以下、本発明の実施の形態における画像形成装置について説明する。
画像形成装置は、スキャナ機能、複写機能、プリンタとしての機能、ファクシミリ機能、データ通信機能、及びサーバ機能を備えたMFP(Multi Function Peripheral)である。スキャナ機能は、セットされた原稿の画像を読み取ってそれをHDD(Hard Disk Drive)等に蓄積する機能である。複写機能は、さらにそれを用紙等に印刷(プリント)する機能である。プリンタとしての機能は、PC等の外部端末から印刷指示を受けるとその指示に基づいて用紙に印刷を行う機能である。ファクシミリ機能は、外部のファクシミリ装置等からファクシミリデータを受信してそれをHDD等に蓄積する機能である。データ通信機能は、接続された外部機器との間でデータを送受信する機能である。サーバ機能は、複数のユーザでHDD等に記憶したデータなどを共有可能にする機能である。
画像形成装置は、読取装置を備えている。読取装置は、複写機能やプリンタとしての機能により画像が形成された用紙を画像として読み取る。読取装置は、用紙の搬送経路上に配置されており、インラインで用紙を読み取る。読取装置による読取結果を用いて、画像形成条件の調整や、画像形成の履歴管理等、目的に応じた種々の機能が実行される。
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態の一例における画像形成装置の概略構成を示す図である。
図1に示されるように、画像形成装置1は、本体10と及び画像読取装置40とを備えている。本体10は、用紙上に画像を形成する。画像読取装置40は、画像が形成された用紙上の画像を読み取る。以下、本体10により画像形成のために生成される画像を第1画像と呼ぶことがある。また、画像読取装置40により用紙上の画像を読み取って生成される画像を第2画像と呼ぶことがある。
本体10と画像読取装置40との間には、本体10から画像読取装置40へ用紙を搬送する搬送ユニット10aが配置されている。
本体10には、画像形成部20と、スキャナ部(原稿読取部の一例)31とが設けられている。本体10の内部では、搬送部26が設けられている。搬送部26は、給紙トレイ25から給紙した用紙を用紙搬送経路に沿って画像形成部20へ搬送する。搬送部26は、複数の搬送ローラ26aを有している。搬送ローラ26aは、用紙搬送経路のうち複数の箇所に設けられている。搬送ローラ26aは、レジストローラ26bや排紙ローラ26cなどを含む。
図2は、画像形成装置の機能ブロック図である。
図2において、本体10と画像読取装置40との主な構成が、機能毎に示されている。
図2に示されるように、本体10は、制御部(条件設定部の一例)11、記憶部12、操作部13、表示部14、通信部15、画像生成部30、画像処理部17、画像形成部20及び履歴保存部(生成処理部の一例)19を備えている。本体10は、ネットワーク上の外部装置50に接続されている。本体10は、通信部15により、外部装置50と通信することができる。
制御部11は、記憶部12に記憶されている制御プログラム12aを読み出す。制御部11は、読み出した制御プログラム12aを実行することにより、本体10の各部を制御する。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成することができる。
制御部11は、印刷ジョブ、複写ジョブや、スキャンジョブ等を実行する。例えば、印刷ジョブや複写ジョブの実行時において、制御部11は、画像生成部30により生成された画像を、画像処理部17により画像処理させる。制御部11は、画像処理後の画像の各画素の階調値に応じて、画像形成部20により用紙上に画像を形成させる。
記憶部12は、制御プログラム12aと、履歴管理情報12bと、制御プログラム12aの実行時に用いられるデータ等とを記憶している。これらの制御プログラム12aや情報は、制御部11により読み取り可能である。履歴管理情報12bは、画像形成部20で画像が形成され出力された用紙についての履歴情報を含むデータベースである。例えば、履歴管理情報12bには、後述のようにして履歴保存部19により生成される管理用画像が含まれている。制御部11は、履歴管理情報12bにより、画像形成装置1の出力結果についての履歴管理を行う。
また、記憶部12は、属性情報や、第2画像等を記憶することができる。属性情報は、例えば、画像生成部30により生成される。第2画像は、画像読取装置40により生成される。
記憶部12としては、ハードディスクドライブ等の大容量メモリを用いることができる。
図1に示されるように、操作部13及び表示部14は、本体10のユーザインターフェイスとして設けられている。
操作部13は、ユーザの操作に応じた操作信号を生成する。操作部13は、生成した操作信号を、制御部11に出力する。操作部13としては、例えばキーやタッチパネル等が上げられる。タッチパネルは、表示部14と一体に構成されている。
