JP2011115749A - 整流部材及びそれを備えたノズル - Google Patents

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Abstract

【課題】流路内の流体を効率よく整流化でき、壊食能を向上できる整流部材、この整流部材を流路内に備えたノズル又はノズルのフィルタ構造、並びにデスケーリングノズルの壊食能を向上させる方法を提供する。
【解決手段】ノズルの上流域には複数のスリット状流入口が形成され、この流入口からの流体の流入域の流路内には、放射状の複数の羽根5を有する整流部材4が配設されている。整流部材4の羽根5の数は10〜16枚、羽根の厚みは0.3〜0.7mm、整流部材が装着される流路の内径(D)に対する羽根の長さ(L)の比(L/D)は1.3〜2.5である。整流部材4の下流側及び上流側には先細状の円錐形突起6,7が形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、ノズルの流路内に配設され、流体の流れを整流化させるのに有用な整流部材(又は整流器)、この整流部材を備えたノズル(又はデスケーリングノズル)及びノズルのフィルタ構造、並びにノズル(又はデスケーリングノズル)の壊食能を向上させる方法に関する。特に、熱間圧延鋼板のスケール、錆やコーティング膜の除去や、基材などの被洗浄物の洗浄などに有用な高圧スプレーノズル(デスケーリングノズルなど)に適した整流部材と、この整流部材を備えたデスケーリングノズル及びそのフィルタ構造に関する。
高圧スプレーノズル、例えば、デスケーリングノズルは、通常、軸方向に延びる流路を有するノズル本体と、このノズル本体の上流側の周壁に周方向に間隔をおいて軸方向に延び、かつ流体(水など)を前記流路内に流入させるための複数のスリットと、このスリットの下流側の流路内に配設され、前記スリットから流入して混合した流体を整流化するための整流部材と、この整流部材の下流方向に延び、前記ノズル本体の先端部に装着されたノズルチップの吐出口に至る流路とを備えている。なお、前記複数のスリットは、夾雑物が流路内に侵入するのを防止するためのフィルタ部を構成しており、前記整流部材は、周方向に間隔をおいて軸方向に延びる複数の羽根を備えている。このような高圧スプレーノズルでは、各スリットから流入した流体(水など)が流路内で合流・混合されて乱流を形成し、整流部材により整流化し、吐出口から流体を吐出又は噴射できる。
しかし、これらのノズル構造では、スリットから流入した流体が流路内で合流・衝突して乱流が生成し、流体の流速を大きく低減させる。そのため、吐出口からの流体の衝突力が低減し、スケール除去効率を高めることができない。
特開2009−269025号公報(特許文献1)には、入口(スリット)と噴射先端との中間の流路に、周方向に間隔をおいて半径方向に延びる複数の羽根を有する2つの整流部材を軸方向に所定間隔おいて配設し、隣接する2つの整流部材を、羽根の周方向の位置をずらせて配設された多段ベーン部を備えたデスケーリングノズルも提案されている。このようなノズルでは、隣接する2つの整流部材の羽根が周方向に位置ずれさせ、スケール除去効率を高めることができるとされているが、このデスケーリングノズルでは、部品点数が増加するため、製造コストが高くなる。
特公平6−73697号公報(特許文献2)には、整流板(羽根)を備えた整流器を内装した整流流路と、この整流流路から下流方向に連なり、かつ流路が狭まる絞り流路と、この絞り流路から下流方向に連なり、先端面に形成した噴射孔に至る噴射流路とを備えており、整流器は、整流板(羽根)の下流側に、下流方向にいくにつれて先細りとなる円錐形の突起を備え、この突起部を前記絞り通路内の上流側部分に入り込む状態で設けたデスケーリングノズルが開示されている。この特許文献2には、整流器に関し、羽根の数は6〜8枚であるのが望ましいこと、羽根の数4〜8枚において、8枚の羽根の方が衝突圧が大きくなること、条件が変われば、羽根の数は4枚や9枚以上であってもよいこと、羽根の長さは、16mmが衝突圧の点で最上であり、10〜22mm程度の長さが望ましいことが記載されている。このようなノズルでは、噴射流を可及的に整流状態に維持して、噴射圧の上昇および均等化により効率よく確実にスケールを除去できる。
