以下に添付図面を参照して、本発明に係る収容庫の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施の形態である収容庫を冷凍機ユニットとともに模式的に示すものであり、図1は、正面から見た場合を示す正面図であり、図2は、回路構成を示す説明図である。ここで例示する収容庫1は、内部に収容された商品を所望の温度に冷却した状態に保持するためのもので、本体キャビネット(収容庫本体)10と、前面扉(扉体)20とを備えて構成されている。
図3及び図4は、それぞれ図1に示した収容庫を示すものであり、図3は断面側面図であり、図4は内部構造を正面から見た断面図である。これら図3及び図4にも示すように、本体キャビネット10は、前面に開口(以下、前面開口ともいう)10aが形成された直方体状の形態を成している。すなわち、本体キャビネット10は、天壁部11、背壁部12、底壁部13及び左右一対の側壁部14,15(左側壁部14及び右側壁部15)が組み合わされて構成されている。この本体キャビネット10の底壁部13の下面にはキャスタ16が配設されており、これにより本体キャビネット10は移動可能なものである。
天壁部11は、外部から内部に向かって外側天板11a、断熱天板11b、第1冷却器11c、第1蓄冷材11d及び内側天板11eが順に重なるように配設されて構成されている。
外側天板11aは、金属材料から構成された板状体である。断熱天板11bは、例えば発泡ウレタンや真空断熱材等で構成された平板状部材である。第1冷却器11cは、冷媒を通過させるための冷媒管路11c1が蛇行する態様で延在して形成されており、全体として平板状の形態を成している。第1蓄冷材11dは、例えばポリエチレン等の樹脂製のケース内に、水及びゲル化剤等の公知の蓄冷剤を封入して構成されたもので、平板状に形成されている。この第1蓄冷材11dは、第1冷却器11cに熱的に接続されている。内側天板11eは、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導率の良好な金属に形成され、一面が第1蓄冷材11dに密着配置されている。
背壁部12は、外部から内部に向かって外側背板12a、断熱背板12b、第2冷却器12c、第2蓄冷材12d及び内側背板12eが順に重なるように配設されて構成されている。
外側背板12aは、金属材料から構成された板状体である。断熱背板12bは、例えば発泡ウレタンや真空断熱材等で構成された平板状部材である。第2冷却器12cは、冷媒を通過させるための冷媒管路12c1が蛇行する態様で延在して形成されており、全体として平板状の形態を成している。第2蓄冷材12dは、例えばポリエチレン等の樹脂製のケース内に、水及びゲル化剤等の公知の蓄冷剤を封入して構成されたもので、平板状に形成されている。この第2蓄冷材12dは、第2冷却器12cに熱的に接続されている。内側背板12eは、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導率の良好な金属に形成され、一面が第2蓄冷材12dに密着配置されている。
底壁部13は、外部から内部に向かって外側底板13a、断熱底板13b及び内側底板13cが順に重なるように配設されて構成されている。
外側底板13aは、金属材料から構成された板状体である。断熱底板13bは、例えば発泡ウレタンや真空断熱材等で構成された平板状部材である。内側底板13cは、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導率の良好な金属に形成され、一面が断熱底板13bに密着配置されている。
左側壁部14は、外部から内部に向かって外側左側板14a、断熱左側板14b、第3冷却器14c、第3蓄冷材14d及び内側左側板14eが順に重なるように配設されて構成されている。
