JP6425929B2 - 平板瓦 - Google Patents
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Description
更に、破損した平板瓦を交換する場合、交換する平板瓦が最上段に葺かれたものである場合を除いて、交換のために取外しが必要となる平板瓦の枚数が多くなり、交換作業が煩雑になるという問題に加えて、交換作業に伴って平板瓦の固定に用いる釘等の締結部材や平板瓦の吹き上がりを防止するリブ等を欠損させねばならなくなるため、施工当初に有していた防災性能を、瓦交換後は維持できなくなるという問題が生じる。
そこで、平板瓦の一側方に形成した上方重合部で覆われ、隣り合う平板瓦の他側方に形成した下方重合部の頭側(軒側)上面に外側かつ頭側に傾斜した誘水突堤を設けると共に、下方重合部の外側部に沿って形成された水返しにおける誘水突堤の直上部分に排水切込を設けた筋葺き用の平板瓦が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このため、特許文献1に記載された平板瓦を、緩勾配(例えば、業界でいう3寸勾配)の屋根に葺くと、豪雨のように雨量が平板瓦の排出能力を超えて平板瓦の上面に雨水が溜まる場合や、横風が強く、下側の平板瓦の上面側に排出された雨水が逆流する場合、低位部上からの雨水の排出が十分にできなくなって、雨水が低位部を越えて平板瓦の裏面側に漏れ出すという問題が生じる。
前記表板部の一側端部と、前記瓦本体の他側端部には、上流から下流に向けて第1、第2の突堤が設けられ、該平板瓦の施工時には、前記第1、第2の突堤が当接又は近接して合わせ部を形成し、前記裏板部には、該合わせ部から浸入した雨水を導き、下流側に排水する排水溝が設けられ、
前記表板部の一側端部の下流側及び前記瓦本体の他側端部の下流側には、一側及び他側にそれぞれ開口し、施工時に下側に配置された該平板瓦の前記第1、第2の突堤の上部が嵌入する第1、第2の切欠き部が形成され、前記裏板部の一側端部の下流側には、一側に開口し、施工時に下側に配置された該平板瓦の前記第1の突堤の上部が嵌入する第3の切欠き部が形成され、
前記排水溝が、平面視して、施工時に前記他方に配置された平板瓦の前記第1の突堤の他側に設けられている。
排水溝が、平面視して、施工時に他方に配置された平板瓦の第1の突堤の他側に設けられているので、平板瓦の合わせ部から他側にずれた場所に排水することができ、排水された雨水が下側の平板瓦の合わせ部に浸入することを防止できる。
これによって、合わせ部から浸入した雨水を、排水溝内に確実に流入させることができる。
これによって、排水溝内の雨水の排水を促進して、排水溝内から雨水が逆流することを防止できる。
これによって、平板瓦の一部同士を重ねながら上下方向に平板瓦を葺いた際、下側の平板瓦の合わせ部に対して上側の平板瓦の合わせ部を縦一列に並べることができ、上側の平板瓦の排水溝を、下側の平板瓦の合わせ部に対して常に他側にずらすことができる。
これによって、緩勾配の屋根においても、瓦本体及び表板部からの雨水の逆流を防止することができる。
第4の突堤を設けることで、瓦本体と表板部の厚さを薄くしても剛性及び強度を維持することができ、平板瓦の重量軽減が可能になる。
第2のエジェクター式排水部を設けることで流水路内の雨水の排水を促進して、流水路内から雨水が逆流することを防止できる。
これによって、平板瓦の上下方向の位置決めを容易に行うことができる。
図1〜図7に示すように、本発明の一実施の形態に係る平板瓦10は、一側に表板部11が、他側に裏板部13が設けられた瓦本体12を有し、施工時には、裏板部13の上に表板部11が重なっている。なお、瓦本体12及び表板部11の表面は連接して瓦表面18を構成し、瓦本体12及び裏板部13の裏面は連接して瓦裏面18aを構成している。
ここで、第1のエジェクター式排水部20には、排水溝19の幅より徐々に幅狭となった平面状の下り傾斜面、又は逆アール曲面状の下り傾斜面が設けられており、落差(重力)に基づいて雨水を排水溝19の長手方向に加速している。
また、第1〜第3の突堤15〜17の幅は、例えば、3〜10mmである。第1〜第3の突堤15〜17の幅が3mm未満では、第1〜第3の突堤15〜17の衝撃に対する強度が低下して第1〜第3の突堤15〜17が破損し易く好ましくない。一方、第1〜第3の突堤15〜17の幅が10mmを超えると、平板瓦10の重量が増加することになって好ましくない。
排水溝19の幅は、例えば、15〜25mm、深さは、例えば、3〜5mmである。そして、第1のエジェクター式排水部20の下端に対する排水溝19の排水口19aにおける底面の高さ位置(落差)は、例えば、3〜10mmである。
