図1はコンジット100の一実施例の実施態様を示す斜視図であるが、このコンジットは、長手軸108を有するチャネル106と境を接するライニング104を有するコンジット本体102を含み、このライニングはライニング基部110を含み、ライニングは、このライニング基部と一体構造の隆起マイクロスケール特徴構造112を含む。
本明細書全体を通じて、「コンジット」という用語は、流体を1つの箇所から別の箇所に運ぶことが可能である構造の内部領域を意味する。本明細書全体を通じて、「ライニング」という用語は、コンジットまたはキャビティの内側表面上の被覆を意味する。
隆起マイクロスケール特徴構造112は、そのライニング基部110で測定した平均直径が約1000マイクロメートル未満である(本明細書全体を通じて「マイクロスケール」と呼ばれる)。一実施例として、隆起マイクロスケール特徴構造112は、そのライニング基部110で測定した平均直径が約400マイクロメートル未満でありうる。一実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造112は、そのライニング基部110で測定した平均直径が約50マイクロメートルを超える大きさでありうる。相対的に小さい平均直径を有する隆起マイクロスケール特徴構造112は、この隆起マイクロスケール特徴構造上の流体の流れに対して相対的に低い抵抗を生成することができる。
一実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造112は、そのライニング基部110上でかつそこから離れて延びる平均長さが約10ミリメートル(「mm」)未満でありうる。他の実施例では、隆起マイクロスケール特徴構造112は、そのライニング基部110上でかつそこから離れて延びる平均長さが、約2mm未満でありうる。追加的な実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造112は、そのライニング基部110上でかつそこから離れて延びる平均長さが約10mmを超える大きさでありうる。別の実施例では、隆起マイクロスケール特徴構造112は、そのライニング基部110上でかつそこから離れて延びる平均長さが約16マイクロメートルを超える大きさでありうる。別の実施態様として、隆起マイクロスケール特徴構造112は、そのライニング基部110上でかつそこから離れて延びる平均長さが約1000マイクロメートルと約2000マイクロメートルとの間の範囲内でありうる。
ライニング104は、点線によって模式的に示されたライニング基部110と、概ね長手軸108に向かう方向へライニング基部から延びる隆起マイクロスケール特徴構造112とを含む。本明細書全体を通じて、「ライニング基部」という用語は、隆起マイクロスケール特徴構造の領域の基底にある、コンジットまたはキャビティの内側表面の領域を意味し、隆起マイクロスケール特徴構造はコンジットまたはキャビティ内部の内部チャネルに隣接している。ライニング基部は、コンジットまたはキャビティのライニングの一部を構成する材料の層を含む。隆起マイクロスケール特徴構造112とライニング基部110とを含むライニング104は、一体構造である。本明細書全体を通して、「一体構造」という用語は、隆起マイクロスケール特徴構造112およびライニング基部110のような、そのように説明された本装置要素が、同じ材料の単一で、単体の本体であることを意味する。チャネル106と境を接するライニング104の境界が、例示的な点線114、116、118、および120によって模式的に画定される。コンジット100の端部122、124は、流体(図示せず)が、長手軸108の端部で概ね矢印の方向へコンジット100を通過することを容易にする。コンジット100はコンジット本体102を含む。一実施例として、コンジット本体102およびライニング104は一体構造でありうる。別の実施態様では、長手軸108は、湾曲領域(図示せず)を含んでもよく、ライニング104は概ねその湾曲に追従しうる。実施例として、湾曲は緩慢であってもよいし、または急激な屈曲を含んでもよい。長手軸108も直線領域を含んでもよいし、または長手軸全体が湾曲してもよい。チャネル106は、矢印を有する点線によって表され、長手軸108に対して横断方向へ画定された直径126を有する。一実施態様では、コンジット本体102は、コンジット100が全体的にパイプ形状を有するように、概ね円筒形の外部形状を有しうる。別の実施例(図示せず)として、コンジット本体102は、コンジット100が別の選択された外部形状を有するように、追加的な材料を含みうる。他の実施態様(図示せず)では、コンジット100は、他の構成要素を有する装置と一体化されうる。
