JP5270317B2 - 洗浄用ノズル - Google Patents

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Description

本発明は、ノズルチップ内に軸方向に延びる液体流路を有し、ノズルチップの先端部に設けられた噴射口から洗浄液を噴射する洗浄用ノズルに関する。
例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)や、半導体装置、精密部品などの製造プロセスにおいては、高圧噴射洗浄装置(ジェットスプレイ)を用いた洗浄(剥離)の工程が実行される。この高圧噴射洗浄装置は、洗浄用ノズルから洗浄液(純水、薬液、有機溶剤等)を高速で噴射させ、洗浄対象物に衝突する際の物理的エネルギーにより、洗浄対象物の表面の異物等を剥離、洗浄するように構成されている。
この場合、洗浄用ノズルの先端の噴射口から噴射された洗浄液は、最初はフィルム状とされているが、噴射の直後にその高圧により空気と衝突して分裂し、微粒化して洗浄対象物に吹付けられるようになる。通常、洗浄を行う液滴として多く使用されている速度は、10〜100m/sであり、平均速度は、40〜60m/sである。液滴粒子の径としては、多く使用される範囲は、5〜70μmであり、平均径は、20〜40μmである。特許文献1には、洗浄用とは用途が異なる(エアレススプレー塗装)ものの、洗浄用のものに形状が類似したノズルが示されている。
図9及び図10は、従来の一般的な洗浄用ノズル1の構成を示している。ここで、ノズル1は、外側の金属製のケース2と、その中心部に設けられるセラミック製のノズルチップ3とから構成されている。図10に示すように、ノズルチップ3は、その中心に軸方向(図で上下方向)に延びる液体流路4が設けられており、その液体流路4は、先端側が、断面円形の径小部4aとされ、基端側に断面円形の径大部4bを有した段付き形状に形成されている。
また、ノズルチップ3の先端面には、V字型に切込まれたV溝5が図で前後方向に延びて形成されており、そのV溝5の中央部に、液体流路4(径小部4a)の先端に連なる噴射口6が開口している。より詳細には、径小部4aの先端は半球面状にすぼまった内面を有し、そのすぼまった部分にV溝5が切り込まれた形態で、噴射口6が設けられている。図示はしないが、ポンプにより圧送された洗浄液は、液体流路4の基端部(径大部4b)側に供給され、液体流路4内を通って噴射口6から噴射される。
ちなみに、図10に示すように、従来のノズル1(ノズルチップ3)の各部の寸法を例示すると、液体流路4の径小部4aの直径寸法d1が0.73mm、径大部4bの直径寸法d2が2.6mm、径小部4aの長さ寸法lが3.5mmであり、また、V溝5の切込み角度θ1が25°となっている。
特開平10−286495号公報(特に、図5参照)
ところで、上記のような高圧噴射洗浄装置においては、現状或いはそれ以上の洗浄性能を確保しながらも、洗浄液の使用量の削減や省エネルギー化を図ることが求められる。このとき、洗浄性能を向上させるには、単純には、噴射口6から噴射される液滴の速度を高めれば良いが、ノズル1に供給される洗浄液の圧力を上げることは、上記した洗浄液やエネルギーの使用量の削減とは反するものとなってしまう。
そこで、例えばノズル1の形状、特に液体流路4の形状を、現状のものから、より適切なものに変更することによって、洗浄液の噴射速度の向上を図ることが望まれるのである。この場合、従来のノズル1の形状では、液体流路4が径小部4a及び径大部4bを有する段付き形状であったため、液体流路4内での洗浄液の圧力損失が比較的大きくなり、速度向上を図るには限界があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体流路の形状を適切なものにすることによって、噴射口からの洗浄液の噴射速度を高め、ひいては洗浄性能を向上させることができる洗浄用ノズルを提供するにある。
上記目的を達成するために、本発明者等は、洗浄用ノズルの各部をどのような形状とすれば、噴射口からの洗浄液の液滴の噴射速度を高めることができるかについて、様々な試作、実験を重ねた。その結果、液体流路のうち、液体供給口とストレート部までの間を内径が次第に縮小する縮径部とすること、及び、ストレート部の長さ寸法と直径寸法との比を適切な値にすることで、液体流路の整流及び流速の向上に有効であることを確認し、また、V溝を適切な角度にすることにより、噴出後の粒子の運動の妨げを回避できることを確認し、本発明を成し遂げたのである。
