール等の脂環族グリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールや、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、p−ヒドロキシ安息香酸等のアルコール成分を本発明の特性を損なわない範囲で共重合してもよい。
上記非晶性ポリエステル樹脂(B)については、数平均分子量は3000〜15000(末端基法による測定)が好ましく、特には4000〜12000、更には5000〜10000であることが好ましい。数平均分子量が小さすぎると凝集力が低下し高分子化合物製フィルムに対する接着性が低下する傾向があり、大きすぎると、やはり高分子化合物製フィルムに対する接着が不充分となる傾向がある。上記数平均分子量は、前述の方法にて測定される。
上記非晶性ポリエステル樹脂(B)のガラス転移温度については40℃以上(Fox式により算出)であることが好ましく、特には45〜100℃、更には50〜90℃であることが好ましい。ガラス転移温度が低すぎると、例えば積層体を形成しロール状にて保管する場合にブロッキングする傾向がある。
本発明におけるバインダー樹脂として用いられる上記結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)は、基本的には同様の方法により製造することができ、上記カルボン酸成分とアルコール成分を触媒存在下、公知の方法により重縮合反応させることにより得られる。
上記重縮合反応に際しては、まずエステル化反応が行われた後、縮合反応が行われる。上記エステル化反応においては、触媒が用いられ、具体的には、酸化リチウム、リチウムメチラート、リチウムエチラート、リチウムグリコレート、酢酸リチウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナトリウムグリコレート、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属化合物、酸化亜鉛、ギ酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、亜鉛グリコレート、安息香酸亜鉛、カプロン酸亜鉛、酪酸亜鉛、吉草酸亜鉛、亜アンチモン酸亜鉛、亜ゲルマン酸亜鉛、ゲルマン酸亜鉛等の亜鉛化合物、酢酸マンガン、クエン酸マンガン、ホウ酸マンガン、マンガングリコレート、亜アンチモン酸マンガン等のマンガン化合物、ギ酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト、プロピオン酸コバルト、ヒドロキシ安息香酸コバルト等のコバルト化合物、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、マロン酸カルシウム、アジピン酸カルシウム、酢酸ストリンチウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ酸チタニルカリウム、シュウ酸チタニルストロンチウム、酒石酸チタニルカリウム、酒石酸チタニルアンモニウム、チタングリコレート、チタンアセチルアセテート等のチタン化合物、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモングリコレート、アンチモンアルコラート、酢酸アンチモン、アンチモンフェノレート等のアンチモン化合物、ゲルマニウムアルコレート、ゲルマニウムフェノレート、ゲルマン酸カリウム、ゲルマン酸ナトリウム、ゲルマン酸カルシウム、ゲルマン酸カリウム、ゲルマン酸タリウム、二酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、ジメチルスズマレエート、ジブチルスズオキサイド、ヒドロキシブチルスズオキサイド、モノブチルスズトリス(2−エチルヘキサノエート)等のスズ化合物等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらの中でも、触媒の活性が高い点から、アンチモン化合物、チタン化合物、さらに三酸化アンチモン、チタン化合物、特にはテトラブチルチタネートが好ましい。
上記触媒の配合量は、全共重合成分に対して1〜10000ppmであることが好ましく、10〜5000ppmであることがより好ましく、100〜3000ppmであることがさらに好ましい。配合量が少なすぎると重合反応が充分に進行しない傾向があり、逆に多すぎると反応時間短縮等の利点はなくなり副反応が起こりやすくなる傾向がある。
上記エステル化反応時の温度については、160〜260℃が好ましく、180〜250℃がより好ましく、200〜250℃がさらに好ましい。温度が低すぎると反応が充分に進まない傾向があり、逆に高すぎると分解等の副反応が起こる傾向がある。また、上記反応は、通常、常圧下で実施される。
