JP6421062B2 - 薄板状の吸音構造体とその製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、音発生源からの低周波および高周波の騒音を吸収する薄板状の吸音構造体に関し、さらに長寸の吸音構造体を連続的に安価に製造するための方法に関する。
吸音材は、種々の騒音源が存在する都市において、都市生活者が快適な日々を送るための必須の商品になっている。例えば、特開2002−243211号に開示の吸音材は、エアコンの圧縮機を被う遮音カバーの内側に複数のヘルムホルツ共鳴器を形成した構造であり、該圧縮機の外周部に配置できるように遮音カバーを円筒状に構成する。また、特開2008−138505号および特開2010−61078号は、遮音壁として電車や自動車から発生する騒音を防ぐために、鉄道施設や高速道路の周囲に設置されている。
吸音材は、各種の建物の壁面に組み込む場合もあり、コンサートホールや会議室などにおいて、楽音の不要な干渉を防いだり、隣接する部屋への声音漏れを防止できる。この種の吸音材は、一般に5cm前後の厚みを有するけれども、厚みが0.5mm程度の薄板状であれば、CPUファン、ハードディスクファンやビデオカードファンの音が大きいパソコンのケース内壁面に敷設したり、個別騒音源である電気掃除機や芝刈り機などの機器内部に取り付けることも可能になる。
特開2002−243211号公報 特開2008−138505号公報 特開2010−61078号公報
特開2002−243211号に開示の吸音材は、オリフィス孔を設けた複数の内部ケースを遮音カバーの内側に設置し、吸音材の厚み自体はそれほど大きくない。この内部ケースは、ヘルムホルツの共鳴理論によって特定の周波数帯域の音を共鳴吸収し、オリフィス孔の厚さおよびケース内部の空気室の体積を変えることで個々の周波数帯域の音を吸収できる。この吸音材は、異なる寸法の内部ケースを1個ずつ製作して遮音カバーに取り付けるために製造作業が煩雑でコスト高になるうえに、ヘルムホルツの共鳴理論だけで音を吸収し、空気の振動には減衰性が殆ど生じないので、モータから発生する騒音を十分に吸収することは困難である。
一方、特開2008−138505号および特開2010−61078号は、高さの異なる複数の矩形枠材を収納した箱体からなり、該箱体の全体厚は使用枠材の厚みの合計になる。特開2008−138505号では、例えば、3枚の枠材の厚みは15mm、30mm、53mmであり、厚みを合算すると98mmになり、箱体の全体厚はその板厚を加えると100mmに達する。特開2010−61078号では、2枚の枠材における側壁幅はh3とh4であり、具体的な数値は不明であっても、箱体の全体厚はその板厚を加えるとかなりの値に達するものと推定できる。
前記の吸音材は、前述したように厚みが相当に大きいので、その用途は高速道路の周囲に設置する遮音壁に限られるであろう。また、この吸音材は、2枚の矩形枠材間ごとにアルミニウム板のような多孔板の周囲を挟着するので、その寸法にある程度の限界が生じ、長さ数メートルに達するような大きいものを製作することは実際上困難である。このため、道路の遮音壁に適用する場合には、多数枚の吸音材を組み合わせて配置することが必要であり、1枚の吸音材でもかなりの製造費用であるから、遮音壁全体としては非常にコスト高になってしまう。
本発明は、従来の吸音材に関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、薄板状の構造であるので、道路の遮音壁のほかに自動車などの乗物や建物の壁面内部に配置して取り付けて音発生源からの騒音を吸収できる安価な吸音構造体を提供することを目的としている。本発明の他の目的は、低周波数から高周波数の音が存在する騒音を効果的に吸収する吸音構造体を提供することである。本発明の別の目的は、大きな寸法であっても最終製品まで効率良く製造できる吸音構造体の製造法を提供することである。
