JP6425461B2 - アクリル系樹脂組成物、およびコーティング剤 - Google Patents

アクリル系樹脂組成物、およびコーティング剤 Download PDF

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Description

本発明は、アクリル系樹脂組成物に関し、更に詳しくはフィルム、プラスチック基板等のコーティング剤として用いた際に耐溶剤性、耐カール性に優れたコーティング膜が得られるアクリル系樹脂組成物及びそれを用いてなるコーティング剤に関するものである。
近年、プラスチック素材の工業材料への用途が拡大している。プラスチック用塗料組成物は、プラスチック表面に塗布することで、硬度を上昇させ傷付きや汚れなどを防止する目的や、屈折率を変更し透過率や反射率を調整したりする目的や、プラスチックへの密着性に劣るインクの密着性を改善したりする目的で用いられるものであり、様々な用途で使用されている。
このようなプラスチック用の塗料組成物としては、例えば、重量平均分子量3,000〜20,000、水酸基価が100〜200mgKOH/gの範囲内である水酸基含有アクリル樹脂(A)、ポリイソシアネート化合物(B)、硬化触媒(C)及びシリコン系表面調整剤(D−1)及びアクリル系表面調整剤(D−2)の2種を必須とする表面調整剤(D)を含有する塗料組成物であって、該塗料組成物を乾燥膜厚が30±5μmになるように塗装し80℃20分間焼付けて硬化させたときの硬化塗膜のガラス転移温度および架橋間分子量が、100℃以上、900g/mol以下であることを特徴とするプラスチック用塗料組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−19714号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示技術は、水酸基含有モノマーの含有量がある程度多いアクリル系樹脂を使用しているためプラスチック密着性やオレイン酸などの疎水溶液への耐性には優れるものの、使用しているアクリル系樹脂のガラス転移温度が例えば100℃以上といったように高いため、プラスチックフィルムに塗布し、乾燥させて硬化塗膜を形成したのちに、高温環境下に晒されると、カールが発生し易いという問題があった。
また、かなり多量の水酸基含有モノマーを含有するアクリル系樹脂を用いた塗料用の組成物も知られているものの、かかる塗料用組成物は極性が高くアルコール以外の溶媒への溶解性が低いため溶媒としてアルコールを用いなければならず、そのためアクリル系樹脂の架橋形成のために通常使用される架橋剤はアルコールとの反応に消費されてしまうこととなる。したがって、架橋剤を使用できないため、得られる硬化塗膜のゲル分率は低くなってしまうためトルエンなどの非極性溶媒に対する耐性は優れているが、アルコールなどの極性溶媒に対する耐性に劣るという問題があった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、耐溶剤性、特には極性溶媒に対する耐溶剤性に優れ、かつ高温環境下に晒した際にもカールが発生しない硬化塗膜を得るために好適なアクリル系樹脂組成物、更にはコーティング剤を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、非常に多量の水酸基を含有するアクリル系樹脂と、架橋剤とを含有するアクリル系樹脂組成物において、アクリル系樹脂としてガラス転移温度の比較的低いアクリル系樹脂を用いることにより、高温環境下における耐カール性と耐溶剤性にバランスよく優れる硬化塗膜を得ることが可能なアクリル系樹脂組成物が得られることを見いし、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、水酸基含有モノマー(a1)を60重量%以上含有する重合成分を重合してなるアクリル系樹脂(A)、および架橋剤(B)を含有してなり、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が、0〜45℃であり、前記重合成分は、水酸基含有モノマー(a1)全体に対して2−ヒドロキシエチルメタクリレートを5重量%以上含有し、架橋剤(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴とするアクリル系樹脂組成物に関するものである。
また、本発明では、前記アクリル系樹脂組成物を用いてなるコーティング剤も提供するものである。
本発明のアクリル系樹脂組成物は、耐溶剤性と高温環境下に晒した際の耐カール性にバランスよく優れた硬化塗膜を形成することができるものであり、これを用いてなるコーティング層は、プラスチック、とりわけプラスチックフィルムのインク用アンダーコート剤や防曇用コート剤等の用途に好適に用いられるものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。また、アクリル系樹脂とは少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)は、水酸基含有モノマー(a1)を必須成分として60重量%以上含有する重合成分を重合して得られるものであり、更に必要に応じて(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)や、(a1)以外のその他の官能基含有モノマー(a3)、その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)を共重合成分として含んでもよいものである。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(A)のガラス転移温度は、〜45℃であることが必要であり、好ましくは5〜40℃、特に好ましくは20〜40℃である。ガラス転移温度が高すぎると耐カール性が低下することとなり、低すぎるとタックが強くなってしまう。
上記のガラス転移温度は下記のFoxの式より算出されるものである。
Figure 0006425461