表示部14は、制御部11の指示に従って、操作画面等を表示する。表示部14としては、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro Luminescence Display)等を用いることができる。
図2に示されるように、通信部15は、ネットワーク上の外部装置50と通信する。外部装置50は、例えばユーザ端末、サーバ、又は他の画像形成装置等である。
通信部15は、例えば、ユーザ端末である外部装置50から、ネットワークを介してデータを受信する。印刷ジョブの実行時において、通信部15は、ページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたPDLデータを受信する。また、通信部15は、履歴管理用の管理用画像等を外部装置50に送信することができる。管理画像等は、履歴保存部19において生成されたものである。
画像生成部30は、印刷ジョブの実行時において、第1画像を生成する。画像生成部30は、通信部15により受信したPDLデータをラスタライズ処理し、第1画像を生成する。第1画像は、画素毎に階調値を有するビットマップ形式の画像である。画像生成部30は、第1画像をC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)の色毎に生成する。階調値は、画像の濃淡を表すデータ値である。例えば、8bitのデータ値は、0から255までの階調の濃淡を表す。
画像生成部30は、第1画像の生成時、第1画像の各画素の属性を示す属性情報を生成する。例えば、画像生成部30は、PDLデータに記述された文字コードに従って描画した各画素の属性を文字(Text)と決定する。かな、アルファベット、数字等の画像の各画素の属性は、文字と決定される。画像生成部30は、ベクター形式(DXF、SVG、WMF等)の記述に従って描画した各画素の属性を図形(Graphics)と決定する。罫線、多角形、円等の画像の各画素の属性は、図形と決定される。また、画像生成部30は、JPEG等のファイルにより描画した写真等の画像の属性を写真(Image)と決定する。
図1に示されるように、画像生成部30は、複写機能用に用いられるスキャナ部31を備えている。すなわち、画像生成部30は、複写ジョブやスキャンジョブの実行時において、ユーザによりセットされた原稿の画像をスキャナ部31により読み取る。画像生成部30は、スキャナ部31により読み取ることで、R(赤)、G(緑)及びB(青)の各色の画像を取得する。画像生成部30は、各色の画像を色変換することによってC、M、Y及びKの各色の画像を生成することもできる。
画像処理部17は、画像生成部30により生成された第1画像に画像処理を施す。画像処理には、例えば、階調処理や中間調処理等がある。
階調処理は、画像の各画素の階調値を、補正された階調値に変換する処理である。補正は、用紙上に形成された画像の濃度特性が目標の濃度特性と一致するように行われる。
中間調処理は、例えば誤差拡散処理、組織的ディザ法を用いたスクリーン処理等である。
画像形成部20は、印刷ジョブや複写ジョブの実行時に、画像処理部17により画像処理された第1画像の各画素の階調値に応じて、複数の色からなる画像を用紙上に形成する。
図1に示されるように、画像形成部20は、4つの書込みユニット21(21Y,21M,21C,21K)、中間転写ベルト23a、2次転写ローラ23b、定着装置24、給紙トレイ25を備えている。各書込みユニット21は、中間転写ベルト23aのベルト面に沿って直列に配置されている。中間転写ベルト23aは、複数のローラにより巻き回されて回転する。複数のローラの1つは、2次転写ローラ23bを構成している。
画像形成部20には、給紙トレイ25から用紙を搬送する搬送部26に加えて、反転機構27を有している。搬送部26は、用紙搬送経路上の複数箇所に設けられた搬送ローラ26aを有している。給紙トレイ25は、用紙を収容している。搬送部26は、複数の搬送ローラ26aにより給紙トレイ25から用紙を搬送する。用紙搬送経路上には、2次転写ローラ23bや定着装置24が配置されている。
4つの書込みユニット21C,21M,21Y,21Kは、それぞれC、M、Y及びKの色の画像を形成する。各書込みユニット21の構成は同じである。すなわち、書込みユニット21は、露光部22a、感光体22b、現像部22c、帯電部22d及びクリーニング部22eを備えている。
各書込みユニット21は、次のようにして各色の画像を形成する。すなわち、帯電部22dは、感光体22bに電圧を印加して帯電させる。露光部22aは、各色C、M、Y及びKの画像の各画素の階調値に応じてレーザービームを照射し、感光体22bを露光する。現像部22cは、トナー等の色材を感光体22bに供給し、感光体22b上に形成された静電潜像を現像する。そうすると、各書込みユニット21の感光体22b上に、各色の画像が形成される。
