以下、添付した図面を参照しながら、本発明に係る第1および第2実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面における部材の大きさや比率は、説明の都合上誇張され実際の大きさや比率とは異なる場合がある。図1〜図16の全ての図において、X、Y、およびZで表す矢印を用いて、方位を示している。Xで表す矢印の方向は、部材の搬送方向Xを示している。Yで表す矢印の方向は、部材の搬送方向Xと交差した交差方向Yを示している。Zで表す矢印の方向は、セラミックセパレータおよび正極20等の部材の積層方向Zを示している。
(第1実施形態)
セパレータ接合装置100は、電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合方法を具現化したものである。セパレータ接合装置100は、電極(正極20または負極30)を挟持するセパレータ(一対のセラミックセパレータ41および42)の接合領域40hを切断しつつ互いに接合する。
先ず、セパレータ接合装置100によって接合して形成する電気デバイス(袋詰電極11)を、図1〜図4を参照しながら説明する。ここで、袋詰電極11は、リチウムイオン二次電池10の構成に基づき説明する。
図1は、電気デバイス(袋詰電極11)を用いて構成したリチウムイオン二次電池10を示す斜視図である。図2は、図1のリチウムイオン二次電池10を各構成部材に分解して示す分解斜視図である。図3は、図1の袋詰電極11の両面に負極30をそれぞれ積層した状態を示す斜視図である。図4は、図3の構成を図3中に示す4−4線に沿って示す部分断面図である。
正極20は、電極に相当し、導電体である正極集電体21の両面に正極活物質22を結着して形成している。電力を取り出す正極電極端子21aは、正極集電体21の一端の一部から延在して形成している。複数積層された正極20の正極電極端子21aは、溶接または接着によって互いに固定している。
正極20の正極集電体21の材料には、例えば、アルミニウム製エキスパンドメタル、アルミニウム製メッシュ、アルミニウム製パンチドメタルを用いている。正極20の正極活物質22の材料には、種々の酸化物(LiMn2O4のようなリチウムマンガン酸化物、二酸化マンガン、LiNiO2のようなリチウムニッケル酸化物、LiCoO2のようなリチウムコバルト酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、またはリチウムを含む非晶質五酸化バナジウム)またはカルコゲン化合物(二硫化チタン、二硫化モリブテン)等を用いている。
負極30は、正極20と極性が異なる電極に相当し、導電体である負極集電体31の両面に負極活物質32を結着して形成している。負極電極端子31aは、正極20に形成した正極電極端子21aと重ならないように、負極集電体31の一端の一部から延在して形成している。負極30の長手方向の長さは、正極20の長手方向の長さよりも長い。負極30の短手方向の長さは、正極20の短手方向の長さと同様である。複数積層された負極30の負極電極端子31aは、溶接または接着によって互いに固定している。
負極30の負極集電体31の材料には、例えば、銅製エキスパンドメタル、銅製メッシュ、または銅製パンチドメタルを用いている。負極30の負極活物質32の材料には、リチウムイオンを吸蔵して放出する炭素材料を用いている。このような炭素材料には、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、または有機前駆体(フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、またはセルロース)を不活性雰囲気中で熱処理して合成した炭素を用いている。
セパレータは、一対のセラミックセパレータ41および42から構成している。一対のセラミックセパレータ41および42は、正極20と負極30を電気的に隔離している。一対のセラミックセパレータ41および42は、正極20と負極30との間に電解液を保持して、イオンの伝導性を担保している。一対のセラミックセパレータ41および42は、矩形状に形成している。一対のセラミックセパレータ41および42の長手方向の長さは、負極電極端子31aの部分を除いた負極30の長手方向の長さよりも長い。
一対のセラミックセパレータ41および42は、互いに同様の構成からなる。例えばセラミックセパレータ41は、図4に示すように、溶融材に相当するポリプロピレン層41mに対して、耐熱材に相当するセラミックス層41nを積層して形成している。セラミックス層41nは、ポリプロピレン層41mよりも溶融温度が高い。セラミックセパレータ41および42は、正極20を挟持し、セラミックス層41nおよび42nを対向させて積層している。セラミックス層41nおよび42nは、正極20の正極活物質22に当接している。
セラミックセパレータ41のポリプロピレン層41mは、ポリプロピレンをシート状に形成している。ポリプロピレン層41mには、非水溶媒に電解質を溶解することによって調製した非水電解液を含浸させている。非水電解液をポリプロピレン層41mに保持するために、ポリマーを含有させている。セラミックス層41nは、例えば、無機化合物を高温で成形したセラミックスをポリプロピレン層41mに塗布して乾燥させることによって形成している。セラミックスは、シリカ、アルミナ、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物等のセラミック粒子とバインダーの結合により形成された多孔質からなる。
一対のセラミックセパレータ41および42は、正極20を挟持するように耐熱材同士を対面させている。すなわち、セラミックセパレータ41は、セラミックセパレータ42と対向したときに、ポリプロピレン層41mが外側(積層方向Zに沿った図中下方)であって、セラミックス層41nが内側(積層方向Zに沿った図中上方)になるように配設している。同様に、セラミックセパレータ42は、セラミックセパレータ41と対向したときに、ポリプロピレン層42mが外側(積層方向Zに沿った図中上方)であって、セラミックス層42nが内側(積層方向Zに沿った図中下方)になるように配設している。
一対のセラミックセパレータ41および42は、長手方向の両側を互いに接合している。一対のセラミックセパレータ41および42の長手方向は、セパレータ接合装置100の搬送方向Xと交差した交差方向Yに相当する。一対のセラミックセパレータ41および42の接合領域40hを切断しつつ、セラミックセパレータ42のポリプロピレン層42mをセラミックセパレータ41のポリプロピレン層41mに向けて移動させ、ポリプロピレン層42mおよび41m同士を互いに溶融して接合させている。
袋詰電極11は、一対のセラミックセパレータ41および42によって、正極20の両面を挟持するように積層して構成している。袋詰電極11において、一対のセラミックセパレータ41および42の長手方向(交差方向Y)の両側を接合している。リチウムイオン二次電池10が振動したり衝撃を受けたりしても、セラミックセパレータ41および42の長手方向の両端を接合することによって、袋詰電極11内における正極20の移動を抑制することができる。すなわち、セラミックセパレータ41および42を介して、隣り合う正極20と負極30の短絡を防止できる。したがって、リチウムイオン二次電池10は、所期の電気的特性を維持することができる。
