JP7504645B2 - 車両用遮熱防音材 - Google Patents

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Description

本発明は、遮熱性を有し、軽量で防音性、即ち吸音性能及び遮音性能に優れた車両用遮熱防音材に関する。
一般に、車室内騒音レベルは、エンジン音、吸気音や排気音、ロードノイズ、風切音及びエンジンの振動やトルク変動に起因するこもり音等の影響が大きい。また、別の要求として、エンジンルーム内の防音材や排気系統の防音材としては、単に防音性、即ち吸音性及び遮音性だけで無く、130~200℃程度の高温雰囲気に耐えられる遮熱性が要求される。そのために、成形天井やダッシュパネル等の内装材に適用される防音材は遮熱性が不足しており、高温雰囲気下で利用できないものであった。なお、本発明では、エンジンルーム内の防音材や排気系統の130~200℃程度の雰囲気を、常温雰囲気と区別するために、高温雰囲気と称す。
例えば、本出願人は、自動車用遮熱防音型インシュレーターとして、アルミ箔にディンプル成形によるエンボス加工を行い、表面側に突出した凸部と裏面側に凹んだ凹部とを前後及び左右に交互に備え、アルミ箔の裏面側に、グラスウールと不織布を順に重合接合し一体成型した防音型インシュレーターを出願した(特許文献1)。また、エンボス加工と同時に、アルミ箔に通気孔加工を施すことで防音性を高めることも開示している。
また、エンジンの排気マニホールドなどにおいて、グラスウール等の遮熱材を変形自在なアルミ材で包んで構成し、このアルミ材の表裏面に凸凹形状を設け、凸凹面に吸音孔を設けることが開示されている(特許文献2)。
特開2008-255818号公報 特開2002-59510号公報
特許文献1では、アルミ箔にディンプル成形によるエンボス加工を行い、表面側に突出した凸部と裏面側に凹んだ凹部とを前後及び左右に交互に備え、アルミ箔の裏面側に、グラスウールと不織布を順に重合接合し一体成型しており、ある程度の吸音性及び遮音性を備える。また、アルミ箔に通気孔を設けて、防音性を高めて良いと記載されているが、凹部や凸部のどこに通気孔を設けるのかが不明である。例えば、この公報の図3に、通気孔が示されているが、平面状のアルミ箔に通気孔が示されているだけであり、明細書にも通気孔の位置に関しては、全く記載されていない。
しかし、最近では、更に吸音性及び遮音性が求められており、特許文献1では、吸音性及び遮音性の高い要求を満足できてない。
また、特許文献2では、グラスウールの両側に凹凸面を有するアルミシートを用いているために、材料費が高くなり、且つ成形性が劣る。また、凹凸面に吸音孔を設けることを開示しているが、具体的な孔の形状や位置に関しては、開示がなく、示唆する記載もない。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、遮熱性を備えて且つ成形性を維持でき、軽量で且つ更に吸音性能及び遮音性能に優れた車両用遮熱防音材を提供することにある。
上記目的を達成するために、エンボス加工によって、アルミシートに凹部と凸部を設けるとともに、凹部と凸部との少なくとも一方の先細部に特殊形状の孔を開けるようにした。
具体的には、第1の発明は、エンボス加工されて、表面側に突出した凸部と裏面側に凹んだ凹部とを前後及び左右に交互に備えるアルミシートからなる表皮層と、ガラス繊維及びバインダー樹脂からなる基材層とを備え、前記基材層が前記表皮層の裏面側に一体に接合されてなる車両用遮熱防音材であって、前記表皮層は、前記凹部及び前記凸部の少なくとも一方の先細部に、非円形の通気孔を備え、前記通気孔は、前記凸部と前記凹部との該先細部の最先端を避けて、開口されていることを特徴とする。
この第1の発明では、アルミシートに凹部及び凸部を設けることで表面積の増加による放熱・吸熱効果が拡大でき、遮熱性を備えて且つ成形性を維持でき、軽量で且つ更に吸音性能及び遮音性能に優れた車両用遮熱防音材を得られる。また、この第1の発明では、前記通気孔は、前記凸部と前記凹部との該先細部の最先端を避けて開口され、最先端が開口してないことによって、表皮層と基材層との間の空間での音波の減衰や基材層での効率的な吸音などで、吸音性が向上する。吸音性が向上する要因としては明確ではないが、前記凸部と前記凹部の該先細部の最先端が開口している場合には、表皮層と直交する方向の音波が通気孔から基材層に入射して、基材層で吸音されると思われる。それに対して、最先端よりも少しずれた位置に通気孔を設けると、表皮層と直交する方向の音波でなく、少し斜めになった音波が入射するために、音波が基材層に斜めに入ることで、基材層で効果的に吸音されるとともに、表皮層と基材層との空間で音波が乱反射され減衰し、基材層で吸音されるので、その結果、吸音性に優れる結果が得られるものと予測される。
なお、本発明において、通気孔の形状が非円形であるとは、通気孔の幅が広い部分と狭い部分とが連続して設けられ、連続して設けられる幅が広い部分と狭い部分との差が大きい長孔、即ち細長い長孔であって、例えば、スリット形状、くさび形状、く字形状、L字形状、Y字状、T字状などである。このような細長い長孔とすることで、限られた開口面積の中で、低周波から高周波までの広い範囲の周波数域に対して吸音性を発揮できる。
