JP6421074B2 - ゴム組成物及び防振ゴム - Google Patents
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ゴム組成物の動倍率を低くするため、従来から動倍率が低く強度の高い天然ゴムの単独、あるいは天然ゴムを主体としてブタジエンゴムやスチレンブタジエンゴム等のジエン系合成ゴムをブレンドしたものをゴム成分としカーボンブラックを配合したものが使用されてきた。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、防振性能に加えて、優れた伸張疲労特性等の耐久性、及び省エネルギー性を有するゴム組成物、及びそれを硬化させてなる防振ゴムを提供することを目的とする。
2.さらに硫黄を含み、ゴム成分100質量部に対する硫黄の配合量が0.3〜5質量部である上記1に記載のゴム組成物。
3.上記1又は2に記載のゴム組成物を硬化させてなる防振ゴム。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴムを含むゴム成分、カーボンブラック、ベンズアゾリル構造を含む有機基を有するスルフィド化合物、及びビスマレイミド化合物を含有し、該カーボンブラック100質量部に対する該スルフィド化合物の配合量が0.15〜1.2質量部であることを特徴とするものである。
以下、本発明のゴム組成物に含有される成分について説明する。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴムを含むゴム成分を採用する。ジエン系ゴムの種類に特に制限はなく、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、及びアクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられ、これらの中から1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、引張強さ等の基本物性に加えて、防振性能、伸長疲労特性等の耐久性を得る観点から、天然ゴムを単独で、又は天然ゴムと他のジエン系ゴムとの2種以上を組み合わせて好適に用いることができ、特に天然ゴムを単独で用いることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含むことを要する。
カーボンブラックとしては特に制限されないが、引張強さ等の基本物性に加えて、防振性能、伸長疲労特性等の耐久性を得る観点から、窒素吸着比表面積(N2SA)が15〜150m2/gのものを用いることが好ましい。ここで、窒素吸着比表面積(N2SA)は、JIS K 6217−2:2001の規定に従い測定される値である。
本発明のゴム組成物は、ベンズアゾリル構造を含む有機基を有するスルフィド化合物を含むことを要する。該スルフィド化合物はカーボンブラック用のカップリング剤として機能するものであり、カーボンブラックと所定の割合で組み合わせることで、引張強さ等の基本物性に加えて、防振性能、伸長疲労特性等の耐久性、及び省エネルギー性が得られる。
ベンズアゾリル構造を含む有機基を有するスルフィド化合物は、硫黄原子からなるスルフィド部の両末端に有機基が結合し、該有機基が下記一般式(2)で示されるベンズアゾリル構造を含むものであれば特に制限されない。
炭素数2〜6のアルケニル基は、直鎖状でも、分岐状でもよく、例えば、ビニル基、2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、ペンテニエル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
炭素数3〜6のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
炭素数3〜6のシクロアルケニル基としては、例えば、シクロプロペニル基、シクロペンテニル基等が挙げられる。
また、これらのアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、及びシクロアルケニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アシル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基等が挙げられ、これらから選択される少なくとも一種が好ましい。
本発明のゴム組成物は、ビスマレイミド化合物を含むことを要する。マレイミド化合物は架橋剤として機能するものであり、耐熱性の向上も得られる。マレイミド化合物は耐熱性の向上に寄与する一方、防振性能、伸長疲労特性等の耐久性等の低下を招来する場合があるが、本発明においては、ビスマレイミド化合物とスルフィド化合物とを組み合わせることで、防振性能、伸長疲労特性等の耐久性、更には省エネルギー性を損なうことなく、ビスマレイミド化合物を架橋剤として用いる場合に期待される耐熱性が得られる。
