本発明の実施形態の配線基板について図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、上下の区別は説明上の便宜的なものあって実際に配線基板等が使用されるときの上下を規制するものではない。また、説明の便宜上、図1にお
いては直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方として、上面または下面の語を用いている。
図1は本発明の実施形態の配線基板およびプローブカードを示す断面図である。また、図2(a)は図1の配線基板のA−A部の断面を平面視した断面図であり、図2(b)は図1の配線基板のB−B部の断面を平面視して示す断面図である。
実施形態の配線基板は、セラミック基板部1Aと、セラミック基板部1A上に設けられた接合部2Aと、接合部2A上に設けられた樹脂基板部3Aとを有している。セラミック基板部1Aは、配線基板としての剛性および機械的な強度等を確保すること等の機能を有する。樹脂基板部3Aは、例えば配線基板がプローブカード用の基板として用いられるときに微細な配線(詳細は後述)の配置を可能とすること等の機能を有する。接合部2Aは、セラミック基板部1Aと樹脂基板部3Aとを互いに接合すること等の機能を有する。すなわち、セラミック基板部1A上に接合部2Aを介して樹脂基板部3Aが接合されて、配線基板が基本的に構成されている。これらについて、順次詳細に説明する。
なお、配線基板がプローブカード用基板として用いられる場合には、例えば、樹脂基板部3Aの最上面にプローブピン(図示せず)が取り付けられる。プローブピンが半導体素子(図示せず)の電極と接続されるように配線基板が半導体素子に押し付けられる。樹脂基板部3Aの上面側から接合部2Aを介してセラミック基板部1Aの下面側に、プローブピンと電気的に接続された半導体素子の電極が電気的に導出される。この導出された部分を介して検査用の外部回路(図示せず)の所定部位と半導体素子とが電気的に接続されて、半導体素子の回路に関する動作不良の有無等の種々の検査が行なわれる。
この場合、半導体素子は電気的なチェックを行なうために一時的に配線基板の上面に載置される。半導体素子としては、例えば、ICまたはLSI等の半導体集積回路素子、または半導体基板の表面に微小な電子機械機構が形成されてなるマイクロマシン(いわゆるMEMS素子)等が挙げられる。
セラミック基板部1Aは、例えば四角形板状等の多角形板状であり、互いに積層された複数のセラミック絶縁層11を含むセラミック基板1を有している。セラミック基板1は、例えば四角形状等の多角形状の上面を有している。セラミック絶縁層11の層間(セラミック基板1の内部)等にはセラミック配線導体層12が設けられ、セラミック絶縁層11を厚み方向に貫通するセラミック貫通導体13によって上下のセラミック配線導体層12が互いに電気的に接続されている。
セラミック基板部1Aのセラミック基板1は、上記のように配線基板の全体の剛性を確保する機能を有している。セラミック基板1によって配線基板としての剛性が高められる。そのため、配線基板について、例えばプローブカード用基板として用いられて半導体素子(図示せず)に検査のために押し付けられるときに、その変形が抑制されている。
セラミック基板1は、例えば全体として平面視において多角形状または円形状の板状である。この場合、複数のセラミック絶縁層11がそれぞれ同様の形状および寸法を有する板状に形成されている。セラミック基板1の平面視における寸法は、例えばプローブカード用基板として使用されるときに、検査される半導体素子の平面視における寸法に応じて適宜設定される。
セラミック基板1に含まれている複数のセラミック絶縁層11は、例えば酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、炭化珪素質焼結体、ムライト質焼結体またはガラスセラミックス等のセラミック焼結体からなる。
セラミック絶縁層11の厚みおよび層数は、例えばセラミック配線導体層12およびセラミック貫通導体13等の配置形態等の電気的な条件、セラミック基板部1Aの所望の剛性および経済性等の種々の条件に応じて適宜設定されている。
複数のセラミック絶縁層11が積層されてなるセラミック基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、次のようにして製作することができる。すなわち、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素等の原料粉末に適当な有機バインダおよび有機溶剤を添加混合して作製したスラリーをドクターブレード法やリップコータ法等のシート成形技術でシート状に成形することによってセラミックグリーンシートを作製して、その後、セラミックグリーンシートを切断加工や打ち抜き加工によって適当な形状および寸法とするとともに、これを約1300〜1500℃の温度で焼成することによってセラミック基板1を製作することができる。
