JP2006264791A - プラスチック容器 - Google Patents

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晶彦 伊藤
Kyoichi Yamamoto
恭市 山本
Akira Takeda
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Tsutomu Shirai
励 白井
Toshiaki Kakemura
敏明 掛村
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Abstract

【課題】バリアー性、透明性、対衝撃性、フレキシビリティーに優れたガスバリアー性プラスチック容器とその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、容器の内面にバリアー層を有し、該バリアー層は珪素酸化物と、炭素、水素、珪素及び酸素の中から少なくとも1種あるいは2種以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類含有し、前記バリアー層中の前記化合物濃度を、前記容器を構成する基材の界面からバリアー層表面への深さ方向において、連続的に変化させてなる。
【選択図】図1

Description

本発明はガスバリアー膜を設けたプラスチック容器とその製造方法に係わり、ガスバリアー性、透明性、対衝撃性に優れたガスバリアー性プラスチック容器とその製造方法に関する。
一般に、プラスチック容器は、その成形の容易性や軽量性、更には低コストである点等の種々の特性から、食品分野や医薬品分野等の様々な分野において、包装容器として広く使用されている。
しかしながら、プラスチックは、よく知られているように、酸素や二酸化炭素、水蒸気のような低分子ガスを透過する性質を有し、さらに低分子有機化合物が内部に吸着してしまうという性質を有しているため、プラスチック容器はガラス等の他の容器に比べて、その使用対象や使用形態が様々な制約を受ける。
ここでいう吸着とは、プラスチックの組成中に低分子有機化合物が浸透し拡散してプラスチック中に吸収されている現象を言う。例えば、ビール等の炭酸飲料をプラスチック容器に充填した場合、プラスチックを透過して容器の内部に浸透する酸素によって、内容物である飲料が経時的に酸化を起こして劣化してしまったり、また、炭酸飲料の炭酸ガスがプラスチックを透過し容器の外部に放出されてしまうため、炭酸飲料が気の抜けた飲料になってしまう。また、オレンジジュース等の香気成分を有する飲料をプラスチック容器に充填した場合、飲料に含まれる低分子有機化合物である香気成分(たとえばオレンジジュースのリモネン等)がプラスチックに吸着されるため、飲料の香気成分の組成がバランスを崩して、飲料の品質が劣化してしまうおそれがある。更に、インスタントコーヒー等の粉末をプラスチック容器中で保存する際にも、プラスチックを透過して容器内部に浸透した水蒸気により、内容物の品質が劣化してしまうおそれがある。
また、プラスチック容器については、その組成中に含まれる低分子化合物の溶質が問題になる場合がある。即ち、プラスチック容器に純度が要求される内容物(特に液体)を充填した場合、プラスチック組成中に含まれている可塑剤や残留モノマー、その他添加剤が内容物中に溶出し、内容物の純度を損なったりする可能性がある。
一方、使用済み容器の回収が、現在、社会問題化しており資源のリサイクル化が進められているが、プラスチック容器を再充填容器として使用しようとしても、ガラス容器の場合と異なり、使用後、回収まで環境中に放置されていると、その間にカビ臭など種々の低分子有機化合物がプラスチック容器に吸着する問題がある。この吸着した低分子有機化合物は、洗浄後もプラスチック中に残存する。このためプラスチック容器を再充填容器として使用した場合、吸着した低分子有機化合物が異成分として充填された内容物中に徐々に溶け出してしまい、内容物の品質低下や衛生上の問題が生じる。このため、プラスチック容器は、リターナブル容器として使用されている例はほとんど無い。
上記のようなプラスチック容器の低分子ガスを透過する性質や低分子有機化合物が内部に吸着してしまうという性質を抑制するために、プラスチックを配向させ結晶化度を向上させたり、より吸着性の低いプラスチックやアルミの薄膜等を積層する方法も使用されているが、いずれもプラスチック容器の特質を維持したままで、ガスバリアー性や吸着の問題を完全に解決することができていない。
