JP6422830B2 - 更生タイヤ用クッションゴム組成物、及びそれを用いた更生タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、更生タイヤのクッションゴムとして用いられるゴム組成物、及びそれを用いた更生タイヤに関する。
使用済みのタイヤを更生する場合、使用済みのタイヤのトレッド部を研磨して台タイヤを作製し、得られた台タイヤに対し、新たなトレッドゴムを貼り合わせることが行われている。しかし、更生タイヤを使用することにより、トレッドゴムと台タイヤとの剥離が生じる問題がある。そのため、上記剥離を抑制して更生タイヤの耐久性能を向上させるために、種々の提案がされているが(例えば、特許文献1参照)、市場の厳しい要求に応えるべく、更なる耐久性能の向上が求められている。
なお、特許文献2には、芳香族縮合複素環がアルキレン基を介して硫黄原子と結合した構造を持つ硫黄化合物を、ゴム組成物に配合することが提案されている。しかし、この文献は、低発熱性能とともに、耐摩耗性能や耐引裂性能等を向上させることを目的としたものであり、更生タイヤ用のクッションゴム組成物に、更生タイヤの耐久性能を向上させる目的で当該硫黄化合物を混合することについての言及はない。
特開2008−094266号公報 特開2015−040245号公報
本発明は、以上の点に鑑み、更生タイヤにおいて、トレッドゴムと台タイヤとの剥離を軽減し、耐久性能を向上させることができる更生タイヤ用クッションゴム組成物及びそれを用いた更生タイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る更生タイヤ用クッションゴム組成物は、トレッドゴムと台タイヤとの間に介在して両者を結合させるクッションゴム組成物であって、ジエン系ゴムと、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種の硫黄化合物を含有するものである。
Figure 0006422830
式中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはアルケニル基、又は炭素数3〜6の環状のアルキル基もしくはアルケニル基を示し、AはNHを示し、Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはアルケニル基、又は炭素数3〜6の環状のアルキル基もしくはアルケニル基を示す。xは1〜4の整数を示す。
当該硫黄化合物の配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部であってもよい。
また、更生タイヤ用クッションゴム組成物は、カーボンブラックをジエン系ゴムに分散させたカーボンマスターバッチと当該硫黄化合物を混合することにより得ることもできる。
これらの更生タイヤ用クッションゴム組成物を、トレッドゴムと台タイヤとの間に介在して両者を結合するクッションゴムに用いることにより、更生タイヤとすることができる。
本発明によれば、更生タイヤ用クッションゴム組成物に、特定の構造を持つ硫黄化合物を配合することにより、トレッドゴムと台タイヤとの剥離を軽減し、更生タイヤの耐久性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
本実施形態に係る更生タイヤ用クッションゴム組成物は、トレッドゴムと台タイヤとの間に介在して両者を結合させるクッションゴム組成物であって、ジエン系ゴムと、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種の硫黄化合物を含有してなるものである。
Figure 0006422830
当該更生タイヤ用クッションゴム組成物において、ゴム成分として用いられるジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。これらジエン系ゴムは、いずれか1種を単独で、又は2種以上ブレンドして用いることができる。上記ゴム成分は、好ましくは、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、又はこれらの2種以上のブレンドである。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム単独、又は、天然ゴムと他のジエン系ゴムとのブレンドであることが好ましく、より好ましくは、天然ゴム単独、又は、60質量%以上の天然ゴムと、40質量%以下のスチレンブタジエンゴム及び/又はブタジエンゴムとのブレンドである。
本実施形態で用いる上記硫黄化合物において、上記式(1)で表される化合物は、芳香族縮合複素環がアルキレン基を介してメルカプト基と結合したチオール化合物であり、上記式(2)で表される化合物は、スルフィド基の両末端に、芳香族縮合複素環がアルキレン基を介して結合した構造(ビス体構造)を有するスルフィド化合物である。上記式(1)及び(2)において、R1は、炭素数1〜6のアルキレン基(即ち、アルカンジイル基)を示し、直鎖状でも分岐状でもよい。R1の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、又はヘキサメチレン基等が挙げられる。好ましくは、R1は−(CH2n−で表される直鎖のアルキレン基であり、ここでn=1〜6の整数(好ましくはn=1〜3の整数)である。