特開2003−159549号公報(特許文献3)には、ノズルチップの構造を特色とするスプレーノズルが開示され、整流板を設けることにより、乱流をなくして層流でノズルチップに水を供給すると、ノズルチップの流路により設計されたパターン通りの噴霧を均一の流量分布で得ることができることが記載され、複数の整流板を備えた整流器として、60°間隔をあけて6枚の整流板を設けた整流器の例が記載されている。
さらに、特開2008−285755号公報(特許文献4)には、通路内に整流部材を有する高圧ノズルが開示され、羽根枚数8枚を有し、通路の中心長手軸に自由な流れ断面(流路)を有する整流部材が図示されている。
特開2004−216454号公報(特許文献5)には、ノズルから水を吐出させて鋼板表面のスケールを除去するためのデスケーリングノズルであって、ノズルが、先端部の凹面又は凹部で開口した吐出孔と、この吐出孔からテーパ角θ30〜80°で延びるテーパ部と、このテーパ部に連なる径大部とで構成されたノズル孔を備えており、前記吐出孔の短径Dに対する径大部の内径Dの割合(D/D)が3以上であるデスケーリングノズルが開示されている。このノズルでは、低圧及び/又は低流量であってもデスケーリング効率を大きく改善できる。この文献にも、複数のスリットで構成されたフィルタ部と、整流羽根を備えた整流ユニットと、この整流ユニットの芯体の両端から上下方向に延びる円錐部とが記載されている。
しかし、これらの整流部材では、未だ整流作用が小さく、流路内で発生する乱流を効率よく整流化できず、整流化した状態で流体を吐出口から吐出又は噴射することが困難である。また、生成する乱流に起因して、吐出口から噴射される流体の噴射パターンが不安定となる。さらには、衝突力が低下するため、洗浄又は清浄化効率が低下し、例えば、熱間圧延鋼板の製造過程で生成するスケールを高い壊食性能(スケール除去能又は壊食能)で効率よく除去できない。
特開2009−269025号公報(請求項1,図7) 特公平6−73697号公報(請求項1,実験例3,実験例4) 特開2003−159549号公報(特許請求の範囲、段落[0014][0041]) 特開2008−285755号公報(請求項1,図6) 特開2004−216454号公報(請求項1,段落[0028]、図1〜図3)
従って、本発明の目的は、流路内の流体を効率よく整流化できる整流部材(整流器)、この整流部材を流路内に備えたノズル(例えば、デスケーリングノズル)又はノズルのフィルタ構造、並びにノズル(又はデスケーリングノズル)の壊食能を向上させる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、流体を整流化して、吐出口から安定した噴射パターンで流体を噴射するのに有用な整流部材(整流器)、この整流部材を流路内に備えたノズル又はノズルのフィルタ構造、並びにノズルの壊食能を向上させる方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、衝突力、洗浄又は清浄化効率を向上できる整流部材(整流器)、この整流部材を流路内に備えたノズル又はノズルのフィルタ構造、並びにノズルの壊食能を向上させる方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、デスケーリングノズルでの壊食能(スケール除去能)を大きく向上できる整流部材(整流器)を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため整流部材の構成要素(羽根の枚数、厚み、長さなど)を最適化すべく鋭意検討した結果、羽根の枚数が多いほど、また羽根の厚みが小さいほど、整流作用(又は壊食能)を向上できること、整流部材が装着される流路の内径と羽根の長さとの割合も整流作用(又は壊食能)に大きく関係していることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の整流部材は、ノズルの流路内に配設される整流部材であって、軸芯から放射状に10〜20枚(例えば、10〜16枚)の羽根が延びている。整流部材の羽根の数が大きくなるほど整流作用を改善できるが、多すぎると羽根の間隔が小さくなり、目詰まりなどが生じやすくなる。そのため、羽根の数はノズルのサイズなどに応じて選択できる。複数の羽根は周方向に等間隔で放射状に延びている場合が多い。
