(第1実施形態)
以下、図1〜図5を参照して、この発明を腕時計のスイッチ装置に適用した第1実施形態について説明する。
この腕時計は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上側開口部には、時計ガラス2がパッキン2aを介して取り付けられており、この腕時計ケース1の下部には、裏蓋3が防水パッキン3aを介して取り付けられている。
また、この腕時計ケース1の内部には、図2に示すように、時計モジュール4が設けられている。さらに、この腕時計ケース1の3時側に位置する側部には、図1および図2に示すように、スイッチ装置5が設けられている。このスイッチ装置5は、時計モジュール4のモード切替や時刻修正などを行うためのものであり、巻真6、筒状部材7、操作部材8、ロック部9、緩衝部材10、および外装部材11を備えている。
この場合、腕時計ケース1の3時側に位置する側部には、図2に示すように、腕時計ケース1の内部と外部とに貫通する貫通孔12が設けられている。この貫通孔12は、腕時計ケース1の内部側に位置する小径孔部12aと、腕時計ケース1の外部側に位置する大径孔部12bとを有している。この貫通孔12内には、スイッチ装置5の筒状部材7が嵌め込まれている。
この筒状部材7は、図2に示すように、貫通孔12の小径孔部12a内に嵌着して腕時計ケース1の内部に突出する小径筒部7aと、貫通孔12の大径孔部12b内に嵌着して腕時計ケース1の外部に突出する大径筒部7bとを備えている。この筒状部材7の小径筒部7aは、大径筒部7bとの段差部に設けられたロー材13の溶着によって腕時計ケース1の貫通孔12内に接合されている。
これにより、筒状部材7は、図2に示すように、ロー材13の溶着によって腕時計ケース1の外部に抜け出すことがなく、腕時計ケース1の貫通孔11内に取り付けられている。また、この筒状部材7は、ロー材13の溶着によって腕時計ケース1の貫通孔12と小径筒部7aとの間の防水性が図られている。
また、この筒状部材7の大径筒部7bにおける外周面、つまり腕時計ケース1の貫通孔12から外部に突出した箇所の大径筒部7bの外周面には、図2に示すように、ロック部9の雄ねじ部14が設けられている。また、この筒状部材7の内周面には、図2に示すように、複数のパッキン溝15が設けられており、この複数のパッキン溝15には、防水パッキン16がそれぞれ取り付けられている。
一方、操作部材8は、図2〜図5に示すように、筒状部材7の内径よりも少し小さい小径の円筒状に形成された操作軸部17と、この操作軸部17の外端部に設けられて大径の円筒状に形成された操作頭部18とを備えている。この操作頭部18は、その内部が筒状部材7に設けられたロック部9の雄ねじ部14の外径とほぼ同じ大きさの中空状に形成されている。
この操作頭部18は、図2に示すように、その内部の軸方向の長さ(深さ)が、筒状部材7の大径筒部7bにおける腕時計ケース1から外部に突出した部分の長さよりも少し長く形成されている。また、この操作頭部18における腕時計ケース1側に位置する内周面には、筒状部材7に設けられたロック部9の雄ねじ部14が螺合する雌ねじ部19が設けられている。この雌ねじ部19は、操作部材8が腕時計ケース1に向けて押し込まれた際に、雄ねじ部14に螺合するように構成されている。
これにより、ロック部9は、図2および図5に示すように、筒状部材7の外周面に設けられた雄ねじ部14と、操作頭部18の内周面に設けられた雌ねじ部19とからなり、操作部材8が腕時計ケース1内に向けて押し込まれて雌ねじ部19が雄ねじ部14に接近した際に、操作頭部18の回転によって雌ねじ部19が雄ねじ部14に螺合し、操作部材8を押し込んだ状態でロックするように構成されている。
また、この操作頭部18における腕時計ケース1側に位置する外周部には、図2および図5に示すように、環状の取付鍔部20が径方向に突出して設けられている。また、この操作頭部18における腕時計ケース1の外部側に位置する外端部には、頭壁部21が設けられている。この頭壁部21の外面には、操作頭部18の外径よりも小さい円柱状の突起部22が形成されている。
操作軸部17は、図2〜図5に示すように、筒状部材7の内部に挿入する円筒状の部分であり、操作頭部18の内面における中心部に腕時計ケース1側に向けて突出して設けられている。この操作軸部17は、筒状部材7の長さよりも少し短い長さで形成されている。これにより、操作軸部17は、操作部材8が押し込まれてロック部9でロックされた状態のときに、筒状部材7内から腕時計ケース1の内部に突出しないように構成されている。