本発明では、以下の説明において、アルミニウム或いはアルミニウム合金からなるアルミニウムシートをアルミシートと呼ぶ。
の発明は、第1の発明において前記通気孔が、スリット形状、くさび形状、く字形状、L字形状、Y字状、T字状の少なくとも1種であることを特徴とする。
この第の発明では、前記通気孔が、スリット形状、くさび形状、く字形状、L字形状、Y字状、T字状の少なくとも1種であるので、広い範囲の周波数で吸音性を発揮でき、特に、高周波領域での吸音性に優れる。
の発明は、第1又はの発明において、前記通気孔が、前記凹部の先細部にのみ備えることを特徴とする。
この第の発明では、前記通気孔が、前記凹部の先細部にのみに備えることで、通気孔から基材層に伝わる雑音を基材層で効果的に吸音でき、前記通気孔が前記凸部の先細部に設けられてないので、密閉された空気層となり遮熱性に優れる。
の発明は、第1~第の発明のいずれか1つにおいて、前記表皮層の厚みが、20μm~500μmであって、前記凸部の該最先端から前記凹部の該最先端までの高さが、1.0mm~2.0mmであって、前記通気孔の開口率が、0.3%/m~4.7%/mであり、前記通気孔の開口面積が、0.01~0.50mm/個であることを特徴とする。
この第の発明では、表皮層の厚みや高さ、通気孔の開口率及び開口面積を適切な範囲とすることで、遮熱性及び吸音性に優れ、かつ成形性に優れた遮熱防音材を得られる。
の発明は、第1~第の発明のいずれか1つにおいて、前記基材層の裏面側に不織布からなる裏面層が設けられていることを特徴とする。
この第の発明では、裏面層を設けることによって、例えば、基材層のガラス繊維の飛散防止、吸音性の向上、及び撥水性付与等の機能を発揮できる。
の発明は、第1~第の発明のいずれか1つにおいて、前記車両用遮熱防音材が、エンジンルーム内に配置される車両用遮熱防音材であり、前記車両用遮熱防音材の前記表皮層が該エンジンルーム内の表面になるように積層された積層体からなることを特徴とする。
この第の発明では、該エンジンルーム内に配置される前記車両用遮熱防音材の前記表皮層が該エンジンルーム内の表面になるように積層された積層体からなるので、成形性に優れ、かつ遮熱性及び吸音性に優れた遮熱防音材を得られる。
本発明は、エンボス加工されて、表面側に突出した凸部と裏面側に凹んだ凹部とを前後及び左右に交互に備えるアルミシートからなる表皮層と、ガラス繊維及びバインダー樹脂からなる基材層とを備え、前記基材層が前記表皮層の裏面側に一体に接合されてなる車両用遮熱防音材であって、前記表皮層は、前記凹部及び前記凸部の少なくとも一方の先細部に、非円形の通気孔を備えるものである。各成分の詳細を以下に述べる。
(表皮層)
表皮層は、アルミニウム或いはアルミニウム合金からなるアルミシートであって、表皮層の厚さは、薄すぎると遮熱性が不足し、厚すぎると成形しにくく、吸音性が悪くなるので、20μm~500μmとすることが好ましい。特に、50μm~300μmとすることが好ましい。
また、表面側に突出した凸部から裏面側に凹んだ凹部までの高さは、低すぎると吸音性及び遮熱性が不足し、高すぎると、エンボス加工で凸部及び凹部を形成する際に、破れる可能性があり、また車両用遮熱防音材に成形することが難しくなるので、1.0mm~2.0mmとすることが好ましい。
凸部及び凹部の先細部に設けられる通気孔の形状は、非円形、特にスリット形状、くさび形状、く字形状、L字形状、Y字状、T字状の少なくとも1種であることが好ましい。通気孔の形状が、例えば、スリット形状、くさび形状、く字形状、L字形状、Y字状、T字状、などのように通気孔の幅が広い部分と狭い部分とが連続して設けられ、連続して設けられる幅が広い部分と狭い部分との差が大きいほど、低周波から高周波までの広い範囲の周波数域に対して吸音性を発揮できる。特に、スリット形状、くさび形状、く字形状、L字形状、Y字状、T字状、であると、円形状と比較して、高周波域の吸音性に優れる。
通気孔の位置は、凸部及び凹部の先細部であるが、最先端よりも少しずれている方が好ましい。最先端が開口してないことによって、表皮層と基材層との間の空間での音波の減衰や基材層での効率的な吸音などで、吸音性が向上する。吸音性が向上する要因としては明確ではないが、前記凸部と前記凹部の該先細部の最先端が開口している場合には、表皮層と直交する方向の音波が通気孔から基材層に入射して、基材層で吸音されると思われる。それに対して、最先端よりも少しずれた位置に通気孔を設けると、表皮層と直交する方向の音波でなく、少し斜めになった音波が入射するために、音波が基材層に斜めに入ることで、基材層で効果的に吸音されるとともに、表皮層と基材層との空間で音波が乱反射して減衰され吸音されるので、その結果、吸音性に優れる結果が得られるものと予測される。
通気孔の開口面積は、広過ぎると熱が通気孔を通過し易くなって遮熱性が低下し、狭過ぎると吸音性が不足するので、0.01mm/個~0.50mm/個とすることが好ましい。通気孔の測定は、通気孔を開口した100mm×100mmのアルミシートに対して、設定した測定ポイントの9カ所について、電子顕微鏡を用いて通気孔を観察した。実際には、測定ポイント毎の所定の面積範囲内で、通気孔の数量を測定した。各通気孔の面積をそれぞれ測定した。30枚について9カ所の測定を繰り返して観察した。すべての通気孔の平均値として1個の開口面積を算出した。また、所定の面積範囲に対する通気孔の総面積から開口率を算出した。通気孔の個数は、少な過ぎると吸音性が不足し、多過ぎると熱が通気孔を通過し易くなって遮熱性が低下するので、20個/cm~40個/cmとすることが好ましい。