図2は、線2−2上で取った、図1に示したコンジット100の上面図である。図1は、チャネル106の直径126が、コンジット100の長手軸108に沿って均一でありうることを示す。別の実施例(図示せず)として、チャネル106の直径126が、長手軸108に沿って異なる位置で2つの異なる値を含みうる。一実施態様(図示せず)では、直径126に関する値が、長手軸に沿って一方または両方の方向へ勾配または別の変化パターンを画定してもよく、実施例として漏斗またはピペット先端を形成する。
一実施態様では、ライニング基部110は、隆起マイクロスケール特徴構造112の超疎水性パターンによって実質的に被覆されうる。「実質的に被覆される」とは、ライニング104が超疎水性挙動を発揮するように、隆起マイクロスケール特徴構造112が、十分な密度を有してライニング基部110上で離間されていることを意味する。本明細書全体を通じて使用される「超疎水性」という用語は、隆起マイクロスケール特徴構造の主体超疎水性パターンが、1センチメートル当たり約70ダイン(「d/cm」)よりも大きい表面張力を有する液体によって即座に湿潤されることがないこと、および約28d/cmよりも大きい表面張力を有する液体によって即座に湿潤されえないことを意味する。一実施例として、約28d/cmの表面張力を有するアルコールは、本明細書に開示された隆起マイクロスケール特徴構造の超疎水性パターンを即座に湿潤することができない。
一実施例として、隆起マイクロスケール特徴構造112は、最も近傍の隣接する隆起マイクロスケール特徴構造112間の平均間隔(「ピッチ」)が、約1マイクロメートルと約1mmとの間の範囲内にあるように、ライニング基部110上のパターンで配置されうる。別の実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造112は、最も近傍の隣接する隆起マイクロスケール特徴構造112間の平均ピッチが、約0.2mmと約0.6mmとの間の範囲内にあるように、ライニング基部110上のパターンで配置されうる。他の実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造112が、無作為に離間されてもよいし、均一に離間されてもよいし、またはライニング基部110上で画定されたパターンもしくは勾配で離間されてもよい。
隆起マイクロスケール特徴構造112は、任意選択の1つまたは複数の断面形状を有してもよく、このような断面は、ライニング基部110(そこから隆起マイクロスケール特徴構造が長手軸108に向かって延びる)の一部に対して概ね横断方向へ隆起マイクロスケール特徴構造を通る横断面として画定される。実施例として、このような断面形状には、単独でまたは組合せで、支柱、刃、犬釘状突起、角錐形、正方形、爪、および畝が含まれうる。適切な断面形状が、例えば、米国特許第7048889号として2006年5月23日に交付され、ここでその全体が参照によって本明細書に組み込まれる「Dynamically Controllable Biological/Chemical Detectors Having Nanostructured Surfaces」と題された米国特許出願第10/806543号の図1A〜Eおよび3A〜Cに示されている。他の適切な断面形状が、2006年3月23日出願の「Super−Phobic Surface Structures」と題され、ここでその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第11/387518号に開示されている。
超疎水性パターンの形成に加えて、隆起マイクロスケール特徴構造112は、集合的に熱絶縁体としても機能しうる。一実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造112は、この隆起マイクロスケール特徴構造の長さに沿ってサイズが変化する断面形状を有しうる。一実施例として、このような可変断面形状は、隣接する隆起マイクロスケール特徴構造間に空虚な空間を画定することができる。この空虚な空間は、熱絶縁体として機能するために、隆起マイクロスケール特徴構造112の超疎水性パターンの有効性を増大することができる。