この操作軸部17の内部には、図2および図5に示すように、操作頭部18から腕時計ケース1側に向けて突出する箇所に設けられた断面四角形状の角孔部17aと、この角孔部17aよりも操作頭部18側に設けられて角孔部17aの内面に内接して連続する断面円形状の円形孔部17bとが軸方向に沿って設けられている。
この操作軸部17の内部には、図2および図5に示すように、巻真6の先端部が軸方向に沿って移動可能に取り付けられている。すなわち、巻真6は、操作軸部17の角孔部17a内に移動可能に挿入する角棒状の連動軸部6aと、この連動軸部6aの先端に設けられて操作軸部17の円形孔部17b内に移動可能に挿入するガイド軸部6bとを備えている。
この場合、巻真6の連動軸部6aにおける先端部、つまり連動軸部6aとガイド軸部6bとの境界部には、図2および図5に示すように、ストッパ鍔部6cが径方向に突出して設けられている。このストッパ鍔部6cには、角板形状のガイドリング23が設けられている。このガイドリング23は、操作軸部17の角孔部17a内に移動可能に挿入され、この状態で操作軸部17の回転を連動軸部6aに伝達して連動軸部6aを回転させるように構成されている。
また、巻真6のガイド軸部6bは、図2および図5に示すように、円形孔部17bの内径よりも十分に細く形成されている。このガイド軸部6bの外周面と円形孔部17bの内周面との間には、コイルばね25が配置されている。このコイルばね25は、一端部が巻真6のストッパ鍔部6cに弾接し、他端部が操作軸部17の円形孔部17bの奥部(図5(a)では右端部)に弾接し、この状態で操作軸部17を筒状部材7内から押し出す方向に向けて付勢するように構成されている。
これにより、操作部材8は、図2および図5に示すように、コイルばね25のばね力に抗して操作頭部18を押し込むと、コイルばね25が巻真6のストッパ鍔部6cによって圧縮されて、巻真6の連動軸部6aが操作軸部17の角孔部17a内に相対的に押し込まれると共に、巻真6のガイド軸部6bが操作軸部17の円形孔部17b内に相対的に押し込まれ、操作頭部18が腕時計ケース1に接近するように構成されている。
また、この操作部材8は、図2および図5に示すように、巻真6のガイド軸部6bが操作軸部17の円形孔部17b内に相対的に押し込まれて、操作頭部18が腕時計ケース1に接近してロック部9によってロックされた状態で、操作軸部17に対するロック部9のロックが解除されると、コイルばね25のばね力によって操作軸部17が巻真6に対して押し出されて、操作頭部18が腕時計ケース1から外部に離れて突出するように構成されている。
さらに、この操作部材8は、図2および図5に示すように、操作頭部18が押し込まれた状態においても、また操作頭部18が押し出された状態においても、操作頭部18を回転させると、この操作頭部18と共に操作軸部17が回転し、この回転が操作軸部17の角孔部17aに挿入された巻真6の連動軸部6aにガイドリング23によって伝達され、この連動軸部6aの回転によって巻真6が回転するように構成されている。
一方、操作部材8の操作頭部18には、図3〜図5に示すように、緩衝部材10および外装部材11が取り付けられている。緩衝部材10は、ウレタンゴムやシリコーンゴム、またはエラストマなどの弾性を有する合成樹脂からなり、操作頭部18の外周面に密着する緩衝本体26を備えている。この緩衝本体26は、操作頭部18の外周面に装着する円筒形状に形成されている。
すなわち、この緩衝本体26は、図4および図5に示すように、その外形が操作頭部18の取付鍔部20に設けられた複数の取付溝20aを塞がない大きさの外径、つまり複数の取付溝20aの底部が位置する個所の円形と同じ大きさの外径に形成されている。また、緩衝本体26の外端部には、図3および図4に示すように、先端弾性突起部27が突出して形成されている。この先端弾性突起部27の外端面には、凹凸部27aが形成されている。
また、この緩衝本体26の外周面には、図3〜図5に示すように、複数の外周弾性突起部28が円周方向に沿って等間隔で形成されている。この外周弾性突起部28は、その厚みが外装部材11の厚みよりも厚く形成されている。また、この外周弾性突起部28は、緩衝本体26の外周面に軸方向に沿って形成されている。
すなわち、外周弾性突起部28は、図3〜図5に示すように、その一端部(図4では左端部)が操作頭部18の取付鍔部20に位置し、他端部(図4では右端部)が緩衝本体26の外端部から突出し、この突出した先端面が先端弾性突起部27の外端面(図4では右端面)とほぼ同じ位置になるように形成されている。
