以下、異物検知センサ及び異物検知センサの製造方法の一実施形態について説明する。
図1に示すように、車両1は電動バックドア装置2を搭載している。車両1を構成する車体3の後部には、後部開口部4が形成されている。この後部開口部4は、該後部開口部4に対応した形状をなすドアパネル5によって開閉される。ドアパネル5は、その上端部が車体3の後部側面の上端部に回動可能に連結されており、車体3との連結部分を回動中心として、該ドアパネル5の下端部が上下方向に移動するように回動可能である。なお、ドアパネル5は、全閉位置と全開位置との間で移動される。全閉位置は、ドアパネル5が後部開口部4を完全に閉鎖する位置であり、全開位置は、ドアパネル5が後部開口部4を完全に開放する位置である。
図1及び図2に示すように、ドアパネル5には、アクチュエータ6を備え車体3側に配置された駆動機構(図示略)が接続されている。電動バックドア装置2では、アクチュエータ6が駆動されると、ドアパネル5が上下方向に回動されて後部開口部4を開閉するようになっている。
前記アクチュエータ6は、モータ7と、該モータ7の回転を減速して出力する減速機構(図示略)とを備えている。また、アクチュエータ6内には、モータ7の回転を検出する位置検出装置8が配置されている。位置検出装置8は、例えば、モータ7の回転軸(図示略)若しくは前記減速機構を構成する減速ギヤ(図示略)と一体回転するように設けられた磁石と、該磁石に対向配置されたホールIC(図示略)とから構成されている。そして、ホールICは、位置検出信号として、磁石の回転による該磁石の磁界の変化に応じたパルス信号を出力する。
また、電動バックドア装置2は、ドアパネル5の開閉を指示するための操作スイッチ9を備えている。操作スイッチ9は、車両1の搭乗者等によって後部開口部4を開放するように操作されると、後部開口部4を開放するようにドアパネル5を回動させる旨の開信号を出力する。一方、操作スイッチ9は、搭乗者等によって後部開口部4を閉鎖するように操作されると、後部開口部4を閉鎖するようにドアパネル5を回動させる旨の閉信号を出力する。この操作スイッチ9は、車室内の所定箇所(ダッシュボード等)、ドアパネル5のドアレバー(図示略)、イグニッションキーと共に携行される携行品(図示略)等に設けられている。
また、電動バックドア装置2は、ドアパネル5の周縁部と、後部開口部4におけるドアパネル5の周縁部と対向する周縁部との間に存在する異物を検知するための異物検知装置11を備えている。異物検知装置11は、ブラケット12を介してドアパネル5の周縁部に固定された異物検知センサ13と、異物検知センサ13に電気的に接続された検知部14とを備えている。
図3に示すように、異物検知センサ13は、長尺な紐状をなすセンサ部21を備えている。センサ部21は、長尺状をなし絶縁性及び弾性を有する中空状の中空絶縁体22と、中空絶縁体22の内部に配置された2本の電極線23,24とから構成されている。
中空絶縁体22は、弾性変形可能な絶縁性の樹脂(例えばエラストマ)により形成されている。また、中空絶縁体22の外周面は円筒状をなしている。そして、中空絶縁体22の内側には、該中空絶縁体22の長手方向に沿って延びる中空孔22aが形成されている。この中空孔22aは、その内周面に、中空絶縁体22の長手方向と直交する断面において周方向の4箇所に外周側に向かって凹設された離間凹部22bを有する。そして、中空孔22aは、4つの離間凹部22bがそれぞれ螺旋状となるように中空絶縁体22の長手方向に沿って延びている。中空絶縁体22は、この中空孔22aを有することにより中空状をなしている。
また、中空絶縁体22の内部には、中空絶縁体22にて保持される2本の電極線23,24が互いに離間して対向配置されている。各電極線23,24は、長尺な紐状をなしている。そして、各電極線23,24は、導電性細線を撚り合わせて形成され可撓性を有する中心電極25と、導線性及び弾性を有し中心電極25の外周を被覆する環状の導電被覆層26とから構成されている。これら2本の電極線23,24は、中空絶縁体22の内側で、周方向に並ぶ4つの前記離間凹部22bの間であって、電極線23と電極線24との間に離間凹部22bが2つずつ介在される位置に配置されている。更に、2本の電極線23,24は、中空絶縁体22の内側に周方向に等角度間隔(本実施形態では180°間隔)に配置されるとともに、互いの間隔(周方向の間隔)を一定に維持したまま、螺旋状に延びる離間凹部22bに沿って中空絶縁体22の長手方向に螺旋状に延びている。また、電極線23,24は、その一部が中空絶縁体22の内側で同中空絶縁体22に埋設されることにより、同中空絶縁体22によって保持されている。そして、2本の電極線23,24は、中空絶縁体22の長手方向の何れの位置においても中空孔22aを介して中空絶縁体22の長手方向と直交する方向(即ち中空絶縁体22の直径方向)に対向している。