外側左側板14aは、金属材料から構成された板状体である。断熱左側板14bは、例えば発泡ウレタンや真空断熱材等で構成された平板状部材である。第3冷却器14cは、冷媒を通過させるための冷媒管路14c1が蛇行する態様で延在して形成されており、全体として平板状の形態を成している。この第3冷却器14cは、入口側が第1冷却器11cの出口側に冷媒管路2aを通じて接続されており、第1冷却器11cを通過した冷媒が冷媒管路14c1を通過するものである。第3蓄冷材14dは、例えばポリエチレン等の樹脂製のケース内に、水及びゲル化剤等の公知の蓄冷剤を封入して構成されたもので、平板状に形成されている。この第3蓄冷材14dは、第3冷却器14cに熱的に接続されている。内側左側板14eは、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導率の良好な金属に形成され、一面が第3蓄冷材14dに密着配置されている。
右側壁部15は、外部から内部に向かって外側右側板15a、断熱右側板15b、第4冷却器15c、第4蓄冷材15d及び内側右側板15eが順に重なるように配設されて構成されている。
外側右側板15aは、金属材料から構成された板状体である。断熱右側板15bは、例えば発泡ウレタンや真空断熱材等で構成された平板状部材である。第4冷却器15cは、冷媒を通過させるための冷媒管路15c1が蛇行する態様で延在して形成されており、全体として平板状の形態を成している。この第4冷却器15cは、入口側が第2冷却器12cの出口側に冷媒管路2bを通じて接続されており、第2冷却器12cを通過した冷媒が冷媒管路15c1を通過するものである。第4蓄冷材15dは、例えばポリエチレン等の樹脂製のケース内に、水及びゲル化剤等の公知の蓄冷剤を封入して構成されたもので、平板状に形成されている。この第4蓄冷材15dは、第4冷却器15cに熱的に接続されている。内側右側板15eは、例えばアルミニウムや銅等の熱伝導率の良好な金属に形成され、一面が第4蓄冷材15dに密着配置されている。
このような本体キャビネット10においては、天壁部11、背壁部12、底壁部13及び左右一対の側壁部14,15により、より詳細には、内側天板11e、内側背板12e、内側底板13c、内側左側板14e及び内側右側板15eにより収容室17が画成されている。
前面扉20は、本体キャビネット10の前面開口10aを覆うのに十分な大きさを有している。この前面扉20は、左側縁部がヒンジ機構21を介して本体キャビネット10に取り付けられており、開閉移動することで前面開口10aを開閉させるものである。また、前面扉20は、内部に断熱材20aが配設されることで断熱構造を有している。尚、図1中の符号22はロックレバーであり、図3中の符号23はパッキンである。
このような構成を有する収容庫1は、上記構成の他、膨張機構30及びシャッタ機構50を備えている。
膨張機構30は、例えば温度膨張弁や電子膨張弁等により構成されるもので、入口側に接続された冷媒管路2cを通じて供給された冷媒を断熱膨張させて低温低圧の冷媒とするものである。かかる冷媒管路2cの端部には、ジョイント部材である導入カプラ3aが接続されているとともに、その途中に入口バルブ31aが設けられている。かかる入口バルブ31aは、後述する制御手段70により与えられる指令により開閉する弁体であり、開成する場合には、該冷媒管路2cを冷媒が通過することを許容する一方、閉成する場合には、該冷媒管路2cを冷媒が通過することを規制するものである。
上記膨張機構30の出口側に接続された冷媒管路2dは分配器32の入口側に接続されている。分配器32は、膨張機構30から供給された冷媒を2つに分岐させて分配させるものであり、一方の出口側に接続された冷媒管路2eは、第1冷却器11cの入口側に接続されており、他方の出口側に接続された冷媒管路2fは、第2冷却器12cの入口側に接続されている。
分配器32と第1冷却器11cとの間の冷媒管路2eには、第1バルブ33aが設けられている。かかる第1バルブ33aは、制御手段70により与えられる指令により開閉する弁体であり、開成する場合には、該冷媒管路2eを冷媒が通過することを許容する一方、閉成する場合には、該冷媒管路2eを冷媒が通過することを規制するものである。