各感光体22b上の画像は中間転写ベルト23a上に順次重ねて転写され、中間転写ベルト23a上には複数の色からなる画像が形成される。中間転写ベルト23aへの画像の転写後、各書込みユニット21は、感光体22b上に残留する色材をクリーニング部22eにより除去する。
給紙トレイ25により用紙が給紙される。用紙は、搬送部26により用紙搬送路に沿って搬送される。2次転写ローラ23bは、中間転写ベルト23a上の複数の色からなる画像を用紙上に転写する。用紙は定着装置24に搬送される。定着装置24は、その用紙を加熱及び加圧する。これにより、画像が用紙に定着する。その後、用紙は、排出ローラ26cにより搬送ユニット10aに送られる。
なお、用紙の両面に画像を形成する場合は、画像が定着された後、用紙は反転機構27に搬送される。反転機構27は、搬送ローラ27a等を有する。反転機構27は、搬送ローラ27aにより用紙面を反転させて、再度2次転写ローラ23bへ用紙を搬送する。これにより、用紙の反対面に画像が形成される。
搬送ユニット10aには、搬送部28が設けられている。搬送部28は、用紙搬送経路の複数の箇所に配置された搬送ローラ28aを有している。搬送ユニット10aに送られた用紙は、搬送部28によって搬送され、画像読取装置40に送られる。
履歴保存部19は、画像読取部41により用紙上の画像が読み取られて生成された第2画像を用いて、実施した画像形成の履歴を表す管理用画像を生成し、記憶部12に保存する。
画像読取装置40は、画像読取部41と、搬送部42とを備えている。搬送部42は、用紙搬送経路の複数の箇所に配置された搬送ローラ42aを有している。画像読取装置40は、画像が形成された用紙を搬送部42により画像読取部41に搬送する。画像読取部41は、搬送された用紙を画像として読み取る。読み取られた用紙は、搬送部42により搬送され、画像読取装置40から外部に排出される。
なお、搬送部42には、用紙の反転機構が設けられている。用紙の両面を読み取るときには、用紙の片面の読み取りが行われた後、反転機構で反転された用紙が、画像読取部41に搬送される。
画像読取部41は、用紙搬送経路上に配置されるラインセンサである。画像読取部41は、搬送ユニット10aにより本体10から搬送された用紙上の画像を読み取り、ビットマップ形式の画像を第2画像として生成する。なお、画像読取部41は、エリアセンサであってもよい。
図3は、画像読取部41の概略構成を示す図である。
図3に示されるように、画像読取部41は、搬送ローラ44,45と、コンタクトガラス46と、光源48aと、センサ48bと、ミラー48cと、レンズ48d等とを有している。搬送ローラ44,45は、用紙搬送経路上に設けられている。用紙Pは、搬送方向Dに搬送される。
画像読取部41は、搬送ローラ44,45により、用紙Pを搬送する。搬送ローラ44(上流側搬送ローラ44)は、用紙搬送経路の上流側に設けられている。搬送ローラ45(下流側搬送ローラ45)は、用紙搬送経路の下流側に設けられている。用紙Pは、搬送ローラ44,45により、所定の速度でコンタクトガラス46の読取位置を通過するように搬送される。
光源48aは、例えば、LED(発光ダイオード)である。光源48aは、コンタクトガラス46の近くに配置されており、読取位置を照らす。
センサ48bは、読取位置における用紙P上に形成された画像の読み取りを行う。センサ48bは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)などの光学式センサである。センサ48bは、用紙Pの主走査方向の全範囲(全幅の範囲)を読み取り可能な、カラーラインセンサである。
ミラー48c及びレンズ48dは、読取位置の像をセンサ48bに導くための光学系を構成する。
画像読取部41は、このような構成を備えることにより、コンタクトガラス46を通過する用紙Pの全幅にわたって、用紙P上に形成された画像を順次読み取る。
なお、画像読取部41のコンタクトガラス46の下方には、校正部47が設けられている。校正部47は、読取位置に設けられた白基準板を備えている。白基準板は、画像の読み取りの際に行うシェーディング補正の補正値を決定するためのものである。白基準板は、センサ48bにより、用紙の非通過時(例えば、用紙と用紙の合間等)等に読み取られる。白基準板の読取結果に応じて、読み取った画像の生成に関するキャリブレーションが行われる。
図2に示されるように、画像読取装置40と本体10との間には、PCIexpress等のインターフェイスを用いた画像転送経路が設けられている。画像読取部41により生成された第2画像は、この画像転送経路を介して、本体10に転送される。本体10は、転送された第2画像を、記憶部12に記憶する。
外部装置50は、上述したように、ユーザ端末、サーバ、他の画像形成装置等でありうる。図2に示されるように、外部装置50は、記憶部51を備えている。
