JP6417843B2 - 吸水性ポリマーシートの製造方法 - Google Patents
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Description
式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマーを含有する光硬化性樹脂組成物の水分量を5〜40質量%に調整する、光硬化性樹脂組成物の水分量調整工程、水分量が調整された光硬化性樹脂組成物を、巻き出しロールから引き出された支持シート上に塗布することにより含水光硬化性膜を形成する、含水光硬化性膜形成工程、
含水光硬化性膜に対し紫外線を照射して光硬化させることにより支持シート上に吸水性ポリマーシートを形成する、紫外線照射工程、及び
吸水性ポリマーシートを、支持シートごと巻き取りロールに巻き取る、吸水性ポリマーシート巻き取り工程を有する製造方法を提供する。
本発明の吸水性ポリマーシートの製造方法においては、まず、式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマーを含有する光硬化性樹脂組成物の水分量を5〜40質量%に調整する。光硬化性樹脂組成物の水分量を調整する具体的手法としては、配合する各成分が含有している水分量を考慮し、樹脂組成物に水を加えたり、逆に無水のモノマーやオリゴマーあるいはポリマーを加えたりすることで調整することができる。なお、配合成分がもともと含有している水分量が5〜40質量%の範囲内である場合、水や無水物質を敢えて加えないという消極的な調整方法を採用してもよい。
光硬化性樹脂組成物は、式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマーを含有する。式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマーの光硬化性樹脂組成物中の含有量は、ポリマーシートに高い吸水性を実現するために、好ましくは7.5質量%以上、より好ましくは15質量%以上に調整する。
光硬化性樹脂組成物は、更に親水性モノマーを含有することができる。親水性モノマーは、好ましくは単官能モノマーであり、吸水性ポリマーシートのシート硬さやタック性および吸水性を制御するために用いられている。ここで、親水性モノマーとは、本発明においては電荷を有するモノマー乃至は極性の高い置換基を含むモノマーである。溶解度パラメータ(SP値)の観点からは、SP値が19以上を示すモノマーを意味している。
光硬化性樹脂組成物は、更に、架橋剤として機能する多官能(メタ)アクリレートモノマーを含有することができる。
光硬化性樹脂組成物には、更に、光重合開始剤、特に光ラジカル重合開始剤を含有させることができ、光硬化反応させることで透明な吸水性ポリマーシートを得ることができる。このような光ラジカル重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アニソールメチルエーテルなどのベンゾイン類、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(ダロキュアー2959;BASFジャパン(株)製)、α−ヒドロキシ−α、α'−ジメチルアセトフェノン(ダロキュアー1173;BASFジャパン(株)製)、メトキシアセトフェノン、2,2'−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(イルガキュアー651;BASFジャパン(株)製)、2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン(イルガキュアー184;BASFジャパン(株)製)、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−4'−イソプロピル−2−メチルプロピオフェノンなどのプロピオフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフニノンなどのベンゾフェノン類、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどのチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4−ジ−n−ブトキシフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド類、ベンジル、ジベンゾスベロン、α−アシルオキシムエステルなどが挙げられる。
光硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、透明な熱可塑性樹脂、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、染料、水溶性抗菌剤等を含有することができる。なお、光硬化性樹脂組成物には、有機溶媒を配合しないことが好ましい。
水分量が5〜40質量%に調整された光硬化性樹脂組成物を、巻き出しロールから引き出された支持シート上に塗布することにより含水光硬化性膜を形成する。塗布の方法としては、公知の手法を採用することができ、例えば、カレンダー法やバーコータ法等を実施可能な「塗布ユニット」を有する製造装置を使って塗布することができる。
支持シート上に積層された含水光硬化性膜に対し紫外線を照射して光硬化させることにより支持シート上に吸水性ポリマーシートを形成する。
次に、吸水性ポリマーシートを、支持シートごと巻き取りロールに巻き取る。これによりロール状に巻かれた吸水性ポリマーシートを得ることができる。
<吸水性ポリマーシート>
このように製造された吸水性ポリマーシートは、式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマー単位と親水性モノマー単位とを含有し、良好な透明性を示すものである。ここで、吸水性とは、シートの自重の50質量%以上の吸水率を示すことを意味する。また、透明性とは、JIS K7136に準拠して測定されたヘイズ度が8%以下、好ましくは5%以下であることを意味する。
(光硬化性樹脂組成物の調製)
表1の配合(質量部)の成分を回転翼式撹拌機(スリーワンモーター、新東科学(株))を用いて均一に混合して、光硬化性樹脂組成物を調製した。なお、表1の配合のうち、式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマーは、含水量が25質量%のジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル塩(興人フィルム&ケミカルズ(株))を使用した。
