以下、本発明の実施形態に係るプローブカード用回路基板およびプローブカードについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。また、プローブカード用回路基板およびプローブカードは、説明の便宜上、直交座標系XYZを定義するとともに、Z方向の正側を上方として、適宜、上面(表面)もしくは下面の語を用いるものとする。
また、実施形態等の説明において、既に説明した構成と同一若しくは類似する構成については、同一の符号を付して説明を省略することがある。なお、以下の説明においては、積層体の上面から下方に向かって第2の貫通導体が形成されている例を第1の実施の形態として説明し、第2の貫通導体の全体が積層体の内部に位置している例を第2の実施の形態として説明する。
<実施の形態1>
本発明の第1の実施の形態(実施の形態1という)に係るプローブカード用回路基板およびプローブカードについて、図1および図2を参照しながら以下に説明する。
実施の形態1のプローブカード用回路基板は、図1に示すように、セラミック基板1上に樹脂接着層2を介して設けられた、複数の有機絶縁層31aが接着層31bを介して積層されてなる積層体3と、有機絶縁層31aの下面に設けられた配線導体層32と、有機絶縁層31aの厚み方向に設けられた貫通導体33とを備えており、貫通導体33は、上
下の配線導体層32同士を電気的に接続する第1の貫通導体331と、積層体3の上面から下方の複数の有機絶縁層31aにわたって設けられた、配線導体層32に電気的に接続されている第2の貫通導体332と、を含んでいる。
セラミック基板1は、複数のセラミック絶縁層11と、セラミック絶縁層11の表面(上下面)に形成されたセラミック表面配線14、セラミック絶縁層11の内部に形成されたセラミック配線導体層12およびセラミック貫通導体13とを有する。
また、セラミック基板1は、プローブカード用回路基板の全体の剛性を確保する機能を有している。積層体3は、最上層の有機絶縁層31aの上面の端子34が半導体素子等の電極に対応するような微細な配線パターンを有している。プローブカード用回路基板は、積層体3を剛性の高いセラミック基板1上に設けることによって製作することができる。また、端子34は、例えば、上面にプローブが形成されるものであり、貫通導体33の表面に設けられている。
図1に示すように、セラミック表面配線14は、最上層のセラミック絶縁層11の上面および最下層のセラミック絶縁層11の下面にそれぞれ設けられている。
また、セラミック配線導体層12は、セラミック絶縁層11の層間にそれぞれ設けられており、セラミック貫通導体13は、セラミック絶縁層11を上下方向(厚み方向)に貫通してそれぞれ設けられている。
このように、セラミック表面配線14は、セラミック基板1の下面に形成されており、プローブカード用回路基板と外部回路とを電気的に接続するためのものである。また、内部に形成されたセラミック配線導体層12とセラミック貫通導体13は、セラミック基板1の上面のセラミック表面配線14と下面のセラミック表面配線14とを電気的に接続するためのものである。
図1に示すように、セラミック基板1は、上面にセラミック表面配線14が形成されており、このセラミック表面配線14が樹脂接着層2の接続貫通導体22と電気的に接続されている。セラミック基板1は、上面のセラミック表面配線14と下面のセラミック表面配線14とが、複数のセラミック貫通導体13および複数のセラミック配線導体層12を介して電気的に接続されている。
セラミック基板1は、セラミック絶縁層11が、酸化アルミニウム(アルミナ:Al2O3)質焼結体、窒化アルミニウム(AlN)質焼結体、炭化珪素(SiC)質焼結体、ムライト質焼結体またはガラスセラミックス等のセラミックス材料から成るものである。
また、セラミック表面配線14は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)または銅(Cu)等の金属材料、あるいは、これらの金属材料の合金材料からなる。セラミック配線導体層12は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo、)マンガン(Mn)または銅(Cu)等の金属材料、あるいは、これらの金属材料の合金材料からなる。セラミック貫通導体13は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)または銅(Cu)等の金属材料、あるいは、これらの金属材料の合金材料からなる。なお、セラミック表面配線14は、セラミック配線導体層12およびセラミック貫通導体13と同時に形成するのではなく、焼成後のセラミック基板1の両面を研磨した後に薄膜形成法を用いてセラミック貫通導体13と接続するように形成してもよい。
また、図1に示すように、セラミック基板1は、平面視において積層体3と同様の形状
および寸法で形成されている。つまり、プローブカード用回路基板は、例えば、全体が四角板状または円板状等であり、上面が半導体素子等の電子部品を実装または載置するための部位として使用される。なお、半導体素子はプローブカード用回路基板に電気的および機械的に接続して半導体装置とするために上面に実装される。
半導体素子は電気的なチェックを行なうために一時的に上面に載置される。また、半導体素子は、例えば、ICまたはLSI等の半導体集積回路素子、あるいは、半導体基板の表面に微小な電子機械機構が形成されてなるマイクロマシン(いわゆるMEMS素子)等が挙げられる。
積層体3は、複数の有機絶縁層31aが接着層31bを介して積層されており、それぞれの有機絶縁層31aの下面(表面)に配線導体層32が設けられており、また、有機絶縁層31aの内部に貫通導体33が設けられており、有機絶縁層31aと配線導体層32とが交互に積層されている。このように、配線導体層32は、有機絶縁層31aの下面にそれぞれ位置しており、積層体3は、接着層31bを介して複数の有機絶縁層31aが積層されており、薄膜多層部を形成している。
また、貫通導体33は、有機絶縁層31aを厚み方向、すなわち、上下方向に貫通して設けられており、上下の配線導体層32同士は、貫通導体3を介して互いに電気的に接続されている。また、図1において、積層体3は、3層の有機絶縁層31aを積層して構成されている。有機絶縁層31aの積層数は3層に限らず、プローブカード用回路基板の特性等に応じて適宜設定される。なお、上下の有機絶縁層31a同士は、接着層31bを介して互いに接着されている。
また、有機絶縁層31a、配線導体層32、貫通導体33(第1〜第3の貫通導体33