記憶部51は、本体10の記憶部12と同様に、画像生成部30により生成された属性情報や、履歴保存部19において生成された情報を記憶することができる。履歴保存部19において生成された情報は、管理用画像などの情報である。記憶部51としては、ハードディスクドライブ等の大容量メモリを用いることができる。
図4は、画像形成装置1で印刷ジョブや複写ジョブが行われる場合の処理手順を示すフローチャートである。
本実施の形態において、印刷ジョブや複写ジョブが行われると、画像形成部20により画像が形成され、画像読取部41により第2画像が読み取られる。そして、履歴保存部19により、履歴管理用の管理用画像が生成される。管理用画像の生成は、画像形成部20で実行されるジョブの情報に基づいて設定された生成条件に基づいて行われる。生成条件は、制御部11により設定される。
制御部11は、ジョブを受け付ける(ステップS11)。印刷ジョブの場合は、PDLデータが画像形成装置1に送信されると、制御部11はそれを受け付ける。また、複写ジョブにおいては、それを行う旨の指示が画像形成装置1に対してなされると、制御部11はそれを受け付ける。
制御部11は、条件設定処理を実行する(ステップS12)。これにより、生成条件が設定される。生成条件は、ジョブの情報に基づいて設定される。
画像生成部30は、第1画像をページ毎に生成する(ステップS13)。第1画像は、例えば、ビットマップ形式の画像である。印刷ジョブの実行時には、PDLデータのラスタライズ処理が実行される。複写ジョブの実行時には、スキャナ部31を用いた原稿の読み取りが実行され、読取結果に基づいて第1画像が生成される。第1画像が生成されると、各ページについて、画像形成処理が行われる。
画像生成部30は、第1画像の各画素の属性を示す属性情報を生成し、生成した属性情報を記憶部12に保存する(ステップS14)。
画像生成部30は、第1画像において文字の属性の画像を生成した場合、その文字の色情報を生成し、属性情報に対応付けて記憶部12に保存する(ステップS15)。
ラスタライズ処理によって、Y、M、C及びKの各色の画像が生成される。そのため、色情報として、文字を構成する各画素のY、M、C及びKの階調値を使用することができる。また、PDLデータに文字の色として記述されたR、G及びBの階調値を色情報とすることもできる。文字は単一色であることも多いため、画素単位ではなく、文字単位又は文字列単位で1つの色情報を生成し、色情報のデータ量を減らすようにしてもよい。
第1画像が生成されると、画像処理部17が第1画像に画像処理を施す。画像処理としては、階調処理、中間調処理等が挙げられる。画像処理部17は、第1画像とともに生成された属性情報を記憶部12から取得する。画像処理部17は、属性に応じて異なる条件の画像処理を施すことができる。例えば、画像処理部17は、属性情報が示す属性毎にスクリーン線数が異なるように画像処理を行うことができる。
また、画像処理部17は、画像形成の応用設定に応じて、画像処理を施すことができる。画像処理部17は、第1画像の位置、色等の変更、画像の追加、削除、変換、拡大、縮小等を行うことができる。応用設定としては、ページ割り付け、ページ差し込み、倍率変更、リピート、センタリング、とじ代、画像編集、スタンプ、色調整、ネガポジ反転、鏡像、枠消し等がある。ページ割り付けは、1ページに複数ページの画像を縮小して配置する処理である。ページ差し込みは、1ページの画像を追加する処理である。倍率変更は、画像を拡大又は縮小する処理である。リピートは、同じ画像を複数のページに配置する処理である。センタリングは、画像をページの中心位置にシフトする処理である。とじ代は、画像の位置をシフトして綴じ用の領域を設ける処理である。画像編集は、日付、ページ数等の文字を追加する処理である。スタンプは、ウォーターマーク、ロゴマーク等の画像を追加する処理である。ネガポジ反転は、画像の輝度を反転させる処理である。鏡像は、画像を鏡像に変換する処理である。枠消しは、画像中の枠を削除する処理である。
画像形成部20は、画像処理後の第1画像の各画素の階調値に応じて、用紙上に画像を形成する(ステップS16)。画像が形成された用紙は、搬送ユニット10aにより画像読取装置40へ搬送される。
画像読取装置40では、画像読取部41が用紙上の画像を読み取る(ステップS17)。これにより、第2画像が生成される。
履歴保存部19は、制御部11の制御に基づいて、履歴管理用の管理用画像を生成する(ステップS18)。管理用画像は、第2画像を用いて、条件設定処理により設定された生成条件に基づいて生成される。生成された管理用画像は、履歴管理情報12bとして記憶部12に保存される。管理用画像が保存されると、そのページについての画像形成処理が終了する。未印刷のページが続く場合には、次のページについて生成された第1画像に基づいて、ステップS14からステップS18の処理が繰り返し行われる。