式(1)及び(2)中のR2は、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはアルケニル基、又は炭素数3〜6の環状のアルキル基もしくはアルケニル基を示す。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、又はn−ヘキシル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のものである。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜4のものである。環状のアルキル基又はアルケニル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、また、2−メチルシクロプロピル基のように環炭素原子に結合したアルキル基などの置換基を有するものでもよく、更には、シクロプロピルメチル基のように側鎖から水素原子を除去してできる基であってもよい。
式(1)及び(2)中のAは、NH、NR3、O又はSを示し、NH又はNR3の場合、複素環はベンズイミダゾリル基であり、Oの場合、複素環はベンズオキサゾリル基であり、Sの場合、複素環はベンズチアゾリル基である。Aとしては、NHが好ましい。R3は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基もしくはアルケニル基、又は炭素数3〜6の環状のアルキル基もしくはアルケニル基を示し、その具体例及び好ましい炭素数は上記R2と同じである。
式(2)中のxは1〜4の整数であり、より好ましくは2〜4の整数である。
式(1)で表されるチオール化合物の具体例としては、2−(ベンズイミダゾリル−2)エタン−1−チオール、2−(5−メチル−ベンズイミダゾリル−2)エタン−1−チオール、2−(ベンズイミダゾリル−2)プロパン−1−チオール、2−(5−メチル−ベンズイミダゾリル−2)プロパン−1−チオール、3−(ベンズイミダゾリル−2)プロパン−1−チオール、4−(ベンズイミダゾリル−2)ブタン−1−チオール、5−(ベンズイミダゾリル−2)ペンタン−1−チオール、6−(ベンズイミダゾリル−2)ヘキサン−1−チオール、2−(ベンズオキサゾリル−2)エタン−1−チオール、2−(ベンズオキサゾリル−2)プロパン−1−チオール、3−(ベンズオキサゾリル−2)プロパン−1−チオール、4−(ベンズオキサゾリル−2)ブタン−1−チオール、5−(ベンズオキサゾリル−2)ペンタン−1−チオール、6−(ベンズオキサゾリル−2)ヘキサン−1−チオール、2−(ベンズチアゾリル−2)エタン−1−チオール、2−(ベンズチアゾリル−2)プロパン−1−チオール、3−(ベンズチアゾリル−2)プロパン−1−チオール、4−(ベンズチアゾリル−2)ブタン−1−チオール、5−(ベンズチアゾリル−2)ペンタン−1−チオール、6−(ベンズチアゾリル−2)ヘキサン−1−チオールなどが挙げられ、好ましくは、2−(ベンズイミダゾリル−2)エタン−1−チオールである。これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
式(2)で表されるスルフィド化合物の具体例としては、ビス(ベンズイミダゾリル−2)メチルスルフィド、2,2’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)エチルスルフィド、2,2’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)エチルジスルフィド、2,2’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)エチルトリスルフィド、2,2’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)エチルテトラスルフィド、3,3’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)プロピルジスルフィド、4,4’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)ブチルジスルフィド、5,5’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)ペンチルジスルフィド、6,6’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)ヘキシルジスルフィド、2,2’−ビス(1−メチルベンズイミダゾリル−2)エチルジスルフィド、2,2’−ビス(ベンズオキサゾリル−2)エチルジスルフィド、2,2’−ビス(ベンズオキサゾリル−2)エチルテトラスルフィド、2,2’−ビス(4−メチルベンズオキサゾリル−2)エチルジスルフィド、2,2’−ビス(ベンズチアゾリル−2)エチルジスルフィド、2,2’−ビス(ベンズチアゾリル−2)エチルテトラスルフィドなどが挙げられ、好ましくは、2,2’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)エチルジスルフィド、2,2’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)エチルテトラスルフィドである。これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
当該硫黄化合物を配合することにより、更生タイヤの耐久性能を向上させることができるが、その理由は次のように考えられる。すなわち、この硫黄化合物は、複素環がかさ高い構造であるため、クッションゴムのポリマー鎖の絡み合いの中にアンカーとして働き、またこの複素環がカーボンブラックとも結合するため、強固な結合となる。さらに、この硫黄化合物は、複素環と硫黄との間にアルキレン基を有するので、隣接する加硫ゴム(トレッドゴムや台タイヤのゴム)中のジエン系ゴム分子と反応することが可能である。そのためトレッドゴムと台タイヤとの剥離を効果的に抑制することができる。