本発明に係る薄板状の吸音構造体は、多数の貫通孔を設けた多孔シートと、空気の通過を遮断する気密シートと、該多孔シートと気密シートとの間に介在させるパルス状側面の中心シートとを備える。この中心シートは複数の異なる半値幅を有し、該中心シートを多孔シートおよび気密シートに平行線状に接着することにより、吸音構造体の内部において細長い収束空間および囲繞空間が長さ方向に並列しながら繰り返し、個々の囲繞空間における一方の側壁に多数の貫通孔を設けている。
本発明の吸音構造体において、多孔シートとして凹凸面を有するシートを用いると好ましく、この多孔シートの凹状裏面と中心シートの上方平面との間に第3空気層が存在し、第3空気層の存在によって比較的高周波の音を吸収できる。好ましくは、多孔シートは、幅0.3〜1mmの任意の形状の貫通孔を有し、該多孔シートの開孔率は70〜80%であり、一方、吸音構造体の囲繞空間の側壁には直径0.5〜1mmの円形貫通孔を設け、その側壁の開孔率を40〜50%に定める。また、中心シートは、その側面が台形、波形および方形のいずれかのシートであり、吸音構造体の全体厚さは3〜6mmである。
本発明に係る吸音構造体の製造法では、平坦な薄肉シートを1対の穴開けローラ間に通して、該シートにおいて貫通孔の群を平行帯状に繰り返し設け、次にこの薄肉シートを加熱しながら1対の歯形ローラ間に通して、該シートを凹凸状に折り曲げて中心シートを作製する。これによって、中心シートに関して個々の囲繞空間における一方の側壁だけに貫通孔が存在することになり、この中心シートに対して上方から多孔シートをおよび下方から気密シートを送り込み、該中心シートを多孔シートおよび気密シートにそれぞれ接着する。
本発明の吸音構造体の製造法において、多孔シートを1対の環状溝ローラに通して凹凸面を形成し、この凹凸多孔シートを中心シートへ送り込んで接着すると好ましい。
本発明に係る吸音構造体は、全厚が3〜6mmであり、厚さ5cm前後が多い従来の吸音材と比べると遙かに薄い。このため、本発明の吸音構造体は、遮音壁として鉄道施設や高速道路の周囲に設置できるだけでなく、自動車や電車などの内装防音部品、建物の壁面内の防音材などとして使用でき、さらにパソコンのケース内壁面に敷設したり、電気掃除機や芝刈り機などの機器内部に取り付けることもできる。
本発明の吸音構造体において、多孔シートは平坦なものだけでなく、凹凸断面を有するシートも用いることができる。凹凸断面を有する多孔シートを接着すると、その凹状裏面と中心シートの上方平面との間に第3空気層が形成され、この空気層の存在によって本発明の吸音構造体に入った音の反射と屈折が多くなり、4kHz近辺の高周波数の音も十分に吸収できる。例えば、鉄道列車では騒音源の主たる周波数帯域が400〜4kHzであり、高速道路の騒音は250〜4kHzが主たる周波数帯域であるため、これらの帯域の音を本発明の吸音構造体で吸音すると騒音を十分に低減化できる。
本発明に係る吸音構造体は、例えば、約2×500mのような寸法でも1枚で製造可能であり、寸法を大きくすることで遮音壁のような面積の大きい場所でも使用枚数を少なくでき、継ぎ目なし施工も可能であるから取付作業が容易になる。また、本発明の吸音構造体が軟質のプラスチック製であると、薄肉であるのである程度曲げることができ、道路遮音壁の湾曲部や騒音源の全体を取り囲む円筒形などにも変形可能である。
本発明に係る製造法では、吸音構造体を連続的に製造でき、その長さが500m前後に達しても連続製造が可能であるうえに、その製造に用いる板材などの部品は比較的安価であり、その部品数も少なくてよい。したがって、本発明の製造法を利用すると、従来のような箱体の吸音材を製造する場合に比べて遙かに迅速に製造でき、しかも圧倒的に安価に製造することが可能である。
本発明に係る吸音構造体の一例を示す拡大断面図である。 本発明の変形例として、パルス状側面の表面多孔シートを接着した吸音構造体を示す側面図である。 図2の吸音構造体を正面から見た端面図である。 市松模様状の凹凸表面を有する多孔シートを示す平面図である。 薄肉シートから台形側面の中心シートに加工する工程を示す概略説明図である。 台形側面の中心シートの上下面に多孔シートおよび気密シートを接着する工程を示す概略説明図である。 1対の穴開けローラを通過した後の薄肉シートを示す部分平面図であり、該薄肉シートは凹凸加工の後に中心シートになる。 パルス状側面の中心シートから吸音構造体を製造するまでを示す概略説明図である。 本発明の実施例における吸音構造体に関する吸音率を示すグラフである。