外装部材11は、図3〜図5に示すように、金属からなり、緩衝部材10の外周に装着するにように構成されている。すなわち、この外装部材11は、円筒部30の外周部に複数のスリット溝31が軸方向に沿って形成された構成になっている。この場合、円筒部30は、その一端部(図4では左端部)が操作頭部18の取付鍔部20に位置し、他端部(図4では右端部)が緩衝本体26の外端部に位置するように形成されている。
また、この円筒部30の一端部には、図4および図5に示すように、操作頭部18の取付鍔部20に設けられた複数の取付溝20aにそれぞれカシメ加工によって嵌着固定される複数の嵌着突起部30aが設けられている。また、この円筒部30の他端部には、緩衝部材10の先端弾性突起部27が挿入して外部に突出する挿入孔32が設けられている。
複数のスリット溝31は、図3〜図5に示すように、円筒部30の一端部から他端部に亘って、外周弾性突起部28の幅(円周方向の長さ)とほぼ同じ幅で形成されている。また、この複数のスリット溝31は、円筒部30の外周面にその円周方向に等間隔で形成されている。これにより、複数のスリット溝31は、緩衝部材10の外周面に外装部材11の円筒部30が装着された際に、緩衝部材10の外周面に形成された複数の外周弾性突起部28がそれぞれ挿入して円筒部30の外周面から突出するように構成されている。
ところで、操作部材8に連結された巻真6は、図2に示すように、腕時計ケース1内に設けられた時計モジュール4内に延出されて配置されている。この巻真6は、操作部材8の操作頭部18が押し込まれてコイルばね25が圧縮し、筒状部材7の雄ねじ部14に操作部材8の雌ねじ部19が螺合して、操作部材8がロックされた状態のときに、時計モジュール4のスイッチが動作しない状態を維持するように構成されている。
また、この巻真6は、図2に示すように、操作部材8の操作頭部18を回転させて筒状部材7の雄ねじ部14に対する操作部材8の雌ねじ部19の螺合が解除され、操作部材8の操作頭部18がコイルばね25のばね力によって押し出された状態のときにも、時計モジュール4のスイッチが動作しない状態を維持するように構成されている。
さらに、この巻真6は、図2に示す状態で、操作部材8に対するロック部9のロックが解除されて操作部材8が押し出され、この状態で操作部材8の操作頭部18が更に引き出されると、操作頭部18の引き出し操作に伴って引き出される方向に移動し、これにより通常の時計モードを時刻修正モードに切り替え、この状態で操作頭部18を回転させると、その回転に伴って回転し、この回転に応じて時刻修正を行うように構成されている。
次に、このような腕時計のスイッチ装置5の作用について説明する。
このスイッチ装置5を使用する場合には、図2に示す状態で、操作部材8の操作頭部18に設けられた外装部材11を摘まんで回転させる。すると、操作頭部18が緩衝部材10を介して回転し、この回転に伴って操作部材8の雌ねじ部19が回転し、操作部材8に対するロック部9のロックが解除される。
すなわち、外装部材11を摘まんで回転させると、外装部材11の嵌着突起部30aが操作頭部18の取付鍔部20の取付溝20aに嵌着していることにより、外装部材11の回転が操作頭部18に伝達されて操作頭部18が回転すると共に、操作部材8の操作軸部17も同時に回転する。
このように操作頭部18が回転すると、この操作頭部18の雌ねじ部19が回転するので、筒状部材7の雄ねじ部14に対する雌ねじ部19の螺合が解除されて、雌ねじ部19が雄ねじ部14から離脱する。これにより、操作部材8に対するロック部9によるロックが解除される。
このように、操作部材8に対するロック部9のロックが解除されると、操作部材8の操作軸部17内に設けられたコイルばね25のばね力によって操作部材8の操作軸部24が腕時計ケース1の外側に向けて押し出される。このときには、巻真6は軸方向に移動しない。このため、巻真6の連動軸部6aは、操作軸部17の移動に伴って操作軸部17内から相対的に抜け出す。また、巻真6のガイド軸部6bは、操作軸部17の移動に伴って操作軸部17の角孔部17a内に向けて相対的に移動する。
このように操作軸部17が筒状部材7内を腕時計ケース1の外側に向けて移動すると、操作頭部18が腕時計ケース1から離れて外部に突出する。この状態で、操作頭部18を回転させて巻真6を回転させても、時計モジュール4のスイッチは動作しない。そして、操作頭部18を更に引き出すと、これに伴って巻真6が引き出される。
このときには、巻真6の引き出し動作によって、時計モジュール4のスイッチが動作し、時計モードが通常の時計モードから時刻修正モードに切り替わる。この状態で、操作頭部18を回転させると、その回転に伴って巻真6が回転し、この回転に応じて時刻修正が行われる。