ここで、図2に示すように、中空絶縁体22の長手方向の一端部(図2において左側の端部)を第1端部22cとし、他端部(図2において右側の端部)を第2端部22dとする。図2及び図3に示すように、中空絶縁体22の第1端部22cから、2本の電極線23,24の中心電極25がそれぞれ引き出されるとともに、これらの2本の中心電極25間に抵抗器28が電気的に接続されている。即ち、2本の電極線23,24は、中空絶縁体22の第1端部22c側で抵抗器28を介して電気的に接続されている。
また、図1に示すように、中空絶縁体22の第2端部22dには端末部31が設けられている。図5(a)及び図5(b)に示すように、端末部31は、中空絶縁体22の第2端部22dと隣り合うように配置される支持部材32と、支持部材32にて支持される2つのターミナル33と、ターミナル33等を内部に封止した封止部34とを備えている。
支持部材32は絶縁性の樹脂にて形成されている。支持部材32は、ターミナル支持部41と、ターミナル支持部41に一体的に形成されたスペーサ42とを備えている。
前記ターミナル支持部41は長方形の板状をなしている。ターミナル支持部41の長手方向の長さは、中空絶縁体22の外径よりも長くなっている。そして、ターミナル支持部41は、その厚さ方向の両端面にそれぞれ前記ターミナル33を支持している。
各ターミナル33は、導電性を有する金属板材から形成され、長方形の板状をなしている。各ターミナル33の長手方向の長さは、ターミナル支持部41の長手方向の長さと略等しく形成されるとともに、各ターミナル33の短手方向の長さは、ターミナル支持部41の短手方向の長さと略等しく形成されている。また、2つのターミナル33は、それぞれその長手方向、短手方向及び厚さ方向が、ターミナル支持部41の長手方向、短手方向及び厚さ方向と一致するように、同ターミナル支持部41の厚さ方向の両端面に配置されている。更に、2つのターミナル33は、ターミナル支持部41の厚さ方向から見て(即ち図5(b)に示す状態)、該ターミナル支持部41の外形の範囲内に収まるように同ターミナル支持部41の両端面に配置されている。そして、ターミナル支持部41は、2つのターミナル33を互いに絶縁し当該2つのターミナル33同士がその厚さ方向に重なる二重構造をなすように支持している。
ターミナル支持部41の長手方向の一端部には、同ターミナル支持部41の短手方向の一方側に突出した案内部43が一体に形成されている。更に、案内部43の先端部に前記スペーサ42が一体に形成されている。スペーサ42は、ターミナル支持部41の短手方向に沿って案内部43の先端中央から突出するとともに、円柱状をなしている。また、スペーサ42の直径は、中空絶縁体22の内側で互いに対向する電極線23,24間の隙間の幅と略等しく形成されている。図3及び図5(a)に示すように、支持部材32は、中空絶縁体22の第2端部22d側から中空孔22aにスペーサ42が挿入された状態で中空絶縁体22に対して組み付けられている。第2端部22d側から中空孔22a(中空絶縁体22の内部)に挿入されたスペーサ42は、第2端部22dで2本の電極線23,24間に介在されて当該電極線23,24同士の接触を防止している。
図5(b)に示すように、スペーサ42を中空孔22aに挿入することにより中空絶縁体22に取り付けられた支持部材32において、ターミナル支持部41における案内部43が設けられた側と反対側の長手方向の端部は、中空絶縁体22の外周側に突出している。そして、ターミナル支持部41に支持された2つのターミナル33は、その短手方向がセンサ部21の長手方向と一致するように、且つその長手方向がセンサ部21の長手方向と直交するように中空絶縁体22の第2端部22dと隣り合って配置されている。
