JP6424563B2 - 静電チャック装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、静電チャック装置およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、IC、LSI、VLSI等の半導体を製造する半導体製造装置にて半導体ウエハ等の板状試料を静電気力により吸着固定し、この板状試料に成膜処理、エッチング処理、露光処理等の各種処理を施す際に好適に用いられる静電チャック装置およびその製造方法に関する。
静電チャック装置は、基台となる誘電体の内部に静電吸着用内部電極が設けられたものである。静電チャック装置では、基台の載置面に半導体ウエハ等の板状試料を載置し、板状試料と静電吸着用内部電極との間に静電気力を発生させて、板状試料を吸着固定する。
静電チャック装置は、誘電体の厚みを一定とし、静電吸着用内部電極を板状試料とほぼ同等の大きさとすることにより、板状試料の全面に亘ってほぼ均一に静電気力を発生させることができる。これにより、静電チャック装置は、板状試料の加工表面が平坦になるように、板状試料を精度良く固定することができる。また、静電チャック装置は、静電気力を用いるために周囲の雰囲気の影響を受け難く、真空下にても使用可能であることから、半導体ウエハ等の板状試料に成膜処理、エッチング処理、露光処理等を施す半導体の製造工程にて広く利用されている。
半導体の製造工程においても、近年、生産性の向上、すなわち各種処理工程における処理時間の短縮が強く要求されている。成膜処理、エッチング処理、露光処理等では、一枚の板状試料を処理するのに要する時間、すなわちスループットを短縮することが強く求められている。特に、静電チャック装置に固定した板状試料を離脱させるのに要する時間を短縮することが急務となっている。
従来の静電チャック装置では、板状試料を載置する基台が誘電体の絶縁性セラミックスから構成されているため、板状試料を吸着する際、板状試料および基台の載置面それぞれに極性の異なる電荷が帯電して、静電気力が発現する。そのため、板状試料を離脱させる際に印加電圧を停止しても、板状試料および基台の載置面に帯電した電荷を直ちに放電することができず、吸着力が持続された状態、いわゆる、残留吸着力が発生した状態となり、板状試料を直ちに離脱させることができず、スループットを向上させることができないという問題があった。
そこで、このような問題を解決するべく、例えば、絶縁性セラミックスからなる誘電体層の上面に機械的加工により凹部を形成し、この凹部に導電性セラミックスからなる導電部材(嵌合部材) を挿入し、この凹部の側面および底面と、導電部材とを、接着、ガラス付け、ロウ付け等の接着・接合剤により接合して、凹部と導電部材とを一体化し、誘電体層の上面と導電部材の上面とで形成される平面を、板状試料を載せる載置面とし、導電部材をアース接続するとともに、誘電体層の下面に静電吸着用内部電極を形成した静電チャック装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような静電チャック装置では、板状試料を離脱させる際、板状試料や基台の載置面に帯電した電荷を、導電部材により直ちにアースへ逃がして、吸着力(静電気力)を消失させることにより、短時間で載置面より板状試料を離脱させ、スループットの向上を図っている。
また、静電チャック装置の基台に、基台を貫通し、かつ基台と嵌合一体化する残留電荷放電用端子を設け、この残留電荷放電用端子の一端部を被吸着物の載置面と同一平面に配し、かつ、この残留電荷放電用端子を接地する静電チャック装置も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この静電チャック装置にあっては、残留電荷放電用端子により、板状試料に帯電した電荷を効率よくかつ確実に逃がすことができるので、短時間で載置面より板状試料を離脱させることができ、スループットの向上を図っている。
特開2002−170871号公報 特開2007−311399号公報
しかしながら、特許文献1の静電チャック装置は、誘電体層の上面に、機械的加工により凹部を形成し、この凹部に導電性セラミックスからなる導電部材を挿入し、この凹部の側面および底面と、導電部材とを、接着・接合剤により接合したものであるから、凹部と導電部材との間に隙間が生じている。そのため、この隙間が原因となって、凹部の周縁部が板状試料との接触により磨耗してパーティクルが発生したり、凹部と導電部材とを接合する接着・接合剤が板状試料への汚染源となったりするおそれがあった。
また、特許文献2の静電チャック装置では、残留電荷放電用端子が基台の積載面となる材料と異なる組成であるため、残留電荷放電用端子と基台の境界部でクラックが発生しやすいという問題、製造工程が煩雑になりコストが増加するという問題、残留電荷放電用端子を多数設置することができないため、残留電荷放出の効果に限界があるという問題があった。
さらに、いずれの静電チャック装置においても、板状試料に接する基台の載置面には、導電部材や残留電荷放電用端子等の誘電体材料とは熱伝導率の異なる異種材料が用いられているため、半導体の製造プロセスで重要となる半導体ウエハ等の均熱性を阻害するおそれがある。特に、プラズマを用いた成膜装置やエッチング装置では、プラズマによる熱の伝導が不均一になるため、その傾向がより顕著になる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、板状試料および静電チャック装置に帯電した電荷を直ちに放電し、板状試料を直ちに離脱させることができ、かつスループットを向上させることができる静電チャック装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、基体は、絶縁性材料の中に導電性粒子が分散した複合焼結体を形成材料とし、絶縁性材料は、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.5μm以上2.0μm以下の第1絶縁性粒子と、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.1μm以上0.5μm未満の第2絶縁性粒子と、を含み、導電性粒子は、基体の一主面に分散し、かつ第2絶縁性粒子とともに0.5μm以上5.0μm以下の平均粒子径で凝集した凝集部を構成している構造とすることで、前記課題が解決出来ることを見出した。