ここで、近年プラスチック容器にプラズマCVD法を用いてコーティングを行う技術が知られてきているが、ボトルの外面に成膜する方法では容器内面に吸着する低分子有機化合物の問題に対して効力がないため、特にボトルの内面に成膜する必要がある。
ボトル内面へのプラズマCVD法でのコーティング例としてDLC膜によるものが報告されている(特許文献1参照)。このDLC膜は、炭素間のSP3 、SP2 結合を主体としたアモルファスな炭素で、非常に硬く、高屈折率で非常になめらかなモルフォロジを有する硬質炭素膜である。
さらにプラスチック容器の内面コーティング例として珪素酸化物膜によるものも報告されている。(特許文献2参照)この例では有機重合膜と珪素酸化物膜の2層構造にすることも述べられている。
特開平8−53117号公報 特開平8−175528号公報
しかし、DLC膜は茶色味を帯びており、無色透明にすることはできない。淡色の飲料等の食品を充填する場合、容器自身は無色透明である方が好ましい。また、完全な珪素酸化物をコーティングしてしまうと膜自身にフレキシビリティーがないため容器の変形等により珪素酸化物膜が割れ、バリアー性が低下することが考えられる。
さらに、食品用の充填容器は工場内の製造工程において、または、販売ルートにおいて充填容器同士がぶつかったり擦れあったりする機会が多い。このため、食品用の充填容器外面にコーティングを行った場合、薄く硬いものでは膜自体が損傷して、商品価値を損なうことが考えられる。従って、食品用の充填容器については、容易の内壁面のみにコーティングを行うか、容器の外壁面に行う場合は特にフレキシビリティーのある膜を形成することが要求される。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、バリアー性、透明性、対衝撃性、フレキシビリティーに優れたガスバリアー性プラスチック容器とその製造方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明のガスバリアー性プラスチック容器は、請求項1においては、容器の内面にバリアー層を有し、該バリアー層は珪素酸化物と、炭素、水素、珪素及び酸素の中から少なくとも1種あるいは2種以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類含有し、前記バリアー層中の前記化合物濃度が、前記容器を構成する基材の界面からバリアー層表面への深さ方向において、連続的に変化されてなることを特徴とする。
本願発明の請求項2においては、容器内外面にバリアー層を有し、該バリアー層は珪素酸化物と、炭素、水素、珪素及び酸素の中から少なくとも1種あるいは2種以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類含有し、前記バリアー層中の前記化合物濃度が、前記容器を構成する基材の界面からバリアー層表面への深さ方向において、連続的に変化されてなることを特徴とする。
本願発明の請求項3においては、前記バリアー層中の化合物濃度において、前記基材界面側の化合物濃度が低く、前記バリアー層表面側が高くされてなることを特徴とする。
本願発明の請求項4においては、前記バリアー層中の炭素濃度において、前記基材界面側の炭素濃度が高く、前記バリアー層表面側の炭素濃度が低くされてなることを特徴とする。
本願発明の請求項5においては、前記バリアー層中の珪素酸化物濃度において、前記基材界面側の珪素酸化物濃度が低く、前記バリアー層表面側の珪素酸化物濃度が高くされてなることを特徴とする。
本願発明の請求項6においては、少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸素もしくは酸化力を有するガスを用い、プラズマCVD法によりプラスチック容器の基材上に珪素酸化物と、炭素、水素、珪素及び酸素の中から少なくとも1種あるいは2種以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類含有するバリアー層を形成するとともに、前記プラズマCVD法において有機珪素化合物蒸気と酸化力を有するガスの混合比を変化させることにより前記化合物濃度を前記容器を構成する基材の界面からバリアー層表面への深さ方向において、連続的に変化させることを特徴とする。
本願発明の請求項7においては、前記プラズマCVD法において有機珪素化合物蒸気と酸化力を有するガスの混合比を変化させることにより、前記化合物濃度を前記基材界面側において低く、前記バリアー層表面側において高くすることを特徴とする。
