JP2014236639A - スイッチング電源装置 - Google Patents

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誠 濱口
翔太 今村
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翔太 今村
和志 高見
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和志 高見
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Abstract

【課題】入力電圧の急峻な変化に対し過電流閾値で決まる最大オンデューティを拡張可能として出力電圧の安定化させる。【解決手段】1次巻線14aに直列接続した電流検出抵抗22により出力電流に応じた電流値を検出して制御部30の電流検出端子CLMに入力し、所定の過電流閾値に達した場合に最大オンデューティに固定して電流制限する。入力電圧の低下を検出していない場合は、FET42をオフし、定電流源36により定電流をバイアス抵抗38、フィルタ用抵抗24及び電流検出抵抗22に流してバイアス電圧Vb1でバイアスした電流検出電圧を電流検出端子CLMに印加する。入力や負荷の急激な変動による入力電圧の低下を入力電圧検出部32で検出した場合、バイアス制御部34のFET42をオンしてバイアス電圧Vb2に引き下げ、電流検出端子CLMに印加している電流検出電圧を低下させ、最大オンデューティを拡張可能とする。【選択図】図1

Description

本発明は、出力電流に応じた電流値を検出して電流制限する過電流保護補正機能を有するスイッチング電源装置に関する。
従来、この種の過電流保護補正機能を有するスイッチング電源装置としては、例えば図8に示すものがある。
図8はフライバック方式の絶縁型DC−DCコンバータを用いたスイッチング電源装置であり、直流電源10、入力コンデンサ12、1次巻線14aと2次巻線14bを備えたトランス14、整流ダイオード15、平滑コンデンサ16、負荷18、主スイッチ素子として機能するFET20、電流検出抵抗22、フィルタ用、抵抗24とフィルタ用コンデンサ26を備えたローパスフィルタ、アイソレーション機能を備えた帰還回路部28、制御ICを用いた制御部30で構成する。
図9は図8のスイッチング電源装置の動作を示したタイムチャートであり、図9(A)はFET20のスイッチング動作を示し、図9(B)は電流検出電圧を示す。
負荷18が安定した状態では、2次側からの帰還信号を、帰還回路28を介して制御部30の帰還入力端子INで受け取ることにより、出力電圧を所定電圧に安定化させる帰還信号に比例した制御閾値Vth1を設定しており、FET20のオンで1次電流をトランス14の1次巻線14aに流してエネルギーを蓄積し、このとき直線的に増加する1次電流を電流検出抵抗22で検出して制御部30の電流検出端子CLMに電流検出電圧を入力し、電流検出電圧が制御閾値Vth1に達すると、FET20をオフし、2次巻線14bから蓄積したエネルギーの放出により整流ダイオード15から平滑コンデンサ16及び負荷18に出力電流を流す。
ここでフライバック方式のDC−DCコンバータが臨界モードで動作する場合を例にとると、図9(B)に点線で示すように、2次巻線14bから流れる出力電流が零となった時点でFET20をオンして次のスイッチングサイクルを開始する。
このため2次側からの帰還信号に比例した制御閾値Vth1に従ったオンデューティを維持するスイッチング制御を行って負荷18に安定化した直流電圧を供給する。
一方、負荷18が軽負荷から重負荷へ急激に変動して出力電流が増加した場合、基準電圧と出力電圧の誤差を示す帰還信号に比例した制御閾値Vth1が増加し、FET20のオンにより1次巻線14aに流れる電流に比例した電流検出電圧が制御閾値Vth1に達してFET20をオフするまでの時間を長くし、これによりFET20のオンデューティを広げることで、1次側から2次側へ供給エネルギーを増加させて出力電圧のアンダーシュートを抑制している。