分配器32と第2冷却器12cとの間の冷媒管路2fには、第2バルブ33bが設けられている。かかる第2バルブ33bは、制御手段70により与えられる指令により開閉する弁体であり、開成する場合には、該冷媒管路2fを冷媒が通過することを許容する一方、閉成する場合には、該冷媒管路2fを冷媒が通過することを規制するものである。
また、第1冷却器11cの下流側となる第3冷却器14cの出口側に接続された冷媒管路2gは、合流器34の一方の入口側に接続されており、第2冷却器12cの下流側となる第4冷却器15cの出口側に接続された冷媒管路2hは、合流器34の他方の入口側に接続されている。合流器34は、2つの入口より供給された冷媒を合流させて出口側に接続された冷媒管路2iに送出するものである。この合流器34の出口側に接続された冷媒管路2iの端部には、ジョイント部材である導出カプラ3bが接続されているとともに、その途中に出口バルブ31bが設けられている。かかる出口バルブ31bは、制御手段70により与えられる指令により開閉する弁体であり、開成する場合には、該冷媒管路2iを冷媒が通過することを許容する一方、閉成する場合には、該冷媒管路2iを冷媒が通過することを規制するものである。
ここで、上記収容庫1と接続可能な冷凍機ユニット40について説明する。冷凍機ユニット40は、箱状のユニット本体40aを備えている。このユニット本体40aの下面には、キャスタ40bが設けられており、これによりユニット本体40aは、移動可能なものである。
かかるユニット本体40aの内部には、圧縮機41及び放熱器42が配設されている。圧縮機41は、入口側に接続された冷媒管路2jを通じて冷媒を吸引して圧縮することにより高温高圧の冷媒にするものである。この圧縮機41の入口側に接続された冷媒管路2jの端部には、ジョイント部材である吸引カプラ3cが接続されている一方、その途中にアキュムレータ43が配設されている。アキュムレータ43は、該冷媒管路2jを通過する冷媒が気液混合冷媒である場合に、液相冷媒を貯留して気相冷媒を通過させる気液分離手段である。
放熱器42は、入口側が冷媒管路2kを通じて圧縮機41の出口側に接続されており、圧縮機41で圧縮された冷媒を導入して周囲空気と熱交換させて放熱させるものである。そして、放熱器42は、放熱させた冷媒を該放熱器42の出口側に接続された冷媒管路2mを通じて送出するものである。この放熱器42の出口側に接続された冷媒管路2mの端部には、ジョイント部材である供給カプラ3dが接続されている。
このような構成の冷凍機ユニット40は、供給カプラ3dが収容庫1の導入カプラ3aに接続され、かつ吸引カプラ3cが収容庫1の導出カプラ3bに接続されることにより、収容庫1とともに冷媒が循環する冷媒回路を形成するものである。
図5は、図1に示した収容庫を構成するシャッタ機構を正面から見た場合を模式的に示す説明図である。この図5にも示すように、シャッタ機構50は、シャッタ部材51及びガイド部材52を備えて構成されている。
シャッタ部材51は、例えば透光性材料により形成されたシート状部材である。このシャッタ部材51の基端部は、巻取軸53に巻き取られている。巻取軸53は、底壁部13の内部であって、断熱底板13bの一部を切り欠いて形成されたスペース13dにおいて自身の中心軸回りに回転可能となる態様で軸支部材54に支持されて配設されている。また、巻取軸53は、軸支部材54との間に介装された図示せぬバネ部材により図3において反時計回りの方向に常時付勢されている。つまり、巻取軸53は、バネ部材によりシャッタ部材51を巻き取る方向に常時付勢されている。
このようなシャッタ部材51は、基端部が巻取軸53に巻き取られた状態で底壁部13に形成されたスリット13e、すなわち内側底板13cに形成されたスリット13eを通過して上方に延在しており、その先端部には、係合部材であるシャッタバー55が接続されている。このシャッタバー55は、左右方向が長手方向となるロッド状の部材である。
ガイド部材52は、左右一対となるもので第1ガイド部材521及び第2ガイド部材522を備えている。
