JP6418743B2 - ウエハチャックおよびウエハチャック補助具 - Google Patents

ウエハチャックおよびウエハチャック補助具 Download PDF

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本発明はウエハチャックに関するものである。
半導体製造プロセスの写真製版プロセスに代表されるレジスト塗布工程および現像工程では、半導体ウエハをウエハチャックの吸着面で真空吸着した状態で、半導体ウエハ表面上に薬液を吐出し、半導体ウエハを高速回転させる。
高速回転させると薬液は遠心力で半導体ウエハ表面から飛ばされる。そして、半導体ウエハから飛び散った薬液は、処理を行う半導体ウエハおよびウエハチャックを囲んで配置されているカバーの側壁に当たった衝撃等で、微小なミストとなり浮遊する。
特に半導体ウエハの裏面は、装置構造上排気がされにくく、ミストが滞留する。よって、半導体ウエハの裏面にはミストが付着する場合がある。
ウエハチャックに設けられた洗浄機構を用いて、半導体ウエハを回転させながら半導体ウエハの裏面に洗浄液を当てることにより、付着したミストの大部分は除去される。
現像工程としてはパドル現像法が主流となっている。パドル現像法では、半導体ウエハを低速回転させながら半導体ウエハ表面上に現像液を吐出し、半導体ウエハ全面に現像液が行き亘った段階で半導体ウエハの回転を静止させる。そして、半導体ウエハ表面全面に現像液の「水溜り」を形成させ、現像処理を行う。
半導体ウエハ表面全面にムラなく現像液の「水溜り」を形成させるために、半導体ウエハ表面上に現像液の表面張力で保持される液量より多い量の現像液を供給(吐出)する。しかし、表面張力で保持される液量より多いため、その一部は半導体ウエハ表面上から零れる。半導体ウエハ表面上から零れる現像液は、一部は零れ落ち、一部は現像液の表面張力によって半導体ウエハのエッジ部を伝って、半導体ウエハの裏面側へ廻り込む。半導体ウエハの裏面側へ廻り込んだ現像液は、廻り込み防止機構によってウエハチャックの吸着面へ到達することを阻止される。
特開2001−332486号公報
従来のウエハチャックでは、洗浄液がウエハチャックの吸着面に接触したり、現像液が半導体ウエハの裏面に廻り込んでウエハチャックの吸着面に接触したりすると、ウエハチャックの吸着面に吸着されることによって固定されている半導体ウエハとウエハチャックの吸着面との微小な隙間に洗浄液または現像液等が入り込んでしまう(毛細管現象)。
洗浄液または現像液等が当該隙間に入り込んだ場合、半導体ウエハを回収する際に半導体ウエハとウエハチャックの吸着面とが過剰に密着し、ウエハチャックの吸着面から半導体ウエハが外れなくなってしまう場合がある。このような場合、搬送エラーとなったり、半導体ウエハが破損したりする。
そのため洗浄機構は、ウエハチャックの吸着面と洗浄液とが接触しない程度の間隔を空けて設置しなければならない。そうすると、本来は除去したいミストを除去できない領域(ミストが付着しているにも関わらず洗浄できない領域)が生じてしまい、付着したミストが製品の品質に悪影響を与える等の問題があった。
また、廻り込む現像液との接触を避けるため、ウエハチャック径をウエハ径に対して小さくすると、やはり問題が生じる。半導体パワーデバイス等で使用される、厚さが100μm程度の薄い半導体ウエハでは、その薄さのために半導体ウエハの強度が低下する。そのため、特にそのような薄い半導体ウエハを用いる場合には、ウエハ径に対してウエハチャック径が小さいと、ウエハチャックで保持していない領域が半導体ウエハの自重等で垂れ下がってしまい、半導体ウエハ全体を水平に支えきれない。この状態で半導体ウエハを高速回転させると、保持していない領域の回転が安定せず、構成部品に接触して傷がつく等の製品における欠陥が発生するという問題があった。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、毛細管現象による過剰な密着を抑制し、かつ、ウエハ径に対するウエハチャック径を小さくする必要がないウエハチャックを提供することを目的とする。
本発明の一態様に関するウエハチャックは、半導体ウエハを吸着する吸着面と、前記吸着面の外縁に沿って全周に形成された溝部とを備え、前記溝部は、上端および下端が前記吸着面よりも前記半導体ウエハから離れる方向に位置して形成された、前記吸着面の径方向内側に内壁を有する側壁部を備え、前記側壁部の前記内壁が、前記吸着面の径方向内側へ下る下り斜面である。
本発明の上記態様によれば、毛細管現象による過剰な密着を抑制できる。また、ウエハ径に対するウエハチャック径を小さくする必要がない。