また、セラミック配線導体層12およびセラミック貫通導体13は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガンまたは銅等の金属材料、もしくは、これらの金属材料の合金材料からなる。これらの金属材料(合金材料)は、例えばメタライズ法またはめっき法等の方法でセラミック基板1の露出表面または内部等に被着されている。
セラミック配線導体層12およびセラミック貫通導体13は、例えばタングステンからなる場合であれば、タングステンのペーストをセラミック基板1となるセラミックグリーンシートの表面やあらかじめ形成しておいた貫通孔の内部等に塗布または充填し、セラミックグリーンシートと同時焼成することによって被着させることができる。セラミックグリーンシートの貫通孔は、例えば金型を用いた機械的な打ち抜き加工、またはレーザ加工等の孔あけ加工によって形成することができる。
また、セラミック基板1の上面には第1薄膜配線14が設けられている。第1薄膜配線14は、上記のように接合部2Aを介してセラミック基板部1Aが樹脂基板部3Aに接合されたときに、樹脂基板部3Aと電気的に接続される部分である。そのため、セラミック配線導体層12に比べて微細な配線パターンであることが望ましく、薄膜導体によって形成されている。
また、セラミック基板1の下面には、下面端子15が設けられている。下面端子15は、セラミック配線導体層12およびセラミック貫通導体13によって第1薄膜配線14と電気的に接続されている。これによって、セラミック基板1の上面から下面にかけて、第1薄膜配線14、セラミック配線導体層12、セラミック貫通導体13および下面端子15によって形成される導電路が配置される。この導電路によって、例えば樹脂基板部3Aの上面(つまり配線基板の上面)に載置される半導体素子の電極と外部回路との電気的な接続が行なわれる。
第1薄膜配線14は、例えば銅、金、銀、クロムまたはチタン等の金属材料の1種または複数種によって形成されている。第1薄膜配線14は、例えば、以下の方法で形成することができる。まず、第1薄膜配線14を形成する部分を含むセラミック基板1の上面に、蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法等の薄膜形成法により、クロム(Cr)−銅(Cu)合金層やチタン(Ti)−銅(Cu)合金層から成る下地導体層を形成する。次に、めっき法等で銅や金等の金属層を被着させる。その後、レジストおよびエッチング加工等の方法で下地導体層および金属層を所定の第1薄膜配線14のパターンに成形する。これにより、セラミック基板1の上面に第1薄膜配線14を形成できる。
樹脂基板部3Aは、互いに積層された複数の樹脂層31を有する樹脂基板3を含んでいる。この樹脂基板3は、セラミック基板1の上面に対向する下面を有している。この場合、
樹脂基板3の下面とセラミック基板1との間には上記のように接合部2Aが介在しているため、樹脂基板3の下面とセラミック基板1の上面とは互いに直接には接し合わない。
なお、実施形態の配線基板では、樹脂層31は、有機絶縁層31aと、接着層31bとをさらに有している。有機絶縁層31aは、樹脂層31の機械的強度等の、いわゆる絶縁層としての基本的な特性を確保するための部分である。また、接着層31bは、有機絶縁層31aに比べて接着性がより高い層であり、上下の樹脂層31同士を互いに接着させるための部分である。有機絶縁層31aおよび接着層31bは、例えば後述する樹脂層31として使用可能な絶縁樹脂材料から適宜選定された絶縁樹脂材料によって形成されていて構わない。この場合、例えば、接着層31bは、有機絶縁層31aに対して基本的な組成が同じであって、粘着性を有する成分が添加されたものでもよく、有機絶縁層に比べて未硬化時等の粘着性の高い成分をより多く含んでいるものでもよい。
また、樹脂基板部3Aは、樹脂基板3の下面に設けられた第2薄膜配線32を有している。第2薄膜配線32は、例えば樹脂層31を厚み方向に貫通する貫通導体33を介して樹脂基板3の上面に電気的に導出されている。また、実施形態の配線基板において、樹脂基板部3A(樹脂基板3)の上面に上面端子34が設けられている。この上面端子34が、例えばプローブカードにおいて半導体素子に電気的に接続される端子として機能する。上面端子34と電気的に接続された半導体素子(電極)は、上記の導電路等を介して下面端子15に電気的に接続され、さらに外部回路に電気的に接続される。