当該硫黄化合物の配合量は、特に限定されないが、ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部、更に好ましくは5〜10質量部である。当該硫黄化合物の配合量が、0.1質量部以上であると耐久性能の向上効果に優れ、10質量部以下であれば十分な効果が得られるからである。
本実施形態に係る更生タイヤ用クッションゴム組成物には、補強性充填剤を配合してもよい。
補強性充填剤としては、カーボンブラック及び/又はシリカを用いることが好ましい。すなわち、補強性充填剤は、カーボンブラック単独でも、シリカ単独でも、カーボンブラックとシリカの併用でもよい。好ましくは、カーボンブラック、又はカーボンブラックとシリカの併用である。補強性充填剤の配合量は、特に限定されず、例えば上記ジエン系ゴム100質量部に対して10〜150質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜100質量部であり、更に好ましくは30〜80質量部である。
上記カーボンブラックとしては、特に限定されず、公知の種々の品種を用いることができる。カーボンブラックの配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して10〜80質量部程度の範囲が好ましく、より好ましくは15〜50質量部である。
シリカとしても、特に限定されないが、湿式沈降法シリカや湿式ゲル法シリカなどの湿式シリカが好ましく用いられる。シリカを配合する場合、その配合量としては、ゴムのtanδのバランスや補強性などの観点からジエン系ゴム100質量部に対して10〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは15〜50質量部である。
シリカを配合する場合、スルフィドシラン、メルカプトシランなどのシランカップリング剤を併用することが好ましく、その配合量はシリカ配合量に対して2〜20質量%であることが好ましい。
本実施形態に係る更生タイヤ用クッションゴム組成物には、カーボンマスターバッチを用いてもよい。すなわち、該クッションゴム組成物は、カーボンマスターバッチと上記硫黄化合物とを混合することにより得られたものであってもよい。ここで、カーボンマスターバッチとは、予めカーボンブラックをジエン系ゴムに分散させたものであり、ドライマスターバッチでも、ウエットマスターバッチでもよい。このように、カーボンブラックを予めジエン系ゴムに分散させてなるカーボンマスターバッチを用いることにより、カーボンブラックの分散性を向上することができる。均一に分散したカーボンブラックのおかげで、上記硫黄化合物が均一に分散され、これにより、ジエン系ゴムとの結合がより強固となり、隣接する加硫ゴムとの結合も強固になるため、トレッドゴムと台タイヤとの剥離をより一層低減することができると考えられる。
カーボンマスターバッチに含まれるジエン系ゴムとしては、上述した各種ジエン系ゴムが挙げられ、好ましくは、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム及びブタジエンゴムからなる群から選択された少なくとも1種であり、より好ましくは天然ゴムである。
カーボンマスターバッチ中に含まれるカーボンブラックの量としては、特に限定されず、例えば、ジエン系ゴム100質量部に対して10〜120質量部でもよく、20〜100質量部でもよく、30〜80質量部でもよい。
上記カーボンマスターバッチを用いる場合、クッションゴム組成物中に含まれるジエン系ゴムの全てをカーボンマスターバッチ由来としてもよく、追加のジエン系ゴムを配合してもよい。カーボンマスターバッチによる上記効果を高める観点から、クッションゴム組成物中に含まれるジエン系ゴムのうち、50質量%以上(より好ましくは70質量%以上)がカーボンマスターバッチ由来のジエン系ゴムであることが好ましい。
また、上記カーボンマスターバッチを用いる場合、クッションゴム組成物中に含まれるカーボンブラックの全てをカーボンマスターバッチ由来としてもよく、追加のカーボンブラックを配合してもよい。カーボンマスターバッチによる上記効果を高める観点から、クッションゴム組成物中に含まれるカーボンブラックのうち、50質量%以上(より好ましくは70質量%以上)がカーボンマスターバッチ由来のカーボンブラックであることが好ましい。
ドライマスターバッチは、ジエン系ゴムとカーボンブラックを乾式混合して得られるものである。ドライマスターバッチの調製方法としては、特に限定されないが、例えばバンバリーミキサーを用いて、ジエン系ゴムに対して、カーボンブラックを添加し、乾式混合(混練)することにより調製することができる。
ウエットマスターバッチは、カーボンブラックを水などの分散溶媒中に分散させたスラリー溶液と、ゴムラテックス溶液とを混合し、その後、凝固、乾燥させることにより得られるものである。ウエットマスターバッチの製造方法としては、公知の方法を用いることができ、特に限定されない。例えば、一実施形態として、特許第4738551号公報に記載の方法、即ち、カーボンブラックを分散溶媒中に分散させる際に、ゴムラテックス溶液の少なくとも一部を添加することにより、ゴムラテックス粒子が付着したカーボンブラックを含有するスラリー溶液を製造後、該スラリー溶液と残りのゴムラテックス溶液とを混合し、次いで凝固・乾燥させる方法を用いてもよい。