開口率は、大き過ぎると遮熱性が不足し、少なすぎると吸音性が悪くなるので、0.3%/m~4.7%/mが好ましい。
(基材層)
基材層は、ガラス繊維を樹脂で接着したものである。ガラス繊維は、繊維径が3μm~8μmで、目付が300g/m~2,000g/m、通気抵抗:60~5,600Ns/m、厚さ:1mm~30mmとすることが好ましい。上記の繊維径の3μm~8μmは、繊維径がバラつく中で、多くの繊維の繊維径の中心的なサイズを示す。
なお、目付や通気抵抗は、自動車用遮熱吸音材の基材として使用されている通常の範囲を示す。
基材層の厚さは、薄すぎると吸音性が不足し、厚過ぎると成形性が悪化する。
なお、ガラス繊維だけでなく、基材層としての吸音性、遮熱性に問題なければ、熱硬化性樹脂を少し混合しても良い。
(裏面層)
裏面層は、用途によって必要であれば設ければ良いものであって、例えば、PETやPPなどの合成樹脂からなる不織布を使用することが可能である。
この裏面層は、例えば、基材層のガラス繊維の飛散防止、吸音性の向上、及び撥水性付与等の用途に応じて、使用することが可能である。
この裏面層は、基材層及び表皮層を成形する成形金型に一緒に重ねて成形することで、基材層と一体にできる。
以上説明したように、本発明によれば、アルミシートに凹部及び凸部を設けることで表面積の増加による放熱・吸熱効果が拡大でき、吸音性と遮熱性に優れた車両用遮熱防音材を得られる。
本発明の実施形態1に係る車両用遮熱防音材の拡大断面図である。 図1の車両用遮熱防音材のアルミシート単体の平面図である。 図3(A)は、図2のA-A矢視断面である。図3(B)は、図2のB-B矢視断面である。図3(C)は、図2のC-C矢視断面である。 図2のアルミシートの部分拡大平面図である。 アルミシートをエンボス加工する装置を説明する概略図である。 図4のエンボス加工する装置のローラを説明するための概略図である。 車両用遮熱防音材の実施例及び比較例を示す表である。 本発明の実施例1~5及び比較例1の吸音性を示すグラフである。 本発明の実施例6~11及び比較例1、2の吸音性を示すグラフである。 本発明の実施例3~11及び比較例2の遮熱性を示すグラフである。 本発明の実施例12~20及び比較例3の遮熱性を示すグラフである。 本発明の実施例21~29及び比較例4の遮熱性を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(車両用遮熱防音材)
本発明の車両用遮熱防音材の実施形態について、図1~4に基づいて説明する。車両用遮熱防音材1は、図1に示すように、アルミシートからなる表皮層2とガラス繊維からなる基材層3を備える。表皮層2は、エンボス加工されて、表面側に突出した凸部21と裏面側に凹んだ凹部22とを前後及び左右に交互に備える。図2に示すように、突出した凸部21の先細部23及び凹んだ凹部22の先細部24にそれぞれ通気孔4が形成されている。この通気孔4については、後で詳細に説明する。凸部21と凹部22との実際の形状は、凸部21が滑らかに突出して略四角錐状に形成され、凹部22は、凸部21と逆方向に滑らかに凹んで略四角錐状に形成されており、両者の境界は凸部21及び凹部22の先細部23、24の傾斜よりも傾きが小さくなっている。このような傾きが小さい境界を挟んで、凸部21及び凹部22が交互に連続して形成されている。但し、この形状に限られず、凸部21と凹部22とが滑らかに接続されており、お互いが滑らかに接続された略波状の断面になるように形成されていてもよい。図2では、略四角錐状の凸部21及び凹部22の底面の周辺を模式的に円形で示す。なお、図3では、凸部21及び凹部22の断面形状を、説明の便宜上、模式的に三角形で示す。図3(A)に示すように、凸部21と凹部22とが凸凹になって連続して繋がっており、図3(B)に示すように、凸部21と凹部22との境界部分は、模式的には、ほぼ平面状になっている。図3(C)に示すように、隣接する凸部21同士の繋がり部分は、模式的には、ほぼ平面状になっている。同様に、隣接する凹部22同士の繋がり部分は、図示を省略するが、ほぼ平面状になっている。なお、図3(B)及び図3(C)において、凸部21と凹部22との繋がり部分や凸部同士の繋がり部分を、模式的に、ほぼ平面状に記載したが、実際の形状は、凸部21と凹部22とが滑らかに繋がるように少し斜めになっている。
基材層3は表皮層2の裏面側2aに重ねられて、成形金型で加熱・加圧した際に一体に接合してなる。
また、図1に示すように、基材層3の裏面側3aに、不織布などからなる裏面層6を一体に接合しても良い。なお、図1及び図2では、表皮層2、基材層3、裏面層6を判り易くするために、実際の厚さよりも厚く、かつ表皮層2の凸部21及び凹部22を誇張して表示している。
(表皮層)