一方、このスイッチ装置5を使用しない場合には、図2に示すように、操作部材8の操作頭部18をコイルばね25のばね力に抗して押し込んで腕時計ケース1の外面に接近させる。すると、操作頭部18の雌ねじ部19が筒状部材7の雄ねじに14に接近して螺合可能になる。この状態で、外装部材11を回転させて操作頭部18を回転させると、操作頭部18の雌ねじ部19が筒状部材7の雄ねじに14に螺合する。これにより、操作部材8が押し込まれた状態でロック部9によってロックされる。
このように、この腕時計のスイッチ装置5によれば、貫通孔12を有する腕時計ケース1と、この腕時計ケース1の貫通孔12に取り付けられた筒状部材7と、この筒状部材7に挿入される操作軸部17および外端部の操作頭部18を有する操作部材8と、この操作部材8を腕時計ケース1に向けて押し込んだ状態でロックするロック部9と、操作部材8の操作頭部18にこれを覆って装着された緩衝部材10と、この緩衝部材10を覆って操作頭部18に対して固定され、かつ緩衝部材10の複数個所が外部に突出する外装部材11と、を備えているので、緩衝部材10によって衝撃を緩和することができ、これにより耐衝撃性を高めることができる。
すなわち、このスイッチ装置5では、操作部材8を腕時計ケース1に向けて押し込んでロック部9によってロックした状態、またはロック部9によるロックが解除されて腕時計ケース1から操作部材が押し出された状態のいずれにおいても、外装部材11が外部から衝撃を受ける際に、この外装部材11から外部に突出した緩衝部材10によって衝撃を緩和することができる。このため、外部からの衝撃が操作部材8や円筒部材7に直接加わることがないので、外部からの衝撃によって操作部材8や円筒部材7が破損するのを防ぐことができ、これにより耐衝撃性を高めることができる。
この場合、外装部材11には、その外周面から外端面に亘って複数のスリット溝31が円周方向に沿って所定間隔で設けられており、緩衝部材10には、外装部材11の複数のスリット溝31からそれぞれ外部に突出する複数の外周弾性突起部28が設けられていることにより、外装部材11が外部から衝撃を受ける際に、この外装部材11から外部に突出した緩衝部材10の複数の外周弾性突起部28によって衝撃を緩和することができ、これにより外部からの衝撃が直接、操作部材8や円筒部材7に加わらないため、外部からの衝撃による操作部材8や円筒部材7の破損を防ぐことができる。
また、この外装部材11の外周面には、緩衝部材10の複数の外周弾性突起部28が突出していることにより、外装部材11を指で摘まんで回転操作する際に、外装部材11の外周面に突出した複数の外周弾性突起部28によって指が滑らないようにすることができ、これにより操作部材8を正確にかつ良好に回転させることができるので、回転操作性の良いものを提供することができる。
また、この外装部材11には、その外端面に挿入孔32が設けられており、緩衝部材10には、外装部材11の挿入孔32から外部に突出する先端弾性突起部27が設けられていることにより、外装部材11の外端面が衝撃を受ける際に、この外装部材11の挿入孔32から外部に突出した緩衝部材10の先端弾性突起部27によって衝撃を緩和することができ、これによっても外部からの衝撃が直接、操作部材8や円筒部材7に加わらないため、外部からの衝撃による操作部材8や円筒部材7の破損を防ぐことができる。
この場合、外装部材11の挿入孔32から外部に突出した緩衝部材10の先端弾性突起部27の外端面には、凹凸部27aが形成されているので、外装部材11の外端面に指の腹を当てて回転操作する際に、凹凸部27aによって指の腹が滑らないようにすることができ、これによっても操作部材8を正確にかつ良好に回転させることができるので、より一層、回転操作性の良いものを提供することができる。
また、このスイッチ装置5では、操作部材8を腕時計ケース1に向けて押し込んだ状態でロックするロック部9を備えていることにより、操作部材8を操作しないときに、ロック部9によって操作部材8をロックすることができるので、操作部材8が勝手に腕時計ケース1の出没方向に動作しないようにすることができる。
すなわち、このロック部9は、筒状部材7に設けられた雄ねじ部14と、操作頭部18に設けられた雌ねじ部19とを備えているので、操作頭部18を腕時計ケース1に向けて押し込んで回転させるだけで、雌ねじ部19を雄ねじ部14に螺合させることにより、操作部材8を簡単にかつ確実にロックすることができる。
(第2実施形態)