表板部11の一側端部の下流側、例えば、流水路22bの第2のエジェクター式排水部23の先端の下部に設けた掛止部25の一側端部には、施工時に下側の平板瓦10の第1の突堤15の上部が嵌入する第1の切欠き部32が形成され、瓦本体12の他側端部の下流側、例えば、流水路22cの第2のエジェクター式排水部23の先端の下部に設けた掛止部25の他側端部には、施工時に下側の平板瓦10の第2の突堤16の上部が嵌入する第2の切欠き部33が形成されている。また、流水路22a、22b、22cの第2のエジェクター式排水部23の先端の下部にそれぞれ設けた掛止部25同士の間には、第4の突堤22の上部が嵌入する第3の切欠き部34がそれぞれ形成されている。
このため、上側に配置された平板瓦10の合わせ部14から浸入した雨水を、下側に配置された平板瓦10の合わせ部14の左右方向位置より常に他側にずれた場所に排水することができ、上側の平板瓦10の合わせ部14に浸入し排水された雨水が、下側の平板瓦10の合わせ部14に再び浸入することを防止できる。
そして、第4の突堤22で挟まれる流水路22aと、一側の第4の突堤22とその隣り合う第1の突堤15で挟まれる流水路22bと、他側の第4の突堤22とその隣り合う第2の突堤16で挟まれる流水路22cの下流側端部には、第2のエジェクター式排水部23がそれぞれ設けられている。これによって、流水路22a、22b、22c内の雨水が下方に向けて加速して排水されることになって、流水路22a、22b、22c内の雨水の排水が促進され、流水路22a、22b、22c内から雨水が逆流することを防止できる。
そして、平板瓦10を筋葺きする際、平板瓦10の裏面に設けた掛止部25を、下側の平板瓦10の瓦表面18に設けたストッパ24より下方側に位置させると、下側の平板瓦10に対して上側の平板瓦10を、上下方向に自在に移動させることができ、上側の平板瓦10の上下方向位置の調節が容易にできる。その結果、平板瓦10を寸法調整のために切削加工しなくても、屋根に取付けることが可能になる。
例えば、第4の突堤を3本設けたが、1本又は4本以上とすることもできる。
なお、本実施の形態では、数値を用いて具体的に説明したが、本発明は記載した数値に限定されるものではなく、平板瓦の使用状況に応じて任意に変更することができる。
Claims (6)
- 瓦本体と、該瓦本体の一側に設けられた表板部と、該瓦本体の他側に設けられた裏板部とを有し、施工時には、左右方向に隣り合う一方の平板瓦の前記裏板部の上に、他方の平板瓦の前記表板部が重なる平板瓦において、
前記表板部の一側端部と、前記瓦本体の他側端部には、上流から下流に向けて第1、第2の突堤が設けられ、該平板瓦の施工時には、前記第1、第2の突堤が当接又は近接して合わせ部を形成し、前記裏板部には、該合わせ部から浸入した雨水を導き、下流側に排水する排水溝が設けられ、
前記表板部の一側端部の下流側及び前記瓦本体の他側端部の下流側には、一側及び他側にそれぞれ開口し、施工時に下側に配置された該平板瓦の前記第1、第2の突堤の上部が嵌入する第1、第2の切欠き部が形成され、前記裏板部の一側端部の下流側には、一側に開口し、施工時に下側に配置された該平板瓦の前記第1の突堤の上部が嵌入する第3の切欠き部が形成され、
前記排水溝が、平面視して、施工時に前記他方に配置された平板瓦の前記第1の突堤の他側に設けられていることを特徴とする平板瓦。 - 請求項1記載の平板瓦において、前記裏板部には前記合わせ部から浸入した雨水を前記排水溝に導く傾斜部が設けられていることを特徴とする平板瓦。
- 請求項1又は2記載の平板瓦において、前記排水溝の下流部には、流れる雨水を加速して排水する第1のエジェクター式排水部が設けられていることを特徴とする平板瓦。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の平板瓦において、前記瓦本体及び前記表板部の上流側端部には、横方向に伸びて連続し、該瓦本体及び該表板部からの雨水の逆流を防止する第3の突堤が設けられていることを特徴とする平板瓦。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の平板瓦において、前記瓦本体の表側には、リブ及び流水ガイドとして作用する、上流から下流に向けて複数の第4の突堤が設けられ、該第4の突堤で挟まれる流水路の下流側端部には、第2のエジェクター式排水部が設けられていることを特徴とする平板瓦。
- 請求項5記載の平板瓦において、前記各流水路の中央には、ストッパが設けられて、前記瓦本体の裏側には、前記ストッパに当接する掛止部が設けられ、重ね合う該平板瓦のズレを防止していることを特徴とする平板瓦。
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