1〜333)および端子34は、プローブカード用回路基板に搭載する電子部品の端子の
数、プローブカードで検査するウエハ上の半導体素子の数、半導体素子の端子の数またはそれらの配置状態に応じて、大きさ(例えば、配線幅、径または厚み等)または位置が適宜設定される。
貫通導体33は、第1の貫通導体331、第2の貫通導体332および第3の貫通導体333を含んでおり、第1の貫通導体331は、上下の配線導体層32同士を電気的に接続しており、第2の貫通導体332は、積層体3の上面から下方の複数の有機絶縁層31aにわたって設けられ、配線導体層32に電気的に接続されている。このように、第2の貫通導体332は、積層体3の最上層の有機絶縁層31aを貫通しており、下方の連続する複数の有機絶縁層31aにわたって設けられ、一方の端面(下端)が最上層の有機絶縁層31aよりも下方に位置する有機絶縁層31aの配線導体層32に電気的に接続されている。また、第2の貫通導体332は、他方の端面(上端)に端子34が設けられている。
すなわち、第1の貫通導体331は、上下の配線導体層32に接続するために、一つの有機絶縁層31aおよび一つの接着層31bを貫通している。また、第2の貫通導体332は、最上層の有機絶縁層31aから下方に複数の有機絶縁層31aを貫通している。また、第2の貫通導体332は、複数の有機絶縁層31aと併せて少なくとも一つの接着層31bを貫通している。なお、図1および図2では、第2の貫通導体332が二つの有機絶縁層31aと一つの接着層31bとを連続して貫通している例を挙げているが、他の形態でも構わない。例えば、第2の貫通導体332が、二つの有機絶縁層31aと二つの接着層31bとを連続していたり、それぞれ三つ以上の有機絶縁層31aおよび接着層31bを連続して貫通していたりしてもよい。
また、第3の貫通導体333は、最上層の有機絶縁層31aに設けられており、最上層の有機絶縁層31aの配線導体層32に電気的に接続されている。第3の貫通導体333は、表面に端子34が設けられている。
また、積層体3において、有機絶縁層31aを厚み方向に貫通する貫通導体33および配線導体層32は、積層体3に搭載される半導体素子等の電極をプリント回路基板等の外部の電気回路(図示せず)に電気的に接続するための導電路となる部分である。例えば、積層体3の上面の中央部に半導体素子を搭載するとともに、はんだまたはプローブ等を介して半導体素子の電極を積層体3の最上面に露出する端子34に電気的に接続すれば、半導体素子の電極が配線導体層32および貫通導体33を介して積層体3の最下面の配線導体層32と導通される。
そして、この積層体3の最下面の配線導体層32を、例えば、セラミック基板1に予め形成しておいたセラミック表面配線14を介して外部の電気回路に電気的に接続すれば、半導体素子の電極と外部の電気回路とが電気的に接続される。
具体的には、第2の貫通導体332上の端子34には、半導体素子の端子と接続するためのプローブが形成され、セラミック基板1の下面のセラミック表面配線14には、テスター装置と接続するための回路基板が接続され、このような構成とすることでプローブカードとなり、プローブカードはテスターと接続することで半導体装置の検査装置となる。
ここで、積層体3について以下に詳細に説明する。
積層体3は、有機絶縁層31aと接着層31bとを含む絶縁層31で構成されている。積層体3は、複数の有機絶縁層31aが積層されており、有機絶縁層31aは、配線導体層2を形成するための基材として機能するとともに、配線導体層32同士の電気的な絶縁性を確保するための絶縁材として機能している。
有機絶縁層31aは、樹脂材料からなり、例えば、長方形状または正方形状等の四角形状、あるいは、円形状または楕円形状等の形状で、厚みが、例えば、120(μm)〜185(μm)の層状に形成されている。
また、複数の有機絶縁層31aは、図1に示すように、平面視においてそれぞれの外形寸法および形状が同様であり、積層体3の外側面に凹凸が生じないように積層されている。このように、積層体3は、複数の有機絶縁層31aが積層されてなり、複数の有機絶縁層31aによって薄膜多層部を構成している。積層された複数の有機絶縁層31aは、積層体3において絶縁性の基体部分(符号なし)となるものである。積層体3は、例えば、上面に半導体素子等の電子部品(図示せず)が搭載され、下面がセラミック基板1等の剛性の高い基板上に取着される。
有機絶縁層31aは、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂または液晶ポリマー等の絶縁性の樹脂材料からなるものである。また、有機絶縁層31aは、表面に配線導体層32が形成されており、配線導体層32は、例えば、銅、銀、パラジウム、金、白金、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルトまたはチタン等の金属材料、または、これらの金属材料の合金材料からなる。また、配線導体層32は、厚みが、例えば、3(μm)〜25(μm)である。
配線導体層32は、上記の金属材料をスパッタリング法、蒸着法またはめっき法等の方法を用いて有機絶縁層31aの表面に被着させ、必要に応じてマスキングまたはエッチング等のトリミング加工を行なうことによって、所定の配線パターンで有機絶縁層31aの
表面に形成することができる。
貫通導体33は、有機絶縁層31a内を厚み方向(上下方向)に貫通して設けられており、例えば、有機絶縁層31aの一部に貫通孔(符号なし)を設けることによって形成される。貫通孔は、CO2レーザまたはYAGレーザによるレーザ加工法、RIE(リアクティブ イオン エッチング)法または溶剤によるエッチング法等の孔あけ加工法を用いて、厚み方向を貫通して形成する。そして、貫通導体33は、この貫通孔内に貫通導体33となる導体材料を、スパッタリング法、蒸着法またはめっき法を用いて貫通孔に設けることによって形成することができる。また、貫通導体33は、導体ペーストの充填等の方法を用いて貫通孔に導電材料を充填することによって形成することができる。
貫通導体33は、例えば、銅、銀、パラジウム、金、白金、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、チタンまたはタングステン等の金属材料、または、これらの金属材料の合金材料からなる。
また、貫通導体33は、有機絶縁層31a内の厚み方向に設けられており、有機絶縁層31aの層間に設けられた上下に位置する配線導体層32に接合しており、電気的に接続されている。