外装材50は、例えば、内部に金属板を備えたラミネートシート51および52から構成し、発電要素15を両側から被覆して封止している。ラミネートシート51および52で発電要素15を封止する際に、そのラミネートシート51および52の周囲の一部を開放して、その他の周囲を熱溶着等によって封止する。ラミネートシート51および52の開放している部分から電解液を注入し、一対のセラミックセパレータ41および42に電荷液を含浸させる。ラミネートシート51および52の開放部から内部を減圧することによって空気を抜きつつ、その開放部も熱融着して完全に密封する。
外装材50のラミネートシート51および52は、例えば、それぞれ3種類の材料を積層して3層構造を形成している。1層目は、熱融着性樹脂に相当し、例えばポリエチレン(PE)、アイオノマー、またはエチレンビニルアセテート(EVA)を用いている。1層目の材料は、負極30に隣接させる。2層目は、金属を箔状に形成したものに相当し、例えばAl箔またはNi箔を用いている。3層目は、樹脂性のフィルムに相当し、例えば剛性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)またはナイロンを用いている。
次に、電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置100について、図5〜図8を参照しながら順に説明する。
図5は、電気デバイス(袋詰電極11)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置100を示す斜視図である。図6は、図5のセパレータ接合装置100の要部を示す斜視図である。図7は、図5のセパレータ接合装置100によるセパレータ(セラミックセパレータ41および42)の接合方法を示す模式図である。図8は、図5のセパレータ接合装置100のセパレータ接合部140に配設する切断部材(切断刃141)の要部を示す斜視図である。
セパレータ接合装置100は、例えば、電極搬送部110、第1セパレータ搬送部120(配置工程および搬送工程に対応)、第2セパレータ搬送部130(配置工程および搬送工程に対応)、セパレータ接合部140(接合工程に対応)、袋詰電極搬送部150、および制御部160から構成している。以下、セパレータ接合装置100の構成について構成部毎に順に説明する。
電極搬送部110は、図5および図6に示し、正極20を搬送しつつ所定の形状に切断する。
電極搬送部110の電極供給ローラ111は、円柱形状からなり、正極20を巻き付けて保持している。搬送ローラ112は、細長い円柱形状からなり、電極供給ローラ111に巻き付けられた正極20に対して一定の張力をかけた状態で第1搬送ベルト113に導く。第1搬送ベルト113は、外周面に吸引口を複数設けた無端状のベルトからなり、正極20を吸引した状態で搬送方向Xに沿って搬送する。回転部材114は、交差方向Yに沿って、第1搬送ベルト113の内周面に複数配設し、第1搬送ベルト113を回転させる。複数の回転部材114のうち、一つが動力を設けた駆動ローラであり、その他が駆動ローラに従動する従動ローラである。搬送ローラ112および電極供給ローラ111は、第1搬送ベルト113の回転に従動して回転する。
電極搬送部110の切断部材115および116は、第1搬送ベルト113と搬送方向Xの下流側において隣り合うように配設し、正極20を所定の形状に切断して成形する。切断部材115は、正極20の長手方向(交差方向Y)に沿った両端を直線状に切断する。切断部材115は、先端に直線状の鋭利な刃を設けている。切断部材115は、正極20の長手方向(交差方向Y)の一端を直線状に切断した後、正極20が搬送方向Xに沿って一定の距離だけ搬送されてから、正極20の一端に対向した他端を直線状に切断する。正極20の長手方向は、正極集電体21から正極電極端子21aが突出した方向、すなわち交差方向Yに相当する。切断部材116は、正極20の短手方向(搬送方向X)に沿った片端の一部を切断する。切断部材116は、先端に一部を屈折させ段違いに形成した鋭利な刃を設けている。切断部材116は、一端を切断された直後の正極20の一部を、正極電極端子21aの形状に対応して切断する。受け台117は、正極20を切断する切断部材115および切断部材116を受ける。受け台117は、金属からなり、L字形状に形成している。受け台117は、搬送する正極20を介して、切断部材115および切断部材116と積層方向Zに沿って対向して配設している。
電極搬送部110の搬送補助ローラ118は、切断部材115および116と、交差方向Yに沿って隣り合うように配置し、切断中の正極20の搬送を補助する。搬送補助ローラ118は、切断中の正極20の一部を吸引して保持しながら、その正極20を搬送方向Xの下流側に搬送する。搬送補助ローラ118は、円柱形状に形成し、外周面に吸引口を複数設けている。搬送補助ローラ118は、搬送方向Xに沿って密に3つ配設している。第2搬送ベルト119は、外周面に吸引口を複数設けた無端状のベルトからなり、切断された後の正極20を吸引した状態で搬送方向Xに沿って搬送する。第2搬送ベルト119は、第1搬送ベルト113と同様の仕様からなるが、第2セパレータ搬送部130の第2搬送ドラム134との干渉を回避するため、複数の回転部材114の配設位置を異ならせて、搬送方向Xに沿った側面における形状を異ならせている。電極搬送部110は、切り出した正極20を、第1セパレータ搬送部120と第2セパレータ搬送部130との間を通過するように搬出する。
第1セパレータ搬送部120は、図5および図6に示し、正極20の一面(積層方向Zに沿った図5中に示す下方)に積層するためのセラミックセパレータ41を搬送する。
第1セパレータ搬送部120は、電極搬送部110よりも搬送方向Xの下流側であって、積層方向Zに沿った図5中に示す下方に配設している。
第1セパレータ搬送部120は、配置工程に対応する。配置工程は、耐熱材(セラミックス層41nおよび42n)の中央部41ncおよび42nc同士が、電極(正極20または負極30)を隔てて対向するようにセラミックセパレータ41を配置する。
第1セパレータ搬送部120の第1セパレータ供給ローラ121は、円柱形状からなり、長尺状のセラミックセパレータ41を巻き付けて保持している。第1セパレータ供給ローラ121は、セラミックセパレータ41を、ポリプロピレン層41mが内側であってセラミックス層41nが外側になるように、巻き付けて保持している。対向して配設した第1加圧ローラ122と第1ニップローラ123は、それぞれ細長い円柱形状からなり、第1セパレータ供給ローラ121に巻き付けられたセラミックセパレータ41に対して一定の張力をかけた状態で第1搬送ドラム124に導く。第1搬送ドラム124は、円柱形状からなり、その外周面に吸引口を複数設けている。
第1セパレータ搬送部120の第1搬送ドラム124を回転させると、第1加圧ローラ122と第1ニップローラ123に加えて第1セパレータ供給ローラ121が従動して回転する。第1搬送ドラム124は、セラミックセパレータ41を、電極搬送部110から搬出された正極20の一面の側に近接させつつ積層する。セラミックセパレータ41は、そのセラミックス層41nの側を、正極20の一面に対向させている。
第2セパレータ搬送部130は、図5および図6に示し、正極20の一面に対向した他面(積層方向Zに沿った図5中に示す上方)に積層するためのセラミックセパレータ42を搬送する。