図3及び図4に示すように、センサ部21における第2端部22d側の長手方向の端部から電極線23,24の中心電極25がそれぞれ引き出されている。センサ部21における第2端部22d側の長手方向の端部から引き出された2本の電極線23,24の中心電極25はターミナル支持部41の厚さ方向の両側に配置されている。そして、ターミナル支持部41の厚さ方向の両側で、それぞれ対向するターミナル33と中心電極25とが電気的に接続されている。詳しくは、2本の中心電極25は、案内部43におけるターミナル支持部41の厚さ方向の両側を通ってそれぞれターミナル33上に配置されている。そして、センサ部21における第2端部22d側の長手方向の端部から引き出された電極線23,24の中心電極25の先端部には、それぞれアーク溶接(例えばTIG溶接)にて溶接玉51が形成されている。センサ部21における第2端部22d側の長手方向の端部から引き出された電極線23,24の中心電極25は、各々の溶接玉51が抵抗溶接にてターミナル33に接続されることにより、ターミナル33に電気的及び機械的に固定されている。各ターミナル33と各電極線23,24の中心電極25との接続部分である接続部52は、センサ部21の長手方向の端部(第2端部22d)とセンサ部21の長手方向に隣り合う各ターミナル33の長手方向の一端側に形成されている。
また、図4及び図5(b)に示すように、各ターミナル33には、それぞれリード線61,62が電気的に接続されている。各リード線61,62は、導電性を有する金属線63を絶縁性の絶縁被膜64にて被覆してなる被覆導線である。各リード線61,62の先端部は、絶縁被膜64が除去されて金属線63が露出している。2本のリード線61,62の先端部(金属線63が露出した部分)は、ターミナル支持部41の厚さ方向の両側に配置され、それぞれターミナル支持部41の厚さ方向の両端部に配置されたターミナル33とターミナル支持部41の厚さ方向に隣り合っている。また、リード線61,62の先端部において露出した金属線63の先端部には、それぞれアーク溶接(例えばTIG溶接)にて溶接玉66が形成されている。リード線61,62の先端部において露出した金属線63は、各々の溶接玉66が抵抗溶接にてターミナル33に接続されることにより、ターミナル33に電気的及び機械的に固定されている。そして、各ターミナル33と各リード線61,62との接続部分であるリード線接続部67は、各ターミナル33において接続部52からセンサ部21の長手方向と直交する方向に沿って中空絶縁体22の外周側へずれた位置に形成されている。なお、本実施形態では、一方のターミナル33(図4において右側のターミナル33)と該ターミナル33に電気的に接続されたリード線61とが接続部材S1を構成している。また、他方のターミナル33(図4において左側のターミナル33)と該ターミナル33に電気的に接続された他方のリード線62とが接続部材S2を構成している。そして、電極線23と接続部材S1との接続部分、及び電極線24と接続部材S2との接続部分がそれぞれ前記接続部52となっている。
図5(a)及び図5(b)に示すように、前記封止部34は、支持部材32における中空絶縁体22の外部に配置された部分、ターミナル33、接続部52、リード線接続部67、及び中空絶縁体22の第2端部22dを内部に埋設して封止している。封止部34は、2つのターミナル33に直接固定された移動抑制部70と、移動抑制部70の外側に形成された端末被覆部80とから構成されている。
図4及び図5(b)に示すように、移動抑制部70は、絶縁性の樹脂にて形成されている。本実施形態の移動抑制部70は、ウレタン系の樹脂母材を含む樹脂にて形成されている。この移動抑制部70は、ターミナル33を埋設したターミナル保持部71と、ターミナル保持部71から突出した一対の突出部72とを備えている。
ターミナル保持部71は長方形の板状をなしている。ターミナル保持部71の短手方向の幅は、ターミナル支持部41の長手方向(図5(b)において上下方向)の長さよりも長く形成されている。また、ターミナル保持部71の厚さは、ターミナル支持部41の厚さよりも厚く形成されている。そして、ターミナル保持部71は、ターミナル支持部41にて支持された2つのターミナル33を内部に埋設して保持している。ターミナル保持部71の内部において、2つのターミナル33を支持したターミナル支持部41は、ターミナル保持部71の厚さ方向の中央部、且つターミナル保持部71の長手方向の中央部に位置する。また、ターミナル保持部71は、接続部52及びリード線接続部67を内部に埋設している。このターミナル保持部71の長手方向(図4及び図5(b)において上下方向)の両端面は、ターミナル33の板厚方向と平行な平面状をなす平面方向当接面73となっている。各平面方向当接面73は、各ターミナル33と直角をなしている。
