JP6425341B2 - ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6425341B2
JP6425341B2 JP2014264640A JP2014264640A JP6425341B2 JP 6425341 B2 JP6425341 B2 JP 6425341B2 JP 2014264640 A JP2014264640 A JP 2014264640A JP 2014264640 A JP2014264640 A JP 2014264640A JP 6425341 B2 JP6425341 B2 JP 6425341B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
polymerization
gel
absorbent resin
salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014264640A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016124901A (ja
Inventor
好希 片田
好希 片田
邦彦 石▲崎▼
邦彦 石▲崎▼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2014264640A priority Critical patent/JP6425341B2/ja
Publication of JP2016124901A publication Critical patent/JP2016124901A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6425341B2 publication Critical patent/JP6425341B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法に関する。更に詳しくは、重合反応はバッチ式で行い、重合後の後処理は連続式で行う、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法に関する。
吸水性樹脂(SAP/Super Absorbent Polymer)は、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であり、紙オムツや生理用ナプキン等の吸収性物品、農園芸用の保水剤、工業用の止水剤等、様々な分野で多用されている。
上記吸水性樹脂には、その原料として多くの単量体や親水性高分子が使用されているが、吸水性能の観点から、アクリル酸及び/又はその塩を単量体として用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂が、工業的に最も多く生産されている。
上記吸水性樹脂には、主用途である紙オムツの高性能化に伴い、様々な機能(高物性化)が求められている。具体的には、基本物性である無加圧下吸水倍率や加圧下吸水倍率の他に、ゲル強度、水可溶分、含水率、吸水速度、通液性、粒度分布、耐尿性、抗菌性、耐ダメージ性、粉体流動性、消臭性、耐着色性、低粉塵、低残存モノマー等の様々な物性が吸水性樹脂に対して要求されている。更に、上述の物性向上に加えて、上記物性の安定化や生産性の向上も要求されている。
上記の要求は、大規模な生産において、より顕著であり、より重要度が増している。つまり、吸水性樹脂の世界的な規模での需要増加に伴い、生産量の増加に加え、安定的な連続操業や高物性の維持が強く望まれている。
そこで、これまで数多くの改良技術が提案されてきた。具体的には、連続式の生産では、規格を外れた吸水性樹脂を除去した後、別の工程に再混合する技術(特許文献1)、吸水性樹脂の製造プロセスにおける輸送や貯蔵での設備改良や条件変更によって、吸水性樹脂の物性低下を防止する技術(特許文献2、3)、重合を二系列で行い、重合以降の工程を一系列とする技術(特許文献4)、重合を一系列で行い、重合以降の工程を二系列とする技術(特許文献5)が開示されている。また、バッチ式の生産では、1つの重合機で、重合と排出を交互に行う特殊な装置が開示されている(特許文献6)。また、重合をバッチ式で行った後、以降の操作を連続式で行う技術として、バッチ式重合と連続式乾燥とをならし装置を介して連結する技術(特許文献7)や、乾燥機に投入された含水ゲルをイブナローラーでならし、更に含水ゲルの厚みを検知して乾燥条件を制御する技術(特許文献8)が開示されている。
米国特許出願公開第2004/0110006号明細書 米国特許出願公開第2003/0020199号明細書 米国特許出願公開第2001/0011123号明細書 米国特許出願公開第2008/0227932号明細書 米国特許出願公開第2011/0006140号明細書 特開平5−57181号公報 特開平10−59534号公報 特開平8−73518号公報
上述した改良技術や、重合反応装置1基当たりの生産量を多くするため、重合反応装置のサイズを大きくするといった技術では、得られる吸水性樹脂の物性向上や安定化が困難であり、物性の僅かなバラつきが最終製品(例えば、紙オムツ等)での性能低下や消費者からの苦情を引き起こすことがあった。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は高物性の吸水性樹脂を高生産性で安定的に製造することができる、吸水性樹脂の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、吸水性樹脂の重合形態がバッチ式であれば、連続式の重合形態に対して高物性の吸水性樹脂が得られるものの、生産量を上げるためにバッチ式の重合反応装置のサイズを大きくすると、ロット間で、物性の変動が大きくなったり吸水性樹脂が着色したりする問題が発生することが判明した。
そこで、バッチ式の重合反応装置のサイズは変えずに複数の重合反応装置を時間をずらして稼働させ、重合以降の工程を連続式とすることで、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法は、アクリル酸(塩)を主成分とする単量体水溶液を重合する重合工程、及び、重合工程以後で、かつ、少なくとも乾燥工程及び表面架橋工程が実施される後処理工程を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、上記重合工程が複数の重合反応装置からなり、該複数の重合反応装置において、該重合反応装置ごとに重合開始時期を変えて、バッチ式重合反応を行い、かつ、上記バッチ式重合反応で得られた含水ゲル状架橋重合体を、上記後処理工程に含まれる少なくとも1つの工程において、同一の後処理装置で連続的に処理する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法である。
本発明の方法によると、高物性の吸水性樹脂を高生産性で安定的に製造することができる。特に大規模スケールにおいて、吸水性樹脂の製造工程全体として連続生産する場合、顕著に生じる物性の変動を少なくすることができる。
図1は、本願の実施形態を示すプロセス概略図である。 図2は、本願の別の実施形態(後処理工程の一部も複数系列)を示すプロセス概略図である。 図3は、本願の別の実施形態(重合工程後、一旦一系列となり、その後の後処理工程は複数系列)を示すプロセス概略図である。 図4は、本願の好ましい実施形態を示すタイムチャートである。 図5は、本願の実施形態の一具体例である。 図6は、本願の実施形態の別の具体例である。 図7は、本願の実施形態の別の具体例である。
以下、本発明について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下に例示する以外にも、本発明の趣旨を損なわない範囲内で適宜変更して、実施することが可能である。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。複数の実施形態についてそれぞれ開示された技術的手段を、適宜組み合わせて得られる他の実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
〔1〕用語の定義
(1−1)「吸水性樹脂」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を指し、下記の物性を満たすものをいう。即ち、水膨潤性としてERT441.2−02で規定されるCRC(遠心分離機保持容量)が5g/g以上であり、かつ、水不溶性としてERT470.2−02で規定されるExt(水可溶分)が50重量%以下である高分子ゲル化剤を指す。
上記吸水性樹脂は、その用途・目的に応じた設計が可能であり、特に限定されないが、カルボキシル基を有する不飽和単量体を架橋重合させた親水性架橋重合体であることが好ましい。また、全量が架橋重合体である形態に限定されず、上記の各物性(CRC、Ext)が上記数値範囲を満たす限り、添加剤等を含んだ組成物であってもよい。
本発明における「吸水性樹脂」は、出荷前の最終製品に限らず、吸水性樹脂の製造工程における中間体(例えば、重合後の含水ゲル状架橋重合体、乾燥後の乾燥重合体、粉砕後の粉砕重合体、表面架橋前の吸水性樹脂粉末等)を指す場合もある。これら全てを包括して「吸水性樹脂」と総称する。なお、該吸水性樹脂の形状として、シート状、繊維状、フィルム状、粒子状、ゲル状等が挙げられるが、本発明では粒子状の吸水性樹脂が好ましい。
(1−2)「ポリアクリル酸(塩)」
本発明における「ポリアクリル酸(塩)」とは、ポリアクリル酸及び/又はその塩を指し、主成分としてアクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を繰り返し単位として含み、任意成分としてグラフト成分を含む架橋重合体を意味する。
上記「主成分」とは、アクリル酸(塩)の使用量(含有量)が、重合に用いられる単量体(内部架橋剤を除く)全体に対して、好ましくは50〜100モル%、より好ましくは70〜100モル%、更に好ましくは90〜100モル%、特に好ましくは実質100モル%であることを意味する。
架橋重合体としての「ポリアクリル酸塩」は、ポリアクリル酸の水溶性塩を含み、好ましくは一価の塩、より好ましくはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、更に好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩を含む。
(1−3)「EDANA」及び「ERT」
「EDANA」は、欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は、欧州標準(ほぼ世界標準)の吸水性樹脂の測定法(EDANA Recommended Test Methods)の略称である。本発明では、特に断りのない限り、ERT原本(2002年改定)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
(a)「CRC」(ERT441.2−02)