[管理用画像の生成についての説明]
管理用画像は、画像形成装置1における印刷等の処理パフォーマンスを落とさないようにして生成される。管理用画像の生成は、画像形成装置1のシステムパフォーマンスに影響を与えない範囲で行われる。具体的には、画像形成装置1の性能に関する情報と、画像形成部20で実行されるジョブの情報とに基づいて、管理用画像の生成に利用可能な画像形成装置1のリソースの帯域(利用可能帯域ということがある)が算出される。そして、算出された利用可能帯域に基づいて、管理用画像の生成時に考慮される生成条件が設定される。このような処理は、例えば、制御部11が実行する。
制御部11は、生成条件の設定に際して、1ページの用紙についての管理用画像のデータ量を算出し、算出したデータ量に基づいて生成条件を設定する。生成条件は、1ページの用紙内の管理用画像の領域に関する条件を含むものである。制御部11は、管理用画像の領域に関するユーザの指示を受け付ける。また、制御部11は、管理用画像の圧縮に関するユーザの指示を受け付ける。圧縮に関する指示は、例えば、管理用画像として、画像を圧縮したものを用いるか否かに関する指示や、圧縮率に関する指示である。圧縮に関する指示は、これに限られるものではない。
図5は、管理用画像の生成について説明する図である。
図5においては、用紙P1について画像読取部41により読み取られる第2画像(これを、第2画像P1ということもある)が示されている。図5に示される例では、第2画像P1には、「納品書」の宛先や、書類毎に一意に付された納品番号や、品名等の情報が含まれている。
本実施の形態において、第2画像P1のうち、一部分の領域が管理用画像として生成される。ユーザは、管理用画像とする領域を、一定の制限のもとで指定することができる。例えば、領域102,104,106など、任意の領域を指定することができる。なお、ユーザが指定できる領域について、選択肢が設定されていてもよい。例えば、領域102,104,106が予め設定されており、ユーザは、これらのうちいずれかを選択することで、領域を指定することができるように構成されていてもよい。
ここで、領域102は、納品番号及びその書類の発行日が記されている部分を含むものである。領域104は、領域102に含まれる部分と、宛先が記されている部分とを含むものである。領域106は、領域104に含まれる部分に加えて、担当者名や品名等の情報が記された部分を含むものである。
図6は、管理用画像の一例について説明する図である。
図6には、例えば、上述の例において領域104が管理用画像とする領域として指定された場合の管理用画像104a,104b,104c,104d,105eの例が示されている。管理用画像104a−104eは、連続して5枚の用紙が印刷された場合に生成されたものである。
図6に示されるように、印刷された各用紙において、納品番号は書類を一意に特定するものである。そのため、領域104に対応する画像が管理用画像として保存されている場合には、ユーザは、その管理用画像104a−104eに含まれる納品番号を確認することで、種々の確認を行うことができる。例えば、ユーザは、印刷しようとした書類のうちどれについての印刷が行われたか否かを確認することができる。ユーザは、印刷しようとした書類のうちすべてについて印刷が行われたか否かを確認することができる。
管理用画像104a−104eには、書類の宛先として印字された会社名や、書類の発行年月日が含まれている。したがって、ユーザは、管理用画像104a−104eを確認することで、どれを宛先とする書類がいつ印刷されたかを容易に知ることができる。
なお、領域102に対応する画像や領域106に対応する画像が管理用画像として保存されている場合も、これと同様である。すなわち、これらの場合も、納品番号が含まれるため、ユーザは、管理用画像を用いて、実際に印刷された用紙について確認することができる。加えて、領域106に対応する画像が管理用画像として保存されている場合には、管理用画像には、宛先等に加えて、担当者名や品名等の情報が含まれる。そのため、ユーザは、管理用画像のみから、より多くの情報を知ることができる。
管理用画像104a−104eは、第2画像P1の一部分の領域104に対応するものである。管理用画像104a−104eのデータサイズは比較的小さい。したがって、第2画像P1をそのまま履歴管理用の画像として用いる場合と比較して、履歴管理情報12bのデータサイズを小さくすることができる。そのため、記憶部12として必要な容量を比較的少なく抑えられる。また、管理用画像を記憶部12に記憶するときの画像形成装置1のシステム帯域の使用量が少なくなる。
領域102を管理用画像とする場合には、管理用画像のデータサイズがより小さくなる。したがって、より大きな効果を得ることができる。他方、領域106を管理用画像とする場合には、これらの場合よりも大きな容量・大きな帯域使用量が必要になる。しかしながら、領域106を管理用画像とする場合であっても、第2画像P1を管理用画像として用いる場合と比較して、同種の効果を得ることができる。
