JP6424814B2 - 偏光板 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示装置に好適に用いられる偏光板に関するものであり、詳しくは、偏光フィルムの保護フィルムとして、多層構成の積層フィルムを用いた偏光板に関するものである。
近年、消費電力が小さく、低電圧で動作し、軽量でかつ薄型の液晶表示装置が、携帯電話、携帯情報端末、コンピュータ用のモニター、テレビなどの情報表示デバイスに広く用いられている。このような情報表示デバイスは、用途によっては過酷な環境下における信頼性が求められる。例えば、カーナビゲーションシステム用の液晶表示装置は、それが置かれる車内の温度や湿度が非常に高くなることがあり、通常のテレビやパーソナルコンピュータ用のモニターに比べると、要求される温度及び湿度条件が厳しい。そして液晶表示装置には、その表示を可能とするために偏光板が用いられるところ、このような厳しい温度及び/又は湿度条件が要求される液晶表示装置においては、それを構成する偏光板にも高い耐久性を有するものが求められている。
偏光板は通常、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの両面又は片面に透明な保護フィルムが積層された構造を有する。そして従来からこの保護フィルムには、トリアセチルセルロースが広く用いられ、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液からなる接着剤を介して偏光フィルムと接着されていた。ところが、トリアセチルセルロースからなる保護フィルムが積層された偏光板は、トリアセチルセルロースの透湿度が高いことから、高湿熱環境下で長時間使用したときに、偏光性能が低下したり、保護フィルムと偏光フィルムが剥離したりすることがある。
そこで、これまでにも、トリアセチルセルロースフィルムに比べて透湿度の低いアクリル系樹脂フィルムを偏光板の保護フィルムとして用いることが試みられている。例えば、特開2011-123168号公報(特許文献1)には、アクリル酸メチルの共重合比が5重量%以上であるメタクリル酸メチル/アクリル酸メチル共重合体とゴム弾性体粒子を含有するアクリル系樹脂フィルムを、オキセタン化合物とカチオン重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を接着剤として、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムに積層し、偏光板とすることが開示されている。このように、透湿度の低いアクリル系樹脂フィルムを偏光板の保護フィルムとして用いることで、偏光板の耐湿性を向上させることが見込まれる。しかし、アクリル系樹脂フィルムに含有されているゴム弾性体粒子が多いと、高温下に曝されたときに、アクリル系樹脂フィルムの収縮率が大きくなり、粘着剤を介して偏光板を液晶セルに貼合したとき、偏光板が収縮し、液晶セルと粘着剤の間で剥れが発生してしまう。
耐熱性を上げるために、アクリル系樹脂フィルムにゴム弾性体粒子を含有させないと、靭性に劣り、折り曲げられた際に破断しやすいものとなる。そして、アクリル系樹脂フィルムを保護フィルムとする偏光板を製造する際、アクリル系樹脂フィルムが何らかの理由で折り曲げられて破断すると、割れた破片が製造工程を汚染するおそれもあった。
特開2006-215465号公報(特許文献2)には、アクリル系樹脂層の片面にポリカーボネート系樹脂層を積層した偏光子保護フィルムが開示されている。このように、アクリル系樹脂層に延性のあるポリカーボネート系樹脂層を付与することで、機械的強度及び耐熱性を向上させることができる。しかし、アクリル系樹脂層の脆性は改善されていないため、耐折れ性に問題がある。また、フィルムをロール状に巻き取るときに、フィルム表面のすべりが悪く、巻き取り不良を生じることがあるため、生産性が悪化するという問題が、依然として残っていた。
特開2011−123168号公報 特開2006−215465号公報
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、アクリル系樹脂フィルムをベースとし、高温域で寸法変化が小さく、また破断しにくく、巻き取り性のよい積層フィルムを偏光フィルムの保護フィルムとして用いることで、耐熱性に優れ、生産安定性が確保された偏光板を提供することにある。
本発明者らは、ゴム弾性体粒子が配合されたアクリル系樹脂層を、延性のあるポリカーボネート系樹脂層の片面又は両面に積層することにより、耐熱性に優れ、フィルムが破断しにくく、巻き取り性がよくなることを見出し、この知見をもとにさらに種々の検討を加えて、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、ポリカーボネート系樹脂層の片面又は両面にゴム弾性体粒子を含有するアクリル系樹脂層が積層された積層フィルムと、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムと、透明樹脂からなる保護フィルムとがこの順に貼合されてなり、上記の積層フィルムは、ポリカーボネート系樹脂層とその片面又は両面に積層されたアクリル系樹脂層とで20〜100μmの合計膜厚を有し、100℃で10分間加熱したときのフィルムのロール長さ方向の収縮率が1.0%以下であり、上記のポリカーボネート系樹脂層は、それを含む積層フィルムの合計膜厚に対して2〜60%の膜厚を占める偏光板が提供される。
この偏光板において、積層フィルムを構成するアクリル系樹脂層は、その全体量を基準に、平均粒径が10〜350nmのゴム弾性体粒子を3重量%以上60重量%以下の割合で含有するアクリル系樹脂組成物から形成されていることが好ましい。
上記の積層フィルムは、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光フィルムの保護フィルムとして用いられるため、ポリカーボネート系樹脂層とその片面又は両面に積層されたアクリル系樹脂層の全体で、内部ヘイズが5%以下であることが好ましい。またこの積層フィルムは、全体の面内位相差値が100nm以下であることが好ましい。
上記の積層フィルム及び上記の保護フィルムは、活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化物層を介して、それぞれ上記の偏光フィルムに貼着される形態をとることができる。
偏光フィルムの一方の面に積層される上記の透明樹脂からなる保護フィルムは、偏光フィルムの保護フィルムとして機能するものであればよいが、特に、液晶セルの駆動方式に応じて、位相差フィルムの機能を有するもの、また、30nm以下の面内位相差値を有するものを用いることができる。この保護フィルムは、ポリカーボネート系樹脂層の片面又は両面にアクリル系樹脂層が積層された積層フィルムで構成することができる。この場合のアクリル系樹脂層も、ゴム弾性体粒子を含有していることが好ましい。
本発明によれば、ポリカーボネート系樹脂層の片面又は両面にゴム弾性体粒子を含有するアクリル系樹脂層を積層し、合計膜厚と収縮率が特定範囲にある積層フィルムとし、かつその積層フィルムの合計膜厚に対するポリカーボネート系樹脂層の膜厚の比を所定の範囲にすることで、耐熱性、機械的強度及び巻き取り性に優れたフィルムが得られる。そしてこの積層フィルムを偏光フィルムに貼合することで、耐熱性に優れ、生産安定性が確保された偏光板とすることができる。
以下、適宜図面も参照しながら、本発明について詳細に説明する。本発明では、ポリカーボネート系樹脂層の片面又は両面にアクリル系樹脂層を積層して積層フィルムとし、この積層フィルムを偏光フィルムの一方の面に貼合される保護フィルムとして用いる。偏光フィルムのもう一方の面には、透明樹脂からなる保護フィルムが貼合される。ここで、アクリル系樹脂層は、ゴム弾性体粒子を含有する。また偏光フィルムは、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂フィルムで構成される。
上記の積層フィルムが、ポリカーボネート系樹脂層の片面にアクリル系樹脂層を積層したものである場合の偏光板の層構成が、図1に断面模式図で示されている。また、上記の積層フィルムが、ポリカーボネート系樹脂層の両面にアクリル系樹脂層を積層したものである場合の偏光板の層構成が、図2に断面模式図で示されている。
すなわち、図1に示される偏光板10は、ポリカーボネート系樹脂層25の片面にアクリル系樹脂層21を積層した積層フィルム20と、偏光フィルム30と、透明樹脂からなる保護フィルム40とがこの順に貼合されたものである。ポリカーボネート系樹脂層25の片面に積層されているアクリル系樹脂層21は、図2に示されるものとの関係で、第一のアクリル系樹脂層と呼ぶことがある。また、図2に示される偏光板10は、ポリカーボネート系樹脂層25の両面に、第一のアクリル系樹脂層21及び第二のアクリル系樹脂層22を積層した積層フィルム20と、偏光フィルム30と、透明樹脂からなる保護フィルム40とがこの順に貼合されたものである。
これらの図においては、偏光フィルム30と積層フィルム20とが、接着剤層51を介して貼合されており、偏光フィルム30と保護フィルム40とが、接着剤層52を介して貼合されている。まず、本発明の偏光板10を構成する各層(フィルム)について、順を追って説明する。
[アクリル系樹脂層]