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(「吸水倍率」と称する場合もある)を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.2gを不織布製の袋に入れた後、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液中に30分間浸漬して自由膨潤させ、その後、遠心分離機(250G)で3分間、水切りした後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
(b)「AAP」(ERT442.2−02)
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、吸水性樹脂の加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、吸水性樹脂0.9gを大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して、1時間、2.06kPa(21g/cm、0.3psi)の荷重下で膨潤させた後の吸水倍率(単位;g/g)のことをいう。
なお、ERT442.2−02には、Absorption Under Pressureと表記されているが、実質的にはAAPを同一内容である。また、荷重条件を4.83kPa(49g/cm、0.7psi)に変更して測定する場合もある。
(c)「Ext」(ERT470.2−02)
「Ext」は、Extractablesの略称であり、吸水性樹脂の水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、吸水性樹脂1.0gを0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに添加し、500rpmで16時間攪拌した後、水溶液に溶解した物質の量(単位;重量%)のことをいう。水可溶分の測定には、pH滴定が用いられる。
(1−4)その他
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上、Y以下」を意味する。また、特に注釈のない限り、重量の単位である「t(トン)」は「Metric ton(メトリック トン)」を意味し、「ppm」は「重量ppm」又は「質量ppm」を意味する。
また、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」をそれぞれ意味する。
〔2〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法
以下、本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法について、説明する。
(2−1)単量体水溶液の調製工程
本工程は、アクリル酸(塩)を主成分として含む水溶液(以下、「単量体水溶液」と称する)を調製する工程である。なお、該「主成分」とは、アクリル酸(塩)の含有量(使用量)が、吸水性樹脂の重合反応に供される単量体(内部架橋剤は除く)全体に対して、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上(上限は100モル%)であることをいう。また、得られる吸水性樹脂の吸水性能を低下させない範囲内で、単量体のスラリー液を使用することもできるが、便宜上、単量体水溶液について説明を行う。
(アクリル酸(塩))
本発明では、得られる吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、単量体としてアクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)が用いられる。該「アクリル酸」としては、重合禁止剤や不純物等の微量成分が含有する公知のアクリル酸を使用することができる。
上記重合禁止剤としては特に限定されないが、好ましくはフェノール類、より好ましくはメトキシフェノール類、更に好ましくはp−メトキシフェノール類が挙げられる。重合禁止剤のアクリル酸中での濃度は、アクリル酸の重合性や吸水性樹脂の色調の観点から、好ましくは200ppm以下、より好ましくは10〜160ppm、更に好ましくは20〜100ppmである。
上記不純物としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0161512号に記載された物質が挙げられる。
また、上記「アクリル酸塩」は、上述したアクリル酸を下記の塩基性組成物で中和したものであるが、該アクリル酸塩として、市販のアクリル酸塩(例えば、アクリル酸ナトリウム)でもよいし、吸水性樹脂の製造プラント内でアクリル酸を中和処理して得られたものでもよい。
(塩基性組成物)
本発明において「塩基性組成物」とは、塩基性化合物を含有する組成物を指し、例えば、市販の水酸化ナトリウム水溶液等が該当する。
上記塩基性化合物として、具体的には、アルカリ金属の炭酸塩や炭酸水素塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。中でも、得られる吸水性樹脂の物性の観点から、強塩基性であることが好ましい。即ち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物がより好ましく、水酸化ナトリウムが更に好ましい。
(中和)
本発明では、アクリル酸塩を得るため、アクリル酸を塩基性組成物で中和することもできる。なお、該中和は、アクリル酸に対する中和(重合前)又はアクリル酸を架橋重合して得られる含水ゲル状架橋重合体に対する中和(重合後)(以下、「後中和」と称する)の何れか一方を選択してもよいし、又は併用することもできる。
上記中和は、連続式でもバッチ式でもよく、何れも採用することができるが、生産効率等の観点から好ましくは連続式である。なお、中和を行う装置、中和温度、滞留時間等の条件については、国際公開第2009/123197号や米国特許出願公開第2008/0194863号に記載された条件が本発明にも適用される。
本発明での中和率は、単量体の酸基に対して、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは40〜85モル%、更に好ましくは50〜80モル%、特に好ましくは60〜75モル%である。
上記中和率が10モル%未満の場合、吸水倍率が著しく低下することがあるため、好ましくない。一方、上記中和率が90モル%を超える場合、加圧下吸水倍率の高い吸水性樹脂が得られないことがあるため、好ましくない。
なお、上記中和率は、後中和の場合でも同様である。また、最終製品としての吸水性樹脂の中和率についても、上記の中和率が適用される。
(他の単量体)
本発明では、「他の単量体」として米国特許出願公開第2005/0215734号に記載された化合物(但し、アクリル酸は除く)を、上記アクリル酸(塩)と併用して吸水性樹脂を製造してもよい。なお、本発明に係る製造方法で得られる吸水性樹脂には、親水性又は疎水性の不飽和単量体を共重合成分とする吸水性樹脂も含まれる。
(内部架橋剤)
本発明で使用される内部架橋剤として、米国特許第6241928号に記載された化合物が本発明にも適用される。これらの中から反応性を考慮して1種又は2種以上の化合物が選択される。
また、得られる吸水性樹脂の吸水性能等の観点から、好ましくは重合性不飽和基を2個以上有する化合物、より好ましくは下記乾燥温度で熱分解性を有する化合物、更に好ましくは(ポリ)アルキレングリコール構造単位を有する重合性不飽和基を2個以上する化合物が、内部架橋剤として用いられる。
上記重合性不飽和基として、好ましくはアリル基、(メタ)アクリレート基、より好ましくは(メタ)アクリレート基が挙げられる。また、上記(ポリ)アルキレングリコール構造単位としてポリエチレングリコールが好ましく、n数として好ましくは1〜100、より好ましくは6〜50である。
したがって、本発明では、好ましくは(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート又は(ポリ)アルキレングリコールトリ(メタ)アクリレート、より好ましくは(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが用いられる。
上記内部架橋剤の使用量は、単量体全体に対して、好ましくは0.005〜2モル%、より好ましくは0.01〜1モル%、更に好ましくは0.05〜0.5モル%である。該使用量を上記範囲内とすることで所望する吸水性樹脂が得られる。なお、該使用量が少なすぎる場合、ゲル強度が低下し水可溶分が増加する傾向にあり、該使用量が多すぎる場合、吸水倍率が低下する傾向にあるため、好ましくない。
本発明では、所定量の内部架橋剤を予め単量体水溶液に添加しておき、重合と同時に架橋反応する方法が好ましく適用される。一方、該手法以外に、重合中や重合後に内部架橋剤を添加して後架橋する方法や、ラジカル重合開始剤を用いてラジカル架橋する方法、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いた放射線架橋する方法等を採用することもできる。また、これらの方法を併用することもできる。
(その他、単量体水溶液に添加される物質)
本発明において、得られる吸水性樹脂の物性向上の観点から、下記の物質を単量体水溶液の調製時に添加することもできる。
具体的には、澱粉、澱粉誘導体、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性又は吸水性の高分子を、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下(下限は0重量%)で添加したり、炭酸塩、アゾ化合物、気泡等の発泡剤、界面活性剤、キレート剤、連鎖移動剤等を、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下(下限は0重量%)で添加したりすることができる。
また、上記の物質は、単量体水溶液に添加される形態のみならず、重合途中で添加される形態でもよく、これらの形態を併用してもよい。
なお、親水性高分子として水溶性樹脂又は吸水性樹脂を使用する場合には、グラフト重合体又は吸水性樹脂組成物(例えば、澱粉−アクリル酸重合体、PVA−アクリル酸重合体等)が得られる。これらの重合体や吸水性樹脂組成物も、本発明の範疇である。
(単量体成分の濃度)
本発明において、単量体水溶液を調製する際に、上述した各物質を添加してもよい。該単量体水溶液中の単量体成分の濃度(以下、「モノマー濃度」と称する場合がある)としては特に限定されないが、吸水性樹脂の物性及び生産性の観点から、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜75重量%、更に好ましくは30〜70重量%である。
また、重合形態として、水溶液重合又は逆相懸濁重合を採用する場合、水以外の溶媒を必要に応じて併用することもできる。この場合、使用される溶媒の種類は特に限定されない。
なお、上記「単量体成分の濃度」とは、下記式(1)で求められる値であり、単量体水溶液の重量には、グラフト成分や吸水性樹脂、逆相懸濁重合における疎水性溶媒の重量は含まれない。
Figure 0006425341
(2−2)重合工程
本工程は、上記単量体水溶液の調製工程で得られたアクリル酸(塩)系単量体水溶液を重合させて、含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)を得る工程である。
(重合開始剤)