この場合、FET20によるオンデューティの拡張には、所定の過電流閾値Vth2の設定による限界がある。
図10は、2次側からの帰還信号に比例して設定する制御閾値Vth1が、過電流保護のために設定した所定の過電流閾値Vth2を超えて増加した場合のタイムチャートを示す。
このように帰還信号に比例した制御閾値Vth1が過電流閾値Vth2を超えて設定された場合、FET20のオンにより増加する電流検出電圧が過電流閾値Vth2に達した場合にFET20がオフし、制御閾値Vth1に達するまでFET20をオンすることできず、過電流閾値Vth2で決まる所定の最大オンデューティに制限され、制御閾値Vth1に電流検出電圧が達して決まる出力電圧のアンダーシュート抑制に必要なオンデューティに達することができない。
この問題を防止するため、従来は入力コンデンサ12の容量を大きくして負荷18の変動前の静電エネルギーを増加させる方法や、電流検出抵抗22の値を小さくすることでオンデューティを制限する限界値となる過電流閾値Vth2に達しにくくするという方法を取っていた。
また、フライバック方式とは異なるフォワード方式のスイッチング電源装置ではあるが、FETを用いて電流検出抵抗の分圧比を変えることで実質的に過電流の設定値を変え、入力電圧の変動範囲の全域に亘り、過電流保護設定値を平坦化する方法もある(特許文献1)。
特開平2002−142456号公報 特開平2010−273432号公報
しかしながら、このような従来のスイッチング電源装置の過電流保護補正機能にあっては、入力コンデンサ12の容量を大きくすることにより部品価格が上昇し、サイズアップに繋がるというという問題点がある。
また、電流検出抵抗22の値を小さくした場合、過電流閾値に達するまでのオンデューティの限界値が上がることにより、過負荷時に連続的に過大な電流が流れ、部品の熱破壊に至る可能性が高くなるため、マージンを大きく取った部品を使用しなくてはならないという問題点がある。
また、電流検出抵抗の分圧比を変える方法では、制御部の電流検出端子に加わる電圧が、電流検出抵抗にて発生する電圧より分圧した分低下するため、電流検出抵抗の値を大きくする必要があり、このため電流検出抵抗の損失が増大し、大電力のスイッチング電源装置に適用できない。
また、電流検出抵抗の分圧比を変えることで、電流検出抵抗と電流検出端子の間に設けているローパスフィルタのポール周波数が変わり(ローパスフィルタの場合、ポールはカットオフ周波数fcにある)、フィルタの性能が悪くなるという問題もある。
本発明は、入力電圧の急峻な変化に対し過電流閾値で決まる最大オンデューティを拡張可能として出力電圧を安定化させるスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
(スイッチング電源装置)
本発明は、直流電圧を入力する入力コンデンサの間にトランスの1次巻線と直列に主スイッチ素子を接続すると共に、トランスの2次巻線に対し整流平滑部を接続し、制御部により出力電圧を所定電圧に保つように主スイッチ素子のオンデューティを制御すると共に、出力電流に応じた電流値を1次巻線に直列接続した電流検出抵抗により検出して制御部の電流検出端子に入力し、検出した電流値が所定の過電流閾値に達した場合に所定の最大オンデューティに固定して電流制限するスイッチング電源装置に於いて、
入力電圧の低下を検出して入力電圧低下検出信号を出力する入力電圧検出部と、
電流検出端子に所定のバイアス電圧により引き上げた電流検出電圧を印加し、入力電圧低下検出信号が得られた場合にバイアス電圧を変化させて、最大オンデューティを拡張させるバイアス制御部と、
を設けたことを特徴とする。
(バイアス制御部)
ここで、バイアス制御部は、
フィルタ用抵抗とフィルタ用コンデンサを備え、電流検出抵抗と電流検出端子と間に接続したローパスフィルタと、
電流検出抵抗と電流検出端子と間に接続したバイアス抵抗と、
バイアス抵抗に並列接続したコンデンサと、