第1の貫通導体331は、図1に示すように、上下の配線導体層32同士を電気的に接続するものであり、有機絶縁層31a内で円錐台形状を有しており、セラミック基板1側に向かうにつれて平面視における直径が漸次大きくなるように設けられている。すなわち、第1の貫通導体331は、平面視で見た場合の面積がセラミック基板1側に向かうにつれて漸次大きくなっている。
第1の貫通導体331は、上面の面積が下面の面積よりも小さく、例えば、平面視において直径が、例えば、上面から下面に向かうにつれて、20(μm)〜25(μm)の範囲で漸次大きくなっており、有機絶縁層31a内部で円錐台形状に設けられている。また、第1の貫通導体331は、平面視での形状が円形状に限らず、楕円形状または四角形状であってもよい。このような場合でも、第1の貫通導体331は、平面視で見た場合の面積が、セラミック基板1側に向かうにつれて漸次大きくなるように設けられる。
一方、第2の貫通導体332は、積層体3の上面から下方の複数の有機絶縁層31aにわたって設けられ、配線導体層32に電気的に接続されている。すなわち、第2の貫通導体332は、積層体3の最上層の有機絶縁層31aを厚み方向に貫通しており、上下に連続する複数の有機絶縁層31aにわたって設けられている。
図1においては、第2の貫通導体332は、最上層の有機絶縁層31aとその下面側に位置する有機絶縁層31aの2層の有機絶縁層31aにわたって設けられており、下端が最上層の有機絶縁層31aの下方の最上層から2番目の有機絶縁層31aの配線導体層32に電気的に接続されている。
また、図1では、第2の貫通導体332は、積層体3の最上層の有機絶縁層31aと最上層から2番目の有機絶縁層31aの2層の有機絶縁層31aにわたって設けられているが、これに限らず、例えば、積層体3の最上層の有機絶縁層31aと最上層から2番目および3番目の有機絶縁層31aの3層の有機絶縁層31aにわたって設けられていてもよい。
第2の貫通導体332は、有機絶縁層31a内で逆円錐台形状を有しており、第1の貫通導体331の形状とは異なっており、セラミック基板1側に向かうにつれて平面視にお
ける直径が漸次小さくなるように設けられている。すなわち、第2の貫通導体332は、平面視で見た場合の面積が、セラミック基板1側に向かうにつれて漸次小さくなっている。
このように、第2の貫通導体332は、上面の面積が下面の面積よりも大きく、例えば、平面視において直径が、例えば、上面から下面に向かうにつれて、25(μm)〜12(μm)の範囲で漸次小さくなっており、有機絶縁層31a内部で逆円錐台形状に設けられている。また、第2の貫通導体332は、平面視での形状が円形状に限らず、楕円形状または四角形状であってもよい。このような場合でも、第2の貫通導体332は、平面視で見た場合の面積が、セラミック基板1側に向かうにつれて漸次小さくなるように設けられる。
また、図1に示すように、最上層の有機絶縁層31aには、第3の貫通導体333が設けられており、最上層の有機絶縁層31aの配線導体層32に電気的に接続されている。また、第3の貫通導体333は、上面の面積が下面の面積よりも大きく、例えば、平面視において直径が、例えば、上面から下面に向かうにつれて、50(μm)〜40(μm)の範囲で漸次小さくなっており、有機絶縁層31a内部で逆円錐台形状に設けられている。このように、第3の貫通導体333は、第2の貫通導体332よりも平面視において直径が大きくなるように設けられている。
積層体3は、有機絶縁層31aに配線導体層32および貫通導体33を設けるとともに、必要な層数の有機絶縁層31aを積層することによって形成される。このように、積層体3は、複数の有機絶縁層31aが積層されて、配線導体層32および貫通導体33が設けられており、多層配線部として形成される。積層体3は、図1においては、3層の有機絶縁層31aを含んで構成されており、接着層31bを間に挟んで、複数の有機絶縁層31aが順次積層されている。
このように、上下方向に位置する有機絶縁層31aは、接着層31bを介して互いに接着されており、積層体3は、複数の有機絶縁層31aが積層されてなる。また、接着層31bは、例えば、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミドシロキサン樹脂、ビスマレイド系樹脂およびエポキシ樹脂からなる群の中から選択される熱硬化性を有する材料からなる。
積層体3は、最上層の有機絶縁層31aの貫通導体33の表面に、端子34が設けられており、この端子34の表面には、腐食防止またはプローブ等との接続性のために、めっき層が設けられている。具体的には、めっき層は、ニッケルめっき層および金めっき層であり、ニッケルめっき層は、1(μm)〜10(μm)程度の厚みを有しており、また、金めっき層は、0.1(μm)〜3(μm)程度の厚みを有している。そして、めっき層は、ニッケルめっき層および金めっき層が貫通導体33の表面に順次形成される。
また、図1においては、端子34は貫通導体33の表面(上面)に形成しためっき層である。また、最上層の有機絶縁層31aの上面に、貫通導体33と接続した薄膜導体層を形成して、この薄膜導体層を端子34として用いることができる。その場合には、めっき層は、腐食防止またはプローブ等との接続性のために、端子34となる薄膜導体層の表面に形成されることになる。
樹脂接着層2は、セラミック基板1の上面と積層体3の最下層の有機絶縁層31aとの間に設けられている。樹脂接着層2は、セラミック基板1と積層体3とを互いに接着するものであり、接続絶縁層21と接続貫通導体22とを含んでいる。接続絶縁層21は、耐熱性の高い熱可塑性樹脂層の両面に接着剤層が形成されており、また、複数の接続貫通導体22は、接続絶縁層21を上下方向(厚み方向)に貫通して設けられている。樹脂接着
層2は、厚みが、例えば、5(μm)〜20(μm)である。
また、樹脂接着層2は、セラミック基板1と積層体3とを接着するために、接着性を有する樹脂材料が用いられる。樹脂接着層2は、例えば、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリキノリン樹脂、ポリアミドイミド樹脂またはフッ素樹脂等の樹脂材料からなる。