前記一対の突出部72は、ターミナル保持部71の長手方向の中央部からターミナル保持部71の厚さ方向(即ちターミナル33の板厚方向に同じ)の両側に突出している。そして、各突出部72は直方体形状をなしている。また、各突出部72におけるターミナル保持部71の短手方向の幅は、ターミナル保持部71の短手方向の幅と等しく形成されている。更に、各突出部72におけるターミナル保持部71の長手方向の長さは、ターミナル保持部71の長手方向の長さよりも短く形成されている。また、各突出部72の先端面は、ターミナル33と平行な平面状、即ちターミナル33の板厚方向と直交する平面状をなす板厚方向当接面74となっている。移動抑制部70は、2つのターミナル33に対してターミナル33の板厚方向の両側に板厚方向当接面74を有する。
前記端末被覆部80は絶縁性の樹脂にて形成されている。本実施形態の端末被覆部80の樹脂母材は、移動抑制部70と同系統のウレタン系の樹脂である。端末被覆部80は、接続部被覆部81と、中空絶縁体22の第2端部22dを被覆するセンサ被覆部82と、リード線61,62の先端側の部分を被覆するリード線被覆部83とから構成され、移動抑制部70における平面方向当接面73及び板厚方向当接面74を除く部分を被覆している。
接続部被覆部81は、直方体形状をなし、中空絶縁体22の第2端部22dを埋設しつつ、中空絶縁体22の第2端部22d側の端面に一体に形成されている。接続部被覆部81は、移動抑制部70を埋設することにより、2つのターミナル33、ターミナル支持部41、接続部52及びリード線接続部67を内部に埋設して封止している。また、接続部被覆部81は、案内部43を内部に埋設して封止している。そして、接続部被覆部81における中空絶縁体22の第2端部22d側の端部は、同第2端部22dに液密且つ気密に密着している。また、平面方向当接面73及び板厚方向当接面74は、接続部被覆部81の表面と面一となっており、接続部被覆部81の外部に露出している。
前記センサ被覆部82は、中空絶縁体22の第2端部22dの外周面を被覆する円筒状をなし、接続部被覆部81と一体に形成されている。また、センサ被覆部82は、中空絶縁体22の外周面に液密且つ気密に密着している。
前記リード線被覆部83は、接続部被覆部81におけるセンサ部21側の側面から突出し、2本のリード線61,62の先端部付近を内部に埋設して封止している。リード線被覆部83は、リード線61,62の外周面に液密且つ気密に密着している。
そして、封止部34のリード線被覆部83から延びる2本のリード線61,62は、ドアパネル5の内部に引き込まれている。図2に示すように、ドアパネル5の内部に引き込まれた2本のリード線61,62のうち一方のリード線61は、同ドアパネル5の内部で検知部14に電気的に接続されている。更に、他方のリード線62は、ドアパネル5の内部でグランドGNDに接続(即ち車体3に接地)されている。従って、一方の電極線23は、リード線61を介して検知部14に接続され、他方の電極線24は、リード線62を介してグランドGNDに接続(即ち車体3に接地)されている。
図1及び図2に示すように、前記検知部14はドアパネル5の内部に配置されている。この検知部14は、電極線23に電流を供給している。そして、センサ部21に押圧力等の外力が加えられていない通常の状態では、検知部14から電極線23に供給される電流は、抵抗器28を介して電極線23に流れる。一方、センサ部21を潰すような外力がセンサ部21に加えられると、センサ部21において外力が加えられた部位の中空絶縁体22が弾性変形するとともに該中空絶縁体22の弾性変形に伴って電極線23,24が撓曲し、電極線23と電極線24とが接触して短絡される。すると、検知部14から電極線23に供給される電流は、抵抗器28を介さずに電極線24に流れることになる。従って、例えば、一定の電圧で電極線23に電流を供給している場合には電流値が変化するため、検知部14は、このときの電流値の変化を検知することにより、センサ部21に接触した異物を検知する。そして、検知部14は、この電流値の変化を検知すると、即ちセンサ部21に接触した異物を検知すると、後述のドアECU91に異物検知信号を出力する。なお、センサ部21に対する外力が取り除かれると、中空絶縁体22が復元し、電極線23,24も復元して非導通状態となる。