なお、実施形態の配線基板では、上下樹脂層31の層間にも第2薄膜配線32が設けられている。言い換えれば、樹脂基板部3Aに含まれる第2薄膜配線32は、少なくとも樹脂基板3の最下層の樹脂層31の下面に設けられているものであり、他の樹脂層31の下面に設けられているものを含んでいてもよい。
樹脂層31は、例えば、ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂,シロキサン変性ポリイミド樹脂,ポリフェニレンサルファイド樹脂,全芳香族ポリエステル樹脂,BCB(ベンゾシクロブテン)樹脂,エポキシ樹脂,ビスマレイミドトリアジン樹脂,ポリフェニレンエーテル樹脂,ポリキノリン樹脂,フッ素樹脂等の絶縁樹脂材料によって形成されている。
また、第2薄膜配線32は、例えば第1薄膜配線14と同様に、銅等の金属材料によって、同様の方法(エッチング加工等)で形成されている。また、貫通導体33は、例えば第2薄膜配線32と同様に銅等の金属材料からなり、あらかじめ樹脂層31に設けられた貫通孔内に銅等の金属材料が充填されて形成されている。この金属材料の充填は、例えば蒸着法およびめっき法等の方法で行なわれる。
接合部2Aは、下面および上面を有しており、その下面がセラミック基板1の上面に接合されているとともに、その上面が樹脂基板3の下面に接合されている接合層2を有している。接合層2は、接合部2Aのうちセラミック基板1と樹脂基板3とを機械的に接続させるための主な接合力を有する部分であり、例えば接着剤としての接合樹脂層21を含んでいる。接合層2は、接合樹脂層21に加えてコア材層等の補助的な層(図示せず)を含んでいてもよい。接合層2がセラミック基板1および樹脂基板3の両方に接合されて、セラミック基板1と樹脂基板3とが互いに、接合層2を介して機械的に接続される。
また、接合部2Aは、セラミック基板1上面の第1薄膜配線14および樹脂基板3下面の第2薄膜配線32に接続するように接合層2に配置された導体22を有している。導体22は、接合層2の上面および下面で、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32に接続されるため、接合層2の上面および下面の両方に存在している。この導体22の一例は、接合層2を厚み
方向に貫通している接合層貫通導体(接合層貫通導体としては符号なし)である。
接合層2は、例えば、ポリイミド樹脂,ポリアミドイミド樹脂,シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂,シロキサン変性ポリイミド樹脂,ポリフェニレンサルファイド樹脂,全芳香族ポリエステル樹脂,BCB(ベンゾシクロブテン)樹脂,エポキシ樹脂,ビスマレイミドトリアジン樹脂,ポリフェニレンエーテル樹脂,ポリキノリン樹脂,フッ素樹脂、ガラスエポキシ樹脂、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂等の絶縁樹脂材料からなる接合樹脂層21によって形成されている。
導体22は、例えば、樹脂基板部3Aの貫通導体33よりも融点が低い金属材料によって形成されている。このような金属材料としては、例えばスズ−銀はんだまたはスズ−銀−銅はんだ等のはんだが挙げられる。また、この金属材料は、スズ−銀はんだまたはスズ−銀−銅はんだ等に銅粉末が添加されたはんだ(低融点ろう材)でもよい。
導体22の融点が比較的低いときには、接合層2および樹脂基板3のセラミック基板1への接合時に(つまり接合部2Aを介したセラミック基板部1Aと樹脂基板部3Aとの接合時に)、導体22用の金属材料の加熱溶融が容易であるため、第1薄膜配線14と第2薄膜配線32との電気的な接続が容易に行なわれる。
導体22(第2金属材料)となる上記のはんだの融点は、例えば200℃〜250℃程度である。これに対して、貫通導体33の融点は、例えば1000℃〜1100℃程度である。
導体22(未加熱のもの)は、例えば上記はんだ等の金属ペーストが、あらかじめ接合層2(接合樹脂層21)にレーザ加工等で形成された貫通孔にスクリーン印刷等で充填されて形成されている。
また、接合層2の上面および下面に対向する平面透視において、第1薄膜配線14と第2薄膜配線32とが互いに重なり合うパターンである。これによって、セラミック基板1と樹脂層31との熱膨張差による熱応力に起因して接合層2の導体22と薄膜配線(第1および第2薄膜配線14、32)との接合部分に加わる応力が、接合層2の上下(セラミック基板部1A側および樹脂基板部3A側)でそれぞれの接合部分においてほぼ同じ程度になる。
ここで、仮に第1薄膜配線と第2薄膜配線とが平面透視で、それぞれの面積または位置が互いに異なるもの(図示せず)であるとすると、その異なりに応じて、接合層2の上面および下面それぞれの第1薄膜配線および第2薄膜配線から導体22に加わる応力が異なる。つまり導体を傾ける応力となるため、接合部分では剥離方向の応力(剥離応力)が加わりやすくなる。そのため、第1および第2薄膜配線の導体との接合部分は剥離応力によって破壊が生じやすくなる可能性がある。