本実施形態に係る更生タイヤ用クッションゴム組成物には、上記した各成分に加え、通常のゴム工業で使用されているプロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、軟化剤、可塑剤、ワックス、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤(グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系等)などの配合薬品類を通常の範囲内で適宜配合することができる。
上記加硫剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などの硫黄成分が挙げられ、特に限定するものではないが、その配合量はジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。また、加硫促進剤の配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
当該更生タイヤ用クッションゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練し調製することができる。すなわち、第一混合段階(ノンプロ練り工程)で、ジエン系ゴムに対し、硫黄化合物、補強性充填剤とともに、加硫剤及び加硫促進剤を除く他の添加剤を添加して混練し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階(プロ練り工程)で加硫剤及び加硫促進剤を添加して混練することにより、更生タイヤ用クッションゴム組成物を調製することができる。なお、加硫促進剤は、その一部を第一混合段階で混合してもよい。
クッションゴム組成物は、更生タイヤのクッションゴムとして用いられる。すなわち、摩耗して一次寿命を終えた空気入りタイヤのトレッド面をバフして台タイヤとし、予め加硫されたトレッドゴム(プレキュアトレッド)を台タイヤのクラウン部に貼り付ける際に、該ゴム組成物からなる未加硫のシート状のクッションゴムを両者の間に介在させ、例えば90〜140℃に加熱して、クッションゴムを加硫することにより、台タイヤとトレッドゴムを結合させる。これにより、一実施形態に係る更生タイヤが得られる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.7Lのバンバリーミキサー(神戸製鋼社製)を使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従い、まず、第一混合段階で、硫黄と加硫促進剤を除く成分を添加混合し(排出温度=160℃)、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で硫黄と加硫促進剤を添加混合して(排出温度=90℃)、更生タイヤ用クッションゴム組成物を調製した。ただし、実施例8については、加硫促進剤1を、第一混合段階で添加混合した。
表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
・天然ゴム:RSS#3
・スチレンブタジエンゴム:日本ゼオン(株)製「NIPOL1502」
・カーボンブラック1:キャボットジャパン(株)製「ショウブラックN326」
・カーボンブラック2:キャボットジャパン(株)製「ショウブラックN330T」
・ドライマスターバッチ:天然ゴム/カーボンブラック1/カーボンブラック2=75/25/15(質量比)で混合
・ウエットマスターバッチ:天然ゴム/カーボンブラック1/カーボンブラック2=75/25/15(質量比)で混合
・硫黄化合物A:2,2’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)エチルジスルフィド(特開2013−23610号公報における段落0033の参考例1に従い合成)
・硫黄化合物B:2,2’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)エチルテトラスルフィド(特開2013−23610号公報における段落0034の参考例2に従い合成)
・硫黄化合物C:2−(ベンズイミダゾリル−2)エタン−1−チオール(特開2015−40245号公報における段落0059の合成例1に従い合成)
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「亜鉛華1号」
・ステアリン酸:日油(株)製「ステアリン酸」
・老化防止剤:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
・オイル:JX日鉱日石エネルギー(株)製「プロセスP200」
・粘着付与剤:エクソンモービル社製「エスコレッツ1102」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」
・加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」
・加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーM」
・加硫促進剤3:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーZTC」
・加硫遅延剤:ランクセス(株)「ブルカレントE/C」
ドライマスターバッチは、1.7Lのバンバリーミキサー(神戸製鋼社製)を用いて、天然ゴム(RSS#3)75質量部に対して、カーボンブラック1を25質量部、カーボンブラック2を15質量部添加し、回転数80rpmで制御し、2分間混合し、160℃で排出することにより得た。
ウエットマスターバッチは、特許第4738551号公報に準拠して(1)カーボンブラックの微分散工程、(2)天然ゴムラテックス濃度調整工程、(3)ラテックスとスラリーの混合工程、(4)固液分離工程、(5)脱水工程、(6)乾燥・可塑化工程を経ることにより得た。各工程の詳細は以下の通りである。なお、天然ゴムラテックス、ギ酸の詳細は以下の通りである。