本発明の静電チャック装置は、基体の一主面に板状試料を静電吸着する静電チャック装置であって、前記基体は、絶縁性材料の中に導電性粒子が分散した複合焼結体を形成材料とし、前記絶縁性材料は、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.5μm以上2.0μm以下の第1絶縁性粒子と、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.1μm以上0.5μm未満の第2絶縁性粒子と、を含み、前記導電性粒子は、前記一主面に分散し、かつ前記第2絶縁性粒子とともに0.5μm以上5.0μm以下の平均粒子径で凝集した凝集部を構成していることを特徴とする。
本発明の静電チャック装置の製造方法は、基体の一主面に板状試料を静電吸着する静電チャック装置の製造方法であって、絶縁性セラミックスを形成材料とする絶縁性粒子と、第1導電性粒子と、前記第1導電性粒子よりも平均粒子径が小さい第2導電性粒子と、を用いて製造した、平均粒子径が0.5μm以上2.0μm以下の第1絶縁性粒子と平均粒子径が0.1μm以上0.5μm未満の第2絶縁性粒子とを含む顆粒を焼成する工程と、得られるセラミックス焼結体を用いて、前記第1導電性粒子と前記第2導電性粒子が、前記一主面に分散し、かつ前記第2絶縁性粒子とともに0.5μm以上5.0μm以下の平均粒子径で凝集した凝集部を構成する前記基体を形成する工程と、を有することを特徴とする。
本発明の静電チャック装置によれば、基体は、絶縁性材料の中に導電性粒子が分散した複合焼結体を形成材料とし、絶縁性材料は、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.5μm以上2.0μm以下の第1絶縁性粒子と、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.1μm以上0.5μm未満の第2絶縁性粒子と、を含み、導電性粒子は、基体の一主面に分散し、かつ第2絶縁性粒子とともに0.5μm以上5.0μm以下の大きさで凝集した凝集部を構成しているために、被吸着物である板状試料を直ちに離脱させることができ、スループットの向上を達成できる。
本発明の静電チャック装置の製造方法によれば、絶縁性セラミックスを形成材料とする絶縁性粒子と、第1導電性粒子と、第1導電性粒子よりも平均粒子径が小さい第2導電性粒子と、を用いて製造した顆粒を焼成する工程と、得られるセラミックス焼結体を用いて基体を形成する工程と、を有するため、簡便に、かつ高い歩留りで上記特性の静電チャック装置を得ることができる。
本実施形態の静電チャック装置の一実施形態を示す概略断面図である。 本実施形態の静電チャック装置を構成する静電チャック部材を示す概略平面図であり、(a)は全体図、(b)は(a)のα部の拡大図である。 本実施形態の静電チャック装置を構成する静電チャック部材の一主面の組成を示す模式図である。 実施例1のセラミックス誘電体材料の走査型電子顕微鏡像である。 比較例のセラミックス誘電体材料の走査型電子顕微鏡像である。
本発明の静電チャック装置およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[静電チャック装置]
図1は、本実施形態の静電チャック装置の一実施形態を示す概略断面図である。図2は、本実施形態の静電チャック装置を構成する静電チャック部材を示す概略平面図であり、(a)は全体図、(b)は(a)のα部の拡大図である。図3は、本実施形態の静電チャック装置を構成する静電チャック部材の一主面の組成を示す模式図である。
本実施形態の静電チャック装置10は、上面(一主面)11aをウエハ(板状試料)Wを載置する載置面とした静電チャック部材(本発明における基体)11、および、この静電チャック部材11の下面(他の一主面)11b側に設けられた静電吸着用電極12を備える静電チャック部13と、静電チャック部13を支持するとともに、ウエハWを冷却するベース部(基台)14とから概略構成されている。
静電吸着用電極12には、シート状またはフィルム状の(第1の)有機系接着剤層15を介して、シート状またはフィルム状の絶縁層16が接着されている。絶縁層16および静電チャック部13には、(第2の)有機系接着剤層17を介して、ベース部(基台)14が接着されている。ベース部(基台)14は、加熱装置あるいは冷却装置に相当する。
静電チャック部材11は、円板状をなしている。
静電チャック部材11の厚さは、0.3mm以上かつ5.0mm以下が好ましく、0.4mm以上かつ3.0mm以下がより好ましい。静電チャック部材11の厚さが、この範囲内であることが好ましい理由は、静電チャック部材11の厚さが0.3mm未満では、静電チャック部材11の機械的強度を確保することができず、一方、静電チャック部材11の厚さが5.0mmを超えると、静電吸着用電極12と静電チャック部材11の一主面(載置面)11aとの間の距離が増加し、ウエハWを吸着する吸着力が低下するとともに、静電チャック部材11の熱容量が大きくなり、載置されるウエハWとの熱交換効率が低下し、ウエハWの面内温度を所望の温度パターンに維持することが難しくなるからである。