バイアス抵抗及びフィルタ用抵抗を介して電流検出抵抗に所定の定電流を供給して所定のバイアス電圧を発生し、当該バイアス電圧により引き上げた電流検出電圧を電流検出電圧端子に印加する定電流源と、
バイアス抵抗とコンデンサの並列回路に並列接続され、入力電圧低下検出信号によるオンでインピーダンスを変化してバイアス電圧を引き下げ、電流検出電圧端子に印加する電流検出電圧を低下させるスイッチング素子と、
を備える。
(コンデンサの容量)
バイアス抵抗に並列接続したコンデンサの容量を、フィルタ用コンデンサの容量より大きい所定の容量とする。
(定電流源)
バイアス制御部の定電流源を、制御部を構成する制御ICの内部に設ける。
(入力検出部)
入力電圧検出部は、
入力コンデンサの両端電圧を分圧する抵抗分圧回路と、
抵抗分圧回路による分圧電圧を制御端子に入力し、分圧電圧が所定の閾値電圧以下に低下した場合にオンして電圧低下検出信号をバイアス制御部に出力するスイッチング素子と、
を備える。
入力電圧検出部は、更に、
抵抗分圧回路からスイッチング素子に加わる分圧電圧を所定値に制限するツェナーダイオードと、
抵抗分圧回路からスイッチング素子に加わるリップル電圧成分を安定化するコンデンサと、
を備える。
本発明によれば、入力や負荷の急激な変動による入力電圧の低下を入力電圧検出部で検出した場合、バイアス制御部により、電流検出電圧を引き上げて電流検出端子に印加している所定のバイアス電圧を変化させて、最大オンデューティを拡張させるようにしたため、入力コンデンサの容量を大きくすることなく、過電流閾値で決まる最大オンデューティを超えるオンデューティのスイッチングにより、出力電圧のアンダーシュートを抑制して安定化させることができる。
また、入力電圧の低下を検出した場合に、バイアス量を変化して電流検出電圧を引き上げているバイアス電圧を低下させることで、電流検出端子に印加する電流検出電圧を低下させているため、従来のように電流検出抵抗の値を小さくして過電流閾値に達しにくくする必要がなく、過負荷時にも連続的に過大な電流が流れることがなく、電流検知抵抗の損失を抑制し、大電力のスイッチング電源装置にも使用可能とする。
また、バイアス制御部は、バイアス抵抗と並列にコンデンサを接続したことで、ノイズ成分を通過させてローパスフィルタで確実に低減するため、電流検出端子に印加するバイアスされた電流検出電圧の安定度が向上することができる。
また、バイアス抵抗と並列接続するコンデンサの容量を、ローパスフィルタのフィルタ用コンデンサに比べて十分に大きくすることで、電流検出電圧の高入力時においても低入力時においても、フィルタ用抵抗とフィルタ用コンデンサで構成されるローパスフィルタのポール周波数に影響を与えず、安定したフィルタ性能を維持可能とする。
本発明によるスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図 図1の実施形態の動作波形を示したタイムチャート 主スイッチとしてトランジスタを用いた他の実施形態を示した回路ブロック図 入力電圧検出部の実施形態を示した回路ブロック図 入力電圧検出部の他の実施形態を示した回路ブロック図 制御部に定電流源を設けた他の実施形態を示した回路ブロック図 マイナス極性の電流検出電圧を検出する他の実施形態を示した回路ブロック図 従来のスイッチング電源装置を示した回路ブロック図 入力電圧が正常範囲にある場合の従来装置の動作を示したタイムチャート 入力電圧が急激に低下した場合の従来装置の動作を示したタイムチャート
[スイッチング電源装置の構成]
図1は、本発明によるスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
(フライバック方式の絶縁型DC−DCコンバータの概略)
図1に示すように、スイッチング電源装置は、フライバック方式の絶縁型DC−DCコンバータを使用している。直流電源10は例えば商用交流入力を整流し、入力コンデンサ12で平滑して直流電圧を入力している。また商用交流入力の整流平滑回路に続いて昇圧チョッパを追加した場合、直流電源10は昇圧チョッパの出力を示すことになる。