実施形態に関するウエハチャックを示す外観図である。 図1に示されたウエハチャックのA−A’断面図である。 前提技術に関するウエハチャックを示す外観図である。 図3に示されたウエハチャックのB−B’断面図である。 実施形態に関する、ウエハチャックが半導体ウエハを保持した状態を示すウエハチャックの断面図である。 前提技術に関する、ウエハチャックが半導体ウエハを保持した状態を示すウエハチャックの断面図である。 実施形態に関する、ウエハチャックが半導体ウエハを保持した状態を示すウエハチャックの断面図である。 実施形態に関する、ウエハチャックが半導体ウエハを保持した状態を示すウエハチャックの断面図である。 実施形態に関するウエハチャックを示す外観図である。 実施形態に関するウエハチャックの上面図である。 図10に示されたウエハチャックのC−C’断面図である。 前提技術に関するウエハチャックを示す外観図である。 前提技術に関するウエハチャックの上面図である。 図13に示されたウエハチャックのD−D’断面図である。 吸着面および溝部が回転軸を中心に回転した場合に生じる、空気の流れを示した図である。 実施形態に関する、ウエハチャックが半導体ウエハを保持した状態を示すウエハチャックの断面図である。 実施形態に関するウエハチャックの第1変形例を示す図である。 実施形態に関するウエハチャックの第2変形例を示す図である。 実施形態に関するウエハチャック補助具を示す上面図である。 図19に示されたウエハチャック補助具のE−E’断面図である。 実施形態に関する、溝部にウエハチャックが取り付けられた状態を示す断面図である。 実施形態に関する、溝部にウエハチャックが取り付けられた状態を示す断面図である。 実施形態に関する、スペーサーの形状を示す斜視図である。 実施形態に関するウエハチャック補助具の変形例を示す図である。 スピン塗布を行う際のウエハチャックの断面構造図である。 洗浄機構による半導体ウエハの裏面洗浄時のウエハチャックを示した図である。 現像処理を行う際のウエハチャックの断面構造図である。 ウエハ径に対してウエハチャック径が小さい場合の、ウエハチャックの断面構造図である。 実施形態に関する、ウエハチャックの断面図である。 実施形態に関する、ウエハチャック補助具の断面図である。
以下、添付の図面を参照しながら実施形態について説明する。
なお、本実施形態において、表面、裏面または底面等の用語が用いられるが、これらの用語は、各面を便宜上区別するために用いられているものであり、実際の上下左右の方向とは関係しない。
まず、本発明の前提技術について説明する。
図25は、一般的なスピン塗布を行う際のウエハチャックの断面構造図であり、スピン塗布時を表現した図である。
半導体製造プロセスの写真製版プロセスに代表されるレジスト塗布工程および現像工程では、半導体ウエハ1をウエハチャック20の吸着面200で真空吸着した状態で、半導体ウエハ1表面上に薬液を吐出し、半導体ウエハ1を高速回転させる。そして、薬液によってレジスト膜4等を半導体ウエハ1表面に均一に形成(スピン塗布)する、または、薬液を遠心力で飛ばして乾燥させる(スピン乾燥)。
高速回転させると薬液は遠心力で半導体ウエハ1表面から飛ばされる。そして、半導体ウエハ1から飛び散った薬液5は、処理を行う半導体ウエハ1およびウエハチャック20を囲んで配置されているカバーの側壁6に当たった衝撃等で、微小なミスト7となり浮遊する。
発生したミスト7は、ウエハチャック20に設けられた排気機構の気流8によって大半は除去されるが、構造物の凹凸、または、半導体ウエハ1の高速回転により生じる乱気流9の影響で、一部のミスト7は排気されにくい領域で滞留してしまう。
特に半導体ウエハ1裏面は、装置構造上排気がされにくく、ミスト7が滞留する。よって、半導体ウエハ1裏面にはミスト7が付着する場合がある。
図26は、洗浄機構による半導体ウエハの裏面洗浄時の状態を示した図である。
ウエハチャック20に設けられた洗浄機構10を用いて、半導体ウエハ1を回転させながら半導体ウエハ1裏面に洗浄液11を当てることにより、付着したミスト7の大部分は除去される。洗浄処理を行っている状態では、半導体ウエハ1およびウエハチャック20は高速回転しているため、洗浄機構10から吐出される洗浄液11は回転による遠心力で外側へ流されながら、ミスト7を除去していくことになる。しかし、この洗浄液11とウエハチャック20の吸着面200とが接触すると、ウエハチャック20の吸着面200に吸着されることによって固定されている半導体ウエハ1とウエハチャック20の吸着面200との微小な隙間に洗浄液11が入り込んでしまう(毛細管現象)。よって、この現象を防ぐため、半導体ウエハ1の径方向におけるウエハチャック20の吸着面200の端部と洗浄機構10との間の距離は、洗浄液11がウエハチャック20の吸着面200に接触しない程度に離す必要がある。その結果、半導体ウエハ1裏面において、ミスト7が付着しているにも関わらず洗浄できない領域12が生じる。
