JP6425930B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、トレッド部に複数のブロックを備えたタイヤに関する。
従来、複数のブロックを有するブロックパターンは、重荷重用タイヤ等の様々なタイヤのトレッド部に形成されている。このようなタイヤを装着した車両の走行時には、タイヤのトレッド部内で部材が変形することで、トレッド部に歪が生じる。また、ゴムの粘弾特性に起因して、トレッド部が発熱し、トレッド部の温度が上昇する。トレッド部の歪と温度はトレッド部の耐久性に影響する主要な因子であり、トレッド部の耐久性を向上するためには、トレッド部に生じる歪と温度上昇に対処する必要がある。特に、トレッド中央部側に比べて、ショルダー部側のトレッド部では、ベルトの端部に歪と発熱が集中する等して、歪と発熱の影響が大きくなる。
これに対し、従来のタイヤでは、主に、補強部材をトレッド部内に追加し、或いは、トレッド部の剛性を高くして、ショルダー部側のトレッド部で、歪の発生を抑制している。ところが、この場合には、タイヤ内の部材の数とタイヤの重量が増加するとともに、タイヤのコストが高くなることがある。そのため、トレッド部の耐久性に関しては、ショルダー部側で、トレッド部を冷却して、温度の上昇を抑制することも求められている。
ここで、複数のブロックを備えたタイヤにおいては、一般に、複数のブロックが2つの周方向溝の間に配置されて、複数の横溝がブロックの間に形成される。このようなタイヤでは、周方向溝内に生じる気流により、放熱が促進されて、トレッド部が冷却される。しかしながら、周方向溝内の気流を制御して、周方向溝の放熱性を調整するのは難しい。そのため、トレッド中央部側の周方向溝とショルダー部側の周方向溝の間に複数のブロックを備えたタイヤにおいては、ショルダー部側の周方向溝に比べて、トレッド中央部側の周方向溝で、放熱が多くなることがある。この場合には、ショルダー部側の周方向溝によるトレッド部の冷却効果を高くできない。従って、ショルダー部側のトレッド部で、温度の上昇を抑制するのは難しい。
また、従来、ベルト端のタイヤ半径方向外側に位置するブロック溝により、ベルト端の温度の上昇を抑制するタイヤが知られている(特許文献1参照)。
ところが、特許文献1に記載された従来のタイヤでは、ベルト端のタイヤ半径方向外側に配置されたブロックにブロック溝を形成する必要がある。そのため、ブロックの位置が制限され、ブロックの位置によっては、ブロック溝を形成できないこともある。
特開2010−125998号公報
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、トレッド中央部側の周方向溝とショルダー部側の周方向溝の間に複数のブロックを備えたタイヤにおいて、複数のブロックのショルダー部側の周方向溝の放熱性を向上させて、ショルダー部側の周方向溝によるトレッド部の冷却効果を高くすることである。
本発明は、トレッド中央部とショルダー部の間に配置された第1周方向溝と、第1周方向溝のショルダー部側に配置された第2周方向溝と、第1周方向溝と第2周方向溝に開口する複数の横溝と、第1周方向溝、第2周方向溝、及び、複数の横溝によりトレッド部に区画された複数のブロックと、を備え、車両走行時に、タイヤ回転方向の反対方向の気流が第1周方向溝と第2周方向溝内に生じるタイヤである。複数のブロックの各ブロックは、第1周方向溝の境界を定めていて、気流の下流側の複数の横溝の1つの横溝が第1周方向溝に開口する位置から気流の上流側に向かって形成された第1壁面と、第2周方向溝の境界を定めていて、気流の下流側の複数の横溝の前記1つの横溝が第2周方向溝に開口する位置から気流の上流側に向かって形成された第2壁面と、気流の上流側の複数の横溝の1つの横溝が第1周方向溝に開口する位置に形成されたブロック角部と、を有する。複数のブロックが、タイヤ周方向に隣り合う気流の上流側の第1のブロックと下流側の第2のブロックを含んでいて、第1のブロックの第1壁面を気流の下流側で延長した仮想面は、第2のブロックブロック角部のトレッド中央部側で第1周方向溝内の位置を通過して、第1周方向溝内で第2のブロックと交わる。第2周方向溝の溝幅は、ブロックの第2壁面において、気流の下流側に向かって次第に広くなる。