また、電動バックドア装置2は、ドアパネル5の内部に前記アクチュエータ6によるドアパネル5の開閉作動を制御するドアECU91を備えている。ドアECU91は、ROM(Read only Memory)、RAM(Random access Memory)等を備えマイクロコンピュータとしての機能を有するとともに、車両1のバッテリ(図示略)から電源の供給を受けている。また、ドアECU91は、該ドアECU91に電気的に接続された検知部14に電流を供給している。そして、ドアECU91は、操作スイッチ9、位置検出装置8及び検知部14から入力される各種信号に基づいてアクチュエータ6を制御する。
次に、上記のように構成された電動バックドア装置2の動作を説明する。
ドアECU91は、操作スイッチ9から開信号が入力されると、ドアパネル5を開作動させるべくアクチュエータ6を駆動する。なお、ドアECU91は、位置検出装置8から入力される位置検出信号に基づいてドアパネル5の回動位置を認識している。本実施形態では、ドアECU91は、位置検出信号のパルス数をカウントし、そのカウント値に基づいてドアパネル5の回動位置を認識している。そして、ドアパネル5が全開位置に配置されると、ドアECU91はアクチュエータ6を停止する。
一方、操作スイッチ9から閉信号が入力されると、ドアECU91は、ドアパネル5を閉作動させるべくアクチュエータ6を駆動する。そして、ドアパネル5が全閉位置に配置されると、ドアECU91はアクチュエータ6を停止する。なお、ドアパネル5の閉作動中に、異物によって異物検知センサ13のセンサ部21に外力が加えられると、中空絶縁体22が弾性変形されることにより電極線23と電極線24とが接触して短絡される。その結果、電極線23に供給する電流の電流値が変化するため、検知部14がドアECU91に異物検知信号を出力する。ドアECU91は、異物検知信号が入力されると、アクチュエータ6を反転させてドアパネル5を所定量だけ開作動させた後にアクチュエータ6を停止する。
次に、上記した異物検知センサ13の製造方法を作用と合わせて説明する。
図6(a)及び図6(b)に示すように、接続部材S1,S2に電極線23,24を接続して接続部52を形成する導通工程を行う。導通工程では、センサ部21における第2端部22d側の長手方向の端部から引き出された一方の電極線23の中心電極25の先端部にアーク溶接(例えばTIG溶接)にて形成された溶接玉51を、抵抗溶接にて一方の接続部材S1を構成するターミナル33に接続する。同様に、センサ部21における第2端部22d側の長手方向の端部から引き出された他方の電極線24の中心電極25の先端部にアーク溶接(例えばTIG溶接)にて形成された溶接玉51を、抵抗溶接にて他方の接続部材S2を構成するターミナル33に接続する。これにより、センサ部21における第2端部22d側の長手方向の端部から引き出された電極線23,24の中心電極25は、異なるターミナル33に電気的及び機械的に固定される。同時に、接続部材S1と電極線23との接続部分である接続部52、及び接続部材S2と電極線24との接続部分である接続部52が形成される。なお、電極線23,24とリード線61,62とは、何れが先にターミナル33に接続されてもよい。
次に、図7(a)及び図7(b)に示すように、移動抑制部70を設ける移動抑制部設置工程を行う。本実施形態では、移動抑制部70は、支持部材32にて支持された2つのターミナル33に、ウレタン系の樹脂母材を含む樹脂にて一体成形される。これにより、移動抑制部70は、2つのターミナル33に直接固定されている。また、本実施形態の移動抑制部設置工程で形成される移動抑制部70は、平面方向当接面73を有するターミナル保持部71及び板厚方向当接面74を有する一対の突出部72に加えて、ターミナル保持部71から突出した2つの被挟持部75を有する。2つの被挟持部75は、ターミナル支持部41の長手方向の両端、即ち平面方向当接面73からターミナル支持部41の長手方向(ターミナル33の長手方向に同じ)に突出している。そして、各被挟持部75は、その板厚方向がターミナル33の板厚方向と同方向となる四角形の平板状をなしている。また、各被挟持部75は、ターミナル支持部41の厚さ方向の中央部に設けられている。