図2及び図3に示すように、表皮層2は、凸部21の先細部23及び凹部22の先細部24に、通気孔4を備える。なお、通気孔4は、それぞれ、非円形例えば略く字状からなり、凸部21の先細部23の最先端23a(すなわち頂部)及び凹部22の先細部24の最先端24a(すなわち最低部)から少しずれて、設けられている。すなわち、最先端23a、24aを避けて囲むように、く字状の通気孔4が、先細部23、24に設けられている。特に、く字状の形は、中央部分の幅が比較的広く先になるに従って徐々に狭くなっている。通気孔4の開口面積は、0.042mm/個であり、開口率は、1.41%/mであり、通気孔の個数は38個/cmである。表皮層2の厚さは、100μmであり、凸部21の最先端23a及び凹部22の最先端24aまでの高さは、平均1.4mmである。
通気孔4を、最先端23a及び24aを避けて開口することによって、通気孔を通って少し斜めになった音波が基材層に入射されるので、基材層で効率よく吸音されるとともに、基材層に入射する音波が表皮層と基材層との間の空気層で効果的に減衰し基材層で吸音されるので、吸音性が高くなると思われる。
図4において、2点鎖線で示す四角形は、後で説明するローラ51、52の突起部53、54の底面を示す。
(基材層)
基材層3は、繊維径が8μm、目付が1000g/m、厚さ:8.6mm、通気抵抗が500Ns/mのグラスウールを使用した。
(裏面層)
裏面層6は必ずしも設ける必要はないが、例えば、ガラス繊維の飛散防止などのために基材層の裏側に不織布などの裏面層を設けてもよい。
(車両用遮熱防音材の製造方法)
図5にアルミシート2’にエンボス加工する装置5の概略を示す。図5に示すように、1組のローラ51、52を用いて、平板状のアルミシート2’を1組のローラ51、52の間に挟んで、左側から右側に通す(X方向)ことで、アルミシート2’をエンボス加工する。図5では、一部のみ記載するが、ローラ51の表面には四角錐の突起部53、ローラ52の表面には、四角錐の突起部54を前後左右に備える。具体的には、図6に示すように、このローラ51、52の表面には、それぞれ四角錐の突起部53、54が、前後左右にずれて設けられており、これらの突起部53、54によって、図2に示すように、凸部21及び凹部22が前後左右にずれて形成される。図6において、ローラ51及びローラ52が噛み合って、紙面の表側から裏側(図4及び5のX方向)に向かって、アルミシート2’が搬送されて、凹凸状が形成されるようになっている。
実施形態では、エンボス加工用の装置として、サイトウエンヂニアーズ社製のエンボスターを使用した。このエンボス加工によって、表面側に突出した凸部21と裏面側に凹んだ凹部22とを前後及び左右に交互に備える凸凹状のアルミシートからなる表皮層2を成形する。
そして、凸部21及び凹部22の形成と同時に、1組のローラ51、52の突出部53、54によって、凸部21の先細部23及び凹部22の先細部24それぞれに、通気孔4が形成される。特に、1組のローラ51、52に設けられる突出部53、54が四角錐形状であって、四角形の底面形状が正方形であって、四角錐形状の稜線がアルミシート2’の搬送方向(図4及び図5において、X方向)及びこの方向と直角な方向に向かって伸びた正方形になるように設けられている。図5に示すように、ローラ51の突出部53とローラ52の突出部54とが、1組のローラ51、52の回転によって、徐々に接近して凸部21と凹部22とが徐々に形成されるとともに、通気孔4が四角錐の稜線に応じて徐々に開けられるので、図2に示すように、通気孔4が略く字状に形成されるとともに、最先端即ち頂点を少しずれて、設けられる。
なお、実施形態では通気孔4は、凸部21と凹部22とがエンボス加工で形成されると同時に形成されるようになっているが、必ずしも同時に形成される必要はなく、例えば、エンボス加工で通気孔のない凸部21と凹部22を形成し、その後、凸部21の先細部23及び凹部22の先細部24に、針などの穴開け具で、所定形状及び所定の大きさの通気孔を形成しても良い。
この実施形態では、通気孔4は、凸部21と凹部22とがエンボス加工で形成されると同時に形成されるので、製造工程が少なくて済むのに対して、後から通気孔を開ける場合には、製造工程が増えるが、所定の位置に所定の大きさ及び形状の通気孔を形成できるメリットがある。また、凸部21と凹部22との片方に通気孔4を設ける場合にも、後から針などの穴開け具で開ける方が制御し易い。
なお、上記のようにして、凸部21及び凹部22と、通気孔4とを形成した表皮層2に対して、ガラス繊維からなる基材層3が前記表皮層2の裏面側2bに重ねられて、エンジンルームの遮熱防音材として所要な形状に成形する成形金型に投入される。
この成形金型(加熱温度:約200℃、加圧保持時間:180秒)にて、表皮層2と基材層3とを加熱・加圧して、所定形状に成形する。この成形時に、表皮層2と基材層3とが一体に接合される。
なお、表皮層2と基材層3とを重ねて成形金型に投入する代わりに、表皮層2と基材層3とを別々に成形金型に投入して、成形金型で重ねて一緒に成形することで一体にしても良い。
なお、裏面層を追加する場合には、上記基材層及び表皮層と同様に、成形金型に投入して加熱・加圧することで一体化するようにすればよい。
(車両用遮熱防音材の実施例)