現像工程としてはパドル現像法が主流となっている。パドル現像法では、半導体ウエハ1を低速回転させながら半導体ウエハ1表面上に現像液13を吐出し、半導体ウエハ1全面に現像液13が行き亘った段階で半導体ウエハ1の回転を静止させる。現像液13としては、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム([(CH)4N]+OH−)水溶液(濃度2.38%程度)を用いる。当該水溶液の、濃度20%から25%における密度は1.015g/cm程度である(水(HO)の4℃における密度は999.972kg・m−3)。そして、半導体ウエハ1表面全面に現像液13の「水溜り」を形成させ、現像処理を行う。
図27は、一般的な現像処理を行うウエハチャックの断面構造図であり、パドル現像処理時を表現した図である。
半導体ウエハ1表面全面にムラなく現像液13の「水溜り」を形成させるために、半導体ウエハ1表面上に現像液13の表面張力で保持される液量より多い量の現像液13を供給(吐出)する。しかし、表面張力で保持される液量より多いため、その一部は半導体ウエハ1表面上から零れる。半導体ウエハ1表面上から零れる現像液13は、一部は零れ落ち、一部は現像液13の表面張力によって半導体ウエハ1のエッジ部を伝って、半導体ウエハ1裏面側へ廻り込む。半導体ウエハ1裏面側へ廻り込んだ現像液13は、廻り込み防止機構14によってウエハチャック20の吸着面200へ到達することを阻止される。
従来のウエハチャックでは、洗浄液11がウエハチャック20の吸着面200に接触したり、現像液13が半導体ウエハ1裏面に廻り込んでウエハチャック20の吸着面200に接触したりすると、ウエハチャック20の吸着面200に吸着されることによって固定されている半導体ウエハ1とウエハチャック20の吸着面200との微小な隙間に洗浄液11または現像液13等が入り込んでしまう(毛細管現象)。
洗浄液11または現像液13等が当該隙間に入り込んだ場合、半導体ウエハ1を回収する際に半導体ウエハ1とウエハチャック20の吸着面200とが過剰に密着し、ウエハチャック20から半導体ウエハ1が外れなくなってしまう場合がある。このような場合、搬送エラーとなったり、半導体ウエハ1が破損したりする。
そのため洗浄機構10は、ウエハチャック20の吸着面200と洗浄液11とが接触しない程度の間隔を空けて設置しなければならない。そうすると、本来は除去したいミスト7を除去できない領域12(ミストが付着しているにも関わらず洗浄できない領域)が生じてしまい、付着したミスト7が製品の品質に悪影響を与える等の問題があった。
また、廻り込む現像液13との接触を避けるため、ウエハチャック径をウエハ径に対して小さくすると、やはり問題が生じる。半導体パワーデバイス等で使用される、厚さが100μm程度の薄い半導体ウエハ1では、その薄さのために半導体ウエハ1の強度が低下する。そのため、特にそのような薄い半導体ウエハ1を用いる場合には、ウエハ径に対してウエハチャック径が小さいと、ウエハチャック20で保持していない領域が半導体ウエハ1の自重等で垂れ下がってしまい、半導体ウエハ1全体を水平に支えきれない(図28参照)。この状態で半導体ウエハ1を高速回転させると、保持していない領域の回転が安定せず、構成部品に接触して傷がつく等の製品における欠陥が発生するという問題があった。
以下に説明する実施形態は、上記のような問題を解決するウエハチャックおよびウエハチャック補助具に関するものである。
<第1実施形態>
<構成>
図1は、本実施形態に関するウエハチャックを示す外観図である。図2は、図1に示されたウエハチャックのA−A’断面図である。
図1に示されるようにウエハチャック2は、半導体ウエハを吸着することによって固定する吸着面200と、吸着面200の外縁に沿って全周に形成された溝部100と、吸着面200および溝部100を回転させる回転軸3とを備えている。
なお、吸着面200には溝101が形成されていてもよい(図2参照)。
溝部100は、吸着面200の外縁から吸着面200の径方向外側に一定距離で形成され、かつ吸着面200よりも凹んで形成された底部102と、底部102の外側に形成された側壁部103とを備えている(図2参照)。側壁部103は、底部102よりも盛り上がって形成されている。
側壁部103の内壁、すなわち、吸着面200の径方向内側における面は、吸着面200の径方向内側へ下る斜面である。換言すれば、当該斜面と半導体ウエハとの間の距離は、吸着面200の径方向内側であるほど大きくなる。
また、側壁部103の半導体ウエハに対向する側の端部は、半導体ウエハには接触しない。すなわち、側壁部103の半導体ウエハに対向する側の端部は、ウエハチャック2の吸着面200よりも下方に位置している。