次に、図8(a)及び図8(b)に示すように、接続部52等を封止する封止部34を形成する封止工程を行う。ここで、封止工程で使用する成形型100について説明する。成形型100は、互いに合わされる第1金型101と第2金型102とを有する。第1金型101には第1成形凹部101aが凹設されるとともに、第2金型102には第2成形凹部102aが凹設されている。そして、第1金型101と第2金型102とを合わせると、第1成形凹部101a及び第2成形凹部102aの内周面(即ち成形型100の内面)は、封止工程において形成する封止部34の外形形状と略等しい形状となる。そして、第1成形凹部101a及び第2成形凹部102aの内部空間は、封止部34を形成するための樹脂が充填されるキャビティ103となっている。また、成形型100には、キャビティ103に連通するゲート104が形成されている。
そして、封止工程では、射出成形により端末被覆部80を形成することにより移動抑制部70と端末被覆部80とから構成される封止部34を形成する。まず、支持部材32にて支持されたターミナル33、ターミナル33に一体成形された移動抑制部70、接続部52、リード線接続部67、センサ部21におけるターミナル33側の端部、リード線61,62の先端部をキャビティ103に配置する。このとき、第1成形凹部101a及び第2成形凹部102aの内周面(即ち成形型100の内面)にターミナル保持部71の長手方向の両端の平面方向当接面73をそれぞれ当接させて面接触させる。また、2つのターミナル33の板厚方向の一方側(図8(b)において左側)で一方の板厚方向当接面74を第1成形凹部101aの内周面に当接させて面接触させるとともに、2つのターミナル33の板厚方向の他方側(図8(b)において右側)で他方の板厚方向当接面74を第2成形凹部102aの内周面に当接させて面接触させる。更に、第1金型101と第2金型102とによってターミナル33の板厚方向から2つの被挟持部75を挟持する。従って、移動抑制部70は、成形型100に対して移動することが抑制される。そのため、2つの接続部52は、平面方向当接面73及び板厚方向当接面74が成形型100の内面に当接し且つ被挟持部75が第1金型101及び第2金型102によって挟持された移動抑制部70によって、成形型100内での移動が抑制される。
その後、端末被覆部80を形成するための溶融した樹脂をゲート104からキャビティ103に射出し、キャビティ103に同樹脂を充填する。本実施形態では、この樹脂の樹脂母材は、移動抑制部70と同系統のウレタン系の樹脂である。なお、このとき、端末被覆部80となる樹脂がキャビティ103に射出されても、各接続部52の成形型100内での移動は移動抑制部70によって抑制される。そして、キャビティ103内の樹脂が冷却されて硬化することにより、移動抑制部70における平面方向当接面73、板厚方向当接面74及び被挟持部75を除く部分を被覆する端末被覆部80が形成される。同時に、接続部52を封止する封止部34が形成される。
次に、図9に示すように、2つの被挟持部75を除去する除去工程を行う。移動抑制部70において、封止部34の外部に突出している2つの被挟持部75(図9においては2点鎖線で図示している)をその基端において切断する。これにより、異物検知センサ13が完成する。
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)封止工程において、移動抑制部70の平面方向当接面73及び板厚方向当接面74が成形型100の内面に当接することにより、形成される封止部34(端末被覆部80)から露出するほどに大きく接続部52が成形型100内で移動することが抑制される。従って、封止部34から接続部52が露出することを抑制することができる。