第一のアクリル系樹脂層21及び第二のアクリル系樹脂層22に使用するアクリル系樹脂は、ゴム弾性体粒子を含有するアクリル系樹脂組成物からなる。このゴム弾性体粒子は、ゴム弾性を示す層を含む粒子である。このゴム弾性体粒子は、ゴム弾性を示す層のみからなる粒子であってもよいし、ゴム弾性を示す層とともに他の層を有する多層構造の粒子であってもよい。ゴム弾性重合体としては、例えば、オレフィン系弾性重合体、ジエン系弾性重合体、スチレン−ジエン系弾性共重合体、アクリル系弾性重合体などが挙げられる。なかでも、積層フィルムの耐光性及び透明性の観点から、アクリル系弾性重合体が好ましく用いられる。
アクリル系弾性重合体は、アクリル酸アルキルを主体とする重合体で構成することができる。これは、アクリル酸アルキルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸アルキル50重量%以上とそれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。アクリル酸アルキルとしては通常、そのアルキル基の炭素数が4〜8のものが用いられる。アクリル酸アルキル以外の単量体を共重合させる場合、その例としては、メタクリル酸メチルやメタクリル酸エチルのようなメタクリル酸アルキル、スチレンやアルキルスチレンのようなスチレン系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのような不飽和ニトリルなどの単官能単量体、また、(メタ)アクリル酸アリルや(メタ)アクリル酸メタリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、マレイン酸ジアリルのような二塩基酸のジアルケニルエステル、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなグリコール類の不飽和カルボン酸ジエステルなどの多官能単量体が挙げられる。
アクリル系弾性重合体を含むゴム弾性体粒子は、アクリル系ゴム弾性重合体の層を有する多層構造の粒子であることが好ましい。具体的には、アクリル系ゴム弾性重合体の層の外側にメタクリル酸アルキルを主体とする硬質の重合体層を有する2層構造のものや、さらにアクリル系ゴム弾性重合体の層の内側にメタクリル酸アルキルを主体とする硬質の重合体層を有する3層構造のものが挙げられる。アクリル系ゴム弾性重合体の層の外側又は内側に形成される硬質の重合体層を構成するメタクリル酸アルキルを主体とする重合体における単量体組成の例は、先にアクリル系樹脂の例として挙げたメタクリル酸アルキルを主体とする重合体の単量体組成の例と同様であり、特にメタクリル酸メチルを主体とする単量体組成が好ましく用いられる。このような多層構造のアクリル系ゴム弾性体粒子は、例えば特公昭 55-27576 号公報に記載の方法により、製造することができる。
ゴム弾性体粒子の平均粒径は、10〜350nmの範囲にあることが好ましい。これにより、フィルム表面にわずかな凹凸が形成されるため、すべり性を高めることができる。このゴム弾性体粒子の平均粒径は、より好ましくは30nm以上、さらに好ましくは50nm以上であり、またより好ましくは300nm以下、さらに好ましくは280nm以下である。
多層構造のアクリル系ゴム弾性体粒子の平均粒径は、次のようにして測定される。すなわち、このようなゴム弾性体粒子をアクリル系樹脂に混合してフィルム化し、その断面を酸化ルテニウムの水溶液で染色すると、ゴム弾性体層だけが着色してほぼ円形状に観察され、母層のアクリル系樹脂は染色されない。そこで、このようにして染色されたフィルム断面から、ミクロトームなどを用いて薄片を調製し、これを電子顕微鏡で観察する。そして、無作為に100個の染色されたゴム弾性体粒子を抽出し、各々の粒子径を算出した後、その数平均値を平均粒径とする。このような方法で測定するため、得られるゴム弾性体粒子の平均粒径は、数平均粒径となる。
最外層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体であり、その中にアクリル系ゴム弾性重合体が包み込まれているゴム弾性体粒子を用いた場合、それを母体のアクリル系樹脂に混合すると、ゴム弾性体粒子の最外層が母体のアクリル系樹脂と混和する。そのため、その断面を酸化ルテニウムで染色し、電子顕微鏡で観察すると、そのゴム弾性体粒子が、最外層を除いた状態の粒子として観察される。具体的には、内層がアクリル系ゴム弾性重合体であり、外層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体である2層構造のゴム弾性体粒子を用いた場合には、内層のアクリル系ゴム弾性重合体部分が染色されて単層構造の粒子として観察され、また、最内層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体であり、中間層がアクリル系ゴム弾性重合体であり、最外層がメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体である3層構造のゴム弾性体粒子を用いた場合には、最内層の粒子中心部分が染色されず、中間層のアクリル系ゴム弾性重合体部分のみが染色された2層構造の粒子として観察されることになる。本発明においては、ゴム弾性体粒子として多層構造のアクリル系ゴム弾性体粒子を用いた場合は、アクリル系ゴム弾性重合体部分の平均粒径をもって、ゴム弾性体粒子の平均粒径とする。
ゴム弾性体粒子は、それが含有されたアクリル系樹脂組成物の全体量を基準に、好ましくは3重量%以上60重量%以下の割合、より好ましくは5重量%以上50重量%以下の割合で含有されることが好ましい。ゴム弾性体粒子が60重量%より多くなると、フィルムの寸法変化が大きくなり、耐熱性が悪くなる。一方、ゴム弾性体粒子が3重量%より少ないと、フィルムの耐熱性は良好であるものの、フィルム製膜時の巻き取り性が悪く、生産性が低下してしまう。
なお、本発明においては、ゴム弾性体粒子として、ゴム弾性を示す層とともに他の層を有する多層構造の粒子を用いた場合は、ゴム弾性を示す層とその内側の層からなる部分の重量をゴム弾性体粒子の重量とする。例えば、上述の3層構造のアクリル系ゴム弾性体粒子を用いた場合は、中間層のアクリル系ゴム弾性重合体部分と最内層のメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体部分との合計重量を、ゴム弾性体粒子の重量とする。上述の3層構造のアクリル系ゴム弾性体粒子をアセトンに溶解させると、中間層のアクリル系ゴム弾性重合体部分と最内層のメタクリル酸メチルを主体とする硬質の重合体部分とは、不溶分として残るので、3層構造のアクリル系ゴム弾性体粒子に占める中間層と最内層の合計の重量割合は、容易に求めることができる。
ゴム弾性体粒子を含有させるベースとなるアクリル系樹脂は、典型的にはメタクリル樹脂である。メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルを主体とする重合体であり、メタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステル50重量%以上とこれ以外の単量体50重量%以下との共重合体であってもよい。ここで、メタクリル酸エステルとしては、通常、メタクリル酸のアルキルエステルが用いられる。
メタクリル樹脂の好ましい単量体組成は、全単量体を基準に、メタクリル酸アルキルが50〜100重量%、アクリル酸アルキルが0〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%であり、より好ましくは、メタクリル酸アルキルが50〜99.9重量%、アクリル酸アルキルが0.1〜50重量%、これら以外の単量体が0〜49重量%である。
ここで、メタクリル酸アルキルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、メタクリル酸アルキルのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。なかでもメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。
また、アクリル酸アルキルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられ、アクリル酸アルキルのアルキル基の炭素数は通常1〜8、好ましくは1〜4である。
さらに、メタクリル酸アルキル及びアクリル酸アルキル以外の単量体は、分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を1個有する単官能単量体であってもよいし、分子内に重合性の炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する多官能単量体であってもよいが、単官能単量体が好ましく用いられる。この単官能単量体の例を挙げると、スチレン、α−メチルスチレン、及びビニルトルエンのようなスチレン系単量体、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのようなシアン化アルケニル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミドなどがある。また、上記多官能単量体の例を挙げると、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、及びトリメチロールプロパントリアクリレートのような多価アルコールのポリ不飽和カルボン酸エステル、アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、及びケイ皮酸アリルのような不飽和カルボン酸のアルケニルエステル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、トリアリルシアヌレート、及びトリアリルイソシアヌレートのような多塩基酸のポリアルケニルエステル、ジビニルベンゼンのような芳香族ポリアルケニル化合物などがある。