回転軸3は、モーター等の動力によって回転する軸である。
図3は、本発明の前提技術に関するウエハチャックを示す外観図である。図4は、図3に示されたウエハチャックのB−B’断面図である。
図3に示されるようにウエハチャック20は、半導体ウエハを吸着することによって固定する吸着面200と、吸着面200を回転させる回転軸3とを備えている。
ウエハチャック20は、半導体ウエハを吸着する吸着面200において溝101が形成されていてもよい(図4参照)。
<動作>
図5は、ウエハチャックが半導体ウエハを保持した状態を示すウエハチャックの断面図であり、半導体ウエハの裏面にミストが浮遊している状態を示している。
図5に示されるように、本実施形態に関するウエハチャックでは、半導体ウエハ1の裏面と側壁部103の上端との間に隙間Xが生じている。隙間Xは、例えば0.1mmから2mm程度である。この隙間Xが十分に狭いことにより、半導体ウエハ1とウエハチャック2の吸着面200との接触部周辺にミスト7が付着することを抑制することができる。また、斜面である側壁部103の内壁と半導体ウエハ1の裏面との距離が、吸着面200の径方向内側であるほど大きくなるため、毛細管現象によって液体が半導体ウエハ1の裏面と吸着面200との接触部周辺へ到達することを防ぐことができる。
図6は、本発明の前提技術に関するウエハチャックが半導体ウエハを保持した状態を示すウエハチャックの断面図であり、半導体ウエハの裏面にミストが浮遊している状態を示している。
図6に示されるように、本発明の前提技術に関するウエハチャックでは、半導体ウエハ1とウエハチャック20の吸着面200との接触部周辺にミスト7が付着してしまい、当該箇所における毛細管現象が生じてしまう。この場合、半導体ウエハ1とウエハチャック20の吸着面200とが過剰に密着し、ウエハチャック20の吸着面200から半導体ウエハ1が外れなくなってしまう場合がある。
図7は、ウエハチャックが半導体ウエハを保持した状態を示すウエハチャックの断面図であり、半導体ウエハの裏面に、ミストを除去するための洗浄液が当てられている状態を示している。
図7に示されるように、本実施形態に関するウエハチャックでは、半導体ウエハ1の裏面と側壁部103の上端との間に隙間Xが生じている。隙間Xは、例えば0.1mmから2mm程度である。また、斜面である側壁部103の内壁と半導体ウエハ1の裏面との距離が、吸着面200の径方向内側であるほど大きくなるため、毛細管現象によって洗浄液11が半導体ウエハ1の裏面と吸着面200との接触部周辺へ到達することを防ぐことができる。
図8は、ウエハチャックが半導体ウエハを保持した状態を示すウエハチャックの断面図であり、半導体ウエハの裏面に、現像液が廻り込んでいる状態を示している。
図8に示されるように、本実施形態に関するウエハチャックでは、半導体ウエハ1の裏面と側壁部103の上端との間に隙間Xが生じている。隙間Xは、例えば0.1mmから2mm程度である。また、斜面である側壁部103の内壁と半導体ウエハ1の裏面との距離が、吸着面200の径方向内側であるほど大きくなるため、毛細管現象によって現像液13が半導体ウエハ1の裏面と吸着面200との接触部周辺へ到達することを防ぐことができる。
<効果>
本実施形態によれば、ウエハチャックが、半導体ウエハ1を吸着する吸着面200と、吸着面200の外縁に沿って全周に形成された溝部100とを備える。溝部100は、底部102と、側壁部103とを備える。
底部102は、吸着面200よりも凹み、かつ、側壁部103よりも吸着面200の径方向内側において側壁部103の下端と連続して形成されている。
側壁部103は、上端および下端が吸着面200よりも半導体ウエハ1から離れる方向に位置して形成されている。そして、側壁部103は、吸着面200の径方向内側に内壁を有している。側壁部103の内壁は、下り斜面である。
このような構成によれば、毛細管現象による過剰な密着を抑制できる。また、ウエハ径に対するウエハチャック径を小さくする必要がない。
すなわち、半導体ウエハ1の裏面と吸着面200との接触部周辺は、底部102および側壁部103によってミストの浸入が抑制されている。現像液13についても同様に、底部102および側壁部103によって、半導体ウエハ1の裏面と吸着面200との接触部周辺への到達が抑制されている。そのため、これらが半導体ウエハ1の裏面と吸着面200との接触部の隙間に入り込むことにより毛細管現象が生じることが抑制される。また、半導体ウエハ1の裏面に付着したミストを洗浄する際にも、半導体ウエハ1の裏面と吸着面200との接触部周辺を除く領域における洗浄で十分であるため、洗浄液11が半導体ウエハ1の裏面と吸着面200との接触部の隙間に入り込むことにより毛細管現象が生じることが抑制される。