第1ガイド部材521は、上記スリット13eが形成された部分の左方側において上方に向けて延在するよう底壁部13に立設されている。この第1ガイド部材521は、上下方向が長手方向となる長尺状部材である。また第1ガイド部材521は、図6に示すように、横断面形状がコ字状を成しており、第1基部521aと、第1左側部521bと、第1右側部521cとが一体的に連結されて構成されている。
第1基部521aは、第1ガイド部材521の背面を構成するもので、左右方向に沿って延在する部位である。第1左側部521bは、第1基部521aの左端部より前方に向けて延在する部位であり、左面が左側壁部14の内面(内側左側板14eの内面)に接している。第1右側部521cは、第1基部521aの右端部より前方に向けて延在する部位である。この第1右側部521cには、上下方向に沿って複数の第1係合凹部521dが所定間隔毎に形成されている。第1係合凹部521dは、図7に示すように、前端が開口しており、後方に向かうに連れて漸次下方に傾斜する態様で形成されている。これら第1係合凹部521dは、詳細は後述するがシャッタバー55の左端部の進入を許容するものである。
第2ガイド部材522は、上記スリット13eが形成された部分の右方側において上方に向けて延在するよう底壁部13に立設されている。この第2ガイド部材522は、上下方向が長手方向となる長尺状部材である。また第2ガイド部材522は、図6に示すように、横断面形状がコ字状を成しており、第2基部522aと、第2右側部522bと、第2左側部522cとが一体的に連結されて構成されている。
第2基部522aは、第2ガイド部材522の背面を構成するもので、左右方向に沿って延在する部位である。第2右側部522bは、第2基部522aの右端部より前方に向けて延在する部位であり、右面が右側壁部15の内面(内側右側板15eの内面)に接している。第2左側部522cは、第2基部522aの左端部より前方に向けて延在する部位である。この第2左側部522cには、上下方向に沿って複数の第2係合凹部522dが所定間隔毎に形成されている。これら第2係合凹部522dは、第1ガイド部材521に形成された第1係合凹部521dと同一の高さレベルに形成されており、前端が開口し、かつ後方に向かうに連れて漸次下方に傾斜する態様で形成されている。これら第2係合凹部522dは、詳細は後述するがシャッタバー55の右端部の進入を許容するものである。
このような構成のシャッタ機構50は、構成要素であるガイド部材52が、本体キャビネット10において前面開口10aの内方側(後方側)に連通する開放部10bを底壁部13及び天壁部11とともに構成しつつ、該開放部10bの左右両縁部を形成している。そして、シャッタ部材51が、上下方向に変位することで該開放部10bの開放面積を変更することができる。
図8は、本発明の実施の形態である収容庫の制御系を模式的に示すブロック図である。
この図8に示すように、収容庫1は、入力手段60、第1温度センサ61、第2温度センサ62及び制御手段70を備えている。
入力手段60は、テンキーやタッチパネル等により構成されるものであり、利用者である作業者等が各種入力操作を行うためのものである。
第1温度センサ61は、例えばサーミスタ等により構成されるものであり、第3蓄冷材14dの温度を検出するものである。この第1温度センサ61で検出された温度(以下、第1温度ともいう)は、第1温度信号として制御手段70に与えられることになる。
第2温度センサ62は、例えばサーミスタ等により構成されるものであり、第4蓄冷材15dの温度を検出するものである。この第2温度センサ62で検出された温度(以下、第2温度ともいう)は、第2温度信号として制御手段70に与えられることになる。
制御手段70は、メモリ80に記憶されたプログラムやデータにしたがって収容庫1を構成する各バルブ31a等や冷凍機ユニット40に搭載された圧縮機41の駆動を統括的に制御するもので、入力処理部71、圧縮機駆動処理部72及びバルブ駆動処理部73を備えている。