次に、本発明の車両用遮熱防音材について、実施例を挙げて具体的に説明する。ただし本発明は、以下の実施例等によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1は、上記実施形態に示すように、1組のローラ51、52の突出部53、54がそれぞれ底面が正方形の四角錐からなるサイトウエンヂニアーズ社のエンボスターを使用した。エンボスターの1組のローラ51、52の間隔及び回転数を調整して、厚さが100μmからなる1000番のアルミシート2’をエンボス加工し、高さが1.0mmの凹凸面を形成した。この時に通気孔を形成しない状態とした。なお、1組のローラ51、52の突出部53、54がそれぞれ四角錐からなり、アルミシート2’が平板状から突出部53、54によって滑らかに凸凹になっていくので、凸部21と凹部22は、四角錐の形状よりも円錐形状に近い形状で先細になって形成されていく。
その後、凸部21及び凹部22の先細部23及び先細部24に針(図示省略)で、所定形状・所定大きさの通気孔を所定位置に開口した。すなわち、く字状の通気孔4を凸部21及び凹部22の先細部23、24にそれぞれ開口した。く字状の通気孔4の中央部分が、最先端(頂上)になって、く字状の通気孔の幅が徐々に狭くなるように形成した。通気孔の開口率は、4.47%/m、開口面積が0.26mm/個、通気孔の個数が38個/cmである。そして、ガラス繊維からなる基材層として、厚さが9.0mmで、目付が1000g/mで、通気抵抗が500Ns/mの基材層を用意した。エンボス加工してから針で通気孔4を開けたアルミシートを基材層に重ねて、成形金型で200℃に加熱、180秒加圧保持して300mm×300mm×10mmの大きさのサンプルを作成した。
(実施例2)
実施例2のサンプルは、実施例1と同様にして、アルミシートをエンボス加工して、通気孔を開口してない状態で、凸部及び凹部を設ける。その後、スリット状の通気孔を開ける針を用意して、凸部及び凹部の最先端の位置(実施例1のく字状の通気孔と同様な位置)に、横方向に伸びたスリット状の通気孔を開口した。スリット状の通気孔の中央が、最先端(頂点)になるようにして、両端に向かって徐々に狭くなるように開口した。この通気孔の形状が実施例1と異なるだけで、後は実施例1と同じである。通気孔の開口率は、4.47%/m、開口面積が0.26mm/個、通気孔の個数が38個/cmである。そして、厚さが9.0mmで、目付が1000g/mで、通気抵抗が500Ns/mであるガラス繊維からなる基材層を重ねて、成形金型で200℃に加熱して、180秒加圧保持して300mm×300mm×10mmの大きさのサンプルを作成した。
(実施例3)
実施例3のサンプルは、実施例1と同様にして、アルミシートをエンボス加工して、通気孔を開口してない状態で、凸部及び凹部を設ける。アルミシートは、実施例1と同じ材質と厚みであるが、高さが1.4mmである。その後、く字状の通気孔を開ける針を用意して、凹部のみに、針で略く字状の通気孔を先細部で最先端から少しずれた位置に開口した。略く字状の通気孔は、実施例1と同様に、中央部分が広く、先細部に向かうに従って徐々に狭くなるように開けた。実施例1と異なる点は、実施例3では、く字状の通気孔が、最先端(頂点)から少しずれた位置に設けたことである。具体的には、図2に示すように、く字状を形成する両辺で囲まれた領域に最先端23a,24a(頂点)が来るように開けた。通気孔4の開口面積は0.50mm/個、開口率は4.62%/mで、通気孔の個数が20個/cmである。そして、厚さが8.6mmで、目付が1000g/mで、通気抵抗が500Ns/mであるガラス繊維からなる基材層を重ねて、成形金型で200℃に加熱して、180秒加圧保持して300mm×300mm×10mmの大きさのサンプルを作成した。
(実施例4)
実施例4のサンプルは、実施例3と同様にく字状の通気孔を、凸部の先細部で最先端から少しずれた位置に開口したことが実施例3と異なる。この時の表皮層の通気孔の開口面積は0.50mm/個、開口率は4.62%/m、通気孔の個数は20個/cmで、実施例3と同じである。実施例3と同様にして、300mm×300mm×10mmの大きさのサンプルを作成した。
(実施例5)
実施例5のサンプルは、実施例3と同様にく字状の通気孔を、凸部の先細部で最先端から少しずれた位置及び凹部の先細部で最先端から少しずれた位置の両方に開口したことが実施例3と異なる。なお、この時の表皮層の通気孔の開口面積は0.26mm/個、開口率は4.62%/mと、通気孔の個数は38個/cmである。その他は実施例3と同じである。実施例3と同様にして、300mm×300mm×10mmの大きさのサンプルを作成した。
(実施例6)
実施例6のサンプルは、1組のローラ51、52の突出部53、54がそれぞれ四角錐からなるサイトウエンヂニアーズ社のエンボスターを使用した。エンボスターの1組のローラ51、52の間隔及び回転数を調整して、厚さが100μmからなる1000番のアルミシート2’をエンボス加工し、高さが1.4mmからなる凸部21と凹部22とを形成した。このエンボス加工時に、ローラ51、52の先端で、凸部21の先細部23及び凹部22の先細部24を破って、く字状の通気孔4を凸部21の先細部23及び凹部22の先細部24にそれぞれ開口した。く字状の通気孔4は、最先端23a,24aから少しずれて開けられた。通気孔の開口率は0.36%/m、開口面積は0.018mm/個で、通気孔の個数は38個/cmである。