これに対し、実施形態の配線基板では、第1薄膜配線14と第2薄膜配線32とが平面透視において互いに重なり合う(以下、単に、上下に重なり合う等ともいう)パターンである。そのため、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32と導体22との接合部分における剥離応力の発生等の可能性が低減される。これによって、それぞれの接合部分に加わる応力は、ほぼ、セラミック基板1と樹脂基板3との熱膨張差に起因した熱応力程度に抑制され、また応力の偏りが抑制される。したがって、一部の接合部分における剥離応力の発生または応力の集中等による、その接合部分における破壊が抑制される。すなわち、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32と接合層2の導体22との間の剥離が抑制され、全体としての接続信頼性が高い配線基板を提供することができる。
第1薄膜配線14と第2薄膜配線32とが平面透視において互いに重なり合うとは、接合層
2を間に挟んで上下に位置する第1薄膜配線14および第2薄膜配線32について、それぞれの平面視における面積の80%以上程度の部分が互いに重なり合うことを意味する。
なお、図1の例では、接合層2の導体22と直接接続している第1薄膜配線14および第2薄膜配線32に限らず、接合層2の導体22と接続していない第1薄膜配線14および第2薄膜配線32についても互いに重なり合っている(言い換えれば、互いに重なり合うパターンである)。
これによって、例えば次のような効果が得られる。導体22に接続していない第1および第2薄膜配線14、32でも応力は発生しているが、隣接した他の第1薄膜配線14または第2薄膜配線32に伝わる応力は接合層2の上下面でほぼ同じとなる。そのため、他の第1薄膜配線14または第2薄膜配線32に接続された導体22に加わる応力が、導体22に接続していない第1薄膜配線14または第2薄膜配線32の影響を受けにくくなる。したがって、セラミック基板1と樹脂基板3との熱膨張差に起因した熱応力以外の影響をより受けにくくなる。これによって、接合層2の導体22と接続していない第1薄膜配線14および第2薄膜配線32が含まれているときでも、セラミック基板部1Aと樹脂基板部3Aとの接合部2Aを介した電気的および機械的な接続の信頼性が高い配線基板の提供がより容易になる。
また、図1の例では、接合層2の上面および下面に対向する平面透視において、第1薄膜配線14と第2薄膜配線32とが互いに同じパターンである。すなわち、平面透視において第1薄膜配線14と第2薄膜配線32とが互いに、それぞれの全面にわたって重なり合っている。なお、両者は互いに厳密に一致し合うものである必要はなく、加工精度等に起因した多少のずれ(例えば約50μm程度)は許容される。
この場合には、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32と導体22との接合部分における剥離応力の発生等の可能性がさらに効果的に低減される。そのため、一部の接合部分における剥離応力の発生または応力の集中等による、その接合部分における破壊がより一層効果的に抑制される。すなわち、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32と接合層2の導体22との接続信頼性がさらに向上する。
また、例えばこの実施形態のように、接合部2Aの導体22が、接合層2を厚み方向に貫通しているとともに第1薄膜配線14および第2薄膜配線32に接続された端部を有する貫通導体(接合層貫通導体)である場合に、接合層2の上面および下面に対向する平面透視において、接合層貫通導体(導体22)の第1薄膜配線14および第2薄膜配線32とのそれぞれの接合の面積は、例えば図1に示す例のように、接合層2の外周部において中央部よりも大きいものであってもよい。
この場合には、接合層2の中央部よりも熱応力が大きくなる傾向がある外周部においても、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32と導体22との接合面積がより大きくなり、接続強度がより高められる。そのため、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32と導体22との接続信頼性の点でより有利な配線基板を提供することができる。
上記各実施形態の配線基板は、例えば次のような方法で製造することができる。