静電チャック装置10の温度分布に係わる特性を向上させるためには、静電チャック部材11の一主面(載置面)11aの表面粗さRaは、0.002μmよりも大きいことが好ましく、0.005μmよりも大きいことがより好ましい。静電チャック部材11の一主面11aの表面粗さRaが0.002μmよりも大きいことが好ましい理由は、表面粗さRaが0.002μm以下であると、静電チャック部材11の一主面11aにおける熱伝達効果が不充分なものとなるからである。
そこで、静電チャック部材11の一主面11aからのパーティクルの発生を防ぐために、静電チャック部材11の一主面11aは鏡面研磨されていることが好ましく、静電チャック部材11の一主面11aの表面粗さRaは0.5μm以下であることが好ましく、0.15μm以下であることがより好ましい。
また、静電チャック部材11の一主面11aとウエハWとの間には、ヘリウム(He)ガス、窒素(N)ガス等の熱媒体を循環させる流路を形成してもよい。
また、静電チャック部材11の一主面(載置面)11aには、その一主面11aから、静電チャック部材11の厚さ方向上方に突出する円柱状の突起部18が多数形成されていてもよい。多数の突起部18は、ウエハWを支持するための部位である。突起部18は、静電チャック部材11と同じ組成の形成材料からなる。
静電チャック部材11の一主面(載置面)11aに突起部18が形成されている場合、少なくとも突起部18が、後述する非凝集部19と凝集部20を有する。
さらに、ベース部14および有機系接着剤層17を厚さ方向に貫通し、静電吸着用電極12の下面中央部に接続され、静電吸着用電極12に直流電圧を印加する給電用端子21が設けられている。
静電チャック部材11の一主面11aは、非凝集部19と、非凝集部19の間に分散する複数の凝集部20と、を有する。
静電チャック部材11は、絶縁性材料(第1絶縁性粒子22、第2絶縁性粒子23)の中に導電性粒子24が分散した複合焼結体を形成材料とする。
絶縁性材料は、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.5μm以上かつ2.0μm以下であり、焼結体粒子からなる第1絶縁性粒子22と、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.1μm以上かつ0.5μm未満の第2絶縁性粒子23と、を含む。
第1絶縁性粒子22は、静電チャック部材11の一主面11aに分散し、非凝集部19を構成している。
導電性粒子24は、平均粒子径が0.01μm以上かつ0.1μm以下である。また、導電性粒子24のうち、平均粒子径が0.01μm以上かつ0.03μm以下の粒子は、静電チャック部材11の一主面11aに分散し、かつ第2絶縁性粒子23とともに0.5μm以上かつ5.0μm以下の大きさで凝集した凝集部20を構成している。また、導電性粒子24のうち、平均粒子径が0.05μm以上かつ0.1μm以下の粒子は、第2絶縁性粒子23と凝集することなく、第1絶縁性粒子22の中に分散していることもある。
第2絶縁性粒子23は、疑似的に焼結しており、粒子同士の結合があるため、粒子の脱離が起こらない。導電性粒子24と第2絶縁性粒子23から構成される凝集部20は、粒界がある構造をなし、その粒界が電荷を放電する。
静電チャック部材11は、平均粒子径が0.1μm以上かつ0.5μm未満の第2絶縁性粒子23を含む凝集部20によって、多くの粒界を有するため、その粒界にて電荷の放電が良好に起こり、静電気力による吸着力を消失させて、被吸着物であるウエハWの脱離を素早く行い、スループットを向上する。
粒界がない焼結体粒子からなる第1絶縁性粒子22の平均粒子径が0.5μm以上かつ2.0μm以下である理由は、平均粒子径が0.5μm未満では、充分な体積抵抗率が得られず、吸着力が発現しないからである。また、平均粒子径が2.0μmを超えると、非凝集部19の耐食性や耐摩耗性が他の部分と異なるため、静電チャック部材11の一主面(載置面)11aの平面度を低下させたり、静電チャック部材11の一主面(載置面)11aの表面粗さRaが大きくなる原因になったりするからである。
第2絶縁性粒子23の平均粒子径が0.1μm以上かつ0.5μm未満である理由は、平均粒子径が0.5μm以上の粒子は、凝集しても粒界を多く形成できないため、充分に電荷の放電が起こらないからである。
導電性粒子と第2絶縁性粒子23から構成される凝集部20の大きさが0.5μm以上かつ5.0μm以下である理由は、凝集部20の大きさが0.5μm未満では、充分に電荷の放電が起こらないからである。また、凝集部20の大きさが5.0μmを超えると、凝集部20の耐食性や耐摩耗性が他の部分と異なるため、静電チャック部材11の一主面(載置面)11aの平面度を低下させたり、静電チャック部材11の一主面(載置面)11aの表面粗さRaが大きくなる原因になったりするからである。
静電チャック部材11の一主面(載置面)11aの面積(全面積)に対する、凝集部20の面積が占める割合が5%以上かつ30%以下であることが好ましく、10%以上かつ20%以下であることがより好ましい。
凝集部20の面積が占める割合が5%未満では、凝集部20によって、充分に電荷の放電が起こらない。一方、凝集部20の面積が占める割合が30%を超えると、凝集部20の耐食性や耐摩耗性が他の部分と異なるため、静電チャック部材11の一主面(載置面)11aの平面度を低下させたり、静電チャック部材11の一主面(載置面)11aの表面粗さRaが大きくなる原因になったりする。