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
上記水酸基含有モノマー(a1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜16(好ましくは1〜12)の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーが挙げられる。
また、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマーを用いてもよい。
上記水酸基含有モノマー(a1)の中でも、効率よく水酸基を導入できる点で1級水酸基含有モノマー、2級水酸基含有モノマーが好ましく、特に好ましくは親水性が高く耐溶剤性に優れる点で1級水酸基含有モノマー、更に好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドである。
また、水酸基量を維持したままガラス転移温度を特定範囲に調整しやすい点で、水酸基含有モノマー(a1)全体に対して水酸基含有メタクリレート系モノマーを5重量%以上含有することが必要であり、好ましくは5〜90重量%、に好ましくは15〜85重量%である。かかる水酸基含有メタクリレート系モノマーの含有量が少なすぎるとガラス転移温度が低くなりタックが強くなる傾向がある。
かかる水酸基含有メタクリレート系モノマーとして具体的には、安価である点、重合時の安定性が高く樹脂の水酸基価を高くしやすい点で、アルキル基の炭素数が1〜8(好ましくは1〜4)のヒドロキシアルキルメタクリレート、中でも2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
本発明では特に、水酸基含有モノマー(a1)全体に対して2−ヒドロキシエチルメタクリレートを5重量%以上含有する重合成分を重合してなるアクリル系樹脂(A)が用いられる。
なお、本発明で使用する水酸基含有モノマー(a1)としては、重合時の安定性の点で不純物であるジ(メタ)アクリレートの含有割合が、0.5%以下のものを用いることが好ましく、更に好ましくは0.2%以下、殊に好ましくは0.1%以下である。
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)としては、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチルアクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso−ステアリルアクリレート等の脂肪族の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環族の(メタ)アクリル酸エステル;等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、通常1〜20、特に好ましく1〜12、更に好ましくは1〜8である。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)の中でも、共重合性、耐溶剤性、取り扱いやすさ及び原料入手のしやすさの点で、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタクリレート)、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上記(a1)以外の官能基含有モノマー(a3)(以下、「官能基含有モノマー(a3)」と記すことがある。)としては、例えば、カルボキシル基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、窒素原子含有モノマー、リン酸基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー等が挙げられ、単独又は2種以上併用して用いられる。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸、(メタ)アクリル酸のミカエル付加物(例えば、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、メタクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、メタクリル酸テトラマー等)、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジカルボン酸モノエステル(例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸モノエステル等)等が挙げられる。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
上記窒素原子含有モノマーとしては、例えば、アミド基含有モノマーやアミノ基含有モノマーが挙げられる。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド−3−メチルブチルメチルアミン、ジメチルアミノアルキルアクリルアミド、ジメチルアミノアルキルメタクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等が挙げられる。
かかる官能基含有モノマー(a3)の中でも、極性が高く反応性に優れる点でカルボキシル基含有モノマーが好ましく、共重合性に優れる点で(メタ)アクリル酸が好ましい。
その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)としては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化o−フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香環含有モノマー;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のエーテル鎖含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等を用いることができる。