そして、基材層として、厚さが8.6mmで、目付が1000g/mで、通気抵抗が500Ns/mからなるグラスウールを用意した。
その後、エンボス加工すると同時に通気孔を開けたアルミシートを基材層に重ねて、成形金型で200℃に加熱し、180秒加圧保持して300mm×300mm×10mmの大きさのサンプルを形成した。
(実施例7~11)
実施例7~11のサンプルは、実施例6と比較して、通気孔の開口率、開口面積が異なるのみで、他は実施例6と同じである。
実施例7の通気孔の開口率が0.64%/m、開口面積が0.023mm/個、実施例8の通気孔の開口率が1.05%/m、開口面積が0.030mm/個、実施9の通気孔の開口率が1.41%/m、開口面積が0.042mm/個、実施例10の通気孔の開口率が1.77%/m、開口面積が0.048mm/個、実施例11の通気孔の開口率が2.50%/m、開口面積が0.069mm/個である。
(実施例12~20)
実施例12~20のサンプルは、実施例3~5及び実施例6~11に対して、それぞれ基材層の厚さを18.6mmとしただけであり、他は、それぞれ、実施例3~5及び実施例6~11と同じである。基材層の通気抵抗は、249Ns/mであった。
(実施例21~29)
実施例21~29のサンプルは、実施例6~11に対して、基材層の厚さを1.6mmとしただけであり、他は、それぞれ、実施例6~11と同じである。基材層の通気抵抗は、1668Ns/mであった。
(比較例1)
比較例1のサンプルは、実施例1及び2と比較するために作成した。比較例1は、実施例1と同様にして、アルミシートをエンボス加工して、通気孔を開口してない状態で、凸部及び凹部を設ける。その後、丸状の通気孔を開ける針を用意して、凸部及び凹部の最先端に丸穴を開口した。比較例1は、実施例1と比較して、通気孔の形状が異なるだけで、丸穴の開口率は4.47%/m、開口面積は0.26mm/個で、通気孔の個数は38個/cmであり、他は実施例1と同じである。
(比較例2)
比較例2のサンプルは、実施例3~11と比較するために作成した。比較例2は、実施例3と同様にして、エンボス加工した。しかし、実施例3と違って通気孔の開いてない凸部と凹部とを備える表皮層を成形した。表皮層は厚みが100μmで、高さが1.4mmで、通気孔の開口してないものとし、他は実施例3と同じである。
(比較例3)
比較例3は、比較例2に対して、基材層の厚さを18.6mmとしただけであり、通気抵抗は、249Ns/mであった。他は比較例2と同じである。
(比較例4)
比較例4は、比較例2に対して、基材層の厚さを1.6mmとしただけであり、通気抵抗は、1668Ns/mであった。他は比較例2と同じである。
なお、図7に、実施例1~11と比較例1、2の表皮層及び基材層の特性等を表示する。
実施例12~20及び比較例3、実施例21~29及び比較例4は、それぞれ実施例3~11、比較例2と比較して、それぞれ基材層の厚さが異なるだけであり、表皮層及び基材層の特性等の表示を省略した。
(吸音性試験)
実施例3~11及び比較例1、2について、基材層と表皮層とを重ねて、直径29mm×厚さ10mmのサンプルを作成した。各サンプルについて、吸音性試験として、垂直入射吸音率を測定した。垂直入射吸音率は、ISO10534-1、JIS A1405-2に基づいて測定した。実施例1~5と比較例1の吸音性を図8に、実施例6~11と比較例1、2の吸音性を図9に示す。
(遮熱性試験)
実施例3~実施例29、比較例2~4について、基材層と表皮層とを重ねて300mm×300mm×10mmの大きさのサンプルを作成した。各サンプルについて、基材層を上側、表皮層を下側にして、200℃に加熱したプレートヒーターに対して、20mm離れた高さに置いた。そして、熱電対を使用して1時間後の温度を測定した。同じサンプルについて5枚測定し、その平均値を測定値とした。
各サンプルについて、表皮層の表面をA点、表皮層と基材層との間をB点、基材層の裏側をC点として、A点、B点及びC点の温度を測定し、遮熱性を評価した。
(通気抵抗の測定方法)
通気抵抗は、カト-テック株式会社の「KSE-F8-AP1」を使用して、この機械の説明書に開示されている測定方法に基づいて、測定した。各実施例及び各比較例のサンプルを直径40mmの大きさで求める。これらのサンプルの目付量は通常の方法で測定する。
通気抵抗;R=△P/V
△P:サンプルに供給する定流量空気の供給圧力と通過後の通過圧力との差圧
V:単位面積当たりの通気量
(吸音性の評価結果)
吸音性の測定評価として、垂直入射吸音率を測定した。その結果を図8に示す。
実施例1~5と比較例1との吸音性を比較する。
まず、実施例1及び2と比較例1との吸音性を比較する。実施例1及び2は、比較例1に対して、通気孔の形状を変えたものであるが、図8に示すように、実施例1及びは、比較例1と比較して、2kHz以上の周波数領域において、吸音性に優れた結果になっている。この差異は、比較例1が丸孔であるのに対して、実施例1の通気孔がく字状であり、実施例2の通気孔がスリット状であり、通気孔に幅の狭い部分と幅の広い部分を有する細長い形状であるので、高周波領域で高い吸音性を発揮できるものと推測される。
次に、図8において、実施例3~5の垂直入射吸音率の測定結果を比較例1と比較する。