第1絶縁性粒子22および第2絶縁性粒子23、すなわち絶縁性セラミックスとしては、酸化アルミニウム(Al)、酸化イットリウム(Y)、酸化ケイ素(SiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)、ムライト(3Al・2SiO)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化スカンジウム(Sc)、酸化ネオジム(Nd)、酸化ニオブ(Nb)、酸化サマリウム(Sm)、酸化イッテルビウム(Yb)、酸化エルビウム(Er)および酸化セリウム(CeO)の群から選択される1種のみからなる酸化物、または、前記の群から選択される2種以上を混合してなる複合酸化物であることが好ましい。
これらの中でも、酸化アルミニウム(Al)は、安価で耐熱性に優れ、複合焼結体の機械的特性も良好であることから、静電チャック部材11に好適に用いられる。
また、アルミニウム(Al)含有量が少ない絶縁性セラミックスを使用したい場合や耐食性をさらに高めたい場合には、酸化イットリウム(Y)、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG:3Y・5Al)等を用いることもできる。
絶縁性セラミックスとして酸化アルミニウム(Al)を用いる場合、酸化アルミニウム(Al)の原料粉体としては、平均粒子径が0.5μm以下の酸化アルミニウム粉体を用いることが好ましい。
平均粒子径が0.5μm以下の酸化アルミニウム粉体を用いることが好ましい理由は、平均粒子径が0.5μmを超える酸化アルミニウム粉体を用いて得られた焼結体(静電チャック部材11)においては、導電性粒子と、平均粒子径が0.1μm以上かつ0.5μm未満の第2絶縁性粒子23が凝集してなる0.5μm以上かつ5.0μm以下の凝集部20を充分に形成することが難しくなり、凝集部20からの電荷の放電が充分に起こらなくなるためである。
酸化アルミニウム(Al)の原料粉体としては、平均粒子径が0.5μm以下で高純度のものであれば、特に限定されない。
導電性粒子としては、焼結工程において、上記の絶縁性セラミックスに固溶体や反応生成物を生成しない材料が好ましく、導電性セラミックス粒子、高融点金属粒子および炭素(C)粒子の群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、絶縁性セラミックスの電気的特性を劣化させない材料が好ましい。これらの材料が好ましい理由は、絶縁性セラミックスに固溶体や反応生成物を生成すると、電気的特性の温度変化が大きくなり、静電チャック装置10として必要な静電チャック部材11の体積抵抗率(>1013Ωcm)や耐電圧(>5kV/mm)が得られなくなるからである。
導電性セラミックス粒子としては、例えば、導電性炭化珪素(SiC)粒子等が挙げられる。
高融点金属粒子としては、例えば、モリブデン(Mo)粒子、タングステン(W)粒子、タンタル(Ta)粒子等が挙げられる。
これらの中でも、導電性炭化珪素(SiC)粒子は、これを酸化アルミニウム(Al)粒子と複合化した場合、得られる複合焼結体は、電気的特性の温度依存性が小さく、ハロゲンガスに対する耐蝕性に優れ、耐熱性、耐熱衝撃性に富み、かつ高温下の使用においても熱応力による損傷の危険性が小さいので好ましい。
導電性炭化珪素(SiC)粒子の原料粉体としては、導電性に優れることから、β型の結晶構造を有する炭化珪素粉体を用いることが好ましい。なお、この炭化珪素粉体の導電性を制御するために、炭化珪素中の窒素の含有率を適宜制御したものを用いてもよい。
導電性炭化珪素(SiC)粒子の原料粉体としては、プラズマCVD法、前駆体法、熱炭素還元法、レーザー熱分解法等の各種の方法により得られた炭化珪素粉体を用いることができる。特に、静電チャック部材11を半導体プロセスにて用いる場合、半導体プロセスでの悪影響を防ぐために、純度の高い炭化珪素粉体を用いることが好ましい。
静電吸着用電極12は、電荷を発生させて静電吸着力でウエハWを固定するための静電チャック用電極として用いられるもので、その用途によって、その形状や、大きさが適宜調整される。
静電吸着用電極12の厚さは、特に限定されないが、プラズマ発生用電極として用いる場合、5μm以上かつ200μm以下であることが好ましく、10μm以上かつ100μm以下であることがより好ましい。静電吸着用電極12の厚さが前記の範囲内であることが好ましい理由は、静電吸着用電極12の厚さが5μm未満では、充分な導電性を確保することができないからである。一方、静電吸着用電極12の厚さが200μmを超えると、静電チャック部材11と静電吸着用電極12との間の熱膨張率差に起因して、静電チャック部材11と静電吸着用電極12との接合界面に亀裂が入り易くなるとともに、静電チャック部材11と静電吸着用電極12との間の段差を有機系接着剤層15で覆うことができなくなり、静電チャック部材11および静電吸着用電極12の側面方向の絶縁性が低下するからである。
静電吸着用電極12の材料は、静電チャック部材11を構成する材料との熱膨張差や耐熱性等を考慮して選定されるが、例えば、非磁性材料である金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)等の金属、チタン、タングステン、モリブデン、白金等の高融点金属、グラファイト、カーボン等の炭素材料、炭化ケイ素(SiC)、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)等の導電性セラミックス、TiC−Ni系、TiC−Co系、B4C−Fe系等のサーメット等が好適に用いられる。これらの材料の熱膨張係数は、静電チャック部材11の熱膨張係数にできる限り近似していることが好ましい。
このような静電吸着用電極12は、スパッタ法や蒸着法等の成膜法、あるいは、スクリーン印刷法等の塗工法により容易に形成することができる。