そして、エステル化反応が行われた後、縮合反応が行われるが、このときの条件としては、上記のエステル化反応のときと同様の触媒を同程度の量さらに添加して、反応温度としては好ましくは220〜260℃、より好ましくは230〜250℃にして、反応系を徐々に減圧して最終的には5hPa以下で反応させることが好ましい。反応温度が低すぎると反応が充分に進行しない傾向があり、逆に高すぎると分解等の副反応が起こる傾向がある。
また、結晶性ポリエステル樹脂(A)及び非晶性ポリエステル樹脂(B)の分子量を調節する方法としては、重合時におけるポリエステル溶融物の粘度が所望のところに到達した時点で重合を止める方法や、一旦分子量の高いポリエステルを製造した後、解重合剤(酸またはアルコール)を添加する方法、更には1官能のアルコールやカルボン酸を予め添加する方法等があげられる。
上記解重合剤としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、イタコン酸、アゼライン酸、アイコ酸ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等があげられ、これらは単独で用いても複数種混合して使用してもよい。
なお、結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)を製造する際には、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、リン酸等の安定剤や、二酸化チタン等の艶消し剤等を、本発明の特性を損なわない範囲で配合してもよい。
上記結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)との含有割合〔(A)/(B)〕は、重量比で、(A)/(B)=95/5〜40/60であることが好ましく、特には90/10〜50/50、更には80/20〜55/45、殊には75/25〜60/40であることが好ましい。上記含有割合において、非晶性ポリエステル樹脂(B)が少なすぎると、磁性体層2における可撓性が低下する傾向があり、多すぎると耐熱性が低下する傾向がある。
そして、磁性体層2形成材料における磁性粉末3とバインダー樹脂4の含有割合は、重量比で、磁性粉末3:バインダー樹脂4=1:1〜10:1であることが好ましく、特には2:1〜9:1、更には2.5:1〜8:1、殊には3:1〜6:1であることが好ましい。上記含有割合において、磁性粉末3が少なすぎると、所望の高い透磁性が得られ難くなる傾向があり、多すぎるとコストが高くなるばかりでなく、磁性体層2に気泡が入りやすくなり、透磁率が下がる傾向がある。
本発明の積層体における磁性体層2形成材料には、上記磁性粉末3、バインダー樹脂4以外に、分散剤、シランカップリング剤、難燃剤、防錆剤、抗菌剤、架橋剤等の他の添加剤を適宜配合することができる。
上記他の添加剤の配合割合は、例えば、上記バインダー樹脂4に対して0.01〜10重量%であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜5重量%である。
さらに、磁性体層2形成材料には、この形成材料を高分子化合物製フィルムに塗工するために有機溶剤が適宜使用される。上記有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソホロン、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキノン等のケトン系溶剤、ジエチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤等があげられ、これらは単独もしくは二種以上併せて用いることができる。中でも、溶液安定性の点で芳香族系溶剤とケトン系溶剤を併用することが好ましく、具体的には、芳香族系溶剤50〜90重量%とケトン系溶剤10〜50重量%の混合溶剤が好ましい。また必要に応じてエチルセルソルブ、セルソルブアセテート等を併用することもできる。
〈高分子化合物製フィルム層1〉
本発明の積層体における高分子化合物製フィルム層1は、加圧成形時に磁性体層2がプレスロールから剥離できなくなるのを防止すると共に、製品への実装時に表面の絶縁性を確保するためのものであり、かかる高分子化合物製フィルム層1の材料となる高分子化合物製フィルムとしては、例えば、ポリエステル系フィルム、ポリウレタン系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリ塩化ビニリデン系フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリアミド系フィルム、セロファン、アイオノマーフィルム等があげられる。中でも、コスト等の点から、ポリエステル系フィルムを用いることが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることが好ましい。