また、複数の接続貫通導体22は、円錐台形状を有しており、セラミック基板1側に向かうにつれて、平面視における直径が漸次大きくなるように設けられている。このように、接続貫通導体22は、図1に示すように、下面の面積が上面の面積より大きく、接続側(セラミック基板1側)の下面の面積が大きくなっている。そのために、樹脂接着層2を介してセラミック基板1と積層体3とを接着する場合には、接続貫通導体22の下面の面積が大きくなっており、接続貫通導体22とセラミック表面配線14との接合面積が大きくなる。したがって、プローブカード用回路基板は、セラミック基板1と積層体3との接続性が向上する。また、接続貫通導体22は、下面の面積が大きくなるような形状を有しているので、セラミック基板1に焼成収縮等により寸法ばらつきが発生したとしても、位置ずれ等による接続不良の発生を抑制することができる。
このように、樹脂接着層2を間に挟んで、積層体3とセラミック基板1とが配置されており、上方に位置する積層体3の配線導体層2と下方に位置するセラミック基板1のセラミック表面配線14とは、間に配置された接続貫通導体22を介して電気的に接続されている。
また、図1において、プローブカード用回路基板は、積層体3の配線構成の一例を示しており、配線の構成を簡略化して示している。プローブカード用回路基板は、最上層の有機絶縁層31aの上面の端子34とセラミック基板1の下面のセラミック表面配線14との間を電気的に接続するための導電路を有しており、この導電路で上下方向が電気的に繋がっている。導電路は、例えば、図1において、向かって左側から、接地配線路、信号配線路、信号配線路および電源配線路であり、このように、4つの配線路が導電路となり、プローブカード用回路基板は、これらの配線路を用いて上下方向が電気的に接続するように構成されている。
例えば、中央部には、2つの信号配線路が形成されており、この信号配線路の端子34には半導体素子の端子と接続するためのプローブが設けられる。また、例えば、両側の接地配線路および電源配線路にはコンデンサーが設けられている。なお、コンデンサーは半導体素子に供給する電源の変動を小さくするものである。
また、信号配線路は、半導体素子の高集積化に伴って、配線の構成をより高密度にすることが求められている。したがって、積層体3は、少なくとも最上層においては、配線の構成をより高密度にするために、より配線幅が細い配線導体層32またはより径の小さい貫通導体33が有機絶縁層31aに形成される。
また、接地配線路または電源配線路は、半導体素子の低電圧化に伴って、電源電圧の変動を小さくするために低抵抗化(低インピーダンス)することが求められており、積層体3は、信号配線路に比べて配線幅が太い配線導体層32または径の大きな貫通導体33を用いることが、低抵抗化するために好ましい。すなわち、図1において、接地配線路または電源配線路は、最上層の有機絶縁層31aに第3の貫通導体333を用いることが好ましい。
積層体3は、特に、信号配線路が半導体素子の高集積化に伴って、高密度な配線構成に
なる。したがって、積層体3は、最上層の有機絶縁層31aに、上面の面積が下面の面積よりも大きく、平面視における直径が小さい逆円錐台形状を有する貫通導体を用いると、配線導体層32との接合部での面積が小さくなって接続強度の絶対値が小さくなる。この接合部は、最上層の有機絶縁層31aとその下の有機絶縁層31aとの間の層間の近傍に位置することになり、その層間で発生する応力によって接続信頼性が低下しやすくなる。
しかしながら、実施の形態1に係るプローブカード用回路基板は、最上層の有機絶縁層31aとその下方の有機絶縁層31aとの間(つまり互いに異なる有機絶縁層31a同士の間)において応力が発生したとしても、貫通導体33は、第2の貫通導体332が最上層の有機絶縁層1aの下側の有機絶縁層31aの配線導体層32に接続されており、第2の貫通導体332と配線導体層32との接合部が層間から離れているので、接合部に応力が加わりにくくなる。したがって、プローブカード用回路基板は、最上層の有機絶縁層31aとその下の有機絶縁層31aとの間に応力が発生したとしても、第2の貫通導体332と配線導体層32との接合部において、剥がれまたは配線の破断等を抑制することができるので、接続不良が発生しにくくなる。このように、積層体3は、第2の貫通導体332を用いることによって、より高密度な配線を有するプローブカード用回路基板を形成することができる。
また、後述するように、最上層の複数の貫通導体33(第2の貫通導体332および第3の貫通導体333)は、積層体3をセラミック基板1に設けた後で形成することになる。この場合には、例えば、レーザ加工法を用いて既に形成した貫通導体331に近接して配線導体層32に達する貫通孔を形成することになり、レーザ照射よって加わる熱により既に形成した貫通導体33と配線導体層32との接合部の接着強度を低下させる虞があった。
しかしながら、実施の形態1に係るプローブカード用回路基板は、最上層の有機絶縁層31aの下方の有機絶縁層31aにおいて、配線導体層32は、上面側に第2の貫通導体332との接合部を有しており、また、下面側に第1の貫通導体331との接合部を有している。
そして、第2の貫通導体332は、図1に示すように、平面視における直径がセラミック基板1側に向かうにつれて小さくなっており、配線導体層32の上面側の接合部を小さくすることができる。したがって、第2の貫通導体332は、平面視において配線導体層32の下面側の接合部から離して形成することができるので、下側面の接合部の接着強度の低下を抑制することができるとともに、設計の自由度を高めることができる。
本発明は上述の実施の形態1のプローブカード用回路基板に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。以下、他の実施の形態について説明する。なお、他の実施の形態に係るプローブカード用回路基板のうち、実施の形態1に係るプローブカード用回路基板と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
<実施の形態1の変形例>
本発明の第1の実施の形態の変形例に係るプローブカード用回路基板およびプローブカードについて、図2を参照しながら以下に説明する。なお、変形例のプローブカード用回路基板は、上記の例とは、第2の貫通導体332の形状が異なっている。
変形例のプローブカード用回路基板において、図2(b)に示すように、第2の貫通導体332は、接着層31b内において側面の少なくとも一部が全周にわたって層方向に突出している。すなわち、第2の貫通導体332は、側面に層方向に突出する突出部を有し
ている。なお、「層方向」とは、図1乃至図8(一部の図の詳細については後述)において、XY面に平行な方向のことをいう。