(2)移動抑制部設置工程において、移動抑制部70は、接続部材S1,S2を構成し電極線23,24が電気的及び機械的に接続されるターミナル33に樹脂にて一体成形される。そのため、移動抑制部70を異物検知センサ13に設けるために、移動抑制部70をターミナル33に組み付ける等の手作業を行わなくてもよい。従って、異物検知センサ13に移動抑制部70を設けたことに伴う工数の増加及び部品点数の増加を抑制することができる。また、異物検知センサ13を構成する他の部材に移動抑制部70を設ける場合に比べて、成形型100内での接続部52の移動をより抑制しやすい。従って、封止部34から接続部52が露出することをより抑制することができる。
(3)移動抑制部70と端末被覆部80とは、同系統の樹脂母材を含む樹脂にて形成される。そのため、移動抑制部70と封止工程で形成された端末被覆部80とが良好に密着する。従って、接続部52を封止部34の内部に液密且つ気密に封止しやすい。
(4)移動抑制部70は、2つのターミナル33の板厚方向の両側に板厚方向当接面74を有する。そのため、封止工程において、接続部材S1を構成するターミナル33及び接続部材S2を構成するターミナル33に対してこれらターミナル33の板厚方向の両側に位置する板厚方向当接面74を成形型100の内面に当接させることで、ターミナル33の板厚方向への同ターミナル33の移動を良好に抑制することができる。その結果、成形型100内でターミナル33の板厚方向に接続部52が移動することが抑制され、封止部34から接続部52が露出することを更に抑制することができる。
(5)ターミナル33、接続部52及びリード線接続部67が移動抑制部70に埋設されている。そのため、封止工程において、万が一ターミナル33が大きく位置ずれした場合であっても、ターミナル33、接続部52及びリード線接続部67がが封止部34の外部に露出することを防止できる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の移動抑制部設置工程において形成される移動抑制部70は、被挟持部75を有する。しかしながら、図10(a)及び図10(b)に示す移動抑制部111のように、被挟持部75を備えないものであってもよい。この場合、成形型120は、被挟持部75を収容する凹部を備えない第1金型121と、第2金型102とを有する。
・上記実施形態では、移動抑制部70は、2つの平面方向当接面73及び2つの板厚方向当接面74を有する。しかしながら、移動抑制部70は、必ずしも平面方向当接面73及び板厚方向当接面74の両方を備えたものでなくてもよい。例えば、図11(a)及び図11(b)に示す移動抑制部131は、板厚方向当接面74を備えず、2つの平面方向当接面73のみを備えている。このようにしても、封止工程において、移動抑制部131の平面方向当接面73が成形型120の内面に当接することにより、形成される封止部34から露出するほどに大きく接続部52が成形型100内で移動することが抑制される。従って、封止部34から接続部52が露出することを抑制することができる。
また、移動抑制部70は、平面方向当接面73を備えず、2つの板厚方向当接面74のみを備えた構成であってもよい。この場合、移動抑制部70の長手方向の両端は、成形型120の内面に当接しない。このようにしても、封止工程において、移動抑制部70の板厚方向当接面74が成形型120の内面に当接することにより、形成される封止部34から露出するほどに大きく接続部52が成形型100内で移動することが抑制される。従って、封止部34から接続部52が露出することを抑制することができる。
また、移動抑制部70が有する当接面は、平面方向当接面73及び板厚方向当接面74に限らない。当接面は、成形型100(若しくは成形型120)の内面に当接して接続部52の成形型100(若しくは成形型120)内での移動を抑制できるものであればよい。例えば、当接面は、ターミナル33の板厚方向と90°以外の角度をなす平面状をなすものや、成形型100(若しくは成形型120)の内面の一部に対応した曲面状をなすものであってもよい。このようにしても、封止工程において、移動抑制部70の当接面が成形型100(若しくは成形型120)の内面に当接することにより、形成される封止部34から露出するほどに大きく接続部52が成形型100(若しくは成形型120)内で移動することが抑制される。従って、封止部34から接続部52が露出することを抑制することができる。
・上記実施形態では、移動抑制部70及び端末被覆部80は、ウレタン系の樹脂母材を含む樹脂にて形成されているが、移動抑制部70及び端末被覆部80を形成する樹脂はこれに限らない。