上記高分子化合物製フィルム層1に対しては、その用途等に応じて、磁性体層2積層面とは反対の面に対して離型処理を施してもよい。また、磁性体層2積層面に対して、易接着処理、コロナ処理、表面に凹凸加工、さらには着色処理(フィルム全体あるいはフィルム表面のみ)等を施すこともできる。
上記高分子化合物製フィルム層1の厚みとしては、通常4〜100μmであり、好ましくは6〜50μm、さらに好ましくは8〜38μmである。かかる厚みが薄すぎると加圧成形時に強度不足によりフィルムが破れやすくなる傾向があり、厚すぎると加圧成形時の圧力が緩和されてしまい、透磁率が低下する傾向がある。
また、上記高分子化合物製フィルムを用いる場合、その物性として、JIS基準において、機械の流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)のいずれにおいても破断強度が100〜300MPa、破断伸度が50〜300%であることが好ましい。
〈積層体〉
本発明の積層体の製造方法について説明する。
まず、必須成分である上記磁性粉末3およびバインダー樹脂4、さらには任意成分を必要に応じて適宜配合することにより磁性体層2形成材料である磁性粉末分散液を調製する。
つぎに、高分子化合物製フィルム面上に上記磁性粉末分散液を所望の厚みとなるよう塗工した後、これを乾燥することにより磁性粉末含有層を形成する。
上記塗工方法としては、例えば、アプリケーター、ドクターブレード、コンマコーター、ダイコーター、ディップコーター等を用いた塗工方法や、スクリーン印刷等があげられる。
上記乾燥条件としては、例えば、常温(25℃)から150℃の温度条件にて、1分〜1時間程度に設定される。
上記乾燥により磁性粉末含有層を形成した後、これを、片面または両面から、好ましくは両面から加圧成形することにより、高分子化合物製フィルム層1面上に磁性体層2が積層されてなる本発明の積層体を作製することができる。具体的には、例えば、上下一対のプレスロールを用い、上記プレスロール間を通過させることにより加圧成形が行なわれ積層体が作製される。
上記加圧条件としては、線圧が10kg/cm〜50t/cmとすることが好ましく、プレスロールを用いた際のロール温度は常温(25℃)〜200℃程度であり、搬送速度は0.1〜100m/minであることが好ましい。より好ましくは線圧20kg/cm〜30t/cm、ロール温度は40〜180℃、搬送速度は0.2〜50m/minであり、特に好ましくは線圧30kg/cm〜20t/cm、ロール温度は50〜160℃、搬送速度は0.3〜30m/minである。線圧が低すぎると気泡が抜けにくくなり、透磁率が低くなる傾向があり、高すぎると高分子化合物製フィルムが破断する傾向がある。ロール温度が低すぎると気泡が抜けにくくなり、透磁率が低くなる傾向があり、高すぎると磁性粉末含有層が溶融してしまい、加圧時に高分子化合物製フィルム端部から溶出してしまう傾向がある。搬送速度が低すぎると生産性が低下する傾向があり、高すぎると気泡が抜けにくくなり、透磁率が低くなる傾向がある。
上記プレスロールとしては、例えば、SUS等の金属製ロール、繊維強化プラスチック(FRP)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の強化プラスチック製ロール等があげられる。
また、上記高分子化合物製フィルム層1面上に磁性粉末含有層が形成されてなる構造体を加圧する際には、この構造体(高分子化合物製フィルム層1+磁性粉末含有層)の両面に、プラスチックフィルムを積層して加圧を行なうことが好ましい。
上記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステル系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニル系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、ポリ塩化ビニリデン系フィルム、セルロースフィルム、アクリル樹脂製フィルム、ポリアミド樹脂製フィルム、トリアセテート製フィルム、ポリカーボネート製フィルム、ポリエーテルスルホン製フィルム、ポリフェニルサルファイド製フィルム、ポリイミド樹脂製フィルム、ポリウレタン樹脂製フィルム、シリコンゴム製フィルム、ポリエチレンナフタレート製フィルム、ポリエーテルエーテルケトン製フィルム、シクロオレフィン製フィルム、ポリ乳酸製フィルム、ノルボルネン製フィルム等のプラスチックフィルム等があげられ、これらフィルムは単層構造であっても多層構造であってもよい。