ここに例示したメタクリル酸アルキル、アクリル酸アルキル、及びこれら以外の単量体は、必要に応じて、それぞれに該当するものを2種以上用いてもよい。
アクリル系樹脂にゴム弾性体粒子とともに少量の滑剤を添加し、アクリル系樹脂層とすることもできる。滑剤を添加すれば、アクリル系樹脂フィルムをロール状に巻いたときの巻き締まりを防ぐことができ、それにより巻いた状態での荷姿が改善される。滑剤は、アクリル系樹脂フィルム表面のすべり性を向上させる機能を有するものであればよい。そのような機能を有する化合物の例を挙げると、ステアリン酸系化合物、アクリル系化合物、エステル系化合物などがある。なかでも、ステアリン酸系化合物が、滑剤として好ましく用いられる。
滑剤となるステアリン酸系化合物の例を挙げると、ステアリン酸自体のほか、ステアリン酸メチルやステアリン酸エチル、ステアリン酸モノグリセライドのようなステアリン酸エステル;ステアリン酸アミド;ステアリン酸ナトリウムやステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウムのような12−ヒドロキシステアリン酸とその金属塩などが挙げられる。なかでも、ステアリン酸が好ましく用いられる。
滑剤の添加量は、上記したアクリル系樹脂及びゴム弾性体粒子の合計100重量部に対して 0.15重量部以下、好ましくは0.1重量部以下、さらに好ましくは0.07重量部以下の範囲とすればよい。滑剤の配合量が多すぎると、滑剤がフィルムからブリードアウトしたり、フィルムの透明性を低下させたりするおそれがある。
ゴム弾性体粒子及び必要に応じて滑剤が添加されたアクリル系樹脂組成物は、最終的にこれまでに説明した組成になっていればよく、その製造方法は任意である。例えば、まずゴム弾性体粒子を製造し、それの存在下にアクリル系樹脂の原料となる単量体を重合し、母体のアクリル系樹脂を生成させて、アクリル系樹脂にゴム弾性体粒子が配合された組成とし、所望ならこれに滑剤を所定量添加する方法、ゴム弾性体粒子とアクリル系樹脂とを所定割合で混合し、所望ならこれに滑剤を所定量添加して、溶融混練等により混合する方法などが挙げられる。
また、アクリル系樹脂組成物は、必要に応じて、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤などの各種添加剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤は、波長400nm以下の紫外線を吸収する化合物である。積層フィルムをポリビニルアルコール系偏光フィルムの保護フィルムとして用いる場合、紫外線吸収剤を添加することで、偏光フィルムにこの保護フィルムが貼合された偏光板の耐久性を向上させる効果が得られる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤など、公知のものが使用できる。具体例を挙げると、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどがある。これらのなかでも、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕は、好ましい紫外線吸収剤の一つである。紫外線吸収剤の添加量は、積層フィルムの波長370nm以下における透過率が、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下となる範囲で選択することができる。紫外線吸収剤を含有させる方法としては、紫外線吸収剤を予めアクリル系樹脂中に添加してペレット化しておき、これを溶融押出などによってフィルムに成形する方法、溶融押出成形時に直接、紫外線吸収剤を添加する方法などが挙げられ、いずれの方法も使用できる。
赤外線吸収剤は、波長800nm以上の赤外線を吸収する化合物である。例えば、ニトロソ化合物、その金属錯塩、シアニン系化合物、スクワリリウム系化合物、チオールニッケル錯塩系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、トリアリールメタン系化合物、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物、カーボンブラック、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、周期律表の4A族、5A族若しくは6A族に属する金属の酸化物、炭化物又はホウ化物などを挙げることができる。これらの赤外線吸収剤は、赤外線(波長約800nm〜1100nmの範囲の光)全体を吸収できるように選択することが好ましく、2種類以上を併用してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、例えば、積層フィルムの波長800nm以上における光線透過率が10%以下となるように、適宜調整することができる。
図2に示すように、ポリカーボネート系樹脂層25の両面に、第一のアクリル系樹脂層21及び第二のアクリル系樹脂層22を積層する場合は、ゴム弾性体粒子や前記した添加剤の各層における含有量を、互いに異ならせてもよい。例えば、どちらか一方のゴム弾性体粒子の含有量を少なくすると、耐熱性が上がり、寸法変化を小さくすることができる点で有利である。さらに、どちらか一方のゴム弾性体粒子の含有量を多くすると、耐衝撃性や巻き取り性、偏光フィルムとの接着性を向上させる点で有利である。
[ポリカーボネート系樹脂層]
ポリカーボネート系樹脂層25に使用するポリカーボネート系樹脂は、例えば、二価フェノールとカルボニル化剤とを界面重縮合法や溶融エステル交換法などで反応させることにより得られるもののほか、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法などで重合させることにより得られるもの、環状カーボネート化合物を開環重合法で重合させることにより得られるものなどが挙げられる。
二価フェノールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステルなどが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。
なかでも、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及びα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンから選ばれる二価フェノールを単独で又は2種以上用いるのが好ましく、特に、ビスフェノールAの単独使用や、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンと、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン及びα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンから選ばれる1種以上の二価フェノールとの併用が好ましい。
カルボニル化剤としては、例えば、ホスゲンのようなカルボニルハライド、ジフェニルカーボネートのようなカーボネートエステル、二価フェノールのジハロホルメートのようなハロホルメートなどが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
また、ポリカーボネート系樹脂には、アクリル系樹脂層の項で述べたのと同様の添加剤を添加してもよい。
[積層フィルム]
以上説明したポリカーボネート系樹脂層25の片面に第一のアクリル系樹脂層21を形成するか、又は、ポリカーボネート系樹脂層25の両面に第一のアクリル系樹脂層21及び第二のアクリル系樹脂層22を形成することによって、本発明で使用する積層フィルム20が得られる。この積層フィルム20の成形方法は適宜選択されるが、例えば、それぞれの樹脂を押出機で溶融し、フィードブロック法又はマルチマニホールド法を用いて積層する共押出成形法や、ポリカーボネート系樹脂を押出成形法などによりフィルム化し、このフィルムの表面に、アクリル系樹脂を必要により溶剤に溶解してコーティングする方法が、有利に採用される。なかでも共押出成形法が好ましく用いられる。
共押出成形法では、溶融した樹脂をロールやベルトに密着させてフィルム成形を行う。
このときのロールやベルトの本数や配置、材質は特に限定されないが、溶融した樹脂を2本の金属ロール間に挟んで、又は金属ロールと金属ベルトに接触させて、通過させ、ロールやベルトの表面形状を転写する方法が、フィルム表面の面精度を高め、表面処理性を向上させるうえで好ましい。あるいは、金属ロールと弾性を有する金属ロールとで溶融樹脂を挟むことで、溶融樹脂を両者に面で接触させ、通過させる方法は、成形時の歪みを低減させ、強度や熱収縮性の異方性を低減したフィルムを得るのに好適である。金属弾性ロールとしては、例えば、軸ロールと、この軸ロールの外周面を覆うように配置され、溶融樹脂に接触する円筒形の金属製薄膜とを備え、これら軸ロールと金属製薄膜との間に水や油などの温度制御された流体が封入されたものや、ゴムロールの表面に金属ベルトを巻いたものが、例として挙げられる。
こうして得られる積層フィルム20は、その厚さが10〜100μm とされるが、好ましくは15〜95μm、より好ましくは15〜90μmである。
ポリカーボネート系樹脂層25は、積層フィルム20の合計膜厚を基準に、その膜厚が2〜60%の割合となるようにされる。積層フィルム20の合計膜厚に占めるポリカーボネート系樹脂層25の膜厚の割合は、好ましくは5%以上、また好ましくは50%以下である。積層フィルム20の合計膜厚に占めるポリカーボネート系樹脂層25の膜厚の割合が少なすぎると、積層フィルム20が脆くなり、破断しやすくなる。一方、積層フィルム20全体の膜厚に占めるポリカーボネート系樹脂層25の膜厚の割合が多すぎると、剛性が不足し、フィルムのコシがなくなってしまう。