アリーレン基としては、環形成炭素数が6〜20のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基、アントリレン基、アセナフチリレン基、アントラニレン基、フェナントリレン基、フェナレニレン基、キノリレン基、イソキノリレン基、インダセニレン基、クリセニレン基等が挙げられる。また、ヘテロアリーレン基としては、上記アリーレン基の環形成炭素が酸素原子、窒素原子、硫黄原子に置換されたものや、環形成炭素数が5〜14のヘテロアリーレン基、例えばフリレン基、チエニレン基、ピリジレン基、イミダゾピリジレン基、ピリダジニレン基、ピリミジニレン基、ピラジニレン基、ベンズイミダゾリレン基、ジベンゾフラニレン基、ジベンゾチオフェニレン基、フェナントロリニレン基等が挙げられる。
また、Xは置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、炭素数1〜3のアルキル基、−NH2、−NO2、−F、−Cl、−Br等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、硫黄を含むことが好ましい。硫黄は、架橋剤として機能するものである。本発明のゴム組成物は、基本的には上記のビスマレイミド化合物が架橋剤として機能しており、これに硫黄を添加することで、ビスマレイミド化合物とスルフィド化合物とを組み合わせにより効果、すなわち防振性能、伸長疲労特性等の耐久性、更には省エネルギー性を損なうことなく、ビスマレイミド化合物を架橋剤として用いる場合に期待される耐熱性をより向上させることができる。
本発明のゴム組成物には、ゴム成分、充填剤のカーボンブラック、及びカーボンブラック用のカップリング剤のベンズアゾリル構造を含む有機基を有するスルフィド化合物、硫黄、有機過酸化物以外に、必要に応じて各種添加剤、例えば架橋剤、加硫促進剤、亜鉛華、脂肪酸、カーボンブラック及びシリカ以外の充填剤(以下、他の充填剤という)、シランカップリング剤、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、加工助剤等を本発明の目的に反しない範囲で適宜含有することができる。以下、これら各成分について説明する。
ゴム組成物中の架橋剤の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対し、0.3質量部〜10質量部が好ましい。架橋剤の配合量が0.3質量部以上であると、架橋を確実に進行させることができ、10質量部以下であると、一部の架橋剤により混練り中に架橋が進んでしまったり、架橋物の物性が損なわれたりすることを防止することができる。
加硫促進剤の含有量はゴム成分100質量部に対して0.1〜3質量部とすることが好ましく、0.5〜2.5質量部とすることがより好ましい。
脂肪酸の具体例としては、シクロヘキサン酸(シクロヘキサンカルボン酸)、側鎖を有するアルキルシクロペンタン等のナフテン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸(ネオデカン酸等の分岐状カルボン酸を含む)、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)等の飽和脂肪酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸、ロジン、トール油酸、アビエチン酸等の樹脂酸等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明においては、亜鉛華及びステアリン酸を好適に用いることができる。これら加硫促進助剤のゴム組成物中の含有量は、特に制限されるものではないが、ゴム成分100質量部に対して好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部とすることができる。加硫促進助剤の含有量が0.5質量部以上であることで、ゴム組成物の混練作業性を損ねにくく、動倍率の上昇を抑制することができ、10質量部以下であることで、加硫遅延等を起こしにくい。
シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド、ビス−トリエトキシシリルプロピルジスルフィド等を挙げることができる。
これらのシランカップリング剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、その含有量は、特に制限されるものではないが、カーボンブラックを含む充填剤の含有量に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは5〜10質量%とすることができる。シランカップリング剤の含有量が充填剤の含有量に対して1質量%以上であることで、充填剤の分散性及び防振ゴムの補強性向上効果を十分に発現し易く、10質量%以下であることで、シランカップリング剤の配合過多を抑制し、経済的な面でも好ましい。