ベース部14は、厚みのある円板状をなしている。また、ベース部14は、静電チャック部13に載置されるウエハWを、加熱あるいは冷却して温度を調整するためのものである。有機系接着剤層15、絶縁層16および有機系接着剤層17を介して、静電チャック部13を加熱あるいは冷却することにより、静電チャック部13に載置されたウエハWを所望の温度パターンに調整することができる。
ベース部14は、外部の高周波電源(図示略)に接続されており、ベース部14の内部には、必要に応じて、加熱用、冷却用もしくは温度調節用の水、または、絶縁性の熱媒もしくは冷媒を循環させる流路が形成されている。
ベース部14を構成する材料としては、熱伝導性、電気導電性、加工性に優れた金属、金属−セラミックス複合材料のいずれかであれば特に制限はなく、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス鋼(SUS) 等が好適に用いられる。ベース部14の側面、すなわち、少なくともプラズマに曝される面は、アルマイト処理、または、アルミナ、イットリア等の絶縁性の溶射材料にて被覆されていることが好ましい。
ベース部14では、少なくともプラズマに曝される面に、アルマイト処理または絶縁膜が成膜されていることにより、耐プラズマ性が向上する上に、異常放電が防止され、耐プラズマ安定性が向上する。また、アルマイト処理または絶縁膜が成膜されていることにより、ベース部14の表面に傷が付き難くなるので、傷の発生を防止することができる。
有機系接着剤層15は、アクリル、エポキシ、ポリエチレン等からなるシート状またはフィルム状の接着剤であり、熱圧着式の有機系接着剤シートまたはフィルムであることが好ましい。
その理由は、熱圧着式の有機系接着剤シートまたはフィルムは、静電吸着用電極12上に重ね合わせて、真空引きした後、熱圧着することにより、静電吸着用電極12との間に気泡等が生じ難くいため、剥がれ難く、静電チャック部13の吸着特性や耐電圧特性を良好に保持することができるからである。
有機系接着剤層15の厚さは、特に限定されないが、接着強度および取り扱い易さ等を考慮すると、5μm以上かつ100μm以下であることが好ましく、10μm以上かつ50μm以下であることがより好ましい。
有機系接着剤層15の厚さが上記の範囲内であれば、有機系接着剤層15と静電吸着用電極12の下面との間の接着強度が向上する上に、有機系接着剤層15の厚さがより均一になる。その結果、静電チャック部13とベース部14との間の熱伝達率が均一になり、静電チャック部13に載置されたウエハWの加熱特性または冷却特性が均一化され、ウエハWの面内温度が均一化される。
有機系接着剤層15の厚さが5μm未満では、静電チャック部13とベース部14との間の熱伝達性が良好となるものの、有機系接着剤層15の厚さが薄くなり過ぎることから、有機系接着剤層15と静電吸着用電極12の下面との間の接着強度が弱くなり、有機系接着剤層15と静電吸着用電極12の下面との間に剥離が生じ易くなる。一方、有機系接着剤層15の厚さが100μmを超えると、有機系接着剤層15の厚さが厚くなり過ぎることから、静電チャック部13とベース部14との間の熱伝達性を充分に確保することができなくなり、加熱効率あるいは冷却効率が低下する。
このように、有機系接着剤層15をシート状またはフィルム状の接着剤としたことにより、有機系接着剤層15の厚さが均一化され、静電チャック部13とベース部14との間の熱伝達率が均一になる。よって、静電チャック部13に載置されたウエハWの加熱特性または冷却特性が均一化され、ウエハWの面内温度が均一化される。
絶縁層16は、静電チャック部13における印加電圧に耐え得る絶縁性樹脂からなるシート状またはフィルム状の絶縁材料からなる。このような絶縁材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、芳香族ポリアミド等が挙げられる。
絶縁層16の外周部は、静電チャック部13を平面視した場合、静電チャック部材11の外周部より内側に設けられている。
このように、絶縁層16の外周部を静電チャック部材11の外周より内側に設けることにより、絶縁層16は、酸素系プラズマに対する耐プラズマ性、腐食性ガスに対する耐腐食性が向上し、パーティクル等の発生も抑制される。
絶縁層16の厚さは、40μm以上かつ200μm以下であることが好ましく、50μm以上かつ100μm以下であることがより好ましい。
絶縁層16の厚さが40μm未満では、静電吸着用電極12に対する絶縁性が低下し、静電吸着力も弱くなり、静電チャック部材11の一主面(載置面)11aに、ウエハWを良好に固定することができなくなる。一方、絶縁層16の厚さが200μmを超えると、静電チャック部13とベース部14との間の熱伝達性を充分に確保することができなくなり、静電チャック部13に載置されたウエハWの加熱効率あるいは冷却効率が低下する。
有機系接着剤層17は、静電チャック部13および絶縁層16と、ベース部14とを接着・固定するとともに、静電吸着用電極12、有機系接着剤層15および絶縁層16を覆うように設けられたことにより、これらの層を酸素系プラズマや腐食性ガスから保護するものである。有機系接着剤層17は、耐プラズマ性が高く、熱伝導率が高く、ベース部14からの加熱効率あるいは冷却効率が高い材料が好ましく、例えば、耐熱性、弾性に優れた樹脂であるシリコーン系樹脂組成物が好ましい。
シリコーン系樹脂組成物としては、シロキサン結合(Si−O−Si)を有するケイ素化合物であり、例えば、熱硬化温度が70℃〜140℃のシリコーン樹脂を用いることが好ましい。