本発明に係る吸音構造体1は、図1に示すように、多数の貫通孔2を設けた多孔シート3と、空気の通過を遮断する気密シート5と、多孔シート3と気密シート5との間に介在させるパルス状側面の中心シート7とからなる。多孔シート3、気密シート5および中心シート7は、吸収すべき音の周波数帯域に応じて厚みが定められ、通常、同一または異なる厚さ0.2〜0.5mm程度の薄板材であればよい。
多孔シート3、気密シート5および中心シート7の素材は、ポリプロピレンやポリエチレンのようなポリオレフィン類、ポリアミド、ポリエステルなどを含むプラスチックまたはFRPのような難燃プラスチック、アルミニウムやステンレス鋼板などの金属板、板紙、薄板木材などである。使用シート素材は、吸音構造体1を設置する環境に応じて定められ、例えば、高温環境では難燃プラスチックや金属板を用い、コスト重視ならばポリプロピレンなどのポリオレフィン類を用いる。
図1の吸音構造体1において、平坦な多孔シート3には、幅0.3〜1mmである多数の貫通孔2を設けると好ましく、該貫通孔の平面形状は円形や角形などの任意の形状であり、複数の平面形状の貫通孔が混在していてもよい。貫通孔2の幅が0.3mm未満であると多孔シート3を通過する音が少なくなり、幅1mmを超えると音が直進しやすくなって音の屈折と反射が低下する。多孔シート3の開孔率はシート全面において70〜80%であり、開孔率70%未満では所定の周波数の音の吸音率を一定以上に高くすることができず、開孔率が80%を超えると音の屈折による空気振動の減衰化を大きくしにくい。
多孔シート3は、中心シート7に平行線状に接着されることにより、音が貫通孔2を通過する際に、該中心シートに確実に保持されることになり、音圧による多孔シート7の振動が抑制され、吸音性能の低下を防止することができる。また、気密シート5は、空気の通過を遮断することを要するので貫通孔を設けておらず、通常、多孔シート3と同一の厚みおよび素材からなる。
中心シート7は、図示のようなパルス状側面を有し、その側面形状は台形、波形、三角波形、方形のいずれでもよく、このパルス状側面を図1のように長手方向または交差方向に形成すればよい。図1に示す中心シート7は、台形側面を有し、その上頂点8の平坦部で多孔シート3に接着するので、該多孔シートの場合には開孔率は接着時に低下する。中心シート7の立脚壁部は、好ましくは、水平面に対して約60度の角度であると、音が収束空間12から囲繞空間14へ通過しやすいけれども、方形側面のように水平面に対して90度の角度であっても、多孔シート3から収束空間12に入った音波が小径の貫通孔16である細い隙間を通過する時に屈折するため、この屈折を利用すると、側壁が直角でも音を曲げて吸音でき、中心シート7として使用可能である。
中心シート7は、その上頂点8において多孔シート3に平行線状に接着され、その下頂点10において気密シート5に平行線状に接着されることにより、吸音構造体1の内部において細長い収束空間12および囲繞空間14が長さ方向に並列しながら繰り返す。個々の囲繞空間14は、両側壁16,18を有し、その一方の側壁16だけに多数の貫通孔20を設け、該貫通孔を経て囲繞空間14は収束空間12と連通する。このため、貫通孔20の群は中心シート7の一部に横帯状に設けられる(図7参照)。
収束空間12および囲繞空間14は、吸音構造体1の長さ方向に並列することで該構造体の薄さを維持する。収束空間12および囲繞空間14は、吸音構造体1の厚みが小さいことによって単位面積は小さいけれども、該吸音構造体の横幅(例えば2m)に相当する長さを有するので、その空間に含まれる空気量は従来の吸音材とほぼ同程度である。囲繞空間14は、多数の貫通孔20を介して収束空間12と連通することにより、該収束空間に入った音の反射と屈折を増やし、空気振動による減衰化を大きくする。