ユーザは、条件設定処理において、後述のように算出される最大データ量に応じて設定可能な範囲で、管理用画像とする領域を指定することができる。
また、本実施の形態では、管理用画像を圧縮するか否かや、管理用画像を圧縮する程度(圧縮率)を設定できる。例えば、圧縮しない(圧縮率がゼロである)第1の保存方法と、低圧縮(圧縮率が高圧縮より小さい)で圧縮する第2の保存方法と、高圧縮で圧縮する第3の保存方法とのいずれかをユーザが選択できるようにしてもよい。
このように、生成条件は、管理用画像とする領域に関する設定事項と、圧縮する程度に関する設定事項とを含む。生成条件は、画像形成装置1の印刷等の処理パフォーマンスを落とさない範囲で、ユーザによる指示に基づいて設定される。すなわち、制御部11は、画像形成装置1の性能に関する情報と、実行される印刷ジョブや複写ジョブの情報とに基づいて、ジョブの実行時の画像形成装置1の帯域の使用率を算出する。そして、算出した帯域の使用率と、画像形成装置1の性能に関する情報とに基づいて、管理用画像の生成についての利用可能帯域を算出する。すなわち、制御部11は、管理用画像の生成について、ジョブの実行動作に影響を与えずに取り扱うことが可能な1ページの用紙についての管理用画像の最大データ量を算出する。そして、管理用画像のデータ量が算出した最大データ量に納まるように、生成条件を設定する。生成条件は、ユーザによる指示に基づいて生成される。
利用可能帯域の算出は、種々の方法により行うことができる。例えば、ジョブの種類(印刷ジョブであるか、複写ジョブであるか等)に対応する所定値が、ジョブ実行時の帯域使用率として算出されるようにしてもよい。また、ジョブの情報に基づいて制御部11が各部で必要な処理量、データ転送量を算出し、それに基づいてジョブ実行時の帯域使用率が算出されるようにしてもよい。
具体的には、印刷ジョブである場合、制御部11は、そのジョブに含まれる各ページについて、必要な処理量を算出する。例えば、画像生成部30における第1画像の生成に必要な処理や、画像処理部17による画像処理や、画像形成部20における印刷動作に必要な処理量を算出する。なお、制御部11は、これらの処理量の算出に代えて、最も処理量が多くなるようなワーストケースを想定した所定値を用いることができる。所定値を用いることにより、利用可能帯域の算出に関する処理負担を軽減することができる。
他方、スキャナ部31が用いられる複写ジョブである場合には、制御部11は、原稿1枚あたりで最も処理量が多くなるようなワーストケースを想定した所定値を用いて、処理量を算出する。すなわち、この場合、スキャナ部31を用いて画像生成部30が第1画像を生成する際に必要な処理量と、画像処理部17による画像処理と、画像形成部20における印刷動作に必要な処理量とが算出される。なお、ジョブの投入時にユーザにより指定されたスキャナ部31による読取条件等に応じて、制御部11は、必要な処理量を算出する。
なお、制御部11は、全帯域のうち、ジョブの実行に用いられる帯域のほか、その他の処理に利用される帯域が確保されるようにして、利用可能帯域を算出してもよい。例えば、画像形成装置1で動作中のプログラムの実行量やメモリ使用量など、リソースの帯域の使用状況に基づいて、その状況下で必要な帯域が確保されるようにしてもよい。また、一般的に、常時処理余力として残しておくべき帯域が予め設定されており、その帯域が確保されるようにして算出を行ってもよい。
ここで、取り扱うことが可能な管理用画像のデータ量に制限がある状況下において、管理用画像とする領域の広さと、管理用画像を圧縮する程度とは、互いにトレードオフの関係にある。すなわち、領域を広くとる場合には、比較的高圧縮する必要がある。その逆に、低圧縮の管理用画像を生成する場合には、領域を比較的狭くする必要がある。
生成条件の設定時において、制御部11は、ユーザから管理用画像の圧縮に関する指示入力(圧縮条件の指定)を求め、入力された指示に応じて、管理用画像の領域の広さを自動的に設定するようにしてもよい。このとき、利用可能帯域内で実現可能な範囲で、できるだけ広い領域が設定されるようにしてもよい。反対に、制御部11は、ユーザから管理用画像の領域の広さや位置に関する指示入力(画像領域の指定)を求め、入力された指示に応じて、管理用画像の圧縮の程度に関して自動的に設定するようにしてもよい。このとき、利用可能帯域内で実現可能な範囲で、できるだけ低い圧縮率が設定されるようにしてもよい。
このとき、設定される内容は、表示部14等にプレビュー表示を行って、視覚的にユーザが確認できるようにしてもよい。これにより、ユーザは、管理用画像として許容できる領域の広さと画質(圧縮の程度)とのバランスを適宜設定することができる。なお、この場合も、領域の位置は適宜設定できるようにしてもよいし、領域の位置は制御部11により自動的に設定されるようにしてもよい。また、領域と圧縮との両方について、ユーザからの指示を受け付け、一方について受け付けられた指示に従って、他方の設定が自動的に変更されるようにしてもよい。
