JP6426948B2 - 果実酒 - Google Patents
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Description
(1)0.6〜3.5mg/Lのオイゲノールを含有する果実酒。
(2)さらにd−リモネンを含有し、オイゲノールの含有量(A)に対するd−リモネンの含有量(B)の重量比(B/A)が0.01〜75である、(1)に記載の果実酒。
(3)さらにクエン酸を含有し、クエン酸の含有量が600〜10000mg/Lである、(1)又は(2)に記載の果実酒。
(4)ワインである、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の果実酒。
(5)加温されたホット飲料であるか、又は加温されてホット飲料として飲用されるものである、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の果実酒。
(6)アルコール度数が1〜15v/v%である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の果実酒。
(7)アニスアルデヒドを含まない、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の果実酒。
(8)果実酒が含有するオイゲノールの少なくとも一部が、クローブ及び/又はその抽出物に由来することを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の果実酒。
(9)果実酒の製造方法であって、当該果実酒中のオイゲノールの含有量を0.6〜3.5mg/Lに調整することを含む、前記方法。
本明細書における「果実酒」とは、原料となる果汁を酵母の作用によりアルコール発酵させて得られる飲料を意味する。当該原料としては、ブドウ果汁、リンゴ果汁、モモ果汁、グレープフルーツ果汁、パイナップル果汁、マンゴー果汁が挙げられ、これらの果汁を単独で用いてもよいし、2以上を組み合わせて用いてもよい。この定義を満たす限り、本発明における果実酒は、酒税法等の法律に基づくカテゴリーに限定されないが、本発明における果実酒の範囲には、日本の酒税法による果実酒、甘味果実酒、リキュールが含まれる。ブドウの果汁を主な原料として製造された果実酒は一般に「ワイン」と呼ばれ、これは、本発明における好ましい果実酒の一つである。ワインには、赤ワイン、白ワイン、ロゼワインが含まれる。さらに好ましくは、果実酒は赤ワインである。
本発明の果実酒は、0.6〜3.5mg/L、好ましくは0.7〜3.4mg/L、より好ましくは0.8〜2.7mg/L、より好ましくは1.0〜1.8mg/Lのオイゲノールを含有する。オイゲノールの含有量がこの範囲であると、果実酒の香り及び味が良好となる。
(d−リモネン)
本発明の果実酒は、好ましくはd−リモネンを含有する。本発明の果実酒におけるオイゲノールの含有量(A)に対するd−リモネンの含有量(B)の重量比(B/A)は、好ましくは0.01〜75、より好ましくは0.01〜40、より好ましくは0.06〜40、より好ましくは0.1〜30、より好ましくは0.2〜20、より好ましくは0.70〜8.00である。
(クエン酸)
本発明の果実酒は、好ましくはクエン酸を含有する。本発明の果実酒におけるクエン酸の含有量は、好ましくは600〜10000mg/L、より好ましくは640〜10000、より好ましくは800〜5000、より好ましくは800〜3000である。
(アルコール)
本発明の果実酒のアルコール濃度は、特に限定されないが、好ましくは1〜15v/v%、より好ましくは5〜12v/v%である。尚、異なる説明をしない限り、本明細書における「アルコール」は、エタノールを意味する。
本発明の果実酒には、本発明の効果を損なわない限り、他の成分が含まれてもよい。例えば、クローブ、シナモン等の香辛料、果汁等を用いて、香り及び味を調えてもよい。
本発明は、別の側面では、果実酒の製造方法である。当該方法は、当該果実酒中のオイゲノールの含有量を0.6〜3.5mg/Lに調整することを含む。オイゲノールおよび他の成分の含有量や成分比率、及びその好ましい範囲、並びにその調整方法については、果実酒に関して上記した通りである。その調整は、どの順序で行ってもよい。最終的に得られた果実酒における含有量や比率が所要の範囲にあればよい。また、果実酒の原料や、その発酵方法については、知られている方法を用いればよい。
本発明の果実酒は、容器詰めとすることができる。容器の形態は何ら制限されず、ビン、缶、樽、またはペットボトル等の密封容器に充填して、容器詰飲料とすることができる。
明確化のために記載すると、本明細書において下限値と上限値によって表されている数値範囲、即ち「下限値〜上限値」は、それら下限値及び上限値を含む。例えば、「1〜2」により表される範囲は、1及び2を含む。
原料となる赤ワインに市販のチョウジ抽出物を種々の量(0.03g/L〜1.5g/L)添加して、ホットワインである飲料1〜5を製造した。次に、同じ原料赤ワインに、当該チョウジ抽出物0.3g/L、及び種々の量(0.8g/L〜400g/L)の市販のオレンジ果汁を添加して、ホットワインである飲料6〜12を製造した。飲料1〜12と、市販の赤ホットワイン3種類(サンプル0:グートロイトハウス社製グリューワイン、サンプル1:シュテルンターラー社製グリューワイン、サンプル2:ケスラー・ツィンク社製グリューワイン)について、オイゲノール、d−リモネン、及びクエン酸の含有量を測定した。
使用機器:6890N/5975B inertXL
カラム(DB-WAX φ0.25mm×30m、膜厚0.25μm)
移動ガス:ヘリウム1ml/min