ここで、熱硬化温度が70℃未満のシリコーン樹脂は、静電チャック部13および絶縁層16と、ベース部14とを接合する際、接合過程の途中で硬化が始まってしまい、接合作業に支障を来すおそれがある。一方、熱硬化温度が140℃を超えるシリコーン樹脂は、静電チャック部13および絶縁層16と、ベース部14との熱膨張差を吸収することができず、静電チャック部材11の一主面(載置面)11aにおける平坦度が低下するばかりでなく、静電チャック部13および絶縁層16と、ベース部14との間の接合力が低下し、これらの間で剥離が生じるおそれがある。
有機系接着剤層17の熱伝導率は、0.25W/mk以上であることが好ましく、0.5W/mk以上であることがより好ましい。
有機系接着剤層17の熱伝導率が0.25W/mk以上であることが好ましい理由は、熱伝導率が0.25W/mk未満では、ベース部14からの加熱効率あるいは冷却効率が低下し、静電チャック部材11の一主面(載置面)11aに載置されるウエハWを効率的に加熱あるいは冷却することができなくなるからである。
有機系接着剤層17の厚さは、50μm以上かつ500μm以下であることが好ましい。
有機系接着剤層17の厚さが50μm未満では、有機系接着剤層17が薄くなり過ぎてしまい、その結果、接着強度を充分に確保することができず、静電チャック部13および絶縁層16と、ベース部14との間で剥離等が生じるおそれがある。一方、有機系接着剤層17の厚さが500μmを超えると、静電チャック部13および絶縁層16と、ベース部14との間の熱伝達性を充分に確保することができなくなり、ベース部14からの加熱効率あるいは冷却効率が低下するおそれがある。
また、有機系接着剤層17の熱伝導率を、上記の有機系接着剤層15の熱伝導率および絶縁層16の熱伝導率と同等またはそれ以上とすることにより、有機系接着剤層17の温度上昇を抑制することができ、有機系接着剤層17の厚さのバラツキに起因する面内温度のバラツキを低減することができ、ひいては、静電チャック部材11の一主面(載置面)11aに載置されるウエハWの面内温度を均一化することができる。
有機系接着剤層17には、平均粒子径が1μm以上かつ10μm以下のフィラー、例えば、窒化アルミニウム(AlN)粒子の表面に酸化ケイ素(SiO)からなる被覆層が形成された表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子が含有されていることが好ましい。
表面被覆窒化アルミニウム(AlN)粒子は、シリコーン樹脂の熱伝導性を改善するために混入されるもので、その混入率を調整することにより、有機系接着剤層17の熱伝達率を制御することができる。
また、有機系接着剤層17内には、静電チャック部13を加熱するためのヒーターを設けてもよい。ヒーターとしては、有機系接着剤層17の厚さを薄くするために、薄膜状のものを用いることが好ましい。また、高周波による発熱をなくすため、ヒーターには、非磁性体の金属または導電性セラミックス材料を用いることが好ましい。
給電用端子21は、静電吸着用電極12に直流電圧を印加するために設けられた棒状のものである。給電用端子21の材料としては、導電性材料であれば特に制限されない。
本実施形態の静電チャック装置10によれば、静電チャック部材11は、絶縁性材料の中に導電性粒子が分散した複合焼結体を形成材料とし、絶縁性材料は、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.5μm以上2.0μm以下の第1絶縁性粒子22と、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.1μm以上0.5μm未満の第2絶縁性粒子23と、を含み、導電性粒子は、静電チャック部材11の一主面11aに分散し、かつ第2絶縁性粒子23とともに0.5μm以上5.0μm以下の大きさで凝集した凝集部20を構成しているため、帯電した電荷の放電性に優れるために、被吸着物である板状試料を直ちに離脱させることができ、スループットの向上を達成できる。
[静電チャック装置の製造方法]
次に、本実施形態の静電チャック装置の製造方法を説明する。
本実施形態の静電チャック装置の製造方法は、上述の本実施形態の静電チャック装置を製造する方法であって、絶縁性セラミックスを形成材料とする絶縁性粒子と、第1導電性粒子と、第1導電性粒子よりも平均粒子径が小さい第2導電性粒子と、を用いて製造した顆粒を焼成する工程と、得られるセラミックス焼結体を用いて静電チャック部材(基体)を形成する工程と、を有する。
「顆粒の形成」
導電性粒子の原料粉体としては、平均粒子径が異なる2種の粒子、すなわち、第1導電性粒子と、第1導電性粒子よりも平均粒子径が小さい第2導電性粒子との原料粉体を用いる。
平均粒子径が異なる2種の導電性粒子の原料粉体を用いて、絶縁性粒子の原料粉体の焼結時の粒成長をそれぞれ制御することにより、平均粒子径が0.5μm以上かつ2.0μm以下の焼結体粒子からなる第1絶縁性粒子と、平均粒子径が0.1μm以上かつ0.5μm未満の第2絶縁性粒子とを形成する。したがって、平均粒子径の異なる2種の導電性粒子の原料粉体の混合割合を調整することにより、導電性粒子と第2絶縁性粒子が凝集してなる凝集粒子の割合が決定される。
平均粒子径が0.1μm以上かつ0.5μm未満の第2絶縁性粒子により凝集粒子を作製するためには、導電性粒子の原料粉体の粒子径は、0.01μm以上かつ0.03μm以下であることが好ましい。一方、平均粒子径が0.5μm以上かつ2.0μm以下の粒界がない焼結体粒子からなる第1絶縁性粒子を作製するためには、導電性粒子の原料粉体の粒子径は、0.05μm以上かつ0.1μm以下であることが好ましい。これら平均粒子径が異なる2種の導電性粒子の原料粉体を混合して、絶縁性粒子の原料粉体とともにスラリーを調製する。
スラリーに用いられる分散媒としては、水および有機溶媒が挙げられる。