本発明によれば、トレッド中央部側の周方向溝とショルダー部側の周方向溝の間に複数のブロックを備えたタイヤにおいて、複数のブロックのショルダー部側の周方向溝の放熱性を向上させて、ショルダー部側の周方向溝によるトレッド部の冷却効果を高くすることができる。
本実施形態のタイヤのトレッドパターンを示す平面図である。 本実施形態のトレッドパターンの一部を示す平面図である。 図2に示すトレッド部の斜視図である。 湾曲形状に形成された第1ブロック角部を示す平面図である。 他の実施形態のブロックを示す平面図である。 他の実施形態のブロックを示す平面図である。 他の実施形態のブロックを示す平面図である。 従来品のトレッドパターンを示す平面図である。
本発明のタイヤの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のタイヤは、車両用の空気入りタイヤ(例えば、重荷重用タイヤ、乗用車用タイヤ)であり、一般的なタイヤ構成部材により、周知の構造に形成されている。即ち、タイヤは、一対のビード部と、一対のビード部のタイヤ半径外側に位置する一対のサイドウォール部と、路面に接するトレッド部と、トレッド部と一対のサイドウォール部の間に位置する一対のショルダー部を備えている。また、タイヤは、一対のビードコアと、一対のビードコアの間に配置されたカーカスと、カーカスの外周側に配置されたベルトと、所定のトレッドパターンを有するトレッドゴムを備えている。
図1は、本実施形態のタイヤ1のトレッドパターンを示す平面図であり、トレッド部2のタイヤ周方向Sの一部を模式的に示している。
なお、タイヤ1は、車両前進時の回転方向が指定されるタイヤであり、車両前進時にタイヤ回転方向Rに回転する。タイヤ回転方向Rは、タイヤ1のトレッドパターンに対応して指定され、タイヤ1は、タイヤ回転方向Rが適合するように車両に装着される。
図示のように、タイヤ1は、トレッド部2に、複数の周方向溝11、12と、複数のラグ溝13と、複数の横溝14と、複数のブロック列20、30、40を備えている。複数の周方向溝11、12は、タイヤ周方向Sに延びる主溝(周方向主溝)であり、それぞれタイヤ周方向Sに沿って連続して形成されている。また、複数の周方向溝11、12は、トレッド中央部3とショルダー部4の間に配置された第1周方向溝11と、第1周方向溝11のショルダー部4側に配置された第2周方向溝12からなる。トレッド中央部3は、トレッド部2のタイヤ幅方向Kの中央部であり、タイヤ赤道面は、トレッド中央部3に位置する。ショルダー部4は、トレッド部2のタイヤ幅方向Kの外側に位置する。
第1周方向溝11は、トレッド中央部3側に形成された中央側周方向溝であり、タイヤ1は、トレッド中央部3のタイヤ幅方向Kの両側に形成された2つの第1周方向溝11を備えている。第2周方向溝12は、第1周方向溝11のタイヤ幅方向Kの外側に形成された外側周方向溝であり、タイヤ1は、それぞれ第1周方向溝11とショルダー部4(トレッド端)の間に配置された2つの第2周方向溝12を備えている。一対の第1周方向溝11と第2周方向溝12が、トレッド中央部3とショルダー部4の間に配置されるとともに、トレッド中央部3のタイヤ幅方向Kの両側に形成されている。複数の周方向溝11、12により、トレッド部2が区画されて、複数のブロック列20、30、40がトレッド部2に形成されている。
