以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
[実施の形態の概要]
まず、実施の形態の概要について説明する。本実施の形態の概要では、一例として、括弧内に実施の形態の対応する構成要素の符号等を付して説明する。
(1)充電装置は、交流電流の流れる配線から電力を抽出する抽出部(101)と、前記抽出部の出力インピーダンスとインピーダンス整合をとる整合部(102)と、前記抽出部で抽出した抽出電力を交流から直流に整流する整流部(103)と、バッテリ(105)と、前記整流部で整流された整流抽出電力を利用して前記バッテリに充電する充電部(104)と、制御部(106)と、を有する。前記制御部で、インピーダンス整合状態である第1の状態から、インピーダンス整合状態でない第2の状態に前記整合部のインピーダンスを調整する。
(2)充電装置は、ギャップ長を調整できるトロイダルコアで構成され、交流電流の流れる配線から電力を抽出する抽出部(1501)と、前記抽出部の出力インピーダンスとインピーダンス整合をとる整合部(1002)と、前記抽出部で抽出した抽出電力を交流から直流に整流する整流部(103)と、バッテリ(105)と、前記整流部で整流された整流抽出電力を利用して前記バッテリに充電する充電部(104)と、制御部(106)と、を有する。前記制御部は、前記トロイダルコアのギャップ長を、最短状態の第1の長さから、最短状態でない第2の長さに調整する。
以下、上述した実施の形態の概要に基づいた各実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、本発明は、実施の形態を説明するための図示例に限定されるものではない。
[実施の形態1]
本実施の形態1に係る充電装置について、図1〜図9を用いて説明する。
<充電装置の構成>
まず、本実施の形態1に係る充電装置の構成を、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態1に係る充電装置の構成の一例を示すブロック図である。図1では、交流電流の流れる配線として商用周波数50Hzまたは60Hzの商用電源からの商用電流の流れる商用電源線を考え、商用電源線の回りに発生する磁界から電力を電磁誘導で抽出してその電力をバッテリに充電する充電装置の構成を示している。
充電装置は、抽出部101と、整合部102と、整流部103と、充電部104と、バッテリ105と、制御部106と、保護部107とで構成される。
抽出部101は、交流電流の流れる配線である商用電源線100に取り付けられ、この商用電源線100から電力を抽出する抽出部である。この抽出部101による動作は、充電方法における抽出ステップの動作である。
整合部102は、抽出部101に接続され、この抽出部101の出力インピーダンスとインピーダンス整合をとる整合部である。この整合部102による動作は、充電方法における整合ステップの動作である。
整流部103は、抽出部101に接続された整合部102に接続され、この抽出部101で抽出して整合部102でインピーダンス整合がとられた抽出電力を交流から直流に整流する整流部である。この整流部103による動作は、充電方法における整流ステップの動作である。
充電部104は、保護部107を介して整流部103に接続され、この整流部103で整流された整流抽出電力を利用してバッテリ105に充電する充電部である。この充電部104による動作は、充電方法における充電ステップの動作である。
バッテリ105は、充電部104に接続され、この充電部104により充電されるバッテリである。このバッテリ105には、例えばモータや電燈などの負荷が接続されている。
制御部106は、充電部104の入力側(監視線108)および出力側(監視線109)に接続され、さらに、充電部104および整合部102に接続され、この整合部102におけるインピーダンス整合のためのインピーダンス調整を行う制御部である。また、制御部106は、保護部107にも接続され、この保護部107に対して充電部104を保護するための保護制御信号を出力する制御部でもある。この制御部106による動作は、充電方法における制御ステップの動作である。
保護部107は、整流部103と充電部104との間に接続されると共に制御部106に接続され、この制御部106からの保護制御信号で充電部104の前段を短絡して充電部104を保護する保護部である。この保護部107による動作は、充電方法における保護ステップの動作である。
図1において、抽出部101は、例えばトロイダルコア101aの中心に商用電源線100を通し、トロイダルコア101aに巻き線101bを巻きつけることで構成される。この構成により、巻き線101bの両端に起電力を生じさせることができる。トロイダルコア101aの材料は比透磁率が大きく、磁気飽和を起こしにくい材料、商用周波数では例えばケイ素鋼などを使用する。また、トロイダルコア101aはドーナツ形の例を示している。
巻き線101bで生じた起電力は、整合部102で巻き線101bの出力インピーダンスとインピーダンス整合をとることで、最大電力を抽出することができる。この抽出された電力は商用周波数の交流であり、整流部103で整流されて直流となり、保護部107を介して充電部104に入力される。そして、充電部104は、入力された直流をバッテリ105の充電特性に合わせるような充電電流、充電電圧として、バッテリ105を充電する。
<整合部の動作>
図1に示した充電装置における整合部102の動作を、図2を用いて説明する。図2は、充電装置における整合部102の動作の一例を示す説明図である。図2では、整合部102の入力インピーダンスと抽出電力との関係を示したものであり、横軸に整合部102の入力インピーダンス、縦軸に抽出電力を示している。
整合部102の入力インピーダンスが抽出部101の出力インピーダンス、すなわち巻き線101bの出力インピーダンスと等しくなったときに整合点201となり、最大電力が抽出される。
整合部102は、制御部106から制御を受け、入力インピーダンスを変化させる機能202,203を持つ。最も入力インピーダンスの低い点204から最も入力インピーダンスの高い点205まで可変することができる。整合点201は点204と点205の間のインピーダンスにある。最も入力インピーダンスの低い点204や最も入力インピーダンスの高い点205では整合点201よりも抽出できる電力が少なくなる。なお、整合部102の出力インピーダンスと整流部103の入力インピーダンスとは、常に整合がとれているものとする。