以下、本実施の形態における条件設定処理の一例について説明する。
図7は、条件設定処理の一例を示すフローチャートである。
図7に示されるように、条件設定処理が開始されると、ステップS111において、制御部11は、ジョブの実行時の帯域使用率を算出する。算出に際しては、例えば、印刷時に用いられる情報の圧縮率等が考慮される。
ステップS112において、制御部11は、算出した帯域の使用率に基づいて、利用可能帯域を算出する。そして、制御部11は、ジョブの実行中に画像形成装置1内で転送可能なデータ量(最大データ量ということがある)を算出する。
ステップS113において、制御部11は、生成条件決定処理を行う。
ステップS114において、制御部11は、ユーザからのジョブの実行指示を受け付ける。制御部11は、実行指示を受け付けると、ジョブを実行させる。これにより、ジョブの実行に伴い、条件設定処理で設定された生成条件に従って、管理用画像が生成される。
図8は、生成条件決定処理の一例を示すフローチャートである。
本実施の形態において、生成条件決定処理では、ユーザによる、圧縮条件の指定や、画像領域の指定が付け付けられる。
図8に示されるように、ステップS131において、制御部11は、圧縮条件の指定を受け付ける。例えば、制御部11は、表示部14に指定画面を表示することにより、ユーザからの指定を受け付ける。圧縮率に関する選択肢を表示して選択を求めるようにしてもよいし、任意の圧縮率を選択できるようにしてもよい。
ステップS132において、制御部11は、画像領域指定受付処理を行う。制御部11は、後述のように、画像領域の指定を受け付ける。
ステップS133において、制御部11は、画像領域の指定結果と、圧縮条件の指定結果とに基づいて、圧縮条件の設定を行う。すなわち、制御部11は、算出した管理用画像の最大データ量と、指定された画像領域とに基づいて、圧縮率に関する判断を行う。指定された圧縮条件よりも低い圧縮率を設定することができるのであれば、制御部11は、その圧縮率を圧縮条件として設定する。これにより、できるだけ高画質な管理用画像を得ることができる。そうでない場合、すなわち指定可能な最大の画像領域が指定された場合には、制御部11は、指定された圧縮条件のまま、圧縮条件を設定する。
ステップS134において、制御部11は、生成条件を確定するか否か、ユーザによる指示を求める。確定する旨の指示がなければ、ステップS131からの処理を繰り返し行う。他方、確定する旨の指示があれば、指定された画像領域と、設定された圧縮条件とを、生成条件として確定する。これにより、確定した生成条件で、管理用画像が生成される。
図9は、画像領域指定受付処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示されるように、ステップS151において、制御部11は、プレビュー表示を行う。プレビュー表示は、例えば、表示部14に第2画像と管理用画像となる範囲とを示して行われる。例えば、印刷ジョブのうち、代表的なページについての第2画像が示され、そのうち管理用画像として指定する領域が示される。領域は、例えばユーザがその形状や大きさを任意に変形させることができるようにして示されていてもよい。また、領域は、例えば大、中、小、など、段階的にその大きさを選択可能に示されていてもよい。領域の位置は変更可能とすればよいが、位置が固定されていてもよい。
なお、プレビュー表示の初期表示としては、例えば、制御部11は、指定された圧縮条件と算出された最大データ量とに応じて、指定可能な最大範囲の領域が指定されている状態とすることができる。
ステップS152において、制御部11は、ユーザの指定操作を受け付ける。このとき、制御部11は、指定された圧縮条件と算出された最大データ量とに基づいて、ユーザの指定する領域の大きさが指定可能な最大範囲を超えることがないように制限を行う。これにより、ユーザは、指定した圧縮条件の範囲内で、容易に画像領域を指定することができる。なお、指定された圧縮条件に関わらず、画像領域を優先して設定できるようにしてもよい。
ステップS153において、制御部11は、ユーザにより画像領域を変更する操作が行われたか否かを判断する。変更された場合には、ステップS154において、変更後の画像領域についてプレビュー表示に反映する。
ステップS155において、制御部11は、ユーザによる確定操作を受け付ける。確定操作を受け付けると、画像領域指定受付処理が終了する。確定操作が受け付けられるまで、ユーザの指定操作が受け付けられる。
[変型例の説明]