複数のブロック列20、30、40は、タイヤ周方向Sに沿って延びる陸部であり、それぞれ複数のブロック21、31、41を有する。また、複数のブロック列20、30、40は、1つの中央ブロック列20と、2つのショルダーブロック列30と、2つの中間ブロック列40からなる。中央ブロック列20は、複数の連結溝22と、タイヤ周方向Sに延びる1つの周方向副溝23を有し、トレッド中央部3に配置されている。周方向副溝23は、周方向溝11、12よりも細い周方向細溝であり、複数の連結溝22により、2つの第1周方向溝11に連結されている。複数の連結溝22と1つの周方向副溝23により、中央ブロック列20が区画されて、複数のブロック21が中央ブロック列20内に形成されている。
ショルダーブロック列30は、複数のラグ溝13を有し、トレッド部2内でタイヤ幅方向Kの最外側(ショルダー部4側)に配置されている。ラグ溝13は、タイヤ幅方向Kに延び、第2周方向溝12からショルダー部4まで形成されている。ショルダーブロック列30の複数のブロック31は、タイヤ周方向Sに順次配置され、ラグ溝13は、タイヤ周方向Sに隣り合うブロック31の間に形成されている。また、ラグ溝13は、第2周方向溝12のショルダー部4側に形成されて、第2周方向溝12に開口する。タイヤ1は、各ラグ溝13内に形成された隆起部15を備えている。隆起部15は、ラグ溝13の溝底から隆起して、ラグ溝13の両側の溝壁(ブロック31の壁面)を連結する。ここでは、隆起部15は、タイバーであり、ラグ溝13の少なくとも一部は、隆起部15により第2周方向溝12よりも浅くなっている。
中間ブロック列40は、複数の横溝14を有し、トレッド部2内で、中央ブロック列20とショルダーブロック列30の間に配置されている。複数の横溝14は、タイヤ幅方向Kに延びる幅方向溝であり、第1周方向溝11から第2周方向溝12まで形成されている。中間ブロック列40の複数のブロック41は、タイヤ周方向Sに順次配置され、横溝14は、タイヤ周方向Sに隣り合うブロック41の間に形成されている。また、横溝14は、第1周方向溝11と第2周方向溝12の間に形成されて、第1周方向溝11と第2周方向溝12に開口する。
このように、タイヤ1は、トレッド中央部3とショルダー部4の間に配置された中間ブロック列40の複数のブロック41を備えている。第1周方向溝11は、複数のブロック41のトレッド中央部3側の壁面に沿って延び、第2周方向溝12は、複数のブロック41のショルダー部4側の壁面に沿って延びる。複数の横溝14は、タイヤ周方向Sに離して配置されて、第1周方向溝11と第2周方向溝12の間の中間ブロック列40を横断する。第1周方向溝11、第2周方向溝12、及び、複数の横溝14により、複数のブロック41がトレッド部2に区画され、各ブロック41がタイヤ半径方向外側からみて所定の多角形状に形成される。
タイヤ1は、車両に装着されて、車両の走行(前進)に伴い、タイヤ回転方向Rに回転する。車両の前進による車両走行時(タイヤ回転時)には、所定方向の気流が第1周方向溝11と第2周方向溝12内に生じる。気流は、タイヤ1の回転により生じる相対的な空気の流れ(風)であり、タイヤ回転方向Rの反対方向に生じる。図1に示す矢印Fが、第1周方向溝11と第2周方向溝12内に生じる気流の方向であり、同じ方向の気流が、第1周方向溝11と第2周方向溝12内に生じる。本実施形態のタイヤ1では、第1周方向溝11と第2周方向溝12の間に形成された複数のブロック41により、気流を制御して、第1周方向溝11と第2周方向溝12の放熱性を調整する。これにより、ショルダー部4側に位置する第2周方向溝12の放熱性を向上させている。以下、放熱性の調整について詳しく説明する。