一実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造112は、ライニング基部110で測定した約200マイクロメートル×200マイクロメートルの平均平方寸法の直角錐形を有してもよく、隆起マイクロスケール特徴構造112は、約200マイクロメートルのピッチで、ライニング基部110上にあり、かつそこから離れて約2000マイクロメートルの平均長さだけ延びる。別の実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造112は、ライニング基部110で測定した約200マイクロメートル×200マイクロメートルの平均寸法の正方形形状を有してもよく、隆起マイクロスケール特徴構造112は、約600マイクロメートルのピッチで、ライニング基部110上にあり、かつそこから離れて約1500マイクロメートルの平均長さだけ延びる。他の実施例として、隆起マイクロスケール特徴構造112は、ライニング基部110で測定した約200マイクロメートル×200マイクロメートルの平均寸法の正方形形状を有してもよく、隆起マイクロスケール特徴構造112は、約600マイクロメートルのピッチで、ライニング基部110上にあり、かつそこから離れて約1000マイクロメートルの平均長さだけ延びる。追加的な実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造112は、ライニング基部110で測定した約200マイクロメートル×200マイクロメートルの平均寸法の正方形形状を有してもよく、隆起マイクロスケール特徴構造112は、約500マイクロメートルのピッチで、ライニング基部110上にあり、かつそこから離れて約1500マイクロメートルの平均長さだけ延びる。他の実施例として、隆起マイクロスケール特徴構造112は、ライニング基部110で測定した約200マイクロメートル×200マイクロメートルの平均寸法の正方形形状を有してもよく、隆起マイクロスケール特徴構造112は、約500マイクロメートルのピッチで、ライニング基部110上にあり、かつそこから離れて約1000マイクロメートルの平均長さだけ延びる。別の実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造112は、ライニング基部110で測定した約200マイクロメートル×200マイクロメートルの平均寸法の正方形形状を有してもよく、隆起マイクロスケール特徴構造112は、約400マイクロメートルのピッチで、ライニング基部110上にあり、かつそこから離れて約1000マイクロメートルの平均長さだけ延びる。他の実施例として、隆起マイクロスケール特徴構造112は、ライニング基部110で測定した約100マイクロメートル×200マイクロメートルの平均寸法の爪形状を有してもよく、隆起マイクロスケール特徴構造112は、約400マイクロメートルのピッチで、ライニング基部110上にあり、かつそこから離れて約1000マイクロメートルの平均長さだけ延びる。隆起マイクロ特徴構造112に関する寸法およびピッチのこれらの同じ実施例は、図3〜5に関連して以下で論じられる隆起マイクロスケール特徴構造312を形成する際にも利用可能である。
コンジット100のライニング104を形成するための材料は、機械的に強靱な中実本体を形成するのに適切な選択された重合体を生成する前駆物質試薬を含みうる。一実施態様では、重合体材料用の前駆物質が、1つには、得られる重合体の相対的な柔軟性または剛性に応じて選択されうる。実施例として、コンジット100は、コンジット100に選択された最終用途に応じて剛性または柔軟性重合体を含みうる。別の実施態様では、生体適合性重合体用の前駆物質が選択可能である。一実施例として、ポリエチレンが生体適合性である。固体状態で適用される材料を使用するラピッド・プロトタイプ布設法(以下で論じられる)の場合では、狭い粒子サイズ分布を有する重合体粒子が、一実施例として選択可能である。別の実施例では、相対的に小寸法を有する隆起マイクロスケール特徴構造が製造されうるように、相対的に小さい平均粒子サイズを有する重合体粒子が選択されうる。以下でさらに論じられるように、インクジェット法または他の流体噴霧法が、ライニング104を形成する材料の布設に選択される場合には、試薬が、液体のような流体の形態で提供されうる。