即ち、本発明の洗浄用ノズルは、ノズルチップの先端部に設けられた噴射口に、V字型に切込まれたV溝が形成されていると共に、ノズルチップ内に設けられた液体流路は、先端側に位置して断面円形の直管状をなすストレート部と、ノズルチップの基端部に設けられた液体供給口から前記ストレート部の基端まで次第に内径を縮小させていく縮径部とを備えて構成されており、前記ストレート部の軸方向の長さ寸法L1と直径寸法D1との比(L1/D1)が、7.8以上、15以下とされ、前記液体流路の縮径部の軸方向の長さ寸法L2は、前記液体供給口の直径寸法D2と前記ストレート部の直径寸法D1との差(D2−D1)の2倍以上とされているところに特徴を有する(請求項1の発明)。
ここで、図7に示すように、レイノルズの理論によると、ノズルの液体流路(ストレート部)における液体の流れの状態は、基端側から順に、縮流域、渦流域、乱流域となっている。従来では、ストレート部の基端部(入口部)に段差が設けられているため、縮流が生じやすく液体の流れの状態が良好でなく、また、ストレート部の長さ寸法Lと直径寸法Dとの比(L/D)は、4.8程度とされていたため、噴射口が渦流域に配置され、液体の流れが不安定な状態で吐出されていた。
これに対し、液体流路のうち、ノズルチップ基端に設けられる液体供給口から、ストレート部までの間について、段差部をなくしその部分を内径が次第に縮小する縮径部とすることにより、圧力損失を低減して、ストレート部に導入させる洗浄液の流れを良好とすることができる。そして、ストレート部の軸方向の長さ寸法L1と直径寸法D1との比(L1/D1)を、7.8以上と大きくすることにより、噴射口を乱流域に配置することができ、噴射口から吐出される洗浄液の速度を十分に高めることができたと考えられる。但し、(L1/D1)が大きくなりすぎると、吐出される洗浄液の粒子径が大きくなる傾向にあり、(L1/D1)の値は15以下とすることが好ましい。
また、上記縮径部に関しては、ある程度の軸方向の長さを確保する必要があり、液体流路の縮径部の軸方向の長さ寸法L2を、液体供給口の直径寸法D2とストレート部の直径寸法D1との差(D2−D1)の2倍以上を確保することが望ましい。縮径部の軸方向の長さ寸法L2が短いと、液体流路内の洗浄液の整流が不十分となり、洗浄液の速度の向上の効果が十分に得られなくなる。
さらに、本発明者等は、噴射口部分に形成されるV溝に関しても、洗浄液粒子の噴射速度を高める観点から様々な実験を行い、V溝の切込み角度について、噴射速度を高める上で適切な角度が存在することを見出したのである。この場合、従来では、V溝の切込み角度は、噴射された液滴の飛散(拡がり)を抑える観点から、比較的小さい角度、即ち、20〜30°の範囲が採用されていた。ところが、本発明者等の研究によれば、V溝の切込み角度をそのように20〜30°と小さくしていた従来のものでは、噴射速度を十分に高めることはできなかった。これは、図8に示すように、V溝の切込み角度θが小さいと、流体流路の壁に沿って流れて噴射口から吐出した粒子(白抜きの矢印で示す)が、噴射口を出たところで早く衝突し、流れを互いに打ち消してしまう(抵抗が大きくなる)ためであると推測される。
これに対し、V溝の切込み角度を、40°以上、65°以下とすることにより(請求項2の発明)、噴射口付近の液体の流れ(直進性)を良好とし、速度低下を抑えることができることが確認されたのである。これは、上記したストレート部の構成などと相俟って、噴射口から吐出した粒子が吐出直後に相互に衝突してしまうことを抑制することができ、洗浄液の噴射抵抗を小さくして、効率よく直進させることができたものと考えられる。また、65°以下とすることにより、液滴の飛散も比較的小さく抑えることができる。
この場合、V溝の切込み角度が40°未満では、抵抗が比較的大きく、洗浄液の流れが打ち消されて、噴射速度向上の効果は得られない。また、V溝の切込み角度が65°を超えてしまうと、噴射速度が低下すると共に、液滴の飛散が比較的大きくなってしまうため、好ましくない。より好ましくは、55°を中心とした、50〜60°の範囲である。