第2セパレータ搬送部130は、電極搬送部110よりも搬送方向Xの下流側であって、積層方向Zに沿った図5中に示す上方に配設している。
第2セパレータ搬送部130は、配置工程に対応する。配置工程は、耐熱材(セラミックス層41nおよび42n)の中央部41ncおよび42nc同士が、電極(正極20または負極30)を隔てて対向するようにセラミックセパレータ42を配置する。
第2セパレータ搬送部130は、第1セパレータ搬送部120と積層方向Zに沿って対向して配設している。第2セパレータ搬送部130の第2セパレータ供給ローラ131は、円柱形状からなり、長尺状のセラミックセパレータ42を巻き付けて保持している。第2セパレータ供給ローラ131は、セラミックセパレータ42を、ポリプロピレン層42mが内側であってセラミックス層42nが外側になるように、巻き付けて保持している。対向して配設した第2加圧ローラ132と第2ニップローラ133は、それぞれ細長い円柱形状からなり、第2セパレータ供給ローラ131に巻き付けられたセラミックセパレータ42に対して一定の張力をかけた状態で第2搬送ドラム134に導く。第2搬送ドラム134は、円柱形状からなり、その外周面に吸引口を複数設けている。
第2セパレータ搬送部130の第2搬送ドラム134を回転させると、第2加圧ローラ132と第2ニップローラ133に加えて第2セパレータ供給ローラ131が従動して回転する。第2搬送ドラム134は、セラミックセパレータ42を、電極搬送部110から搬出された正極20の他面の側に近接させつつ積層する。セラミックセパレータ42は、そのセラミックス層42nの側を、正極20の他面に対向させている。
このように、第1セパレータ搬送部120と第2セパレータ搬送部130は、第1搬送ドラム124と第2搬送ドラム134との隙間の部分において、一対のセラミックセパレータ41および42によって正極20を挟持させるように積層しつつ、搬送方向Xに沿って搬送する。その搬送方向Xに沿った下流側には、セパレータ接合部140を配設している。
セパレータ接合部140は、図5〜図7に示し、正極20を介して対面するセラミックセパレータ41および42の接合領域40hを切断しつつ、セラミックセパレータ42の接合領域40hのポリプロピレン層42mを、セラミックセパレータ41の接合領域40hのポリプロピレン層41mに向けて移動させ、接合領域40hのポリプロピレン層42mおよび41mを溶融して互いに接合する。
セパレータ接合部140は、電極搬送部110と搬送方向Xに沿って隣り合い、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130よりも搬送方向Xの下流側に配設している。
セパレータ接合部140は、接合工程(セパレータ接合工程)を具現化したものである。セパレータ接合部140は、セラミックセパレータ41の接合領域40hと、セラミックセパレータ41に対向するセラミックセパレータ42の接合領域40hをそれぞれ分断する。セパレータ接合部140は、切断部材(切断刃141)、ヒータ142、および保持部材(保持台143)を備えている。
切断刃141は、セラミックセパレータ41および42を切断する。切断刃141は、セラミックセパレータ41および42の短手方向(交差方向Y)の幅よりも長く、直線状に形成している。切断刃141は、セラミックセパレータ42の接合領域40hのポリプロピレン層42mを押圧する先端部141aを、湾曲させて形成している。すなわち、先端部141aは、鋭利に形成していない。ヒータ142は、切断刃141を加温する。ヒータ142は、切断刃141の先端部141aと対向する基端側に接合している。ヒータ142は、加熱用の熱電対またはペルチェ素子等から構成している。ヒータ142は、切断刃141が熱伝導によって接合領域40hのポリプロピレン層42mおよび41mを溶融するための熱を発生させる。保持台143は、切断刃141の先端部141aを受け止める。保持台143は、金属からなり、板状に形成している。保持台143は、交差方向Yに沿って長尺である。保持台143は、セラミックセパレータ41および42を隔てて、切断部材(切断刃141)の先端部141aと積層方向Zに沿って対向している。ここで、保持台143は、接合領域40hを貫通した先端部141aを保持する保持面143aを平坦に形成している。
袋詰電極搬送部150は、図5および図6に示し、セパレータ接合部140等によって形成された袋詰電極11を搬送する。
袋詰電極搬送部150は、電極搬送部110と搬送方向Xに沿って隣り合い、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130よりも搬送方向Xの下流側に配設している。
袋詰電極搬送部150の搬送ベルト151は、外周面に吸引口を複数設けた無端状のベルトからなり、袋詰電極11を吸引した状態で搬送方向Xに沿って搬送する。回転部材152は、交差方向Yに沿って、搬送ベルト151の内周面に複数配設し、搬送ベルト151を回転させる。複数の回転部材152のうち、一つが動力を設けた駆動ローラであり、その他が駆動ローラに従動する従動ローラである。袋詰電極搬送部150の吸着パッド153は、搬送ベルト151に載置された袋詰電極11よりも積層方向Zの図5中に示す上方において、袋詰電極11と対向するように位置している。吸着パッド153は、板状からなり、袋詰電極11と当接する面に吸引口を複数設けている。
伸縮部材154は、吸着パッド153よりも積層方向Zの図5中に示す上方に位置している。伸縮部材154の一端は、吸着パッド153を接合している。伸縮部材154は、エアーコンプレッサー等を動力として、積層方向Zに沿って伸縮自在である。X軸ステージ155およびX軸補助レール156は、伸縮部材154の一端に対向した他端を移動自在に支持している。X軸ステージ155は、搬送方向Xに沿って配設し、伸縮部材154を搬送方向Xに沿って走査する。X軸補助レール156は、X軸ステージ155と並行に配設し、X軸ステージ155による伸縮部材154の走査を補助する。載置台157は、板状からなり、搬送ベルト151よりも搬送方向Xに沿った下流側に配設している。載置台157は、袋詰電極11を一時的に載置して保管する。
制御部160は、図5に示し、電極搬送部110と第1セパレータ搬送部120と第2セパレータ搬送部130とセパレータ接合部140および袋詰電極搬送部150の作動をそれぞれ制御する。
制御部160のコントローラ161は、ROM、CPU、およびRAMを含んでいる。ROM(Read Only Memory)は、セパレータ接合装置100に係る制御プログラムを格納している。制御プログラムは、電極搬送部110の回転部材114と切断部材115および116、第1セパレータ搬送部120の第1搬送ドラム124、および第2セパレータ搬送部130の第2搬送ドラム134の制御に関するものを含んでいる。さらに、制御プログラムは、セパレータ接合部140の切断刃141およびヒータ142、および袋詰電極搬送部150の回転部材152と伸縮部材154等の制御に関するものを含んでいる。
制御部160のCPU(Central Processing Unit)は、制御プログラムに基づいてセパレータ接合装置100の各構成部材の作動を制御する。RAM(Random Access Memory)は、制御中のセパレータ接合装置100の各構成部材に係る様々なデータを一時的に記憶する。データは、例えば、セパレータ接合部140の切断刃141の移動速度や移動距離に関するものである。