コンジット100のライニング104を形成するための材料には、モノマー、オリゴマー、プレポリマー、および重合体ばかりでなく、硬化剤および他の重合化添加剤も含まれうる。使用または形成されるべき適切な重合体には、ポリエチレン、ポリプロピレン、および共重合体のようなポリオレフィン;アクリル系重合体;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(「ABS」)重合体;ポリカーボネート(「PC」);PC−ABS;メタクリル酸メチル;メタクリル酸メチル−ABS共重合体(「ABSi」);ポリフェニルサルホン;ポリアミド;ならびにフッ化エチレンプロピレン共重合体およびテフロン(登録商標)フッ素化炭化水素重合体のようなフッ素重合体が含まれうる。一実施例として、活性親水性部分の最小濃度を有する重合体が選択可能である。添加剤が、ライニング104の全体的な柔軟性を増大するために選択可能である。一実施例では、選択された重合体と適合可能であるが、相対的に低い分子重量を有する分子が、柔軟化添加剤として使用可能である。ポリエチレン重合体では、一実施態様として、低分子重量の直鎖炭化水素ワックスが、柔軟化添加剤として使用可能である。別の実施例では、過フッ素化炭化水素ワックスのようなハロゲン化炭化水素が、このような添加剤として使用可能である。別の実施態様では、アクリル樹脂、アクリル酸ウレタン、ビニルエーテル、アクリル酸エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、および塩化ビニル重合体のような紫外線硬化性重合体が使用可能である。適切な重合体組成物には、55344ミネソタ州イーデン・プレーリー市(Eden Prairie)ドクターマーチン(Martin Dr.)14950在のストラータシス・インコーポレイテッド社(Stratasys Inc.)および55344ミネソタ州イーデン・プレーリー市ウォーレス・ロード(Wallace Rd.)8081在のレッドアイRPM社(Redeye RPM)から市販のラピッド・プロトタイピング重合体が含まれうる。一実施態様では、ライニング104を形成するために使用される同じ材料が、コンジット本体102を形成するために使用されうる。
図3はキャビティ300の例示的な実施態様を示す斜視図であるが、このキャビティは、キャビティの少なくとも一部を取り囲むキャビティ本体302を含み、このキャビティは、長手軸308を有するチャネル306と境を接するライニング304を有し、このライニングはライニング基部310を含み、ライニングは、このライニング基部と一体構造の隆起マイクロスケール特徴構造312を含む。ライニング304は隆起マイクロスケール特徴構造312を含む。
隆起マイクロスケール特徴構造312は、そのライニング基部310で測定した平均直径が約1000マイクロメートル未満である。一実施例として、隆起マイクロスケール特徴構造312は、そのライニング基部310で測定した平均直径が約400マイクロメートル未満でありうる。一実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造312は、そのライニング基部310で測定した平均直径が約50マイクロメートルを超える大きさでありうる。
一実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造312は、そのライニング基部310上でかつそこから離れて延びる平均長さが約10mm未満でありうる。他の実施例では、隆起マイクロスケール特徴構造312は、そのライニング基部310上でかつそこから離れて延びる平均長さが約2mm未満でありうる。追加的な実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造312は、そのライニング基部310上でかつそこから離れて延びる平均長さが約10mmを超える大きさでありうる。別の実施例では、隆起マイクロスケール特徴構造312は、そのライニング基部110上でかつそこから離れて延びる平均長さが約16マイクロメートルを超える大きさでありうる。別の実施態様として、隆起マイクロスケール特徴構造312は、そのライニング基部310上でかつそこから離れて延びる平均長さが約1000マイクロメートルと約2000マイクロメートルとの間の範囲内でありうる。
ライニング304は、点線によって模式的に示されたライニング基部310を含み、この基部から隆起マイクロスケール特徴構造312が概ね長手軸308へ向かう方向へ延びる。また隆起マイクロスケール特徴構造312は、概ねキャビティ300の開口端316に向かう方向へライニング304の床面314から延びる。ライニング基部310と隆起マイクロスケール特徴構造312とを含むライニング304は、一体構造である。チャネル306と境を接するライニング304の境界が、例示的な点線318、320、322、および324によって模式的に画定される。キャビティ300の開口端316は、流体(図示せず)が、概ね長手軸308上の矢印の方向でキャビティ300に流入しかつそこから流出することを容易にする。キャビティ300はキャビティ本体302を含む。一実施例として、キャビティ本体302と、ライニング基部310および隆起マイクロスケール特徴構造312を含むライニング304とは、一体構造でありうる。