また、洗浄機構10によって適切にミストを除去することができ、ミストが付着しているにも関わらず洗浄できない領域は生じない。よって、半導体ウエハ1の裏面にミスト等が付着することを抑制できる。
また、半導体ウエハ1の裏面に廻り込む現像液13との接触を避けるためにウエハチャック径をウエハ径に対して小さくする必要がなく、厚さの薄い半導体ウエハ1を使用する場合であっても、半導体ウエハ1全体を水平に支え、安定して回転等の処理を行うことができる。
また、側壁部103の斜面と半導体ウエハ1との間の距離が、吸着面200の径方向内側であるほど大きくなることで、毛細管現象によって液体が半導体ウエハ1の裏面と吸着面200との接触部周辺へ到達することを防ぐことができる。
<第2実施形態>
<構成>
以下では、上記実施形態で説明した構成と同様の構成については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略する。
図9は、本実施形態に関するウエハチャックを示す外観図である。図10は、図9に示されたウエハチャックの上面図である。図11は、図10に示されたウエハチャックのC−C’断面図である。
図9に示されるようにウエハチャック2Aは、半導体ウエハを吸着することによって固定する吸着面201と、ウエハチャック2Aの外縁に形成された溝部100Aと、吸着面201および溝部100Aを回転させる回転軸3とを備えている。
溝部100Aは、吸着面201の外縁から吸着面201の径方向外側に一定距離で形成された底部102Aと、底部102Aの外側に形成された側壁部103Aとを備えている(図10および図11参照)。
底部102Aは、少なくともウエハチャック2Aの吸着面201よりも下方に位置していればよい。また底部102Aは、吸着面201の周方向に断続的に形成され、回転軸3を中心に回転するプロペラの羽の形状である。底部102Aの形状により、回転軸3を中心に吸着面201および溝部100Aが回転すると、回転軸3に平行な方向に空気の流れが生じる。
側壁部103Aの内壁、すなわち、吸着面201の径方向内側における面は、吸着面201の径方向内側へ下る斜面である。換言すれば、当該斜面と半導体ウエハとの間の距離は、吸着面201の径方向内側であるほど大きくなる。
また、側壁部103Aの半導体ウエハに対向する側の端部は、半導体ウエハには接触しない。すなわち、側壁部103Aの半導体ウエハに対向する側の端部は、ウエハチャック2Aの吸着面201よりも下方に位置している。
図12は、本発明の前提技術に関するウエハチャックを示す外観図である。図13は、図12に示されたウエハチャックの上面図である。図14は、図13に示されたウエハチャックのD−D’断面図である。詳細な説明は、図3および図4における場合と同様であるので省略する。
<動作>
図15は、吸着面201および溝部100Aが回転軸3を中心に回転した場合に生じる、空気の流れを示した図である。当該空気の流れは、溝部100Aの底部102Aがプロペラの羽の形状であることに起因して生じている。なお、回転軸3を中心とする回転方向を逆にすれば、逆方向の空気の流れを実現することもできる。
図16は、ウエハチャックが半導体ウエハを保持した状態を示すウエハチャックの断面図である。
図16に示されるように、本実施形態に関するウエハチャックでは、半導体ウエハ1の裏面と側壁部103Aの上端との間に隙間Xが生じている。空気の流れは図15で示されたとおりであるので、底部102Aが形成されない部分から空気が流入し、隙間Xから空気が流出する。
図16に示される場合であれば、隙間Xによって形成される空気が排出される開口の面積が、底部102Aが形成されていない部分(空気が流入する部分)の面積よりも小さいことにより、半導体ウエハ1およびウエハチャックが回転軸3を中心に高速回転した場合に、溝部100Aと半導体ウエハ1の裏面とで形成される空間内の圧力が十分に上昇する(陽圧)。
溝部100Aと半導体ウエハ1の裏面とで形成される空間内の圧力がその外部の圧力より高いため、溝部100A内部から外部へ向かう気流が生じ、ミスト7および洗浄液11、さらには現像液13が半導体ウエハ1とウエハチャック2Aの吸着面201との接触部周辺に到達することが抑制される。また、ミスト7および洗浄液11、さらには現像液13が、半導体ウエハ1の裏面と側壁部103Aの上端との間に留まることも抑制される。
<第1変形例>
図17は、図11に示されたウエハチャックの第1変形例を示す図である。
図17に示されるようにウエハチャックは、半導体ウエハを吸着することによって固定する吸着面201と、吸着面201の裏面側に沿って形成され、吸着面201の外縁までの領域に亘って形成された溝部100Bと、吸着面201および溝部100Bを回転させる回転軸3とを備えている。