中でも、耐熱性、耐溶剤性、成形容易性、寸法安定性、価格の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のポリエステル系フィルムが好ましい。
上記プラスチックフィルムの厚みとしては、通常3〜300μm程度、好ましくは5〜150μmである。そして、プラスチックフィルム表面およびプレスロール表面の少なくとも一方に、各種離型処理や、易接着処理、コロナ処理、プラズマ処理等を適宜施してもよく、さらにはプラスチックフィルムに対して、難燃処理、着色処理、防錆処理、抗菌処理等を施すこともの可能である。
このようにして得られる本発明の積層体は、高分子化合物製フィルム層1の片面に磁性体層2が積層形成された2層構造である。
本発明の積層体では、上記高分子化合物製フィルム層1と磁性体層2の間に、接着層、絶縁層等の中間層が形成されていてもよい。上記中間層は、例えば、高分子化合物製フィルム層1面に予め積層形成することが好ましい。
本発明の積層体では、上記磁性体層2の高分子化合物製フィルム層1が積層されていない面に粘着剤層が形成されていてもよい。上記粘着剤層としては、剥離強度が1〜30N/25mm程度の粘着性を有するものが好ましい。
上記粘着剤層形成材料としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ウレタン系等の各種粘着剤があげられるが、耐久性や価格の点でアクリル系粘着剤が好ましい。
上記粘着剤層の形成方法としては、例えば、上記のようにして高分子化合物製フィルム層1の片面に磁性体層2が積層形成された2層構造の積層体を作製した後、上記磁性体層2の高分子化合物製フィルム層1が積層されていない面に粘着剤層形成材料を塗工する形成方法があげられる。
さらには、上記粘着剤層に離型フィルム層を設けることができる。上記離型フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックフィルム、上質紙、薄葉紙、グラシン紙、セミグラシン紙等の紙製基材が使用できる。上記粘着剤層に対する離型処理としては、離型剤をフィルム内部に添加してもよく、またはフィルム表面に離型剤をコーティング処理してもよい。上記離型剤としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、ポリオレフィン系等の離型剤を用いることができる。そして、上記離型フィルムに対する離型処理は、フィルムの片面であっても両面であってもよい。その離型フィルムの剥離強度は0.03〜1N/25mm程度であることが好ましい。中でも、離型フィルムとしては、PETフィルム、もしくは上質紙が強度、耐熱性の観点から好ましい。また、離型剤としては、シリコーン系離型剤が価格の点から好ましく、剥離強度は0.1〜0.6N/25mmであることが特に好ましい。
本発明の積層体としては、前述の高分子化合物製フィルム層1の片面に磁性体層2が形成されてなる、高分子化合物製フィルム層1/磁性体層2の2層構造を必須の構成とするものであり、さらには、上記2層構造の積層体の磁性体層2の高分子化合物製フィルム層1が積層されていない面に粘着剤層が形成されてなる、高分子化合物製フィルム層1/磁性体層2/粘着剤層の3層構造、上記3層構造の積層体の粘着剤層面に離型フィルム層が積層されてなる、高分子化合物製フィルム層1/磁性体層2/粘着剤層/離型フィルム層の4層構造があげられる。これら構造は、その用途等に応じて適宜選択される。
本発明の積層体において、各層の厚みは、つぎのように設定される。高分子化合物製フィルム層1の厚みは、通常5〜200μm、好ましくは7〜100μm、特に好ましくは9〜50μm、更に好ましくは12〜25μmである。磁性体層2の厚みは、通常1〜1000μm、好ましくは2〜500μm、特に好ましくは5〜200μm、更に好ましくは25〜100μmである。また、粘着剤層の厚みは、通常3〜100μm、好ましくは4〜50μm、特に好ましくは5〜40μm、更に好ましくは7〜30μmである。離型フィルム層の厚みは、通常5〜500μm、好ましくは7〜300μm、特に好ましくは8〜200μm、更に好ましくは9〜100μmである。
そして、積層体の基本構造である高分子化合物製フィルム層1/磁性体層2の2層構造において、磁性体層2の厚み(x)と高分子化合物製フィルム層1の厚み(y)の比(x:y)は、好ましくはx:y=0.1〜100:1であり、特に好ましくはx:y=0.3〜50:1、更に好ましくはx:y=0.5〜20:1である。磁性体層2の厚みが高分子化合物製フィルム層1の厚みに比べて薄すぎると、積層体中での磁性体の割合が減るため、電磁波吸収性能が低下し、逆に厚過ぎると、高分子化合物製フィルム層1が裂けやすくなる傾向がある。