入力コンデンサ12の端子間には、トランス14の1次巻線14a、主スイッチとして機能するFET20、電流検出抵抗22を直列接続して1次側回路を構成している。
トランス14の2次巻線14bに対しては整流ダイオード15と平滑コンデンサ16を接続して2次側回路となる整流平滑回路を設け、続いて負荷18を接続している。
制御ICで実現される制御部30は、帰還入力端子IN、電流検出端子CLM、出力端子OUT及びグランド端子GNDを備える。帰還入力端子INにはアイソレーション機能を備えた帰還回路28を介して2次側から基準電圧に対する出力電圧の誤差に対応した帰還信号が入力される。
制御部30は、出力端子OUTからスイッチング信号を出力してFET20をオンした場合、電流検出端子CLMに入力する電流検出電圧Vcが、帰還入力端子INの帰還信号に比例して定電圧制御のためにそのとき設定している制御閾値Vth1に達した場合、出力端子OUTからスイッチング信号の出力を停止してFET20をオフする制御を行い、FET20のオフ期間中に、トランス14の2次巻線14bから流れる出力電流が零となった場合、出力端子OUTからスイッチング信号を出力してFET20をオンし、次のスイッチングサイクルを開始する制御を行い、これを繰り返す。このように2次巻線14bから流れる出力電流が零となった場合にFET20をオンして次のスイッチングサイクルを開始する動作モードを臨界モードという。
電流検出抵抗22の電流検出電圧は、フィルタ用抵抗24とフィルタ用コンデンサ26で構成するローパスフィルタを介して制御部30の電流検出端子CLMに入力している。
(入力電圧検出部とバイアス制御部の構成)
このような構成に加え、本実施形態にあっては、新たに入力電圧検出部32とローパスフィルタを含むバイアス制御部34を新たに設けている。
入力電圧検出部32は、直流電源10や負荷18の急激な変動に伴う入力電圧の低下を検出して入力電圧低下検出信号Viを出力する。
バイアス制御部34は、制御部30の電流検出端子CLMに、所定のバイアス電圧Vb1により引き上げた電流検出電圧Vcを印加し、入力電圧検出部32から入力電圧低下検出信号Viが出力された場合にバイアス電圧Vb1を変化させて、制御部30に予め設定している過電流閾値Vth2により決まる最大オンデューティαmaxを拡張させる。
更に詳細に説明すると、バイアス制御部34は、フィルタ用抵抗24とフィルタ用コンデンサ26で構成するローパスフィルタを含み、電流検出抵抗22と電流検出端子CLMと間にバイアス抵抗38を接続し、バイアス抵抗38にはコンデンサ40を並列接続している。制御部30の電流検出端子CLM側には定電流源36を接続し、バイアス抵抗38及びフィルタ用抵抗24を介して電流検出抵抗22に所定の定電流Icを供給して所定のバイアス電圧Vb1を発生し、当該バイアス電圧Vb1により引き上げた電流検出電圧Vcを電流検出端子CLMに入力している。
バイアス抵抗38とコンデンサ40の並列回路には、スイッチング素子として機能するFET42のドレインDとソースSを接続し、ソースSとの間に抵抗44を接続したゲートGに入力電圧検出部32から入力電圧低下検出信号Viが入力した場合にFET42をオンし、電流検出抵抗22と制御部30の電流検出端子CLMの間のインピーダンスを変化し、これによりバイアス電圧Vb1をそれより低い所定のバイアス電圧Vb2に引き下げてバイアス量を低減させる。
このため電流検出端子CLMに印加する電流検出電圧Vcが低下し、過電流閾値Vth2に電流検出電圧Vcが達しにくくなり、過電流閾値Vth2で決まる所定の最大オンデューティαmaxを超えるオンデューティとするFET20のスイッチング制御(オンデューティ拡張制御)を可能とする。
ここで、バイアス抵抗38に並列接続したコンデンサ40は、ローパスフィルタのフィルタ用コンデンサ26に比べて容量を十分に大きくすることで、電流検出電圧の高入力時においても、低入力時においても、フィルタ用抵抗24とフィルタ用コンデンサ26で構成されるローパスフィルタのポール周波数(カットオフ周波数fc)に影響を与えないようにする。