尚、メモリ80には、上記プログラムやデータの他、本実施の形態において特徴的なものとして、第1温度基準情報及び第2温度基準情報が予め記憶されている。第1基準温度情報は、第1蓄冷材11d及び第3蓄冷材14dが凍結しているか否か、すなわち第1蓄冷材11d及び第3蓄冷材14dの蓄冷が完了しているか否かの閾値となる第1基準温度を含むものである。第2基準温度情報は、第2蓄冷材12d及び第4蓄冷材15dが凍結しているか否か、すなわち第2蓄冷材12d及び第4蓄冷材15dの蓄冷が完了しているか否かの閾値となる第2基準温度を含むものである。
入力処理部71は、入力手段60から与えられる指令、あるいは第1温度センサ61及び第2温度センサ62から与えられる温度信号(第1温度信号及び第2温度信号)の入力処理を行うものである。圧縮機駆動処理部72は、所定のケーブルを介して冷凍機ユニット40に搭載された圧縮機41の駆動を制御するものである。バルブ駆動処理部73は、入口バルブ31a、出口バルブ31b、第1バルブ33a及び第2バルブ33bに指令を与えてそれらの開閉状態を制御するものである。
以上のような構成を有する収容庫1は、導入カプラ3aが供給カプラ3dに接続され、かつ導出カプラ3bが吸引カプラ3cに接続されることにより冷凍機ユニット40に接続され、これにより収容室17に商品が収容される前に該収容室17の内部空気が所望の温度となるよう各蓄冷材が蓄冷される。
図9は、図8に示した制御手段が実施する蓄冷制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
この蓄冷制御処理において制御手段70は、入力処理部71を通じて入力手段60により与えられた蓄冷指令を入力した場合(ステップS101)、バルブ駆動処理部73を通じて入口バルブ31a及び出口バルブ31bに開指令を送出するとともに、第1バルブ33a及び第2バルブ33bに開指令を送出する(ステップS102,ステップS103)。これにより、入口バルブ31a、出口バルブ31b、第1バルブ33a及び第2バルブ33bが開成する。
このようにして入口バルブ31a、出口バルブ31b、第1バルブ33a及び第2バルブ33bを開成させた制御手段70は、圧縮機駆動処理部72を通じて圧縮機41に駆動指令を送出し(ステップS104)、その後に入力処理部71を通じて第1温度若しくは第2温度の入力待ちとなる(ステップS105,ステップS106)。
上記ステップS104において圧縮機41に駆動指令を送出することで、圧縮機41が駆動する。圧縮機41が駆動すると、圧縮機41で圧縮された冷媒(高温高圧冷媒)は、冷媒管路2kを通じて放熱器42に至り、該放熱器42で周囲空気と熱交換することにより凝縮して放熱する。放熱器42で放熱した冷媒は、冷媒管路2m,2cを通過して膨張機構30に至り、該膨張機構30にて断熱膨張する。
膨張機構30で断熱膨張した冷媒は、冷媒管路2dを通過した後に分配器32にて2つに分岐され、一方は、第1冷却器11cの冷媒管路11c1及び第3冷却器14cの冷媒管路14c1を通過し、他方は、第2冷却器12cの冷媒管路12c1及び第4冷却器15cの冷媒管路14c1を通過する。
第1冷却器11cを通過する冷媒は、熱的に接続する第1蓄冷材11dと熱交換して蒸発することにより第1蓄冷材11dを冷却し、その後に第3冷却器14cを通過して、熱的に接続する第3蓄冷材14dと熱交換して蒸発することにより第3蓄冷材14dを冷却する。
第2冷却器12cを通過する冷媒は、熱的に接続する第2蓄冷材12dと熱交換して蒸発することにより第2蓄冷材12dを冷却し、その後に第4冷却器15cを通過して、熱的に接続する第4蓄冷材15dと熱交換して蒸発することにより第4蓄冷材15dを冷却する。
第3冷却器14cを通過した冷媒、並びに第4冷却器15cを通過した冷媒は、冷媒管路2g,2hを通過した後に合流器34で合流され、その後に冷媒管路2i,2jを通過し、アキュムレータ43で気液分離されて圧縮機41に吸引され、再び圧縮されて冷媒回路を循環することとなる。このようにして冷媒回路を循環することにより、各蓄冷材11d等は冷却されていき徐々に凍結する。
