JP2000097211A - 流体用流入管 - Google Patents

流体用流入管

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JP2000097211A
JP2000097211A JP10267039A JP26703998A JP2000097211A JP 2000097211 A JP2000097211 A JP 2000097211A JP 10267039 A JP10267039 A JP 10267039A JP 26703998 A JP26703998 A JP 26703998A JP 2000097211 A JP2000097211 A JP 2000097211A
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fluid
inflow pipe
riblet
shape
convex portion
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JP10267039A
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Fuminori Okamoto
本 史 紀 岡
Fumihiro Arakawa
川 文 裕 荒
Nobuo Naito
藤 暢 夫 内
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摩擦抵抗を減少することができ、かつ容易に
製造することができる流体用流入管を提供する。 【解決手段】 流体用流入管10は管本体11と、管本
体11の内面に固定されたシート体12とを備えてい
る。シート体12は基材34と、基材34の内面に設け
られた凸状部層33とを有している。凸状部層33の内
面には流体の流入方向に沿って延びる複数の凸状部33
aが形成され、この凸状部33aによって流体の摩擦抵
抗が減少する。シート体12は接着層35を介して管本
体11の内面に接合されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば可燃性ガ
ス、水等の流体を流入させるとともに、内壁に生じる摩
擦抵抗を減少させることができる流体用流入管に関す
る。
【0002】
【従来の技術】以前より航空機の燃料消費節減のため、
流体と流体が流れる機体表面との間の摩擦抵抗を減少さ
せる試みが検討されており、リブレットと呼ばれる凹凸
溝を機体表面に取り付けることにより摩擦抵抗が減少す
ることが報告されている。さらに流体を流す管の内壁に
リブレットを適用した例が報告されているが、いずれも
実験室レベルの研究報告であり、管径は小さく、管の内
壁に直接各種のリブレット形状が形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの管は材料のう
ち内壁にあたる部分にリブレット形状を形成した後に、
材料を管状に加工するものであり、材料、大きさ等に大
きな制約がある。また、管の製造に時間とコストを要す
るものである。
【0004】本発明はこのような点を考慮してなされた
ものであり、内壁に生じる摩擦抵抗を減少させることが
でき、容易かつ簡単に製造することができる流体用流入
管を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、流体を流入さ
せる管本体と、管本体内面に、管本体の内面形状に合わ
せた形状に湾曲した状態で固定された柔軟性を有するシ
ート体とを備え、シート体の内面には、流体の摩擦抵抗
を減少させるよう、流体の流入方向に沿って延びる複数
の凸状部が設けられていることを特徴とする流体用流入
管である。
【0006】本発明によれば、流体がシート体内を流入
すると、流体の流入方向に沿って延びる凸状部により流
体の摩擦抵抗が減少する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1乃至図3は本発明によ
る流体用流入管の一実施の形態を示す図である。
【0008】図1乃至図3に示すように、流体用流入管
10は可燃性ガス、または流体等の流体が流入する円筒
状管本体11と、管本体11内面に固定されたシート体
12とを備え、シート体12は管本体11の内面形状に
合わせた形状に湾曲している。
【0009】このうち管本体11としては、鉄管、銅
管、ステンレス管、および塩化ビニル管等が考えられる
が、流体を流入させるものであれば、その材料は特に限
定されない。
【0010】またシート体12は基材34と、基材34
の内面側に設けられ流体の流入方向に沿って延びる複数