図2は、本実施形態のトレッドパターンの一部を示す平面図であり、図1を右回りに90°回転させた状態で、ブロック41を含む部分を示している。また、図2では、中央ブロック列20を簡略化している。図3は、図2に示すトレッド部2の斜視図である。
図示のように、複数のブロック41の各ブロック41は、トレッド中央部3側の第1壁面42と、ショルダー部4側の第2壁面43と、トレッド中央部3側の第1ブロック角部44と、ショルダー部4側の第2ブロック角部45を有する。第1周方向溝11と第2周方向溝12内で(気流方向F参照)、空気は、気流の上流側Gから気流の下流側Hに向かって流れて、トレッド部2を冷却する。
ブロック41の第1壁面42は、気流の下流側Hの横溝14が第1周方向溝11に開口する位置から、気流の上流側Gに向かって形成されている。ブロック41の第2壁面43は、気流の下流側Hの横溝14が第2周方向溝12に開口する位置から、気流の上流側Gに向かって形成されている。第1壁面42は、第1周方向溝11内に位置し、第2壁面43は、第2周方向溝12内に位置する。ここでは、第1壁面42は、気流の下流側Hに向かって、タイヤ周方向Sに対してショルダー部4側に傾斜する平面である。これに対し、第2壁面43は、気流の下流側Hに向かって、タイヤ周方向Sに対してトレッド中央部3側に傾斜する湾曲面である。また、第2壁面43は、円弧状に湾曲する凸面であり、周囲のブロック41の壁面に滑らかに接続する。ブロック41のショルダー部4側で、第2壁面43は、気流の下流側Hの横溝14の内側に向かって湾曲する。
ブロック41の第1ブロック角部44は、気流の上流側Gの横溝14が第1周方向溝11に開口する位置に形成されたブロック41の角部であり、横溝14内のブロック41の壁面と第1周方向溝11内のブロック41の壁面とが交わる位置に形成されている。ブロック41の第2ブロック角部45は、気流の上流側Gの横溝14が第2周方向溝12に開口する位置に形成されたブロック41の角部であり、横溝14内のブロック41の壁面と第2周方向溝12内のブロック41の壁面とが交わる位置に形成されている。ブロック41の壁面は、第1ブロック角部44と第2ブロック角部45を境界として、それぞれ異なる方向に向かって形成されている。
タイヤ周方向Sに隣り合う気流の上流側Gと下流側Hの2つのブロック41をみたときに、上流側Gのブロック41の第1壁面42を延長した仮想面(第1仮想面)46は、2つのブロック41の間の横溝14(下流側Hの横溝14)の外側に位置する。第1仮想面46は、第1壁面42を気流の下流側Hで仮想的に延長した延長面(仮想延長面)であり、第1壁面42と同一面をなすように、第1壁面42から滑らかに連続する。また、第1仮想面46は、下流側Hのブロック41に向かって延長されて、第1周方向溝11に沿って配置される。中間ブロック列40の全てのブロック41において、上流側Gのブロック41の第1仮想面46は、下流側Hのブロック41の第1ブロック角部44と交わり、又は、第1ブロック角部44のトレッド中央部3側で第1周方向溝11内の位置を通過する。第1仮想面46が第1周方向溝11内の位置を通過するときには、第1仮想面46は、第1周方向溝11内で、下流側Hのブロック41(ブロック41の壁面)と交わる。
第2周方向溝12の溝幅Wは、ブロック41の第2壁面43において、気流の下流側H(下流側Hの横溝14)に向かって次第に広くなる。また、タイヤ周方向Sに隣り合う気流の上流側Gと下流側Hの2つのブロック41をみたときに、上流側Gのブロック41の第2壁面43を延長した仮想面(第2仮想面)47は、トレッド中央部3側に向かって延長される。第2仮想面47は、第2壁面43を気流の下流側Hで仮想的に延長した延長面(仮想延長面)であり、第2壁面43と同一面をなすように、第2壁面43から滑らかに連続する。中間ブロック列40の全てのブロック41において、上流側Gのブロック41の第2仮想面47は、下流側Hのブロック41の第2ブロック角部45に交わることなく、2つのブロック41の間の横溝14(下流側Hの横溝14)の内側に向かって延長される。第2仮想面47は、横溝14を通過して、横溝14内で下流側Hのブロック41(ブロック41の壁面)と交わる。或いは、第2仮想面47は、横溝14を通過して、第1周方向溝11まで延長される。