羽根の厚みは小さいほど、整流化できるためか、ノズルからの流体の衝突力(壊食能)を向上できる。羽根の厚みは、ノズルのサイズなどに応じて、0.1〜1mm(例えば、0.3〜0.7mm)程度であってもよい。また、整流部材が装着される流路の内径(D)に対する羽根の長さ(L)の比(L/D)が大きいほど、整流効果が向上し、壊食性能を高めることができる。比(L/D)は1〜3(例えば、1.3〜2.5)程度であってもよい。
より具体的には、好ましい整流部材においては、例えば、周方向に等間隔で12枚の羽根が放射状に延びており、羽根の厚みが0.4〜0.6mmであってもよく、整流部材が装着される流路の内径(D)に対する羽根の長さ(L)の比(L/D)が1.5〜2.3であってもよい。
このような整流部材の羽根は、n枚の板部材(例えば、軸方向に延びたスリットなどを利用して所定の角度で互いに順次装着可能な複数の板部材)の組み合わせにより、2×n枚の羽根を形成してもよい。
さらに、流体の乱流化を抑制し、整流効率を向上させるため、整流部材の下流側には、下流方向にいくにつれて先細りとなる円錐状の突起を備えていてもよく、上流側には、上流方向にいくにつれて先細りとなる円錐状の突起を備えていてもよい。
なお、低流量及び/又は低圧でも衝突力を高めるため、ノズルは、先端部の凹面または凹部で開口した吐出孔と、この吐出孔からテーパ角30〜80°で延びるテーパ部と、このテーパ部に連なる径大部とで構成されたノズル孔を備えていてもよく、前記吐出孔の短径Dに対する径大部の内径Dの割合(D/D)は3以上であってもよい。
本発明は、前記整流部材が、ノズルの流路内に配設されたスプレーノズル、例えば、前記整流部材がノズルの流路内に配設されたデスケーリングノズルも包含する。また、前記整流部材が、ノズルのフィルタ部の流路内に配設されているノズルのフィルタ構造も包含する。前記デスケーリングノズルはこのフィルタ構造を備えていてもよい。より具体的には、本発明のノズル(スプレーノズル)及びそのフィルタ構造は、軸方向に延びる流路を有するノズルの上流域(上流部)の周壁に周方向に間隔をおいて形成され、かつ流体を前記流路内に流入させるための複数の流入口(軸方向に延びるスリット状流入口など)を備えていてもよく、前記流入口からの流体の流入域(スリットなどの前記流入口が形成された領域又はフィルタ部)の流路内に、前記整流部材(又は整流器)を配設してもよい。すなわち、本発明のノズル及びフィルタ構造は、ノズルの上流域(上流部)に周方向に間隔をおいて軸方向に延びる複数のスリットを有するスリット状フィルタ部が形成され、このフィルタ部の流路内に整流部材が配設されている。
前記整流部材をノズルのフィルタ部の流路内に配設すると、衝突力(又は壊食性能)を向上できる。そのため、本発明は、デスケーリングノズルの壊食能を向上させる方法も包含する。
なお、本明細書において、流入口が形成された領域がフィルタとして機能するため、流入口が形成された領域又は部位をフィルタ部という場合がある。
本発明では、整流部材が放射方向に延びる多数の羽根を備えているため、流路内で流体が乱流化するのを防止でき、流路内の流体を効率よく整流化できる。また、流体を整流化できるため、ノズルの設計に応じて、吐出口から安定した噴射パターンで流体を噴射できる。さらには、流体の整流化の程度が大きいため、衝突力、洗浄又は清浄化効率を向上でき、例えば、デスケーリングノズルでの壊食能(スケール除去能)を大きく向上できる。