一実施例(図示せず)として、このようなライニング304が、キャビティ開口部の平面から半球の周囲に垂直に突出する軸を含む全体的に半球形状を有してもよい。別の実施態様では、長手軸308が湾曲領域(図示せず)を含んでもよく、ライニング304は、得られる湾曲に概ね追従する。実施例として、湾曲は緩慢であってもよいし、または急激な屈曲を含んでもよい。また長手軸308は、直線領域を含んでもよいし、または長手軸全体が湾曲してもよい。チャネル306は、矢印を有する点線によって表され、長手軸308に対して横断方向へ画定される直径326を有する。チャネル306の直径326は、キャビティ300の長手軸308に沿って均一でありうる。別の実施例(図示せず)として、チャネル306の直径326は、長手軸308に沿って異なる位置で2つの異なる値を含みうる。一実施態様(図示せず)では、直径326に関する値が、長手軸に沿って一方または両方の方向へ勾配または別の変化パターンを画定してもよく、実施例としてフラスコまたはボウルを形成する。
一実施態様では、ライニング基部310が、隆起マイクロスケール特徴構造312の超疎水性パターンによって実質的に被覆されうる。「実質的に被覆される」とは、ライニング304が超疎水性挙動を発揮するように、隆起マイクロスケール特徴構造312が、十分な密度を有してライニング基部310上で離間されていることを意味する。
一実施例として、隆起マイクロスケール特徴構造312は、最も近傍の隣接する隆起マイクロスケール特徴構造312間の平均ピッチが、約1マイクロメートルと約1mmとの間の範囲内にあるように、ライニング基部310上のパターンで配置されうる。別の実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造312は、最も近傍の隣接する隆起マイクロスケール特徴構造312間の平均ピッチが、約0.2mmと約0.6mmとの間の範囲内にあるように、ライニング基部310上のパターンで配置されうる。他の実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造312が、無作為に離間されてもよいし、均一に離間されてもよいし、またはライニング基部310上に画定されたパターンもしくは勾配で離間されてもよい。
一実施例として、キャビティ本体302が追加的な材料(図示せず)と一体化されるように、キャビティ300は、より大きい装置(図示せず)に組み込まれてもよい。一実施態様では、複数のキャビティ300が、相互に平行の離間アレイで位置合わせされたそれらの長手軸308を有してもよく、各キャビティ300は開口端316を有し、これらの開口端は平面328内で位置合わせされる。一実施例として、平面328は、円形壁330に沿ってキャビティ本体302と交差してもよい。一実施例として、96個のキャビティ300が、生物学的および化学的試験を実行する際に利用するために標準的な96ウェルのマイクロウェル・プレートを集合的に形成しうる。一実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造312は、水性相試験の完了後に、キャビティ300からの試薬の自己浄化を容易化することができる。
隆起マイクロスケール特徴構造312は、図1に関連して先に論じられたものと同じ様態で、任意選択の1つまたは複数の断面形状を有してもよく、このような断面は、ライニング基部310(そこから隆起マイクロスケール特徴構造が長手軸308に向かって延びる)の一部に対して概ね横断方向へ隆起マイクロスケール特徴構造を通る横断面として画定される。超疎水性パターンの形成に加えて、隆起マイクロスケール特徴構造312は、集合的に熱絶縁体としても機能しうる。一実施態様では、隆起マイクロスケール特徴構造312は、この隆起マイクロスケール特徴構造の長さに沿ってサイズが変化する断面形状を有しうる。一実施例として、このような可変断面形状は、隣接する隆起マイクロスケール特徴構造間に空虚な空間を画定することができる。この空虚な空間は、熱絶縁体として機能するために、隆起マイクロスケール特徴構造312の超疎水性パターンの有効性を増大することができる。
図1のライニング104を形成するための、上で論じられたものと同じ材料が、ライニング304を形成するために使用される。一実施態様では、キャビティ本体302を形成するためにもこの同じ材料が使用されうる。