囲繞空間14の側壁16には、直径0.5〜1mmの貫通孔20を設け、該貫通孔は円形平面であることが望ましい。貫通孔20の直径は、0.5mm未満であると音が収束空間12から囲繞空間14へ流入しにくくなり、1mmを超えると収束空間12における音の屈折が低下する。側壁16の開孔率は40〜50%に定めると好ましく、開孔率40%未満では収束空間12から囲繞空間14への音の流入が少なくなり、開孔率が80%を超えると所定の周波数の音の吸音率を一定以上に高くすることができない。
パルス状側面の中心シート7は、複数の異なる半値幅を有するため、個々の収束空間12および囲繞空間14は複数の異なる横幅の組み合わせにすればよい。例えば、周波数帯域100〜1kHzの音を吸収するには、収束空間12は、下横幅1.3〜2.0mmから0.5mmずつの増加でa、b、c、dを定め、当該収束空間と連通する囲繞空間14は、上横幅0.8〜1.5mmから0.5mmずつの増加でe、f、g、hを定めればよく、この上下横幅で長さ方向に繰り返していく。一般に、囲繞空間14は、収束空間12よりも単位面積を小さく定め、これによって囲繞空間14の空気層での音の屈折をいっそう増加させる。
収束空間12および囲繞空間14について、個々の下横幅および上横幅は前記の増加幅範囲に定めならば、上下横幅を順番通りに増減させる必要もない。収束空間12および囲繞空間14の空気室では、音が進行する方向に直交する方向に共鳴現象が発生するけれども、ヘルムホルツの共鳴理論によって特定の共鳴周波数の音を共鳴吸収できる。さらに、中心シート7が複数の異なる半値幅を有することにより、収束空間12および囲繞空間14の体積が複数異なり、特定の体積の空気室で個々の周波数帯域の音を吸収すると、ヘルムホルツ共鳴原理で吸音可能な共鳴周波数の数が多くなり、全体として幅広い周波数帯域の音を吸収できる。
また、収束空間12および囲繞空間14は、多数の貫通孔20を経て連通するから共鳴現象が緩和され性能をさらに向上させることができる。収束空間12内で貫通孔20を通過しない音は該収束空間12の横幅を半波長とし、且つ貫通孔20を通過する音は囲繞空間14の横幅を半波長とする周波数以下の周波数で両空間内を進行することになり、貫通孔20を通過してからの音の広がりを防止する。
空気層である収束空間12および囲繞空間14において、その空間層の厚み、側壁16の開口率、板厚ならびに貫通孔20の直径からなるパラメータは、多孔シート3の貫通孔2および貫通孔20を通過する空気に対して音の屈折と反射による空気の粘性作用を生じさせるように規定される。これによって、貫通孔20を通過する空気に粘性減衰作用が発生すると、空気振動が熱エネルギへと変換されて、空気の振動に減衰性が生じる結果として、比較的広い周波数帯域において高い吸音効果を発揮する。
吸音構造体1は、全体厚さが3〜6mmであるから、道路などの遮音壁だけでなく、自動車や電車などの内装やパソコンのケース内壁面に敷設したり、モータ使用機器の内部などに取り付けることができる。吸音構造体1は、要望に応じて全体厚をより大きくすることも可能である。吸音構造体1は、その内部において細長い収束空間12および囲繞空間14が並列に繰り返し存在するので、厚みが薄くても騒音源における1kHz以下の周波数帯域の音を十分に吸収できる。
図2および図3において、吸音構造体21には凹凸を有する多孔シート22を用いる。多孔シート22は、前記の中心シート7と同様に、台形、波形または方形であるパルス状側面を有していても、図4に示すように山部と谷部が交互に形成される市松模様状の凹凸を設けていてもよい。多孔シート22の凹凸面は、中心シート7の凹凸面と直交またはある程度斜めの角度で交差させる。例えば、図8に示すように、多孔シート22には長手方向と交差した方向に波形側面を形成し、この波形側面を中心シート7の凹凸面と直交させればよい。また、多孔シート22のパルス状側面を長手方向に形成し、長手方向と交差した方向に凹凸面を形成した中心シートと交差させてもよい。