次に、セパレータ接合装置100の作用について説明する。
電極搬送部110は、図5に示すように、切断部材115および116によって、正極20を所定の形状に1枚ずつ切断して成形する。電極搬送部110は、成形した正極20を第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130の間に搬出する。次いで、第1セパレータ搬送部120は、図5および図6に示すように、第1セパレータ搬送部120は、セラミックセパレータ41を搬送しつつ、電極搬送部110から搬出された正極20の一面の側に積層する。同様に、第2セパレータ搬送部130は、図5および図6に示すように、第1セパレータ搬送部120の作動と並行して、セラミックセパレータ42を搬送しつつ、電極搬送部110から搬出された正極20の他面の側に積層する。
次いで、セパレータ接合部140は、図5〜図7に示すように、切断刃141によって長尺状のセラミックセパレータ41および42を、正極20を跨ぐように正極20の短手方向(搬送方向X)の幅よりも若干長い幅で切断する。すなわち、切断刃141は、正極20の長手方向(交差方向Y)の一端の近傍を切断した後、正極20を挟持したセラミックセパレータ41および42が袋詰電極搬送部150によって一定の距離だけ搬送されてから、正極20の一端に対向した他端の近傍を切断する。ここで、切断刃141は、セラミックセパレータ42の接合領域40hを、セラミックセパレータ41の接合領域40hに押圧する。切断刃141は、ヒータ142から供給された熱によって加温された状態で、セラミックセパレータ41および42を分断する。すなわち、切断刃141は、正極20を介して対面するセラミックセパレータ42の接合領域40hを切断しつつ、そのセラミックセパレータ42のポリプロピレン層42mを、セラミックセパレータ41のポリプロピレン層41mに向けて移動させる。同時に、ヒータ142によって加温された切断刃141は、互いのポリプロピレン層同士を熱伝導によって溶融して接合する。
その後、袋詰電極搬送部150は、図5に示すように、セパレータ接合部140等によって形成された袋詰電極11を搬送する。袋詰電極搬送部150は、袋詰電極11を載置台157に載置して一時的に保管する。
上述した第1実施形態によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
電気デバイス(袋詰電極)のセパレータ接合方法は、シート状の溶融材(ポリプロピレン層)と、ポリプロピレン層に積層しポリプロピレン層よりも溶融温度が高い耐熱材(セラミックス層)と、を含むセパレータ(セラミックセパレータ)を用い、電極(正極20または負極30)を挟持しセラミックス層同士を対面させたセラミックセパレータを切断しつつ接合する方法である。セパレータ接合方法は、接合工程(セパレータ接合工程)を有している。セパレータ接合工程は、正極20を介して対面するセラミックセパレータの接合領域40hを切断しつつ一の接合領域40hのポリプロピレン層を他の接合領域40hのポリプロピレン層に向けて移動させ、接合領域40hのポリプロピレン層同士を溶融して接合する。
電気デバイス(袋詰電極)のセパレータ接合装置は、シート状の溶融材(ポリプロピレン層)と、ポリプロピレン層に積層しポリプロピレン層よりも溶融温度が高い耐熱材(セラミックス層)と、を含むセパレータ(セラミックセパレータ)を用い、電極(正極20または負極30)を挟持しセラミックス層同士を対面させたセラミックセパレータを切断しつつ接合する装置である。セパレータ接合装置100は、接合部(セパレータ接合部)を有している。セパレータ接合部は、正極20を介して対面するセラミックセパレータの接合領域40hのうち、一の接合領域40hのポリプロピレン層を他の接合領域40hのポリプロピレン層に向けて移動させながら接合領域40h同士を切断し、接合領域40hのポリプロピレン層同士を溶融して接合する。
このような構成では、セラミックセパレータの接合領域40hを切断するときに、一の接合領域40hのポリプロピレン層を他の接合領域40hのポリプロピレン層に向けてセラミックス層を超えるように移動させることによって、接合領域40hにおいて対面したポリプロピレン層同士を溶融して接合する。すなわち、セラミックセパレータの接合領域40hを切断するときに、一の接合領域40hのポリプロピレン層を、セラミックス層を切り開いて他の接合領域40hのポリプロピレン層に隣接させる。したがって、隣接させたポリプロピレン層の部分によって、セラミックセパレータを十分に接合することができる。
さらに、このような構成では、セラミックセパレータの切断と接合とを同時に行うことができることから、セラミックセパレータを切断した後に接合する場合と比較して、袋詰電極の製造に要するコストと時間を削減することができる。さらに、このような構成では、セラミックセパレータの切断と接合とを同時に行うことができることから、セラミックセパレータを切断してから接合する迄の間に、接合領域40h同士が位置ずれしてしまうことを防止できる。
ここで、上記の構成によって接合した電気デバイス(袋詰電極)は、耐熱材(セラミックス層)同士を対面させたセラミックセパレータを用いた場合であっても、正極20を挟持するセラミックセパレータを十分に接合できることから、所期の電気特性を発揮させることができる。具体的には、例えば、袋詰電極は、リチウムイオン二次電池10が振動したり衝撃を受けたりしても、セラミックセパレータの接合領域に相当する端部を十分に接合していることから、正極20の移動を抑制することができる。すなわち、セラミックセパレータを介して隣り合う正極20と負極30の短絡を防止できる。したがって、リチウムイオン二次電池10は、所期の電気的特性を維持することができる。
さらに、セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置100において、特にセパレータ接合方法は、電極(正極20または負極30)と比してそれぞれ長尺からなる一対のセパレータ(セラミックセパレータ41および42)を用いる構成とすることができる。この接合方法は、配置工程をさらに有している。配置工程は、接合工程(セパレータ接合工程)の前に実施する。配置工程は、正極20を隔ててセラミックセパレータ41および42を対向するように配置する。セパレータ接合工程は、セラミックセパレータ41の接合領域40hと、セラミックセパレータ41に対向するセラミックセパレータ42の接合領域40hと、をそれぞれ分断する。
このような構成に示すように、このセパレータ接合方法は、枚葉式からなる非常に汎用性の高い方式に適用することができる。すなわち、このセパレータ接合方法は、セラミックセパレータ41、正極20、およびセラミックセパレータ42の順で、各部材を重ね合わせて積層する方式に用いることができる。
さらに、セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置100において、特にセパレータ接合方法は、接合工程(セパレータ接合工程)で、切断部材(切断刃141)からの熱伝導によって、接合領域40hの溶融材(ポリプロピレン層41mおよび42m)同士を溶融する構成とすることができる。接合工程(セパレータ接合工程)は、セパレータ接合部140によって具現化している。