の凸状部(リブレット形状)33aを有する凸状部層3
3と、基材34の外面側に設けられ管本体11の内面に
接合される接着層35とからなっている。
【0011】このうち複数の凸状部33aは断面形状が
三角形となっており、各々流体の流入方向に沿って互い
に平行に延びるとともに流体の摩擦抵抗を減少させるよ
う機能するようになっている。
【0012】ここで、凸状部(リブレット形状)33a
について説明をする。リブレットの性能をあらわすこと
は、リブレットの形状、流体の流量、速度、レイノルズ
数が関与するため、非常に難しい。これらの要素を含
め、一義的にリブレットの性能を示す値として、無次元
リブレット高さh+を以下のように定義する。
【0013】 h+=hUτ/ν ・・・・・・・・・・(1) hはリブレットの高さ(μm)、Uτ(m/s)は摩擦
速度、ν(m2/s)は流体の動粘性係数である。
【0014】νは管を流す流体によって定まる定数であ
り、空気の場合1.51×10-5、ガスの場合1.17
×10-5である。Uτは管の摩擦抵抗係数と流体の流量
とを測定することにより求めることができる値である
(実施例参照)。本発明ではh+が1〜20範囲である
ことが好ましく、さらに好ましくは1.5〜16、8〜
15では非常に好ましく、最も好ましくは12〜13で
ある。
【0015】シート体12としては、管本体11の管径
に応じて適度な曲げ適性(柔軟性)を有していることが
必要であるが、一方で管本体11に配置する際の取り扱
い易さを考えて適度なコシを有していることが望まし
い。使用する材質等によって異なるが、一般的にシート
体12の厚さとしては全体として50μm〜1mmであ
ることが好ましい。
【0016】シート体12の材質は、管内に使用じる圧
力、温度変化、衝撃や流れる流体により化学的に劣化す
ることがなく、またリブレット形状33aの変形や管本
体11からの剥がれ等によりその効果が著しく低下する
ことがないような耐性を有していることが必要である。
【0017】ここで基材34の材料としては、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメタアクリル
酸メチル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポ
リ塩化ビニル、ポリメチルペンテン、ポリビニルアセタ
ール、セルローストリアセテートなどの有機材料を用い
ることができるが、上記に限らず適度な柔軟性を有する
材料であれば金属箔等の材料でも良く特に限定されるも
のでは無い。
【0018】また凸状部(リブレット形状)33aを有
する凸状部層33の材料としては、例えば電離放射線硬
化性樹脂が考えられる。
【0019】また、図3に示すような基材34上にリブ
レット形状33aを有する凸状部層33を設けたシート
体12の製造方法としては、熱プレス後、紫外線硬化で
固定する方法(特開昭61−156273号公報記
載)、電離放射線硬化性樹脂液を用いた輪転キャスティ
ング成型法(米国特許第4676850号、米国特許第
3689346号、特開平3−223883号等に記
載)、あるいは特開平5−1699015号公報に開示
されているような方法が考えられる。
【0020】すなわち特開平5−1699015号公報
において、所望のリブレット形状33aに対して逆形状
の凹部(正確には凹凸形状)を有するロール凹版に電離
放射線硬化性樹脂液を充填装置から充填し、ロール凹版
に基材34を重ねて、そのまま紫外線や電子線等の電離
放射線を基材34側から照射して、電離放射線硬化性樹
脂液を硬化させる。その後、基材34を硬化した樹脂と
共にロール凹版から剥離することにより、硬化した電離
放射線硬化性樹脂が、所望のリブレット形状33aを有
する凸状部層33を形成し、このようにしてシート体1
2を得ることができる。
【0021】この時、凸状部層33と基材54との間に
必要に応じて接着層を設けて密着性を上げることも可能
である。その場合の接着層組成物としては、熱可塑性樹
脂と反応硬化型樹脂組成物からなる樹脂組成物が特に好
ましく用いられる。
【0022】上記の接着層組成分のうち熱可塑性樹脂を
主成分とするものには、線状ポリエステル、ポリウレタ
ン、アクリル系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアミ
ド、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体などに、所望に
応じて可塑剤や光安定剤を加えたバインダーを使用する
ことができる。
【0023】また、反応硬化型の樹脂組成物のバインダ
ーには、ポリエステルポリオール・ポリイソシアネー