また、高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物等を併用することもできる。
上記水酸基含有モノマー(a1)の含有量は、重合成分全体に対して、60重量%以上であることが必要であり、好ましくは70〜99.9重量%、特に好ましくは70〜98重量%、更に好ましくは80〜98重量%である。
上記水酸基含有モノマー(a1)の含有量が少なすぎると、耐溶剤性が低下することとなる。
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)の含有量は、重合成分全体に対して40重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは30重量%以下、更に好ましくは15重量%以下である。
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)の含有量が多すぎると、耐溶剤性が低下する傾向がある。
上記官能基含有モノマー(a3)の含有量は、重合成分全体に対して、15重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは1〜10重量%、更に好ましくは2〜10重量%である。
上記官能基含有モノマー(a3)の含有量が多すぎると、樹脂溶液の保存安定性や重合時の安定性が低くなる傾向があり、少なすぎると架橋度が低下する傾向がある。
上記その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)の含有量は、重合成分全体に対して、15重量%以下であることが好ましく、特に好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
上記その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)の含有量が多すぎると、重合時の安定性や樹脂溶液の保存安定性が低下したり、耐溶剤性が低下したりする傾向がある。
かくして、上記水酸基含有モノマー(a1)、必要に応じて(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)や、(a1)以外のその他の官能基含有モノマー(a3)、その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)を重合することによりアクリル系樹脂(A)が製造されるものである。
本発明において、アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度を上記範囲に調整するに際しては、例えば、上記の通り水酸基含有モノマー(a1)全体に対して水酸基含有メタクリレート系モノマーを特定範囲に調整したり、その他のモノマー((a2)〜(a4))の配合量を調整したりすることにより調整することができる。
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量については、通常5万〜200万、好ましくは15万〜100万、特に好ましくは20万〜50万である。重量平均分子量が小さすぎると、造膜性が低下する傾向があり、大きすぎると樹脂溶液の粘度が高くなり製造が難しくなる傾向となる。
また、アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、10以下であることが好ましく、特には8以下が好ましく、更には5.5が好ましい。かかる分散度が高すぎると粘着剤層の凝集力が低下し保持力の低下や高温、湿熱条件での耐久性が低下する傾向にある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
尚、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)によって測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法を用いることができる。また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。
また測定に際してポリマーを誘導体化してもよいし溶離液の種類やカラムを適宜変更してもよい。
アクリル系樹脂(A)の製造方法については、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の方法により行なうことができる。例えば、有機溶媒中に、水酸基含有モノマー(a1)、必要に応じて更に(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)、官能基含有モノマー(a3)、その他の共重合可能なエチレン性不飽和モノマー(a4)を含有する重合成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し、所定の重合条件にて重合する。これら重合方法のうち、溶液ラジカル重合、塊状重合が好ましく、更に好ましくは溶液ラジカル重合である。
上記重合反応に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等があげられる。これらの溶剤の中でも、重合反応のしやすさや重合成長中の樹脂との相溶性の点でメタノール、エタノール、プロパノール等の脂肪族アルコール類が好ましい。
次に、本発明で用いられる架橋剤(B)について説明する。
かかる架橋剤(B)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられる。