以上説明したタイヤ1では、第1仮想面46が第1ブロック角部44と交わり、又は、第1周方向溝11内の位置を通過するため、第1壁面42に沿って流れた空気が横溝14内に流入し難くなる。そのため、空気が第1周方向溝11から横溝14及び第2周方向溝12に流入するのが抑制され、第2周方向溝12内で、空気の逆流、渦流、及び、滞留が生じるのが防止される。第2周方向溝12内の空気は、横溝14から流入する空気により乱されることなく、第2周方向溝12内を下流側Hに向かって円滑に流れる。これに伴い、第2周方向溝12内で、冷却媒体である空気の流量が増加して、トレッド部2の冷却が促進される。また、第1周方向溝11内の気流が第1ブロック角部44を逸れることで、第1ブロック角部44で空気の圧力が上昇するのが抑制される。
第2周方向溝12の溝幅Wが第2壁面43において次第に広くなるため、1つのブロック41の第2周方向溝12側で、第2壁面43の周辺の空気の圧力が、第2ブロック角部45の周辺の空気の圧力よりも低くなる。これに伴い、第2周方向溝12内で、空気が第2壁面43の上流側Gから第2壁面43の周辺に向かって引かれて、気流が加速される。また、気流が第2ブロック角部45に当たることで、第2ブロック角部45で空気の圧力が上昇する。その結果、横溝14内で、第2ブロック角部45における空気の圧力が第1ブロック角部44における空気の圧力よりも高くなり、空気が第2ブロック角部45から第1ブロック角部44に向かって流れる。これにより、第2周方向溝12から横溝14に向かう気流が生じて、空気が横溝14から第2周方向溝12に流入するのが抑制される。また、第2周方向溝12内の気流が、より加速される。
このように、本実施形態のタイヤ1では、車両走行時の気流を制御して、第1周方向溝11と第2周方向溝12の放熱性を調整することができる。また、ショルダー部4側の第2周方向溝12内で、気流を加速することで、放熱を促進することができる。従って、第2周方向溝12の放熱性を向上させて、第2周方向溝12によるトレッド部2の冷却効果を高くすることができる。これに伴い、ショルダー部4側で、トレッド部2を冷却して、トレッド部2の温度の上昇を抑制することができる。ベルトの端部で、トレッド部2の温度を低下させることで、トレッド部2の耐久性を効果的に向上することもできる。
第2仮想面47が横溝14の内側に向かって延長されるときには、第2壁面43に沿って流れた空気が横溝14内に流入し易くなる。また、第2壁面43がトレッド中央部3側に傾斜することで、空気が第2周方向溝12から横溝14に向かって流れ易くなる。第2壁面43が湾曲面であるときには、空気が第2壁面43に沿って円滑に流れて、横溝14に向かう気流が生じ易くなる。これらに伴い、第2壁面43の周辺で空気の圧力を確実に低くできるとともに、第2周方向溝12内の気流を更に加速することができる。ショルダーブロック列30のラグ溝13に隆起部15を形成することで、第2周方向溝12内を流れる空気がラグ溝13を通して流出するのを抑制することができる。その結果、気流を第2周方向溝12に集中することができる。
なお、第2周方向溝12の溝幅Wは、少なくとも第2壁面43において、気流の下流側Hに向かって次第に広くなっていればよい。従って、第2壁面43の上流側Gから第2壁面43にかけて、第2周方向溝12の溝幅Wを気流の下流側Hに向かって次第に広くしてもよい。また、第1ブロック角部44と第2ブロック角部45は、屈曲形状に形成された角部であってもよく、湾曲形状に形成された角部であってもよい。