本発明で使用される重合開始剤は、重合形態等によって適宜選択されるため、特に限定されないが、例えば、熱分解性ラジカル重合開始剤、光分解性ラジカル重合開始剤、又はこれらの重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤等が挙げられる。具体的には、米国特許第7265190号に記載された重合開始剤のうち、1種又は2種以上の化合物が用いられる。なお、重合開始剤の取扱性や吸水性樹脂の物性の観点から、好ましくは過酸化物又はアゾ化合物、より好ましくは過酸化物、更に好ましくは過硫酸塩が用いられる。
上記重合開始剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.0001〜1モル%、より好ましくは0.001〜0.5モル%である。また、上記還元剤の使用量は、単量体に対して、好ましくは0.0001〜0.02モル%である。重合開始剤や還元剤の使用量を上記範囲内とすることで、所望する吸水性樹脂が得られる。
なお、上記重合開始剤に代えて、放射線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を照射して重合反応を実施してもよく、これらの活性エネルギー線と重合開始剤を併用してもよい。
(重合形態)
本発明では、容量の小さい重合反応装置を複数系列でバッチ式で使用することによって、高物性の吸水性樹脂を高い生産量で製造することができる。
バッチ式重合は、連続式重合で見られる重合率の異なる含水ゲルが混ざり合うことがなく、その結果として物性低下が少なく、複数系列で使用することによって、生産量を増加することができるため、好ましい。
一方、バッチ式重合であっても、重合反応装置ごとや重合反応ごとに、重合状態のバラつきが生じる可能性があるが、本発明の効果を損なわない程度に、重合条件を、重合反応装置ごとや重合反応ごとに監視して変更することもできる。なお、複数系列のバッチ式重合を同一条件で行うことが好ましい。
本発明における上記複数系列としては、吸水性樹脂の製造設備全体として1系列あたり、重合工程が好ましくは2〜4系列、より好ましくは2系列または3系列、更に好ましくは2系列である。
本発明で適用されるバッチ式の重合形態としては、特に限定されないが、例えば、バルク重合、沈殿重合、水溶液重合、逆相懸濁重合、気相噴霧・液滴重合等が挙げられる。中でも、吸水性樹脂の吸水性能や重合制御の容易性等の観点から、単量体を水溶液として用いる水溶液重合(ニーダー重合、静置重合)や逆相懸濁重合が好ましい。
本発明における重合時の最高温度としては、高物性、特に水可溶分の少ない吸水性樹脂を得るという観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下、特に好ましくは70℃以下である。下限値としては、冷却コストや重合時間が過度に長時間になるのを防止するという観点から、好ましくは50℃以上である。
また、本発明では、得られる吸水性樹脂の色調の観点から、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で重合を実施することが好ましく、酸素濃度を1容積%以下の雰囲気下に制御することがより好ましい。更にこの場合、単量体又は単量体水溶液中の溶存酸素を不活性ガスで十分に置換(例えば、溶存酸素濃度を1(mg/l)未満)しておくことも望まれる。なお、上記不活性ガス等の気泡を単量体水溶液に分散させて重合を行う発泡重合とすることもできる。
本発明において、重合後に得られる含水ゲルの重合率は、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは98モル%以上、特に好ましくは99モル%以上である。上限として好ましくは99.99モル%以下、より好ましくは99.9モル%以下、更に好ましくは99.8モル%以下である。当該重合率が90モル%未満の場合、吸水性樹脂中の残存単量体が多く、一方、重合率が99.99モル%を超える場合、必要以上の重合時間を要し生産性が低下するため、好ましくない。更に場合により、乾燥後の吸水性樹脂の物性(吸水倍率と可溶分の関係)が低下する。
本発明では、過度に重合を進行させる必要はなく、後述の乾燥工程、特に熱風乾燥工程において残存モノマーを低減させることが可能であり、結果として生産性を向上させることができる。
(複数系列の重合反応装置の運用方法)
本発明では、重合工程が複数系列のバッチ式重合反応装置からなり、該複数系列の重合反応装置において、該系列ごとに重合開始時期を変えて、バッチ式重合反応を行う。以下、具体例を挙げて説明する。
例えば、2基の重合反応装置(A、B)を用いる場合、図4のタイムチャートに示したように、先ず、重合反応装置(A)から重合反応を開始する。続いて、重合反応装置(A)での重合反応が終了し、得られた含水ゲルを次工程に移送するため、重合反応装置(A)から含水ゲルが排出される。該排出と同時に、重合反応装置(B)で原材料の投入を開始し、重合反応を行う。以下、重合反応装置(A)と(B)とで交互に重合反応を実施する。
重合反応装置(A)で重合反応を開始してから重合反応装置(B)での重合反応を開始させるまでの時間としては、重合反応器(A)で製造された含水ゲルが次工程で処理され、次工程を実施する装置から含水ゲルが排出されて該装置がほぼ空になったときに、重合反応装置(B)の含水ゲルが該装置に投入できるような間隔が好ましい。なお、再び重合反応装置(A)が重合を開始するまでの間隔についても同様である。
上記間隔として具体的には、重合方法にもよるが、好ましくは10分〜10時間、より好ましくは20分〜5時間、更に好ましくは30分〜3時間である。
(重合反応装置)
本発明において使用される重合反応装置としては、閉鎖系において重合条件を一定に保ちながら重合することができる装置であれば特に限定されないが、例えば、タンク式反応装置、撹拌翼付き反応装置、又はニーダー反応装置が挙げられる。
上記タンク式反応装置としては、単量体水溶液の投入口及び含水ゲルの排出口が少なくとも1つ有すればよいが、上記特許文献6に記載されるように、タンク式反応装置の内部に仕切りを設けて、両側に単量体水溶液の投入口及び含水ゲルの排出口を1組ずつ配してなる構造がより好ましい。
上記重合反応装置は、機器のメンテナンス頻度の削減や性能維持を図る観点から、その内壁面が耐腐食性(耐酸性、耐アルカリ性)の材質で構成されていることが好ましい。該耐腐食性の材質としては、例えば、グラスライニング鋼、ステンレス鋼、又は樹脂ライニング鋼が挙げられる。
更に、重合反応装置の内壁面が付着防止性を有していることも重要である。つまり、バッチ式重合ごとに、含水ゲルの保持−排出が繰り返されるためである。したがって、重合反応装置の内壁面は、平滑性が高く、耐付着性に優れた材質であることが好ましい。例えば、電解研磨等によって内壁面が研磨されているか、又はテフロン(登録商標)コーティングされていることが好ましい。
(2−3)後処理工程
本発明における「後処理工程」とは、重合工程以後で、かつ、少なくとも乾燥工程及び表面架橋工程が実施される複数の工程を総称するものである。具体的には、後述の(2−3−1)〜(2−3−9)に掲げた工程をひとまとめにした総称である。なお、重合工程がニーダー重合に代表されるように、重合とゲル粉砕が同時に行われる場合には、ゲル粉砕工程は後処理工程には含まれない。
また、本発明は、複数系列の生成物を後処理工程の少なくとも1つの工程で、同一の装置で後処理すればよく、後処理工程に含まれるすべての工程について、同一の装置で後処理する必要はない。
上記「複数系列の生成物」とは、複数系列の重合工程で得られる含水ゲルに限らず、重合工程に続いて複数系列に分離したゲル粉砕工程で得られる粒子状含水ゲルや、重合工程に続いて複数系列に分離した乾燥工程で得られる乾燥重合体も該当する。つまり、上記「複数系列の生成物」は、重合工程に続いて複数系列に分離した工程で得られる生成物が該当する。
また、上記「同一の装置」とは、装置の数が単数の1系列のみの形態に限らず、複数系列の場合であってもよい。「同一の装置」が複数系列である場合、該工程の前に、複数系列の生成物を1系列にし、その後、複数系列に再分配して後処理される。
上記後処理工程として、粉砕工程、分級工程、添加剤の添加工程の少なくとも1つ以上の工程を更に含み、上記複数系列の生成物を、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、表面架橋工程、及び添加剤の添加工程から選ばれる少なくとも1つ以上の工程において、同一の後処理装置で連続的に処理することが好ましい。
より好ましくは、上記複数系列の生成物を、乾燥工程、表面架橋工程から選ばれる少なくとも1つの工程において、同一の後処理装置で連続的に処理する。更に好ましくは、上記複数系列の生成物を、乾燥工程において、同一の乾燥装置で連続的に乾燥する。
なお、後処理工程にゲル粉砕工程を含む場合、上記複数系列の生成物を、ゲル粉砕工程において、同一のゲル粉砕装置で連続的にゲル粉砕するのも好ましい形態である。
(2−3−1)ゲル粉砕工程
本工程は、上記重合工程で得られた含水ゲルをニーダー、ミートチョッパー等のスクリュー押出し機、カッターミル等のゲル粉砕機でゲル粉砕し、粒子状の含水ゲル(以下、「粒子状含水ゲル」と称する)を得る工程である。なお、上記重合工程がニーダー重合の場合、重合工程とゲル粉砕工程が同時に実施されていることになり、この場合、本発明の後処理工程に含まれない。また、重合工程が逆相懸濁重合等、粒子状含水ゲルが重合過程で直接得られる場合には、該ゲル粉砕工程が実施されないこともある。
本発明では、ゲル粉砕工程において、単にゲル粉砕を行うのみならず、下記の添加剤を必要に応じて混合することもできる。該添加剤としては、乾燥工程での生産性向上を目的に、界面活性剤、粉体の滑剤及び吸水性樹脂微粉から選ばれる少なくとも1つ以上の添加剤が挙げられる。また、残存モノマーの低減や吸水物性の向上を目的に、塩基性組成物、架橋剤、酸化剤及び還元剤から選ばれる少なくとも1つ以上の添加剤が挙げられる。中でも、吸水性樹脂の着色防止、劣化防止、残存モノマー低減を目的とする添加剤として、「(2−3−5)添加剤の添加工程」で記載した無機還元剤が好ましく使用される。また、添加剤が塩基性組成物の場合、上述した後中和に該当する。
本工程で得られる粒子状含水ゲルのD50(重量平均粒子径)や上記添加剤の添加量を制御する際の容易性の観点から、複数系列のバッチ式重合反応で得られた含水ゲルを、ゲル粉砕工程において、同一のゲル粉砕装置で連続的に処理することが好ましい。
上記粒子状含水ゲルのD50(重量平均粒子径)や添加量の制御は、粒子状含水ゲルの測定で行うこともできるが、上記ゲル粉砕装置の動力を監視することでも制御することができる。なお、ゲル粉砕装置の動力を監視する場合、ゲル粉砕装置の動力の時間変動が時間平均値の0.5〜2.0倍であることが好ましい。当該範囲内とすることで、製品としての吸水性樹脂の物性のバラつきを抑制することができる。
なお、上記以外のゲル粉砕条件や形態については、国際公開第2011/126079号に記載される内容が、本発明にも適用される。
上述したゲル粉砕によって得られる粒子状含水ゲルのD50(重量平均粒子径)は、好ましくは4000μm以下、より好ましくは2000μm以下、更に好ましくは1000μm以下である。
上記D50(重量平均粒子径)を上記範囲内とすることで、得られる吸水性樹脂の表面積が大きくなり、残存モノマー(特にアクリル酸)が揮発しやすくなるため、残存モノマーの低減を図ることができる。