図4は、線4−4上で取った、図3に示したキャビティ300の上面図である。図4は、ライニング基部310上の隆起マイクロスケール特徴構造312の様々な向きを示す。図5は、線5−5上で取った、図3に示したキャビティ300の床面314の断面図である。図5は、ライニング304の床面314を形成するライニング基部310の一部上の数多くの隆起マイクロスケール特徴構造312を示す。ライニング304の床面314上の隆起マイクロスケール特徴構造312が図4および5に隆起輪郭として示されているが、それらの多くは、線4−4または線5−5上の実際の眺めでは、上から見下ろして点として見られる。
図6は、基部上に隆起マイクロスケール特徴構造の超疎水性パターンを有し、基部および隆起マイクロスケール特徴構造が一体構造である装置を製造する方法600の一実施態様の実施例を示す流れ図である。本方法はステップ602から始まり、ステップ604で、3次元(「3−D」)グラフィックス・デザイン電子データファイルが、基部と一体構造の隆起マイクロスケール特徴構造の超疎水性パターンを有する装置に提供される。一実施態様では、方法600を利用して、図1および2に関連して上で論じられたコンジット100を製造する。3−Dグラフィックス・デザインは、コンピュータ援用設計(「CAD」)としても知られる、3−Dグラフィックス・コンピュータ・プログラムを使用して創出されうる。実施例として、94903カリフォルニア州サンラフェル市(San Rafael)マキニス・パークウェイ(McInnis Parkway)111在のオートデスク・インコーポレイテッド社(Autodesk Inc.)から市販の3ds Max surface modeling programが使用可能である。別の実施態様では、02494マサチューセッツ州ニーダム市(Needham)ケンドリック・ストリート(Kendrick St.)140在のパラメトリック・テクノロジー・コーポレーション社(Parametric Technology Corporation)から市販のPRO/Engineer solid modeling programが使用可能である。
ステップ606で、3−Dグラフィックス・デザイン・データファイルが、選択された3−Dラピッド・プロトタイプ製造(「RPF」)装置と互換性のあるフォーマットを有する電子データファイルへ変換されうる。ステップ608で、この3−Dグラフィックス・データファイルは、選択された3−Dラピッド・プロトタイプ製造装置に入力される。
一実施態様では、次いで、3−Dラピッド・プロトタイプ製造装置を使用して、ライニング基部110および隆起マイクロスケール特徴構造112を一体構造として製造するための材料を含む、コンジット用の構築材料の層を連続的に布設することによって、3−Dグラフィックス・データファイルをコンジット100へ変換する。
方法600によってコンジット100を製造するために使用するように選択可能である市販のRPF装置によって実施される布設法の実施例の中には次のものがある。すなわち、熱的相変化インクジェット堆積、光重合体相変化インクジェット堆積、ステレオリソグラフィ(「SLA」)、ソリッドグラウンド硬化(「SGC」)、選択的レーザ焼結(「SLS」)、溶融堆積モデリング(「FDM」)、積層物体製造(「LOM」)、および3−Dプリンティング(「3DP」)である。これらの方法のそれぞれが、支持体表面上にコンジット100用の構築材料の薄い層の連続的な布設を伴いうる。支持体表面は、固体プラットフォームまたは構築材料が浮遊させられる液体表面でありうる。構築材料が支持体表面上方の離間された位置に布設される必要がある場合に、支持体材料(その上に、離間された構築材料が引き続いて堆積されうる)は、当該目的のために必要とされる時点および箇所で布設され、それを後で除去するように配置される。実施例として、支持体材料は、熱によって除去可能なワックスまたは選択的に溶解可能な材料でよい。
これらの方法のそれぞれが、液体または固体の形態にある構築材料を布設する。液体の形態にある構築材料の布設を伴う方法には、熱的相変化インクジェット、光重合体相変化インクジェット、およびSLA法が含まれる。インクジェット法の利用は、インクジェットから噴霧された液体構築材料の固化が最小限の空隙形成で生じうるので、相対的に高品質のコンジット100が製造されることになる。しかも、インクジェットから噴霧された液体構築材料は、相対的に小寸法を有する隆起マイクロスケール特徴構造の製造を可能にする粒子サイズのような、非常に小さい粒子サイズを有しうる。しかし、隆起マイクロスケール特徴構造に関する最小実現可能寸法は、インクジェット・システムにおける液体構築材料の流動力学的特性によって限定されうる。