定電流源36は、入力電圧検出部32から電圧低下検出信号Viが出力されずにFET42がオフの場合、バイアス抵抗38、フィルタ用抵抗24及び電流検出抵抗22からなる直列抵抗回路に所定の定電流Icを流すことで、バイアス抵抗38、フィルタ抵抗24及び電流検出抵抗22の抵抗値をR38、R24、R22とした場合、次の式(1)で示す所定のバイアス電圧Vb1を制御部30の電流検出端子CLMに発生させる。
Vb1=Ic×(R38+R24+R22) 式(1)
一方、入力電圧検出部32から電圧低下検出信号Viが出力されてFET42をオンした場合、バイアス抵抗38の短絡により、その抵抗値R38が零となることから、FET42のドレイン・ソース間電圧をVDSとすると、次の式(2)で示す所定のバイアス電圧Vb2を制御部30の電流検出端子CLMに発生させる。
Vb2=VDS+Ic×(R38+R22) 式(2)
ここで、FET42がオフしている場合にバイアス抵抗R38で発生するバイアス電圧(Ic×R38)と、FET42のオンによるバイアス抵抗R38の短絡で発生するバイアス電圧VDSの間には、
(Ic×R38)>VDS
の関係にあることから、FET42をオンすることで、バイアス量を減少し、過電流閾値Vth2によるオンデューティ制限値に達するまでに必要なFET20のオンによる電流増加の時間を長くし、オンデューティ制限値を大きくすることで、出力電力をより多く2次側へ供給可能とする。
(最大オンデューティ拡張制御)
図2は図1の実施形態による制御動作を示したタイムチャートであり、図2(A)は電流検出端子CLMに入力する電流検出電圧Vcを示し、図2(B)は主スイッチとして機能するFET20の動作を示し、図2(C)は入力電圧検出部32に入力する入力電圧を示し、図2(D)は入力電圧検出部32が出力する入力電圧低下検出信号Viを示し、図2(E)はバイアス制御部34のFET42の動作を示す。
図2に示すように、時刻t1までは入力電圧検出部32からの入力電圧低下検出信号Viは得られておらず、バイアス制御部34のFET42はオフであり、このため前記式(1)によるバイアス電圧Vb1が生成され、FET20のオンにより流れて直線的に増加する1次電流が電流検出抵抗22で検出され、これをバイアス電圧Vb1で引き上げた電流検出電圧Vcとして電流検出端子CLMに入力する。
この場合、2次側からの帰還信号に比例して設定した制御閾値Vth1が過電流閾値Vth2に一致した場合を例にとっており、このためバイアス電圧Vb1により引き上げられた電流検出電圧Vcが過電流閾値Vth2(=Vth1)に達したときにFET20をオフし、FET20のオフ期間中に、点線で示す2次側の出力電流が零に達すると、FET20をオンして次のスイッチングサイクルを開始する。
この場合、FET20のオフ期間中に入力電圧が低下を始め、時刻t1で低下検出用の所定の電圧閾値Vth3に低下し、これにより入力電圧検出部32が電圧低下検出信号Viを出力し、バイアス制御部34のFET42をオンし、それまでのバイアス電圧Vb1を、前記(2)式によるバイアス電圧Vb2に切り替え、バイアス量が低下する。
このため入力電圧の低下に伴う出力電圧の低下に対し2次側からの帰還信号に比例して過電流閾値Vth2を下回る制御閾値Vth1が設定されるが、このときバイアス量を下げたバイアス電圧Vb2によりバイアスされた電流検出抵抗22からの電流検出電圧Vcが電流検出端子CLMに入力して直線的に増加し、制御閾値Vth1に達した場合にFET20をオフし、FET20のオフ期間中に2次側の出力電流が零に達すると、FET20をオンして次のスイッチングサイクルを開始する動作を繰り返す。
このバイアス電圧Vb2へバイアス量を下げることで、FET20のスイッチング制御によるオンデューティは、過電流閾値Vth2により決まる最大オンデューティαmaxを超えて拡張し、1次側から2次側へ電力をより多く供給し、入力電圧が急激に低下による出力電圧のアンダーシュートを抑制し、出力電圧を安定化させることができる。