このように、第2の貫通導体332は、接着層31bにおいて側面の少なくとも一部が層方向に突出しており、層方向に突出する突出部を側面に有している。したがって、たとえ、最上層の有機絶縁層31aから第2の貫通導体332に応力が加わったとしても、側面の突出部が上下方向に加わる応力を緩和するので、第2の貫通導体332の突出部よりも下方側に応力が伝わりにくくなるため、積層体3は、有機絶縁層31aの層間において接続不良の発生が抑制される。
第2の貫通導体332は、側面の少なくとも一部に突出した突出部を以下のようにして形成することができる。レーザ加工法を用いて、貫通孔は、第2の貫通導体332を設けるために配線導体層32に達するように積層体3に形成される。この場合に、有機絶縁層31aの熱変形温度よりも接着層31bの熱変形温度が低くなるようにそれぞれの材料が選定される。この場合に、有機絶縁層31aは、例えば、ポリイミド樹脂であり、接着層31bは、例えば、ポリアミドイミド樹脂である。
貫通孔は、レーザ加工法を用いて、有機絶縁層31aと接着層31bとを貫通するように積層体3に形成される。有機絶縁層31aと接着層31bとに同時にレーザを照射して貫通孔を形成すると、熱変形温度の低い接着層31bの樹脂材料がより多く蒸発することになる。これによって、貫通孔は、接着層31bにおいて、少なくとも一部が層方向に突出するように形成される。そして、その後、貫通孔に導体材料を充填するとことによって、第2の貫通導体332は、接着層31b内において側面の少なくとも一部が全周にわたって層方向に突出するような形状を有することになる。
また、貫通導体33は、平面視における配線導体層32との接合部の直径が20(μm)以上である場合には、接合面積の増加に伴い接続強度が大きくなるので、例えば、接地配線または電源配線は、第3の貫通導体333を用いることでさらに接続信頼性を確保することができる。
図1に示すように、プローブカード用回路基板において、信号配線路は、第2の貫通導体332が積層体3の最上層の有機絶縁層31aを貫通しており、上下に連続する複数の有機絶縁層31aにわたって設けられ、一方の端面が最上層の有機絶縁層31aの下方に位置する有機絶縁層31aの配線導体層32に電気的に接続されている。一方、電源配線路または接地配線路は、平面視における配線導体層32との接合部の直径が、特に、20(μm)以上となるような場合には、第3の貫通導体333を用いることによって、積層体3の最上層の有機絶縁層31aにも電源配線または接地配線を効果的に設けることができる。したがって、このような構成にすることによって、プローブカード用回路基板は、有機絶縁層31aの積層数を増やすことなく必要な配線を形成できるようになるのでより好ましい。
ここで、実施の形態1に係るプローブカード用回路基板の製造方法について以下に説明する。プローブカード用回路基板の製造方法は、次の工程1〜工程6の6つの工程を含んでいる。
工程1は、複数の有機絶縁層31aが積層されてなる積層体3を準備する工程である。工程2は、セラミック基板1を準備する工程である。工程3は、有機絶縁層31aに樹脂接着層2を付着させる工程である。工程4は、樹脂接着層2に複数の接続貫通導体22を形成する工程である。工程5は、有機絶縁層31aに付着した樹脂接着層2をセラミック基板1に付着させる工程である。工程6は、積層体3、第2の貫通導体332、第3の貫
通導体333および端子34を形成する工程である。
まず、複数の有機絶縁層31aが積層されてなる積層体3を準備する工程1について説明する。
まず、図3(a)に示すように、例えば、ガラス、セラミックスまたはシリコンからなるプレート40上に、完成した時に最上層の有機絶縁層31aとなる有機絶縁層31aを固定する。有機絶縁層31aは、ポリイミド樹脂などの樹脂材料からなる。また、有機絶縁層31aをプレート40に固定する方法としては、例えば、接着剤を用いて有機絶縁層31aをプレート40に付着させる方法がある。
次に、図3(b)に示すように、配線導体層32が、有機絶縁層31a上に形成される。有機絶縁層31上とは、図3(b)に示されたように、配線導体層32が有機絶縁層31aに埋め込まれている構造を含んでいる。
例えば、配線導体層32が有機絶縁層31aに埋め込まれている構造の場合には、以下のようにして形成する。配線導体層32は、配線導体層32と同形状の凹部を有機絶縁層31aの上面に形成しておき、その凹部内に配線導体層32を形成すると、有機絶縁層31aの上面と配線導体層32の上面との間に段差がなく平坦になるので、複数の有機絶縁層31aを積層しても有機絶縁層31aの上面は平坦となり、樹脂接着層2との電気的接続の信頼性が向上するので好ましい。有機絶縁層31aに凹部を形成するには、有機絶縁層31aの表面に配線導体層32のパターン形状の開口を有するレジスト膜を形成して、RIE(Reactive Ion Etching)等のエッチング法を用いて有機絶縁層31の露出した部分の表面を除去して形成すればよい。
配線導体層32は、例えば、蒸着法、スパッタリング法またはイオンプレーティング法等の薄膜形成法を用いて形成することができる。配線導体層32は、有機絶縁層31aの主面の全面に、0.1(μm)〜3(μm)程度の厚みの、例えばクロム(Cr)−銅(Cu)合金層またはチタン(Ti)−銅(Cu)合金層から成る下地導体層を形成する。次に、下地導体層の上に配線導体層32のパターン形状の開口を有するレジスト膜を形成して、このレジスト膜をマスクとしてめっき等で銅または金等の電気抵抗の小さい金属から成る、2(μm)〜10(μm)程度の厚みの主導体層を形成する。そして、レジスト膜を剥離除去し、下地導体層の露出した部分をエッチングによって除去することで、配線導体層32が形成される。
次に、図3(c)に示すように、有機絶縁層31aと接着層31bから成る絶縁層31が、1層目の有機絶縁層31aおよびその表面に形成された配線導体層32上に付着される。すなわち、有機絶縁層31aと接着層31bから成る絶縁層31は1層目の有機絶縁層31aに密着して設けられる。接着層31bは、熱硬化性を有する材料からなり、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミドシロキサン樹脂、ビスマレイド系樹脂およびエポキシ樹脂からなる群の中から選択される。
配線導体層32が有機絶縁層31a上に形成され、また、貫通導体33が下方の有機絶縁層31aの配線導体層32に接合するように形成される。