そして、入力処理部71を通じて第1温度センサ61からの第1温度信号を入力処理することで第1温度を入力した場合(ステップS105:Yes,ステップS106:No)、制御手段70は、バルブ駆動処理部73を通じてメモリ80より第1基準温度情報を読み出して、ステップS105で入力した第1温度が第1基準温度情報に含まれる第1基準温度以下であるか否かを比較する(ステップS107)。
これにより、第1温度が第1基準温度を上回る場合(ステップS107:No)、制御手段70は、上述したステップS105及びステップS106の処理を繰り返す。
その一方、第1温度が第1基準温度以下となる場合(ステップS107:Yes)、制御手段70は、第1蓄冷材11d及び第3蓄冷材14dが凍結して蓄冷が完了したものとして、第1バルブ33aに閉指令を送出する(ステップS108)。これにより第1バルブ33aは閉成し、第1冷却器11c及び第3冷却器14cの冷媒管路11c1,14c1に冷媒が通過することが規制され、膨張機構30で断熱膨張した冷媒は、全て第2冷却器12c及び第4冷却器15cを通過することになる。
その後、入力処理部71を通じて第2温度センサ62からの第2温度信号を入力処理することで第2温度を入力した場合(ステップS109:Yes)、制御手段70は、バルブ駆動処理部73を通じてメモリ80より第2基準温度情報を読み出して、ステップS109で入力した第2温度が第2基準温度情報に含まれる第2基準温度以下であるか否かを比較する(ステップS110)。
これにより、第2温度が第2基準温度を上回る場合(ステップS110:No)、制御手段70は、上述したステップS109の処理を繰り返す。
その一方、第2温度が第2基準温度以下となる場合(ステップS110:Yes)、制御手段70は、第2蓄冷材12d及び第4蓄冷材15dが凍結して蓄冷が完了したものとして、バルブ駆動処理部73を通じて第2バルブ33bに閉指令を送出する(ステップS111)。
このようにステップS111を実施した制御手段70は、圧縮機駆動処理部72を通じて圧縮機41に駆動停止指令を送出して圧縮機41を駆動停止にさせるとともに(ステップS112)、バルブ駆動処理部73を通じて入口バルブ31a及び出口バルブ31bに閉指令を送出して入口バルブ31a及び出口バルブ31bを閉成させる(ステップS113)。これにより冷媒回路での冷媒の循環が終了する。
このようにしてステップS113の処理を実施した制御手段70は、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
これにより、第1蓄冷材11d、第2蓄冷材12d、第3蓄冷材14d及び第4蓄冷材15dを凍結させて蓄冷が完了して各蓄冷材11d等に蓄えられた冷熱により収容室17の内部空気を冷却することができる。
上記ステップS105及びステップS106において、入力処理部71を通じて第2温度センサ62からの第2温度信号を入力処理することで第2温度を入力した場合(ステップS105:No,ステップS106:Yes)、制御手段70は、バルブ駆動処理部73を通じてメモリ80より第2基準温度情報を読み出して、ステップS106で入力した第2温度が第2基準温度情報に含まれる第2基準温度以下であるか否かを比較する(ステップS114)。
これにより、第2温度が第2基準温度を上回る場合(ステップS114:No)、制御手段70は、上述したステップS105及びステップS106の処理を繰り返す。
その一方、第2温度が第2基準温度以下となる場合(ステップS114:Yes)、制御手段70は、第2蓄冷材12d及び第4蓄冷材15dが凍結して蓄冷が完了したものとして、第2バルブ33bに閉指令を送出する(ステップS115)。これにより第2バルブ33bは閉成し、第2冷却器12c及び第4冷却器15cの冷媒管路12c1,15c1に冷媒が通過することが規制され、膨張機構30で断熱膨張した冷媒は、全て第1冷却器11c及び第3冷却器14cを通過することになる。