[主スイッチにトランジスタを用いた実施形態]
図3はスイッチング電源装置の他の実施形態を示した回路ブロック図であり、この実施形態は、バイアス制御部のスイッチング素子にトランジスタを用いたことを特徴とする。
図3に示すように、本実施形態のスイッチング電源装置は、直流電源10、入力コンデンサ12、1次巻線14aと2次巻線14bを備えたトランス14、整流ダイオード15、平滑コンデンサ16、負荷18、主スイッチ素子として機能するFET20、電流検出抵抗22、帰還回路部28、制御部30、入力電圧検出部32、フィルタ用抵抗24とフィルタ用コンデンサ26を備えたローパスフィルタを含むバイアス制御部34で構成し、これらは図1の実施形態と同じになることから同じ番号を付してその説明は省略する。
本実施形態では、バイアス制御部34のスイッチング素子としてNPNトランジスタ46を使用し、バイアス抵抗38とコンデンサ40の並列回路と並列に、トランジスタ46のコレクタ・エミッタを接続し、そのベースに入力電圧検出部32からの電圧低下検出信号Viを入力し、入力電圧が所定の電圧閾値Vth3以下に低下した場合に、電圧低下検出信号Viによりトランジスタ46をオンし、それまでのバイアス電圧Vb1をバイアス電圧Vb2に引き下げるようにしている。
この場合、バイアス電圧Vi1は、オンしたトランジスタ46のコレクタ・エミッタ間電圧をVCE
とすると、次の(3)式で与えられる。
Vb2=VCE+Ic×(R38+R22) 式(3)
ここで、
(Ic×R38)>VCE
の関係にあることから、NPNトランジスタ46をオンすることで、バイアス量を減少し、過電流閾値Vth2によるオンデューティ制限値に達するまでに必要なFET20のオンによる電流増加の時間を長くし、オンデューティ制限値を大きくすることで、出力電力をより多く2次側へ供給可能とする。
[入力電圧検出部その1]
図4は入力電圧検出部の詳細を示したスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図である。
図4に示すように、本実施形態のスイッチング電源装置は、直流電源10、入力コンデンサ12、1次巻線14aと2次巻線14bを備えたトランス14、整流ダイオード15、平滑コンデンサ16、負荷18、主スイッチ素子として機能するFET20、電流検出抵抗22、帰還回路部28、制御部30、入力電圧検出部32、フィルタ用抵抗24とフィルタ用コンデンサ26を備えたローパスフィルタを含むバイアス制御部34で構成し、これらは図1の実施形態と同じになることから同じ番号を付してその説明は省略する。
入力電圧検出部32は、入力コンデンサ12の両端電圧を抵抗54,56を直列接続した抵抗分圧回路により分圧し、スイッチング素子として機能するFET52のゲート・ソース間に入力している。FET52のドレインは定電圧源48を抵抗50を介して接続することで、所定電圧にプルアップしており、FET52のドレインからバイアス制御部34へ電圧低下検出信号Viを出力している。
抵抗54,56で分圧した分圧電圧がFET52のスレッショルド電圧Vth3を超えている場合、FET52はオンし、定電圧源48を抵抗50を介して零ボルトに引き込み、電圧低下検出信号Viを略零ボルトとし、バイアス制御部34のFET42をオフしている。
入力電圧の低下に伴い抵抗54,56で分圧した分圧電圧がFET52のスレッショルド電圧Vth3以下に低下すると、FET52はオフし、定電圧源48の定電圧を抵抗50を介して電圧低下検出信号Viとして出力し、バイアス制御部34のFET42をオンしてバイアス量を低下させる。
[入力電圧検出部その2]
図5は入力電圧検出部の詳細を示したスイッチング電源装置の実施形態を示した回路ブロック図であり、図4の入力電圧検出部を更に安定化したことを特徴とする。