(2−3−2)乾燥工程
本工程は、上記重合工程及び/又はゲル粉砕工程で得られた粒子状含水ゲルを所定の固形分まで乾燥させて「乾燥重合体」を得る工程である。なお、乾燥後の固形分は、乾燥減量(吸水性樹脂1gを180℃で3時間加熱した際の重量変化)から求められる値であり、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85〜99重量%、更に好ましくは90〜98重量%、特に好ましくは92〜97重量%である。
本工程において、採用される乾燥方法としては、特に限定されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、流動層乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸脱水による乾燥、高温の水蒸気を利用した高湿乾燥等が挙げられる。中でも乾燥効率の観点から、熱風乾燥が好ましく、通気ベルト上で熱風乾燥を行うバンド乾燥がより好ましい。
本工程における乾燥温度(熱風乾燥の場合は熱風の温度で規定)としては、得られる吸水性樹脂の色調や乾燥効率の観点から、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜250℃、更に好ましくは150〜200℃である。また、乾燥時間としては、所望する吸水性樹脂の物性に応じて適宜決定されるが、好ましくは1分〜10時間、より好ましくは5分〜3時間、更に好ましくは10分〜1時間である。更に、熱風乾燥の場合、熱風の風速としては、好ましくは3.0m/s以下、より好ましくは0.5〜2.0m/s以下である。なお、その他の乾燥条件については、乾燥を行う粒子状含水ゲルの含水率や総重量、目的とする固形分等に応じて、適宜設定すればよい。
上記乾燥の諸条件を上記範囲内に制御することで、乾燥重合体の物性にムラが生じにくく、固形分を所定の範囲に制御することができ、更に得られる吸水性樹脂の色調悪化や吸水性能の低下を抑えることができる。なお、バンド乾燥を行う場合、国際公開第2006/100300号、同第2011/025012号、同第2011/025013号、同第2011/111657号等に記載される諸条件が適宜適用される。
本工程で得られる乾燥重合体又は下記吸水性樹脂粉末のCRC(遠心分離機保持容量)、Ext(水可溶分)、色調等の安定化の観点から、複数系列のバッチ式重合反応で得られた含水ゲルを、乾燥工程において、同一の乾燥装置で連続的に処理することが好ましい。
また、上記含水ゲルが上記バッチ式重合反応装置から排出された時点を起点として上記乾燥装置への供給が完了するまでの時間で規定されるゲル滞留時間が、上記バッチ式重合反応装置内での滞留時間より短いことが好ましい。
従来、バッチ式の重合工程と連続式の乾燥工程とを連結させるため、重合反応で得られた含水ゲルは順次乾燥工程に移送され乾燥されていくが、重合反応装置が空になるまで、次の重合操作に入れず、生産性を上げることができなかった。換言すれば、重合反応で得られた含水ゲルを乾燥工程での処理が終わるまでそのまま重合反応装置に滞留させておく必要があった。即ち、従来では、本発明で規定する上記ゲル滞留時間に相当する時間が、重合反応装置内での滞留時間より長時間であった。
(2−3−3)粉砕工程、分級工程
本工程は、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体を粉砕(粉砕工程)し、所定範囲の粒度に調整(分級工程)して、吸水性樹脂粉末(表面架橋を施す前の、粉末状の吸水性樹脂を便宜上「吸水性樹脂粉末」と称する)を得る工程である。
本発明の粉砕工程で使用される機器としては、特に限定されないが、例えば、ロールミル、ハンマーミル、スクリューミル、ピンミル等の高速回転式粉砕機、振動ミル、ナックルタイプ粉砕機、円筒型ミキサー等が挙げられ、必要により併用される。
また、本発明の分級工程での粒度調整方法としては、特に限定されないが、例えば、JIS標準篩(JIS Z8801−1(2000))を用いた篩分級や気流分級等が挙げられる。なお、吸水性樹脂の粒度調整は、上記粉砕工程、分級工程に限定されず、重合工程(特に逆相懸濁重合や噴霧重合、液滴重合)や、その他の工程(例えば、造粒工程、微粉回収工程等)で適宜実施することができる。
(吸水性樹脂粉末の物性)
(粒度)
本工程で得られる吸水性樹脂粉末は、D50(重量平均粒子径)として、好ましくは200〜600μm、より好ましくは200〜550μm、更に好ましくは250〜500μm、特に好ましくは350〜450μmである。また、粒子径が150μm未満の粒子の割合は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、粒子径が850μm以上の粒子の割合は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。なお、これらの粒子の割合の下限値としては、何れの場合も少ないほど好ましく、0重量%が望まれるが、0.1重量%程度であってもよい。更に、σζ(粒度分布の対数標準偏差)は、好ましくは0.20〜0.50、より好ましくは0.25〜0.40、更に好ましくは0.27〜0.35である。なお、これらの粒度は、米国特許第7638570号やERT420.2−02に記載されている測定方法に準じて、標準篩を用いて測定される。
上記粒度は、表面架橋後の吸水性樹脂(以下、便宜上「吸水性樹脂粒子」と称する)のみならず、最終製品としての吸水性樹脂についても適用される。そのため、上記範囲の粒度を維持するように、表面架橋されることが好ましく、表面架橋工程以降に整粒工程を設けて粒度調整されることがより好ましい。
本工程で得られる吸水性樹脂粉末のCRC(遠心分離機保持容量)、Ext(水可溶分)、色調等の安定化の観点から、複数系列のバッチ式重合反応で得られた含水ゲルを、粉砕工程及び/又は分級工程において、同一の粉砕装置及び/又は分級装置で連続的に処理することが好ましい。
(2−3−4)表面架橋工程
本工程は、上述した工程を経て得られる吸水性樹脂粉末の表面層(吸水性樹脂粉末の表面から数10μmの部分)に、更に架橋密度の高い部分を設ける工程であり、以下の混合工程、加熱処理工程及び冷却工程(任意)から構成される。
なお、逆相懸濁重合や気相重合、噴霧重合、液滴重合のように、重合時に粒度制御がなされている場合には、表面架橋工程の前の粉砕工程や分級工程は不要であり、上記加熱処理工程を乾燥工程と同時に行ってもよい。
また、上記表面架橋工程において、吸水性樹脂粉末表面でのラジカル架橋や表面重合、表面架橋剤との架橋反応等により表面架橋された吸水性樹脂(吸水性樹脂粒子)が得られる。
本工程で得られる吸水性樹脂粒子の物性、特に下記〔3〕に掲げた各物性の安定化の観点から、複数系列のバッチ式重合反応で得られた生成物を、表面架橋工程において、同一の混合装置及び/又は加熱処理装置で連続的に処理することが好ましい。
(表面架橋剤)
本発明で使用される表面架橋剤としては、特に限定されないが、有機又は無機の表面架橋剤が挙げられる。中でも、吸水性樹脂の物性や表面架橋剤の取扱性の観点から、カルボキシル基と反応する有機表面架橋剤が好ましい。例えば、米国特許第7183456号に記載される1種又は2種以上の表面架橋剤が挙げられる。より具体的には、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、ハロエポキシ化合物、多価アミン化合物又はそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物、オキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物、環状尿素化合物等が挙げられる。
上記表面架橋剤の使用量(複数使用の場合は合計使用量)は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部である。また、該表面架橋剤は水溶液として添加することが好ましく、この場合、水の使用量は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。更に必要に応じて、親水性有機溶媒を使用する場合、その使用量は、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。
また、後述の「添加剤の添加工程」で添加される各添加剤をそれぞれ5重量部以下の範囲内で該表面架橋剤(水溶液)に混合して添加したり、別途、混合工程で添加したりすることもできる。
(混合工程)
本工程は、吸水性樹脂粉末と上記表面架橋剤とを混合する工程である。該表面架橋剤の混合方法については、特に限定されないが、予め表面架橋剤溶液を作成しておき、該溶液を吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは噴霧又は滴下して、より好ましくは噴霧して混合する方法が挙げられる。
上記混合を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくは高速撹拌型混合機、より好ましくは高速撹拌型連続混合機が挙げられる。
(加熱処理工程)
本工程は、上記混合工程から排出された混合物に熱を加えて、吸水性樹脂粉末の表面上で架橋反応を起させる工程である。
上記架橋反応を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくはパドルドライヤーが挙げられる。該架橋反応での反応温度は、使用される表面架橋剤の種類に応じて適宜設定されるが、好ましくは50〜300℃、より好ましくは100〜220℃である。
(冷却工程)
本工程は、上記加熱処理工程後に必要に応じて設置される任意の工程である。
上記冷却を行う装置としては、特に限定されないが、好ましくは加熱処理工程で使用される装置と同一仕様の装置であり、より好ましくはパドルドライヤーである。熱媒を冷媒に変更することで、冷却装置として使用できるためである。なお、上記加熱処理工程で得られた吸水性樹脂粒子は、該冷却工程において、好ましくは40〜80℃、より好ましくは50〜70℃に、必要に応じて強制冷却される。
(2−3−5)添加剤の添加工程
本工程は、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂粒子に、下記の多価金属塩、カチオン性ポリマー、キレート剤、無機還元剤、α−ヒドロキシカルボン酸化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を添加する工程である。
上記添加剤は、水溶液又はスラリー液で添加されるため、吸水性樹脂粒子は再度、水膨潤する。このため、本工程を「再加湿工程」と称する場合もある。また、上述したように、該添加剤は上記表面架橋剤(水溶液)と同時に、吸水性樹脂粉末と混合することもできる。
(多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマー)
本発明において、得られる吸水性樹脂の吸水速度、通液性、吸湿流動性等の観点から、多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマーを添加することが好ましい。