本発明においては、上記液体流路の縮径部に関しては、その軸方向に沿う断面形状を、該液体流路の内側に膨らむ緩やかなR形状とすることが、圧力損失を低減する上で、より望ましい(請求項3の発明)。ちなみに、縮径部の内面形状をR形状とする場合でも、半径が大きくなりすぎると、さほどの効果は得られない。本発明者等の研究では、液体供給口やストレート部の径寸法等が一般的な場合にあっては、R形状の半径を、約10mmにしたときが、液体流路の内の洗浄液の整流を図り、圧力損失を低減する点で、最も良好な結果が得られた。
本発明の洗浄用ノズルによれば、ノズルチップの先端部に洗浄液を噴射する噴射口を有すると共に、ノズルチップ内に軸方向に延びて噴射口に連なる液体流路を有してなるものにあって、液体流路の形状を適切なものにすることによって、噴射口からの洗浄液の噴射速度を高め、ひいては洗浄性能を向上させることができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を、高圧噴射洗浄装置(ジェットスプレイ)に取付けられる洗浄用ノズルに適用した実施形態について、図1ないし図8を参照しながら説明する。尚、この高圧噴射洗浄装置は、例えばフラットパネルディスプレイ(FPD)や、半導体装置、精密部品等の製造プロセスにおける洗浄(剥離)の工程の実行に用いられ、洗浄用ノズルから洗浄液(純水、薬液、有機溶剤等)を高速で噴射させ、洗浄対象物に衝突する際の物理的エネルギーにより、洗浄対象物の表面の異物等を剥離、洗浄するように構成されている。
図1及び図2は、本実施形態に係る洗浄用ノズル11の構成を、先端側を下向きにして示している。ここで、この洗浄用ノズル11は、ノズルケース12と、ノズルチップ13とから構成されている。そのうちノズルケース12は、金属例えばSUSから、軸方向(図で上下方向)に貫通する中心孔12aを有したほぼ円筒状に構成されている。前記ノズルチップ13は、例えばアルミナやジルコニア等のセラミックから、全体として円柱状に構成され、前記ノズルケース12の中心孔12a内に嵌合固定されている。
図1に示すように、このノズルチップ13には、その中心に軸方向(図で上下方向)に延びる液体流路14が設けられている。後述するように、この液体流路14は、先端側(図で下側)のストレート部14aと、基端側(図で上側)の縮径部14bとから構成されている。ノズルチップ13の基端部(図で上端部)には、液体流路14(縮径部14b)の基端に連なる液体供給口15が設けられている。図示はしないが、この液体供給口15には、洗浄液が圧送される供給管の先端が接続され、洗浄液が高圧で供給されるようになっている。
一方、図2にも示すように、前記ノズルチップ13の先端部(図で下端部)には、V字型に切込まれたV溝16が図で前後方向に延びて形成されており、そのV溝16の中央部に、液体流路14(ストレート部14a)の先端に連続し洗浄液が噴射される噴射口17が開口している。より詳細には、図8にも示したように、ストレート部14aの先端は半球面状にすぼまった内面を有し、そのすぼまった部分にV溝16が切り込まれた形態で、噴射口17が設けられている。
次に、図1を参照しながら、前記ノズルチップ13の各部、主として前記液体流路14の形状について詳述する。前記液体流路14の先端側を構成するストレート部14aは、断面円形の直管状をなし、ノズルチップ13の先端側ほぼ半部に形成されている。このとき、図1(b)に示すように、ストレート部14aの直径(内径)寸法D1と、ストレート部14aの軸方向の長さ(V溝16の先端からの長さ)寸法L1との比(L1/D1)が、7.8以上、15以下の範囲内にあるように構成されている。具体的には、直径寸法D1の値が、例えば0.73mm、長さ寸法L1の値が、例えば7mmとされ、その結果、比(L1/D1)の値が、9.6とされている。
また、前記縮径部14bは、液体供給口15から、ストレート部14aの基端まで次第に内径を縮小させていきながら、ストレート部14aに滑らかにつながるように形成されている。この場合、縮径部14bの内壁部の軸方向に沿う断面形状は、液体流路14の内側に膨らむ緩やかなR形状とされており、図1(b)に示すように、具体的には、曲率半径rの寸法が例えば10mmとされている。
このとき、縮径部14bの軸方向の長さ寸法L2は、前記液体供給口15の直径寸法D2と前記寸法D1との差(D2−D1)の2倍以上とされている。具体的には、直径寸法D2の値が、例えば3mmとされ、長さ寸法L2は、(D2−D1)=2.27mmの2倍(4.54mm)以上であり、例えば5mmとされている。ちなみに、ノズルチップ13の直径寸法D3は、例えば7.1mmとされ、ノズルケース12の軸方向長さ寸法L3は、例えば14mmとされている。