温度:試料注入口220℃、カラム80℃(1min保持)→10℃/min昇温→200℃(10min保持)、
イオン源温度:230℃
イオン化法:EI
設定質量数:m/z 164, 149
サンプル調製:試料を2から1g秤量し、水で20mlに希釈した後、ジエチルエーテル20mlと塩化ナトリウム8gを加え、振とうし静置した。そのジエチルエーテル層を回収し、実験に供した。
使用機器:コントローラー(SCL−10A)、送液ポンプ(LC−10AD)、デガッサー(DGU−14A)、カラム槽(CTO−10AC)、オートサンプラー(SIL−10AD)、電気伝導度検出器(CDD−6A)、クロマトパック(C−R7Aplus)、カラム(Shim−pack SCR−102H(8mmI.D×300mmL)を2本直列)、ガードカラム(SCR−102H(6mmI.D×50mmL))
移動液:p−トルエンスルホン酸4.8gを1Lのメスフラスコに量り採り蒸留水にて定容し、それを使用時に5倍希釈し、0.45μmのメンブレンフィルターで濾過したものを移動液とした。また、カラムを通した後に反応させる液としてp−トルエンスルホン酸4.8gおよびEDTA150mgとBis−Tris20.9gを1Lのメスフラスコに量り採り蒸留水にて定容し、それを使用時に5倍希釈し、0.45μmのメンブレンフィルターを用いて濾過したものを用いた。
検出:電気伝導度(Polarityは+に設定)
サンプル注入量:10μl
分析時間:30分
各飲料中のリモネンの量は、ガスクロマトグラフ−質量分析計(Agilent Technologies社製)を用いて以下の方法で測定した。
カラム:DB-WAX φ0.25mm×30m、膜厚0.25μm
移動ガス:ヘリウム1ml/min
イオン源温度:230℃
イオン化法:EI
サンプル調製:試料を2から1g秤量し、水で20mlに希釈した後、ジエチルエーテル20mlと塩化ナトリウム8gを加え、振とうし静置した。そのジエチルエーテル層を回収し、実験に供した。
結果を表1に示す
2:わずかしか感じない
3:やや感じる
4:感じる
5:強く感じる
また「刺激感」について、以下の基準(1〜5点)で評価して、その平均値を求めた。上記の評価と異なり、低い点数ほど好ましい。
2:ほとんど感じない
3:わずかしか感じない
4:少し感じる
5:強く感じる
また、総合評価も行った。4.5点以上の点数がいずれかの項目についており、3点以下の点数がいずれの項目にもついていないもの(刺激感を除く)を◎、2以下の点数がついているものを×、それ以外を○とした。各記号は以下の意味を有する。
○:良い
×:悪い
結果を表2に示す。表2の結果から、オイゲノールの含有量が特定範囲にあるホットワインは、他のものに比べて、香りが穏やかで味が良く、刺激感が少なく、香りの持続性が優れていることが明らかとなった。
Claims (11)
- 0.6〜3.4mg/Lのオイゲノールを含有し、さらにd−リモネンを含有し、オイゲノールの含有量(A)に対するd−リモネンの含有量(B)の重量比(B/A)が0.07〜7.69であり、さらにクエン酸を含有し、クエン酸の含有量が645〜9167.7mg/Lである、果実酒。
- 0.8〜3.4mg/Lのオイゲノールを含有し、さらにd−リモネンを含有し、オイゲノールの含有量(A)に対するd−リモネンの含有量(B)の重量比(B/A)が0.03〜7.69であり、さらにクエン酸を含有し、クエン酸の含有量が645〜9167.7mg/Lである、果実酒。
- 3.4mg/Lのオイゲノールを含有し、さらにd−リモネンを含有し、オイゲノールの含有量(A)に対するd−リモネンの含有量(B)の重量比(B/A)が0.01〜7.69であり、さらにクエン酸を含有し、クエン酸の含有量が645〜9167.7mg/Lである、果実酒。
- ワインである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の果実酒。
- 加温されたホット飲料であるか、又は加温されてホット飲料として飲用されるものであ
る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の果実酒。 - アルコール度数が1〜15v/v%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の果実
酒。 - アニスアルデヒドを含まない、請求項1〜6のいずれか1項に記載の果実酒。
- 果実酒が含有するオイゲノールの少なくとも一部が、クローブ及び/又はその抽出物に
由来することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の果実酒。 - 果実酒の製造方法であって、当該果実酒中のオイゲノールの含有量を0.6〜3.4mg/Lに調整すること、およびオイゲノールの含有量(A)に対するd−リモネンの含有量(B)の重量比(B/A)を0.07〜7.69に調整することを含み、当該果実酒中のクエン酸の含有量が645〜9167.7mg/Lである、前記方法。
- 果実酒の製造方法であって、当該果実酒中のオイゲノールの含有量を0.8〜3.4mg/Lに調整すること、およびオイゲノールの含有量(A)に対するd−リモネンの含有量(B)の重量比(B/A)を0.03〜7.69に調整することを含み、当該果実酒中のクエン酸の含有量が645〜9167.7mg/Lである、前記方法。
- 果実酒の製造方法であって、当該果実酒中のオイゲノールの含有量を3.4mg/Lに調整すること、およびオイゲノールの含有量(A)に対するd−リモネンの含有量(B)の重量比(B/A)を0.01〜7.69に調整することを含み、当該果実酒中のクエン酸の含有量が645〜9167.7mg/Lである、前記方法。
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