熱的相変化インクジェット装置は、インクジェットと適合性がありかつ冷却時の固化に適切である限定された種類の構築材料を使用することが可能であり、それは相対的に強靱であるが脆性のコンジット100を生み出しうる。光重合体相変化インクジェット装置は、インクジェットと適合性がありかつ紫外光に曝すと硬化するのに適切であるより広い種別の構築材料を使用することが可能であり、それは剛性または相対的に柔軟性のコンジット100を生み出しうる。一実施態様では、91355カリフォルニア州ヴァレンシア市(Valencia)アヴェニューホール(Avenue Hall)26081在の3Dシステムズ・インコーポレイテッド社(3D−Systems,Inc.)から市販のInVision HR 3−D Printerが使用可能であり、ステップ606で、最初の3−Dグラフィックス電子データファイルが、STLファイル・フォーマットに変換されうる。一実施例として、3Dシステムズ・インコーポレイテッド社から市販のVisiJet(登録商標)HR−200 Plastic Materialが、構築材料として使用可能である。VisiJet(登録商標)HR−200 Plastic Materialは、トリエチレングリコールジメチル酸エーテル、アクリル酸ウレタン重合体、およびモノメタクリル酸プロピレングリコールを含む。SLAは液体光重合体を使用することができるが、その建浴槽の上方で紫外光レーザが掃引可能であり、液体光重合体の固化層が建浴槽の中へ沈降される。SGCも同様の技法が使用可能であるが、固化層は、固体構築プラットフォーム上で支持される。
固体の形態にある構築材料の布設を伴う方法には、SLM、FDM、LOM、および3DPが含まれる。SLSは、2つの構築材料粉末マガジンの上方を前後に往復動するレベリング・ローラと、このローラによって構築プラットフォーム上に塗布された粉末皮膜から構築材料を選択的に焼結するレーザとを使用することができる。3DP法は構築材料粉末のベッドを使用できるが、その上に接着剤がインクジェットによって選択的に噴霧されて、固められた構築材料の連続層を形成する。3DP法は、接着剤による粉末の不均一な湿潤と、固められた構築材料粒子間の空隙の存在との結果として、相対的に粗く、多孔性の構造を有するコンジット100を生み出すことができる。接着剤の過剰な適用は、相対的にまたは過剰に大きな隆起マイクロスケール特徴構造が製造される結果となりうる。一実施例では、狭い粒子サイズ分布および非常に小さい粒子を有する構築材料粉末が選択可能である。別の実施態様として、接着剤を適用する前に、粉末の詰込み均一性が慎重に制御されうる。一実施例として、インクジェットによって噴霧された接着剤小滴の平均サイズの少なくとも約10分の1未満の平均粒子サイズを有する構築材料粉末が選択可能である。このような構築材料粉末は、別様に液体構築材料のインクジェット・プリンティングを使用するときに得られる場合よりも、コンジット100が構築されるときに、その縮みが少なくなる結果となりうる。FDM法は、プラスチック・ワイヤの融解およびインクジェット噴霧を使用することができる。LOM法は、構築材料のシートの薄い層を連続的にレーザ切断しかつ接着することを伴いうる。
他の実施例として、3−Dラピッド・プロトタイプ製造装置は、コンジット100を製造するために構築材料ではなく支持体材料が布設されるように、コンジット100の陰像でプログラム可能である。一実施態様では、3−Dシステムズ・インコーポレイテッド社から市販のVisiJet(登録商標)S−100 Model Material、すなわち、水酸化されたワックス組成物が、支持体材料として使用可能である。
ステップ610で、コンジット100に関する3−D構築向きが選択可能である。一実施例として、図1を参照すると、コンジット100は、長手軸108の方向へまたはチャネル106の直径126に平行な横断方向へ構築されうる。一実施態様では、コンジット100に関する構築向きは、隆起マイクロスケール特徴構造112が、その製造時に支持体材料を堆積する必要が最小化または排除されるような方向へ構築されるように選択されうる。一実施例として、SLAを使用して長手軸108の方向へコンジット100を製造するのに、支持体材料の最小限の布設のみで済ますことができる。隆起マイクロスケール特徴構造112が連続的な畝の形態にある別の実施例では、SLA、FDM、LOM、3DP、またはInVisionジェットプリンタを使用して長手軸108の方向へコンジット100を製造するのに、支持体材料の布設をいずれも不要にすることができる。
