JP6417158B2 - 流体ノズル - Google Patents
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Description
特許文献2の整流器は、円筒形状の支持枠部と、この支持枠部に支持された板状の複数の整流板と、を備えている。
このような構成によれば、前記突起は、前記連通路の内周部から中心部に向かって突出して配設されているため、連通路の断面積を広く確保することができるので、整流器の有効断面積が広くなる。このため、大流量の流体がこの整流器を通過したときにも、圧力低下が少ない。
また、突起は、前記流体の流れ方向から見て前記連通路の内周部よりも中心部の幅が狭い形状をなしているため、流体の流速を径方向において均一化させるとともに本体および突起の剛性を向上させることができる。このため、高圧流体を流通させる場合に、整流器が高圧流体の突入又は遮断による衝撃力に耐えることができる。
また、このような構成によれば、前記突起が流入口側に配設され、前記流出口側に前記突起が配設されていない円筒部を備えていることで、突起が配設された流入口側から円筒部に移動する際に連通路を流通する流体の圧力が一旦解放されるため、流れ方向から見て連通路における円周上(周方向)の流速を均一化して整流効果をより向上させることができる。
また、このような構成によれば、整流器によって流速が均一化された流体を前記流体通路に配設された絞りに導入することで、噴出口から噴出された噴流の乱れを抑制して直進性を向上させることができる。
ここで、V字状とは、突起の断面幅が連通路の内周部側で広く、中心部の突起先端側で徐々に狭くなる形状をいい、先端部の形状が鋭角、台形状、又は丸みを帯びているかを問わない。
突起がV字状を成しているため、径方向における連通路の円周方向の断面長さの変化量が小さい。このため、径方向の整流器内の流速が均一となる。また、整流器内を流れる流体の圧力により発生する、突起に作用する内部応力が小さくなり、突起の強度が向上する
本発明の第1実施形態の流体ノズル20(図3参照)に挿入される整流器10を図1から図3に従って説明する。
整流器10は、図1に示すように、枠体状の本体11と、枠体の内部の空洞である連通路14と、連通路14の両端の開口部である流入口12と流出口13と、連通路14の内周面から連通路14に沿って延びて配設される突起15とを備える。
整流器10は、図3に示すように、流体ノズル20の流体通路26内に配設される。
流入口12には、図示しない供給流路から流体が導入され、連通路14を通って流出口13から流体ノズル20の流体通路26へ流れるようになっている。
より好ましくは、突起15と本体11との接続部をなだらかな曲面で接続される。これにより、整流器10が流体通路の配管の曲部直後に配設された場合に、突起15が流体の静圧又は動圧により曲げ応力を受けたときに受ける応力集中を避けることができる。
突起15は、本体11に対して、一体で構成することが望ましい。しかしながら別体で構成しても良い。
整流器10の本体11は流体通路26に嵌挿される。そのため、本体11の内部に設けられた連通路14の軸心と絞り27の軸心が高い精度で一致し、整流器10内を通過した流体が乱れることなく、流体通路26から円錐面26aを通って絞り27へ縮流して導かれる。その流体は噴出口28から噴出する。整流された流体が噴出口28から噴出するため、乱れの少ない噴流J(図5参照)を得ることができる。
本実施形態の整流器10において、円筒形状の枠体である本体11(外径5mm、内径4mm、長さ6mm)と整流作用のあるV字状の突起15(高さ1.4mm)とが一体に成形された整流器について、強度計算を行った。図4は整流器10の外周面を完全固定し、整流器内部に50MPaの内圧が作用した場合を想定してシミュレーションした結果得られる応力コンター図である。もっとも応力が集中する部位は本体11の外周部の端部(エッジ部)であり(P4参照)、最大ミーゼス応力も71MPaと小さい。内圧により発生する応力は円筒形状の本体11に作用するため、突起15への影響は小さく、動圧が作用しても整流効果の変動が小さくなる。応力は、本体11の外周部の端部(エッジ部)で50ないし71MPaと最も大きい(P4参照)。円筒形状の本体11の応力が次に大きく、20ないし50MPaを示す(P3参照)。突起15の基端部では、応力が10ないし20MPaである(P2参照)。突起15の応力は最も小さく、0ないし10MPaを示す(P1参照)。
図5ないし図9に従って、本実施形態の整流器を備えた流体ノズル20から空気中に噴出した噴流Jの流れの構造について説明する。参照する図5は、ワークWに形成された有底の穴Hに噴流Jを噴射して切りくずを洗浄する様子を示す模式的な正面図である。図6から図11は図5のシミュレーション解析図である。シミュレーションは、数値流体解析力学の手法で行い、解析ソフト「PHOENICS」を使用した。流れの状況は有限体積法により算定され、乱流の様子はk−εモデルを用いて算出する。
解析のモデルは、ノズルの流入部の直径は8mm、深さ10mmとして、整流器10の有無、新旧整流器の性能の差を確認した。ノズルのチョーク部径1.7mmから噴射された高圧水は60mm離れた直径8mm深さ20mmのワークWの穴Hに流入する。