図2において、整合点201の状態は、インピーダンス調整における整合状態(第1の状態)である。最も入力インピーダンスの低い点204や最も入力インピーダンスの高い点205の状態は、整合状態でない第2の状態である。また、第1の状態には、整合状態に近い点も含めることもある。また、第2の状態には、整合点201を除いた点204,205の方向への途中の各点も含めることもある。
<充電部と制御部の動作、整合部および保護部と制御部の動作>
図1に示した充電装置における充電部104と制御部106の動作を、図3を用いて説明する。図3は、充電装置の動作の一例を示す説明図である。図3は、充電部104の入出力の電圧、電流、電力の状態を示したものである。
図3(c)は、バッテリ105へ充電するバッテリ電圧V[B]304とバッテリ電流I[B]305を示している。バッテリ105が完全に放電されている状態とすれば、充電部104は、まず充電部104の出力である充電電流I[C]を電流値I[O]に設定した定電流動作を行う。その後、バッテリ電圧V[B]が、定電流動作から定電圧動作に切り替える閾値の電圧である電圧値V[O]になったら、定電流動作から、満充電と考える電圧値V[E]より少し高い電圧であるV[D]の電圧値に、充電部104の出力である充電電圧V[C]を設定し、定電圧動作に移行する。バッテリ電圧V[B]が電圧値V[E]になったら満充電状態になったと判断し、充電動作を停止する。これらの動作は、バッテリ電圧V[B]を監視線109により制御部106が測定、監視することで、充電部104を制御する。
次に、整合部102および保護部107と制御部106の動作を、図3を用いて説明する。図3(a)は、充電部104に供給される抽出電力P[x]301と充電部104が必要とする必要電力P[n]302を示している。
図3(a)に示す抽出電力P[x]301は、抽出部101で抽出され、整合部102、整流部103、保護部107を介して充電部104に入力されたものである。図3(a)の例では、抽出電力P[x]301は一定の電力P1としている。必要電力P[n]302は、図3(c)のバッテリ電圧V[B]304とバッテリ電流I[B]305の積であり、定電流期間である時刻t1から時刻t2までは、バッテリ電圧V[B]304の上昇に伴って必要電力P[n]302は大きくなる。定電圧期間である時刻t2から時刻t3までは、バッテリ電圧V[B]304の上昇が緩やかになり、またバッテリ電流I[B]305も減少してくるので、全体としては必要電力P[n]302はだんだん少なくなる。満充電となった時刻t3以降は、電力は必要なくなる。
図3(b)は、充電部104の入力電圧である供給電圧V[S]303を示したものであり、監視線108により制御部106が測定、監視している。図3(a)で示すように、抽出電力P[x]301は一定の電力P1であるとすれば、定電流期間である時刻t1から時刻t2は、抽出電力P[x]301と必要電力P[n]302との差分の電圧となり、電圧は減少していき、時刻t2で最小値となる。その後、定電圧期間である時刻t2から時刻t3は、抽出電力P[x]301と必要電力P[n]302との差分が大きくなるため、その差分に応じて電圧は高くなっていく。
ここで、満充電となる時刻t3は、制御部106が監視線109によりバッテリ電圧V[B]を測定、監視し、バッテリ電圧V[B]が電圧値V[E]になったことにより制御部106が認識する。この時、バッテリ電流I[B]は電流値I[E]になる。制御部106は、時刻t3で満充電となったことを認識し、整合部102に対して整合状態をずらすように指示を出す。図2でいえば、整合点201であったところから点204または点205に移動するように制御する。これにより、抽出電力は減少し、図3(a)に示すように抽出電力P[x]301は電力P0に減少し、図3(b)に示す供給電圧V[S]303も減少する。
制御部106は、整合部102に対して整合状態をずらすように指示を出したあと、保護部107に対して保護をonにするように指示を出す。保護部107は、これを受け、時刻t4に回路をシャントする。図3(b)に示す供給電圧V[S]303は保護部107がシャントしたため、電圧がなくなり0になる。
もし、満充電となった時刻t3以降、整合部102の整合をずらさなかった場合は、供給電圧V[S]303の電圧は上がり続け、部品が故障する限界の設定電圧V[H]を超えてしまう。また、整合部102の整合をずらさなかった場合に保護部107をシャントした場合は、抽出電力P[x]301の電力P1を全て保護部107で電流を流すことになり、電流量が多く発熱し、保護部107が破壊する可能性が高い。
<制御部の制御フロー>
図3の場合の動作を、図4を用いて詳細に説明する。図4は、充電装置における制御部106の制御フローの一例を示すフローチャートである。
ステップ401において、制御部106による制御がスタートする。
ステップ402において、制御部106は、整合部102を制御して、抽出部101で生じた起電力を最大電力で抽出できるように、図2におけるインピーダンス整合点201にインピーダンス調整する。
ステップ403において、制御部106で、監視線109によりバッテリ電圧V[B]を測定する。
ステップ404において、制御部106は、現在のバッテリ105の充電状況を判断するために、バッテリ電圧V[B]が、充電部104を定電流動作から定電圧動作に切り替える閾値の電圧である電圧値V[O]に対して大きいか小さいかを比較する。
ステップ404の結果、バッテリ電圧V[B]が電圧値V[O]より小さい場合、バッテリ105はかなり放電しており定電流動作の領域であると判断され、ステップ405において、制御部106は、充電部104を制御して、充電電流I[C]を電流値I[O]に設定した定電流動作とし、バッテリ105を充電させる。このあと、バッテリ105の充電状況を判断するためにステップ403に戻る。
ステップ404の結果、バッテリ電圧V[B]が電圧値V[O]以上の場合、バッテリ105はあまり放電しておらず定電圧動作の領域であると判断され、ステップ406において、制御部106は、充電部104を制御して、満充電と考える電圧値V[E]より少し高い電圧であるV[D]に充電電圧V[C]を設定して定電圧動作とし、バッテリ105を充電させる。
ステップ407において、バッテリ105が満充電になったかどうかを判断するために、制御部106で、監視線109によりバッテリ電圧V[B]を測定する。
ステップ408において、バッテリ電圧V[B]の電圧が、満充電と考える電圧値V[E]に対して大きいか小さいかを比較し、バッテリ電圧V[B]が電圧値V[E]未満の場合、バッテリ105は満充電でないと判断され、ステップ403へ戻る。