溝部100Bは、吸着面201の裏面側の、回転軸3に隣接する位置の底面が、吸着面201の周方向に断続的に形成され、回転軸3を中心に回転するプロペラの羽の形状である。図17に示された溝部100Bの場合は、回転軸3に固定されており、吸着面201の裏面側に沿う底面、および、吸着面201の外縁に沿う側壁部は、吸着面201とは接触していない。
そして、溝部100Bの底面は吸着面201の裏面との間、および、吸着面201の外縁との間に空気を通す空間を設けて形成されており、上記プロペラの羽の形状の底面から吸着面201の外縁へと空気が流れる。
<第2変形例>
図18は、図11に示されたウエハチャックの第2変形例を示す図である。
図18に示されるようにウエハチャックは、半導体ウエハを吸着することによって固定する吸着面201と、吸着面201の外縁に形成された溝部100Aと、吸着面201および溝部100Aを回転させる回転軸3と、溝部100Aの下方(底部102Aよりも半導体ウエハから離れた位置)から高い清浄度の空気を送り込む送風機構104とを備えている。
送風機構104から溝部100Aと半導体ウエハの裏面とで形成される空間内に送り込まれる空気の清浄度が高いことで、製品の品質への信頼度がより高まる。送り込まれる空気としては、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air Filter)フィルターによって異物を除去された空気(クラス1000以下。1フィート立方中に0.5ミクロン以上の微粒子が1000個以下)が考えられる。
<効果>
本実施形態によれば、底部102Aが、吸着面201の周方向において断続的に形成され、かつ、吸着面201の平面視においてプロペラの羽の形状である。
このような構成によれば、半導体ウエハ1およびウエハチャックが回転軸3を中心に回転した場合に、底部102Aが形成されない部分から空気が流入し、隙間Xから空気が流出する。よって、隙間Xからミスト等が浸入することを効果的に抑制することができる。
さらに、溝部100Aと半導体ウエハ1の裏面とで形成される空間内の圧力が十分に上昇する(陽圧)ことによって、隙間Xからミスト等が浸入することを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態によれば、ウエハチャックが、底部102Aよりも半導体ウエハ1から離れる方向に配置された、送風機構104を備える。
このような構成によれば、底部102Aが形成されない部分から隙間Xに至る空気の流れを効果的に作り出すことができるため、隙間Xからミスト等が浸入することを効果的に抑制することができる。また、送風機構104によって清浄度の高い空気を送り込むことによって、製品の品質への信頼度をより高めることができる。
<第3実施形態>
<構成>
以下では、上記実施形態で説明した構成と同様の構成については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略する。
図19は、本実施形態に関するウエハチャック補助具を示す上面図である。図20は、図19に示されたウエハチャック補助具のE−E’断面図である。
図19に示されるようにウエハチャック補助具21は、ウエハチャックが取り付けられる部分を中空として確保し、ウエハチャックが取り付けられる部分の外縁に形成された輪形状の溝部100Cを備えている。
溝部100Cは、輪内部にウエハチャックを嵌め込んで固定可能である。
溝部100Cは、ウエハチャックの径方向外側に一定距離で形成され、かつ、吸着面よりも半導体ウエハから離れる方向に位置する底部102と、底部102の外側に形成された側壁部103とを備えている(図20参照)。側壁部103は、吸着面よりも半導体ウエハから離れる方向にその上端が位置し、かつ、底部102よりも盛り上がって形成されている。
図20に示されるように、側壁部103の内壁、すなわち、吸着面の径方向内側における面は、吸着面の径方向内側へ下る斜面である。換言すれば、当該斜面と半導体ウエハとの間の距離は、吸着面の径方向内側であるほど大きくなる。
また、溝部100Cは、取り付けられるウエハチャックの裏面の外縁部分に対応する位置に、突起部105を備えている。
溝部100Cの中空である領域の径方向の距離は、半導体ウエハの外径に合わせて複数種用意しておくことが望ましい。半導体ウエハと溝部100Cとは、溝部100Cの内側面、および、突起部105の上面で接触しているが、回転軸3を中心とする回転動作時に外れず、かつ、人力によって取り外しが可能な程度の摩擦力を有していることが望ましい。溝部100Cの材質としては、例えば、耐薬品性を有し、かつ、加工が容易である樹脂系、または、金属系材料が望ましい。
図21は、溝部にウエハチャックが取り付けられた状態を示す断面図である。図21に示されるようにこの状態では、吸着面200の外縁と溝部100Cの内側面とが接触し、また、吸着面200の裏面と突起部105とが接触している。