図4は、湾曲形状に形成された第1ブロック角部44を示す平面図である。
この場合には、図示のように、第1仮想面46は、例えば、仮想交差位置48を通って、第1ブロック角部44と交わる。仮想交差位置48は、第1ブロック角部44の両側のブロック41の壁面41A、41Bを延長した仮想面が交差する位置である。一方の壁面41Aは、横溝14内のブロック41の壁面であり、他方の壁面41Bは、第1周方向溝11内のブロック41の壁面である。第1ブロック角部44を湾曲形状に形成することで、空気が横溝14から第1周方向溝11に流れ易くなる。
次に、他の実施形態のブロックについて説明する。以下の各ブロックは、ブロック41の一部の形状を変更した例であり、上記した効果と同様の効果を発揮する。各ブロックについて、ブロック41と同じ構成にはブロック41と同じ名称を付し、各構成の詳細な説明は省略する。また、以下の説明では、既に説明した事項と同じ事項の説明は省略する。
図5〜図7は、他の実施形態のブロック51、61、71を示す平面図であり、図2と同様に、ブロック51、61、71を含むトレッドパターンの一部を示している。
図5に示すブロック51は、第1壁面52と、第2壁面53と、第1ブロック角部54と、第2ブロック角部55を有する。第1仮想面56は、第1壁面52を延長した延長面であり、第2仮想面57は、第2壁面53を延長した延長面である。ここでは、第2壁面53のみが、ブロック41の第2壁面43と相違する。ブロック51の第2壁面53は、気流の下流側Hに向かって、タイヤ周方向Sに対してトレッド中央部3側に傾斜する平面である。第2壁面53は、気流の下流側Hの横溝14の内側に向かって傾斜する。この第2壁面53では、空気が第2周方向溝12から横溝14に向かって流れ易くなる。そのため、第2壁面53の周辺で空気の圧力を確実に低くできるとともに、第2周方向溝12内の気流を更に加速することができる。
図6に示すブロック61では、ブロック61をタイヤ半径方向外側からみた平面図において、ブロック61が、そのタイヤ周方向Sの中心を通る中心線68に関し線対称に形成されている。そのため、ブロック61は、中心線68の両側に、第1壁面62と、第2壁面63と、第1ブロック角部64と、第2ブロック角部65を有する。また、第1仮想面66は、中心線68の両側の第1壁面62を延長した延長面であり、第2仮想面67は、中心線68の両側の第2壁面63を延長した延長面である。第1壁面62は、ブロック61内に窪んだ湾曲面であり、2つの第1壁面62は、中心線68で交わる。このブロック61では、タイヤ回転方向Rをタイヤ周方向Sの両方向に設定することができる。即ち、気流方向Fが反対方向になったときでも、ブロック61は、ブロック41と同様の条件を満たし、ブロック41と同様に作用する。従って、タイヤ装着時に、タイヤ回転方向Rを指定する必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
図7に示すブロック71では、ブロック61と同様に、ブロック71をタイヤ半径方向外側からみた平面図において、ブロック71が、そのタイヤ周方向Sの中心を通る中心線78に関し線対称に形成されている。そのため、ブロック71は、中心線78の両側に、第1壁面72と、第2壁面73と、第1ブロック角部74と、第2ブロック角部75を有する。また、第1仮想面76は、中心線78の両側の第1壁面72を延長した延長面であり、第2仮想面77は、中心線78の両側の第2壁面73を延長した延長面である。第1壁面72は、ブロック71内に窪んだ湾曲面であり、2つの第1壁面72は、中心線78で交わる。