・上記実施形態では、移動抑制部70と端末被覆部80とは、同系統の樹脂母材を含む樹脂にて形成される。しかしながら、移動抑制部70と端末被覆部80との樹脂母材は、異なる系統の樹脂であってもよい。この場合、移動抑制部70を構成する樹脂と端末被覆部80を構成する樹脂とは、液密且つ気密に密着するものであることが好ましい。
・上記実施形態では、移動抑制部70は、ターミナル33に樹脂にて一体成形される。しかしながら、移動抑制部70は、ターミナル33とは別体で形成されターミナル33に装着されてもよい。このようにしても、異物検知センサ13を構成する他の部材に移動抑制部70を設ける場合に比べて、成形型100内での接続部52の移動をより抑制しやすい。従って、封止部34から接続部52が露出することをより抑制することができる。また、成形型100内での接続部52の移動を抑制する移動抑制部70を容易に異物検知センサ13に設けることができる。
・上記実施形態では、移動抑制部70はターミナル33に設けられる。しかしながら、成形型100の内面に当接する複数の当接面(例えば平面方向当接面73及び板厚方向当接面74)を有する移動抑制部は、直接若しくは間接的にターミナル33に固定されるのであれば、ターミナル33以外で異物検知センサ13を構成する部品に設けられてもよい。例えば、移動抑制部は、ターミナル33を支持する支持部材32に設けられ、同支持部材32を介してターミナル33に間接的に固定されるものであってもよい。このようにしても、封止工程において、支持部材32に設けられた移動抑制部の当接面が成形型100の内面に当接することにより、形成される封止部34から露出するほどに大きく接続部52が成形型100内で移動することが抑制される。従って、封止部34から接続部52が露出することを抑制することができる。
・上記実施形態では、接続部材S1は、一方のターミナル33とリード線62とから構成され、接続部材S2は、他方のターミナル33とリード線62とから構成されている。しかしながら、センサ部21の端部から引き出された電極線23,24が接続される接続部材の構成はこれに限らない。例えば、接続部材S1がリード線61のみから構成されるとともに、接続部材S2がリード線62のみから構成されるものであってもよい。この場合、異物検知センサ13はターミナル33を備えない。また、センサ部21の長手方向の端部に給電コネクタが接続される場合には、給電コネクタのコネクタ端子が接続部材となる。この場合、封止部34は、この給電コネクタとセンサ部21との接続部分を被覆するように設けられ、コネクタ端子と電極線23,24との接続部分である接続部を封止する。そして、封止部34を形成するための成形型の内面に当接する移動抑制部は、コネクタ端子に対して直接若しくは間接的に固定され、電極線23,24とコネクタ端子との接続部分である接続部の成形型内での移動を抑制する。
・上記実施形態の導通工程では、抵抗溶接にて電極線23,24及びリード線61,62をターミナル33に接続している。しかしながら、電極線23,24及びリード線61,62は、電気的及び機械的にターミナル33に接続されるのであれば、抵抗溶接以外の方法(半田付け、ターミナル33に形成された挟持片で挟持する等)でターミナル33に接続されてもよい。
・上記実施形態では、センサ部21は、電極線23及び電極線24の2本の電極線を有する。しかしながら、センサ部21が有する電極線の本数はこれに限らず、1本以上であればよい。この場合、電極線の本数に応じて、異物検知センサ13に備えられる接続部材の数も変更される。
・異物検知センサ13は、電動バックドア装置2以外に、モータ等の駆動力によって開閉体を移動させて車両に設けられた開口部を開閉する開閉装置に設けられてもよい。この場合、異物検知センサ13は、開閉体の周縁部、若しくは開口部の周縁部に配置される。例えば、異物検知センサ13は、ドアパネルをスライド移動させて車両の側面に設けられた乗降口を開閉する電動スライドドア装置に用いられてもよい。また、異物検知センサ13は、ウインドガラスを昇降させて車両の側面に設けられた開口部を開閉するパワーウインド装置に備えられてもよい。また、異物検知センサ13は、車両の天井部に設けられた開口部を開閉するサンルーフ装置に設けられてもよい。