その後、入力処理部71を通じて第1温度センサ61からの第1温度信号を入力処理することで第1温度を入力した場合(ステップS116:Yes)、制御手段70は、バルブ駆動処理部73を通じてメモリ80より第1基準温度情報を読み出して、ステップS116で入力した第1温度が第1基準温度情報に含まれる第1基準温度以下であるか否かを比較する(ステップS117)。
これにより、第1温度が第1基準温度を上回る場合(ステップS117:No)、制御手段70は、上述したステップS116の処理を繰り返す。
その一方、第1温度が第1基準温度以下となる場合(ステップS117:Yes)、制御手段70は、第1蓄冷材11d及び第3蓄冷材14dが凍結して蓄冷が完了したものとして、バルブ駆動処理部73を通じて第1バルブ33aに閉指令を送出する(ステップS118)。
このようにステップS118を実施した制御手段70は、上述したステップS112及びステップS113の処理を実施して、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
これにより、第1蓄冷材11d、第2蓄冷材12d、第3蓄冷材14d及び第4蓄冷材15dを凍結させて蓄冷が完了して各蓄冷材11d等に蓄えられた冷熱により収容室17の内部空気を冷却することができる。
上記蓄冷制御処理において内部空気が冷却された収容室17に運搬対象となる商品を収容し、シャッタ部材51を上方に向けて繰り出してシャッタバー55の左端部を第1ガイド部材521の最上位の第1係合凹部521dに進入させて該第1係合凹部521dに係合させるとともに、シャッタバー55の右端部を第2ガイド部材522の最上位の第2係合凹部522dに進入させて該第2係合凹部522dに係合させる。これにより、図10に示すように、前面扉20が開移動して本体キャビネット10の前面開口10aが開成されても、この前面開口10aに連通する開放部10bの大部分をシャッタ部材51で閉塞することができる。この結果、開放部10bの開放面積を十分に小さくすることができ、収容室17の内部空気(冷気)が外部に漏れてしまうことを抑制することができる。
その後に、前面扉20を閉移動させて前面開口10aを閉成させ、導入カプラ3aを供給カプラ3dから離脱させるとともに導出カプラ3bを吸引カプラ3cから離脱させることで、収容庫1を冷凍機ユニット40から切り離すことができる。そして、収容庫1をトラック等の車両に搭載して、中継地あるいは目的地に向けて運搬することができる。
所定の中継地にて収容室17に収容した商品の一部を取り出す場合には、次のようにすればよい。
前面扉20を開移動して前面開口10aを開成させる。そして、図11に示すようにシャッタバー55の左端部を斜め前方に移動させるとともに、シャッタバー55の右端部を斜め前方に移動させることで、シャッタバー55の左端部を最上位の第1係合凹部521dから離脱させるとともに、シャッタバー55の右端部を最上位の第2係合凹部522dから離脱させる。
このようにして最上位の係合凹部(第1係合凹部521d及び第2係合凹部522d)からシャッタバー55を離脱させて、シャッタ部材51を下方に向けて変位させる。この際、巻取軸53はバネ部材に付勢されてシャッタ部材51を巻き取る方向に回転する。
そして、シャッタバー55を所定の高さレベルまで変位させ、図12に示すようにシャッタバー55の左端部を最上位から3つめの第1係合凹部521dに進入させて該第1係合凹部521dに係合させるとともに(図13参照)、シャッタバー55の右端部を最上位から3つめの第2係合凹部522dに進入させて該第2係合凹部522dに係合させることで、図14に示すように、開放部10bの上方部分を開放させることができる。この場合でも開放部10bの下方部分をシャッタ部材51で閉塞することができ、収容室17からの冷気漏れを必要最小限に抑制することができる。このようにして開放部10bの上方部分を開放して、図15に示すように、一部の商品を取り出すことができる。
一部の商品を取り出した後、シャッタバー55を斜め前方に移動させることで、シャッタバー55の左端部を最上位から3つめの第1係合凹部521dから離脱させるとともに、シャッタバー55の右端部を最上位から3つめの第2係合凹部522dから離脱させる。