ブロック71の第2壁面73は、ブロック51の第2壁面53と同様に、気流の下流側Hに向かって、タイヤ周方向Sに対してトレッド中央部3側に傾斜する平面である。第2壁面73は、気流の下流側Hの横溝14の内側に向かって傾斜する。このブロック71では、ブロック61と同様に、タイヤ回転方向Rをタイヤ周方向Sの両方向に設定することができる。即ち、気流方向Fが反対方向になったときでも、ブロック71は、ブロック41と同様の条件を満たし、ブロック41と同様の効果を発揮する。従って、タイヤ装着時に、タイヤ回転方向Rを指定する必要がなく、ユーザの利便性が向上する。
なお、タイヤ1が重荷重用タイヤ(例えば、トラック・バス用タイヤ)であるときには、トレッド部2の発熱量が多くなる傾向がある。そのため、本発明は、重荷重用タイヤに好適である。ただし、本発明は、重荷重用タイヤ以外の種々のタイヤに適用することができる。
(タイヤ試験)
本発明の効果を確認するため、実施例のタイヤ(実施品という)と従来例のタイヤ(従来品という)を作製して、それらの性能を評価した。実施品は、中間ブロック列40に、図6に示す複数のブロック61を備えている。これに対し、従来品では、中間ブロック列40の複数のブロックのみが実施品と相違する。
図8は、従来品のトレッドパターンを示す平面図であり、図6と同様に、トレッドパターンの一部を示している。
図示のように、従来品のタイヤ90では、中間ブロック列40のブロック91をタイヤ半径方向外側からみた平面図において、ブロック91が、そのタイヤ周方向Sの中心を通る中心線98に関し線対称に形成されている。また、ブロック91は、中心線98の両側に、第1壁面92と、第2壁面93と、第1ブロック角部94と、第2ブロック角部95を有する。第1仮想面96は、中心線98の両側の第1壁面92を延長した延長面である。タイヤ周方向Sに隣り合う気流の上流側Gと下流側Hの2つのブロック91をみたときに、上流側Gのブロック91の第1仮想面96は、2つのブロック91の間の横溝14の内側に向かって延長されて、横溝14内で下流側Hのブロック91と交わる。第2周方向溝12の溝幅Wは、第2壁面93において、一定の幅である。
実施品と従来品を用いて、以下の条件でドラム耐久試験を実施した。
タイヤサイズ:11R22.5
タイヤの荷重:2740kgf(=26.9kN)
タイヤの内圧:700kPa
ドラムの速度:65km/h
試験中の気温:38℃
試験では、実施品と従来品をドラムの外周面に接触させて、実施品と従来品に同じ荷重を加えた。その状態で、ドラムを回転させて、実施品と従来品をドラムにより回転(走行)させた。これにより、実施品と従来品のベルトが耐えられる走行距離を測定して、実施品と従来品のベルト耐久性を評価した。また、実施品と従来品において、第2周方向溝12の溝底における熱伝達率を測定して、第2周方向溝12の放熱性を評価した。
Figure 0006425930
表1に実施品と従来品の試験結果を示す。試験結果は、従来品を100とした指数で表しており、数値が大きいほど性能が高いことを示している。
表1に示すように、実施品の熱伝達率は、140であり、従来品の熱伝達率よりも大幅に高くなった。これより、実施品では、第2周方向溝12の放熱性が向上することが分かった。また、実施品の走行距離は、115であり、従来品の走行距離よりも長くなった。実施品では、第2周方向溝12による冷却効果が高くなり、ベルト耐久性が向上することが分かった。