上記多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマーとして、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔7〕多価金属塩及び/又はカチオン性ポリマー」に記載された化合物及びその使用量が、本発明に適用される。
(キレート剤)
本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)、劣化防止等の観点から、キレート剤を添加することが好ましい。
上記キレート剤として、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔2〕キレート剤」に記載された化合物及びその使用量が、本発明に適用される。
(無機還元剤)
本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)、劣化防止、残存モノマー低減等の観点から、無機還元剤を添加することが好ましい。
上記無機還元剤として、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔3〕無機還元剤」に記載された化合物及びその使用量が、本発明に適用される。
(α−ヒドロキシカルボン酸化合物)
本発明において、得られる吸水性樹脂の色調(着色防止)等の観点から、α−ヒドロキシカルボン酸化合物を添加することが好ましい。なお、「α−ヒドロキシカルボン酸化合物」とは、分子内にヒドロキシル基を有するカルボン酸又はその塩のことで、α位にヒドロキシル基を有するヒドロキシカルボン酸である。
上記α−ヒドロキシカルボン酸化合物として、具体的には、国際公開第2011/040530号の「〔6〕α−ヒドロキシカルボン酸化合物」に記載された化合物及びその使用量が、本発明に適用される。
(2−3−6)その他の添加剤添加工程
本発明においては、上述した添加剤以外の添加剤を、吸水性樹脂に種々の機能を付加させるため、添加することもできる。該添加剤として、具体的には、界面活性剤、リン原子を有する化合物、酸化剤、有機還元剤、水不溶性無機微粒子、金属石鹸等の有機粉末、消臭剤、抗菌剤、パルプや熱可塑性繊維等が挙げられる。なお、上記界面活性剤は、国際公開第2005/075070号に記載された化合物が、また、上記水不溶性無機微粒子は、国際公開第2011/040530号の「〔5〕水不溶性無機微粒子」に記載された化合物が、それぞれ本発明に適用される。
上記添加剤の使用量(添加量)は、得られる吸水性樹脂の用途に応じて適宜決定されるため、特に限定されないが、吸水性樹脂粉末100重量部に対して、好ましくは3重量部以下、より好ましくは1重量部以下である。また、該添加剤は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の何れかの製造工程で添加することができる。
(2−3−7)貯蔵工程及び充填工程
本工程は、上述した工程のうち、少なくとも一部を経て製造された最終製品としての吸水性樹脂をホッパー等に貯蔵(貯蔵工程)した後、コンテナバッグやペーパーバッグ等の充填容器に充填する工程(充填工程)である。
上記充填容器に充填された吸水性樹脂は、所定の検査がなされた後に出荷される。また、最終製品の吸水性樹脂を上記貯蔵槽に貯蔵し、更に出荷形態(袋、箱、瓶、サイロ等)に充填することで、充填後の吸水性樹脂の物性向上及び安定化が可能となる。なお、充填単位は、出荷単位に応じて適宜決定され、特に限定されないが、好ましくは100g〜100t(Metric ton)、より好ましくは10kg〜10tである。
(生産量)
本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法は、大スケールでの長期連続稼働に適しており、生産量として1ラインあたり、好ましくは1t/hr以上がよく、また、稼働日数として好ましくは10日間以上、より好ましくは1ヶ月間以上の連続稼働がよい。なお、本発明では、「連続稼働」は品番の切り替え(物性の変更)を含め、実質的な連続稼働を指し、一時的に停止する場合も連続稼働の範疇に入るものとする。
(2−3−8)各工程の連結工程(輸送工程)
上記各工程は、重合工程から最終の充填工程までは、スクリューフィーダー、バケットコンベア、フライトコンベア、ベルトコンベアや空気輸送等の各種搬送機で連結され、必要により中間貯蔵され、全体として基本的に連結され、好ましくは密閉系で製造及び充填がなされる。
(2−3−9)その他の工程
本発明においては、上述した工程以外に、造粒工程、整粒工程、微粉除去工程、微粉の再利用工程等を必要に応じて設けることができる。なお、「整粒工程」は、表面架橋工程以降の微粉除去工程や吸水性樹脂が凝集し、所望の大きさを超えた場合に分級、粉砕を行う工程を含む。また、「微粉の再利用工程」は、微粉をそのまま添加する形態の他、大きな含水ゲルにして、吸水性樹脂の製造工程の何れかの工程に添加する工程を含む。
〔3〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の物性
本発明に係る製造方法で得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、以下の物性を満たすものが望まれる。なお、該吸水性樹脂を衛生用品、特に紙オムツに使用する場合、下記(3−1)〜(3−3)に掲げた物性のうち、少なくとも1つ以上、好ましくはAAPを含めた2つ以上、より好ましくは3つすべての物性を、所望する範囲に制御することが望まれる。
本発明の吸水性樹脂は、その形状について特に限定されないが、好ましくは粒子状である。本明細書では好ましい態様である粒子状の吸水性樹脂について、その物性を説明する。なお、下記の物性は、特に断りのない限り、EDANA法に準拠して測定した。
本発明では、連続的に製造される吸水性樹脂のサンプリングを定期的に行い、測定した測定値の平均値及び標準偏差をもって、吸水性樹脂の物性の安定性を評価する。また、分析点数nを大きくすることで、物性のフレをより正確に把握することができるため、該n数としては、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上、特に好ましくは20以上である。該n数の上限値としては特に限定されないが、好ましくは5000以下、より好ましくは1000以下、更に好ましくは500以下である。
上記分析点数nを抽出する形態としては、特に限定されないが、例えば、吸水性樹脂の製造プラントでの中間体の場合、一定の単位製造期間ごとに1ロットずつ、計n期に亘って抽出する形態、1ロットからn個のサンプルを抽出する形態等が挙げられる。なお、上記1ロットは、最終製品の出荷容器(例えば、ペーパーバッグ等/「荷姿」とも称する)単位でもよいし、生産のバッチ、時間、日等を1単位としてもよい。
上記1ロットあたりの重量としては、吸水性樹脂の製品形態によって左右されるため特に限定されないが、好ましくは1kg以上、より好ましくは10kg以上、更に好ましくは20kg以上、特に好ましくは100kg以上、最も好ましくは500kg以上である。上限値としては特に限定されないが、好ましくは100以下、より好ましくは50t以下、更に好ましくは25t以下、特に好ましくは20t以下である。
(3−1)CRC(遠心分離機保持容量)
本発明の吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)は、物性の安定化の観点から分析点数nの平均値として、通常5g/g以上、好ましくは10〜100g/g、より好ましくは20〜50g/g、更に好ましくは25〜40g/g、特に好ましくは27〜36g/gである。上記CRCの平均値が5g/g未満の場合、吸水量が少なく、紙オムツ等の衛生用品の吸収体として適さない。また、上記CRCの平均値が100g/gを超える場合、尿や血液等の体液等を吸収する速度が低下するため、高吸水速度タイプの紙オムツ等への使用に適さない。また、分析点数nでの標準偏差としては、好ましくは0.70以下、より好ましくは0.60以下、更に好ましくは0.50以下である。標準偏差の下限値としては特に限定されないが、好ましくは0以上である。なお、CRCは、内部架橋剤や表面架橋剤等で制御することができる。
(3−2)AAP(加圧下吸水倍率)
本発明の吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、物性の安定化の観点から分析点数nの平均値として、好ましくは15〜40g/g、より好ましくは20〜35g/g、更に好ましくは25〜35g/gである。上記AAPの平均値が15g/g未満の場合、吸収体に圧力が加わった際の液の戻り量(以下、「Re−Wet(リウェット)」と称する)が多くなり、紙オムツ等の衛生用品の吸収体として適さない。また、分析点数nでの標準偏差としては、好ましくは0.60以下、より好ましくは0.50以下、更に好ましくは0.40以下である。標準偏差の下限値としては特に限定されないが、好ましくは0以上である。なお、AAPは、粒度や表面架橋剤等で制御することができる。
(3−3)WB(ホワイトバランス)
本発明の吸水性樹脂のWB(ホワイトバランス)は、物性の安定化の観点から分析点数nの平均値として、好ましくは75以上、より好ましくは80以上、更に好ましくは85以上である。なお、該WB値は、その値が大きいほど白色度が高くなる。また、分析点数nでの標準偏差としては、好ましくは1.6以下、より好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.0以下である。標準偏差の下限値としては特に限定されないが、好ましくは0以上である。
〔4〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の用途
本発明のポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、特に限定されないが、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生用品の吸収体用途として、使用されることが好ましい。特に、原料由来の臭気、着色等が問題となっていた高濃度紙オムツ(紙オムツ1枚あたりの吸水性樹脂の使用量が多いもの)の吸収体として使用することができる。更に、上記吸収体の上層部に使用される場合に、顕著な効果が期待できる。
また、上記吸収体として、吸水性樹脂以外にパルプ繊維等の吸収性材料を使用することもできる。この場合、吸収体中の吸水性樹脂の含有量(コア濃度)としては、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは40〜100重量%、更に好ましくは50〜100重量%、更により好ましくは60〜100重量%、特に好ましくは70〜100重量%、最も好ましくは75〜95重量%である。
上記コア濃度を上記範囲とすることで、該吸収体を吸収性物品の上層部に使用した場合、吸収性物品が清浄感のある白色状態を保つことができる。更に、尿や血液等の体液等の拡散性に優れるため、効率的な液分配によって吸収量の向上が見込める。
以下の実施例に従って、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれるものとする。なお、製造例、実施例及び比較例で使用する電気機器(吸水性樹脂の物性測定も含む)は、特に注釈のない限り、200V又は100Vの電源を使用した。また、本発明の吸水性樹脂の諸物性は、特に注釈のない限り、室温(20〜25℃)、相対湿度50%RHの条件下で測定した。また、便宜上、「リットル」を「l」又は「L」、「重量%」を「wt%」と記すことがある。