貫通導体33は、例えば、配線導体層32を形成する際に、貫通孔の内面にも下地導体層および主導体層を形成することによって、配線導体層32と同時に形成してもよい。主導体層を形成する際にめっき厚みを厚くすると、貫通孔は導体によって充填されたものとすることができる。貫通導体33と配線導体層32とを同時に形成する場合は、貫通孔の内面に薄膜形成法を用いて下地導体層を良好に形成することができるように、貫通孔は有
機絶縁層31aの上面側の開口径の方が大きくなるような形状にするのが好ましい。
このような形状の貫通孔は、エッチング法を用いて形成する場合にはエッチング条件を調整することによって、また、レーザ加工法を用いて形成する場合にはレーザの出力等を調整することによって、感光性樹脂を用いる場合には露光条件またはエッチング条件を調整することによって、所望の大きさまたは形状で形成することができる。また、貫通導体33は、配線導体層32と同時に形成してもよいし、別々に形成してもよい。
次に、図3(d)に示すように、積層体3は、必要に応じて、絶縁層31(有機絶縁層31aと接着層31bとから成る)、絶縁層31、配線導体層32および貫通導体33からなる積層構造を繰り返し、積層することによって形成される。
次に、セラミック基板1を準備する工程2について説明する。
セラミック基板1のセラミック絶縁層11は、酸化アルミニウム(アルミナ:Al2O3)質焼結体、窒化アルミニウム(AlN)質焼結体、炭化珪素(SiC)質焼結体、ムライト質焼結体またはガラスセラミックス等のセラミックスから成るものである。プローブカード用回路基板のセラミック基板として、熱膨張係数が半導体素子のウエハを形成するシリコン(Si)に近い、酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体、ガラスセラミックスまたはムライトセラミックスを用いることが好ましい。セラミック絶縁層11がこのようなセラミックス材料から成るものであると、プローブカード用回路基板として用いた場合には、ウエハと配線基板との熱膨張差による位置ずれが比較的小さなものとなるので好ましい。
セラミック基板1は、セラミック配線導体層12とセラミック貫通導体13とが、セラミック絶縁層11と同時焼成により形成される。セラミック配線導体層12およびセラミック貫通導体13は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、モリブデン−マンガン(Mo−Mn)合金、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)または銀−パラジウム(Pd)合金等の金属を主成分とするメタライズから成るものである。
このようなセラミック基板1は、以下の方法により製作される。セラミック基板1は、例えば、セラミック絶縁層11が酸化アルミニウム質焼結体で形成される場合には、まず、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムの原材料粉末に適当な有機バインダおよび溶媒を添加混合して泥漿状となすとともに、これをドクターブレード法等によってシート状に成形して、セラミック絶縁層11となる複数のセラミックグリーンシートを作製する。
次に、セラミックグリーンシートのセラミック貫通導体13が形成される所定位置に金型等を用いた打ち抜き加工法またはレーザ加工法を用いて貫通孔を形成するとともに、貫通孔に導体ペーストを充填する。また、スクリーン印刷法等を用いてセラミックグリーンシートの所定位置にセラミック配線導体層12あるいは外部配線となる導体ペースト層を10(μm)〜20(μm)の厚みに形成する。導体ペーストは、タングステン(W)、モリブデン(Mo)またはモリブデン−マンガン(Mo−Mn)合金等の融点の高い金属粉末と適当な樹脂バインダおよび溶剤とを混練することにより作製される。
最後に、これらセラミックグリーンシートを重ね合わせて圧着して積層体を作製し、この積層体を1500(℃)〜1600(℃)程度の高温で焼成し、両主面を平たんに研磨する。
セラミック基板1の上下面のセラミック表面配線14は、セラミック配線導体層12と
同様に、セラミック絶縁層11と同時焼成で形成してもよい。また、セラミック基板1を作製して、その上面を研磨するなどして平坦にした後に、いわゆるモリマン法等のメタライズ法を用いて形成してもよい。あるいは、セラミック表面配線14を有さないセラミック基板1を作製して、蒸着法、スパッタリング法またはイオンプレーティング法等の薄膜形成法を用いて形成してもよい。
メタライズ法を用いる場合には、例えば、スクリーン印刷法等を用いてセラミック基板1の所定位置に、タングステン(W)、モリブデン(Mo)またはマンガン(Mn)等の金属粉末と適当な樹脂バインダおよび溶剤とを含む導体ペーストを塗布して、1400(℃)以上の高温で熱処理することによって作製される。
薄膜形成法を用いる場合には、例えば、セラミック基板1の上面の全面に、0.1(μm)〜3(μm)程度の厚みの、例えば、クロム(Cr)−Cu合金層またはチタン(Ti)−Cu合金層から成る下地導体層を形成し、その上にセラミック表面配線14のパターン形状の開口を有するレジスト膜を形成して、このレジスト膜をマスクとしてめっき等で銅またはや金等の金属から成る、2(μm)〜10(μm)程度の厚みの主導体層を形成する。そして、レジスト膜を剥離除去し、下地導体層の露出した部分をエッチングにより除去することでセラミック表面配線14が形成される。セラミック表面配線14の表面には、腐食防止または外部回路との接続性のために、厚さが1(μm)〜10(μm)程度のニッケルめっき層および厚さが0.1(μm)〜3(μm)程度の金めっき層を順次形成するとよい。
また、セラミック絶縁層11がガラスセラミックスから成る場合であれば、セラミックグリーンシートが焼結する温度では焼結収縮しない、アルミナ等を主成分とする拘束グリーンシートを積層体の両面に積層して焼成すると、拘束グリーンシートによりセラミックグリーンシートは積層面方向の焼結収縮が抑えられ、平面方向の収縮が小さく収縮ばらつきや寸法精度が良好なセラミック基板1が得られるので好ましい。
次に、積層体3に接続絶縁層21(樹脂接着層2)を付着させる工程3について説明する。
樹脂接着層2は、熱可塑性を有する樹脂材料の一方の主面に第1の接着剤層および他方の主面に第2の接着剤層が形成されている。第1の接着剤層は、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミドシロキサン樹脂、ビスマレイド系樹脂およびエポキシ樹脂からなる群の中から選択され、熱硬化性を有している。また、第2の接着剤層は、ポリイミド樹脂、ポリキノリン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂およびフッ素樹脂からなる群の中から選択され、熱硬化性を有している。