上記のようにして作製されてなる本発明の積層体では、上記磁性体層2の比重が、1.5〜10であることが好ましく、特に好ましくは2〜8である。なお、上記磁性体層2の比重は、例えば、市販のアルキメデス法による密度測定機を用いて測定することができる。
本発明の積層体では、電磁波吸収性という点から、1MHzにおける透磁率μ'が50以上であることが重要であり、好ましくは60以上である。なお、本発明のような積層体(シート状磁性フィルム)における透磁率(μ')の上限は、通常300である。本発明において、透磁率(μ')は、例えば、つぎのようにして測定される。すなわち、ネットワークアナライザ(例えばアジレント社製E5071C)に、透磁率測定用の治具(例えばアジレント社製16454A)を接続し、外径7mm,内径3mmに打ち抜いたドーナツ状サンプルを上記治具にセットし、所定のプログラムにて透磁率(μ')を測定することができる。
以下、実施例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
〔実施例1〕
<結晶性ポリエステル樹脂(A1)の製造>
撹拌機、精留塔、窒素導入管および真空装置が設けられた反応缶に、テレフタル酸276.2部、イソフタル酸59.2部、アジピン酸52.1部、1,4−ブタンジオール100.7部、1,6−ヘキサンジオール168.4部、シクロヘキサンジメタノール137.0部、触媒としてテトラブチルチタネート0.20部を仕込み、内温240℃まで徐々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行なった。その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.20部仕込み、1hPaまで減圧し、3時間かけて重縮合反応を行なうことにより、結晶性ポリエステル樹脂(A1)を作製した。得られた結晶性ポリエステル樹脂(A1)は、前述のとおり示差走査熱量計(DSC)にて測定した結果、融点が115℃、結晶化融解熱が9J/g、数平均分子量が17,000(末端基法による測定)、ガラス転移温度19℃であった。
<非晶性ポリエステル樹脂(B1)の製造>
撹拌機、温度計、精留塔、窒素導入管および真空装置が設けられた反応缶に、テレフタル酸176.6部、イソフタル酸156.6部、エチレングリコール97.1部、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物361.3部、触媒としてテトラブチルチタネート0.20部を仕込み、内温240℃まで除々に温度を上げ、4時間かけてエステル化反応を行なった。その後、内温260℃まで上げ、触媒としてテトラブチルチタネート0.20部仕込み、1hPaまで減圧し、3時間かけて重縮合反応を行い、さらに内温240℃まで下げ、イソフタル酸8.3部添加し、解重合を1時間行なうことにより、非晶性ポリエステル樹脂(B1)を作製した。得られた非晶性ポリエステル樹脂(B1)は、前述のとおり示差走査熱量計(DSC)にて測定した結果、融点および結晶化融解熱は測定されなかった。また、数平均分子量は7,000(末端基法による測定)、ガラス転移温度70℃であった。
<バインダー樹脂>
撹拌機、温度計、精留塔および窒素導入管が設けられた反応缶に、結晶性ポリエステル樹脂(A1)を138部、非晶性ポリエステル樹脂(B1)を92部、トルエン616部、メチルエチルケトン154部を入れ、80℃で5時間かけて樹脂を溶解し、30℃まで冷却し、バインダー樹脂(固形分23%、ガラス転移温度35℃、融点105℃)を得た。
<積層体の製造>
上記バインダー樹脂37.3部、磁性粉末であるセンダスト粉(山陽特殊製鋼社製;商品名「FME3DH」)34.3部、分散剤(楠本化成社;商品名「PW−36」)2.6部、トルエン25.8部を、ポリエチレン製瓶に投入し、ディスパーにて10分間、回転速度500rpmで撹拌し、磁性粉末分散液を得た。
つぎに、25μm厚のA4サイズPETフィルム(東レ社製「ルミラーS10 #25」)上に、上記磁性粉末分散液を、クリアランス300μmのアプリケーターにて塗工し、80℃に設定した乾燥機にて5分間乾燥することにより、塗工厚100μmの磁性粉末含有層付きPETフィルムを作製した。
得られた磁性粉末含有層付きPETフィルムの中央部5cm角を切り取り、切り取ったフィルムの上下を25μm厚の離型PETフィルム(東セロ社製「SP−PET−O1−BU」)2枚で挟み込み、ロールプレス機(サンクメタル社製、1トンメカ式精密ロールプレス、ロール間クリアランス70μm、ロール温度上下共に100℃、搬送速度0.5m/min、線圧200kg/cm)を通すことにより、膜厚40μmの積層体(磁性体層+PETフィルム層:磁性シート)を得た。