まず、例えば上記のような方法で、セラミック配線導体層12およびセラミック貫通導体13が設けられたセラミック基板1を準備する。また、このセラミック基板1の上面に、例えば上記のような方法で第1薄膜配線14を形成してセラミック基板部1Aを準備する。
また、セラミック基板部1Aを準備するとともに、樹脂基板部3Aを準備する。樹脂基板部3Aの樹脂基板3は、例えば、樹脂層31となるポリイミド樹脂等の上記樹脂材料の未
硬化物をスピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法または印刷法等の塗布法により層状(10μm〜50μm程度の厚み)に成形して被着させた後に、加熱して硬化させることによって作製することができる。
また、第2薄膜配線32は、例えば第1薄膜配線14と同様に、銅等の金属材料によって、同様の方法(エッチング加工等)で形成することができる。
また、樹脂層31を厚み方向に貫通する導体22は、例えば銅等の金属材料を蒸着法およびめっき法等の方法で、あらかじめ樹脂層31に設けておいた貫通孔内に充填することによって形成することができる。この貫通孔は、例えばレーザ加工等の孔あけ加工によって形成することができる。
これらのセラミック基板部1Aと樹脂基板部3Aとを、接合部2Aを間に挟んで上下に位置合わせして、接合部2Aを介して互いに接合させることによって配線基板を製作することができる。この場合、接合部2Aは、接合層2となる樹脂材料が未硬化の状態で、セラミック基板部1Aと樹脂基板部3Aとの間に介在させておき、その後、加熱硬化させることによって、セラミック基板部1Aと樹脂基板部3Aとを接合する接合材として機能させることができる。
セラミック基板部1Aと樹脂基板部3Aとの間への接合部2Aの介在は、例えば接合層2が未硬化である接合部2Aを、あらかじめセラミック基板部1Aの上面に配置しておくことによって行なうことができる。すなわち、接合層2用の未硬化のポリイミド樹脂等をスピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法または印刷法等の塗布法によりセラミック基板1の上面に塗布し、その後、400℃程度の熱で硬化させてポリイミド化させるこ
とによって、接合層2を形成する。また、接合層2にレーザ加工等の方法で貫通孔を形成し、この貫通孔にスズ−銀はんだ等の導体22用の金属材料を充填する。これによって、セラミック基板1の上面に接合層2を含む接合部2Aを形成することができる。
実施形態の配線基板について、変形例を図3に示す。図3は、変形例の配線基板のうち図1のA−A線およびB−B線にそれぞれ対応する位置における断面図である。すなわち、図3(a)は図2(a)の変形例を示す断面図であり、図3(b)は図2(b)の変形例を示す断面図である。
図3に示す例において、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32が、それぞれ電源用配線、接地用配線および信号用配線を含んでいるとともに、電源用配線および接地用配線の面積が、信号用配線の面積よりも大きい。電源用配線、接地用配線および信号用配線は、例えば、それぞれに、半導体素子の対応する複数の電極(電源電極、接地電極または信号電極)に電気的に接続される。この場合、電源用配線および接地用配線は、複数の電源用電極または接地用電極に対応する複数の電源用配線同士、および接地用配線同士が互いに共通化されて広面積化されたものとみなすことができる。
図3に示す例においても、接合層2の上面および下面に対向する平面透視において、第1薄膜配線14と第2薄膜配線32とが互いに重なり合うパターンである。これによって、セラミック基板1と樹脂層31(樹脂基板3)との熱膨張差による熱応力に起因して接合層2の導体22と第1および第2薄膜配線14、32との接合部分に加わる応力が、接合層2の上下(セラミック基板部1A側および樹脂基板部3A側)で互いにほぼ同じ程度になる。
そのため、上記の実施形態の配線基板の場合と同様に、剥離応力の発生および応力が集中等が低減され、それぞれの接合部分に加わる応力は、ほぼ、セラミック基板1と樹脂層31(樹脂基板3)との熱応力程度に抑制される。したがって、剥離応力の発生または応力
の集中等による上記接合部分における破壊が抑制され、全体としての接続信頼性が高い配線基板を提供することができる。
また、この例の場合には、半導体素子のそれぞれ複数の電源電極および接地電極が、面積が比較的大きい、電源用配線または接地用配線としての第1および第2薄膜配線14、32に電気的に接続されるため、電源および接地それぞれの電位をより安定させることも容易である。
実施形態の配線基板について、他の変形例を図4に示す。図4は、変形例の配線基板のうち図1のA−A線およびB−B線にそれぞれ対応する位置における断面図である。すなわち、図4(a)は図2(a)の他の変形例を示す断面図であり、図4(b)は図2(b)の他の変形例を示す断面図である。