このように、本実施形態の整流器10を備えたノズルから噴出する噴流Jは、ワークW内の穴Hへ入射した噴流Jが渦を発生させず、穴Hの内表面に沿ってやや広がりながら円筒状に排出されるため、跳ね返りが噴流Jに与える影響は非常に少ない。また、跳ね返った水が乱れずに排出されるため、穴Hの壁面に付着した付着物が良好に排出される。
本実施形態の整流器10を備えた流体ノズル20をノズル移動式の数値制御式の洗浄装置(スギノマシン製Spa−Clean Jet(商標))に組込み、機械部品を空気中で洗浄した。対象とした機械部品は、自動車用トランスアクスル箱体である。箱体表面には多くのねじ穴が設けられている。そして、穴径に対して40倍程度の深さをもつ深孔を複数備える。深孔は交差しており、複雑な形状を成す。箱体の表面、穴内部には箱体を切削加工した際に生じた切りくずが多量に残されている。この洗浄装置は、流体ノズル20から高圧噴流を噴出しながら、このような箱体の穴に対して流体ノズル20の絞りが対面するような位置に流体ノズル20を移動させ、箱体を洗浄する。このときの洗浄結果を表1に示す。表1の比較例1は、整流器10を備えないノズル200(図8と図9参照)を使用した場合の洗浄結果である。
ノズル径1.7mmの本実施形態の整流器10を備えた流体ノズル20、及びノズル径1.7mmの整流器を挿入しない流体ノズル200を下向きの直管に取付け、噴射圧力20MPaで噴射したときの噴流の衝撃力を、受圧面φ20で測定した。測定した結果を表2に示す。
本実施形態の整流器10を設けた場合、流路方向と同軸にノズルを取付けた場合(表2)と、流路方向と垂直にノズルを取付けた場合(表3)とにおいて、距離に対する衝撃力が大きく変わらなかった。これは、本実施形態の整流器10が高い整流機能を備えることを示す。
図10と図11に従って、本発明の第2実施形態の整流器30を備える流体ノズル40を説明する。流体ノズル40は、その内部に流体通路46を備えるノズル本体41と、流体通路46内に嵌挿され、絞り37を含む連通路34を備える整流器30と、からなる。
流体通路46の大径部には整流器30が嵌挿される。整流器30の本体31は連通路34を内部に備える円筒形状である。
突起35の先端部は、絞り37の円筒面と同一か、円筒面よりも外周側であることが望ましい。突起35が絞り37の円筒面と同一か、それより外周寄りに位置することにより、突起35を通過した流体が均等に絞り37に流れ込む。
突起35の横断面形状がV字状であることにより、整流器内の流体の流速が均一になる効果は実施形態1と同様である。
整流器30は、ノズル本体41に嵌挿されることで、ノズル噴出口である流出口33がねじ部49と高精度に組付けられる。整流器30は、ノズル本体41と接着される。整流器30はノズル本体41に焼結して固定されても良い。整流器30はノズル本体41に焼き締め、又は圧入により固定することもできる。
なお、以上の実施形態においては、流体ノズル20上流の流体通路26に整流器10を配置したが、整流器10は、流体を整流させる用途に汎用的に利用できる。例えば、整流器10は、流量計の上流に設置することができる。電磁流量計、コリオリ式流量計、差圧式流量計、カルマン渦式流量計、超音波式流量計等の流量計を用いる場合、流量計に流入する流体の乱れが少ないことが要求される。そのため、流量計の流入側に長い距離の直線部を必要とする。しかし、洗浄機などの流体装置は、複雑な機構を狭いスペースに設置することが多い。このため、長い直線部を設けることは困難である。また、長い直線部を設けるために配管の長さが多くなり、製造コストが増大する。そこで、直線部の代替手段として、流量計の上流に整流器10を配置する事が出来る。
11、31 本体
12、32 流入口
13、33 流出口
14、34 連通路
14a 円筒部
15、35 突起
20、40 流体ノズル
21、41 ノズル本体
26、46 流体通路
27、37 絞り
28 噴出口
Claims (2)
- 流体を噴出する流体ノズルであって、
前記流体ノズルの上流部に設けられ、大径部と小径部を持つ流体通路と、
前記流体通路に配設された絞りと、
前記絞りに配設された噴出口と、
整流器であって、
前記大径部に嵌合して挿入され、前記流体を流入する流入口と、前記流体を流出する流出口と、前記流入口と前記流出口とを連通する連通路と、を有する枠体状の本体と、
前記連通路に対して前記流入口側に配設され、前記連通路の内周部から中心部に向かって突出して配設され、前記流体の流れ方向から見て前記連通路の前記内周部よりも前記中心部の幅が狭い形状を有し、前記連通路に沿って延びる複数の突起と、
前記小径部と同じ内径を持ち、前記本体の前記流出口側に設けられ、前記突起が配設されていない円筒部と、
を持つ整流器と、
を備え、
前記突起と前記本体とで区画された前記連通路を通過した流体は、前記円筒部に流れ込んで前記流出口から流出され、
前記流出口から流出された前記流体が前記小径部および前記絞りを通って前記噴出口から噴出する、
流体ノズル。 - 前記突起は、前記流体の流れ方向から見て前記連通路の前記内周部から前記中心部へ向かうにつれて徐々に幅が狭くなるV字状をなしている、
請求項1に記載の流体ノズル。
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