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノール等の一価アルコール類およびその変性体;α−テルピネオール等の単環式モノテルペンに属するアルコール類;ブチルカルビトール等のカルビトール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が好適に用いられ、これらの有機溶媒のうち1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して混合溶媒として用いてもよい。
スラリーを調製する際、分散剤やバインダーを添加してもよい。
分散剤やバインダーとしては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム塩等のポリカルボン酸塩、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の有機高分子等が用いられる。
分散媒に対して、平均粒子径が異なる2種の導電性粒子の原料粉体と、絶縁性粒子の原料粉体とを分散する分散処理としては、スラリーを高圧で衝突させる方法、超音波ホモジナイザー、ビーズミル等の分散機を用いて、分散処理を加える方法等が用いられる。
なお、導電性粒子の原料粉体と、絶縁性粒子の原料粉体とを均一に混合していないと、複合化して得られる誘電体材料中の導電性粒子の分布も不均一となり、誘電損失等の電気的特性の再現性、および、焼結体内での導電性粒子の分布も不均一となる。よって、分散媒や分散剤、分散処理条件を選定して、導電性粒子の原料粉体と、絶縁性粒子の原料粉体とを均一に混合することが好ましい。
次いで、このスラリーを噴霧乾燥法により噴霧乾燥して、顆粒を得る。
噴霧乾燥装置としては、スプレードライヤー等が好適に用いられる。
ここでは、スラリーを加熱された気流中に噴霧し乾燥することにより、スラリー中の導電性粒子の原料粉体と、絶縁性粒子の原料粉体とが均一に分散された状態で、分散媒のみが飛散し、絶縁性材料中に導電性粒子が均一に分散した顆粒が得られる。
次いで、この顆粒を公知の成形手段により、所定形状に成形して、成形体を得る。
次いで、得られた成形体を、表面粗さRaが0.2mm以下の平面度を有するカーボン板で挟んで、所定の焼成雰囲気にて、1MPa以上かつ100MPa以下の加圧下にて焼成し、セラミックス焼結体からなる静電チャック部材を作製する。
焼成雰囲気としては、導電性粒子として、導電性炭化珪素(SiC)粒子、モリブデン(Mo)粒子、タングステン(W)粒子、タンタル(Ta)粒子等を用いた場合、これらの酸化を防止する必要があることから、非酸化性雰囲気、例えば、アルゴン(Ar)雰囲気、窒素(N)雰囲気等が好ましい。
カーボン板を、表面粗さRaが0.2mm以下の平面度を有するものとした理由は、表面に表面粗さRaが0.2mmより大きな凹凸があると、加圧が不均一になり、成形体の焼結状態のばらつきが、誘電損失のような電気的性質のばらつきとなって現われるからである。
成形体の焼成時の圧力を1MPa以上かつ100MPa以下とした理由は、圧力が1MPa未満では、得られた焼結体の密度が低くなり、耐食性が低下し、また、緻密な焼結体が得られず導電性も高くなり、半導体製造装置用部材(静電チャック部材)として使用する際に用途が限定されてしまい、汎用性が損なわれるからである。一方、圧力が100MPaを超えると、得られた焼結体の密度、導電性とも問題はないが、部材の大型化に伴う大型焼結体の焼結装置を設計する際、加圧面積に制限が生じるからである。
また、焼成温度は、絶縁性粒子の通常の焼結温度を適用することができる。例えば、絶縁性粒子に酸化アルミニウムを用いる場合、1500℃以上かつ1900℃以下であることが好ましい。
成形体を1500℃以上かつ1900℃以下にて焼成することが好ましい理由は、焼成温度が1500℃未満では、成形体の焼結が不充分となり、緻密なセラミックス焼結体が得られなくなるおそれがあるからである。一方、焼成温度が1900℃を超えると、成形体の焼結が進みすぎて、異常粒成長等が生じる等のおそれがあり、その結果、緻密なセラミックス焼結体が得られなくなるおそれがあるからである。
また、焼成時間は、緻密な焼結体が得られるのに充分な時間であればよく、例えば、1時間〜6時間である。
上記のようにして得られたセラミックス焼結体を、所定の形状(例えば、円板状)に加工して静電チャック部材とし、その静電チャック部材を用いて、静電チャック装置を作製する。
このようにして作製した静電チャック部材は、絶縁性材料の中に導電性粒子が分散した複合焼結体を形成材料とし、絶縁性材料は、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.5μm以上2.0μm以下の第1絶縁性粒子と、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.1μm以上0.5μm未満の第2絶縁性粒子と、を含み、導電性粒子は、その一主面に分散し、かつ第2絶縁性粒子とともに0.5μm以上5.0μm以下の大きさで凝集した凝集部を構成しているので、電荷を素早く放電できるために、スループットの向上した静電チャックとして好適に用いることができる。
本発明の静電チャック装置の製造方法によれば、絶縁性セラミックスを形成材料とする絶縁性粒子と、第1導電性粒子と、第1導電性粒子よりも平均粒子径が小さい第2導電性粒子と、を用いて製造した顆粒を焼成する工程と、得られるセラミックス焼結体を用いて静電チャック部材を形成する工程と、を有するため、簡便に、かつ高い歩留りで上記特性の静電チャック装置を得ることができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