また、樹脂材料は、ガラスエポキシ樹脂、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)樹脂およびポリイミド樹脂からなる群の中から選択される。
樹脂材料は、第1の接着剤層の熱膨張係数および第2の接着剤層の熱膨張係数よりも小さい熱膨張係数を有している。これによって、樹脂材料は、第1の接着剤層および第2の接着剤層の平面方向において、加熱処理で生じる熱膨張による変形を拘束する機能を有することになる。第1の接着剤層および第2の接着剤層は、熱硬化性を有しており、樹脂材料の両面に形成されている状態では半硬化状態(Bステージ状態)である。
積層体3は、工程1において、プレート40上に作成されており、図4(a)に示すように、この積層体3の配線導体層32の上面に、第1の接着剤層が重なるように接続絶縁層21(樹脂接着層2)を積み重ねる。そして、耐熱性のフィルム50を接続絶縁層21
(樹脂接着層2)の上に重ねて、第1の接着剤層が溶融する温度で加熱処理することで、積層体3と接続絶縁層21とを付着させる。
次に、接続絶縁層21(樹脂接着層2)に複数の接続貫通導体22を形成する工程4について説明する。
図4(b)に示すように、フィルム50および接続絶縁層21にレーザ光を照射することにより接続絶縁層21を貫通するように孔を形成する。これらの複数の孔は配線導体層32に達するように接続絶縁層21に形成される。
次に、図4(c)に示すように、複数の孔に導電材料のペーストが印刷されることにより、複数の接続貫通導体22が樹脂接着層2を貫通するようにして形成される。その後に、フィルム50が、接続絶縁層21から剥離されることで、樹脂接着層2が形成される。
次に、積層体3に設けられた樹脂接着層2をセラミック基板1に付着させる工程5について説明する。
図5(a)に示すように、セラミック基板1の上面に工程4で作成した樹脂接着層2を位置合わせして、接続絶縁層21の第2の接着剤層が溶融後、硬化するまでの温度および時間の加熱条件で加熱処理する。これによって、積層体3は、樹脂接着層2を介して、セラミック基板1の上面に接着され、セラミック基板1と接続貫通導体22を介して電気的に接続される。加熱処理温度は、例えば、180(℃)〜300(℃)の温度範囲に含まれている。接続絶縁層21は、第1の接着剤層および第2の接着剤層がこの加熱処理によって、完全硬化状態(Cステージ状態)となる。
プレート40は、有機絶縁層31aから除去される。また、プレート40は、ガラス材料またはシリコン材料からなる場合、例えば、エッチング法等を用いて積層体3から除去される。
最後に、積層体3に第2の貫通導体332、第3の貫通導体333および端子34を形成する工程6について説明する。
有機絶縁層31aにレーザを照射して、積層体3の最上層の有機絶縁層31aから2層目の有機絶縁層31a上の配線導体層32にまで達するように貫通孔を形成する。その後、第1の貫通導体331と同様にして、貫通孔に導体材料を充填することで、第2の貫通導体332を形成する。
同様に、有機絶縁層31aにレーザを照射して、積層体3の最上層の有機絶縁層31a上の配線導体層32にまで達するように貫通孔を形成する。そして、その後、第1の貫通導体331と同様にして、貫通孔に導体材料を充填することで、第3の貫通導体333を形成する。
配線構成において、信号配線は高密度な配線構成が要求されており、積層体3は第2の貫通導体332が用いられる。また、例えば、配線導体層32(例えば、電源配線や接地
配線)が微細な配線構成を必要としない場合には、第2の貫通導体332より径の大きい
第3の貫通導体333を用いても構わない。
積層体3の上面に露出している貫通導体33は、上面の端部が端子34となる。端子34の表面には、腐食防止または外部回路との接続性のために、厚さが1(μm)〜10(μm)程度のニッケルめっき層および厚さが0.1(μm)〜3(μm)程度の金めっき
層を順次形成される。なお、必要に応じて配線導体層を形成して、配線導体層の表面にめっき層を形成してもよい。
また、貫通導体33は、最小径が20(μm)未満となる場合には、最上層の有機絶縁層31aとその下の有機絶縁層31aとの間の応力によって接続信頼性が低下しやすくなるので、接続信頼性を高めるために、積層体3の最上層から2層目の有機絶縁層31上の配線導体層32まで貫通した第2の貫通導体332で配線導体層32と接合することが好ましい。
以上の工程を経ることによって、本発明のプローブカード用回路基板を製作することができる。
本発明のプローブカードは、上述の本発明のプローブカード用回路基板と、最上層の有機絶縁層31aの上面の端子34に接続されたプローブピンとを具備するものである。プローブピンは、例えば、以下のようにして作製され、本発明のプローブカード用回路基板に取り付けられる。まず、シリコンウエハの1面にエッチングにより複数のプローブピンの雌型を形成し、雌型を形成した面にめっき法を用いてニッケルから成る金属を被着させる。そして、雌型をニッケルで埋め込み、埋め込まれたニッケル以外のウエハ上のニッケルをエッチング法等の加工を用いて除去して、ニッケル製プローブピンが埋設されたシリコンウエハを作製する。このシリコンウエハに埋設されたニッケル製プローブピンをプローブカード用回路基板の最上層の有機絶縁層31aの上面の端子34にはんだ等の接合材で接合する。そして、シリコンウエハを水酸化カリウム水溶液で除去することによって、プローブカードが得られる。
<実施の形態2>
本発明の第2の実施の形態(実施の形態2という)に係るプローブカード用回路基板およびプローブカード、ならびにプローブカード用回路基板の製造方法について、図6〜図8を参照しながら説明する。図6〜図7において、図1〜図5と同様の部位には同様の符号を付している。
実施の形態2のプローブカード用回路基板においては、例えば図6およびその要部Bの拡大図である図7(a)に示すように、第2の貫通導体332の全体が積層体3の内部に位置している。すなわち、第2の貫通導体332は、積層体3の内部に位置する有機絶縁層31aと接着層31bとの層間から、複数の有機絶縁層31aを貫通している。また、第2の貫通導体332は、複数の有機絶縁層31aの間に位置している接着層31bを少なくとも1層、貫通している。これ以外の事項において、実施の形態2のプローブカード用回路基板は実施の形態1のプローブカード用回路基板と同様である。以下の説明において、実施の形態1と同様の事項については説明を省略する。