[吸水性樹脂の物性測定]
(a)CRC(遠心分離機保持容量)
本発明の吸水性樹脂のCRC(遠心分離機保持容量)は、EDANA法(ERT441.2−02)に準拠して測定した。
(b)AAP(加圧下吸水倍率)
本発明の吸水性樹脂のAAP(加圧下吸水倍率)は、EDANA法(ERT442.2−02)に準拠して測定した。
(c)WB(ホワイトバランス)
本発明の吸水性樹脂のWB(ホワイトバランス)は、測定装置として日本電色工業株式会社製の分光式色差計(SZ−Σ80)を使用し、反射測定を選択して測定した。なお、該分光式色差計には、粉末・ペースト試料用容器(内径30mm、高さ12mm)、粉末・ペースト試料用標準丸白板No.2及び30Φ投光パイプが備えられている。
上記粉末・ペースト試料用容器に吸水性樹脂5gを充填し、室温(20〜25℃)、相対湿度50%RHの雰囲気下で、該吸水性樹脂のWB値を測定した。該WB値は、その値が大きいほど低着色であり、実質的には白色に近づくことを示す。なお、製造直後又は工場出荷前の吸水性樹脂や、気温30℃以下でかつ相対湿度が50%RHの雰囲気下で製造後1年以内の吸水性樹脂についての色調を「初期色調」という。
[実施例1]
本発明に係る吸水性樹脂の製造装置として、重合、乾燥、粉砕、分級、表面架橋及び整粒の各操作が行われる装置を含む、製造装置を用意した。なお、該製造装置は、上記の各装置がこの順序で配置されており、各装置間は輸送装置によって連結されている。また、該表面架橋を行う装置には、表面架橋剤との混合、熱処理及び冷却の各操作を行う装置が含まれている。該製造装置を用いて、本発明の吸水性樹脂を2000kg/hrで連続的に製造した。
上記重合を行う重合反応装置として、2本のシグマ型ブレードを備えたジャケット付きニーダー重合反応装置を2基用意した。なお、これら2基のニーダー重合反応装置は、同じ仕様であり、同じ性能を有している。また、本明細書では、便宜上、一方のニーダー重合反応装置をニーダー(A)、他方をニーダー(B)と称する。
先ず、ニーダー(A)に、中和率75モル%のアクリル酸ナトリウム水溶液(単量体濃度38重量%)を投入した後に、2本のシグマ型ブレードを回転させて攪拌させながら、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数;9)を全単量体に対して0.045モル%となるように添加して、単量体水溶液(A1)を作製した。
次いで、単量体水溶液(A1)を攪拌しながら、液温を22℃に保持した状態で窒素ガスを吹き込み、単量体水溶液(A1)中の溶存酸素を低減すると共に、ニーダー(A)の内部全体を窒素置換した。その後、単量体水溶液(A1)を攪拌しながら、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.12g/モル(対単量体)及びL−アスコルビン酸0.005g/モル(対単量体)を、それぞれ別々の配管を用いて単量体水溶液(A1)中に添加した。
上記重合開始剤の添加後、直ちに単量体水溶液(A1)が白濁し重合反応が開始したため、ブレードの回転を一時的に停止させた。その後、単量体水溶液(A1)の温度が50℃に到達した時点でブレードを再回転させ、50分間、重合反応を継続した。
このようにして、重量平均粒子径(D50)が2mmの含水ゲル状架橋重合体(以下、「含水ゲル」と称する)(A1)を得た。なお、上記ニーダー(A)内での滞留時間(原材料の投入開始時から含水ゲルの排出完了時までの時間)は100分間であった。
続いて、上記含水ゲル(A1)は、均し機付きのゲルフィーダーを用いて、乾燥装置に供給した。なお、含水ゲル(A1)の重合反応装置(ニーダー(A))からの排出開始時から乾燥装置への供給完了時までの時間で規定されるゲル滞留時間は60分間であった。
一方、ニーダー(B)での重合は、上記ニーダー(A)と同じ条件で行い、ニーダー(A)でのブレードの再回転と同時に開始した。当該操作によって、重量平均粒子径(D50)が2mmの含水ゲル(B1)を得た。なお、ニーダー(B)内での滞留時間やゲル滞留時間は、上記ニーダー(A)と同じであった。
続いて、上記含水ゲル(A1)を乾燥装置に供給する際に使用した均し機付きのゲルフィーダーを用いて、上記含水ゲル(B1)を上記乾燥装置に供給した。なお、含水ゲル(B1)のゲルフィーダーへの移送は、含水ゲル(A1)の乾燥装置への供給完了後に開始した。
上記含水ゲル(A1)をゲルフィーダーに移送することで空になったニーダー(A)において、上記単量体水溶液(A1)と同一組成の単量体水溶液(A2)を作製し、上記と同じ条件で重合反応を行って、含水ゲル(A2)を得た。
上記含水ゲル(A2)のゲルフィーダーへの移送は、含水ゲル(B1)の乾燥装置への供給完了後に、開始した。
上記含水ゲル(B1)をゲルフィーダーに移送することで空になったニーダー(B)において、上記単量体水溶液(A1)と同一組成の単量体水溶液(B2)を作製し、上記と同じ条件で重合反応を行って、含水ゲル(B2)を得た。
このように、上記ゲルフィーダーで乾燥装置に供給される含水ゲルは、ニーダー(A)で製造された含水ゲル(A)と、ニーダー(B)で製造された含水ゲル(B)とが、交互に処理されていることになる。つまり、2基のバッチ式ニーダー重合反応装置から交互に排出された含水ゲルは、重合工程以降において連続的に処理されている。
上記操作を繰り返して、ニーダー1基あたり100バッチの重合反応を行い、含水ゲル(A1)〜含水ゲル(A100)及び含水ゲル(B1)〜含水ゲル(B100)を得た。
下記の乾燥工程以降は、上記操作で得られた含水ゲル(A1)〜含水ゲル(B100)を、順次、処理した。具体的には、含水ゲル(A1)、含水ゲル(B1)、含水ゲル(A2)、含水ゲル(B2)・・・含水ゲル(A100)、含水ゲル(B100)のように、ニーダー(A)及びニーダー(B)で生成した含水ゲルを交互に処理した。
なお、以下、「含水ゲル」及び「吸水樹脂粉末」等の後ろに記載した括弧内の数字は、実施例1で得られたことを表す。つまり、例えば「含水ゲル(A1)〜(B100)」はすべて実施例1で得られるものであるため、「含水ゲル(1)」と表記する。
上記操作で得られた含水ゲル(1)は、ゲルフィーダーによって通気バンド型連続乾燥装置の多孔板上に厚みが50mmとなるように供給された後、温度185℃の熱風を風速3m/sで30分間通気することで、乾燥した。該操作によって、乾燥装置出口においてブロック状の乾燥重合体(1)を得た。
続いて、上記ブロック状の乾燥重合体(1)全量を3段ロールミル(ロールギャップ;上から順に1.0mm/0.65mm/0.42mm)に連続的に供給して、粉砕した。なお、該粉砕装置(3段ロールミル)に供給された乾燥重合体(1)は、その温度が約60℃であった。また、該粉砕装置での減圧度を0.29kPaに調整した。該操作によって、粉砕重合体(1)を得た。
続いて、上記粉砕重合体(1)全量を分級装置(目開き;上から順に710μm/150μm)に連続的に供給して、分級した。なお、該分級装置に供給された粉砕重合体(1)は、その温度が約60℃であった。また、該分級装置が据え付けらている架台の接地抵抗値は5Ωであった。該操作によって、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(1)を得た。
次に、上記吸水性樹脂粉末(1)100重量部に対して、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.025重量部、1,4−ブタンジオール0.3重量部、プロピレングリコール0.5重量部及び脱イオン水3.0重量部を含む、表面架橋剤溶液を用意した。
続いて、上記吸水性樹脂粉末(1)を高速混合機(タービュライザー/1000rpm)に連続的に供給した後、上記表面架橋剤溶液をスプレーを用いて噴霧し、均一に混合した。その後、パドルドライヤーに移送し、208℃で40分間、加熱処理することで、吸水性樹脂粒子(1)を得た。
上記加熱処理後、上記パドルドライヤーと同じ仕様のパドルドライヤーを用いて、吸水性樹脂粒子(1)の粉温が60℃となるまで強制的に冷却を行った。なお、該冷却時に、吸水性樹脂粉末(1)100重量部に対して、45重量%のジエチレントリアミン5酢酸ナトリウム水溶液0.44重量部を、スプレーを用いて噴霧し、混合して、混合物(1)を得た。
続いて、目開き710μmのJIS標準篩を有する分級装置を用いて、上記混合物(1)全量が通過するまで解砕した。その後、上記吸水性樹脂粉末(1)100重量部に対して、シリカ(商品名;アエロジル200CF−5/日本アエロジル株式会社)0.3重量部を添加することで、吸水性樹脂(1)を得た。
上述した一連の操作を24時間稼働で2週間連続で行い、サンプリングは吸水性樹脂(1)の生産量2tごとに実施した。分析点数nとして計336点のサンプルを得た。該サンプル全数について、その物性値を測定し、得られた物性値の平均値と標準偏差を算出した。結果を表1に示す。
[比較例1]
上記実施例1で使用したニーダー(A)及びニーダー(B)と同一形状で容量が2倍であるニーダー(C)1基を用いて重合し、該重合反応で得られた比較含水ゲルを一時的に貯蔵する中間タンクを重合工程と乾燥工程との間に設けた以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較吸水性樹脂(1)を得た。
比較例1でのゲル滞留時間は120分間であり、乾燥工程に供給される比較含水ゲル(1)に若干の着色が見られた。
なお、比較例1では、重合工程と乾燥工程との間に中間タンクを設けたが、該中間タンクでの貯蔵時間は本発明のゲル滞留時間に含むものとする。なお、中間タンクでの貯蔵時間は、比較含水ゲル(1)の粉面の推移によって把握することができる。
上述した一連の操作を24時間稼働で2週間連続で行い、サンプリングは比較吸水性樹脂(1)の生産量2tごとに実施した。分析点数nとして計336点のサンプルを得た。該サンプル全数について、その物性値を測定し、得られた物性値の平均値と標準偏差を算出した。結果を表1に示す。
[実施例2]
本発明に係る吸水性樹脂の製造装置として、重合、ゲル粉砕、後中和、乾燥、粉砕、分級、表面架橋及び整粒の各操作が行われる装置を含む、製造装置を用意した。なお、該製造装置は、上記の各装置がこの順序で配置されており、各装置間は輸送装置によって連結されている。また、該表面架橋を行う装置には、表面架橋剤との混合、熱処理及び冷却の各操作を行う装置が含まれている。該製造装置を用いて、本発明の吸水性樹脂を2000kg/hrで連続的に製造した。
上記重合を行う重合反応装置として、内壁がグラスライニング鋼であるタンク式重合反応装置を2基用意した。なお、これら2基のタンク式重合反応装置は、同じ仕様であり、同じ性能を有している。また、本明細書では、便宜上、一方のタンク式重合反応装置を重合タンク(a)、他方を重合タンク(b)と称する。
先ず、重合タンク(a)に、アクリル酸123重量部、内部架橋剤としてN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.45重量部及び脱イオン水361重量部を投入し、攪拌、混合することで、単量体水溶液(a1)とした。なお、重合タンク(a)内を15℃に保った。