図2に示すように、ポリカーボネート系樹脂層25の両面に、第一のアクリル系樹脂層21及び第二のアクリル系樹脂層22を積層して3層構成の積層フィルム20とする場合は、第一のアクリル系樹脂層21と第二のアクリル系樹脂層22の膜厚を同じにしても構わないし、異なっていても構わない。第一のアクリル系樹脂層21と第二のアクリル系樹脂層22の膜厚を異なるようにする場合は、どちらのアクリル系樹脂層を厚くしても構わない。
積層フィルム20は、100℃で10分間加熱したときのフィルムのロール長さ方向の収縮率が1.0%以下となるようにする。収縮率が1.0%を超えると、この積層フィルムを用いた偏光板が粘着剤層を介して液晶セルに貼合された状態で高温に曝されたとき、偏光板の収縮が大きくなり、粘着剤層と液晶セルの間で剥れが発生してしまうため、好ましくない。この収縮率は、0.8%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.6%以下である。
積層フィルム20は、偏光板の一方の保護フィルムとなるため、高い透明性を有するものとすることが好ましく、具体的には、JIS K7105-1981「プラスチックの光学的特性試験方法」に従って測定される内部ヘイズが5%以下となるようにするのが好ましい。内部へイズが5%を超えると、この積層フィルムを用いた偏光板が画像表示装置に組み込まれたときの白輝度が低下し、画面が暗くなるので、好ましくない。この内部ヘイズは、3%以下であるのがより好ましい。
次に、積層フィルム20の位相差値について説明する。フィルムの面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内進相軸方向(遅相軸と面内で直交する方向)の屈折率をny、厚みをdとしたときに、面内位相差値Ro は、下式(I)で定義される。
Ro=(nx−ny)×d (I)
積層フィルム20は、波長590nmにおける面内位相差値Ro が100nm以下であることが好ましい。
[偏光フィルム]
偏光板10を構成する偏光フィルム30は、公知の方法に従って、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することによりその二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造されるものであることができる。こうして得られる偏光フィルムは、上記の一軸延伸された方向に吸収軸を有するものとなる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有するアクリルアミド類などが挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%であり、好ましくは98モル%以上である。このポリビニルアルコール系樹脂は、変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども用いることができる。また、ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常 1,000〜10,000程度であり、好ましくは1,500〜5,000程度である。
このようなポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光フィルムの原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものではなく、公知の方法が採用される。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は特に制限されないが、例えば、10〜150μm 程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色前、染色と同時、又は染色の後で行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前又はホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うこともできる。
一軸延伸は、周速度の異なる離間したロール間を通すことにより行ってもよいし、熱ロールで挟むことにより行ってもよい。また、この一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、水や有機溶剤などの溶剤を用いてポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの二色性色素による染色は、例えば、二色性色素を含有する水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬する方法によって行うことができる。二色性色素としては、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。
この水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり、通常 0.01〜1重量部程度である。ヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり、通常 0.5〜20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常20〜40℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常20〜1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性有機染料を用いる場合は、通常、水溶性の二色性有機染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性有機染料の含有量は、水100重量部あたり、通常1×10-4〜10重量部程度であり、好ましくは1×10-3〜1重量部程度である。この水溶液は、硫酸ナトリウムなどの無機塩を染色助剤として含有してもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常20〜80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常10〜1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬する方法により行うことができる。ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部程度であり、好ましくは5〜12重量部である。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常 0.1〜15重量部程度であり、好ましくは5〜12重量部である。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常 60〜1,200秒程度であり、好ましくは150〜600秒、さらに好ましくは200〜400秒である。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常50℃以上であり、好ましくは50〜85℃、さらに好ましくは60〜80℃である。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗処理における水の温度は、通常5〜40℃程度である。また浸漬時間は、通常1〜120秒程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光フィルムが得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常30〜100℃程度であり、好ましくは50〜80℃である。乾燥処理の時間は、通常60〜600秒程度であり、好ましくは120〜600秒である。
乾燥処理により、偏光フィルムの水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常5〜20重量%であり、好ましくは8〜15重量%である。水分率が5重量%を下回ると、偏光フィルムの可撓性が失われ、偏光フィルムがその乾燥後に損傷したり、破断したりすることがある。一方、水分率が20重量%を超えると、偏光フィルムの熱安定性が不足する傾向にある。
こうして得られる二色性色素が吸着配向している偏光フィルムの厚みは、通常5〜40μm 程度とすることができる。
[偏光フィルムのもう一方の面に貼合される保護フィルム]
図1及び図2を参照して先に説明したとおり、偏光フィルム30の積層フィルム20が貼合される面と反対側には、透明樹脂からなる保護フィルム40を貼合する。保護フィルム40は、液晶セルの駆動方式により、任意のものを使用することができる。例えば、横電界(IPS)モードの液晶セルに対しては、30nm以下、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下の面内位相差値を有し、低位相差フィルムとして機能するものを用いることが好ましい。一方、垂直配向(VA)モードの液晶セルに対しては、偏光板の保護フィルム又は位相差フィルムとして機能するものを用いることができる。
保護フィルム40は、上記のように位相差の小さいフィルム、偏光板の保護フィルム又は位相差フィルムとして機能するものであればよいが、例えば、セルロース系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂などを、フィルム化したもので構成することができる。