本願発明の請求項8においては、前記プラズマCVD法において有機珪素化合物蒸気と酸化力を有するガスの混合比を変化させることにより、前記炭素濃度を前記基材界面側において高く、前記バリアー層表面側において低くすることを特徴とする。
本願発明の請求項9においては、前記プラズマCVD法において有機珪素化合物蒸気と酸化力を有するガスの混合比を変化させることにより、前記基材界面側の珪素酸化物濃度を低く、前記バリアー層表面側の珪素酸化物濃度を高くすることを特徴とする。
本発明によれば、珪素酸化物を含む物質により構成されるバリアー層は、薄くても極めて高いバリアー性を示し、また、高い濃度で、少なくとも珪素酸化物と炭素、水素、珪素及び酸素の中から1種あるいは2種以上の元素からなる化合物を含有する部位と、低い濃度で、少なくとも珪素酸化物と炭素、水素、珪素及び酸素の中から1種あるいは2種以上の元素からなる化合物を含有する部位とをバリアー層の深さ方向、換言すると、バリアー層の垂直方向の分布中に有するため、高いバリアー性を持ちつつ、対衝撃性に優れ、且つ、フレキシビリティーに富んでいる。
これにより、本発明のガスバリアー性プラスチック容器は優れたバリアー性と透明性を持ち、対衝撃性に優れ、且つ、フレキシビリティーに富んでおり、廃棄時における環境上の問題も無い容器を得ることができる。
本発明に係るボトルの一形態を図1に示す。
本実施形態のプラスチック容器1はその内面にバリアー層1Aを設けたものである。このプラスチック容器1は、口部を有するボトル状に形成され、その内面の全面を覆うようにバリアー層1Aが形成され、このバリアー層1Aは図1に示すように口部の開口周縁部側にまで形成されている。
具体的に前記プラスチック容器1の製造方法としては、以下に示す通りである。
(1)図2の様にプラスチック容器1を覆うような外部電極2内にプラスチック容器1をセットし、アース5となるガス導入管3と排気口4、4Aをセットする。
(2)図3の様に真空ポンプ(図示せず)を用いてプラスチック容器1の内外を真空に引く。
(3)ガス導入管3から有機珪素化合物蒸気と酸化力を有するガス等を流し、外部電極2に高周波を電源6から印加することによりプラスチック容器1の内部にプラズマを発生させ、成膜を行う。
(4)外部電極から取り出す。
以上のような方法によりプラスチック容器1に成膜を行うが、電極は一枚構造でも複数枚の組み合わせでもかまわないものとする。また、導入する有機珪素化合物蒸気と酸化力を有するガスの混合比を変化させることにより膜中の炭素含有量を調整できる。さらに、外部にも原料を供給することによりプラスチック容器1の外側にも成膜する事ができる。酸素プラズマによる後処理によって最表面層の膜質をより二酸化珪素に近く変化させることもできる。
このようにして形成された珪素酸化物層にはSi−O結合をもつ化合物が存在し、他にも炭素、水素、珪素及び酸素の中から1種、あるいは2種以上の元素からなる化合物が含有する。例えば、C−H結合をもつ化合物、Si−H結合をもつ化合物、C−O結合をもつ化合物、Si−C結合をもつ化合物、又は炭素単体がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラーレン状になっている場合、さらに原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を含む場合がある。
具体的に例を挙げるとメチル基等のアルキル基やメチレン基をもつハイドロカーボン、ヒドロキシル基やケトン基を含むヒドロキシカーボン、又は、シリル基、シリレン基をもつハイドロシリカ、さらに、シラノール等の水酸基をもつ誘導体がある。上記以外でも、原料ガスの組成、蒸着条件を変化させることにより、バリアー層に含有する化合物の種類、量を制御することができる。
珪素酸化物層を構成する有機珪素化合物として具体的には、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシランプロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の中から選択することができ、特に1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサンが好ましい。ただし、これらに限定されるものではなくアミノシラン、シラザン等も用いられる。