図4に示す多孔シート24は、熱成形加工やエンボス加工によって角錐山部26および角錐谷部28を連続して形成し、断面が三角波形で表面が凹凸の市松模様状になっている。多孔シート24には、熱成形加工やエンボス加工の前またはその加工と同時に微小な多孔を形成すればよい。多孔シート24は、角錐山部26および角錐谷部28を交互に形成することにより、比較的曲げやすいうえに剛性を高めることができ、該多孔シートの厚みが薄い場合でも湾曲したり陥没することが少ない。
図2と図3に示す波形側面の多孔シート22は、その表面の形状による表面の反射によって低周波数から高周波数までの吸音を達成できる。多孔シート22を中心シート7の上面に接着すると、細長い第3空気層30(図3)が多孔シート22の凹状裏面と中心シート7の上方平面との間に形成され、この第3空気層の存在によって多孔シート22内へ入った音の屈折が増加し、比較的高周波の音まで多く吸収することが可能になる。細長い第3空気層30は、細長い収束空間12と交差状に連通しており、多孔シート22内へ入った音の多くは第3空気層30から収束空間12へ行くまで反射と屈折を繰り返し、空気に粘性減衰作用が発生して広い周波数帯域で吸音効果を発揮する。
波形側面の多孔シート22において、その凹凸高さを大きくすると、高周波数の音の吸音率が高くなり、凹凸が小さくて平坦に近づくと高周波数の音の吸音率が小さくなる。多孔シート22の凹凸高さが、中心シート7の凹凸高さと同程度つまり高さ2.5〜5mmになると、多孔シート22内へ入った音の反射と屈折が多くなり、4kHz近辺の高周波数の音も多く吸収できる(図8参照)。鉄道列車や自動車の騒音は主に250〜4kHzの周波数帯域であるため、これらの帯域の音を本発明の吸音構造体21で吸音すると騒音を十分に低減化できる。
図示しないけれども、多孔シート22と中心シート7との間に別の多孔シートまたは薄ネットを介在させることも可能である。また、多孔シート22の凹凸が小さくなって平坦に近づくに従い、前記の多孔シート3と同様に100Hz程度の低周波数から4kHz程度の高周波数までの吸音を達成できても、高周波数の音の吸音率が比較的少なくなる。
吸音構造体1を製造する際には、図5に示すように、プラスチック製や金属製などの平坦な薄肉シート32を用いる。薄肉シート32は、厚さが0.2〜0.5mmであり、多孔シート3および気密シート5についても同様の厚みである。また、薄肉シート32は、幅が1.5〜2m、長さが1500m程度まで可能であり、多孔シート3および気密シート5は、幅が薄肉シート32と同じで長さが1000m以下であればよい。多孔シート3を薄肉シートから製造するには、全周面にニードルを植設した1対の穴開けローラ(図示しない)に薄肉シートを通して、開孔率を70〜80%にすることも可能である。
薄肉シート32は、図5において、ニードル列35を間欠的に植設した1対の穴開けローラ34,34間に通して、該シートにおいて貫通孔20の群を平行帯状に繰り返し設ける(図7参照)。穴開けローラ34,34は、プラスチック製シートの場合にはローラ自体を加熱しながら穴開け加工すると好ましい。
穴開けローラ34,34において、一方が細幅のニードル列35を3列以上植設したローラであり、他方が各ニードル列が入り込む盲孔列36を刻設したローラである。複数のニードル列35を植設した穴開けローラ34では、ニードル列35,35間の間隔がそれぞれ異なることにより、複数の異なる半値幅を有する中心シート7を得ることができる。
貫通孔20の群を所定の異なる間隔で形成した薄肉シート32aは、1対の歯形ローラ37,37間に通して、該シートを所定の間隔で凹凸状に折り曲げてパルス状側面の中心シート7を得る。歯形ローラ37,37は、プラスチック製シートの場合にはローラ自体を加熱しながら穴開け加工すると好ましい。
歯形ローラ37,37は、相互に噛み合った凹凸周面を有し、穴開けローラ34,34と正確に同期して回転する。歯形ローラ37,37において、各歯先幅と歯底幅とがそれぞれ異なり、通過する薄肉シート32aは、図7に示すように、1対の谷折り線38,38および山折り線40,40を幅を変えながら繰り返し形成する。各谷折り線38,38間をa、b、c、dと定めるとa<b<c<dであり、且つ各山折り線40,40間をe、f、g、hと定めるとe<f<g<hである。