次に、図6〜図9を参照して、この発明のスイッチ装置を腕時計に適用した第2実施形態について説明する。なお、図1〜図5に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計のスイッチ装置5は、図6に示すように、緩衝部材10に複数の弾性ストッパ部35を設けた構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、複数の弾性ストッパ部35は、図8および図9に示すように、緩衝部材10の緩衝本体26の一端部(図8では左端部)から腕時計ケース1の外面に向けてそれぞれ突出して設けられている。この場合、操作部材8の操作頭部18に設けられた取付鍔部20には、複数の取付溝20bが操作頭部18の外周面と同じなるように、第1実施形態の取付溝20aよりも深く切り込まれて形成されている。
これにより、複数の弾性ストッパ部35は、図6に示すように、取付鍔部20の複数の取付溝20bを通して腕時計ケース1の外面に向けて突出するように構成されている。また、複数の弾性ストッパ部35は、操作部材8の操作頭部18が腕時計ケース1に向けて押し込まれて筒状部材7の雄ねじ部14に操作頭部18の雌ねじ部19が螺合してロックされた状態のときに、腕時計ケース1の外面に弾接するように構成されている。
この場合、緩衝部材10は、図6および図9に示すように、複数の弾性ストッパ部35の先端部が腕時計ケース1の外面に弾接した状態のときに、先端弾性突起部27の内面と操作頭部18の外端面との間に隙間Sが形成されるように構成されている。すなわち、この隙間Sは、操作頭部18における外端面および操作頭部18の円柱状の突起部22の外端面に対して、先端弾性突起部27の内面が離れるように、これらの間に設けられている。
なお、この第2実施形態では、図6に示すように、筒状部材7の小径筒部7aが腕時計ケース1の貫通孔12に嵌め込まれて腕時計ケース1内に突出し、この突出した小径筒部7aにEリングなどの抜止めリング36が取り付けられ、この抜止めリング36によって筒状部材7の小径筒部7aが腕時計ケース1の貫通孔12から外部に抜け出さないように構成されている。
また、この筒状部材7の小径筒部7aの外周面には、図6に示すように、複数のパッキン溝15が設けられており、この複数のパッキン溝15には、防水パッキン16がそれぞれ取り付けられている。これにより、腕時計ケース1の貫通孔12と筒状部材7との間の防水性が図られている。また、この筒状部材7の大径筒部7bは、腕時計ケース1の外部に突出するように構成されている。
このような腕時計のスイッチ装置5によれば、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、緩衝部材10には、操作部材8がロック部9によってロックされた状態で、腕時計ケース1の外面に弾接する複数の弾性ストッパ部35が設けられていることにより、外装部材11が外部から衝撃を受けた際に、緩衝部材10の複数の弾性ストッパ部35で衝撃を吸収することができるので、第1実施形態よりも耐衝撃性を高めることができる。
すなわち、このスイッチ装置5では、操作部材8を腕時計ケース1に向けて押し込んでロック部9によってロックした状態で、外装部材11が外部から衝撃を受ける際に、この外装部材11から外部に突出した緩衝部材10の先端弾性突起部27および外周弾性突起部28によって衝撃を緩和することができると共に、この緩衝部材10の複数の弾性ストッパ部35によって衝撃を更に吸収することができる。このため、外部からの衝撃を第1実施形態よりも確実にかつ良好に吸収することができるので、外部からの衝撃による操作部材8や円筒部材7の破損を第1実施形態よりも確実に防ぐことができ、これにより、より一層、耐衝撃性を高めることができる。
この場合、緩衝部材10は、複数の弾性ストッパ部35の先端部が腕時計ケース1の外面に弾接した状態のときに、先端弾性突起部27の内面と操作頭部18の外端面との間に隙間Sが形成されていることにより、外装部材11が外部から衝撃を受けて、緩衝部材10の複数の弾性ストッパ部35が衝撃によって弾性変形した際に、先端弾性突起部27の内面と操作頭部18の外端面との間の隙間Sによって、複数の弾性ストッパ部35の弾性変形に伴う衝撃を逃がすことができ、これによっても外部からの衝撃を更に緩和することができるので、より一層、耐衝撃性を高めることができる。
(第3実施形態)
次に、図10〜図12を参照して、この発明のスイッチ装置を腕時計に適用した第3実施形態について説明する。この場合にも、図1〜図5に示された第1実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。