ステップ408の結果、バッテリ電圧V[B]が電圧値V[E]以上の場合、ステップ409において、バッテリ105は満充電であると判断される。
ステップ410において、バッテリ105は満充電なので電力は必要なく、必要電力P[n]は0となる。ここで、制御部106は、バッテリ105の充電電圧が満充電を示す電圧値V[E]以上になったことをトリガとして、整合部102に対して整合状態をずらすように指示を出す。図2でいえば、整合点201であったところから点204または点205に移動するように制御する。これにより、抽出電力P[x]は減少し、抽出電力P[x]は電力P0に減少する。なお、整合状態をずらす場合、点204であっても点205であっても同様に抽出電力P[x]は減少するが、点205、すなわち入力インピーダンスを上げた場合は抽出電力P[x]の抽出電力が減少する途中過程などに整合部102の入力電圧が非常に高くなる可能性があり、整合部102の部品を故障させる場合が考えられる。したがって、一般的には、点204、すなわち入力インピーダンスを下げる方向に整合をずらす。
ステップ411において、制御部106は、整合部102に対して整合状態をずらすように指示を出したあと、保護部107に対して保護をonにするように指示を出す。保護部107は、これを受け、回路をシャントする。なお、制御部106が保護部107に対して保護をonにするように指示を出す前に、制御部106は供給電圧V[S]を監視線108により測定し、供給電圧V[S]が十分下がったことを確認してから保護部107に対して保護をonにするように指示を出してもよい。
ステップ412において、バッテリ105の充電状態を常時確認するために、制御部106で、監視線109によりバッテリ電圧V[B]を測定する。
ステップ413において、バッテリ電圧V[B]の電圧が、満充電と考える電圧値V[E]に対して大きいか小さいかを比較し、バッテリ電圧V[B]が電圧値V[E]以上の場合、バッテリ105は満充電であると判断され、ステップ412に戻り、バッテリ105の充電状態の監視モードに入る。バッテリ電圧V[B]が電圧値V[E]未満の場合、バッテリ105は満充電でないと判断され、バッテリ105の充電状態の監視モードから外れ、ステップ402へ戻り、抽出部101で生じた起電力を最大電力で抽出できるようにする。
図1には図示していないが、バッテリ105にはモータや電燈などの負荷が接続されており、常時、バッテリ105の電力を消費する可能性がある。したがって、ステップ412、ステップ413のバッテリ105の充電状態の監視モードが必要になる。
図1、図2、図3、図4で示したバッテリ105の満充電時の保護部107の保護方法によれば、整合部102で整合状態からずらして抽出電力を少なくしたあと、保護部107をonしてシャントするので、保護部107に流れる電流が少なくなり、保護部107が異常に発熱することがなく、保護部107が壊れることがない効果がある。また、整合部102で整合状態をずらして抽出電力を少なくすることで、商用電源線100に流れる電力を無駄に消費することがない効果がある。
<抽出部で抽出される電力が想定よりも大きくなった場合の保護動作>
次に、商用電源線100に流れる電流が多くなるなどして、抽出部101で抽出される電力が想定よりも大きくなった場合について、図1の充電装置の保護動作を図5、図6、図7を用いて説明する。図5は充電装置の動作の別の一例を示す説明図であり、図6は充電装置における制御部106の制御フローの一例を示すフローチャートであり、図7は整合部の動作の別の一例を示す説明図である。
図5は、充電部104の前後の電力、電圧、電流の状態を示したものである。図5(a)に示す抽出電力P[x]501は、抽出部101で抽出され、整合部102、整流部103、保護部107を介して充電部104に入力されたものである。図5(a)の例では、抽出電力P[x]501は一定の電力P2であるが、図3(a)に示す電力P1よりも大きな値である。図5(b)は、充電部104に入力される供給電圧V[S]を示し、監視線108により制御部106で測定、監視される。図5(c)は、充電部104の出力であるバッテリ電圧V[B]、バッテリ電流I[B]を示し、バッテリ電圧V[B]は監視線109により制御部106で測定、監視される。
図5の場合の動作を、図6を用いて詳細に説明する。図6に示す制御部106の制御フローのフローチャートにおいて、図4と同一符号は同一内容を表し、説明は省略する。
ステップ601において、制御部106による制御がスタートする。
ステップ402後のステップ602において、制御部106で、監視線108により供給電圧V[S]を測定する。
ステップ603において、制御部106は、供給電圧V[S]が充電部104を構成する部品の故障する限界の電圧より少し低い設定電圧V[H]に対して大きいか小さいかを比較する。この結果、供給電圧V[S]が設定電圧V[H]より小さい場合は、故障しないと判断してステップ403に移り、以下、図4と同様の処理を行う。
ステップ603の結果、供給電圧V[S]が設定電圧V[H]より大きい場合は、ステップ604において、故障の可能性があると判断する。
ステップ605において、制御部106は、供給電圧V[S]が過電圧を示す電圧値V[H]以上になったことをトリガとして、整合部102に対して整合状態から少し(入力インピーダンスd)ずらすように指示を出す。この指示に基づく整合部102の動作を、図7を用いて説明する。図7は、整合部102の入力インピーダンスと抽出電力との関係を示したものであり、横軸に整合部102の入力インピーダンス、縦軸に抽出電力を示している。
図7の例では、整合点201であったところから点204の方向に入力インピーダンスdだけ小さくする。その結果、抽出部101での抽出電力は減少する。この処理を行った後、ステップ602に戻る。ステップ602、ステップ603、ステップ604、ステップ605を繰り返すことで、最終的に供給電圧V[S]を設定電圧V[H]より小さくする。図5(b)の502に供給電圧V[S]の推移を示す。設定電圧V[H]より小さくなるまで繰り返され、図5(b)の502、図7の例では3回繰り返されており、図7に示すように入力インピーダンスをdずつ3回下げていき、抽出電力をだんだん下げ、最終的に設定電圧V[H]より小さくなるまで繰り返される。