・天然ゴムラテックス(濃縮ラテックス):株式会社レヂテックス製「LA−NR(DRC=60%)」
・ギ酸:ナカライテスク(株)製「ギ酸(一級)」
(1)カーボンブラックの微分散工程では、カーボンブラックスラリーの調整を行う。固形分(ゴム)濃度0.5質量%に調整した天然ゴムラテックス溶液763.8質量部に、カーボンブラック1を25質量部、カーボンブラック2を15質量部添加しカーボンブラックスラリーを得た。なお、0.5質量%の天然ゴムラテックス溶液の使用量は、水とカーボンブラックの合計量に対するカーボンブラックの量が5質量%となるように設定した。50℃に加温した上記スラリーをPRIMIX社製ロボミックスで、スラリーを微分散させた。
(2)天然ゴムラテックス濃度調整工程では、25℃において、天然ゴムラテックスに水を加えて、25質量%に調整した。
(3)ラテックスとスラリーの混合工程では、SANYO社製家庭用ミキサーに(1)と(2)の工程で作成した各スラリーを投入し、11300rpmで30分間混合し、混合溶液の液温を80℃まで加温した。混合に際しては、天然ゴム75質量部に対して、カーボンブラック1が25質量部、カーボンブラック2が15質量部となるように調整した。その後、10%溶液に希釈したギ酸を添加し、溶液のpHが4になるよう調整した。pHは、東亜ディーケーケー社製ポータブルpH計(HM−30P)を用いて、JIS Z 8802に準拠して評価した。
(4)固液分離工程では、(3)で生成した凝固物と溶液を、ざるを用いて、分離した。
(5)脱水工程では、スクリューを180℃に加温して、スクイザー式1軸押出脱水機(スエヒロEPM製V―02型)を用いて、脱水した。
(6)乾燥・可塑化工程では、スクリューを200℃に加温して、スクイザー式1軸押出脱水機(スエヒロEPM製V―02型)を用いて、乾燥した。
硫黄化合物A〜Cの化学式は、以下の通りである。
Figure 0006422830
得られた各更生タイヤ用クッションゴム組成物を用いて更生タイヤを作製した。詳細には、タイヤサイズが11R22.5である空気入りタイヤのトレッド部を、平坦に研磨し粗面として台タイヤを作製した。プレキュアトレッドに厚さ1.5mmの更生タイヤ用クッションゴム組成物を貼り付けた後、室温で1週間放置し、台タイヤに貼り付け、環状袋体のエンベロープを被せ、リム組みし、空気を充填させた後、加硫缶に入れ、120℃で加熱することにより、更生タイヤを得た。
得られた各更生タイヤについて、耐久性能を評価した。評価方法は次の通りである。
耐久性能:試験タイヤを標準リムに組みつけて、室内ドラム試験機に接地し、JATMA規定の空気圧及び荷重の条件にて、速度40km/hから1時間ごとに10km/hずつ速度を増加させるステップアップの条件で壊れるまでの走行距離を測定し、比較例の値を100とした指数で表した。指数が大きい方が、走行距離が長く、耐久性能が高い。指数が105以上であれば、耐久性能向上効果に優れることを意味する。
Figure 0006422830
結果は、表1に示す通りである。比較例1と実施例3との対比より、硫黄化合物Aを配合することで、耐久性能が顕著に向上した。また、実施例3と他の実施例との対比より、硫黄化合物A〜Cとともにカーボンマスターバッチを用いることで、より顕著な耐久性能の向上効果が認められた。なお、比較例1と比較例2,3との対比より、硫黄化合物を配合していない場合、カーボンマスターバッチを用いても耐久性能の向上効果はほとんど認められなかった。
本発明の更生タイヤ用クッションゴム組成物は、乗用車、ライトトラック・バス等の各種更生タイヤに用いることができる。

Claims (4)

  1. トレッドゴムと台タイヤの間に介在して両者を結合させるクッションゴム組成物であって、
    ジエン系ゴムと、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物からなる群より選択された少なくとも1種の硫黄化合物とを含有する、
    更生タイヤ用クッションゴム組成物。
    Figure 0006422830
    (式中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはアルケニル基、又は炭素数3〜6の環状のアルキル基もしくはアルケニル基を示し、AはNHを示し、Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基もしくはアルケニル基、又は炭素数3〜6の環状のアルキル基もしくはアルケニル基を示す。xは1〜4の整数を示す。)
  2. 前記硫黄化合物の配合量が、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部である請求項1に記載の更生タイヤ用クッションゴム組成物。
  3. カーボンブラックをジエン系ゴムに分散させたカーボンマスターバッチと前記硫黄化合物を混合することにより得られた、
    請求項1又は2に記載の更生タイヤ用クッションゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のクッションゴム組成物を、トレッドゴムと台タイヤの間に介在して両者を結合するクッションゴムに用いたことを特徴とする更生タイヤ。
JP2015134960A 2015-07-06 2015-07-06 更生タイヤ用クッションゴム組成物、及びそれを用いた更生タイヤ Active JP6422830B2 (ja)

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