実施例3~5では、実施例1と同様に、く字状の通気孔を凸部や凹部に開口するものであるが、実施例1と異なるのは、通気孔の開口率、開口面積及び通気孔の値が異なるとともに通気孔を設ける位置が、最先端には開口しないで、少しずらせて開口させたものである。そして、実施例3は凹部の先細部のみ、実施例4は凸部の先細部のみ、実施例5は、凸部及び凹部の先細部の両方に通気孔を設けた場合である。
実施例3~5は、図8から判るように、比較例1と比較して、3kHz以上の周波数領域で、優れた吸音性を示す。
また、実施例3~5を、比較例1、実施例1及び2と比較する。3kHz以上の周波数領域で、実施例1と2では、吸音特性が下がる傾向にあるのに対して、実施例3~5は吸音特性が更に高くなる傾向にあり、吸音性が大幅に良くなっていることが判る。このことは、比較例1、実施例1及び2のように、凸部や凹部の最先端に通気孔を設けた場合には、表皮層と直交する方向に入射する音波が通気孔を通過して、基材層に入って吸音されるのに対して、実施例3~5のように、通気孔を凸部や凹部の最先端よりもずれた位置に開口した場合には、この通気孔を通って、少し斜めになった音波が入射されて基材層で効率よく吸音されるとともに、表皮層と基材層との間の空気層で減衰し、基材層で吸音されることによって、高周波領域での吸音性が大幅に良くなるものと予測される。
実施例3~5をそれぞれ比較した場合に、凹んだ凹部の先細部のみに通気孔を設けた実施例3が、突出した凸部の先細部で最先端から少しずれた位置に通気孔を設けた実施例4や、突出した凸部の先細部で最先端から少しずれた位置及び凹んだ凹部の先細部で最先端から少しずれた位置の両方に通気孔を設けた実施例5よりも、吸音性が優れる結果であった。このことから、突出した凸部の先細部に通気孔を開けない方が、吸音性に優れることが判る。この結果の理由としては、明確でないが、通気孔が、表皮層の凹んだ奥にある方が、この凹んだ部分で音波が乱反射して、いろいろの方向から通気孔を通って基材層に入り込むことで、吸音性に差が出ると予測している。
以上述べたように、実施例3~5については、凹んだ凹部の先細部のみに通気孔を設けた実施例3、突出した凸部の先細部にのみ通気孔を設けた実施例4、突出した凸部の先細部及び凹んだ凹部の先細部の両方に通気孔を設けた実施例5で比較すると、遮熱性ではほぼ同じであり、吸音性では、実施例3が実施例4や実施例5より優れた効果を示すこととなった。
即ち、表皮層の表側には、通気孔を設けない方が吸音性に優れるが、遮熱性にはあまり影響されない結果となった。これらのことから推測すると、表皮層に通気孔を設けないで凸部と基材層との空間を遮熱空間とする方が、遮熱性の観点から有効と考えていたが、その点は、あまり期待できず、表皮層に設けた通気孔から侵入する音波が、吸音性に影響することが判明した。
また、通気孔の開口面積は、所定の範囲内で、大きくなればなるほど高周波領域の吸音性に優れる傾向を示すので、本発明の遮熱吸音材を使用する部位が受ける周波数領域に応じて、通気孔の開口率及び通気孔の開口面積を設定すればよい。
次に、図9に基づいて、実施例6~11及び比較例1、2との垂直入射吸音率の結果を比較する。
実施例6~11は、通気孔に関し、通気孔の個数を38個/cmと共通にして、通気孔の開口率及び開口面積を共に変更した場合の吸音率を示す。図9から判るように、実施例6~11のいずれも、比較例1及び2と比較して、優れた吸音性を示す。特に通気孔を設けてない比較例2では、1kHzでスポット的に優れた吸音性を示すだけで、他の周波数領域では吸音性に劣ることが判る。このことからしても、通気孔を設けることが吸音性に有効であることが理解できる。そして、実施例6~11では、通気孔の開口率:0.36%/m、開口面積:0.018mm/個から、少しずつ変更して、開口率:2.50%/m、開口面積:0.069mm/個まで、変更すると、高い吸音性を得られる周波数領域が、3kHzから4kHz、4kHzから5kHz領域へとより高い周波数領域へとなっていくことが判った。傾向が判ったので、これ以上の開口率及び開口面積については、実験を省略した。特に、実施例3で、開口率が4.62%/mで、開口面積が0.50mm/個でも優れた吸音性を得られることが判っているので、これ以上の開口率及び開口面積での吸音率の実験を省略した。
(遮熱性の評価結果)
遮熱性の評価試験として、実施例3~11及び比較例2のサンプルについて、上記で説明した遮熱性のテストを行った。その結果を図10に示す。実施例3~11及び比較例2の各サンプルについて比較すると、全体的に見て、A点及びB点では、ほぼ同じレベルの温度であるが、C点では、いずれもかなり低温度になっている。これらの結果から考えると、遮熱性については、通気孔を設けても、通気孔のない比較例2と同様な効果を得られるということが判明できた。
また、実施例3~5において、通気孔を凸部及び凹部のどちらに設けても、あるいは両方に設けても、A点、B点及びC点の温度は、いずれも同様な傾向を示し、遮熱性にあまり差異がなかった。実施例6~11において、通気孔の開口率及び開口面積を変えた場合でも、A点、B点及びC点の温度は、いずれも同様な傾向を示した。このことからすると、通気孔の開口率及び開口面積の大きさは、ある程度の大きさの中で、変更しても遮熱性を確保できるという結果を得られた。