実施の形態2においても、積層体3上に端子34が配置されている。この端子34にプローブが形成される。これによって、実施の形態2のプローブカードが形成される。また、セラミック基板1の下面のセラミック表面配線14には、テスター装置と接続するための回路基板(図示せず)が接続される。このプローブカードがテスターと接続されて半導体装置の検査装置が形成される。
実施の形態2のプローブカード用回路基板においても、上層の有機絶縁層31aとその下方の有機絶縁層31aとの間(つまり、互いに異なる有機絶縁層31a同士の間)において応力が発生したとしても、貫通導体33は、第2の貫通導体332が複数の有機絶縁層31aを貫通して下側の有機絶縁層31aの配線導体層32に接続されており、第2の貫通導体332と配線導体層32との接合部が層間から離れているので、接合部に応力が
加わりにくくなる。したがって、プローブカード用回路基板は、上層の有機絶縁層31aとその下の有機絶縁層31aとの間に応力が発生したとしても、第2の貫通導体332と配線導体層32との接合部において、剥がれまたは配線の破断等を抑制することができるので、接続不良が発生しにくくなる。したがって、実施の形態2においても、積層体3は、第2の貫通導体332を用いることによって、より高密度な配線を有するプローブカード用回路基板を形成することができる。
なお、この接続不良の抑制の効果は、前述した実施の形態1において実施の形態2よりも大きい傾向がある。これは、有機絶縁層31a同士の層間において貫通導体33と配線導体層32との接合部に繰り返し作用する熱応力は、積層体3の製作時に最上層の有機絶縁層31aとその下方の有機絶縁層31aとの間で作用回数が最も多い。この熱応力が効果的に低減されるため、貫通導体33と配線導体層32との破断がより効果的に抑制される。すなわち、最も配線の切断が発生しやすい部分で、その切断が抑制されるため、プローブカード用回路基板としての信頼性がより効果的に向上できる。
また、実施の形態2においても、実施の形態1と同様に種々の変形は可能である。例えば、第2の貫通導体332は、図7(b)に示すように、接着層31b内において側面の少なくとも一部が全周にわたって層方向(XY面に平行な方向)に突出していてもよい。すなわち、第2の貫通導体332は、側面に層方向に突出する突出部を有していてもよい。
この場合にも、上層の有機絶縁層31aから第2の貫通導体332に応力が加わったとしても、側面の突出部が上下方向に加わる応力を緩和するので、第2の貫通導体332の突出部よりも下方側に応力が伝わりにくくなるため、積層体3は、有機絶縁層31aの層間において接続不良の発生が抑制される。
実施の形態2においても、第2の貫通導体332の突出部は、実施の形態1の場合と同様の方法で形成することができる。すなわち、レーザ加工法を用いて第2の貫通導体332用の貫通孔を形成するときに、有機絶縁層31aの熱変形温度よりも接着層31bの熱変形温度が低くなるように設定することによって、突出部を有する第2の貫通導体332を形成することができる。この場合にも、有機絶縁層31aは、例えば、ポリイミド樹脂であり、接着層31bは、例えば、ポリアミドイミド樹脂である。
次に、実施の形態2のプローブカード用回路基板の製造方法(工程1)を、図8を参照しながら説明する。なお、実施の形態2のプローブカード用回路基板は、積層体3の一部が実施の形態1の場合と異なるだけであるため、積層体3の製造方法についてのみ説明し、セラミック基板1の製造方法等については省略する。また、積層体3の製造方法についても、実施の形態1で説明した事項と同様の事項(工程2以降等)については説明を省略する。
まず、図8(a)に示すように、プレート40上に、完成した時に最上層の有機絶縁層31aとなる有機絶縁層31aが固定される。有機絶縁層31aは、実施の形態1の場合と同様の材料を用いて、同様の方法で固定できる。
次に、図8(b)に示すように、配線導体層32が、例えば実施の形態1の場合と同様の材料によって、同様の方法で有機絶縁層31a上に形成される。
次に、図8(c)に示すように、有機絶縁層31aと接着層31bから成る絶縁層31が、1層目の有機絶縁層31aおよびその表面に形成された配線導体層32上に付着される。これらの有機絶縁層31aおよび配線導体層32も、実施の形態1の場合と同様の材
料によって、同様の方法で形成される。
また、貫通導体33が下方の有機絶縁層31aの配線導体層32に接合するように形成される。この貫通導体33も、例えば実施の形態1の場合と同様の材料および方法によって形成される。
次に、図8(d)に示すように、他の絶縁層31(有機絶縁層31aと接着層31bとから成る)、配線導体層32および貫通導体33が繰り返し積層される。その際に、第2の貫通導体332が形成される。第2の貫通導体332は、例えば、その第2の貫通導体332が形成される時に最上層に位置する有機絶縁層31aまたは接着層31bの上面から下方に向かって、複数の有機絶縁層31aおよび少なくとも一つの接着層31bを連続して貫通するように形成される。図8(d)の例では、最上層の有機絶縁層31aからそれぞれ2層の有機絶縁層31aおよび接着層31bを連続して貫通するように第2の貫通導体332が形成されている。
図8(d)で形成される第2の貫通導体332も、例えば、実施の形態1の場合(図5の例における第2の貫通導体332)と同様の材料を用いて、同様のレーザー加工法等の方法で形成することができる。
以上のようにして作製した積層体3を、実施の形態1の場合と同様のセラミック基板1に、実施の形態1の場合と同様に積層することによって、実施の形態2のプローブカード用基板を製作することができる。
また、前述したように、このプローブカード用回路基板にプローブが取り付けられることによってプローブカードが作製される。また、プローブカードがテスターに電気的に接続されて半導体装置の検査装置が形成される。
本発明は、上述した実施の形態1(変形例を含む)および実施の形態2に特に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更および改良が可能である。例えば、実施の形態1および2のいずれにおいても、第2の貫通導体32が3層以上の絶縁層31(有機絶縁層31aおよび接着層31b)を連続して貫通していてもよい。また、実施の形態1のプローブカード用回路基板であって、実施の形態2のプローブカード用回路基板と同様の第2の貫通導体332をさらに有しているものであってもよい。