図4に示す例においても、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32が、それぞれ電源用配線、接地用配線および信号用配線を含んでいるとともに、電源用配線および接地用配線の面積が、信号用配線の面積よりも大きい。電源用配線、接地用配線および信号用配線は、例えば、それぞれに、半導体素子の対応する複数の電極(電源電極、接地電極または信号電極)に電気的に接続される。これらのうち、接地用配線としての第1および第2薄膜配線14、32は、複数の接地用電極に対応する複数の接地用配線同士が互いに共通化されて広面積化されたものとみなすことができる。
また、電源用配線は、それぞれ個別に半導体素子の電源電極と電気的に接続されるように互いに独立した複数の第1薄膜配線14および第2薄膜配線32として配置されている。ただし、それぞれの電源用配線としての第1薄膜配線14および第2薄膜配線32は、信号用の第1薄膜配線14および第2薄膜配線32よりは面積が大きい。
図4に示す例においても、接合層2の上面および下面に対向する平面透視において、第1薄膜配線14と第2薄膜配線32とが互いに重なり合うパターンである。これによって、セラミック基板1と樹脂層31(樹脂基板3)との熱膨張差による熱応力に起因して接合層2の導体22と第1および第2薄膜配線14、32との接合部分に加わる応力が、接合層2の上下(セラミック基板部1A側および樹脂基板部3A側)で互いにほぼ同じ程度になる。
そのため、上記の実施形態の配線基板の場合と同様に、剥離応力の発生および応力が集中等が低減され、それぞれの接合部分に加わる応力は、ほぼ、セラミック基板1と樹脂層31(樹脂基板3)との熱応力程度に抑制される。したがって、剥離応力の発生または応力の集中等による上記接合部分における破壊が抑制され、全体としての接続信頼性が高い配線基板を提供することができる。
また、この例の場合には、半導体素子の複数の接地電極が、面積が比較的大きい接地用配線としての第1および第2薄膜配線14、32に電気的に接続されるため、接地の電位をより安定させることも容易である。
さらに、この例では、第1および第2薄膜配線14、32のうち電源用配線であるものの面積が(例えば信号用であるものに比べて)比較的大きいため、電源の電位をより安定させることもできる。この場合には、電源用配線としての第1および第2薄膜配線14、32の全部が1つにまとめられていないため、例えば、半導体素子の電源電極の配置等に対応するときの設計の自由度の点では有利である。
なお、例えば図4に示すような形態の配線基板において、電源配線としての第1および第2薄膜配線14、32は、必ずしも1つの電源電極に電気的に接続されるものに限らず、複
数個の電源電極に接続されるものであってもよい。すなわち、信号用の第1および第2薄膜配線14、32が、それぞれ1つの信号電極と電気的に接続され、接地用の第1および第2薄膜配線14、32が、それぞれ半導体素子が有する複数の接地電極とまとめて電気的に接続され、、電源用の第1および第2薄膜配線14、32が、それぞれ半導体素子が有する複数の電源電極のうちいくつかをまとめた複数のグループとそれぞれに電気的に接続されるような形態でも構わない。
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内であれば種々の変更は可能である。例えば、接合層2が、複数の副接合層(図示せず)を含むものであってもよく、それぞれの副接合層が互いに異なる樹脂材料からなるものであってもよい。この場合、セラミック基板1および樹脂基板3のそれぞれに適した樹脂材料を、セラミック基板1側(下側)および樹脂基板3側(上側)の副接合層で使い分けるようにしてもよい。副接合層は、例えば上記のような接合樹脂層21を含んでいても構わない。
また、接合部2Aの導体22は、接合層2を厚み方向に貫通する貫通導体(接合層貫通導体)に限らず、接合層2の上面または下面等の表面、および内部に横方向(X−Y方向)に形成されたものを含んでいても構わない。
また、図2に示す例においても、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32が、それぞれに電源用配線、接地用配線および信号用配線を含むものであってもよい。
また、配線基板は、プローブカード用として一時的に半導体素子等に電気的に接続されるものに限らず、半導体素子等の電子部品が上面等に実装される実装用の基板として用いられても構わない。
図5は、図1に示す配線基板の変形例を示す断面図である。また、図6(a)は図5に示す配線基板のA−A部の断面を平面視した断面図であり、図6(b)はB−B部の断面を平面視して示す断面図である。図5および図6において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。