このような構成によれば、加熱させた切断刃141からの熱伝導によって、セラミックセパレータ41および42のポリプロピレン層41mおよび42m同士を溶融して接合させる非常に汎用性の高い接合方法を適用することができる。
さらに、セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置100において、特にセパレータ接合方法は、さらに引張工程を有する構成とすることができる。引張工程は、接合工程(セパレータ接合工程)の間に実施する。引張工程は、セパレータ(セラミックセパレータ41および42のうち、少なくともセラミックセパレータ42)を引っ張る。セパレータ接合工程は、引張工程によって伸長したセラミックセパレータ41および42の接合領域40hを接合する。引張工程は、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130のうち、少なくとも第2セパレータ搬送部130によって具現化している。
このような構成によれば、例えば伸長された状態のセラミックセパレータ42の接合領域40hを、切断刃141によって押圧したときに、そのセラミックセパレータ42の接合領域40hを、その切断刃141に追随させてセラミックセパレータ41の方に沈み込ませるように移動させることができる。すなわち、セラミックセパレータ42の接合領域40hのポリプロピレン層を、セラミックセパレータ41の接合領域40hのポリプロピレン層に向けて、容易に移動させることができる。仮に、セラミックセパレータ42の接合領域40hが弛んでいる状態において、その接合領域40hが切断刃141によって押圧された場合、接合領域40hの弛みは解消されるが、接合領域40hを切断刃141に追随させて移動させることは困難となる。
さらに、セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置100において、特にセパレータ接合装置100は、接合部(セパレータ接合部140)は、切断部材(切断刃141)および熱源(ヒータ142)を備えている。切断刃141は、接合領域40hを押圧して切断する。ヒータ142は、切断刃141に対して接合領域40hの溶融材同士を溶融する熱を供給する。ここで、切断刃141は、接合領域40hを押圧する先端部141aを湾曲させて形成することができる。
このような構成によれば、先端部141aを湾曲させた切断刃141によって、セラミックセパレータ42の接合領域40hを押圧した場合、そのセラミックセパレータ42の接合領域40hは、暫く切断されることなく、切断刃141に追随してセラミックセパレータ41の方に沈み込ませるように移動させることができる。すなわち、セラミックセパレータ42の接合領域40hのポリプロピレン層を、セラミックセパレータ41の接合領域40hのポリプロピレン層に向けて、容易に移動させることができる。仮に、先端が鋭利な切断刃によって、セラミックセパレータ42の接合領域40hを切断刃141によって押圧した場合、そのセラミックセパレータ42の接合領域40hは、直ちに切断されてしまい、切断刃141に追随してセラミックセパレータ41の方に沈み込ませることは困難となる。
さらに、セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置100において、特にセパレータ接合装置100は、さらに保持部材(保持台143)を備えている。保持台143は、接合領域40hを隔てて切断部材(切断刃141)の先端部141aと対向する。ここで、保持台143は、接合領域40hを貫通した先端部141aを保持する保持面143aを平坦に形成することができる。
このような構成によれば、切断刃141の先端部141aによって、セラミックセパレータ42を押圧した場合、セラミックセパレータ42の接合領域40hは、切断刃141に追随してセラミックセパレータ41の方に沈み込む。一方、セラミックセパレータ41の接合領域40hは、保持台143の平坦な保持面143aによって移動を阻止されて沈み込まない。すなわち、沈み込むように移動させたセラミックセパレータ42の接合領域40hのポリプロピレン層は、移動を阻止されたセラミックセパレータ41の接合領域40hのポリプロピレン層に対して、容易に隣接させることができる。
(第1実施形態の変形例1)
第1実施形態の変形例1に係るセパレータ接合装置100のセパレータ接合部140に配設する切断刃の変形例について、図9を参照しながら説明する。
第1実施形態の変形例1は、切断刃の先端部を複雑に湾曲させて形成している構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、切断刃141の先端部141aを凸状に湾曲させていた。第1実施形態の変形例1においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
切断部材の変形例について、図9を参照しながら説明する。
図9は、セパレータ接合装置100のセパレータ接合部140に配設する切断刃の要部を示す斜視図である。
図9(A)に、切断刃144を示している。切断刃144は、その先端部144aを、凸形状と凹形状を組み合わせた形状によって形成している。先端部144aは、セラミックセパレータ42等の切断方向(交差方向Y)に沿って、セラミックセパレータ42等に対向するように突出させた凸形状を2つ形成している。2つの凸形状の部分は、その間に凹形状の部分を設けて十分に離間させている。一方、図9(B)に、切断刃145を示している。切断刃145は、その先端部145aを、円形状によって形成している。先端部145aは、セラミックセパレータ42等の切断方向(交差方向Y)に沿って、セラミックセパレータ42等に対向するように円形状に形成している。
上述した第1実施形態の変形例1によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置100において、特にセパレータ接合装置100は、切断刃の先端部を、凸形状と凹形状を組み合わせた形状または円形状に湾曲させて形成している。
このような構成によれば、セラミックセパレータ41の接合領域40hとセラミックセパレータ42の接合領域40hをそれぞれ分断して、複数の袋詰電極11を隣接させて連続的に形成する場合に、各々の袋詰電極11の端部の接合領域40hを十分に接合するこができる。すなわち、隣接して連続的に形成される各々の袋詰電極11は、それぞれ独立した別個の凸形状の部位によって押圧されることから、それぞれポリプロピレン層同士を隣接させて接合することができる。先端部144aに凸形状を2つ形成しその間を凹形状で離間させた切断刃144によって、一の袋詰電極11の右端と、隣接する他の袋詰電極11の他端は、互いに同一の接合領域40hを分断することによって形成する。このような場合に、一の袋詰電極11の右端と、隣接する他の袋詰電極11の他端は、切断刃144の先端部144aの2つの凸形状の部分によって、それぞれ独立して切断しつつ接合することができる。