図5において台形側面を有する中心シート7は、波形、三角波形または方形側面などのパルス状側面にすることも可能である。次に図6において、得た中心シート7は、その上下面においてローラ42と44で液状接着剤を塗布した後に、この中心シートに対して上方のロール46から多孔シート3をおよび下方のロール48から気密シート5を順次送り込み、多孔シート3および気密シート5を中心シート7にそれぞれ接着し、その後に遠赤外線乾燥炉50などに通して乾燥する。
中心シート7、多孔シート3および気密シート5が樹脂シートである場合には、高周波、誘電加熱または超音波で溶着することが可能であり、この場合には塗布ローラ42,44および乾燥炉50は不要である。また、これらのシートが金属製であるならば、スポット溶接やロウ付けも可能である。
図8は、図2と図3に示す波形側面の多孔シート22を製造する例を示す。この多孔シート22の横幅は、凹凸形成後に中心シートや気密シートの幅とほぼ一致するように定める。多孔シート22を平坦な薄肉シートから製造するには、該薄肉シートをニードル周面の1対の穴開けローラ(図示しない)などに通して平坦な多孔シートを得た後に、平坦な多孔シートを1対の環状溝ローラ52,52に通して交差方向に波形側面を形成すればよい。ローラ52,52は、所望の波形側面に応じた環状溝の深さと横幅を有し、その横幅は中心シートや気密シートの幅に対応し、波形側面のほかに台形、三角波形または方形の側面にしてもよい。
波形側面の多孔シート22は、図示しないけれども、中心シートの上面に液状接着剤を塗布した後に、該中心シートに対して上方から順次送り込んで接着し、さらに気密シートを下方から送り込んで接着する。得た吸音構造体多孔シート22は、再度に遠赤外線乾燥炉などで乾燥する。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。吸音構造体の素材として、厚さ0.4mmのポリプロピレンシートを用いる。平坦な多孔シート3は、このポリプロピレンシートに多数の貫通孔2を設け、該貫通孔は直径0.5mmでシート全面の開孔率は80%である。また、気密シート5はこのポリプロピレンシートをそのまま使用する。
中心シート7について、厚さ0.4mmのポリプロピレンシートは、1対の穴開けローラ34,34(図5)間を通して貫通孔20の群が所定の異なる間隔で横帯状に形成され、さらに1対の歯形ローラ37,37間に通して該シートを凹凸状に折り曲げることにより、台形側面の中心シート7を得る。次に、中心シートに対して上方から多孔シート3をおよび下方から気密シート5を送り込んで高周波で接着する。
中心シート7は、図1において、上頂点8において多孔シート3に平行線状に接着され、その下頂点10において気密シート5に平行線状に接着されている。この結果、吸音構造体1の内部において多数の細長い収束空間12および囲繞空間14が長さ方向に並列する。収束空間12では、下横幅がa=1.5mm、b=2.0mm、c=2.5mm、d=3.0mmであり、一方、囲繞空間14では、上横幅がe=1.25mm、f=1.75mm、g=2.25mm、h=2.75mmであり、この収束空間12の下横幅と囲繞空間14の上横幅を繰り返す。
得た吸音構造体は全体厚さが4mmであり、中心シート7の立脚壁部は水平面に対して約60度の角度である。個々の囲繞空間14は、その一方の側壁16に多数の貫通孔20を有し、該貫通孔を経て囲繞空間14は収束空間12と連通する。円形平面の貫通孔20は、直径が0.5mmであり、側壁16の開孔率を50%に定める。
得た吸音構造体の吸音率を測定する。垂直入射吸音率は、JIS A 1405−1および2の「音響管による吸音率およびインピーダンスの測定」(2)(3)で規定されている。垂直入射吸音率の測定では、定在波法、音響管法または管内法とも称し、音波は試料表面に垂直入射する。このJISでは,管内のスピーカから放射される音波の波長λと管の内径d(m)がd<0.59λの条件(但し、円管の場合)を満たす音響管が必要とされ、低周波数から高周波数までの広い周波数帯域の音の測定には、内径が異なる複数の音響管を用いる。