これらの中でも、アルコール等の溶媒と反応しにくい点で水酸基との反応性が低いもしくは非反応性架橋剤が好ましく、上記の中でもエポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤、ブロックイソシアネート系架橋剤が好ましく、更に好ましくはエポキシ系架橋剤、キレート系架橋剤である。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体、これらイソシアネートがジメチルピラゾール、メチルエチルケトンオキシム、カプロラクタム等のブロック剤によって保護されているブロックイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも特にポットライフが長い点でブロックイソシアネートが好ましい。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N,N−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン等の窒素原子含有エポキシ系架橋剤;ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらの中でも反応性に優れる点で窒素含有エポキシ系架橋剤が好ましく、特に好ましくは1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N,N−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンである。
上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−ジフェニルメタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、へキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサプトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン、ヘキサヘキシルオキシメチルメラミン、メラミン樹脂等が挙げられる。
上記アルデヒド系架橋剤としては、例えば、グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、マレインジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
上記アミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラアミン、イソフォロンジアミン、アミノ樹脂、ポリアミド等が挙げられる。
上記金属キレート系架橋剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセトアセチルエステル配位化合物等が挙げられる。
また、これらの架橋剤(B)は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤(B)の含有量としては、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、好ましくは1〜5重量部である。
かかる含有量が少なすぎるとアルコール等の極性溶媒に対する耐性が低下する傾向があり、多すぎるとエージングに時間がかかりすぎる傾向がある。
かくして、本発明のアクリル系樹脂組成物が得られる。
本発明のアクリル系樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、帯電防止剤、その他のアクリル系粘着剤、その他の粘着剤、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の粘着付与剤、着色剤、充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤を配合することができる。これら添加量は所望する物性が得られるように適宜設定すればよい。
本発明のアクリル系樹脂組成物は、コーティング剤として特に有用であり、支持基材上に塗工・加熱乾燥することによりコーティング層とすることができる。かかる支持基材がフィルムである場合には、コーティング層付きフィルムを得ることができる。得られたコーティング層付きフィルムには、必要に応じて、エージング処理を行なった後、使用することができる。
上記支持基材としては、例えば、アルミニウム、銅、鉄等の金属箔;ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂フィルムまたはシート、上質紙、グラシン紙等の紙、硝子繊維、天然繊維、合成繊維等から選択される単層体または複層体があげられる。かかる支持基材の厚みとしては、通常1〜500μmであり、好ましくは5〜100μmである。
上記アクリル系樹脂組成物の塗工に際しては、このアクリル系樹脂組成物を溶剤に希釈して塗布することが好ましく、希釈濃度としては、好ましくは5〜80重量%、特に好ましく15〜60重量%である。
また、上記溶剤としては、樹脂組成物を溶解させるものであればよく、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶剤を用いることができる。これらの中でも、相溶性に優れる点でメタノール、エタノール、プロパノールが好適に用いられる。
上記アクリル系樹脂組成物の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷、スピンコート等の方法があげられる。
塗工膜厚は、通常0.5〜25μm、好ましくは1〜15μmである。
上記加熱乾燥条件としては、例えば、50〜150℃(好ましくは60〜130℃)の温度で、1〜10分間(好ましくは1.5〜5分間)加熱する条件があげられる。
上記エージング処理は、アクリル系樹脂組成物からなる硬化塗膜(コーティング層)の物性バランス、特には耐溶剤性を向上させるために行なうもであり、温度は、通常室温(25℃±5℃)〜70℃、時間は通常1日〜30日であり、具体的には、例えば23℃で1日〜20日間、40℃で1日〜7日間等の条件で行なえばよい。
本発明のアクリル系樹脂組成物は特にコーティング剤として有用であり、中でもプラスチック、とりわけプラスチックフィルムのインク用アンダーコート剤や防曇用コート剤等の用途に好適に用いられるものである。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