そして、本実施形態では、前記噴射口17のV溝16の切込み角度θが、40°以上、65°以下の範囲にあるように構成されている。具体的には、切込み角度θの値は、例えば55°とされている。尚、V溝16の軸方向の深さ寸法L4は、例えば1mmとされている。
さて、図示はしないが、以上のように構成された洗浄用ノズル11は、上記のように、高圧噴射洗浄装置の先端部に取付けられ、液体供給口15には、洗浄液が圧送される供給管が接続される。そして、高圧の洗浄液が供給管を介して液体供給口15から供給され、まず液体流路14の縮径部14bを通り、さらにストレート部14aを通って噴射口17から噴射される。噴射口17から噴射された洗浄液は、最初はフィルム状とされているが、噴射の直後にその高圧により空気と衝突して膨張して微細化し、噴射口17の先方に配置された洗浄対象物に吹付けられる。洗浄液の粒子が洗浄対象物に衝突する際の物理的エネルギーにより、洗浄対象物の表面の異物等が剥離され、洗浄が行われる。
このとき、本実施形態の洗浄用ノズル11にあっては、従来例で述べたような図9、図10に示す洗浄用ノズル1に較べて、噴射口17からの洗浄液の液滴の噴射速度を高めることができた。この場合、同液圧、同流量、同噴射位置において、従来のものと較べて、液滴の平均速度を、20%以上向上させることができ、また、液滴の速度、粒径の分布を小さくまとめることができた。さらに、液滴の飛散も少なくすることができた。この結果、洗浄性能を、従来に比べて30%以上向上させることができたのである。
図3〜図5は、本発明者等の行った、本実施形態の洗浄用ノズル11が従来のものと比較して洗浄性能に優れることを調べた試験結果を示している。図3は、ノズルの噴射口から噴射され100mm離れた位置(パターン中心)における、各粒子径及び速度を有する液滴の個数の分布を調べた結果(SDPAによる粒子の速度及び大きさの測定結果)を示している。(a)が本実施形態の洗浄用ノズル11、(b)が従来例の洗浄用ノズル1を夫々示している。本実施形態の洗浄用ノズル11(a)においては、従来の洗浄用ノズル1に較べて、縦軸の上方により多く分布しており、洗浄液の液滴の噴射速度を高め得たことが理解できる。
また、図4は、ノズルの噴射口から噴射された洗浄液の粒子を、ストロボを用いて撮影した写真に基づいて、洗浄液粒子の噴射の状態を描いた図であり、(a)が本実施形態の洗浄用ノズル11、(b)が従来例の洗浄用ノズル1を夫々示している。この図4から、本実施形態の洗浄用ノズル11では、洗浄液粒子の飛散を比較的少なく済ませ得ることが理解できる。
図5は、本実施形態の洗浄用ノズル11及び従来例の洗浄用ノズル1の洗浄性能を調べた試験結果を示している。この試験は、FPD基板の表面に粒径3μm程度のポリスチレンのゴミを無数に付着させた試料に対し、本実施形態の洗浄用ノズル11及び従来例の洗浄用ノズル1を夫々用いて、同様の洗浄作業を行って汚れの除去率を調べる(試料の表面を顕微鏡で観察しゴミの個数を数える)ことにより行った。尚、横軸は、基板中心からの距離を示している。この結果、従来例の洗浄用ノズル1では、除去率が70%前後であったのに対し、本実施形態の洗浄用ノズル11を用いた洗浄工程では、ほぼ100%ゴミを除去することができた。
このように、本実施形態の洗浄用ノズル11が、従来例の洗浄用ノズル1に較べて、洗浄液の液滴の噴射速度を十分に高めることができたのは、次のような理由によるものであると推測される。
即ち、まず、従来の洗浄用ノズル1の形状は、液体流路4が径小部4a及び径大部4bを有する段付き形状であったため、径小部4aに縮流が生じやすく、また、液体流路4内での洗浄液の圧力損失が比較的大きくなっていた。これに対し、本実施形態の洗浄用ノズル11では、液体供給口15とストレート部14aまでの間を、段差部をなくして、内径が次第に縮小する縮径部14bとしたので、圧力損失を低減して、ストレート部に導入させる洗浄液の流れを良好とすることができたものと考えられる。
そして、従来の洗浄用ノズル1では、ストレート部(径小部4a)の長さ寸法lと直径寸法d1との比(図10参照)が、比較的小さいもの(3.5〜4.8程度)となっていた。ここで、図7に示すように、レイノルズの理論によると、液体流路における液体の流れの状態は、基端側から順に、縮流域、渦流域、乱流域となっている。従来のものでは、噴射口6が渦流域に配置され、液体の流れが不安定な状態で吐出されていた。