次いで、窒素ガスを吹き込み、溶存酸素量を1ppm以下まで低減した後、密閉下、重合開始剤として1重量%の過酸化水素水溶液1.5重量部、2重量%のL−アスコルビン酸水溶液1.8重量部、及び2重量%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液4.2重量部を、それぞれ別々の配管を用いて重合タンク(a)内に添加し、混合して重合反応を開始した。
上記重合反応は、系内温度が最高到達温度として74℃に達した後、60℃となるように加熱しながら2時間、重合反応を継続することにより、含水ゲル(a1)を得た。なお、上記重合タンク(a)内での滞留時間(原材料の投入開始時から含水ゲルの排出完了時までの時間)は180分間であった。
続いて、上記含水ゲル(a1)は、重合タンク(a)から排出し、次工程であるゲル粉砕装置に移送した。なお、含水ゲル(a1)の重合反応装置(重合タンク(a))からの排出開始時から乾燥装置への供給完了時までの時間で規定されるゲル滞留時間は90分間であった。
一方、重合タンク(b)での重合は、上記重合タンク(a)と同じ条件で行い、重合タンク(a)からの含水ゲル(a1)の排出と同時に開始した。つまり、一方の重合タンクで含水ゲルを排出している間に、他方の重合タンクで重合を行うようにした。該操作によって、含水ゲルが連続的に排出された。
続いて、上記含水ゲル(a1)をゲル粉砕装置(ミンチ機)に供給して細断しながら、30重量%の水酸化ナトリウム水溶液164重量部を添加して、混合、中和(中和率72モル%)した。得られた中和ゲル(a1)を更にミンチ機で細断しながら、還元剤として1重量%の亜硫酸水素ナトリウム水溶液12重量部を添加し、均一に混合し、細断ゲル(a1)を得た。
上記操作を繰り返して、重合タンク1基あたり100バッチの重合反応、ゲル粉砕及び後中和を行い、細断ゲル(a1)〜細断ゲル(a100)及び細断ゲル(b1)〜細断ゲル(b100)を得た。
下記の乾燥工程以降は、上記操作で得られた細断ゲル(a1)〜細断ゲル(b100)を、順次、処理した。具体的には、細断ゲル(a1)、細断ゲル(b1)、細断ゲル(a2)、細断ゲル(b2)・・・細断ゲル(a100)、細断ゲル(b100)のように、上記操作で生成した細断ゲルを交互に処理した。
なお、以下、「細断ゲル」及び「吸水樹脂粉末」等の後ろに記載した括弧内の数字は、実施例2で得られたことを表す。つまり、例えば「細断ゲル(a1)〜(b100)」はすべて実施例2で得られるものであるため、「細断ゲル(2)」と表記する。
上記操作で得られた細断ゲル(2)は、ゲルフィーダーによって通気バンド型連続乾燥装置の多孔板上に厚みが50mmとなるように供給された後、温度150℃の熱風を風速2m/sで30分間通気することで、乾燥した。該操作によって、乾燥装置出口においてブロック状の乾燥重合体(2)を得た。
続いて、上記ブロック状の乾燥重合体(2)全量を3段ロールミル(ロールギャップ;上から順に1.0mm/0.65mm/0.42mm)に連続的に供給して、粉砕した。なお、該粉砕装置(3段ロールミル)に供給された乾燥重合体(2)は、その温度が約60℃であった。また、該粉砕装置での減圧度を0.29kPaに調整した。該操作によって、粉砕重合体(2)を得た。
続いて、上記粉砕重合体(2)全量を分級装置(目開き;上から順に710μm/150μm)に連続的に供給して、分級した。なお、該分級装置に供給された粉砕重合体(2)は、その温度が約60℃であった。また、該分級装置が据え付けらている架台の接地抵抗値は5Ωであった。該操作によって、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(2)を得た。
次に、上記吸水性樹脂粉末(2)100重量部に対して、10重量%のエチレングリコールジグリシジルエーテル水溶液及び30重量%のメタノール水溶液を含む、表面架橋剤溶液4.5重量部を用意した。
続いて、上記吸水性樹脂粉末(2)を50℃に保ちながら高速混合機(タービュライザー/1000rpm)に連続的に2000kg/hrで供給した後、上記表面架橋剤溶液を2流体式スプレーを用いて噴霧し、均一に混合した。その後、パドルドライヤーに移送し、140℃で30分間、加熱処理することで、吸水性樹脂粒子(2)を得た。
上記加熱処理後、上記パドルドライヤーと同じ仕様のパドルドライヤーを用いて、吸水性樹脂粒子(2)の粉温が60℃となるまで強制的に冷却を行った。
続いて、目開き710μmのJIS標準篩を有する分級装置を用いて、上記吸水性樹脂粒子(2)全量が通過するまで解砕した。その後、上記吸水性樹脂粉末(2)100重量部に対して、シリカ(商品名;アエロジル200CF−5/日本アエロジル株式会社)0.3重量部を添加することで、吸水性樹脂(2)を得た。
上述した一連の操作を24時間稼働で2週間連続で行い、サンプリングは吸水性樹脂(2)の生産量2tごとに実施した。分析点数nとして計336点のサンプルを得た。該サンプル全数について、その物性値を測定し、得られた物性値の平均値と標準偏差を算出した。結果を表1に示す。
[比較例2]
上記実施例2で使用した重合タンク(a)及び重合タンク(b)と同一形状で容量が2倍である重合タンク(c)1基を用いて重合し、該重合反応で得られた比較含水ゲルを一時的に貯蔵する中間タンクを重合工程と乾燥工程との間に設けた以外は、実施例2と同様の操作を行って、比較吸水性樹脂(2)を得た。
比較例2でのゲル滞留時間は240分間であり、乾燥工程に供給される比較含水ゲル(2)に若干の着色が見られた。
なお、比較例2では、重合工程と乾燥工程との間に中間タンクを設けたが、該中間タンクでの貯蔵時間は本発明のゲル滞留時間に含むものとする。なお、中間タンクでの貯蔵時間は、比較含水ゲル(2)の粉面の推移によって把握することができる。
上述した一連の操作を24時間稼働で2週間連続で行い、サンプリングは比較吸水性樹脂(2)の生産量2tごとに実施した。分析点数nとして計336点のサンプルを得た。該サンプル全数について、その物性値を測定し、得られた物性値の平均値と標準偏差を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0006425341
(まとめ)
表1に示したように、実施例のCRC、AAP、WBの測定値は、比較例に対して、平均値が大きくなり吸水性樹脂の性能が向上することが明らかとなった。更に、これらの物性値の標準偏差は、比較例に対して小さくなり、物性値の振れが低減した。
つまり、吸水性樹脂の大規模生産において、安定して高物性が得られるバッチ式の重合反応装置を複数準備し、これらを交互に稼働させて重合反応を行い、得られた含水ゲルを生産順に連続的に乾燥、粉砕、分級、表面架橋等の後処理を行うことによって、高品質の吸水性樹脂を安定的に生産することができる。
本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法は、吸水性樹脂の生産、特に大量生産に適用することができる。また、本発明によって得られるポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂は、紙オムツ等の衛生用品の吸収体として用いられる。

Claims (16)

  1. アクリル酸(塩)を主成分とする単量体水溶液を重合する重合工程、及び、
    重合工程以後で、かつ、少なくとも乾燥工程及び表面架橋工程が実施される後処理工程を含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法であって、
    上記重合工程複数系列のバッチ式重合反応装置を使用して行い、該複数系列の重合反応装置において、該系列ごとに重合開始時期を変えて、バッチ式重合反応を行い、かつ、
    複数系列の生成物を、上記後処理工程に含まれる少なくとも1つの工程において、同一の後処理装置で連続的に処理する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法。
  2. 上記重合反応装置が、タンク式反応装置、撹拌翼付き反応装置、又はニーダー反応装置である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 上記重合反応装置の内壁面が、耐腐食性の材質で構成されている、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 上記耐腐食性の材質が、グラスライニング鋼、ステンレス鋼、又は樹脂ライニング鋼である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 上記後処理工程が、上記乾燥工程で得られた乾燥重合体の粉砕工程、分級工程、添加剤の添加工程の少なくとも1つ以上の工程を更に含み、
    上記複数系列の生成物を、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、表面架橋工程、及び添加剤の添加工程から選ばれる少なくとも1つ以上の工程において、同一の後処理装置で連続的に処理する、請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法。
  6. 上記後処理工程が、複数系列のバッチ式重合反応で得られた生成物である含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕する、ゲル粉砕工程を更に含み、
    上記複数系列のバッチ式重合反応で得られた含水ゲル状架橋重合体を、ゲル粉砕工程において、同一のゲル粉砕装置で連続的に処理する、請求項1〜5の何れか1項に記載の製造方法。
  7. 上記ゲル粉砕工程において、界面活性剤、粉体の滑剤及び吸水性樹脂微粉から選ばれる少なくとも1つ以上の添加剤を添加する、請求項6に記載の製造方法。
  8. 上記ゲル粉砕工程において、塩基性組成物、架橋剤、酸化剤及び還元剤から選ばれる少なくとも1つ以上の添加剤を添加する、請求項6に記載の製造方法。
  9. 上記ゲル粉砕工程において、ゲル粉砕装置の動力を監視する、請求項6〜8の何れか1項に記載の製造方法。
  10. 上記ゲル粉砕工程において、ゲル粉砕装置の動力の時間変動が、時間平均値の0.5〜2.0倍である、請求項6〜9の何れか1項に記載の製造方法。
  11. 上記生成物が上記バッチ式重合反応装置から排出された時点を起点として上記乾燥装置への供給が完了するまでの時間で規定されるゲル滞留時間が、上記バッチ式重合反応装置内での滞留時間より短い、請求項1〜10の何れか1項に記載の製造方法。
  12. 上記ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の初期色調が、WB値で75以上である、請求項1〜11の何れか1項に記載の製造方法。
  13. 上記複数系列の重合反応装置において行われるバッチ式重合反応が同一条件である、請求項1〜12の何れか1項に記載の製造方法。
  14. 上記複数系列の重合反応装置が2基であり、該2基の重合反応装置を交互に稼働させる、請求項1〜13の何れか1項に記載の製造方法。
  15. 上記後処理工程において、複数系列の生成物を1系列にし、その後、複数系列に再分配する、請求項1〜14の何れか1項に記載の製造方法。
  16. 上記後処理工程での処理量が、乾燥された吸水性樹脂換算で、1t/hr以上である、請求項1〜15の何れか1項に記載の製造方法。