平均粒子径が0.03μmのSiC粉体と、平均粒子径が0.05μmのSiC粉体とを、質量比で2:8の割合で混合した炭化珪素(SiC)粉体が8質量%、平均粒子径が0.1μmの酸化アルミニウム(Al)粉体が92質量%となるように秤量して、スラリーを調製した。
このスラリーを、湿式ジェットミル装置を用いて、150MPaの圧力で加圧し、スラリー同士を斜向衝突させることで、水中に分散する分散処理を行い、分散液を調整した。
この分散液を、スプレードライヤーを用いて200℃にて乾燥し、Al−SiC複合粉体を得た。
次いで、このAl−SiC複合粉体を、公知の成形手段により、所定形状に成形した。
次いで、その成形体を、表面粗さRaが0.1mmの平面度を有するカーボン板に挟んで、ホットプレスを用いて、アルゴン(Ar)雰囲気下、1650℃、圧力25MPaにて2時間焼成を行い、Al−SiC複合焼結体を作製した。
次いで、得られたAl−SiC複合焼結体を、直径300mm、厚さ1.0mmの円板状に加工し、実施例1のAl−SiC複合焼結体からなるセラミックス誘電体材料を作製した。
実施例1のセラミックス誘電体材料の表面を、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)で観察した。走査型電子顕微鏡像を図4に示す。図4に示す走査型電子顕微鏡像から、粒子径1μm〜2μmの焼結体粒子と、その間に粒子径0.5μm未満の粒子が集まって凝集体を形成している構造となっているのが確認できた。
[実施例2]
平均粒子径が0.03μmのSiC粉体と、平均粒子径が0.05μmのSiC粉体とを、質量比で1:9の割合で混合した以外は、実施例1と同様にして、実施例2のAl−SiC複合焼結体からなるセラミックス誘電体材料を作製した。
[比較例]
平均粒子径が0.05μmの炭化珪素(SiC)粉体が8質量%、平均粒子径が0.1μmの酸化アルミニウム(Al)粉体が92質量%となるように秤量して、スラリーを調製した以外は、実施例1と同様にして、比較例のAl−SiC複合焼結体からなるセラミックス誘電体材料を作製した。
比較例のセラミックス誘電体材料の表面を、走査型電子顕微鏡で観察した。走査型電子顕微鏡像を図5に示す。図5に示す走査型電子顕微鏡像から、比較例のセラミックス誘電体材料は、粒子径0.5μm〜2μmの焼結体粒子のみからなる構造となっているのが確認できた。
[静電チャックの評価]
実施例1、2および比較例で得られたセラミックス誘電体材料を用いて、図1に示すような静電チャック装置を作製した。
得られた静電チャック装置の静電チャック部材の一主面(載置面)に、Siウエハを静電吸着させ、この静電チャックの静電吸着力、静電吸着時間および離脱時間をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
なお、静電吸着時間とは、静電吸着用電極に、直流2500Vの電圧を印加したときに静電吸着力が9800Pa(100gf/cm)になるまでの時間であり、離脱時間とは、静電吸着用電極に、直流2500Vの電圧を1分間印加した後に印加を中止し、その時から静電吸着力が980Pa(10gf/cm )になるまでの時間である。
表1の結果から、静電吸着力および静電吸着時間に関して、実施例1、2および比較例は、ほぼ同じ特性を有していた。
一方、離脱時間に関して、実施例1、2は、比較例と比べて早く、スループットが約1/5〜1/10に短縮できることが分かった。
10・・・静電チャック装置、11・・・静電チャック部材、12・・・静電吸着用電極、13・・・静電チャック部、14・・・ベース部(基台)、15・・・有機系接着剤層、16・・・絶縁層、17・・・有機系接着剤層、18・・・突起部、19・・・非凝集部、20・・・凝集部、21・・・静電吸着用電極、22・・・第1絶縁性粒子、23・・・第2絶縁性粒子、24・・・導電性粒子。

Claims (4)

  1. 基体の一主面に板状試料を静電吸着する静電チャック装置であって、
    前記基体は、絶縁性材料の中に導電性粒子が分散した複合焼結体を形成材料とし、
    前記絶縁性材料は、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.5μm以上2.0μm以下の第1絶縁性粒子と、絶縁性セラミックスを形成材料とし、平均粒子径が0.1μm以上0.5μm未満の第2絶縁性粒子と、を含み、
    前記導電性粒子は、前記一主面に分散し、かつ前記第2絶縁性粒子とともに0.5μm以上5.0μm以下の平均粒子径で凝集した凝集部を構成していることを特徴とする静電チャック装置。
  2. 前記一主面の面積に対する前記凝集部の面積が占める割合が5%以上30%以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電チャック装置。
  3. 前記絶縁性セラミックスはAlであり、
    前記導電性粒子はSiCを形成材料とすることを特徴とする請求項1または2に記載の静電チャック装置。
  4. 基体の一主面に板状試料を静電吸着する静電チャック装置の製造方法であって、
    絶縁性セラミックスを形成材料とする絶縁性粒子と、第1導電性粒子と、前記第1導電性粒子よりも平均粒子径が小さい第2導電性粒子と、を用いて製造した、平均粒子径が0.5μm以上2.0μm以下の第1絶縁性粒子と平均粒子径が0.1μm以上0.5μm未満の第2絶縁性粒子とを含む顆粒を焼成する工程と、
    得られるセラミックス焼結体を用いて、前記第1導電性粒子と前記第2導電性粒子が、前記一主面に分散し、かつ前記第2絶縁性粒子とともに0.5μm以上5.0μm以下の平均粒子径で凝集した凝集部を構成する前記基体を形成する工程と、を有することを特徴とする静電チャック装置の製造方法。
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