次に、実施例12~20及び比較例3のサンプルの遮熱性について、図11に基づいて説明する。実施例12~20及び比較例3は、それぞれ、実施例3~11及び比較例2と比較して、基材層の厚さを18.6mmとして、総厚さを20mmとしたものである。サンプルの総厚さを変えた場合に遮熱性に差異が出るかもしれないと予測したが、予想に反して、実施例12~20でサンプルの総厚さを20mmにして10mm増やしても、A点、B点及びC点の温度傾向は、総厚さが10mmの実施例3~11と同様な傾向であり、サンプルの基材層の厚さや総厚さにあまり影響されずに、よい遮熱性を有することが判った。
実施例12~20及び比較例3をそれぞれ比較した場合に、いずれも、A点及びB点の温度に大差なく、C点の温度がかなり低いという傾向は同様であり、通気孔を開けなくても、また通気孔の開口面積や開口率を所定の範囲内で変更しても、遮熱性は大差ないことが判明した。
更に、実施例21~29及び比較例4のサンプルの遮熱性について、図12に基づいて説明する。実施例12~20及び比較例3は、基材層の厚さを10mm増やして18.6mmとして総厚さを20mmとしても、A点及びB点の温度に大差なく、C点の温度がかなり低いという傾向は同様であったので、今度は、逆に総厚さを薄くしてみた。すなわち、実施例21~29及び比較例4では、逆に基材層の厚さを1.6mmとして、総厚さを3mmにしたサンプルを作成した。
実施例21~29及び比較例4のサンプルについて、上記の遮熱性試験を行った。その結果を図12に示す。実施例21~29及び比較例4のいずれも、A点及びB点の温度に大差なく、C点の温度がかなり低いという傾向は、他の実施例及び他の比較例と同様であった。また、実施例21~29及び比較例4をそれぞれ比較した場合に、通気孔を開けなくても、また通気孔の開口面積や開口率を所定の範囲内で変更しても、大差ないことが判明した。
以上の結果から、吸音性と遮熱性の両方を考察すると、遮熱性については、所定の開口率及び開口面積の範囲の中であれば、通気孔の開口率及び開口面積を変えても、通気孔を設けてない場合と大差ない遮熱性を示すことが判った。その上、サンプルの総厚さや基材層の厚さを変えても、厚さに大きく影響されることなく、良好な遮熱性を示すことが、判明した。
従って、吸音性が向上するような条件で通気孔を開口することによって、高い吸音性と高い遮熱性を備える遮熱防音材を得られることが判った。
以上述べたように、実施例1及び2のように、通気孔を非円形、例えば、スリット形状、くさび形状、く字形状、L字形状、Y字状、T字状の少なくとも1種とすることで、優れた吸音性の遮熱防音材を得られる。特に、実施例3~29のように、通気孔が凸部や凹部の最先端から少しずれた位置の先細部に設けると、更に吸音性が優れた遮熱防音材を得られる。
また、通気孔の開口面積は、所定の範囲内で、大きくなればなるほど高周波領域の吸音性に優れる傾向を示すので、本発明の遮熱吸音材を使用する部位が受ける周波数領域に応じて、通気孔の開口率及び通気孔の開口面積を設定すればよい。
本発明は、車両用遮熱防音材特に、ボンネットの裏側などのようなエンジンルーム内の遮熱防音材、排気管周囲の遮熱防音材などに好適である。
1 車両用遮熱防音材
2 表皮層
21 凸部
22 凹部
23 先細部
23a 最先端
24 先細部
24a 最先端
3 基材層
4 通気孔

Claims (6)

  1. エンボス加工されて、表面側に突出した凸部と裏面側に凹んだ凹部とを前後及び左右に交互に備えるアルミシートからなる表皮層と、
    ガラス繊維及びバインダー樹脂からなる基材層とを備え、
    前記基材層が前記表皮層の裏面側に一体に接合されてなる車両用遮熱防音材であって、
    前記表皮層は、前記凹部及び前記凸部の少なくとも一方の先細部に、非円形の通気孔を備え
    前記通気孔は、前記凸部と前記凹部との該先細部の最先端を避けて、開口されていることを特徴とする車両用遮熱防音材。
  2. 請求項1の車両用遮熱防音材において、
    前記通気孔が、スリット形状、くさび形状、く字形状、L字形状、Y字状、T字状の少なくとも1種であることを特徴とする車両用遮熱防音材。
  3. 請求項1又は2の車両用遮熱防音材において、
    前記通気孔が、前記凹部の先細部にのみ備えることを特徴とする車両用遮熱防音材。
  4. 請求項1からのいずれか1つの車両用遮熱防音材において、
    前記表皮層の厚みが、20μm~500μmであって、前記凸部の該最先端から前記凹部の該最先端までの高さが、1.0mm~2.0mmであって、
    前記通気孔の開口率が、0.3%/m~4.7%/mであり、前記通気孔の開口面積が、0.01~0.50mm/個であることを特徴とする車両用遮熱防音材。
  5. 請求項1から4のいずれか1つの車両用遮熱防音材において、
    前記基材層の裏面側に不織布からなる裏面層が設けられていることを特徴とする車両用遮熱防音材。
  6. 請求項1から5のいずれか1つの車両用遮熱防音材において、
    前記車両用遮熱防音材が、エンジンルーム内に配置される車両用遮熱防音材であり、前記車両用遮熱防音材の前記表皮層が該エンジンルーム内の表面になるように積層された積層体からなることを特徴とする車両用遮熱防音材。
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