JP6425216B2 - 水耕栽培装置および水耕栽培方法 - Google Patents
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Description
本実施の形態の水耕栽培装置100によって栽培される植物1は、一般的な土耕栽培においては、重力が作用する方向に沿って、その地下部が伸長する根菜類である。根菜類の一例として、オタネニンジン(高麗人参または朝鮮人参)が挙げられる。オタネニンジンは、地下部を水平方向に沿って配置した場合に、上記した屈地性に起因した地下部の変形の問題が顕著に生じる植物である。
図1〜図5を参照して、本発明の実施の形態の水耕栽培装置100の全体構造を説明する。
図6に示されるように、他の例の水耕栽培装置100は、3つの側壁部の下端部、縁部3b、および床部30によって構成される貯留槽部31の代わりに、植物1にミスト状の水または養液4を噴霧する噴霧部6を備えていてもよい。この場合も、筒状の培地2は、植物1の根1bが筒状の培地2の先端から垂れ下がるように植物1の地下部1aの周囲を覆っている。ただし、支持部10は、筒状の培地2が貯留槽部31に溜まった水または養液4に接触しない高さ位置で、筒状の培地2を支持している。この構成によれば、植物1の根1bに水または養液4を供給しながら、筒状の培地2の適切な湿潤状態を維持することができる。
次に、本実施の形態の支持部10の詳細構造を説明する。
図14および図15に示されるように、光照射部5は、植物1の地上部1cが地下部1aの伸長方向とは逆方向に伸長するように、筒状の培地2の側方に設けられていてもよい。すなわち、光照射部5は、植物1の地上部1c側の側方に設けられていてもよい。具体的には、栽培槽3の側壁部の内側面上に光照射部5が取り付けられる。ただし、光照射部5が地上部1cの側方に設けられているのであれば、光照射部5は、いかなるものに取り付けられていてもよい。たとえば、光照射部5が床部30から延びる部材によって支持され、地上部1cの側方に位置付けられてもよい。
光照射部5が地上部1cの側方に設けられる場合、図15および図16に示されるように、支持部10は、それぞれがU字状でかつ柔軟性を有する複数の網目状または格子状の部材10nを有していてもよい。この場合、複数の網目状または格子状の部材10nは、それぞれ、天井部から吊り下げられている。U字状の網目状または格子状の部材10nは、所定の硬さを有する帯状の網目状または格子状の部材がU字に変形されたものであってもよい。この場合、床部30によって、U字状の網目状または格子状の部材10nが支持される。複数の網目状または格子状の部材10nは、複数の植物1の地下部1aが水平面に沿って延びるように、同じ高さ位置で、複数の筒状の培地2を支持している。また、複数の網目状または格子状の部材10nは、複数の筒状の培地2が互いに平行に延びるように、複数の筒状の培地2を支持している。したがって、複数の地下部1aも互いに平行に延びている。この場合、複数の網目状または格子状の部材10nは、それぞれ、複数の筒状の培地2の位置を固定するように、1対1の態様で複数の筒状の培地2を支持している。
図17に示されるように、支持部群110は、植物1の地下部1aが延びる方向に沿って間隔をおいて並べられた複数の支持部10を含んでいてもよい。複数の支持部10は、ぞれぞれ、植物1の地下部1aが延びる方向と垂直な水平方向に沿って、2以上の植物1の地下部1aが列をなすように、複数の筒状の培地2を支持している。したがって、図17から分かるように、水平面に沿って複数の筒状の培地2が互いに平行に配置されている。また、互いに平行に配置された隣接する2つの筒状の培地2においては、植物1の地上部1c側の地下部1aの端部同士が互いに逆向きになるように、複数の植物1が配置されている。これによれば、平面視において、隣接する地上部1c同士の距離を大きくすることができる。したがって、複数の植物1に光合成を効率的に行わせることができる。
(培地の他の例)
図18〜図26に示されるように、前述の培地2の代わりに、以下に説明する培地2a,2b,2c,2f,2gが用いられてもよい。なお、培地2a,2b,2c,2f,2gは、以下に説明される以外の点においては、前述の培地2と同様の構成を有している。