図1、図5、図6、図7で示した抽出部101で抽出される電力が想定よりも大きくなった場合の保護方法によれば、整合部102で整合状態から段階的に少しずつずらして抽出電力を少なくするので、バッテリ105に受電するのに必要な充電電力を維持したまま充電部104を構成する部品が故障する限界電圧より供給電圧を下げることができる効果がある。
<整合部の構成>
図8は、整合部102の構成の一例を示す回路図である。図8は、π型のインピーダンスマッチング回路の例である。整合部102は、スイッチ801、コンデンサ802a,802b,802c,802d、インダクタ803、コンデンサ804、および、制御信号入力端子805で構成される。整合部102において、インダクタ803の一端が抽出部101に接続され、他端が整流部103に接続されている。インダクタ803の一端とグランドとの間に、4回路のスイッチ801とコンデンサ802a,802b,802c,802dが接続されている。インダクタ803の他端とグランドとの間に、コンデンサ804が接続されている。
コンデンサ802a,802b,802c,802dは、スイッチ801で制御信号入力端子805から入力される制御部106からの制御信号によりそれぞれ選択される。コンデンサ802a,802b,802c,802dの容量を、例えばそれぞれC、2C、4C、8Cとすれば、スイッチ801の選択により、容量Cから容量15Cまで容量C単位での可変ステップとすることが可能である。
インダクタ803のインダクタンスとコンデンサ804の容量は、コンデンサ802a,802b,802c,802dで可変可能な容量の最小値と最大値との間で、整合部102の入力インピーダンスが、図2における整合点201と、例えば点204を含むような値に設定する。
スイッチ801は、図8ではスイッチを4回路しか示していないが、更にスイッチ回路を増やすことも可能である。また、スイッチ801およびコンデンサ802a,802b,802c,802dと並列に、インダクタ803におけるコンデンサ804の接続されているのとは反対側の端子とグランド間にコンデンサを配置し、スイッチ801とコンデンサ802a,802b,802c,802dの容量調整は配置したコンデンサ容量の補正用としてもよい。更に、スイッチ801およびコンデンサ802a,802b,802c,802dと、コンデンサ804を入れ替えた配置としてもよい。また更に、コンデンサ804もスイッチとコンデンサで構成し、制御部106で制御してもよい。
以上により、スイッチ801の選択を制御部106で制御することにより、入力インピーダンスを変化させることができる。
<保護部の構成>
図9は、保護部107の構成の一例を示す回路図である。保護部107は、FET901、抵抗902、コンデンサ903、ダイオード904、ダイオード905、抵抗906、抵抗907、制御信号入力端子908、および、信号線909で構成される。保護部107において、信号線909は整流部103と充電部104との間に接続されている。信号線909とグランドとの間に、FET901が接続されている。FET901のゲートとグランドとの間に、抵抗902とコンデンサ903が並列に接続されている。信号線909とグランドとの間に、抵抗907と抵抗906が直列に接続されている。抵抗907と抵抗906との接続点から、ダイオード905が順方向でFET901のゲートに接続されている。制御信号入力端子908から、ダイオード904が順方向でFET901のゲートに接続されている。
まず、信号線909の過電圧保護動作を説明する。信号線909の電圧Vを抵抗907と抵抗906とで分圧した電圧により、ダイオード905に電流が流れ、コンデンサ903に電荷が蓄積し、コンデンサ903の電圧がFET901のゲート電圧VGのスレッシュホールドを越えると、FET901がオンし、信号線909をシャントする。すなわち、抵抗907と抵抗906との分圧比で信号線909の過電圧値を設定する。抵抗902とコンデンサ903は、その定数によって決まる時定数でコンデンサ903にたまった電荷が放電し、FET901をオフにする。
制御信号入力端子908に、ダイオード904を介してFET901のゲート電圧VGのスレッシュホールドを越える制御電圧を制御部106から与えることで、保護部107のFET901をオンさせて、制御部106から信号線909をシャントさせることができる。
図9の保護部107の構成によれば、ダイオード904,905で、過電圧保護動作の電圧と制御部106からの制御電圧の逆流をそれぞれ防ぎ、簡単な構成で信号線909の過電圧保護動作に加えて制御部106から保護動作を制御できる効果がある。
<実施の形態1の効果>
以上説明した本実施の形態1に係る充電装置によれば、バッテリ105に接続された負荷が必要とする電力以上の電力を抽出した場合の部品保護を2次側回路だけで発熱なく行うことができる。このため、保護用部品を小形化でき、且つ、1次側電力を無駄に消費することがない。すなわち、図1の充電装置の構成によれば、バッテリ105の満充電時や、抽出部101で抽出される電力が想定よりも大きくなった場合に、整合部102の入力インピーダンスを制御して抽出電力を少なくすることで、保護部107に流れる電流を少なくして保護部107が異常に発熱することをなくし、保護部107が壊れることを防ぐことができる。また、整合部102で整合状態をずらして抽出電力を少なくすることで、商用電源線100に流れる電力を無駄に消費することを防ぐことができる。詳細には、以下の通りである。
(1)充電装置は、抽出部101、整合部102、整流部103、充電部104、バッテリ105および制御部106を有することで、制御部106により、インピーダンス調整を、整合状態の第1の状態(点201)から、整合状態でない第2の状態(点204,205)にすることで、抽出電力を少なくして充電装置を過電圧から保護することができる。
(2)充電装置は、さらに保護部107を有することで、制御部106が第1の状態から第2の状態にすることで抽出電力を少なくしたあとに、保護部107により、充電部104の前段を短絡して充電部104を過電圧から保護することができる。
(3)上記(1)(2)において、制御部106により、バッテリ105の充電電圧(V[B])を監視し、充電電圧がバッテリ105の満充電を示す第1の電圧値(V[E])以上になったことをトリガとして、第1の状態から第2の状態にすることができる。または、制御部106により、充電部104の入力電圧である供給電圧(V[S])を監視し、供給電圧が過電圧を示す第2の電圧値(V[H])以上になったことをトリガとして、第1の状態から第2の状態にすることができる。または、制御部106により、整合部102の入力インピーダンスを調整することで、第1の状態から第2の状態にすることができる。この結果、第1の状態から第2の状態にすることで、抽出電力を少なくして充電装置を過電圧から保護することができる。