これらの樹脂をフィルム状に成形し、延伸処理を施したものを、保護フィルムとしてもよい。このとき、延伸は、MD(流れ方向)又はTD(流れ方向と面内で直交する方向)に延伸する一軸延伸、MD及びTDの双方向に延伸する二軸延伸、MDでもTDでもない方向に延伸する斜め延伸など、いずれの方法で行ってもよい。かかる延伸操作を施すことにより、機械的強度の高い保護フィルムを得ることができる。
セルロース系樹脂とは、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などの原料セルロースから得られるセルロースの水酸基における水素原子の一部又は全部がアセチル基、プロピオニル基及び/又はブチリル基のようなアシル基で置換された、セルロース有機酸エステル又はセルロース混合有機酸エステルをいう。例えば、セルロースの酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、それらの混合エステルなどからなるものが挙げられる。なかでも、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルムなどが好ましい。
オレフィン系樹脂は、例えば、エチレンやプロピレンのような鎖状オレフィンモノマー又はノルボルネンや他のシクロペンタジエン誘導体のような環状オレフィンモノマーを、重合用触媒を用いて重合して得られる樹脂である。
鎖状オレフィンモノマーから得られるオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂が挙げられる。なかでも、プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン系樹脂が好ましい。また、プロピレンを主体とし、それと共重合可能なコモノマーを、通常1〜20重量%の割合で、好ましくは3〜10重量%の割合で共重合させたポリプロピレン系共重合樹脂も好ましい。
プロピレンと共重合可能なコモノマーとしては、エチレン、1−ブテン又は1−ヘキセンが好ましい。なかでも、透明性や延伸加工性に比較的優れることから、エチレンが好ましく用いられ、エチレンを1〜20重量%、とりわけ3〜10重量%の割合で共重合させたポリプロピレン系共重合樹脂は、好ましいものの一つである。エチレンの共重合割合を1重量%以上とすることで、透明性や延伸加工性を上げる効果が現れる。一方、その割合が20重量%を超えると、樹脂の融点が下がり、保護フィルム又は位相差フィルムに要求される耐熱性が損なわれることがある。
ポリプロピレン系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、それぞれ商品名で、株式会社プライムポリマーから販売されている“プライムポリプロ”、日本ポリプロ株式会社から販売されている“ノバテック”及び“ウィンテック”、住友化学株式会社から販売されている“住友ノーブレン”、サンアロマー株式会社から販売されている“サンアロマー”などが挙げられる。
環状オレフィンモノマーを重合させてなるオレフィン系樹脂は、一般に、環状オレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、又はノルボルネン系樹脂とも称される。ここでは環状オレフィン系樹脂と称する。
環状オレフィン系樹脂としては、例えば、シクロペンタジエンとオレフィン類とからディールス・アルダー反応によって得られるノルボルネン又はその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂;ジシクロペンタジエンと、オレフィン類又は(メタ)アクリル酸エステル類とからディールス・アルダー反応によって得られるテトラシクロドデセン又はその誘導体をモノマーとして開環メタセシス重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂;ノルボルネン、テトラシクロドデセン、それらの誘導体類、又はその他の環状オレフィンモノマーを2種以上用いて同様に開環メタセシス共重合を行い、それに続く水添によって得られる樹脂;前記ノルボルネン、テトラシクロドデセン及びそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンと、ビニル基を有する脂肪族又は芳香族化合物とを付加共重合させて得られる樹脂などが挙げられる。
環状オレフィン系樹脂も、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、それぞれ商品名で、ドイツの TOPAS ADVANCED POLYMERS GmbH にて生産され、日本ではポリプラスチックス株式会社から販売されている“TOPAS”(トーパス)、JSR株式会社から製造・販売されている“アートン”、日本ゼオン株式会社から製造・販売されている“ゼオノア”及び“ゼオネックス”、三井化学株式会社から製造・販売されている“アペル”などが挙げられる。
前記の鎖状オレフィン系樹脂又は環状オレフィン系樹脂を製膜してフィルム化することにより、偏光フィルム30の一方の面に貼合される保護フィルム40とすることができる。フィルム化の方法は特に限定されないが、溶融押出製膜法が好ましく採用される。
オレフィン系樹脂フィルムも、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、ポリプロピレン系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、FILMAX社から販売されている“FILMAX CPP フィルム”、サン・トックス株式会社から販売されている“サントックス”、東セロ株式会社から販売されている“トーセロ”、東洋紡績株式会社から販売されている“東洋紡パイレンフィルム”、東レフィルム加工株式会社から販売されている“トレファン”、日本ポリエース株式会社から販売されている“ニホンポリエース”、フタムラ化学株式会社から販売されている“太閤FC”などが挙げられる。また、環状オレフィン系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、日本ゼオン株式会社から販売されている“ゼオノアフィルム”、JSR株式会社から販売されている“アートンフィルム”などが挙げられる。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂は、繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂を意味し、他の共重合成分に由来する構成単位を含んでいてもよい。他の共重合成分として、イソフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、及び1,4−ジカルボキシシクロヘキサンのようなジカルボン酸成分;プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールのようなジオール成分が挙げられる。これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、必要により2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、上記のジカルボン酸成分やジオール成分とともに、p−ヒドロキシ安息香酸やp−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸のようなヒドロキシカルボン酸を併用することも可能である。他の共重合成分として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合などを有するジカルボン酸成分及び/又はジオール成分が用いられてもよい。
ポリカーボネート系樹脂やアクリル系樹脂は、積層フィルム20に使用される樹脂として説明したものと同様のものであることができる。ポリカーボネート系樹脂とアクリル系樹脂の積層フィルムを保護フィルム40として用いることもでき、この場合、アクリル系樹脂は、積層フィルム20を構成するものと同様、ゴム弾性体粒子を含有することが好ましい。またこの場合、求められる位相差値により、ポリカーボネート系樹脂層及びアクリル系樹脂層を任意に設定することができる。
保護フィルム40には、その表面に光学機能性フィルムを積層したり、光学機能層をコーティングしたりすることもできる。このような光学機能性フィルム及び光学機能層としては、例えば、易接着層、導電層、ハードコート層などが挙げられる。
[偏光板]
図1に示す形態であれば、2層からなる積層フィルム20のポリカーボネート系樹脂層25側を偏光フィルム30に貼合し、偏光フィルム30の積層フィルム20が貼合される面と反対側の面に、透明樹脂からなる保護フィルム40を貼合して、偏光板10とする。
図2に示す形態であれば、3層からなる積層フィルムの第二のアクリル系樹脂層22側を偏光フィルム30に貼合し、偏光フィルム30の積層フィルム20が貼合される面と反対側の面には、やはり透明樹脂からなる保護フィルム40を貼合して、偏光板10とする。
これらの貼合には一般に接着剤が用いられ、図1及び図2では、接着剤層51を介して積層フィルム20が、また接着剤層52を介して保護フィルム40が、それぞれ偏光フィルム30に貼合されている。積層フィルム20と偏光フィルム30の貼合では、積層フィルム20のポリカーボネート系樹脂層25側又は第二のアクリル系樹脂層22側及び偏光フィルム30の接着面のいずれかに、接着剤を塗工した後、両者を貼合すればよく、保護フィルム40と偏光フィルム30の貼合では、保護フィルム40及び偏光フィルム30の接着面のいずれかに、接着剤を塗工した後、両者を貼合すればよい。