一方、切断刃145の先端部145aは、セラミックセパレータ42の接合領域40hのポリプロピレン層を押圧するときに、内方に湾曲した側面145bにポリプロピレン層を退避させることができる。すなわち、セラミックセパレータ42の接合領域40hのポリプロピレン層のみを強く押圧するとともに、その接合領域40hに隣接した領域は側面145bに退避させて応力が掛からないようにすることができる。したがって、切断刃145によって、セラミックセパレータ41および42を押圧するときに、接合領域40hに対して選択的に応力を印加することができる。
(第1実施形態の変形例2)
第1実施形態の変形例2に係る電気デバイス(袋詰電極12)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置200について、図10を参照しながら説明する。
第1実施形態の変形例2は、超音波を印加したホーン241によって、セラミックセパレータ41および42の溶融材(ポリプロピレン層)を溶融する構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、加熱した切断刃141によって、セラミックセパレータ41および42の溶融材(ポリプロピレン層)を溶融していた。第1実施形態の変形例2においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
セパレータ接合装置200のセパレータ接合部240について、図10を参照しながら説明する。
図10は、電気デバイス(袋詰電極12)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置200の要部を示す斜視図である。
セパレータ接合部240は、セパレータ接合部140と同様に、電極搬送部110と搬送方向Xに沿って隣り合い、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130よりも搬送方向Xの下流側に配設している。
セパレータ接合部240は、接合工程(セパレータ接合工程)を具現化したものである。セパレータ接合工程は、超音波印加部材(ホーン241)からの超音波振動に伴う発熱によって、セラミックセパレータ41の接合領域40hのポリプロピレン層41mと、セラミックセパレータ42の接合領域40hのポリプロピレン層42mを溶融する。セパレータ接合部240は、ホーン241、振動子242、およびアンビル243を備えている。
ホーン241は、超音波をセラミックセパレータ41および42に印加しつつ切断する。ホーン241は、セラミックス層42nおよび41nに超音波を印加して摩擦熱を発生させて加熱させる。さらに、ホーン241は、超音波の振動を用いて、セラミックス層に含まれる粒子状のアルミナを、セラミックセパレータ41および42のせん断方向に移動させる。ホーン241は、切断後のセラミックセパレータ41および42の長手方向(交差方向Y)の幅よりも長く、直線状に形成している。ホーン241は、セラミックセパレータ42の接合領域40hのポリプロピレン層42mを押圧する先端部を、湾曲させて形成してもよい。振動子242は、ホーン241を振動させる。振動子242は、外部から供給された電力によって、超音波の周波数に相当する振動を発生させる。振動子242は、ホーン241の先端部と対向する基端側に連結している。アンビル243は、ホーン241から導出される超音波の振動を受け止めつつ、ホーン241を付勢する。アンビル243は、セラミックセパレータ41および42を隔てて、ホーン241の先端部と積層方向Zに沿って対向している。アンビル243は、金属からなり、板状に形成している。
上述した第1実施形態の変形例2によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置200において、特にセパレータ接合方法は、接合工程(セパレータ接合工程)によって、超音波印加部材(ホーン241)からの超音波振動に伴う発熱によって、接合領域40hの溶融材(ポリプロピレン層)同士を溶融する。セパレータ接合工程は、セパレータ接合部240によって具現化している。
このような構成によれば、接合領域40hのポリプロピレン層を超音波によって振動させて加熱しているものの、ホーン241そのものは加熱していない。すなわち、ホーン241は、接合領域40hのポリプロピレン層に貼り付いてしまうことを防止できる。したがって、接合領域40hのポリプロピレン層同士の切断を終えたホーン241が接合領域40hから退避するときに、ポリプロピレン層が捲れ上がらせたり剥離したりすることなく、接合領域40hのポリプロピレン層同士を十分に接合することができる。
(第1実施形態の変形例3)
第1実施形態の変形例3に係る電気デバイス(袋詰電極13)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置300について、図11を参照しながら説明する。
第1実施形態の変形例3は、レーザ光L1を出射するレーザ発振器341によって、セラミックセパレータ41および42の溶融材(ポリプロピレン層)を溶融する構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、加熱した切断刃141によって、セラミックセパレータ41および42の溶融材(ポリプロピレン層)を溶融していた。第1実施形態の変形例3においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
セパレータ接合装置300のセパレータ接合部340について、図11を参照しながら説明する。
図11は、電気デバイス(袋詰電極13)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置300の要部を示す斜視図である。
セパレータ接合部340は、セパレータ接合部140と同様に、電極搬送部110と搬送方向Xに沿って隣り合い、第1セパレータ搬送部120および第2セパレータ搬送部130よりも搬送方向Xの下流側に配設している。
セパレータ接合部340は、レーザ発振器341によって接合領域40hにレーザ光L1を照射しつつ、押圧板344および345によって接合領域40hの近傍を押圧することによって、セラミックセパレータ41の接合領域40hのポリプロピレン層41mと、セラミックセパレータ42の接合領域40hのポリプロピレン層42mを互いに隣接させて溶融する。セパレータ接合部340は、レーザ発振器341、第1反射ミラー342、第2反射ミラー343、押圧板344および345を備えている。
レーザ発振器341は、レーザ光L1を出射する。レーザ光L1は、互いに対向したセラミックセパレータ41および42の接合領域40hに照射する。レーザ光L1は、例えば、耐熱材を加熱して、その耐熱材を介して溶融材を間接的に加熱する。このような構成の場合、レーザ光L1の波長は、溶融材に相当するポリプロピレン層を透過しつつ、耐熱材に相当するセラミックスに十分に吸収される波長が好ましい。セラミックスは、レーザ光L1を吸収させて加熱させる。具体的には、セラミックスは、シリカ、アルミナ、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物等のセラミック粒子とバインダーの結合により形成された多孔質からなる。セラミックスに含まれるアルミナの吸収率は、波長が約1μmにおいて0.3、波長が約8〜14μmにおいて0.6である。そこで、レーザ発振器341には、例えば、発振波長が9.4μmや10.6μmのCo2(二酸化炭素)レーザ、発振波長が1064nmのYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶)レーザ、または発振波長が808nmや840nmおよび940nm等の固体レーザ(LD:レーザーダイオード)を用いる。