[実施の形態2]
本実施の形態2に係る充電装置について、図10を用いて説明する。本実施の形態2では、前記実施の形態1と異なる点を主に説明する。
図10は、本実施の形態2に係る充電装置の構成の一例を示すブロック図である。図10では、交流電流の流れる配線として商用周波数50Hzまたは60Hzの商用電源からの商用電流の流れる商用電源線を考え、商用電源線の回りに発生する磁界から電力を電磁誘導で抽出してその電力をバッテリに充電する充電装置の別の構成を示している。図10において、図1と同一符号は同一機能を表す。
図10に示す充電装置では、整合部1002は、図1の整合部102で行っていた制御部106から入力インピーダンスを調整する機能を除いたもので、整合部1002の前段のブロック、図10では抽出部101と、整合部1002の後段のブロック、図10では整流部103との間のインピーダンスマッチングを行う。そして、整流部103と保護部107との間に、整流部103から見た負荷インピーダンスが制御部106からの制御信号で調整可能な負荷調整部1001を設ける。この負荷調整部1001による動作は、充電方法における負荷調整ステップの動作である。
負荷調整部1001の負荷インピーダンスを変化させると、整合部1002から後段を見た出力インピーダンスが整流部103を介して変化し、その出力インピーダンスの変化は結果的に整合部1002の入力インピーダンスを変化させる。すなわち、負荷調整部1001の負荷インピーダンスを変化させることで、図2または図7で説明した整合部102の入力インピーダンスと抽出電力との関係を、整合部1002でも実現できる。したがって、図4または図6の制御フローのフローチャートを用いることで、図1と同様の効果を得ることが可能である。すなわち、制御部106は、負荷調整部1001の入力インピーダンスである負荷インピーダンスを調整することで、整合状態の第1の状態から整合状態でない第2の状態にすることができる。
負荷調整部1001の構成は、図8と同様の構成で実現可能である。すなわち、スイッチ、コンデンサ、インダクタなどで構成されるπ型のインピーダンスマッチング回路などで実現できる。
図10の構成によれば、整流部103で整流を行った後段の直流となったところの負荷調整部1001で負荷インピーダンスの調整を行うため、虚数領域での解析を考慮しなくてよくなり、回路構成が簡単になる効果がある。また、負荷調整部1001の出力インピーダンスを、定電圧源などを用いることで低インピーダンスとし、負荷調整部1001の後段のインピーダンス変化を受けにくくする構成をとることが可能である。
なお、図10の構成では、整合部1002では制御部106からの制御を行わないとしたが、図1の整合部102とし、制御を併用することも可能である。
[実施の形態3]
本実施の形態3に係る充電装置について、図11〜図12を用いて説明する。本実施の形態3では、前記実施の形態1,2と異なる点を主に説明する。
図11は、本実施の形態3に係る充電装置の構成の一例を示すブロック図である。図11では、交流電流の流れる配線として商用周波数50Hzまたは60Hzの商用電源からの商用電流の流れる商用電源線を考え、商用電源線の回りに発生する磁界から電力を電磁誘導で抽出してその電力をバッテリに充電する充電装置の別の構成を示している。図11において、図10と同一符号は同一機能を表す。
図11に示す充電装置では、保護部1101は、図10の負荷調整部1001と保護部107の機能を一つにしたものである。
保護部1101の構成の一例を図12に示す。図12は、保護部1101の構成の一例を示す回路図であり、図9と同一符号は同一機能を表す。図12では、FET901と信号線909との間に可変抵抗1201を配置する。可変抵抗1201は、制御部106からの制御信号を制御信号入力端子1202から入力することで、可変抵抗1201の抵抗値を可変することができる。
通常は、可変抵抗1201の抵抗値は0Ωとなっており、図9と同様に過電圧保護動作を行っている。負荷インピーダンスを変化させる場合は、制御部106から抵抗値設定の制御信号を制御信号入力端子1202から入力することで、可変抵抗1201に抵抗値を設定する。そして、制御信号入力端子908に、ダイオード904を介してFET901のゲート電圧VGのスレッシュホールドを越える制御電圧を制御部106から与えることで、保護部1101のFET901をオンさせて、信号線909とグランドとの間に可変抵抗1201を接続し、設定した抵抗値の負荷とする。必要であれば、そのあと、可変抵抗1201の抵抗値を制御部106からの制御信号を制御信号入力端子1202から入力して調整する。
特に、バッテリ105の満充電時の制御フローを示す図4のステップ410の整合ずらしの場合、可変抵抗1201の抵抗値を0ΩのままFET901をオンにし、整合部1002の入力インピーダンスを図2の点204にして抽出電力を少なくするとともに、信号線909をシャントさせることができる。
図11の構成によれば、図12のような過電圧保護と共通の簡単な構成で負荷インピーダンスを変化させることができ、整合部1002の入力インピーダンスを調整できる効果がある。なお、ダイオード904を介した制御信号入力端子908からの制御部106からの制御電圧を調整することで、FET901に可変抵抗1201の機能とシャントの機能を持たせ、可変抵抗1201をなくすこと、すなわち、図9の構成のまま、負荷インピーダンスを変化させ、整合部1002の入力インピーダンスを調整することも可能である。
なお、図11の構成では、整合部1002では制御部106からの制御を行わないとしたが、図1の整合部102とし、制御を併用することも可能である。
[実施の形態4]
本実施の形態4に係る充電装置について、図13〜図14を用いて説明する。本実施の形態4では、前記実施の形態1〜3と異なる点を主に説明する。
図13は、本実施の形態4に係る充電装置の構成の一例を示すブロック図である。図13では、交流電流の流れる配線として商用周波数50Hzまたは60Hzの商用電源からの商用電流の流れる商用電源線を考え、商用電源線の回りに発生する磁界から電力を電磁誘導で抽出してその電力をバッテリに充電する充電装置の別の構成を示している。図13において、図10と同一符号は同一機能を表す。
図13に示す充電装置では、保護部1301を整合部1002の前段に配置し、保護機能と抽出部101との整合をずらす機能を持たせたものである。