図5に断面図で示す例において、前述したように、樹脂基板部3が、少なくとも最下層の樹脂層31を貫通する貫通導体33を有している。また、この例においては、貫通導体33の少なくとも一部がセラミック貫通導体13の直上に位置している。言い換えれば、平面透視において、最下層の樹脂層31を貫通する貫通導体33の少なくとも一部が、セラミック貫通導体13と重なっている。
このような場合には、互いに電気的に接続している第1薄膜配線14と接合層21上の第2薄膜配線32とについて、互いの電気的な接続性を向上させる部分であるランドパターン(ランドパターンとしては符号なし)が上下で同じ位置になる部分を含むか、または全体的に同じ位置になる。
なお、ランドパターンは、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32の一部であって、円形状に線幅が広くなっている部分である。ランドパターンには接合部2Aの導体22が直接に接続される。ランドパターンは楕円形状であってもよく、矩形状であってもよい。
このような構成によって、、図6(a)および(b)に平面図で示すように、微細な配線を必要とする上記ランドパターン(信号用配線に含まれる部分)が2ケ所になる。つまり、例えば図2〜図4に示す例のような3ケ所のランドパターンから減少させることができる。したがって、このようなランドパターンを含む導体部分(導体部分としては符号なし)の引き回しに必要な面積(以下、配線面積という)を減少させることができる。
このようなランドパターンが低減された形態は、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32の配線の密度を高めることができるが、それらの中でも特に微細な配線を要求される信号用配線についても、配線の密度を効果的に高めることができるようになる。ただし、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32は、信号用配線に限らず、接地用等の他の配線を含んでいても構わない。
なお、直上に位置しているとは、平面透視における最下層の樹脂層31を貫通する貫通導体33とセラミック貫通導体13との互いに重なり合う範囲が、平面視における貫通導体33の面積の約30%程度以上であればよい。
図7は、図1に示す配線基板の他の変形例を示す断面図である。また、図8(a)は図7に示す配線基板のA−A部の断面を平面視した断面図であり、図6(b)はB−B部の断面を平面視して示す断面図である。図7および図8において図1および図2と同様の部位には同様の符号を付している。
図7に断面図で示す例において導体22は接合層貫通導体22であり、その接合層貫通導体22の少なくとも一部がセラミック貫通導体13の直上に位置している。言い換えれば、平面透視において、接合層貫通導体22の少なくとも一部がセラミック貫通導体13と重なっている。
このような場合には、電気的に接続している第1薄膜配線14と接合層21上の第2薄膜配線32とについて、樹脂層31の貫通導体33、導体(接合層貫通導体)22およびセラミック貫通導体13のいずれかと接続している部分同士は互いに直線状につながっている。このような構成によって、図8(a)、(b)に平面図で示すように、微細な配線を必要とする信号用配線のランドパターンは第1薄膜配線14および第2薄膜配線32といったそれぞれの配線(配線としては符号なし)一つについて1ケ所となる。そのため、前述した導体部分の引き回しは不要になる。したがって、例えば第1薄膜配線14および第2薄膜配線32それぞれについて、ランドパターンのみからなるものとすることもできる。または、上記配線が必要な場合であっても、必要な配線面積を減少させることができる。
この場合にもランドパターンが低減された形態であり、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32の配線の密度を高めることができる。特に、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32の中でも微細な配線を要求される信号用配線の密度をより高めることができるようになる。なお、この例においても、第1薄膜配線14および第2薄膜配線32は、信号用配線に限らず、接地用等の他の配線を含んでいても構わない。
さらに図7に断面図で示すように、貫通導体33の少なくとも一部が、接合層貫通導体22の直上に位置していると、貫通導体33同士の接続に引き回し配線を必要としないので、有機絶縁層31aの配線(第2薄膜配線32等)の密度をさらに高めることができるようになる。