JP2014264640A 2014-12-26 2014-12-26 ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法 Active JP6425341B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014264640A JP6425341B2 (ja) 2014-12-26 2014-12-26 ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014264640A JP6425341B2 (ja) 2014-12-26 2014-12-26 ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016124901A JP2016124901A (ja) 2016-07-11
JP6425341B2 true JP6425341B2 (ja) 2018-11-21

Family

ID=56357624

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014264640A Active JP6425341B2 (ja) 2014-12-26 2014-12-26 ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6425341B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018202490A1 (de) * 2017-05-02 2018-11-08 Basf Se Verfahren zur diskontinuierlichen herstellung von superabsorberpartikeln durch polymerisation einer in einem hydrophoben lösungsmittel dispergierten wässrigen monomerlösung
KR102513981B1 (ko) * 2017-09-26 2023-03-23 주식회사 엘지화학 고흡수성 수지의 제조 방법
KR102626788B1 (ko) * 2018-11-20 2024-01-17 주식회사 엘지화학 고흡수성 수지의 제조 방법 및 고흡수성 수지
WO2021187326A1 (ja) * 2020-03-18 2021-09-23 住友精化株式会社 吸水性樹脂粒子を製造する方法
US20230149897A1 (en) * 2021-01-14 2023-05-18 Lg Chem, Ltd. Method for preparing super absorbent polymer
JP2024501988A (ja) * 2021-06-18 2024-01-17 エルジー・ケム・リミテッド 高吸水性樹脂の製造方法および高吸水性樹脂
WO2022265475A1 (ko) * 2021-06-18 2022-12-22 주식회사 엘지화학 고흡수성 수지의 제조 방법 및 고흡수성 수지
US20230381744A1 (en) * 2021-06-18 2023-11-30 Lg Chem, Ltd. Preparation method of superabsorbent polymer
WO2022265472A1 (ko) * 2021-06-18 2022-12-22 주식회사 엘지화학 고흡수성 수지의 제조 방법 및 고흡수성 수지
WO2022265471A1 (ko) * 2021-06-18 2022-12-22 주식회사 엘지화학 고흡수성 수지의 제조 방법 및 고흡수성 수지
BR112023025097A2 (pt) * 2021-06-18 2024-02-20 Lg Chemical Ltd Método de preparação de polímero superabsorvente e polímero superabsorvente
WO2023075482A1 (ko) * 2021-10-29 2023-05-04 주식회사 엘지화학 고흡수성 수지 조성물 및 이의 제조 방법

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63218702A (ja) * 1987-03-06 1988-09-12 Kao Corp 高吸水性ポリマ−の製造方法
JPH0678390B2 (ja) * 1988-12-23 1994-10-05 東亞合成化学工業株式会社 吸水性ポリマーの製造方法
WO2006109882A1 (en) * 2005-04-12 2006-10-19 Nippon Shokubai Co., Ltd. Particulate water absorbing agent including polyacrylic acid (polyacrylate) based water absorbing resin as a principal component, method for production thereof, water-absorbent core and absorbing article in which the particulate water absorbing agent is used
CN101242891B (zh) * 2005-08-24 2011-05-11 巴斯夫欧洲公司 生产吸水性聚合物颗粒的方法
JP2007197672A (ja) * 2005-12-27 2007-08-09 Toray Ind Inc ポリアクリロニトリルの製造方法
JP5483806B2 (ja) * 2007-06-20 2014-05-07 三菱レイヨン株式会社 アクリル系重合体の製造方法
JP5629688B2 (ja) * 2009-08-27 2014-11-26 株式会社日本触媒 ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂およびその製造方法
EP2557095B1 (en) * 2010-04-07 2016-10-05 Nippon Shokubai Co., Ltd. Method for producing water absorbent polyacrylic acid (salt) resin powder, and water absorbent polyacrylic acid (salt) resin powder
JP6234668B2 (ja) * 2011-09-14 2017-11-22 株式会社日本触媒 ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法
JP6069299B2 (ja) * 2012-03-29 2017-02-01 住友精化株式会社 重合反応器、および吸水性樹脂の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016124901A (ja) 2016-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6425341B2 (ja) ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法
CN109608661B (zh) 凝胶粉碎装置、及聚丙烯酸(盐)系吸水性树脂粉末的制造方法、以及吸水性树脂粉末
JP6151790B2 (ja) 吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤及びその製造方法
CN102898662B (zh) 吸水性树脂组合物的制造方法
CN107936189B (zh) 聚丙烯酸(盐)系吸水性树脂粉末及其制品
JP5718817B2 (ja) 吸水性樹脂粉末の製造方法
EP2253563B2 (en) Process for producing water-absorbing resin
US9580519B2 (en) Method and apparatus for producing polyacrylic acid (salt)-based water absorbent resin
KR102373041B1 (ko) 폴리아크릴산(염)계 흡수성 수지의 제조 방법
EP2546286B1 (en) Method for manufacturing a water-absorbing resin
KR102253317B1 (ko) 흡수제의 제조 방법
WO2010114058A1 (ja) 粒子状吸水性樹脂の製造方法
JP5756128B2 (ja) ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂及びその製造方法
JPWO2019221154A1 (ja) 吸水性樹脂粒子の製造方法
KR20150091363A (ko) 폴리아크릴산(염)계 흡수성 수지 및 그의 제조 방법
WO2014162843A1 (ja) 吸水剤の製造方法及び吸水剤
CN108350190B (zh) 超吸收性聚合物
WO2020189539A1 (ja) 粒子状吸水剤の製造方法
JP2016113465A (ja) ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂及びその製造方法
JP2016069418A (ja) ポリ(メタ)アクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法
JP6508947B2 (ja) ポリアクリル酸(塩)系吸水剤の製造方法
CN112703053B (zh) 吸水性树脂粉末的制造方法及吸水性树脂粉末
JP2015178608A (ja) ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法
KR20160149227A (ko) 폴리아크릴산(염)계 흡수성 수지의 제조 방법
JP2016060764A (ja) ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170906

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180619

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180810

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20180810

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181002

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20181022

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181022

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6425341

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150