[偏光フィルムと積層フィルム及び保護フィルムとの接着]
偏光フィルム30に対する、積層フィルム20のポリカーボネート系樹脂層25又は第二のアクリル系樹脂層22の貼合、また保護フィルム40の貼合には、先述のとおり接着剤が用いられる。貼合に先立って、それぞれのフィルムの貼合面のうち少なくとも一方には、コロナ放電処理、プラズマ照射処理、電子線照射処理、その他の表面活性化処理を施しておくことが好ましい。
図1及び図2に示した接着剤層51、52を形成するための接着剤は、それぞれの部材に対して接着力を発現するものから、任意に選択して用いることができる。典型的には、水系接着剤、すなわち、接着剤成分を水に溶解又は接着剤成分を水に分散させたものや、活性エネルギー線の照射により硬化する成分を含む活性エネルギー線硬化性接着剤を挙げることができる。生産性の観点からは、活性エネルギー線硬化性接着剤が好ましく用いられる。
まず水系接着剤について説明すると、例えば、主成分としてポリビニルアルコール系樹脂やウレタン樹脂を用いた組成物が、好ましい接着剤として挙げられる。
水系接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、そのポリビニルアルコール系樹脂は、部分ケン化ポリビニルアルコールや完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、その接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂の水溶液として調製されることが多い。接着剤水溶液におけるポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、水100重量部に対して、通常1〜10重量部程度、好ましくは1〜5重量部である。
ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水系接着剤には、接着性を向上させるために、グリオキザールや水溶性エポキシ樹脂などの硬化性成分又は架橋剤を添加することが好ましい。水溶性エポキシ樹脂としては、例えば、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミンのようなポリアルキレンポリアミンとアジピン酸のようなジカルボン酸との反応で得られるポリアミドポリアミンに、エピクロロヒドリンを反応させて得られるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂を挙げることができる。かかるポリアミドポリアミンエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、住化ケムテックス株式会社から販売されている“スミレーズレジン 650”及び“スミレーズレジン 675”、日本PMC株式会社から販売されている“WS-525”などがあり、これらを好適に用いることができる。これら硬化性成分又は架橋剤の添加量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、通常1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部である。その添加量が少ないと、接着性向上効果が小さくなり、一方でその添加量が多いと、接着剤層が脆くなる傾向にある。
水系接着剤の主成分としてウレタン樹脂を用いる場合は、適当な接着剤組成物の例として、ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂とグリシジルオキシ基を有する化合物との混合物を挙げることができる。ここでいうポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂は、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂であって、その中に少量のイオン性成分(親水成分)が導入されたものである。アイオノマー型ウレタン樹脂は、乳化剤を使用せずに直接、水中で乳化してエマルジョンとなるため、水系の接着剤として好適である。ポリエステル系アイオノマー型ウレタン樹脂を偏光フィルムと保護フィルムとの接着に用いることは、例えば、特開2005-70139 号公報、特開2005-70140 号公報、特開2005-181817号公報などにより公知である。
一方、活性化エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合、それを構成する活性エネルギー線の照射により硬化する成分(以下、単に「硬化性成分」と呼ぶことがある)は、エポキシ化合物、オキタセン化合物、アクリル系化合物などでありうる。エポキシ化合物やオキタセン化合物のようなカチオン重合性の化合物を用いる場合には、カチオン重合開始剤が配合される。また、アクリル系化合物のようなラジカル重合性化合物を用いる場合にはラジカル重合開始剤が配合される。なかでも、エポキシ化合物を硬化性成分の一つとする接着剤が好ましく、とりわけ、飽和炭化水素環に直接エポキシ基が結合している脂環式エポキシ化合物を硬化性成分の一つとする接着剤が好ましい。また、それにオキセタン化合物を併用するのも有効である。
エポキシ化合物は、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、それぞれ商品名で、ジャパンエポキシレジン株式会社から販売されている“エピコート”シリーズ、DIC株式会社から販売されている“エピクロン”シリーズ、東都化成株式会社から販売されている“エポトート”シリーズ、株式会社ADEKAから販売されている“アデカレジン”シリーズ、ナガセケムテックス株式会社から販売されている“デナコール”シリーズ、ダウケミカル社から販売されている“ダウエポキシ”シリーズ、日産化学工業株式会社から販売されている“テピック”などがある。
飽和炭化水素環に直接エポキシ基が結合している脂環式エポキシ化合物も、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、それぞれ商品名で、ダイセル化学工業株式会社から販売されている“セロキサイド”シリーズ及び“サイクロマー”シリーズ、ダウケミカル社から販売されている“サイラキュア”シリーズなどがある。
オキセタン化合物も、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、それぞれ商品名で、東亞合成株式会社から販売されている“アロンオキセタン”シリーズ、宇部興産株式会社から販売されている“ETERNACOLL”シリーズなどがある。
カチオン重合開始剤も、市販品を容易に入手することが可能であり、例えば、それぞれ商品名で、日本化薬株式会社から販売されている“カヤラッド”シリーズ、ユニオンカーバイド社から販売されている“サイラキュア”シリーズ、サンアプロ株式会社から販売されている光酸発生剤“CPI”シリーズ、ミドリ化学株式会社から販売されている光酸発生剤“TAZ”、“BBI”及び“DTS”、株式会社ADEKAから販売されている“アデカオプトマー”シリーズ、ローディア社から販売されている“RHODORSIL”シリーズなどがある。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、必要に応じて光増感剤を含有することができる。光増感剤を用いることで、反応性が向上し、硬化物層の機械強度や接着強度をさらに向上させることができる。光増感剤としては、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ及びジアゾ化合物、アントラセン系化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性接着剤には、その接着性を損なわない範囲で各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤などが挙げられる。さらに、その接着性を損なわない範囲で、カチオン重合とは別の反応機構で硬化する硬化性成分を配合することもできる。
以上説明した活性エネルギー線硬化性接着剤は、積層フィルム20の貼合面又は偏光フィルム30の貼合面に塗布され、その塗布層を介して両フィルムを貼合した後、そこに活性エネルギー線を照射して硬化され、偏光フィルム30と積層フィルム20を接合する接着剤層51となる。また、偏光フィルム30の貼合面又は保護フィルム40の貼合面に塗布され、その塗布層を介して両フィルムを貼合した後、そこに活性エネルギー線を照射して硬化され、偏光フィルム30と保護フィルム40を接合する接着剤層52となる。接着剤層51を形成するための接着剤、及び接着剤層52を形成するための接着剤は、同じ組成であっても、異なる組成であってもよいが、両者を硬化させるための活性エネルギー線の照射は、同時に行うことが好ましい。
活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化に用いられる活性エネルギー線は、例えば、波長が1〜10nmのX線、波長が10〜400nmの紫外線、波長が400〜800nmの可視光線などでありうる。なかでも、利用の容易さ、並びに活性エネルギー線硬化性接着剤の調製の容易さ、安定性及び硬化性能の点で、紫外線が好ましく用いられる。紫外線の光源には、例えば、波長400nm以下に発光分布を有する、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプなどを用いることができる。