<アクリル系樹脂(A)の製造例>
<アクリル系樹脂(A−1)の製造方法>
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、メタノール145部、重合開始剤として2,2’−アゾビス―2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)0.075部を仕込み、還流温度まで加熱し2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)(大阪有機社製;「2−HEA」)70部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(a1)(日本触媒社製;「HEMA」)25部、アクリル酸(大阪有機社製;「AAc」)(a3)5部、メタノール5部、ADVN0.025部の混合溶液を2時間にわたって滴下した。適宜メタノールとADVNを追加しながら還流温度で8時間反応後、4−メトキシフェノール(MEHQ)0.02部とメタノール29部で希釈してアクリル系樹脂(A−1)溶液(ガラス転移温度4.2℃、固形分濃度31.6%、粘度2500mPa・s(25℃))を得た。
<アクリル系樹脂(A−2)の製造方法>
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、メタノール170部、重合開始剤として2,2’−アゾビス―2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)0.075部を仕込み、還流温度まで加熱し2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)45部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(a1)50部、アクリル酸(a3)5部、メタノール5部、ADVN0.025部の混合溶液を2時間にわたって滴下した。適宜メタノールとADVNを追加しながら還流温度で8時間反応後、4−メトキシフェノール(MEHQ)0.02部とメタノール43.5部で希釈してアクリル系樹脂(A−2)溶液(ガラス転移温度21.0℃、固形分濃度28.9%、粘度1000mPa・s(25℃))を得た。
<アクリル系樹脂(A−3)の製造方法>
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、メタノール180部、重合開始剤として2,2’−アゾビス―2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)0.075部を仕込み、還流温度まで加熱し2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(a1)65部、アクリル酸(a3)5部、メタノール5部、ADVN0.025部の混合溶液を2時間にわたって滴下した。適宜メタノールとADVNを追加しながら還流温度で8時間反応後、4−メトキシフェノール(MEHQ)0.02部とメタノール25部で希釈してアクリル系樹脂(A−3)溶液(ガラス転移温度32.2℃、固形分濃度29.4%、粘度700mPa・s(25℃))を得た。
<アクリル系樹脂(A−4)の製造方法>
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、メタノール185部、重合開始剤として2,2’−アゾビス―2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)0.075部を仕込み、還流温度まで加熱し2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(a1)75部、アクリル酸(a3)5部、メタノール5部、ADVN0.025部の混合溶液を2時間にわたって滴下した。適宜メタノールとADVNを追加しながら還流温度で8時間反応後、4−メトキシフェノール(MEHQ)0.02部とメタノール25部で希釈してアクリル系樹脂(A−4)溶液(ガラス転移温度40.1℃、固形分濃度27.2%、粘度500mPa・s(25℃))を得た。
<アクリル系樹脂(A−5)の製造方法>
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、メタノール部125、重合開始剤として2,2’−アゾビス―2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)0.086部を仕込み、還流温度まで加熱しn−ブチルアクリレート(a2)20部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(a1)75部、アクリル酸(a3)5部の混合溶液を2時間にわたって滴下した。適宜メタノールとADVNを追加しながら還流温度で8時間反応後、4−メトキシフェノール(MEHQ)0.02部とメタノール110部で希釈してアクリル系樹脂(A−5)溶液(ガラス転移温度26.4℃、固形分濃度29.3.%、粘度3600mPa・s(25℃))を得た。
<アクリル系樹脂(A’−1)の製造方法>
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、メタノール145部、重合開始剤として2,2’−アゾビス―2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)0.075部を仕込み、還流温度まで加熱し2−ヒドロキシエチルアクリレート(a1)95部、アクリル酸(a3)5部、メタノール5部、ADVN0.025部の混合溶液を2時間にわたって滴下した。適宜メタノールとADVNを追加しながら還流温度で8時間反応後、4−メトキシフェノール(MEHQ)0.02部とメタノール29部で希釈してアクリル系樹脂(A’−1)溶液(ガラス転移温度−10.8℃、固形分濃度31.7%、粘度500mPa・s(25℃))を得た。
<アクリル系樹脂(A’−2)の製造方法>