図5に示すように、入力電圧検出部32に設けた抵抗54,56を直列接続した抵抗分圧回路、スイッチング素子として機能するFET52、FET52のドレインに抵抗50を介して接続した定電圧源48は、図4の実施形態と同じであるが、更に、抵抗分圧回路とFET52の間に、抵抗分圧回路からFET52のゲートに加わる分圧電圧を所定値に制限するツェナーダイオード58と、抵抗分圧回路からFET52のゲートに加わるリップル電圧成分を安定化するコンデンサ62と抵抗60を設けている。
ここで、FET52の入力回路として抵抗分圧回路のみの場合、入力コンデンサ12の容量が小さいときには入力電圧は一定とならず、商用周波数のリップル成分が重畳されることになる。このリップル成分が重畳された入力電圧が抵抗54,56により分圧されFET52のゲートに印加されるため、FET52の動作が安定しないという問題がある。また、入力電圧が大きく上昇した際にFET52のゲートに印加される電圧が上昇するため、FET52のゲート・ソース耐圧を超え、電気的破壊に至る可能性が残る。そこで、本実施形態では、コンデンサ62によりリップル成分を抑圧して安定化し、高電圧が入力した場合にツェナーダイオード58によりFET52のゲート・ソース間電圧VGSの上昇を抑え、入力電圧の低下を検出する精度と安定性を向上可能とする
[定電流源]
図6はスイッチング電源装置の他の実施形態を示した回路ブロック図であり、バイアス制御部に用いる定電流源を、制御部を構成する制御ICに内蔵したことを特徴とする。
図6に示すように、本実施形態のスイッチング電源装置は、直流電源10、入力コンデンサ12、1次巻線14aと2次巻線14bを備えたトランス14、整流ダイオード15、平滑コンデンサ16、負荷18、主スイッチ素子として機能するFET20、電流検出抵抗22、帰還回路部28、制御部30、入力電圧検出部32、フィルタ用抵抗24とフィルタ用コンデンサ26を備えたローパスフィルタを含むバイアス制御部34で構成し、これらは図1の実施形態と同じになることから同じ番号を付してその説明は省略する。
本実施形態にあっては、バイアス制御部34で使用する定電流源36を、制御部30を構成する制御ICに内蔵させている。これにより回路基板上に定電流源13を実現する回路を実装する必要がなくなり、回路構成を簡略化できる。
[電流検出電圧をマイナス極性とした実施形態]
図7はスイッチング電源装置の他の実施形態を示した回路ブロック図であり、本実施形態は、電流検出電圧をマイナス極性で検出することを特徴とする。
図7に示すように、本実施形態のスイッチング電源装置は、直流電源10、入力コンデンサ12、1次巻線14aと2次巻線14bを備えたトランス14、整流ダイオード15、平滑コンデンサ16、負荷18、主スイッチ素子として機能するFET20、電流検出抵抗22、帰還回路部28、制御部30、入力電圧検出部32、フィルタ用抵抗24とフィルタ用コンデンサ26を備えたローパスフィルタを含むバイアス制御部34で構成し、これらは図1の実施形態と同じになることから同じ番号を付してその説明は省略する。
ここで、電流検出抵抗22のFET20側を、制御部30のグランド端子GNDに接続し、電流検出抵抗22のグランド側を、フィルタ用抵抗24及びバイアス抵抗38を介して制御部30の電流検出端子CLMに接続しており、これにより電流検出抵抗22はマイナス極性の電流検出電圧を検出する。
このマイナス極性の電流検出電圧に合せて、定電流源36の向きも逆極性とし、FET42がオフの場合にマイナス極性のバイアス電圧Vb1を発生してバイアスし、またFET42がオンした場合は、バイアス量を低下したマイナス極性のバイアス電圧Vb2に切替えてバイアスし、最大オンデューティを拡張するスイッチング制御を可能としている。
[本発明の変形例]
本発明は、上記の実施形態に限定されず、フライバック方式の絶縁型DC−DCコンバータを用いたスイッチング電源装置であれば、例えば2次側回路を複数設けたマルチ出力型、2次側で同期整流を行う同期整流型などにも適用できる。
また、上記の実施形態は、フライバック方式の絶縁型DC−DCコンバータを使用した場合を例にとっているが、フォワード方式の絶縁型DC−DCコンバータを使用したスイッチング電源装置にも同様に適用できる(確認願います)。