ト、ポリエーテルポリオール・ポリイソシアネート、ポ
リアクリルポリール系ポリオール・ポリイソシアネー
ト、エポキシ・ポリイソシアネートの他、電離放射線硬
化型樹脂を使用することもできる。
【0024】そして、ポリイソシアネートには、芳香族
及び/又は脂肪族のジイソシアネートやトリイソシアネ
ートが広く使用される。
【0025】また凸状部層33を構成する電離放射線硬
化型樹脂組成物は、多価アルコールなどの多官能化合物
の(メタ)アクリレート(以下本明細書では、アクリレ
ートとメタアクリレートとを(メタ)アクリレートと記
載する。)などのオリゴマー又はプレポリマー及び反応
性の希釈剤を比較的多量に含むものから構成することが
できる。上記希釈剤としては、エチル(メタ)アクリレ
ート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレ
ン、ビニルトルエン、N−ビニルピロリドンなどの単官
能モノマー、並びに多官能モノマー、例えばトリメチロ
ールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオ
ール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)
アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)
アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アク
リレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレ
ートなどがある。
【0026】更に、凸状部層33を構成する電離放射線
硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用するときは、
これらの中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、
ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、
α−アミロキシムエステル、チオキサントン類や、光増
感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ
n−ブチルホスフィンなどを混合して使用する。
【0027】上記の電離放射線硬化型樹脂には、次の反
応性有機ケイ素化合物を含ませることもできる。
【0028】このような化合物はRm Si(OR′)n
で表せる化合物であり、ここでR、R′は炭素数1〜1
0のアルキル基を表し、m+n=4であり、そしてm及
びnはそれぞれ整数である。更に具体的には、テトラメ
トキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−iso
−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、
テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキ
シシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラ
ペンタエトキシシラン、テトラペンタ−iso−プロポ
キシシラン、テトラペンタ−n−プロポキシシラン、テ
トラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−se
c−ブトキシシラン、テトラペンタ−tert−ブトキ
シシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリ
ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチル
ジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチル
メトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチル
ブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエ
トキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランなどがあげ
られる。
【0029】なお、凸状部層33層は、上記の反応硬化
型樹脂ばかりでなく、熱可塑性樹脂を用いて形成するこ
ともできる。例えば、メチルメタアクリレート、エチル
メタアクリレートなどのアクリル樹脂、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネー
トや、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペン
テンなどのポリハイドロカーボン、6,6ナイロン、6
ナイロンなどのポリアミド、エチレン・酢酸ビニル共重
合体ケン化物、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリ塩化
ビニル、アセチルセルロースなどの熱可塑性樹脂から選
択できる。
【0030】反応硬化型樹脂を用いてリブレット形状3
3aを有する凸状部層33を形成するには、図7に示す
塗工・賦型・硬化工程で行う。すなわち、リブレット形
状33aに対応する凹部88aを有する版胴88に対し
てポンプ87により電離放射線硬化型樹脂82をダイヘ
ッド86を介して送り込み、版胴88に樹脂82を均一
に押し込む。他方、透明基材34を入口ニップ83によ
り版胴88と密着させ、電離放射線照射装置85で電離
線を照射し、硬化した電離放射線硬化型樹脂81と基材
34との接着を行う。そして、出口ニップ84で版胴8
8から基材34に形成した凸状部層33を基材34とと
もに版胴88から剥離し、このようにしてシート体12
を形成する。
【0031】凸状部層33を構成する熱可塑性樹脂は、
適宜に熱安定剤、光安定剤などの添加物を加えた樹脂組
成物を使用する。すなわち、透明基材34に設けた導電
性層に所望に応じて接着を強固にするプライマー層を設
けて、熱可塑性樹脂を加熱溶融状態で押出しコートして
冷却ロールでレンズ状に賦型したり、該熱可塑性樹脂層
を押出しコート・冷却後、再加熱・溶融して賦型したり
することによりリブレット形状33aを有する凸状部層
33を形成することができる。
【0032】また管本体11にシート体12を接合する
為に、シート体12は接着層35を有している。
【0033】接着層35としては、熱活性化接着剤、溶
媒活性化接着剤または感圧接着剤のような材料から選択
できる。例えば有用な接着剤としては、ポリアクリレー
ト接着剤、天然ゴム接着剤、熱可塑性ゴム接着剤が良く
知られており、管中を流れる流体に対して耐性を有し、
圧力、温度変化、衝撃に対しても耐性を有するものが望
ましい。
【0034】接着層35の厚さは特に限定は無いが一般
的には10〜100μmの範囲である。
【0035】なお管本体11とシート体12を接合する
際には、接着層35表面に剥離シートをあらかじめ貼り
合わせておくことにより剥離シートを剥がしながら接合
することができ、より管本体11の接合作業が容易にな
る。
【0036】複数のシート体12を互いにつなぎ目Aで
連結してもよいが、このつなぎ目Aは極力小さくするこ
とが望ましい。また管本体11と管本体11の接合部分
では、リブレット形状33aの断面を合わせて接合する
ことが望ましい。
【0037】なお、シート体12の基材34が接着性を
有していれば、接着層35は必ずしも設けなくてもよ
い。
【0038】次に図4により、シート体12のリブレッ
ト形状33aの代表的な形状を示す。図4は便宜上接着
層35を除いたシート体12を示している。図4に示す
ようにリブレット形状33aとしては、断面が三角形状
のもの(図4(a))、断面が半円形のもの(かまぼこ
体)(図4(b))、または断面が内側に向って湾曲す
る二側辺36を有する三角形のもの(逆かまぼこ体)
(図4(c))のものが考えられる。例えば断面が三角
形状のものでは、図8(a)〜(c)に示されるように
高さh、綾線間隔をsとすると、(a)(h=42μ
m,s=51μm)、(b)(h=250μm,s=3
06μm)、(c)(h=63μm,s=51μm)と
いった形状のものを用いることができる。形状を示する
値として、h/sを用いることができるが、例えば、図
8(a)〜(c)のものではh/sは0.75〜1.2
5である。この他に、リブレット形状33aとして断面
がサインカーブ状、上半部(山部)がサインカーブ状、
下半部(谷部)がV形状、台形状、柱状のものを複数、
その軸線が1次元方向に実質上平行となるように隣接し
て配列して構成してもよい。
【0039】次に図5および図6により本発明の変形例
について説明する。図1乃至図3において、管本体11
として円筒状のものを用いた例を示したが、これに限ら
ず管本体11として角柱状のものを用いてもよい(図
5)。
【0040】またシート体12として、基材34と凸状
部層33と接着層35とを有するものを示したが、シー
ト体12を、内面に設けられた凸状部(リブレット形
状)43aを有する基材44と、基材44の外面側に設
けられた接着層45とから構成してもよい(図6)。
【0041】図6に示すようなシート体12の製造方法
としては、例えば公知の熱プレス法(特開昭56−15