この腕時計のスイッチ装置5は、図11に示すように、緩衝部材10および外装部材11を操作頭部18に対して取り付けるための取付片40を備えた構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
この場合、緩衝部材10の緩衝本体26における外端面には、図11および図12に示すように、挿入孔41が設けられている。取付片40は、金属からなる円板状に形成され、操作頭部18の外端面に設けられた突起部22に螺着するように構成されている。すなわち、この取付片40は、緩衝本体26の挿入孔41および外装部材11の挿入孔32に挿入する小円形部40aと、外装部材11の挿入孔32の縁部に当接する大円形部40bとを有している。
この場合、小円形部40a内には、図11および図12に示すように、操作頭部18の突起部22に設けられた雄ねじ部42に螺合する雌ねじ部43が設けられている。また、大円形部40bの外端面には、第1実施形態と同様、凹凸部27aが設けられている。これにより、取付片40は、操作頭部18に緩衝本体26を装着させ、この緩衝本体26に外装部材11を装着させ、この状態で操作頭部18に緩衝本体26および外装部材11を取り付けるように構成されている。
すなわち、この取付片40は、図11および図12に示すように、操作頭部18に緩衝本体26を装着させ、この緩衝本体26に外装部材11を装着させ、この状態で取付片40の小円形部40aを外装部材11の挿入孔32から緩衝本体26の挿入孔41に挿入させて、小円形部40aの雌ねじ部43を操作頭部18の突起部22の雄ねじ部42に螺合させると、大円形部40bの外周部が外装部材11の挿入孔32の縁部を押え付けるように構成されている。
このような腕時計のスイッチ装置5においても、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、外端面に挿入孔41を有して操作頭部18の外周面に装着される緩衝部材10の緩衝本体26の外端面に形成された挿入孔41、および外装部材11の外端面に形成された挿入孔32を通して操作頭部18の外端部に螺合することにより、外装部材11を緩衝本体26に押し付けて操作頭部18に対して固定する取付片40とを備えているので、簡単にかつ確実に外装部材11を緩衝本体26に押し付けて操作頭部18に対して固定することができる。
すなわち、このスイッチ装置5では、取付片40が、雌ねじ部43を有する小円形部40aと、外装部材11の挿入孔32の縁部を押える大円形部40bとを備えているので、操作頭部18に緩衝本体26を装着させ、この緩衝本体26に外装部材11を装着させ、この状態で取付片40の小円形部40aを外装部材11の挿入孔32から緩衝本体26の挿入孔41に挿入させて、小円形部40aの雌ねじ部43を操作頭部18の突起部22の雄ねじ部42に螺合させると、大円形部40bの外周部が外装部材11の挿入孔32の縁部を押え付けることができるので、取付作業および分解作業が簡単にかつ容易にできる。
(第4実施形態)
次に、図13〜図15を参照して、この発明のスイッチ装置を腕時計に適用した第4実施形態について説明する。この場合にも、図1〜図5に示された第1実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。
この腕時計のスイッチ装置5は、図14に示すように、操作頭部18に外装部材11を取り付けるための取付部46を設けた構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
すなわち、取付部46は、図14および図15に示すように、操作頭部18の外端部側(図14では右端部側)に位置する外周面に形成された雄ねじ部46aと、操作頭部18の外端面に形成された凹凸部46bとを有している。緩衝部材10の緩衝本体26には、操作頭部18の取付部46が挿入する挿入孔47が設けられている。また、外装部材11の外端部(図14では右端部)には、操作頭部18の取付部46が挿入する挿入孔48が設けられている。
この挿入孔48の内周面には、図14および図15に示すように、取付部46の雄ねじ部46aが螺合する雌ねじ部48aが設けられている。これにより、操作頭部18の取付部46は、緩衝部材10の挿入孔47を通して外装部材11の挿入孔48に挿入する際に、取付部46の雄ねじ部46aが外装部材11の雌ねじ部48aに螺合するように構成されている。