上述の実施の形態において、生成条件は、ユーザによる圧縮条件の指定や画像領域の指定を受け付けずに決定されるようにしてもよい。この場合、制御部11は、予め設定されている圧縮条件の設定値と最大データ量とに基づいて画像領域を設定するようにしてもよい。
図10は、生成条件決定処理の一変型例を示すフローチャートである。
図10に示されるように、ステップS231において、制御部11は、予め設定されている圧縮条件の設定値を読み込む。設定値は、例えば、記憶部12等に記憶されている。
ステップS232において、制御部11は、圧縮条件と、算出した最大データ量とに基づいて、画像領域を設定する。画像領域の大きさは、できるだけ広く設定されるようにすればよい。画像領域の位置は、予め設定されている位置に設定される。なお、画像領域の位置は、例えば書類の属性情報など印刷ジョブの情報と、予め設定されたルールとに従って、制御部11が決定するようにしてもよい。
このように所定の設定値に基づいて、生成条件が自動的に設定されることで、ユーザの操作負担を少なくすることができる。なお、ユーザが上述の実施の形態のように生成条件に関して指定操作を行うか、自動的に制御部11により生成条件が設定されるようにするかを、ユーザが選択することができるようにしてもよい。
なお、生成された管理用画像は、管理装置として機能する外部装置50に送信されてもよい。この場合、外部装置50が、記憶部51に、履歴管理情報を記憶し、履歴管理機能を実行することができる。外部装置50は、画像形成装置1から送信された管理用画像を履歴管理情報として記憶する。外部装置50は、画像形成装置1や他の端末などからの問合せを受けて、印刷ジョブ等の実行に関する履歴情報を提供することができる。
[実施の形態における効果]
以上のように構成された画像形成装置では、ジョブの情報に基づいて、そのジョブの実行時における画像形成装置のシステム帯域使用率が算出される。そして、使用可能な帯域に応じた最大データ量の範囲で、管理用画像が生成される。したがって、画像形成装置で実行中のジョブに影響を与えることなく、履歴管理機能を利用することができる。高い性能を発揮するハードウェアを用いるなど、製造コストが高いシステム構成を採用する必要がなく、簡素な構成を用いて、効率的に履歴管理機能を実現することができる。
管理用画像の圧縮に関する設定や領域に関する設定は、ユーザが設定することができる。圧縮率と領域の広さとのどちらを優先させて管理用画像を生成させるかを、ユーザは設定できる。例えば、文字が多い書類を印刷する場合と、図柄等が多い画像を印刷する場合とで、異なる生成条件を設定することができる。したがって、目的や好みに応じて、画像形成装置で実行中のジョブに影響を与えない範囲で、様々な態様で管理用画像を生成させることができる。
特に、画像領域の指定を受け付けることで、ユーザは、履歴管理に必要な範囲を限定して管理用画像を生成させることができる。例えば、書類のうち、住所や、ID情報や、シリアルナンバー等が含まれる領域を指定することで、管理用画像のデータ量を小さくしながら、効果的に履歴管理を行うことができるようになる。
[その他]
ジョブの実行時に、履歴管理を行うか否か(管理用画像の生成を行うか否か)をユーザが指定可能であってもよい。また、制御部が、ジョブの種類や、ジョブを投入したユーザの属性等に応じて、履歴管理を行うか否かを決定するようにしてもよい。
複数ページの印刷が行われる場合、各ページで異なる生成条件が設定されるようにしてもよいし、全ページに一様な生成条件が設定されるようにしてもよい。
印刷ジョブの実行時に、制御部が、印刷されるページの内容を判別して、自動的に、画像領域や圧縮条件を決定するようにしてもよい。
制御部は、印刷されるページの内容や、第1画像や、第2画像の内容に応じて、画像領域の位置を自動的に決定するようにしてもよい。
画像形成装置としては、モノクロ/カラーの複写機、プリンタ、ファクシミリ装置やこれらの複合機(MFP)などいずれであってもよい。電子写真方式により画像を形成するものに限られず、例えばいわゆるインクジェット方式により画像を形成するものであってもよい。
画像形成装置のハードウェア構成は上述に限られるものではなく、画像処理が種々の制御回路により行われるようにしてもよい。
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアによって行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。
上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザに提供することにしてもよい。プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。上記のフローチャートで文章で説明された処理は、そのプログラムに従ってCPUなどにより実行される。
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。