図22は、溝部にウエハチャックが取り付けられた状態を示す断面図である。ただし、図21に示された場合とは異なり、吸着面200の裏面と突起部105との間に、スペーサー106が備えられている。
図23は、上記のスペーサー106の形状を示す斜視図である。スペーサー106の厚さは、複数のパターンを用意しておくことができる。
このように、厚さの異なるスペーサー106を複数種用意しておくことで、半導体ウエハの裏面と側壁部103の上端との間の隙間Xを調整することができ、異なる厚さを有する半導体ウエハに対しても、同様にウエハチャック補助具21を取り付けて本発明の効果を発揮させることができる。
<変形例>
図24は、図19に示されたウエハチャック補助具の変形例を示す図である。
図24に示されるようにウエハチャック補助具21Aは、ウエハチャックが取り付けられる部分を中空として確保し、ウエハチャックが取り付けられる部分の外縁に形成された溝部100Dを備えている。
溝部100Dは、ウエハチャックの径方向外側に一定距離で形成された底部102Aと、底部102Aの外側に形成された側壁部103Aとを備えている。
また溝部100Dは、取り付けられるウエハチャックの裏面の外縁部分に対応する位置に、突起部105を備えている。
底部102Aは、少なくともウエハチャックの吸着面よりも下方に位置していればよい。また底部102Aは、吸着面の周方向に断続的に形成され、回転軸3を中心に回転するプロペラの羽の形状である。底部102Aの形状により、回転軸3を中心に吸着面および溝部100Dが回転すると、回転軸3に平行な方向に空気の流れが生じる。
なお、図18に示されたような送風機構104がウエハチャック補助具に備えられていてもよい。
<効果>
本実施形態によれば、ウエハチャック補助具が、輪形状の溝部100Cを備える。
溝部100Cは、輪内にウエハチャックを嵌め込んで固定可能である。ウエハチャックは、半導体ウエハ1を吸着する吸着面200を備える。溝部100Cは、底部102と、側壁部103とを備える。
底部102は、吸着面200よりも半導体ウエハ1から離れる方向に位置し、かつ、側壁部103よりも吸着面200の径方向内側において側壁部103の下端と連続して形成されている。
側壁部103は、上端および下端が吸着面200よりも半導体ウエハ1から離れる方向に位置して形成されている。そして、側壁部103は、吸着面200の径方向内側に内壁を有している。側壁部103の内壁は、下り斜面である。
このような構成によれば、従来のウエハチャックを流用しつつ、半導体ウエハ1の裏面にミスト等が付着することを抑制できる。また、ウエハ径に対するウエハチャック径を小さくする必要がない。
従来のウエハチャックを流用できるため、導入が容易であり、製造コストも抑えることができる。また、加工が容易であるため、半導体ウエハの形状または厚さ等に応じて適宜設計を変更することも可能である。
また、本実施形態によれば、溝部100Cが、嵌め込まれるウエハチャックの裏面の外縁部分に対応して形成された突起部105を備える。
そして、ウエハチャック補助具は、ウエハチャックの裏面の外縁部分と突起部105との間に挿入されるスペーサー106を備える。
このような構成によれば、嵌め込まれるウエハチャックの厚さに応じてスペーサー106を適宜挿入することで、半導体ウエハ1と側壁部103の上端との間の間隔を調整することができる。すなわち、厚さの異なるウエハチャックに対して適用可能である。
また、本実施形態によれば、底部102Aが、吸着面の周方向において断続的に形成され、かつ、吸着面の平面視においてプロペラの羽の形状である。
このような構成によれば、半導体ウエハ1およびウエハチャックが回転軸3を中心に回転した場合に、底部102Aが形成されない部分から空気が流入し、隙間Xから空気が流出する。よって、隙間Xからミスト等が浸入することを効果的に抑制することができる。
<第4実施形態>
<構成>
以下では、上記実施形態で説明した構成と同様の構成については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略する。
図29は、本実施形態に関するウエハチャックの断面図である。図2に示されたウエハチャックと異なる点は、ウエハチャックの吸着面200の外縁に沿って全周に形成された溝部100Eが、側壁部103を備えており、底部102を備えていない点である。
側壁部103の内壁の、吸着面200の外縁に接触する箇所(斜面の下端)は、図29においては吸着面200の裏面側に位置しているが、当該箇所が吸着面200の表面側に位置していてもよい。すなわち、側壁部103の斜面の傾斜角度が、図示されているものよりも浅くてもよい。また、側壁部103の斜面は、図29において示されている一定の傾斜角のものである必要はなく、傾斜角が変化するものであってもよい。