なお、油展されたゴム(すなわち、軟化剤を含有するゴム)を上記ゴム成分として用いる場合は、油展されたゴムに含有される軟化剤と、混合時に別途添加される軟化剤との合計量が上記範囲となるように調整すればよい。
本発明の防振ゴムは、本発明のゴム組成物を硬化させてなるものである。
ゴム組成物の硬化は、例えば、ゴム組成物に既述の加硫剤を配合し、加熱することにより、硬化することができる。
ゴム組成物を硬化させる際の硬化条件(加硫条件)は、特に限定されるものはないが、通常140〜180℃、好ましくは150〜170℃で、5〜120分間の条件を採用することができる。
各例で得られた防振ゴムから、縦40mm、横5mm、厚さ2mmのシートを作製し、粘弾性スペクトロメーター(株式会社東洋精機製作所製)により、チャック間距離30mm、動的歪2%、周波数10Hzの測定条件にて、動的粘弾性測定を行ない、20℃における損失正接(tanδ)を測定した。各例の損失正接を、比較例1、3〜9、及び11〜16の損失正接を100として、下記の各表に指数表示し、省エネルギー性の評価基準とした。
JIS K6270に準拠し、ダンベル状試験片にて試験歪み0〜200%、試験周波数3.5Hzで伸張疲労(一軸伸張疲労)を与え、サンプルが破断するまでの回数(伸張疲労破断回数)を測定した。測定された回数を、比較例1、3〜9、及び11〜16の回数の逆数を100として、下記の各表に指数表示し、耐久性(伸張疲労特性)の評価基準とした。
下記表1〜6に示される種類及び量の各成分を、バンバリーミキサー中で混練し、ゴム組成物を得た。次いで、得られたゴム組成物を155℃においてT90×2(分)加硫処理して防振ゴムを作製した。ここで、T90は、加硫時間を横軸とし、トルクを縦軸とする加硫曲線を求め、応力が最大値をとる点を加硫100%、最小値の点を加硫0%としたとき、90%加硫に対応する加硫時間(分)である。
ゴム成分:天然ゴム,「RSS#1」
カーボンブラックA:東海カーボン株式会社製「シーストTA」,窒素吸着比表面積:19m2/g,DBP吸着量:42cm3/100g
カーボンブラックB:東海カーボン株式会社製「シーストSO」,窒素吸着比表面積:42m2/g,DBP吸着量:115cm3/100g
カーボンブラックC:東海カーボン株式会社製「シースト3」,窒素吸着比表面積:79m2/g,DBP吸着量:101cm3/100g
スルフィド化合物:2,2’−ビス(ベンズイミダゾリル−2)エチルジスルフィド,四国化成工業株式会社製
スルフィド化合物配合量:カーボンブラック100質量部に対する配合量(質量部)である。
ビスマレイミド化合物:N,N’−m−フェニレンビスマレイミド,大内新興化学工業株式会社製「バルノックPM」
硫黄:鶴見化学工業株式会社製「粉末硫黄」
ステアリン酸:新日本理化株式会社製「ステアリン酸50S」
酸化亜鉛:ハクスイテック株式会社製「3号亜鉛華」
老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン,大内新興化学工業株式会社製「ノクラック 6C」
加硫促進剤:スルフェンアミド系加硫促進剤,N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド,大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーCZ」
Claims (5)
- ジエン系ゴムを含むゴム成分、窒素吸着比表面積が15〜19m 2 /gであるカーボンブラック、ベンズアゾリル構造を含む有機基を有するスルフィド化合物、及びビスマレイミド化合物を含有し、該カーボンブラック100質量部に対する該スルフィド化合物の配合量が0.15〜1.2質量部であるゴム組成物。
- ベンズアゾリル構造を含む有機基を有するスルフィド化合物が、下記一般式(1)で示される化合物である請求項1に記載のゴム組成物。
(式(1)中、XはO原子、S原子、−NH−、又は−NR2−を示し、R1及びR2は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルケニル基を示し、複数のX、R1は同じでも異なっていてもよい。lは1〜4の整数を示し、mは1〜4の整数を示し、nは0〜4の整数を示し、複数のm、nは同じでも異なっていてもよい。) - ゴム成分100質量部に対するビスマレイミド化合物の配合量が0.05〜5質量部である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- さらに硫黄を含み、ゴム成分100質量部に対する硫黄の配合量が0.3〜5質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を硬化させてなる防振ゴム。
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