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、メタノール170部、重合開始剤として2,2’−アゾビス―2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)0.075部を仕込み、還流温度まで加熱し2−ヒドロキシエチルメタクリレート(a1)95部、アクリル酸(a3)5部、メタノール5部、ADVN0.025部の混合溶液を2時間にわたって滴下した。適宜メタノールとADVNを追加しながら還流温度で8時間反応後、4−メトキシフェノール(MEHQ)0.02部とメタノール25部で希釈してアクリル系樹脂(A’−2)溶液(ガラス転移温度−57.2℃、固形分濃度31.7%、粘度500mPa・s(25℃))を得た。
Figure 0006425461
<架橋剤(B)>
架橋剤(B)として以下のものを用意した。
・(B−1)
1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(エポキシ系架橋剤:三菱ガス化学社製 「テトラッド−C」)
<実施例1〜5、比較例1〜3>
上記アクリル系樹脂(A)および架橋剤(B)を下記の表1に示す割合で配合し、メタノールを用いて固形分濃度を25〜35%に調整することによりアクリル系樹脂組成物溶液を調製した。
<評価>
上記実施例および比較例で得られたアクリル系樹脂組成物溶液を用いて、以下の評価を行った。これらの結果を下記の表2に併せて示した。
(コーティング層付きPETフィルムの作製)
38μmPETフィルム上に上記アクリル系樹脂組成物溶液を乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、80℃で3分間乾燥させることにより、コーティング層付きPETフィルムを得た。
[耐べたつき性]
上記コーティング層付きPETフィルムのコーティング面を指でさわり、指触タックを評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
○:タック感がない
△:タック感が少しある
×:タック感が強くある
[耐溶剤性]
上記コーティング層付きPETフィルムを40℃で1週間エージングを行った。
なお、タック感がある実施例1および比較例1のコーティング層には更に離型フィルム(東レ社製「SP01−38BU」)を貼合してエージングを行なった。
エージング終了後コーティング層付きPETフィルムを5cm×5cmに切り取り、トルエンおよびメタノールに23℃×50%RH環境下で24時間浸漬下し、その前後でのコーティング層の重量変化(不溶分)を測定することにより、耐溶剤性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
○:不溶分が90%以上
×:不溶分が90%未満
[耐カール性]
上記コーティング層付きPETフィルムを40℃で1週間エージングを行った。
なお、タック感がある実施例1および比較例1のコーティング層には更に離型フィルム(東レ社製「SP01−38BU」)を貼合してエージングを行なった。
エージング終了後、コーティング層付きPETフィルムを25mm×10mmに切りとり、80℃で1分間加熱した後、25℃で1分間静置した時のフィルムの4角の反り(mm)(ガラス板の上にフィルムをおき4角についてガラス表面からの距離を測定した。)の平均値を測定した。評価基準は以下のとおりである。
なお、離型フィルムがついているサンプルについては離型フィルムを剥がしてから加熱した。
(評価基準)
○:0mm(反りなし)
△:0mmより大きく1mm未満
×:1mm以上
Figure 0006425461
上記結果より、実施例1〜5のアクリル系樹脂組成物を用いて得られるコーティング層は、アクリル系樹脂のガラス転移温度が0〜45℃の範囲にあるためタックがなく、高温環境下における樹脂の弾性率変化が小さいために耐カール性に優れるものであり、更に水酸基モノマー60重量%以上重合してなるアクリル樹脂が架橋されているために、極性溶媒及び非極性溶媒の両方に対して耐溶剤性に優れるものである。
一方、アクリル系樹脂のガラス転移温度が0℃未満である比較例1のアクリル系樹脂組成物を用いて得られるコーティング層は、タックが強くべたつきがみられ、またアクリル系樹脂のガラス転移温度が45℃より大きい比較例2のアクリル系樹脂組成物を用いて得られるコーティング層は、耐カール性に劣るものであることがわかる。
また、架橋剤を使用しなかった比較例3のアクリル系樹脂組成物を用いて得られるコーティング層は、架橋構造を形成できず耐溶剤性に劣るものである。
本発明のアクリル系樹脂組成物、およびそれを用いてなるコーティング剤は、プラスチック、とりわけプラスチックフィルムのインク用アンダーコート剤や防曇用コート剤として有用である。

Claims (4)

  1. 水酸基含有モノマー(a1)を60重量%以上含有する重合成分を重合してなるアクリル系樹脂(A)、および
    架橋剤(B)を含有してなり、
    アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度が、0〜45℃であり、
    前記重合成分は、水酸基含有モノマー(a1)全体に対して2−ヒドロキシエチルメタクリレートを5重量%以上含有し、
    架橋剤(B)の含有量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部であることを特徴とするアクリル系樹脂組成物。
  2. 重合成分が、官能基含有モノマー(ただし、水酸基含有モノマー(a1)を除く。)を含有してなることを特徴とする請求項1記載のアクリル系樹脂組成物。
  3. 架橋剤(B)が、水酸基と反応しない架橋剤であることを特徴とする請求項1または2記載のアクリル系樹脂組成物。
  4. 請求項1〜いずれか記載のアクリル系樹脂組成物を用いてなることを特徴とするコーティング剤。
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