図18および図19に示されるように、前述の培地2の代わりに、培地2aが用いられてもよい。培地2aは、円筒状のパイプを軸方向に沿って切った、いわゆるハーフパイプの形状を有している。したがって、培地2aは、軸方向に垂直な横断面が180°の円弧をなしており、かつ、水平平方向に沿って延びる保持面2a1を有している。保持面2a1は、地下部1aに密着し、地下部1aを保持する溝を構成する。この場合、溝は、地下部1aの外周面に沿った曲面を有している。
図20および図21に示されるように、前述の培地2の代わりに、培地2bが用いられてもよい。培地2bは、円筒状のパイプに軸方向に沿ってスリットが設けられた形状を有している。したがって、培地2bは、軸方向に垂直な横断面が180°の円弧よりも大きな角度の円弧をなしており、かつ、水平方向に沿って延びる保持面2b1を有している。保持面2b1は、地下部1bに密着し、地下部1aを保持する溝を構成する。この場合も、溝は、地下部1aの外周面に沿った曲面を有している。培地2bは、スリットを押し広げられることにより、地下部1aを受け入れ、スリットが狭められることにより、地下部1aを包み込む。培地2bは、地下部1aを受け入れていない状態で、スリットが閉じられているように構成されていてもよい。
なお、前述の円筒状の培地2が用いられる場合においても、円筒状の培地の下側の内面は、地下部1aを保持する保持面を構成し、その保持面は、地下部1aに密着し、地下部1aを保持する溝を構成する。この場合も、溝は、地下部1aの外周面に沿った曲面を有している。
図22および図23に示されるように、前述の培地2の代わりに、培地2cが用いられてもよい。培地2cは、横断面が波形、具体的には、サインカーブを描く保持面2c1を有している。保持面2c1は、地下部1bに密着し、地下部1aを保持する溝を構成する。この場合も、溝は、地下部1aの外周面に沿った曲面を有している。
ただし、保持面2c1は、曲面でなくてもよく、複数の地下部1aをそれぞれ受け入れる複数の凹部と、複数の凹部同士の仕切を構成する複数の凸部とからなっていれば、凹凸の形状はいかなるものであってもよい。この場合、凹部が保持面としての溝を構成している。
前述の培地2の代わりに、前述の溝が直方体の主表面に断面が180°の円弧を描く保持面によって構成された培地が用いられてもよい。言い換えると、その保持面は、地下部1aに密着し、地下部1aを保持する溝を構成している。この場合も、溝は、地下部1aの外周面に沿った曲面を有している。ただし、保持面は、曲面でなくてもよく、直方体の4つの側面のうちの3つの側面によって構成される溝であってもよい。また、前述の培地2の代わりに、前述の溝は、三角柱の3つの側面のうちの2つの側面からなる保持面によって構成された培地が用いられてもよい。
図24に示されるように、前述の培地2の代わりに、培地2fが用いられてもよい。培地2fは、地下部1aが延びる方向に沿って延びる溝を有している。溝は、鉛直方向と交差する方向に沿って延びる保持面2f1を有している。保持面2f1は、一方端2f11から他方端2f12まで延びている。言い換えると、保持面2f1は、地下部1aに密着し、地下部1aを保持する溝を構成している。この場合も、溝は、地下部1aの外周面に沿った曲面を有している。
培地2fが支持部10上に設置されたとき、一方端2f1は他方端2f12よりも高い位置にある。そのため、培地2fが地下部1aを保持すると、
地下部1aが、鉛直方向に対して傾斜しており、かつ、水平面に対して傾斜している。
図24においては、支持部10a,10bが延びる方向に沿って隣接する培地2fを見たときに、2つの保持面2f1の勾配の正負が互いに逆になっている。この場合、地下部1aの地上部1c側の端部が保持面2f1の上側の位置から突出するように、地下部1aを培地2fに設置する。それにより、隣接する培地2f同士の関係において、地下部1aの地上部1c側の端部同士が隣接していない。つまり、植物1の地上部1c側の地下部1aの端部同士が互いに逆向きになるように、複数の植物1が配置される。なお、この場合、照明部5は、地上部1cが伸びる方向に応じて側面および天井面のうちのいずれに設置されていてもよい。