そして、シャッタ部材51を上方に向けて繰り出してシャッタバー55の左端部を第1ガイド部材521の最上位の第1係合凹部521dに進入させて該第1係合凹部521dに係合させるとともに、シャッタバー55の右端部を第2ガイド部材522の最上位の第2係合凹部522dに進入させて該第2係合凹部522dに係合させる。これにより、図16に示すように、開放部10bの大部分をシャッタ部材51で再び閉塞することができ、開放部10bの開放面積を十分に小さくして収容室17の内部空気(冷気)が外部に漏れてしまうことを抑制することができる。
以上説明したように、本発明の実施の形態である収容庫1によれば、シャッタ機構50が本体キャビネット10の前面開口10aに連通する開放部10bの開放面積を変更することができるので、前面開口10aが開成される場合において、開放部10bの大部分をシャッタ部材51で閉塞して該開放部10bの開放面積を十分に小さくすることで、収容室17の全体が露出される状態を回避することができ、これにより冷気が外部に漏れてしまうことを抑制することができる。従って、本体キャビネット10の前面開口10aの開成時において冷気の流出を低減させて、所定の保冷温度での保持時間の長大化を図ることができる。
上記収容庫1によれば、シャッタ機構50が本体キャビネット10の前面開口10aに連通する開放部10bの開放面積を変更することができるので、収容室17に収容された一部の商品を取り出す際には、開放部10bの開放面積を必要十分な大きさにすることで、冷気漏れを抑制しつつ商品を良好に取り出すことができる。
上記収容庫1によれば、シャッタ機構50を構成するシャッタ部材51が透光性材料から形成されるものなので、シャッタ部材51が開放部10bの大部分を閉塞する場合でも、作業者は収容室17の内部を視認することが可能であり、商品の積層状態等を容易に認識することができる。
また、上記収容庫1によれば、制御手段70が、蓄冷指令が与えられた場合に第1バルブ33a及び第2バルブ33bを開成させ、その後に第1蓄冷材11d及び第3蓄冷材14d、あるいは第2蓄冷材12d及び第4蓄冷材15dが凍結した場合に凍結した蓄冷材に熱的に接続される冷却器の上流側のバルブのみを閉成させるので、いずれかの蓄冷材が凍結することで、その他の蓄冷材に熱的に接続された冷却器に冷媒を集中的に流すことができる。この結果、第1冷却器11c及び第3冷却器14cを通る流路と、第2冷却器12c及び第4冷却器15cを通る流路との圧力損失が異なる場合でも、第1蓄冷材11d及び第3蓄冷材14dが先に凍結すれば、第2冷却器12c及び第4冷却器15cに集中的に冷媒を流すことができ、第2蓄冷材12d及び第4蓄冷材15dが先に凍結すれば、第1冷却器11c及び第3冷却器14cに集中的に冷媒を流すことができ、従来のように、いずれかの蓄冷材が凍結した場合でもその蓄冷材に熱的に接続された冷却器に冷媒を流し続けるようなことがない。これにより、全ての蓄冷材を凍結させる蓄冷時間の短縮化を図ることができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
上述した実施の形態では、シャッタ機構50を構成する巻取軸53は、本体キャビネット10の底壁部13の内部に配設されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その配設個所は、開放部の下端近傍であってもよいし、その他の部位であってもよい。
上述した実施の形態では、蓄冷制御処理において第1バルブ33a及び第2バルブ33bをともに開成させ、その後に先に凍結した蓄冷材に熱的に接続された冷却器の上流側のバルブを閉成するようにしたが、本発明においては、蓄冷指令が与えられた場合に、第1バルブ33a及び第2バルブ33bのいずれか一方のみを開成させ、その後に蓄冷材の凍結により一方を閉成させてから他方を開成させるようにしてもよく、バルブの開閉手順としては種々の方式を採用することができる。