すなわち、操作頭部18の取付部46は、図14および図15に示すように、操作頭部18に緩衝本体26を装着させると、雄ねじ部46aが緩衝本体26の挿入孔47に挿入して突出し、この緩衝本体26に外装部材11を装着させると、雄ねじ部46aが外装部材11の挿入孔48に対応し、この状態で外装部材11を回転させると、雄ねじ部46aが挿入孔48の雌ねじ部48aに螺合し、外装部材11が緩衝本体26を押し付けた状態で、外装部材11を操作頭部18に取り付けるように構成されている。
このような腕時計のスイッチ装置5においても、第1実施形態と同様の作用効果があるほか、操作部材8の操作頭部18が、緩衝部材10の外端面に設けられた挿入孔47を通して外装部材11に螺合する取付部46を有していることにより、第3実施形態よりも部品点数を削減することができるほか、第3実施形態よりも簡単にかつ確実に外装部材11を緩衝部材10に押し付けて操作頭部18に対して固定することができる。
すなわち、このスイッチ装置5では、操作頭部18に緩衝本体26を装着させると、取付部46の雄ねじ部46aが緩衝本体26の挿入孔47に挿入して突出し、この緩衝本体26に外装部材11を装着させると、取付部46の雄ねじ部46aが外装部材11の挿入孔48に対応し、この状態で外装部材11を回転させると、雄ねじ部46aが挿入孔48の雌ねじ部48aに螺合するので、取付部46によって外装部材11が緩衝本体26を押し付けた状態で、外装部材11を操作頭部18に取り付けることができ、これにより取付作業および分解作業が簡単にかつ容易にできる。
なお、上述した第1〜第4の各実施形態では、ロック部9が筒状部材7に設けられた雄ねじ部14と操作頭部18に設けられた雌ねじ部19とで構成されている場合について述べたが、これに限らず、例えば先行文献に記載されているように、操作頭部に取り付けられた複数の係合凸部を有するリング部材と、腕時計ケースの外部に突出した筒状部材の外周部に設けられてリング部材の係合凸部を係脱可能にロックする複数の係止溝部とを備えた簡易型のロック部であっても良い。
また、上述した第1〜第4の各実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、貫通孔を有するケースと、このケースの前記貫通孔に取り付けられた筒状部材と、この筒状部材に挿入される軸部および外端部の操作部を有する操作部材と、この操作部材の前記操作部にこれを覆って装着された緩衝部材と、この緩衝部材を覆って前記操作部に対して固定され、かつ前記緩衝部材の複数個所が外部に突出する外装部材と、を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記外装部材には、その外周面から外端面に亘って複数のスリット溝が円周方向に沿って所定間隔で設けられており、前記緩衝部材には、前記外装部材の前記複数のスリット溝内にそれぞれ挿入されて外部に突出する複数の外周弾性突起部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置において、前記外装部材の外端面には挿入孔が設けられており、前記緩衝部材には前記外装部材の前記挿入孔から外部に突出する先端弾性突起部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記操作部材を前記ケースに向けて押し込んだ状態でロックするロック部を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記緩衝部材には、前記操作部材が前記ロック部によってロックされた状態で、前記ケースの外面に弾接する弾性ストッパ部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のスイッチ装置において、前記緩衝部材と前記操作部との間には、前記操作部材の軸方向に隙間が設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記緩衝部材の外端面に形成された挿入孔、および前記外装部材の外端面に形成された挿入孔を通して、前記操作部の外端部に螺合することにより、前記外装部材を前記筒状緩衝部に押し付けて前記操作部に対して固定する取付片を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記操作部材の前記操作部は、前記緩衝部材の外端面に設けられた挿入孔を通して前記外装部材に螺合する取付部を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。