これに対し、本実施形態の洗浄用ノズル11では、ストレート部14aの軸方向の長さ寸法L1と直径寸法D1との比(L1/D1)を、7.8以上、15以下の範囲、この場合約9.6と従来に比べて十分に大きくしたことにより、噴射口17を乱流域に配置することができ、縮径部14bを設けて洗浄液の流れを良好としたことと併せて、噴射口17から吐出される洗浄液の速度を十分に高めることができたと考えられる。
さらに、噴射口17に形成されるV溝16の切込み角度θについても、従来のものでは、V溝5の切込み角度θ1(図10参照)は、噴射された液滴の飛散(拡がり)を抑える観点から、比較的小さい角度、即ち、20〜30°の範囲が採用されていたが、それでは、噴射速度を十分に高めることはできなかった。これは、図8に白抜きの矢印で示すように、V溝の切込み角度が小さいと、流体流路の壁に沿って流れて噴射口から吐出した粒子が、噴射口を出たところで早く衝突し、流れを互いに打ち消してしまう(抵抗が大きくなる)ためであると推測される。
これに対し、本実施形態の洗浄用ノズル11では、V溝16の切込み角度θを、40°以上、65°以下の範囲、この場合55°と比較的大きくしたことにより、噴射口17付近の液体の流れ(直進性)を良好とし、速度低下を抑えることができた。これは、上記したストレート部14aの構成などと相俟って、噴射口17から吐出した粒子が吐出直後に相互に衝突してしまうことを抑制することができ、洗浄液の噴射抵抗を小さくして、効率よく直進させることができたものと考えられる。
次に、上記洗浄用ノズル11の各部の寸法等の数値(範囲)の適正について検証した試験について、図6を参照して述べる。本発明者等は、上記した洗浄用ノズル11と同等の基本構成を備えながらも、各部の寸法、この場合、ストレート部14aの軸方向長さ寸法L1と、V溝16の切込み角度θを様々に変更したいくつかの洗浄用ノズルの試作品を作成した。即ち、これら試作品は、外形寸法が同一のノズルチップ13に、ストレート部14aと縮径部14bとからなる液体流路14を形成すると共に、噴射口17にV溝16が形成された洗浄用ノズルである。ストレート部14aの直径寸法D1は、0.73mmで固定され、また、縮径部14bのR形状の曲率半径rも、10mmで固定されている。
そして、それら各試作品に関して、洗浄液の供給圧力10MPaの同一の条件で、噴射距離100mmにおける平均噴射速度(Vave.)及び体積平均粒子径(D30)を測定する試験を行った。図6は、それらを代表させて、ストレート部14aの軸方向長さ寸法L1が3種類(3.5mm、7mm、10.5mm)であり、各寸法L1の夫々について、V溝16の切込み角度θを3種類(25°、55°、75°)とした試作品についての、試験結果を示している。
この試験結果からも判るように、ストレート部14aの軸方向長さ寸法L1を、7mm及び10.5mm(L1/D1の値が9.6及び14.4)とした試作品は、いずれも、長さ寸法L1を3.5mm(L1/D1の値が4.8)としたものに比べて、高い平均速度が得られた。また、V溝16の切込み角度θを、55°としたものが、平均速度が最も高く、切込み角度θを、75°にしたものは、平均速度に劣るものとなっていた。
ここで、上記したように、ストレート部14aの軸方向の長さ寸法L1と直径寸法D1との比(L1/D1)を、7.8以上と大きくすることにより、噴射口17を乱流域に配置することができ、噴射口17から噴射される洗浄液の速度を十分に高めることができたと考えられる。但し、(L1/D1)が大きくなりすぎると、噴射される洗浄液の粒子径が大きくなる傾向にあり、(L1/D1)の値は15以下とすることが好ましい。さらには、(L1/D1)の値が10近傍に、液滴の速度面での最適値があると考えられた。
また、V溝16の切込み角度θについては、40°以上とすることにより、角度θが比較的小さい場合(20〜30°)に比べて洗浄液の吐出時の抵抗(衝突による速度低下)を小さく抑え、液滴の噴射速度向上について優れた効果を得ることができる。V溝16の切込み角度θが65°を超えてしまうと、噴射速度が低下すると共に、液滴の飛散が比較的大きくなってしまうため、好ましくない。より好ましくは、55°を中心とした、50〜60°の範囲である。