図25および図26に示されるように、前述の筒状の培地2の代わりに、培地2gが用いられてもよい。培地2gは、直方体に切れ込みが形成された形状を有し、切れ込みによって形成された2つの対向面からなる保持面2g1を有している。この切れ込み内に地下部1aが押し込まれることにより、切れ込みが開く。この切れ込み内に地下部1aが挿入される。その結果、地下部1aは、保持面2g1に接触し、保持面2g1によって支持される。保持面2g1は、地下部1aに密着し、地下部1aを保持する溝を構成する。この場合も、溝は、地下部1aの外周面に沿った曲面を有している。
以上から分かるように、培地2,2a,2b,2c,2f,2gは、いずれも、地下部1aの伸長を鉛直方向と交差する方向に案内する。また、支持部10は、培地2,2a,2b,2c,2f,2gの状態が維持されるように培地2,2a,2b,2c,2f,2gを支持する。培地は、地下部1aの伸長を鉛直方向と交差する方向に案内するものであれば、他のいかなるものであってもよい。
前述の鉛直方向と交差する方向が鉛直方向となす交差角は、0°よりも大きければ、いかなる角度であってもよいが、栽培空間13の高さを小さくする観点からは、極力90°に近いことが望ましい。特に、地下部1aが実質的に水平方向に沿って伸長するように、前述の交差角が決定されていることが好ましい。たとえば、地下部1aが実質的に水平方向に沿って伸長する交差角は、85度〜90度までの値であってもよい。
また、培地2,2a,2b,2c,2f,2gと地下部1aとの間に生じる摩擦力によって、植物1は、培地2,2a,2b,2c,2f,2gから下方へ落ちないように保持されることが望ましい。そのため、この観点からも、前述の交差角は、極力90°に近い値であることが好ましい。ただし、培地の表面粗さの値が大きければ、前述の交差角は、たとえば、45度よりも大きくかつ90度よりも小さな値であってもよい。また、前述の交差角が0°よりも大きくかつ45°よりも小さい値である場合には、地下部1aの培地からの落下を防止するように地下部1aを支持する支持部材が培地に設けられていてもよい。
なお、支持部10は、培地の状態が維持されるように培地を支持するものであれば、他のいかなるものであってもよい。
上記の場合においても、支持部10は、植物1の屈地性に起因した地下部1aの変形に基づく培地2,2a,2b,2c,2f,2gの弾性変形を抑制する。支持部10は、屈地性に起因した地下部1aの変形に基づく培地2,2a,2b,2c,2f,2gの弾性変形を抑制する位置で、培地2,2a,2b,2c,2f,2gを下側から支持している。
ただし、培地2,2a,2b,2c,2f,2gの大きさ、厚さ、または弾性係数等によっては、培地2,2a,2b,2c,2f,2g自身が地下部1aの屈地性に起因した変形を抑制することも可能である。
上記した本実施の形態の水耕栽培装置100によれば、植物1の地下部1aが鉛直方向と交差する方向に沿って延びるように配置されている。したがって、栽培空間13の高さを小さくすることができる。特に、植物1の地下部1aが水平方向に延びるように配置されている場合には、地下部1aの長さに関係なく地上部1cの長さだけを考慮して栽培空間13の高さを決定することができる。その結果、植物1の地下部1aおよび地上部1cの長さに依存する栽培空間13の高さが低減される。したがって、限られた高さを有する植物工場内の空間で水耕栽培を行う場合においても、多数の栽培空間13を積み重ねることが可能になる。それにより、植物工場内の空間をより効率的に利用することが可能になる。したがって、単位面積当りの収穫量を増加させることができる。
(2) 培地2,2a,2b,2c,2f,2gは、地下部1aに接触し、地下部1aを保持する保持面2a1,2b1,2c1,2f1,2g1を有していてもよい。保持面2a1,2b1,2c1,2f1,2g1は、前述の鉛直方向と交差する方向に沿って延びる溝を構成してもよい。
上記の構成によれば、保持面2a1,2b1,2c1,2f1,2g1に沿って地下部1aが伸長するため、地下部1aの伸長の方向を容易に案内することができる。
(3) 溝は、地下部1aの外周面に沿った曲面を有している。この構成によれば、保持面2a1,2b1,2c1,2f1,2g1を地下部1aの外周面に極力密着させることができる。そのため、水または養液4を地下部1aに効率的に供給することができる。
(4) 支持部10は、屈地性に起因した地下部1aの変形に基づく培地2,2a,2b,2c,2f,2gの弾性変形を抑制する位置で、その培地を下側から支持してもよい。