得られた積層体の1MHzでの透磁率μ’は、100であり、PETフィルム面の表面抵抗は1013Ω/□以上であった。また、得られた積層体の磁性体層の比重は5であった。
なお、上記透磁率は、先に述べた方法に準じ、アジレント社製の16454A磁性材料測定電極を用いた測定システムにて測定した。
上記PETフィルム面の表面抵抗の測定では、三菱ケミカルアナリテック社製「ハイレスタ」にて、表面抵抗を測定した。本発明においては、表面抵抗1013Ω/□以上の場合を合格とした。
上記磁性体層の比重は、磁性体層を5cm角に切り取り、ALFA MIRAGE社製電子比重計「MD−300S」にて測定した。
〔比較例1〕
<非晶性ポリエステル樹脂(B1)のみを使用してなる積層体>
分散液として、上記非晶性ポリエステル樹脂(B1)を5.4部、磁性粉末であるセンダスト粉(山陽特殊製鋼社製;商品名「FME3DH」)21.3部、トルエン70.3部、架橋剤としてブロックイソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネート2507」)3部を用いた以外は、実施例1と同様に行ない、磁性粉末分散液を作製した。
得られた磁性粉末分散液を用い、実施例1と同様にして膜厚40μmの積層体(磁性体層+PETフィルム層:磁性シート)を得た。
得られた積層体の各物性を前述の測定方法に従って測定した。その結果、積層体の1MHzでの透磁率μ’は40であり、PETフィルム面の表面抵抗は1013Ω/□以上であった。また、得られた積層体の磁性体層の比重は5であった。
〔比較例2〕
<PETフィルム層無しの磁性体層単層>
磁性粉末分散液を塗工する基材フィルムを、東セロ社製「SP−PET−O1−BU」(厚み25μm)に変え、離型処理面に塗工した以外は実施例1と同様に実施し、積層体を作製した。つぎに、得られた積層体から上記基材フィルムを剥離し、単層からなる磁性体層のみからなるシートを得た。得られた磁性体層単層シートの表面抵抗は104Ω/□と低く、また、磁性体層端部から磁性粉末が脱落する現象が確認され、実用に適さないことは明らかである。
〔粘着剤層付の積層体〕
上記実施例1にて作製した積層体の磁性体層のうち、PETフィルムが積層されていない面に、粘着剤層形成材料として日本合成化学工業社製「コーポニールN−4510E」を用い、これを塗工(塗工方法:固形分45%になるように酢酸エチルで希釈し、アプリケーターを用いたキャスト塗工)し、80℃で10分間乾燥することにより粘着剤層を形成してなる、高品質の粘着剤層付の積層体を作製した。
さらに、上記粘着剤層面に離型フィルム(紙セパレーター)を貼付して離型フィルムが仮接着された粘着剤層付の積層体を作製した。
本発明の積層体は、高分子化合物製フィルム層および特定のバインダー樹脂と磁性粉末を用いて得られる特殊な磁性体層を基本構造とするものであり、透磁性の高い電磁波抑制シートとなりうることから、いわゆる電磁波の透過を抑制することのできる磁性シート等に非常に有用である。
1 高分子化合物製フィルム層
2 磁性体層
3 磁性粉末
4 バインダー樹脂

Claims (6)

  1. 磁性粉末およびバインダー樹脂を含有する形成材料からなる磁性体層、および、高分子化合物製フィルム層の積層構造を有する積層体であって、
    上記バインダー樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)を含有し、
    磁性粉末が、鉄系粉末および軟磁性粉末の少なくとも一方であることを特徴とする積層体。
  2. 結晶性ポリエステル樹脂(A)および非晶性ポリエステル樹脂(B)の含有割合〔(A)/(B)〕が、重量比で、(A)/(B)=95/5〜40/60であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 磁性体層の厚み(x)と高分子化合物製フィルム層の厚み(y)の比(x:y)が、x:y=0.1〜100:1であることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  4. 高分子化合物製フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 磁性粉末とバインダー樹脂の含有割合が、重量比で、磁性粉末:バインダー樹脂=1:1〜10:1であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 磁性体層の高分子化合物製フィルムが積層されていない面に粘着剤層が形成されてなることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の積層体。
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