いずれも液体である上記有機珪素化合物を気化させ、酸素もしくは酸化力を有するガス(例えばNO、CO等)と混合したガス、又は、上記の混合ガスに不活性ガスであるヘリウム及び/又はアルゴンを混合した原料ガス、もしくはこれに窒素、弗化炭素等を適宣加え、プラスチック容器が設置されているプラズマ化学的気層蒸着機に導入して、厚さ30−5000Åの珪素酸化物層を形成する。望ましくはバリアー性、柔軟性の面から100−500Åの膜厚が望ましい。
上記のバリアー層を設けるプラスチック容器1のプラスチック基材としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、アイオノマ樹脂、ポリスルホン樹脂、4フッ化エチレン樹脂等があげられる。
また、このプラスチック基材は単層であっても良いが、2種以上の樹脂からなる多層、混合構造であっても良い。さらに基材表面上に表面処理がなされていたり、他の有機化合物や無機化合物、金属等が、1層もしくは2層以上、コーティングもしくは蒸着されていてもかまわない。
前述したプラスチック容器1の製造方法において、有機珪素化合物の蒸気を用い、プラズマCVD法により基材上に有機珪素化合物層を設け、その後、酸素プラズマにより有機珪素化合物層表面近傍を酸化させたバリアー層を内面のみに形成することができる。
また、有機珪素化合物の蒸気を有するガスを用い、プラズマCVD法により基材上に有機珪素化合物層を設け、その後、酸素プラズマにより有機珪素化合物層表面近傍を酸化させたバリアー層を内外面両方に形成することができる。
前述した方法によるガスバリアープラスチック容器の製造方法は、気化させた有機珪素化合物を有するガスを用い、プラズマCVD法によりプラスチック容器に有機珪素化合物の重合物による薄膜を生成した後、さらに酸素あるいはプラズマ中で酸化力を有するガスによるプラズマにより表面を酸化させ、表面近傍において前記化合物濃度の低い、連続、非連続のバリアー層を形成するものである。
これら製造方法の一例を以下示すが、断面図は図1から図3と同様で(3)の工程以外は同様なので他は省略する。
(3)ガス導入管から有機珪素化合物蒸気を有するガス等を流し、外部電極に高周波を印加することによりボトル内部にプラズマを発生させ、成膜を行う。更に、ガス導入管から酸化力を有するガス等を流し、外部電極に高周波を印加することによりボトル内部にプラズマを発生させ、酸化処理を行う。
以上のような方法によりプラスチック容器1に成膜を行うが、電極は一枚構造でも複数枚の組み合わせでもかまわないものとする。また、酸化処理時のガス種および時間、高周波出力を調整することにより膜中の炭素含有量を調整できる。
また、有機珪素化合物の蒸気を用い、プラズマCVD法により基材上に有機珪素化合物層を設け、その後、酸素プラズマにより有機珪素化合物層表面近傍を酸化させたバリアー層1Aを内面のみに、あるいは、内外面両方に形成することができる。
このような方法において、原料ガスを有機珪素化合物、酸素に分けて供給することにより、排気系にかける負担を軽減することが出来る。
なお、前記のように製造されたプラスチック容器1の場合、少なくとも容器内面に設けられたバリアー層1Aを有し、該バリアー層1Aは珪素酸化物と、炭素、水素、珪素及び酸素の中から少なくとも1種あるいは2種以上の元素からなる化合物を含有する層で、酸化珪素の酸化数が1.0−2.0で、炭素、水素、珪素及び酸素の中から少なくとも1種あるいは2種以上の元素からなる化合物がバリアー層の0.1−80%含有されているのが好ましいが、この層は連続的で構わないものとする。
この際に酸化珪素の酸素のサイトが炭素、窒素等の他の元素に置換されている場合もあり得る。また、膜中には透明性、バリアー性を損なわない範囲で金属酸化物や弗素化合物、窒素化合物等を含有させても構わないものとする。
前記構成のガスバリアー性プラスチック容器1はバリアー層1A中に珪素酸化物と炭素、水素、珪素及び酸素の中から少なくとも1種あるいは2種以上の元素からなる化合物を含ませることにより高いガスバリアー性と柔軟性、フレキシビリティーを持たせるものである。
更に、容器内面のバリアー層1Aについては、上記の化合物濃度が表面から基材方向に向かって増加させている。この際の化合物濃度の変化は連続的に傾斜させても構わないものとする。
また、容器外面のバリアー層についても上記の化合物濃度が表面から基材方向に向かって増加させている。この際の化合物濃度の変化は連続的に傾斜させても構わないものとする。
一方、前記構成の装置によるガスバリアープラスチック容器の製造方法は、気化させた有機珪素化合物と酸素もしくはプラズマ中で酸化力を有するガスを用い、プラズマCVD法によりプラスチック容器に珪素酸化物と炭素、水素、珪素及び酸素の中から少なくとも1種あるいは2種以上の元素からなる化合物による連続、非連続のバリアー層を形成することができるものである。