保護部1301の構成の一例を図14に示す。図14は、保護部1301の構成の一例を示す回路図であり、図9、図12と同一符号は同一機能を表す。図14では、信号線1402とグランドとの間に可変抵抗1201とリレー1401を配置する。可変抵抗1201は、制御部106からの制御信号を制御信号入力端子1202から入力することで、可変抵抗1201の抵抗値を可変することができる。
リレー1401は、通常オフになっており、このとき、抽出部101と整合部1002とは整合がとれており、図2、図7の整合点201となっている。
整合をずらす場合は、制御部106から抵抗値設定の制御信号を制御信号入力端子1202から入力することで、可変抵抗1201に抵抗値を設定し、そして、制御信号入力端子908にリレー1401をオンにする制御電圧を制御部106から与えることでリレー1401をオンさせて、信号線1402とグランドとの間に可変抵抗1201を接続し、設定した抵抗値の負荷とする。必要であれば、そのあと、可変抵抗1201の抵抗値を、制御部106からの制御信号を制御信号入力端子1202から入力して調整する。
特に、バッテリ105の満充電時の制御フローを示す図4のステップ410の整合ずらしの場合、可変抵抗1201の抵抗値を0Ωとしてリレー1401をオンにし、保護部1301の入力インピーダンスを図2の点204にして抽出電力を少なくするとともに、信号線1402をシャントさせることができる。すなわち、バッテリ105の満充電時の保護のみに特化すれば、可変抵抗1201を省略できる。
図13の構成によれば、図14のような簡単な構成で負荷インピーダンスを変化させることができ、抽出部101との整合を調整できる効果がある。
なお、図13の構成では、整合部1002では制御部106からの制御を行わないとしたが、図1の整合部102とし、制御を併用することも可能である。また、図10や図11の実施の形態と併用することも可能である。
[実施の形態5]
本実施の形態5に係る充電装置について、図15〜図17を用いて説明する。本実施の形態5では、前記実施の形態1〜4と異なる点を主に説明する。
図15は、本実施の形態5に係る充電装置の構成の一例を示すブロック図である。図15では、交流電流の流れる配線として商用周波数50Hzまたは60Hzの商用電源からの商用電流の流れる商用電源線を考え、商用電源線の回りに発生する磁界から電力を電磁誘導で抽出してその電力をバッテリに充電する充電装置の別の構成を示している。図15において、図10と同一符号は同一機能を表す。
図15に示す充電装置では、抽出部1501は、商用電源線100に取り付けられ、ギャップ長を調整できるトロイダルコア1501aの中心に商用電源線100を通し、トロイダルコア1501aに巻き線1501bを巻きつけることで構成される。この構成により、巻き線1501bの両端に起電力を生じさせることができる。1501cはトロイダルコア1501aのギャップを示す。
図15の例では、抽出部1501のトロイダルコア1501aに制御部106からの制御信号により、ギャップ1501cのギャップ長を調整できる機能を設けたものである。
図16は、抽出部1501の動作の一例を示す説明図である。図16では、トロイダルコア1501aのギャップ長と抽出電力との関係を示したものであり、横軸にギャップ長、縦軸に抽出電力を示している。一般的に、ギャップ長を大きくすると比透磁率が小さくなり、その結果、抽出電力は少なくなる。点1601はギャップ長を最も狭めたときであり、抽出電力は最大である。点1602はギャップ長を最も広げたときであり、抽出電力は最小となる。δは、ギャップ長を少しずつ広げるときの長さである。
図16において、点1601のギャップ長は、ギャップ長が最短状態の長さ(第1の長さ)である。点1602のギャップ長は、最短状態でない第2の長さである。また、第1の長さには、最短状態に近い長さも含めることもある。また、第2の長さには、点1601を除いた点1602の方向への途中の各長さも含めることもある。第1の長さから第2の長さにすることで、抽出電力を少なくして充電装置を過電圧から保護することができる。
図15に示す充電装置において、バッテリ105の満充電時や、抽出部1501で抽出される電力が想定よりも大きくなった場合の制御フローを図17に示す。図17は、充電装置の動作の一例を示すフローチャートであり、図6と同一符号は同一内容を表す。
ほとんどの動作は図6で説明した動作と同様であり、異なる点は以下の3点である。
ステップ601後のステップ1701において、ギャップ長を最小とする。図16でいえば点1601とし、抽出電力を最大にする。なお、このとき抽出部1501と整合部1002とは整合のとれた状態である。
ステップ409後のステップ1702において、図6ではステップ410で整合部102の整合をずらしていたのに対し、図17ではギャップ長を最大とする。図16でいえば点1602とし、抽出電力を最小にする。
ステップ604後のステップ1703において、図6ではステップ605で整合部102の整合を少しずらしていたのに対し、図17ではギャップ長を少し広げる。図16では、ギャップ長が最小の点1601からギャップ長をδだけ広げる。その結果、抽出部1501での抽出電力は減少する。この処理を行った後、ステップ602に戻る。ステップ602、ステップ603、ステップ604、ステップ1703を繰り返すことで、最終的に供給電圧V[S]を設定電圧V[H]より小さくする。
図15の構成によれば、トロイダルコア1501aのギャップ長を最小にしたときが抽出部1501の抽出電力の最大値、トロイダルコア1501aのギャップ長を最大にしたときが抽出部1501の抽出電力の最小値となり、また、一般的にその間は単調減少となるため、抽出電力の増減の制御を行いやすい効果がある。
なお、図15の構成では、整合部1002では制御部106からの制御を行わないとしたが、図1の整合部102とし、制御を併用することも可能である。また、図10、図11や図13の実施の形態と併用することも可能である。
[実施の形態6]
本実施の形態6に係る充電装置について、図18〜図20を用いて説明する。本実施の形態6では、前記実施の形態1〜5と異なる点を主に説明する。
図18は、本実施の形態6に係る充電装置の構成の一例を示すブロック図である。図18では、交流電流の流れる配線として商用周波数50Hzまたは60Hzの商用電源からの商用電流の流れる商用電源線を考え、商用電源線の回りに発生する磁界から電力を電磁誘導で抽出してその電力をバッテリに充電する充電装置の別の構成を示している。図18において、図10と同一符号は同一機能を表す。