活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて得られる接着剤層の厚さは、通常1〜50μm 程度であるが、特に1〜10μm の範囲にあることが好ましい。
[偏光板の用途]
図1及び図2に示した構成を代表例とする偏光板10は、液晶セルのバックライト側に貼り合わせて、液晶表示装置に用いられる液晶パネルとすることができる。液晶セルの反対側(視認側)には通常、別の偏光板が貼り合わされる。液晶セルへの貼合のため、保護フィルム40の外側、すなわち偏光フィルム30への貼合面と反対側に、粘着剤層を設けることができる。この粘着剤層は、アクリル酸エステルを主成分とし、官能基含有アクリル系単量体が共重合されたアクリル樹脂を粘着剤成分とするアクリル系粘着剤によって形成するのが一般的である。こうして粘着剤層が形成された偏光板を、その粘着剤層側で液晶セルに貼り合わせると、積層フィルム20がバックライト側に配置された液晶パネルとなる。液晶パネルを構成する液晶セルは、この分野で使用されている各種のものであることができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記ない限り重量基準である。
また、実施例及び比較例においては、共押出によって製造された積層フィルムにつき、収縮率、内部ヘイズ及び面内位相差値R0 をそれぞれ以下の方法で測定した。
[積層フィルムの収縮率の測定]
ロール状で作製した積層フィルムの長さ方向及び幅方向が各辺となるよう、100mm×100mmの正方形にカットし、100℃のオーブンに10分間投入した。このとき、株式会社ニコン製の二次元寸法測定器“NEXIV VMR-12072”を用いて、オーブン投入前後のロール長さ方向に平行な辺の寸法を測定した。そして、以下の式により求められる値を収縮率とした。
Figure 0006424814
[積層フィルムの内部ヘイズの測定]
積層フィルムサンプルをフタル酸ジメチルが入った石英セルに浸漬した状態(表面ヘイズを事実上ゼロとした状態)で、JIS K7105-1981「プラスチックの光学的特性試験方法」に準じて、ヘイズの測定を行った。
[積層フィルムの面内位相差値Ro の測定]
王子計測機器株式会社製の位相差測定装置“KOBRA-WR”を用いて、波長590nmで積層フィルムの面内位相差値Ro を測定した。
[実施例1〜4]
アクリル系樹脂層を形成するための母体樹脂として、アルケマ(ARKEMA)社製のメタクリル酸メチル系樹脂である“アルツグラス(ALTUGLAS) HT121”を用意した。これを母体樹脂Aとする。
また、ゴム弾性体粒子として、最内層が、メタクリル酸メチルおよび少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された硬質の重合体からなり、中間層が、アクリル酸ブチルを主成分とし、さらにスチレン及び少量のメタクリル酸アリルを用いて重合された軟質のゴム弾性体からなり、最外層が、メタクリル酸メチルおよび少量のアクリル酸エチルを用いて重合された硬質の重合体からなる三層構造のゴム弾性体粒子を用意した。かかるゴム弾性体粒子は、中間層であるゴム弾性体までの平均粒径が240nmであった。なお、このゴム弾性体粒子において、最内層と中間層との合計重量は、粒子全体の70%であった。
上の母体樹脂A(“アルツグラス HT121”)と上のゴム弾性体粒子とを表1に示す割合で混合して、アクリル系樹脂組成物とした。なお、表1における「ゴム弾性体粒子」の「含有量」は、ゴム弾性体粒子における最内層と中間層との合計重量が、アクリル系樹脂組成物に占める割合である。
これらの実施例では以下に述べるとおり、2層構成の積層フィルムを作製し、したがってその積層フィルムを構成するアクリル系樹脂層は1層だけであるが、表1では便宜上、「第一のアクリル系樹脂層」の欄に、積層フィルムを構成するアクリル系樹脂層のデータを示した。以降に掲げる例において、2層構成の積層フィルムを作製した場合及び単層構成のフィルムを作製した場合も同様である。
一方、ポリカーボネート系樹脂として、住化スタイロンポリカーボネート株式会社製の“カリバー 301-10”を用いた。
上記アクリル系樹脂組成物を65mmφの一軸押出機に、上記ポリカーボネート系樹脂を45mmφの一軸押出機に、それぞれ投入して溶融し、マルチマニホールド方式にて溶融積層一体化させ、設定温度260℃のT型ダイスを介して押出した。得られるフィルム状物を表面が平滑な一対の金属製ロールの間に挟み込んで成形することにより、2層構成の積層フィルムを作製した。このとき、押出し機の押出し量を調節することによって、全体厚さ、アクリル系樹脂層の厚さ及びポリカーボネート系樹脂層の厚さが、それぞれ表1に示すとおりとなるようにした。得られた積層フィルムにつき、収縮率、内部ヘイズ及び面内位相差値Ro の測定結果を表1に示した。これらの例で得られた積層フィルムは、巻き取り性が良好であり、この結果を表1では「○」として記載した。またこれらの例で得られた積層フィルムは、折り曲げても割れず、折り曲げた後に割れることもなかった。この結果を表1では「◎」として記載した。
[実施例5及び6]
第一のアクリル系樹脂層/ポリカーボネート系樹脂層/第二のアクリル系樹脂層の3層構成となるようにした以外は、上の実施例1〜4に準じて積層フィルムを作製した。アクリル系樹脂組成物におけるゴム弾性体粒子の含有量は、表1に示すとおり、実施例2と同じ20%である。また、全体厚さ、第一のアクリル系樹脂層の厚さ、ポリカーボネート系樹脂層の厚さ、及び第二のアクリル系樹脂層の厚さは、それぞれ表1の各欄に示すとおりとした。得られた積層フィルムにつき、収縮率、内部ヘイズ及び面内位相差値Ro の測定結果を表1に示した。これらの例で得られた積層フィルムも、巻き取り性が良好であり、また折り曲げても割れず、折り曲げた後に割れることもなかった。この結果を上記実施例1〜4と同様に表1に記載した。
[実施例7及び8]
アクリル系樹脂層を形成するための母体樹脂として、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチルの重量比96/4の共重合体を用意した。これを母体樹脂Bとする。またゴム弾性体粒子は、実施例1〜4と同じものを用いた。そして、ゴム弾性体粒子の含有量が20%となるように上の母体樹脂Bと混合し、第二のアクリル系樹脂層を形成するためのアクリル系樹脂組成物とした。第一のアクリル系樹脂層の形成には、実施例1、3及び4に示したのと同じ、母体樹脂Aにゴム弾性体粒子を7%の割合で含有させたアクリル系樹脂組成物を用いた。またポリカーボネート系樹脂も、実施例1〜4と同じものを用いた。これら2種のアクリル系樹脂組成物及びポリカーボネート系樹脂を用いる以外は、上の実施例5及び6に準じて、第一のアクリル系樹脂層/ポリカーボネート系樹脂層/第二のアクリル系樹脂層の3層構成で、それぞれの厚さが実施例7では 45μm/10μm/5μm(全体厚さ60μm)の積層フィルム、また実施例8では30μm/5μm/5μm(全体厚さ40μm )の積層フィルムを、それぞれ作製した。得られた積層フィルムにつき、収縮率、内部ヘイズ及び面内位相差値Ro の測定結果を表1に示した。これらの例で得られた積層フィルムも、巻き取り性が良好であり、また折り曲げても割れず、折り曲げた後に割れることもなかった。この結果を上記実施例1〜4と同様に表1に記載した。
[実施例9]
母体樹脂B(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチルの重量比96/4の共重合体)にゴム弾性体粒子を20%の割合で含有させたアクリル系樹脂組成物を用い、アクリル系樹脂層の厚さが50μm、ポリカーボネート系樹脂層の厚さが30μm(全体厚さ80μm )となるようにした以外は、実施例1〜4と同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムにつき、収縮率、内部ヘイズ及び面内位相差値Ro の測定結果を表1に示した。この例で得られたフィルムも、巻き取り性が良好であり、また折り曲げても割れず、折り曲げた後に割れることもなかった。この結果を上記実施例1〜4と同様に表1に記載した。
[実施例10]
母体樹脂B(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチルの重量比96/4の共重合体)にゴム弾性体粒子を20%の割合で含有させたアクリル系樹脂組成物を用い、第一のアクリル系樹脂層/ポリカーボネート系樹脂層/第二のアクリル系樹脂層の厚さがそれぞれ35μm/10μm/35μm(全体厚さ80μm)となるようにする以外は、実施例5及び6と同様にして積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムにつき、収縮率、内部ヘイズ及び面内位相差値Ro の測定結果を表1に示した。この例で得られたフィルムも、巻き取り性が良好であり、また折り曲げても割れず、折り曲げた後に割れることもなかった。この結果を上記実施例1〜4と同様に表1に記載した。
[偏光板の作製及び耐久性評価]
ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向している厚さ約30μm の偏光フィルムの片面に、実施例5、7及び8で作製した積層フィルムをその第二のアクリル系樹脂層側で、エポキシ化合物を主成分とする紫外線硬化性接着剤を介して貼合し、偏光フィルムの他面には、シクロオレフィン系樹脂の二軸延伸品である位相差フィルムを、エポキシ化合物を主成分とする別の紫外線硬化性接着剤を介して貼合し、その後紫外線を照射して紫外線硬化性接着剤を硬化させ、偏光板を作製した。