7310号公報記載)などを用いることが可能である。
この場合、シート体12の基材44の材質としては、ポ
リオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、
エチレン/酢酸ビニル重合体、エチレン/アクリル酸エ
チル重合体)、ビニル重合体(例えばポリ塩化ビニル、
塩化ビニル/酢酸ビニル重合体、塩化ビニル/ビニルア
ルコール重合体、ポリ塩化ビニリデン)、ポリウレタン
(例えばポリエステル及びポリエーテルウレタン)、セ
ルロース系(例えば酢酸セルロース)及びポリアミド
(例えばナイロン)等のシートが望ましいが特にこれに
限定されるものでは無い。
【0042】
【実施例】実施例1 次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0043】まずシート体12を次のようにして作製し
た。図3の基材34として厚み125μmのポリエステ
ルフィルムA−4300(東洋紡(株)製商品名)を準
備し、エポキシアクリレートZ9002A(JSR
(株)商品名)を図8(a)に示す断面形状Aを有する
凹版に充填した後、基材34の一方の面に密着して紫外
線を照射して硬化することによりV字状(三角形状)の
リブレット形状33aを有する凸状部層33を形成し
た。
【0044】さらにリブレット形状33aを設けた面と
異なる基材34の他方の面に粘着シートをラミネートし
て接着層35を形成し、リブレット形状33aの稜線と
直交方向に幅246mm、稜線方向と平行方向に1mに
なるようにシートを裁断してシート体12を作成した。
【0045】ここでリブレット形状33aの断面形状A
は二等辺三角形で高さが42μm、綾線間隔が51μm
となっている。
【0046】上記で作成した断面形状Aのリブレット形
状33aを有する2本のシート体12を、外径508m
m、内径492mmの鉄製の円筒状管本体11の軸線方
向にリブレット形状33aの稜線が平行になるように管
本体11の内壁全周に並べ、接着層35で接合してリブ
レット形状33aを有する流体用流入管10を作成し
た。
【0047】次にこのような構成からなる流体流入用管
10に対して摩擦抵抗を測定するための実験を施した。
【0048】実験に使用した装置(図9)は、送風機
2、拡散筒3、整流筒4、縮流筒5、測定部7aを含む
円管7(外径508mm、内径492mm)により構成
されている。円管7部分の全長は8360mmで上流か
ら4000mmまでが静圧測定孔を設けた測定部7aと
なっている。測定部7aは3本の円管から構成されてお
り、壁面静圧を測定するため直径2mmの静圧測定孔を
流れ方向に沿って上面と側面にそれぞれ各35個所、計
70個所設けた。また本実験で使用する本発明による流
体流入管10を上流側より2番目に設置した。この部分
は、管内流れとしては助走区間に相当する。また上流か
ら5360mmの位置に流量を測定するため超音波流量
計8が設置されている。
【0049】実験では壁面静圧の測定には精密微差圧計
(柴田科学器械工業(株)ISP−3−50DS型)を
用いた。この精密微差圧計は沈鐘式という構造を持ち、
微少な圧力でも高い精度で測定することができる。さら
に分銅による較正が簡単に行えるという長所がある。ま
た流量を計測するために用いる超音波流量計((株)オ
ーバルUP1500−G111−10021)は広い流
量範囲を計測することが可能であり、低流量領域におい
ても高精度で測定できる特徴を有している。これらの測
定機器からの信号はA/D変換器を介して直接コンピュ
ータに入力され、測定値が得られる。
【0050】本発明の実験範囲はRe=3.0×105
〜8.5×105 であり、このRe数の範囲において円
管の壁面静圧を測定し、その圧力勾配より摩擦抵抗係数
λを求める。その摩擦抵抗係数としては本発明によるリ
ブレット形状33aを有する流体用流入管10と、リブ
レット形状33aを有しない通常の管との値が求めら
れ、両者の摩擦抵抗係数が比較されて摩擦抵抗係数減少
率が求められる。
【0051】測定により求めた摩擦抵抗係数減少率は以
下のとおりである。
【0052】Reが3×105 となるよう、上記実験装
置に空気を流入させ、リブレット形状33aの図8
(a)に示す断面形状A(2等辺三角形)で高さhが4
2μm、綾線間隔sが51μmを有する本発明による流
体用流入管10と、通常の管との摩擦抵抗係数を求め
た。なお、ここに示したリブレット形状は空気を流入さ
せる前のものであり、空気を流入すると圧力がかかり、
リブレット形状は変形する。次に本発明による流体用流
入管10による摩擦抵抗係数の減少率を求めたところ、
その減少率は2.3%となった。この場合のh+は1.