図7は、長手軸108を有するチャネル106と境を接するライニング104を有するコンジット本体102を含むコンジット100の一実施例の実施態様を示す斜視図であるが、このライニングはライニング基部110を含み、ライニングは、図6の方法にしたがう製造時に、このライニング基部と一体構造の隆起マイクロスケール特徴構造112を含む。コンジット100は、矢印704の方向へ構築支持体702の上で製造される。支持体材料706は、コンジット100が構築されるときにその下方の構築支持体702上に布設される。一般に、隆起マイクロスケール特徴構造112の構築が、その先端から始まってこれらの特徴構造を一体に保持するライニング基部110の形成で終わる場合、構築材料の布設時に、隆起マイクロスケール特徴構造間の空虚な空間全体が、支持体材料で充填されている必要がありうる。
ステップ612で、構築材料が構築支持体上に布設されて、基部および隆起マイクロスケール特徴構造が一体構造として製造される。一実施例として、それにしたがって、コンジット100は図7に示したように製造されうる。一実施態様では、構築材料の層を布設するサイクル毎に、矢印704の方向への構築材料の水平な堆積を維持するために、この層の切削加工を含みうる。このような様態では、得られるコンジット100の厳密な構築寸法が制御可能である。一実施例として、隆起マイクロスケール特徴構造112は、切削加工が、隆起マイクロスケール特徴構造を破損するのではなく、堆積されつつある構築材料層のきれいな摩損をもたらすように、柔軟な材料から製造されうる。一実施態様では、3−Dラピッド・プロトタイプ製造装置によって使用される場合に、インクジェット・ノズルは、ジェット・ノズルの詰まりをいずれも検出かつ除去するために布設サイクル後毎に検査されうる。
図7におけるように、製造時にコンジット100を機械的に支持するために支持体材料が布設される場合には、支持体材料は、引き続いてステップ614で除去されうる。実施例として、支持体材料の組成は、熱を加えることによって、または適切な溶剤の中で支持体材料を選択的に溶解することによって、支持体材料が選択的に除去されるように選択可能である。一実施例として、支持体材料はワックスでよい。次いで、方法600はステップ616で終了する。
図7を参照すると、布設ステップ612は、コンジット100の形成が完了する前に終了されることが理解される。その場合に、得られる装置は、非平面的なライニング基部110上に隆起マイクロスケール特徴構造を含む。
また方法600は、図3に示したキャビティ300を製造するために同様の様態で使用することができる。一実施態様では、ステップ610で、隆起マイクロスケール特徴構造312が、概ね開放端316に向かう方向へ、最初にライニング304の床面314の上に、次いでライニングの他の部分上に製造されるように、3−D構築向きが選択されうる。
コンジット100およびキャビティ300は、ライニング基部と一体構造の隆起マイクロスケール特徴構造の超疎水性パターンを含むライニングを有するコンジットまたはキャビティが有用である広範囲の最終用途で利用可能である。一実施例として、コンジット100は、超低摩擦液体の流れを容易化することができる。バイオチップおよびマイクロ反応器のようなマイクロチャネルを内蔵する装置が、方法600によって製造可能であり、かつこのようなコンジットを組み込むことができる。一実施態様では、キャビティ300は、生物学的および化学的試薬の一時保管容器として、または反応容器としての役目を果たすことが可能であり、試薬が水溶液の形態にある場合には自己浄化が可能である。また隆起マイクロスケール特徴構造は、平面的または非平面的基部の他の構成と一緒に一体構造として製造可能である。
幾つかの場合に以上の説明が、ライニング基部と一体構造の隆起マイクロ特徴構造の超疎水性パターンを有する、図1〜7に示したコンジットまたはキャビティに言及するが、本主題は、これらの構造にも、図に示した構造にも限定されないことが理解される。内部空間を画定する基部と一体構造でありかつ超疎水性でありうる隆起マイクロスケール特徴構造を有する、コンジットおよびキャビティならびに他の装置の他の形状および構成が含まれる。同様に、開示された方法は、基部と一体構造である隆起マイクロスケール特徴構造の追加的な超疎水性パターンを製造するために使用されてもよい。
さらには、数多くの実施態様の以上の説明は、例示および説明目的のために提示されたことが理解されよう。本明細書は限定的なものではなく、開示された厳密な形態に特許請求される本発明を限定するものではない。変型および変更が以上の説明に照らして可能であり、かつ本発明を実施することから獲得されうる。特許請求の範囲およびそれらの均等物が、本発明の範囲を画定する。