この光硬化性樹脂組成物を、バーコータ法の塗布ユニットを有し、且つロールツーロール方式を採用したシート製造装置の巻き出しロールから巻き出された支持シート(38μm厚の剥離処理ポリエチレンテレフタレートフィルム(38GS、リンテック(株)))に、前述の塗布ユニットを用いて200μm厚に塗布し、含水光硬化性層を形成した。その上に支持シートと同様の剥離処理ポリエチレンテレフタレートフィルムを保護シートとして積層した。この含水光硬化性層に対し、1mW/cm2に調整したケミカルランプから紫外線(主波長352nm)を5分間照射し、続いて高圧水銀ランプから紫外線(主波長365nm)を1000mJ/cm2のエネルギー量となるように照射することにより光硬化させて吸水性ポリマーシートを作成した。得られた吸水性ポリマーシートを支持シートと共に、シート製造装置の巻き取りロールに巻き取った。
得られた吸水性ポリマーシートの「吸水性」について、以下に説明するように「吸水率」と「急速吸水性」とを試験し、評価した。また、「透明性」について、以下に説明するようにへイズ度を測定し評価した。また、ロールツーロール生産適性について以下のように評価した。
吸水性ポリマーシートを1cm角に切り出し、剥離処理ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がしたものを、精製水30ml中に24時間浸漬し、浸漬前後のフィルム質量(浸漬前の質量をW0、浸漬後の質量をW1)を測定し、式「吸水率(%)=[(W1−W0)/W0]×100」に従って吸水率を求めた。実用上、吸水率は50%以上であることが望まれる。
吸水性ポリマーシート表面に市販のスプレーボトルから精製水を噴霧し、シート表面に付着した水が当該吸水性ポリマーシートに吸収されたか否かを目視観察し、以下の評価基準に従って評価した。
○: 水噴霧後10秒の時点で吸水性ポリマーシートの表面が濡れている場合
×: 水噴霧後10秒の時点で吸水性ポリマーシートの表面が濡れていない場合
吸水性ポリマーシートのヘイズ度を、JIS K7136に準拠して測定し、以下の評価基準に従って評価した。
○: ヘイズ度が8%以下である場合
△: ヘイズ度が8%超10%以下である場合
×: ヘイズ度が10%超である場合
○: 吸水性ポリマーシートにカールやシート割れが生ずることなく3インチ紙管に巻取り可能な場合
△: 3インチ紙管に巻取り可能であるが、吸水性ポリマーシートにカールが発生する場合
×: 吸水性ポリマーシートが硬く、3インチ紙管に巻取った場合にシート割れが生じる場合
Claims (11)
- ヘイズ度が8%以下の吸水性ポリマーシートをロールツーロール方式で製造する方法であって、
式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマーと、親水性モノマーとしてヒドロキシエチルアクリルアミドまたはアクリル酸とを含有する光硬化性樹脂組成物の水分量を5〜40質量%に調整する、光硬化性樹脂組成物の水分量調整工程、水分量が調整された光硬化性樹脂組成物を、巻き出しロールから引き出された支持シート上に塗布することにより含水光硬化性膜を形成する、含水光硬化性膜形成工程、含水光硬化性膜に対し紫外線を照射して光硬化させることにより支持シート上に吸水性ポリマーシートを形成する、紫外線照射工程、及び
吸水性ポリマーシートを支持シートごと巻き取りロールに巻き取る、吸水性ポリマーシート巻き取り工程を有する製造方法。
- 光硬化性樹脂組成物の水分量を10〜30質量%に調整する請求項1記載の製造方法。
- 光硬化性樹脂組成物中の式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマーの含有量を、7.5質量%以上に調整する請求項1又は2記載の製造方法。
- 式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマーとして、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル塩を使用する請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 更に、光硬化性樹脂組成物中に、架橋剤として多官能(メタ)アクリレートモノマーを、式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマー100質量部に対し0.01〜5.0質量部含有させる請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 光硬化性樹脂組成物中に、光重合開始剤を、式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマー100質量部に対し0.01〜5.0質量部含有させる請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- ヘイズ度が8%以下の吸水性ポリマーシートをロールツーロール方式で製造する方法であって、
式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマーを含有する光硬化性樹脂組成物の水分量を5〜40質量%に調整する、光硬化性樹脂組成物の水分量調整工程、水分量が調整された光硬化性樹脂組成物を、巻き出しロールから引き出された支持シート上に塗布することにより含水光硬化性膜を形成する、含水光硬化性膜形成工程、含水光硬化性膜に対し紫外線を照射して光硬化させることにより支持シート上に吸水性ポリマーシートを形成する、紫外線照射工程、及び
吸水性ポリマーシートを支持シートごと巻き取りロールに巻き取る、吸水性ポリマーシート巻き取り工程を有する製造方法であって、
更に、光硬化性樹脂組成物中に、架橋剤として多官能(メタ)アクリレートモノマーを、式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマー100質量部に対し0.01〜5.0質量部含有させる製造方法。 - 光硬化性樹脂組成物の水分量を10〜30質量%に調整する請求項7記載の製造方法。
- 光硬化性樹脂組成物中の式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマーの含有量を、7.5質量%以上に調整する請求項7又は8記載の製造方法。
- 式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマーとして、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル塩を使用する請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法。
- 光硬化性樹脂組成物中に、光重合開始剤を、式(1)の(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩モノマー100質量部に対し0.01〜5.0質量部含有させる請求項7〜10のいずれかに記載の製造方法。
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