得られた偏光板の位相差フィルム側に、アクリル系重合体をベースポリマーとする粘着剤層を積層し、粘着剤層付偏光板を作製した。得られた粘着剤層付偏光板を、100mm×100mmにカットし、粘着剤層側をガラスに貼合した。これを85℃のオーブン中に投入し、500時間保持したところ、いずれの粘着剤層付偏光板も、ガラスから剥れることはなかった。この結果を表1では「○」と記載した。
[実施例11]
この例では、第一のアクリル系樹脂層の形成に、上の実施例1〜4に示した母体樹脂A(“アルツグラス HT121”)のみからなり、ゴム弾性体粒子が含有されていないアクリル系樹脂を用い、第二のアクリル系樹脂層の形成に、実施例7及び8に示した母体樹脂B(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチルの重量比96/4の共重合体)にゴム弾性体粒子を20%の割合で含有させたアクリル系樹脂組成物を用いた。その他は実施例7に準じて、第一のアクリル系樹脂層/ポリカーボネート系樹脂層/第二のアクリル系樹脂層の3層構成であり、それぞれの厚さが45μm/10μm/5μm(全体厚さ60μm)の積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムにつき、収縮率、内部ヘイズ及び面内位相差値Roの測定結果を表1に示した。この例で得られた積層フィルムは、ポリカーボネート系樹脂層の付与により収縮率は良好であり、第二のアクリル系樹脂層中にゴム弾性体粒子が含有されているため、巻き取り性も良好であった。この結果を上記実施例1〜4と同様に表1に記載した。この例で得られた積層フィルムは、第一のアクリル系樹脂層中にゴム弾性体粒子が含有されていないため、耐折れ性は、折り曲げた後に割れることがあったが、折り曲げた際に破断することは無かった。この結果を表1では「○」と記載した。
[比較例1]
この例では、実施例1〜4に示した母体樹脂A(“アルツグラス HT121”)のみからなり、ゴム弾性体粒子が含有されていないアクリル系樹脂を用いた。そして、65mmφの一軸押出機と45mmφの一軸押出機の両方に、このアクリル系樹脂を投入した以外は、実施例1〜4に準じて厚さ80μm のアクリル系樹脂単層フィルムを作製した。得られたフィルムにつき、収縮率、内部ヘイズ及び面内位相差値Ro の測定結果を表1に示した。ここで作製したフィルムは、アクリル系樹脂中にゴム弾性体粒子が含有されていないため、折り曲げると破断し、巻き取り性も悪かった。この結果を表1ではそれぞれ「×」と記載した。
[比較例2]
この例では、実施例1〜4に示した母体樹脂A(“アルツグラス HT121”)にゴム弾性体粒子を40%の割合で含有させたアクリル系樹脂組成物を用いた。そして、65mmφの一軸押出機と45mmφの一軸押出機の両方に、このアクリル系樹脂組成物を投入した以外は、実施例1〜4に準じて厚さ80μm のアクリル系樹脂単層フィルムを作製した。得られたフィルムにつき、収縮率、内部ヘイズ及び面内位相差値Ro の測定結果を表1に示した。ここで作製したフィルムは、巻き取り性及び耐折れ性ともに良好であった。この結果を実施例1〜4と同様に表1に記載した。ここで作製したフィルムはアクリル系樹脂中のゴム弾性体粒子が多すぎて、収縮率が1.0%を超えていた。
[比較例3〜5]
これらの例でも、実施例1〜4に示した母体樹脂A(“アルツグラス HT121”)のみからなり、ゴム弾性体粒子が含有されていないアクリル系樹脂を用いた。また、全体厚さ、アクリル系樹脂層の厚さ及びポリカーボネート系樹脂層の厚さが、それぞれ表1に示すとおりとなるようにし、その他は実施例1〜4に準じて積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムにつき、収縮率、内部ヘイズ及び面内位相差値Ro の測定結果を表1に示した。これらの例で得られた積層フィルムは、ポリカーボネート系樹脂層の付与により収縮率及び耐折れ性は良好であるものの、アクリル系樹脂中にゴム弾性体粒子が含有されていないため、巻き取り性が悪かった。この結果を実施例1〜4および比較例1と同様に表1に記載した。
[比較例6]
この例でも、実施例1〜4に示した母体樹脂A(“アルツグラス HT121”)のみからなり、ゴム弾性体粒子が含有されていないアクリル系樹脂を用いた。その他は実施例5に準じて、第一のアクリル系樹脂層/ポリカーボネート系樹脂層/第二のアクリル系樹脂層の3層構成で、それぞれの厚さが35μm/10μm/35μm(全体厚さ80μm)の積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムにつき、収縮率、内部ヘイズ及び面内位相差値Ro の測定結果を表1に示した。この例で得られた積層フィルムは、ポリカーボネート系樹脂層の付与により収縮率は良好であるものの、アクリル系樹脂中にゴム弾性体粒子が含有されていないため、巻き取り性及び耐折れ性ともに悪かった。この結果を比較例1と同様に表1に記載した。
[比較例8及び9]
母体樹脂Aのみからなるアクリル系樹脂の代わりに、比較例8では、母体樹脂B(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチルの重量比96/4の共重合体)のみからなり、ゴム弾性体粒子が含有されていないアクリル系樹脂を用い、また比較例9では、母体樹脂B(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチルの重量比96/4の共重合体)にゴム弾性体粒子を20%の割合で含有させたアクリル系樹脂組成物を用いた。それ以外は、比較例1と同様にして、厚さ80μm のアクリル系樹脂単層フィルムを作製した。得られた積層フィルムにつき、収縮率、内部ヘイズ及び面内位相差値Ro の測定結果を表1に示した。比較例8は、アクリル系樹脂中にゴム弾性体粒子が含有されていないため、巻き取り性及び耐折れ性ともに悪かった。また比較例9は、アクリル系樹脂層中にゴム弾性体粒子が含有されているため、巻き取り性及び耐折れ性ともに良好であったが、ポリカーボネート系樹脂層が付与されていないため、収縮率が1.0%を超えていた。
[偏光板の作製及び耐久性評価]
比較例2及び9で得られたそれぞれの単層フィルムを用い、その他は実施例の後に示した[偏光板の作製及び耐久性評価]の項と同様にして、偏光板を作製し、そこに粘着剤層を設けて得られた粘着剤層付偏光板を100mm×100mmにカットし、ガラスに貼合して85℃のオーブンに投入して耐久性を評価した。その結果、85℃のオーブン中で500時間保持後に、いずれの粘着剤層付偏光板も、ガラスから剥れていた。この結果を表1では「×」と記載した。
Figure 0006424814
以上のとおり、本発明に従って、ポリカーボネート系樹脂層に、ゴム弾性体粒子を含有するアクリル系樹脂層を積層し、かつその合計(全体)膜厚及び収縮率を制御した積層フィルムは、ロールに巻き取るときの巻き取り性、耐折れ性を含む機械的強度、及び耐熱性に優れたものとなる。そして、この積層フィルムを偏光フィルムに貼合して得られる偏光板は、耐熱性に優れ、生産安定性が確保されたものとなる。
本発明によれば、耐熱性に優れ、生産安定性が確保された偏光板を得ることができるため、本発明は工業的に極めて有用である。
図1は、本発明に係る偏光板の一つの好ましい形態を示す断面模式図である。 図2は、本発明に係る偏光板のもう一つの好ましい形態を示す断面模式図である。
10……偏光板
20……積層フィルム
21……第一のアクリル系樹脂層
22……第二のアクリル系樹脂層
25……ポリカーボネート系樹脂層
30……偏光フィルム
40……透明樹脂からなる保護フィルム
51,52……接着剤層

Claims (8)

  1. ポリカーボネート系樹脂層の面にゴム弾性体粒子を含有するアクリル系樹脂層が積層された積層フィルムと、二色性色素が吸着配向しているポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムと、透明樹脂からなる保護フィルムとがこの順に貼合されてなる偏光板であって、
    前記積層フィルムは、前記ポリカーボネート系樹脂層とその面に積層された前記アクリル系樹脂層とで10〜100μmの合計膜厚を有し、100℃で10分間加熱したときのフィルムのロール長さ方向の収縮率が1.0%以下であり、
    前記ポリカーボネート系樹脂層は、前記積層フィルムの合計膜厚に対して2〜60%の膜厚を占める偏光板。
  2. 前記アクリル系樹脂層は、その全体量を基準に、平均粒径が10〜350nmのゴム弾性体粒子を3重量%以上60重量%以下の割合で含有するアクリル系樹脂組成物から形成されている、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記積層フィルムは、全体で5%以下の内部ヘイズを有する請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 前記積層フィルムは、全体で100nm以下の面内位相差値を有する請求項1〜のいずれかに記載の偏光板。
  5. 前記積層フィルム及び前記保護フィルムは、活性エネルギー線硬化性接着剤の硬化物層を介して、それぞれ前記偏光フィルムに貼着されている請求項1〜のいずれかに記載の偏光板。
  6. 前記保護フィルムは、位相差フィルムの機能を有する請求項1〜のいずれかに記載の偏光板。
  7. 前記保護フィルムは、30nm以下の面内位相差値を有する請求項1〜のいずれかに記載の偏光板。
  8. 前記保護フィルムは、ポリカーボネート系樹脂層の片面又は両面にアクリル系樹脂層が積層された積層フィルムである請求項1〜のいずれかに記載の偏光板。
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