1・・・タイヤ、2・・・トレッド部、3・・・トレッド中央部、4・・・ショルダー部、11・・・第1周方向溝、12・・・第2周方向溝、13・・・ラグ溝、14・・・横溝、15・・・隆起部、20・・・中央ブロック列、21・・・ブロック、22・・・連結溝、23・・・周方向副溝、30・・・ショルダーブロック列、31・・・ブロック、40・・・中間ブロック列、41・・・ブロック、42・・・第1壁面、43・・・第2壁面、44・・・第1ブロック角部、45・・・第2ブロック角部、46・・・第1仮想面、47・・・第2仮想面、48・・・仮想交差位置、51・・・ブロック、52・・・第1壁面、53・・・第2壁面、54・・・第1ブロック角部、55・・・第2ブロック角部、56・・・第1仮想面、57・・・第2仮想面、61・・・ブロック、62・・・第1壁面、63・・・第2壁面、64・・・第1ブロック角部、65・・・第2ブロック角部、66・・・第1仮想面、67・・・第2仮想面、68・・・中心線、71・・・ブロック、72・・・第1壁面、73・・・第2壁面、74・・・第1ブロック角部、75・・・第2ブロック角部、76・・・第1仮想面、77・・・第2仮想面、78・・・中心線、F・・・気流方向、G・・・上流側、H・・・下流側、K・・・タイヤ幅方向、R・・・タイヤ回転方向、S・・・タイヤ周方向、W・・・溝幅。

Claims (8)

  1. トレッド中央部とショルダー部の間に配置された第1周方向溝と、第1周方向溝のショルダー部側に配置された第2周方向溝と、第1周方向溝と第2周方向溝に開口する複数の横溝と、第1周方向溝、第2周方向溝、及び、複数の横溝によりトレッド部に区画された複数のブロックと、を備え、車両走行時に、タイヤ回転方向の反対方向の気流が第1周方向溝と第2周方向溝内に生じるタイヤであって、
    複数のブロックの各ブロックは、第1周方向溝の境界を定めていて、気流の下流側の複数の横溝の1つの横溝が第1周方向溝に開口する位置から気流の上流側に向かって形成された第1壁面と、第2周方向溝の境界を定めていて、気流の下流側の複数の横溝の前記1つの横溝が第2周方向溝に開口する位置から気流の上流側に向かって形成された第2壁面と、気流の上流側の複数の横溝の1つの横溝が第1周方向溝に開口する位置に形成されたブロック角部と、を有し、
    複数のブロックが、タイヤ周方向に隣り合う気流の上流側の第1のブロックと下流側の第2のブロックを含んでいて、第1のブロックの第1壁面を気流の下流側で延長した仮想面は、第2のブロックブロック角部のトレッド中央部側で第1周方向溝内の位置を通過して、第1周方向溝内で第2のブロックと交わり
    第2周方向溝の溝幅は、ブロックの第2壁面において、気流の下流側に向かって次第に広くなるタイヤ。
  2. 請求項1に記載されたタイヤにおいて、
    第1のブロックの第2壁面を気流の下流側で延長した仮想面は、第1と第2のブロックの間の横溝の内側に向かって延長されるタイヤ。
  3. 請求項1に記載されたタイヤにおいて、
    ブロックの各々の第2壁面は、気流の下流側に向かって、タイヤ周方向に対してトレッド中央部側に傾斜するタイヤ。
  4. 請求項1に記載されたタイヤにおいて、
    ブロックの各々の第2壁面は、気流の下流側の横溝の内側に向かって湾曲する湾曲面であるタイヤ。
  5. 請求項1に記載されたタイヤにおいて、
    ブロックの各々の第2壁面は、気流の下流側に向かって、タイヤ周方向に対してトレッド中央部側に傾斜する平面であるタイヤ。
  6. 請求項1に記載されたタイヤにおいて、
    第2周方向溝のショルダー部側に形成されて、第2周方向溝に開口するラグ溝と、
    ラグ溝の溝底から隆起して、ラグ溝の両側の溝壁を連結する隆起部と、
    を備えたタイヤ。
  7. 請求項6に記載されたタイヤにおいて、
    ラグ溝の少なくとも一部は、隆起部により第2周方向溝よりも浅くなっているタイヤ。
  8. 請求項1に記載されたタイヤにおいて、
    複数のブロックの各々が多角形から成っているタイヤ。
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