さらに、詳細な試験結果については省略するが、本発明者等の研究によれば、液体流路14の縮径部14bに関しては、その軸方向に沿う断面形状を、液体流路14の内側に膨らむ緩やかなR形状とすることが、圧力損失を低減する上で、より望ましいことが明らかとなった。ちなみに、縮径部14bの内面形状をR形状とする場合でも、半径rが大きくなりすぎると、さほどの効果は得られず、上記実施形態の洗浄用ノズル11では、R形状の曲率半径rを10mmにしたときが、液体流路14の内の洗浄液の整流を図り、圧力損失を低減する点で、最も良好な結果が得られた。
上記縮径部14bの軸方向の長さ寸法L2についても、ある程度の長さが必要であり、液体供給口15の直径寸法D2とストレート部14aの直径寸法D1との差(D2−D1)の2倍以上を確保することが望ましいと考えられた。縮径部14bの軸方向の長さ寸法L2が短いと、液体流路14内の洗浄液の整流が不十分となり、洗浄液の速度の向上の効果が十分に得られなくなる。
尚、上記した実施形態では、V溝16の切込み角度θを、40°以上、65°以下の範囲内としたが、本発明では、その範囲よりも小さい切込み角度であっても実施することが可能である。即ち、図6の実験結果から明らかなように、V溝16の切込み角度θついては、従来と同様の比較的小さい角度(20〜30°)であっても、少なくとも、L1/D1の値を、7.8以上、15以下の範囲内とすることにより、噴射速度の向上という所期の目的を達成することができる。
また、上記実施形態では、縮径部14bを、その軸方向に沿う断面がR形状となるように形成したが、単純なテーパ面(円錐面)形状としても良い。その他、上記した洗浄用ノズル11の各部(ノズルケース及びノズルチップ)の寸法や形状、材質等についても、一例を挙げたに過ぎず、様々な変形が可能であるなど、本発明は、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
本発明の一実施形態を示すもので、図2(b)のA−A線に沿う洗浄用ノズルの縦断正面図(a)及びその右半部の拡大図(b) 洗浄用ノズルの正面図(a)及び底面図(b) 実施形態(a)及び従来例(b)の洗浄用ノズルにおける、噴射口から噴射された各粒子径及び速度を有する液滴の個数の分布を調べた試験結果を示す図 実施形態(a)及び従来例(b)の洗浄用ノズルにおける、ストロボによる撮影に基づく、噴射口から噴射された直後の洗浄液の状態を示した図 実施形態及び従来例の洗浄用ノズルの洗浄性能を調べた試験結果を示す図 洗浄用ノズルの各部の寸法等の数値(範囲)の適正について検証した試験結果を示す図 レイノルズの理論によるノズル内の液体の流れの状態を説明するための図 洗浄液の吐出時のV溝内での衝突の様子を説明するための図 従来例を示すもので、図2相当図 図9(b)のA−A線に沿う洗浄用ノズルの縦断面を噴射口部分の拡大図と共に示す図
符号の説明
図面中、11は洗浄用ノズル、12はノズルケース、13はノズルチップ、14は液体流路、14aはストレート部、14bは縮径部、15は液体供給口、16はV溝、17は噴射口を示す。

Claims (3)

  1. ノズルチップの先端部に洗浄液を噴射する噴射口を有すると共に、前記ノズルチップ内に軸方向に延びて前記噴射口に連なる液体流路を有してなる洗浄用ノズルであって、
    前記噴射口には、V字型に切込まれたV溝が形成されていると共に、
    前記液体流路は、先端側に位置し断面円形の直管状をなすストレート部と、前記ノズルチップの基端部に設けられた液体供給口から前記ストレート部の基端まで次第に内径を縮小させていく縮径部とを備えて構成されており、
    前記ストレート部の軸方向の長さ寸法L1と直径寸法D1との比(L1/D1)が、7.8以上、15以下とされ
    前記液体流路の縮径部の軸方向の長さ寸法L2は、前記液体供給口の直径寸法D2と前記ストレート部の直径寸法D1との差(D2−D1)の2倍以上とされていることを特徴とする洗浄用ノズル。
  2. 前記噴射口のV溝の切込み角度は、40°以上、65°以下とされていることを特徴とする請求項1記載の洗浄用ノズル。
  3. 前記液体流路の縮径部の、軸方向に沿う断面形状は、該液体流路の内側に膨らむ緩やかなR形状とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄用ノズル。
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