側壁部103の斜面の傾斜角度、および、当該斜面の形状については、上述のいずれの実施形態においても同様である。
<効果>
本実施形態によれば、ウエハチャックが、半導体ウエハ1を吸着する吸着面200と、吸着面200の外縁に沿って全周に形成された溝部100Eとを備える。溝部100Eは、側壁部103を備える。
側壁部103は、上端および下端が吸着面200よりも半導体ウエハ1から離れる方向に位置して形成されている。そして、側壁部103は、吸着面200の径方向内側に内壁を有している。側壁部103の内壁は、下り斜面である。
このような構成によれば、側壁部103の斜面と半導体ウエハ1との間の距離が、吸着面200の径方向内側であるほど大きくなるため、毛細管現象によって液体が半導体ウエハ1の裏面と吸着面200との接触部周辺へ到達することを防ぐことができる。
<第5実施形態>
以下では、上記実施形態で説明した構成と同様の構成については同じ符号を付して図示し、その詳細な説明については適宜省略する。
図30は、本実施形態に関するウエハチャック補助具の断面図である。図20に示されたウエハチャック補助具と異なる点は、ウエハチャックが取り付けられる部分の外縁に形成された輪形状の溝部100Fが、側壁部103を備えており、底部102を備えていない点である。
側壁部103の内壁の、ウエハチャックが取り付けられる部分の外縁に接触する箇所(斜面の下端)は、図30においては、取り付けられる吸着面200の裏面側に位置しているが、当該箇所が吸着面200の表面側に位置していてもよい。すなわち、側壁部103の斜面の傾斜角度が、図示されているものよりも浅くてもよい。また、側壁部103の斜面は、図30において示されている一定の傾斜角のものである必要はなく、傾斜角が変化するものであってもよい。
側壁部103の斜面の傾斜角度、および、当該斜面の形状については、上述のいずれの実施形態においても同様である。
<効果>
本実施形態によれば、ウエハチャック補助具が、輪形状の溝部100Fを備える。
溝部100Fは、輪内にウエハチャックを嵌め込んで固定可能である。ウエハチャックは、半導体ウエハ1を吸着する吸着面200を備える。溝部100Fは、側壁部103を備える。
側壁部103は、上端および下端が吸着面200よりも半導体ウエハ1から離れる方向に位置して形成されている。そして、側壁部103は、吸着面200の径方向内側に内壁を有している。側壁部103の内壁は、下り斜面である。
このような構成によれば、側壁部103の斜面と半導体ウエハ1との間の距離が、吸着面200の径方向内側であるほど大きくなるため、毛細管現象によって液体が半導体ウエハ1の裏面と吸着面200との接触部周辺へ到達することを防ぐことができる。
上記実施形態では、各構成要素の材質、材料または実施の条件等についても記載しているが、これらは例示であって記載したものに限られるものではない。よって、例示されていない無数の変形例(任意の構成要素の変形または省略、さらには、異なる実施形態間の自由な組み合わせを含む)が、本発明の範囲内において想定され得る。
1 半導体ウエハ、2,2A,20 ウエハチャック、3 回転軸、4 レジスト膜、5 薬液、6 側壁、7 ミスト、8 気流、9 乱気流、10 洗浄機構、11 洗浄液、12 領域、13 現像液、14 廻り込み防止機構、21,21A ウエハチャック補助具、100,100A,100B,100C,100D,100E,100F 溝部、101 溝、102,102A 底部、103,103A 側壁部、104 送風機構、105 突起部、106 スペーサー、200,201 吸着面。

Claims (4)

  1. 半導体ウエハを吸着する吸着面と、
    前記吸着面の外縁に沿って全周に形成された溝部とを備え、
    前記溝部は、
    上端および下端が前記吸着面よりも前記半導体ウエハから離れる方向に位置して形成された、前記吸着面の径方向内側に内壁を有する側壁部を備え、
    前記側壁部の前記内壁が、前記吸着面の径方向内側へ下る下り斜面である、
    ウエハチャック。
  2. 前記溝部が、前記吸着面よりも凹み、かつ、前記側壁部よりも前記吸着面の径方向内側において前記側壁部の前記下端と連続して形成された底部をさらに備える、
    請求項1に記載のウエハチャック。
  3. 前記底部が、前記吸着面の周方向において断続的に形成され、かつ、前記吸着面の平面視においてプロペラの羽の形状である、
    請求項2に記載のウエハチャック。
  4. 前記底部よりも前記半導体ウエハから離れる方向に配置された、送風機構をさらに備える、
    請求項3に記載のウエハチャック。
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