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10:直流電源
12:入力コンデンサ
14:トランス
14a:1次巻線
14b:2次巻線
15:整流ダイオード
16:平滑コンデンサ
18:負荷
20,42,52:FET
22:電流検出抵抗
24:フィルタ用抵抗
26:フィルタ用コンデンサ
28:帰還回路部
30:制御部
32:入力電圧検出部
34:バイアス制御部
36:定電流源
38:バイアス抵抗
40:コンデンサ
42:FET
46:NPNトランジスタ
48:定電圧源
58:ツェナーダイオード

Claims (6)

  1. 直流電圧を入力する入力コンデンサの間にトランスの1次巻線と直列に主スイッチ素子を接続すると共に、前記トランスの2次巻線に対し整流平滑部を接続し、制御部により前記出力電圧を所定電圧に保つように前記主スイッチ素子のオンデューティを制御すると共に、出力電流に応じた電流値を前記1次巻線に直列接続した電流検出抵抗により検出して前記制御部の電流検出端子に入力し、前記検出した電流値が所定の過電流閾値に達した場合に所定の最大オンデューティに固定して電流制限するスイッチング電源装置に於いて、
    入力電圧の低下を検出して入力電圧低下検出信号を出力する入力電圧検出部と、
    前記電流検出端子に所定のバイアス電圧により引き上げた電流検出電圧を印加し、前記入力電圧低下検出信号が得られた場合に前記バイアス電圧を変化させて、前記最大オンデューティを拡張させるバイアス制御部と、
    を設けたことを特徴とするスイッチング電源装置
  2. 請求項1記載のスイッチング電源装置に於いて、前記バイアス制御部は、
    フィルタ用抵抗とフィルタ用コンデンサを備え、前記電流検出抵抗と前記電流検出端子と間に接続したローパスフィルタと、
    前記電流検出抵抗と前記電流検出端子と間に接続したバイアス抵抗と、
    前記バイアス抵抗に並列接続したコンデンサと、
    前記バイアス抵抗及び前記フィルタ用抵抗を介して前記電流検出抵抗に所定の定電流を供給して前記所定のバイアス電圧を発生し、当該バイアス電圧により引き上げた電流検出電圧を前記電流検出電圧端子に印加する定電流源と、
    前記バイアス抵抗と前記コンデンサの並列回路に並列接続され、前記入力電圧低下検出信号によるオンでインピーダンスを変化して前記バイアス電圧を引き下げ、前記電流検出電圧端子に印加する電流検出電圧を低下させるスイッチング素子と、
    を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
  3. 請求項2記載のスイッチング電源装置に於いて、前記バイアス抵抗に並列接続した前記コンデンサの容量を、前記フィルタ用コンデンサの容量より大きい所定の容量としたことを特徴とするスイッチング電源装置。
  4. 請求項2記載のスイッチング電源装置に於いて、前記定電流源を、前記制御部を構成する制御ICの内部に設けたことを特徴とするスイッチング電源装置
  5. 請求項1記載のスイッチング電源装置に於いて、前記入力電圧検出部は、
    入力コンデンサの両端電圧を分圧する抵抗分圧回路と、
    前記抵抗分圧部による分圧電圧を制御端子に入力し、前記分圧電圧が所定の閾値電圧以下に低下した場合にオンして前記電圧低下検出信号を前記バイアス制御部に出力するスイッチング素子と、
    を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
  6. 請求項5記載のスイッチング電源装置に於いて、前記入力電圧検出部は、更に、
    前記抵抗分圧回路から前記スイッチング素子に加わる分圧電圧を所定値に制限するツェナーダイオードと、
    前記抵抗分圧回路から前記スイッチング素子に加わるリップル電圧成分を安定化するコンデンサと、
    を備えたことを特徴とするスイッチング電源装置。
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