(実施例1)
膜厚を変化させそのバリアー性の変化を示す。
膜厚は成膜時間の変化により調整した。基材として容量500mlのポリエチレンテレフタレート樹脂製容器(日本ユニペット社PET樹脂RT−523C)を使用し、原料の有機珪素化合物はヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を用いた。膜厚は透過型電子顕微鏡により、バリアー層中の構成原子比についてはXPS(島津製作所製ESCA3200)により、酸素透過度についてはMOCON社のOXTRANにより、水蒸気透過度についいてはMOCON社のPERMATRANによって測定を行った。比較例としてDLC膜を成膜した試料も示す。
(実施例2)
膜中の炭素含有量を変化させそのバリアー性の変化を示す。
膜中の炭素含有量はHMDSOと酸素の混合比を変化させることにより調整した。基材としては容量500mlのポリエチレンテレフタレート樹脂製容器(日本ユニペット社PET樹脂RT−523C)を使用し、原料の有機珪素化合物はヘキサメチルジシロキサンを用いた。バリアー層中の炭素含有量についてはXPS(島津製作所製ESCA3200)により、酸素透過度についてはMOCON社のOXTRANにて測定を行った。
(実施例3)
膜中の炭素含有量を変化させた試料を用いて引っ張り試験を行いそのバリアー性の変化を示す。
膜中の炭素含有量はHMDSOと酸素の混合比を変化させることにより調整した。基材としては厚さ250μmのポリエチレンテレフタレート樹脂を使用し、原料の有機珪素化合物はヘキサメチルジシロキサンを用いた。バリアー層中の炭素含有量についてはXPS(島津製作所製ESCA3200)により、酸素透過度についてはMOCON社のOXTRAN、フレキシビリティーについてはオリエンテック社の引っ張り試験器テンシロンを用いてフィルムを4%引っ張った後、OXTRANにて測定を行った。参考として有機珪素化合物の代わりにシランガスを使用し膜中に炭素を含まない試料を用いた。
(実施例4)
膜中の炭素含有量を変化させその吸着特性の変化を示す。
膜中の炭素含有量はHMDSOと酸素の混合比を変化させることにより調整した。基材としては容量1000mlのポリエチレンテレフタレート樹脂製容器(日本ユニペット社PET樹脂RT−523C)を使用し、原料の有機珪素化合物はヘキサメチルジシロキサンを用いた。バリアー層中の炭素含有量についてはXPS(島津製作所製ESCA3200)により、抽出物についてはガスクロマトグラフ(HEWLETTPACKARD社製5890SERIESII)により分析した。
手順は以下の通りである。
1.香気成分としてリモネンを100ppm添加した0.3%シュガーエステル溶液を作る。
2.この溶液を1000ml充填し、容器に蓋をした後、20℃で1カ月間保管する。
3.1カ月後、この溶液を廃棄し、60℃の蒸留水で容器の内部を洗浄した後乾燥させる。
4.容器にジエチルエーテルを充填し、容器に付着したリモネンを抽出する。
5.ジエチルエーテルを容器から取り出し無水硫酸ナトリウムを添加し脱水する。
6.アミルベンゼンを内標準試料としてガスクロマトグラフにより分析した。
試験結果は、1ppmのリモネンを含んだ溶液を容器内に入れた際に、容器に吸着するリモネンの量μgで示す。従って単位はμg/ppm/bottleとなる。
Figure 2006264791
表1に示されるように、CVD法で成膜したサンプルでは膜厚が400Å程度以上あれば、酸素透過量0.020cc/m /day,水蒸気透過量0.030g/m/day以下の十分なガスバリアー性を示すことがわかる。さらに、この際のサンプルの色は無色透明であった。これに対して、DLC膜では膜厚を厚くつけたにもかかわらず酸素、水蒸気バリアー性がともに低く、サンプルも茶色く色味がついていた。
Figure 2006264791
表2に示したように炭素含有量が多いほど酸素透過度は高くなっている。この結果から、酸素バリアー性を持たせるには、バリアー層中に炭素濃度の低い部位を作る必要があることがわかった。
Figure 2006264791
表3に示したように、4%の引っ張り試験を行うと、シランガスで作成した試料では大きく、炭素濃度変化を持たせずにプラズマCVD法により作成したサンプルでもある程度、酸素バリアー性の劣化がみられるが、基材との界面での炭素濃度を低く、バリアー層表面での炭素濃度を高く作成した試料では酸素バリアー性の劣化がみられていない。この結果から、基材との界面に炭素濃度の高い部位を作ることはバリアー膜にフレキシビリティーを持たせる上で有効であることが分かる。