上記の構成によれば、培地2,2a,2b,2c,2f,2gが大きく弾性変形する材料からなる場合にも、屈地性に起因した地下部1aの変形を抑制することができる。
(16) 上記の水耕栽培装置100の使用した水耕栽培方法は、互いに隣り合う植物1の地上部1c側の地下部1aの端部同士が互いに逆向きになるように、複数の植物1を配置する。
また、本出願は、2014年10月16日に出願された日本出願の特願2014−211627号に基づく優先権を主張し、当該日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
1a 地下部
1b 根
2,2a,2b,2c,2f,2g 培地
2a1,2b1,2c1,2f1,2g1 保持面
3 栽培槽
4 水または養液
5 光照射部
6 噴霧部
10 支持部
10a,10b,10c 線状部材
10f,10n 網目状または格子状の部材
10i,10u 孔空き部材
13 栽培空間
31 貯留槽部
100 水耕栽培装置
Claims (12)
- 植物に供給される水または養液を貯留する貯留槽部を含み、前記植物を栽培するための栽培槽と、
柔軟性および保液性を有し、前記植物の地下部の伸長を鉛直方向と45度より大きくかつ90度より小さい交差角をなして交差する方向または水平方向に沿って案内する培地と、
前記栽培槽内に配置され、前記地下部の伸長が前記鉛直方向と45度より大きくかつ90度より小さい交差角をなして交差する方向または前記水平方向に沿って案内される状態が維持されるように、かつ、前記植物の根が前記水または前記養液に浸るが、前記培地が前記貯留槽部に貯留される前記水または前記養液に接触しない高さ位置で、前記培地を支持する支持部と、を備え、
前記支持部は、屈地性に起因した前記地下部の変形に基づく前記培地の弾性変形を抑制することによって前記地下部を前記鉛直方向と45度より大きくかつ90度より小さい交差角をなして交差する方向または前記水平方向に沿って伸長させるように、かつ、前記培地の周辺の水または養液を前記貯留槽部に向かって落下させるように、分散された複数箇所で前記培地を下側から支持する、水耕栽培装置。 - 前記支持部は、平面視において、複数の前記培地がそれぞれ互いに平行に延びるように、複数の前記培地の位置を固定する形状を有し、複数の前記地下部を互いに平行な状態に維持する、請求項1に記載の水耕栽培装置。
- 前記培地は、前記地下部に接触し、前記地下部を保持する保持面を有し、
前記保持面は、前記鉛直方向と45度より大きくかつ90度より小さい交差角をなして交差する方向または前記水平方向に沿って延びる溝を構成する、請求項1または2に記載の水耕栽培装置。 - 前記溝は、前記地下部の外周面に沿った曲面を有している、請求項3に記載の水耕栽培装置。
- 前記支持部は、前記地下部の伸長に応じて、前記支持部を構成する部材の数、形状、および位置の少なくともいずれか1つを変更し得るように構成された、請求項1〜4のいずれかに記載の水耕栽培装置。
- 前記支持部は、それぞれが前記培地を支持し、かつ、互いに平行に延びる、2以上の線状、棒状、または細長い板状の部材を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の水耕栽培装置。
- 前記支持部は、網目状または格子状の部材を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の水耕栽培装置。
- 前記支持部は、複数の貫通孔が設けられた孔空き部材を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の水耕栽培装置。
- 前記植物に光を照射する光照射部を備え、
前記光照射部は、前記培地の上方に設けられた、請求項1〜8のいずれかに記載の水耕栽培装置。 - 前記植物に光を照射する光照射部を備え、
前記光照射部は、前記培地の側方に設けられた、請求項1〜9のいずれかに記載の水耕栽培装置。 - 前記栽培槽は、ミスト状の水または養液を噴霧する噴霧部をさらに備えた、請求項1〜10のいずれかに記載の水耕栽培装置。
- 請求項2に記載の水耕栽培装置を使用した水耕栽培方法であって、
互いに隣り合う前記植物の地上部側の前記地下部の端部同士が互いに逆向きになるように、複数の前記植物を配置する、水耕栽培方法。
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