定在波の音圧振幅の最大値Pmaxおよび最小値Pminが求められれば、定在波比nから垂直入射吸音率αを得ることができる。
定在波比n=Pmax/Pmin
垂直入射吸音率α=1−(n−1/n+1)
実施例1の吸音構造体について、垂直入射吸音率の測定結果を図9において点線で示す。この結果から、この吸音構造体は、厚みが4mmであっても騒音源における1kHz以下の周波数帯域の音を十分に吸収でき、4kHz近辺の高周波数の音になるとその吸収は若干少なくなる。
吸音構造体の素材として、実施例1と同様のポリプロピレンシートを用いる。中心シート7および気密シート5は実施例1と同様に加工して使用する。
平坦な多孔シートは、薄肉シートに多数の貫通孔2を設け、該貫通孔は直径1.0mmで開孔率は70%である。この平坦な多孔シートを1対の環状溝ローラ52,52(図8)に通して長手方向に波形面を形成すると、多孔シート22の横幅は中心シート7や気密シート5の幅とほぼ一致する。波形側面の多孔シート22は、中心シート7の上下面に液状接着剤を塗布した後に、該中心シートに対して上方から送り込み、下方から送り込んだ気密シート5とともに接着する。
得た吸音構造体は全体厚さが7mmである。個々の囲繞空間14は、その一方の側壁16に多数の貫通孔20を有する。円形平面の貫通孔20は、直径が0.5mmであり、側壁16の開孔率を40%に定める。
実施例2の吸音構造体について、垂直入射吸音率の測定結果を図8において実線で示す。この結果から、この吸音構造体は、厚みが7mmであっても騒音源における1kHz以下の周波数帯域の音を十分に吸収でき、しかも4kHz近辺の高周波数の音も十分に吸収できる。
1 吸音構造体
2 貫通孔
3 多孔シート
5 気密シート
7 中心シート
12 収束空間
14 囲繞空間
20 貫通孔
22 パルス状側面の多孔シート22
30 第3空気層
32 薄肉シート
34,34 穴開けローラ
37,37 歯形ローラ

Claims (7)

  1. 多数の貫通孔を設けた多孔シートと、空気の通過を遮断する気密シートと、該多孔シートと気密シートとの間に介在させるパルス状側面の中心シートとを備え、該中心シートは複数の異なる半値幅を有し、該中心シートを多孔シートおよび気密シートに平行線状に接着することにより、吸音構造体の内部において細長い収束空間および囲繞空間が長さ方向に並列しながら繰り返し、個々の囲繞空間において一方の側壁だけに多数の貫通孔を設け、収束空間および囲繞空間が一方の側壁の多数の貫通孔を経て連通することによって吸音性能を向上させる薄板状の吸音構造体。
  2. 多孔シートとして凹凸面を有するシートを用い、この多孔シートの凹状裏面と中心シートの上方平面との間に第3空気層が存在し、第3空気層の存在によって比較的高周波の音を吸収できる請求項1記載の吸音構造体。
  3. 多孔シートは、幅0.3〜1mmの任意の形状の貫通孔を有し、該多孔シートの開孔率は70〜80%であり、一方、吸音構造体の囲繞空間の側壁には直径0.5〜1mmの円形貫通孔を設け、その側壁の開孔率を40〜50%に定める請求項1記載の吸音構造体。
  4. 中心シートは、その側面が台形、波形および方形のいずれかのシートである請求項1記載の吸音構造体。
  5. 吸音構造体の全体厚さが3〜6mmである請求項1記載の吸音構造体。
  6. 平坦な薄肉シートを1対の穴開けローラ間に通して、該シートにおいて貫通孔の群を平行帯状に繰り返し設け、次にこの薄肉シートを加熱しながら1対の歯形ローラ間に通して、該シートを凹凸状に折り曲げて中心シートを作製することにより、中心シートに関して個々の囲繞空間における一方の側壁だけに貫通孔が存在することになり、この中心シートに対して上方から多孔シートをおよび下方から気密シートを送り込み、該中心シートを多孔シートおよび気密シートにそれぞれ接着する薄板状の吸音構造体の製造法。
  7. 多孔シートを1対の環状溝ローラに通して凹凸面を形成し、この凹凸多孔シートを中心シートへ送り込んで接着する請求項6記載の製造法。
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