第1反射ミラー342は、レーザ発振器341から出射したレーザ光L1を、第2反射ミラー343に向かって反射させる。第1反射ミラー342は、レーザ発振器341と搬送方向Xに沿って配設している。第1反射ミラー342は、板状の硝材に対して、レーザ光L1の波長に対応した反射膜を蒸着させて構成している。
第2反射ミラー343は、第1反射ミラー342から反射したレーザ光L1を、セラミックセパレータ41および42の接合領域40hに向かって走査しながら照射する。第2反射ミラー343は、回転自在に設けている。第2反射ミラー343は、第1反射ミラー342と交差方向Yに沿って対向して配設している。第2反射ミラー343は、第1反射ミラー342と同様に、板状の硝材に対して、レーザ光L1の波長に対応した反射膜を蒸着させて構成している。
押圧板344および345は、セラミックセパレータ41および42の接合領域40hの近傍を積層方向Zの両方から互いに押圧する。押圧板344は、一組からなり、交差方向Yに沿って、セラミックセパレータ41および42よりも積層方向Zの図中上方であって、接合領域40hよりも搬送方向Xの上流側および下流側にそれぞれ配設している。押圧板345は、交差方向Yに沿って、セラミックセパレータ41および42よりも積層方向Zの図中下方であって、接合領域40hに配設している。押圧板344および345は、それぞれ金属からなり、長尺状に形成している。押圧板345は、押圧板344と比較して、搬送方向Xに沿った幅が広い。接合領域40hの近傍は、隣接する接合領域40hがレーザ光L1を照射されていることから、加熱されて軟化する。この状態で、押圧板344および345は、接合領域40hの近傍を積層方向Zの両方から互いに押圧していることから、ポリプロピレン層41mとポリプロピレン層42mが互いに隣接するように移動する。
上述した第1実施形態の変形例3によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置300において、特にセパレータ接合装置300は、接合部(セパレータ接合部340)を、レーザ発振器341および押圧部材(押圧板344および345)によって構成している。レーザ発振器341は、接合領域40hにレーザ光L1を照射する。ここで、押圧板344および345は、接合領域40hの近傍を押圧する。
このような構成によれば、レーザ光L1によって接合領域40hを切断しつつ加熱するときに、押圧板344および345によって、接合領域40h同士を、その近傍から互いに押圧して、接合領域40hのポリプロピレン層同士を隣接させることができる。切断部材によってポリプロピレン層を直接押圧していないことから、切断部材がポリプロピレン層に貼り付いてしまうことを防止できる。したがって、接合領域40hのポリプロピレン層が捲れ上がらせたり剥離したりすることなく、接合領域40hのポリプロピレン層同士を十分に接合することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態に係る電気デバイス(袋詰電極14)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置400について、図12〜図16を参照しながら説明する。
第2実施形態は、セラミックセパレータ43を、正極20の縁20tを境にして折り返しつつ、折り返した端部43rをセパレータ(セラミックセパレータ43)に接触させる構成が、前述した第1実施形態に係る構成と異なる。前述した第1実施形態では、一対のセラミックセパレータ41および42によって正極20を挟持していた。第2実施形態においては、前述した第1実施形態と同様の構成からなるものについて、同一の符号を使用し、前述した説明を省略する。
セパレータ接合装置400について、図12〜図16を参照しながら説明する。
先ず、セパレータ接合装置400の構成について、図12を参照しながら説明する。
図12は、電気デバイス(袋詰電極14)のセパレータ接合方法を具現化したセパレータ接合装置400を示す斜視図である。
セパレータ接合装置400は、部材搬送部410(正極20および袋詰電極14を搬送)、セパレータ搬送部420、セパレータ折返部430(折返工程に対応)、およびセパレータ接合部440(接合工程に対応)を含んでいる。以下、セパレータ接合装置400に含まれる構成について順に説明する。
部材搬送部410は、正極20および袋詰電極14を搬送する。部材搬送部410は、吸着パッド411および支持部材412を備えている。吸着パッド411は、板状からなり、正極20または袋詰電極14と当接する面に吸引口を複数設けている。支持部材412は、一端に吸着パッド411を接合し、他端に電導ステージやエアーコンプレッサー等を備えた移動機構を接合している。吸着パッド411は、交差方向Yおよび積層方向Zに沿って移動自在である。
セパレータ搬送部420は、一対の把持部材421を備えている。一対の把持部材421は、積層方向Zに沿って開閉自在なロボットハンドに相当する。一対の把持部材421は、セパレータ供給ローラに巻き付けられている長尺のセラミックセパレータ43の端部を把持し、固定型431および移動型432に対して近接するように引き出す。
セパレータ折返部430は、折返工程(セパレータ折返工程)を具現化したものである。折返工程は、セラミックセパレータ43を正極20の縁20tを境にして折り返しつつ、折り返した端部43rをセラミックセパレータ43に向かって移動させる。セパレータ折返部430は、固定型431および移動型432を備えている。固定型431および移動型432は、セラミックセパレータ43を正極20の縁20tを境にして折り返しつつ、正極20を介してセラミックセパレータ43を対面させる。固定型431および移動型432は、それぞれ板状に形成し、セラミックセパレータ43と当接する面に吸引口をマトリクス状に設けている。移動型432は、セラミックセパレータ43を中央で折り返すように、固定型431の一端を基準にして回転しつつ固定型431と対向する。固定型431は、移動型432と比較して、搬送方向Xに沿った幅が長い。固定型431は、移動型432と対向していない部分に、切断刃141を押圧させる。
セパレータ接合部440は、接合工程(セパレータ接合工程)を具現化したものである。接合工程は、端部43rをセラミックセパレータ43に押圧しつつセラミックセパレータ43を分断する。セパレータ接合部440は、切断部材(切断刃141)とヒータ142を備えている。切断刃141は、長尺状のセラミックセパレータ43を一定の幅で切断する。ここで、切断刃141は、折り返したセラミックセパレータ43の端部43rを、固定型431に吸引されているセラミックセパレータ43に押圧する。切断刃141は、ヒータ142から供給された熱によって加温された状態で、セラミックセパレータ43を分断する。すなわち、切断刃141は、正極20を介して対面するセラミックセパレータ43の接合領域40hを切断しつつ、端部43rのポリプロピレン層を、セラミックセパレータ43のポリプロピレン層に向けて移動させる。さらに、ヒータ142によって加温された切断刃141は、互いのポリプロピレン層同士を熱伝導によって溶融して接合する。切断刃141は、セパレータ折返部430の固定型431の端部に対向するように、交差方向Yに沿って配設している。