図18に示す充電装置では、商用電源線100の電流量を測定する電流検出部1801を設ける。電流検出部1801は、商用電源線100に取り付け、商用電源線100に流れる電流値を測定する。この電流検出部1801による動作は、充電方法における電流検出ステップの動作である。測定した商用電源線100に流れる電流値は監視線1802により制御部106に入力される。制御部106では、測定した商用電源線100に流れる電流値から抽出部101で抽出される抽出電力に換算し、さらに、抽出部101で抽出され、整合部1002、整流部103、負荷調整部1001、保護部107を介して充電部104に入力される抽出電力P[x]に換算する。
図18の構成で、商用電源線100に流れる電流が多くなるなどして、抽出部101で抽出される電力が想定よりも大きくなった場合について、図19、図20、図7を用いて説明する。
図19は、充電部104前後の電力、電圧、電流の状態を示し、図5と同一符号は同一機能を表す。図19(a)に示す抽出電力P[x]501は、整合部1002、整流部103、負荷調整部1001、保護部107を介して充電部104に入力されたものである。
図5、図6では充電部104に入力される供給電圧V[S]を示し、監視線108により制御部106で測定、監視しているが、図19、図20では商用電源線100に流れる電流値を監視線1802により制御部106で測定、監視する。そして、制御部106では、測定した商用電源線100に流れる電流値から抽出部101で抽出される抽出電力に換算し、さらに、抽出部101で抽出され、整合部1002、整流部103、負荷調整部1001、保護部107を介して充電部104に入力される抽出電力P[x]に換算する。
図19の場合の動作を、図20を用いて詳細に説明する。図20に示す制御部106の制御フローのフローチャートにおいて、図6と同一符号は同一内容を表し、説明は省略する。
ステップ402後のステップ2001において、制御部106で、監視線1802により制御部106で測定、監視し、測定した商用電源線100に流れる電流値から抽出部101で抽出される抽出電力に換算し、さらに、抽出部101で抽出され、整合部1002、整流部103、負荷調整部1001、保護部107を介して充電部104に入力される抽出電力P[x]に換算する。
ステップ2002において、制御部106は、抽出電力P[x]が充電部104を構成する部品の故障する限界の電圧より少し低い設定電力P[H]に対して大きいか小さいかを比較する。この結果、抽出電力P[x]が設定電力P[H]より小さい場合は、故障しないと判断してステップ403に移り、以下、図4と同様の処理を行う。
ステップ2002の結果、抽出電力P[x]が設定電力P[H]より大きい場合は、ステップ2003において、故障の可能性があると判断する。そして、ステップ605において、制御部106は、商用電源線100に流れる電流値が抽出電力P[x]の過抽出(設定電力P[H])を示す電流値以上になったことをトリガとして、負荷調整部1001に対して負荷インピーダンスを少し変化させ、整合状態から少しずらすように指示を出す。その結果、抽出部101での抽出電力は減少する。この処理を行った後、ステップ2001に戻る。
ステップ2001、ステップ2002、ステップ2003、ステップ605を繰り返すことで、最終的に抽出電力P[x]を設定電力P[H]より小さくする。図19(a)の501に抽出電力P[x]の推移を示す。設定電力P[H]より小さくなるまで繰り返され、図19(a)の501、図7の例では3回繰り返されており、図7に示すように入力インピーダンスをdずつ3回下げていき、抽出電力をだんだん下げ、最終的に設定電力P[H]より小さくなるまで繰り返される。
図18、図19、図20、図7で示した抽出部101で抽出される電力が想定よりも大きくなった場合の保護方法によれば、負荷調整部1001で整合状態から段階的に少しずつずらして抽出電力を少なくするので、バッテリ105に受電するのに必要な充電電力を維持したまま充電部104を構成する部品が故障する限界電圧より供給電圧を下げることができる効果がある。
なお、図18の構成では、整合部1002では制御部106からの制御を行わないとしたが、図1の整合部102とし、制御を併用することも可能である。また、監視線108を用いた図10、図11や図13、さらに図15の実施の形態と併用することも可能である。
[実施の形態7]
本実施の形態7に係る充電装置について、図21〜図22を用いて説明する。本実施の形態7は、前記実施の形態1〜6に適用可能であり、図1、図10、図11、図13、図15、図18の構成に適用する制御である。
図21は、商用電源線100に最初、電流が流れておらず、充電装置を設置後に電流を流すようにした場合の制御部106の制御フローの一例を示すフローチャートである。商用電源線100に急に大電流が流れると、抽出部101で突発的な大電流を誘発する可能性がある。
ステップ2101において、制御部106による制御がスタートする。
ステップ2102において、図10、図11、図13、図18の構成では、制御部106は、負荷調整部1001の負荷インピーダンスを変化させることで整合部1002の入力インピーダンスを変化させ整合状態からずらす。また、図1の構成では、制御部106は、整合部102の入力インピーダンスを変化させ整合状態からずらす。図2でいえば、例えば点204とする。これにより、抽出部101での抽出電力を少なくする。
ステップ2103において、商用電源線100に商用電流が流れ出したかどうかを観測する。図18の構成では、電流検出部1801で測定した電流値を監視線1802により制御部106に取り込む。図1、図10、図11、図13の構成では、充電部104の入力電圧である供給電圧を監視線108により制御部106に取り込む。
ステップ2104において、監視線1802による電流値または監視線108による供給電圧の値から、商用電源線100に商用電流が流れ出したかどうかを判断する。例えば、ある閾値と比較し、それ以上の値となった場合に商用電流が流れ出したと判断する。電流が流れていないとの判断のときはステップ2104に戻り、商用電流が流れ出したかどうかの監視を繰り返す。
ステップ2105において、商用電流が流れ出したとの判断のときは、充電処理を開始する。すなわち、図4、図6、図20のスタート(ステップ401またはステップ601)に移り、整合調整(ステップ402)以下を行う。なお、整合調整を徐々に行うことで、商用電流が流れ出したときの影響を受けにくくすることが可能である。