6であった。
【0053】実施例2 次にリブレット形状33aとして、図8(b)に示す断
面形状Bのものを用いた以外は実施例1と同様にして摩
擦抵抗係数の減少率を求めた。
【0054】ここでリブレット形状33aの断面形状B
は2等辺三角形で高さが250μm、綾線間隔が306
μmとなっている。
【0055】この場合、摩擦抵抗係数の減少率は7.6
%となった。この場合のh+は9.3であった。
【0056】実施例3 次にリブレット形状33aとして、図8(c)に示す断
面形状cのものを用いた以外は実施例1と同様にして、
摩擦抵抗係数の減少率を求めた。ここで、リブレット形
状33aの断面形状cは2等辺三角形で高さhが63μ
m、綾線間隔sが51μmとなっている。この場合、摩
擦抵抗係数の減少率は2.5%となった。この場合のh
+は1.7であった。
【0057】実施例4 実施例1で用いたものと同様な管と実施例2で用いたも
のと同様な管を用いて、Re=3.0×105 〜8.5
×105 において、数点の測定を行なった結果を図10
に示す。
【0058】この図から、h=1.6〜15.6の範
囲において、いずれも摩擦抵抗係数は減少し、その減少
率は2.3〜8.0%の範囲であることがわかった。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、流体がシート体内面に
沿って流れると、凸状部により流体の摩擦抵抗が減少す
る。また凸状部を有するシート体を湾曲させて管本体の
内面形状に合わせた形状とし、このシート体を管本体内
面に固定することにより、凸状部を有する流体用流入管
を容易かつ簡単に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による流体流入管の一実施の形態を示す
斜視図。
【図2】流体用流入管の拡大断面図。
【図3】シート体の拡大断面図。
【図4】リブレット形状を示す図。
【図5】流体流入管の変形例を示す図。
【図6】シート体の変形例を示す図。
【図7】シート体を製造するための製造装置を示す図。
【図8】実施例で用いたリブレット形状の断面を示す
図。
【図9】実施例で用いた実験装置を示す図。
【図10】実施例における摩擦抵抗減少率の結果を示す
図。
【符号の説明】
10 流体用流入管 11 管本体 12 シート体 33 凸状部層 33a,43a 凸状部 34,44 基材 35,45 接着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内 藤 暢 夫 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流体を流入させる管本体と、 管本体内面に、管本体の内面形状に合わせた形状に湾曲
    した状態で固定された柔軟性を有するシート体とを備
    え、 シート体の内面には、流体の摩擦抵抗を減少させるよ
    う、流体の流入方向に沿って延びる複数の凸状部が設け
    られていることを特徴とする流体用流入管。
  2. 【請求項2】シート体の凸状部の断面形状は三角形とな
    っており、かつ式(1)で示される凸状部の無次元リブ
    レット高さh+が1〜20の範囲であることを特徴とす
    る請求項1記載の流体用流入管。 【数1】
  3. 【請求項3】三角形の綾線間隔をs,リブレット高さを
    hとした場合、h/sが0.75〜1.25であること
    を特徴とする請求項2記載の流体用流入管。
  4. 【請求項4】シート体の凸状部の断面形状は三角形とな
    っており、かつ式(1)で示される無次元リブレット高
    さh+が12〜13、かつ三角形の綾線間隔をs,リブ
    レット高さをhとした場合、h/sが0.75〜1.2
    5であることを特徴とする請求項1記載の流体用流入
    管。
  5. 【請求項5】シート体の凸状部の断面形状は、円形とな
    っていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記
    載の流体用流入管。
  6. 【請求項6】シート体の凸状部の断面形状は、内側に向
    って湾曲する二側辺を有する三角形となっていることを
    特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の流体用流入
    管。
  7. 【請求項7】シート体はその外面側に管本体の内面に接
    合される接着層を有することを特徴とする請求項1乃至
    6のいずれか記載の流体用流入管。
  8. 【請求項8】シート体は基材と、基材上に設けられ内面
    に凸状部が形成された凸状部層とからなることを特徴と
    する請求項1乃至7のいずれか記載の流体用流入管。
  9. 【請求項9】シート体は内面に凸状部が形成された基材
    からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記
    載の流体用流入管。
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