次に、セパレータ接合装置400の作用について、図13〜図16を参照しながら説明する。
図13は、図12のセパレータ接合装置400においてセラミックセパレータ43を固定型431および移動型432に向かって搬入する動作を模式的に示す斜視図である。図14は、図13に引き続きセラミックセパレータ43に対して電極(正極20)を積層する動作を模式的に示す斜視図である。図15は、図14に引き続き電極(正極20)を挟持するように折り返したセラミックセパレータ43を切断しつつ接合する動作を模式的に示す斜視図である。図16は、図15に引き続き電極(正極20)をセラミックセパレータ43によって挟持して形成した電気デバイス(袋詰電極14)を固定型431および移動型432から搬出する動作を模式的に示す斜視図である。
最初に、図13に示すように、セパレータ搬送部420は、セラミックセパレータ43を固定型431および移動型432に向かって搬入する。すなわち、一対の把持部材421によって、セパレータ供給ローラに巻き付けられている長尺のセラミックセパレータ43の端部を把持し、そのセラミックセパレータ43を搬送方向Xに沿って引き出す。セパレータ折返部430は、固定型431および移動型432によってセラミックセパレータ43を吸引して保持する。
次に、図14に示すように、セラミックセパレータ43に対して正極20を積層する。すなわち、部材搬送部410は、吸着パッド411によって正極20をセパレータ折返部430の固定型431の上方に搬送し、その正極20をセラミックセパレータ43に積層する。
次に、図15に示すように、移動型432は、セラミックセパレータ43を中央で折り返すように、固定型431の一端を基準にして回転しつつ、固定型431と対向する。切断刃141は、折り返したセラミックセパレータ43の端部43rを、固定型431に吸引されているセラミックセパレータ43に押圧する。切断刃141は、ヒータ142から供給された熱によって加温された状態で、端部43rを境にしてセラミックセパレータ43を分断する。
最後に、図16に示すように、移動型432は、固定型431の一端を基準にして逆回転しつつ、固定型431から離間する。部材搬送部410は、吸着パッド411によって袋詰電極14を吸引して載置台に搬送する。袋詰電極14は、正極20を挟持したセラミックセパレータ43を切断しつつ接合したものである。
上述した第2実施形態によれば、以下の構成によって作用効果を奏する。
セパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置400において、特にセパレータ接合方法は、電極(正極20または負極30)と比して長尺からなるセパレータ(セラミックセパレータ43)を用いる構成とすることができる。この接合方法は、折返工程(セパレータ折返工程)をさらに有している。セパレータ折返工程は、接合工程(セパレータ接合工程)の前に実施する。セパレータ折返工程は、セラミックセパレータ43を正極20の縁20tを境にして折り返しつつ、折り返した端部43rをセラミックセパレータ43に向かって移動させる。ここで、セパレータ接合工程は、端部43rをセラミックセパレータ43に押圧しつつセラミックセパレータ43を分断する。セパレータ接合工程は、セパレータ接合部440によって具現化している。セパレータ折返工程は、セパレータ折返部430によって具現化している。
このような構成に示すように、電気デバイス(袋詰電極14)のセパレータ接合方法およびその方法を具現化したセパレータ接合装置400は、折返式からなる非常に汎用性の高い方式にも適用することができる。すなわち、このセパレータ接合方法は、長尺のセラミックセパレータ43を折り返しつつ、正極20を挟持することによって、各部材を重ね合わせて積層する方式に用いることができる。
さらに、このような構成によれば、セラミックセパレータ43は、その折り返した部分を接合する必要がないことから、接合に要する設備や時間を削減することができる。さらに、このような構成によれば、セラミックセパレータ43は、正極20の縁20tに沿って折り返すことによって、折り返す部分にのり代が生じることがないことから、材料に係るコストを削減することができる。さらに、このような構成によれば、一枚のセラミックセパレータ43を用いることから、そのセラミックセパレータ43を切り出すときの切断箇所を最小限にすることができ、製造に要するコストと時間を削減することができる。
そのほか、本発明は、特許請求の範囲に記載された構成に基づき様々な改変が可能であり、それらについても本発明の範疇である。
例えば、第1および第2実施形態では、リチウムイオン二次電池10に用いる袋詰電極において、電極を挟持するセパレータを互いに接合する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。リチウムイオン二次電池10に用いる袋詰電極以外の部材の接合にも適用することができる。
また、第1および第2実施形態では、二次電池をリチウムイオン二次電池10の構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。二次電池は、例えば、ポリマーリチウム電池、ニッケル−水素電池、ニッケル−カドミウム電池として構成することができる。
また、第1および第2実施形態では、セパレータの耐熱材をセラミックス層の構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。耐熱材は、セラミックスに限定されることはなく、溶融材よりも溶融温度が高い部材であればよい。
また、第1および第2実施形態では、セパレータの溶融材をポリプロピレンの構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。溶融材は、ポリプロピレンに限定されることはなく、耐熱材よりも溶融温度が低い部材であればよい。
また、第1および第2実施形態では、正極20をセパレータによって袋詰めして袋詰電極を形成する構成で説明したが、このような構成に限定されることはない。負極30をセパレータによって袋詰めして袋詰電極を形成する構成としてもよい。
また、第1および第2実施形態では、電極、セラミックセパレータ、および袋詰電極を自動で搬送する構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。人手によって、電極、セラミックセパレータ、および袋詰電極を搬送する構成としてもよい。
また、第2実施形態では、セラミックセパレータ43を正極20の長手方向に沿って折り返す構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。セラミックセパレータ43を正極20の短手方向に沿って折り返す構成としてもよい。
また、第1および第2実施形態は、対向するセパレータの接合領域40hの間に、ポリプロピレンのような溶融材の個片を挿入し、その個片を溶融させて接合を容易にする構成にも適用できる。
また、第1および第2実施形態の接合方法に加えて、間欠的に電流を印加して発熱させた切断部材によって接合領域40hをインパルス溶着して接合する構成を適用することができる。さらに、通電によりジュール熱を発生させる通電部材によって接合領域40hを抵抗溶着して接合する構成を適用することができる。