Figure 2006264791
表4に示したように、SiO膜をつけることにより容器内面への低分子有機化合物の吸着が押さえられることがわかった。
(実施例5)
HMDSO、酸素それぞれのガスを流した際のチャンバー内の圧力変化を示す。圧力の測定は大亜真空製ピラニー真空計PT−DB1を用い、真空ポンプはEDWARDS社製ロータリーポンプE2M−18とULVAC社製メカニカルブースターポンプMBS−030を使用した。
Figure 2006264791
表5に示したようにHMDSOのみを流すと流量を多く流してもチャンバー内の圧力を低く保つことが出来、また、酸素後処理では成膜時ほど大量の酸素を必要としないため、やはり、チャンバー内の圧力を低く保つことが出来る。
本願発明のガスバリア性プラスチック容器の概念断面図である。 本願発明のガスバリア性プラスチック容器の成膜前の状態の概念断面図である。 本願発明のガスバリア性プラスチック容器の成膜中の状態の概念断面図である。
符号の説明
1 プラスチック容器
2 外部電極
3 ガス導入管
4 排気口
5 アース
6 電源



Claims (9)

  1. 容器の内面にバリアー層を有し、該バリアー層は珪素酸化物と、炭素、水素、珪素及び酸素の中から少なくとも1種あるいは2種以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類含有し、前記バリアー層中の前記化合物濃度を、前記容器を構成する基材の界面からバリアー層表面への深さ方向において、連続的に変化させてなることを特徴とするプラスチック容器。
  2. 容器内外面にバリアー層を有し、該バリアー層は珪素酸化物と、炭素、水素、珪素及び酸素の中から少なくとも1種あるいは2種以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類含有し、前記バリアー層中の前記化合物濃度を、前記容器を構成する基材の界面からバリアー層表面への深さ方向において、連続的に変化させてなることを特徴とするプラスチック容器。
  3. 前記バリアー層中の化合物濃度において、前記基材界面側の化合物濃度を低く、前記バリアー層表面側を高くしてなることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック容器。
  4. 前記バリアー層中の炭素濃度において、前記基材界面側の炭素濃度を高く、前記バリアー層表面側の炭素濃度を低くしてなることを特徴とするプラスチック容器。
  5. 前記バリアー層中の珪素と酸素を含む化合物の濃度において、前記基材界面側の珪素と酸素を含む化合物濃度を低く、前記バリアー層表面側の珪素と酸素を含む化合物の濃度を高くしてなることを特徴とするプラスチック容器。
  6. 少なくとも有機珪素化合物の蒸気と酸素もしくは酸化力を有するガスを用い、プラズマCVD法によりプラスチック容器の基材上に珪素酸化物と、炭素、水素、珪素及び酸素の中から少なくとも1種あるいは2種以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類含有するバリアー層を形成するとともに、前記プラズマCVD法において有機珪素化合物蒸気と酸化力を有するガスの混合比を変化させることにより前記化合物濃度を前記容器を構成する基材の界面からバリアー層表面への深さ方向において、連続的に変化させることを特徴とするプラスチック容器の製造方法。
  7. 前記プラズマCVD法において有機珪素化合物蒸気と酸化力を有するガスの混合比を変化させることにより、前記化合物濃度を前記基材界面側において低く、前記バリアー層表面側において高くすることを特徴とする請求項6に記載のプラスチック容器の製造方法。
  8. 前記プラズマCVD法において有機珪素化合物蒸気と酸化力を有するガスの混合比を変化させることにより、前記炭素濃度を前記基材界面側において高く、前記バリアー層表面側において低くすることを特徴とする請求項6に記載のプラスチック容器の製造方法。
  9. 前記プラズマCVD法において有機珪素化合物蒸気と酸化力を有するガスの混合比を変化させることにより、前記基材界面側の珪素と酸素を含む化合物濃度を低く、前記バリアー層表面側の珪素と酸素を含む化合物濃度を高くすることを特徴とする請求項6に記載のプラスチック容器の製造方法。


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