ステップ2106において、商用電源線100の商用電流が停止したかどうかの監視モードに入る。電流が停止した場合は、ステップ2102に戻る。
図22は、商用電源線100に最初、電流が流れておらず、充電装置を設置後に電流を流すようにした場合の制御部106の制御フローの別の一例を示すフローチャートである。図22は、図15の構成に対応させたフローチャートであり、図21と同一符号は同一内容を表し、説明は省略する。
ステップ2101後のステップ2201において、抽出部1501のトロイダルコア1501aのギャップ長を最大にする。図16でいえば点1602とし、抽出部1501での抽出電力を少なくする。
ステップ2104の結果、商用電流が流れ出したとの判断のときは、ステップ2202において、充電処理を開始する。すなわち、図17のスタート(ステップ601)に移り、ギャップ長を最小とする処理(ステップ1701)以下を行う。なお、ギャップ長を最大から最小にするときは、徐々にギャップ長を調整することで、商用電流が流れ出したときの影響を受けにくくすることが可能である。
図21、図22の制御フローによれば、商用電源線100に最初、電流が流れておらず、充電装置を設置後に大電流が流れた場合でも、抽出部101または抽出部1501に突発的な大電流を誘発することがなく、後段のブロックを保護することができる効果がある。
[付記]
本発明は、充電方法として、以下の特徴を有する。
(1)交流電流の流れる配線の回りに発生する磁界から電力を電磁誘導で抽出してバッテリに充電する充電装置における充電方法であって、
抽出部が前記交流電流の流れる配線から電力を抽出する抽出ステップと、
整合部が前記抽出ステップの出力インピーダンスとインピーダンス整合をとる整合ステップと、
整流部が前記抽出ステップで抽出した抽出電力を交流から直流に整流する整流ステップと、
充電部が前記整流ステップで整流された整流抽出電力による供給電圧を利用して充電電圧を作り、前記充電電圧で前記バッテリに充電する充電ステップと、
制御部が前記整合ステップにおけるインピーダンス整合のためのインピーダンス調整を行う制御ステップと、
を有し、
前記制御ステップでは、前記インピーダンス調整を、整合状態である第1の状態から、整合状態でない第2の状態にすることで前記抽出電力を少なくして前記充電装置を過電圧から保護する、充電方法。
(2)前記(1)に記載の充電方法において、
さらに、保護部が前記抽出電力または前記整流抽出電力を短絡する保護ステップを有し、
前記制御ステップで前記第1の状態から前記第2の状態にすることで前記抽出電力を少なくしたあとに、前記保護ステップでは、前記抽出電力または前記整流抽出電力を短絡する、充電方法。
(3)前記(1)に記載の充電方法において、
前記制御ステップでは、前記バッテリの充電電圧を監視し、前記充電電圧がバッテリの満充電を示す第1の電圧値以上になったことをトリガとして、前記第1の状態から前記第2の状態にする、充電方法。
(4)前記(1)に記載の充電方法において、
前記制御ステップでは、前記供給電圧を監視し、前記供給電圧が過電圧を示す第2の電圧値以上になったことをトリガとして、前記第1の状態から前記第2の状態にする、充電方法。
(5)前記(1)に記載の充電方法において、
さらに、電流検出部が前記交流電流の流れる配線の電流量を測定する電流検出ステップを有し、
前記制御ステップでは、前記電流検出ステップでの前記電流量を監視し、前記電流量が前記抽出電力の過抽出を示す第1の電流値以上になったことをトリガとして、前記第1の状態から前記第2の状態にする、充電方法。
(6)前記(1)に記載の充電方法において、
前記制御ステップでは、前記整合ステップの入力インピーダンスを調整することで、前記第1の状態から前記第2の状態にする、充電方法。
(7)前記(1)に記載の充電方法において、
さらに、前記整流ステップのあとに負荷調整ステップを有し、
前記制御ステップでは、前記負荷調整ステップでの入力インピーダンスである負荷インピーダンスを調整することで、前記第1の状態から前記第2の状態にする、充電方法。
(8)交流電流の流れる配線の回りに発生する磁界から電力を電磁誘導で抽出してバッテリに充電する充電装置における充電方法であって、
ギャップ長を調整できるトロイダルコアで構成された抽出部が前記交流電流の流れる配線から電力を抽出する抽出ステップと、
整合部が前記抽出ステップの出力インピーダンスとインピーダンス整合をとる整合ステップと、
整流部が前記抽出ステップで抽出した抽出電力を交流から直流に整流する整流ステップと、
充電部が前記整流ステップで整流された整流抽出電力による供給電圧を利用して充電電圧を作り、前記充電電圧で前記バッテリに充電する充電ステップと、
制御部が前記トロイダルコアのギャップ長の調整を行う制御ステップと、
を有し、
前記制御ステップでは、前記トロイダルコアのギャップ長を、最短状態の第1の長さから、最短状態でない第2の長さにすることで前記抽出電力を少なくして前記充電装置を過電圧から保護する、充電方法。
(9)前記(8)に記載の充電方法において、
さらに、保護部が前記抽出電力または前記整流抽出電力を短絡する保護ステップを有し、
前記制御ステップで前記第1の長さから前記第2の長さにすることで前記抽出電力を少なくしたあとに、前記保護ステップでは、前記抽出電力または前記整流抽出電力を短絡する、充電方法。
(10)前記(8)に記載の充電方法において、
前記制御ステップでは、前記バッテリの充電電圧を監視し、前記充電電圧がバッテリの満充電を示す第1の電圧値以上になったことをトリガとして、前記第1の長さから前記第2の長さにする、充電方法。
(11)前記(8)に記載の充電方法において、
前記制御ステップでは、前記供給電圧を監視し、前記供給電圧が過電圧を示す第2の電圧値以上になったことをトリガとして、前記第1の長さから前記第2の長さにする、充電方法。
(12)前記(8)に記載の充電方法において、
さらに、電流検出部が前記交流電流の流れる配線の電流量を測定する電流検出ステップを有し、
前記制御ステップでは、前記電流検出ステップでの前記電流量を監視し、前記電流量が前記抽出電力の過抽出を示す第1の電流値以上になったことをトリガとして、前記第1の長さから前記第2の長さにする、充電方法。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
前記実施の形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、各実施の形態の構成を組み合わせることが可能である。