図1は本発明のスプレーノズルの一例を示す概略斜視図である。 図2は図1のII-II線概略断面図である。 図3は整流部材を示す概略斜視図である。 図4は図1のノズル先端部の概略正面図である。 図5は他の整流部材を示す概略斜視図である。 図6は図5に示す整流部材の組立方法を示す概略図である。 図7は本発明のノズル先端部の他の例を示す部分概略斜視図である。 図8は図7のノズルの先端部を示す概略断面図である。 図9はケーシングの上流側端部の他の例を示す概略斜視図である。 図10は比較例1の整流部材を示す概略斜視図である。
図1は本発明のスプレーノズルの一例を示す概略斜視図であり、図2は図1のII-II線概略断面図であり、図3は整流部材を示す概略斜視図であり、図4は図1のノズル先端部の概略正面図である。この例ではスプレーノズルとしてデスケーリングノズルが示されている。
前記スプレーノズル1は、上流側に位置し、円筒状の整流流路P1を形成するための円筒状の第1のケーシング2と、このケーシングに装着され、前記整流流路P1から下流方向に延びる円筒状の中間流路P2,P3を有する円筒状の中間ケーシング10と、このケーシングに装着され、前記中間ケーシング10の流路から下流方向に延び、かつ下流側の流路径が絞られた噴射流路P4,P5を有する円筒状の第2のケーシング11とを備えている。前記第1のケーシング2と中間ケーシング10と第2のケーシング11とは互いに螺合などにより装着され、一体化しており、整流流路P1、中間流路P2,P3及び絞り流路P4,P5は、ノズル1の軸芯に沿って軸線方向に延びるノズル孔又はノズル流路を形成している。
第1のケーシング2の上流域の周壁(上流端部の周面及び端面)には、夾雑物の流入を規制しつつ流体(水など)を整流流路内に流入させるため、軸方向に延びる複数のスリット状の流入口3が周方向に間隔をおいて形成され、フィルタ部を形成している。このようなフィルタ構造では、周方向に間隔をおいて形成された流入口3から流入した流体が流入域で合流して乱流を生成させ、流体の流れ方向が大きく乱れるとともに、流体の流速を大きく低減させる。
本発明では、前記乱流の生成を抑制するため、前記スリット状流入口3からの流体の流入域(流入口が形成された領域)の整流流路内には、放射状の複数の羽根5を備えた整流部材(又は整流器、スタビライザなどの整流ユニット)4が配設されている。この例では、図3に示されるように、整流部材4は、軸芯方向に延びる芯体を備えており、この芯体には、周方向に等間隔(又は軸芯から同じ角度で)で12枚の羽根(又は整流羽根)5が放射方向に延びて整流部材4を形成している。また、羽根5の厚みは0.4〜0.6mm、整流部材4が装着される流路の内径(D)に対する羽根の長さ(L)の比(L/D)は1.5〜2.3に設定されている。
なお、整流部材(整流ユニット)4の羽根5はケーシング2の内壁に当接しているとともに、固定手段(係止、装着、溶着、固着など)により下流側への移動が規制されている。
さらに、乱流の生成を抑制するため、芯体の上流端からは、芯体と同軸に延出し、かつ上流方向に向かって先細り状の鋭角な円錐部(上流側が先細り状の円錐部又は円錐状の突起)6が延出しているとともに、整流羽根5により整流化された流体が整流羽根5の下流域で乱流を生成させることなく合流させるため、前記芯体の下流端からは、芯体と同軸に形成され、かつ先細状の先端部を下流方向に向けた鋭角な円錐部(下流側が先細り状態の円錐部又は円錐状の突起)7が延出している。
前記第1のケーシング2は実質的に同じ内径の円筒状流路(整流流路)P1を形成しており、中間ケーシング10は、前記整流部材4の下流端から下流方向に向かって緩やかな傾斜でテーパ状に狭まり、中間ケーシング10の途中部に至る傾斜流路(環状傾斜流路)P2と、この傾斜流路の下流端から実質的に同じ内径で下流方向に延びる円筒状流路P3とを備え、中間流路(又は絞り流路)を形成している。この例では、傾斜流路P2を形成する傾斜壁(テーパ部)のテーパ角は、例えば、5〜10°程度に形成されている。
また、第2のケーシング11の先端部には、吐出口を形成する超硬合金製ノズルチップ12が装着されている。すなわち、前記第2のケーシング11内には、先端部から上流方向に向かって、超硬合金製ノズルチップ12と、前記中間ケーシング10の下流端と実質的に同じ内径の流路が形成されたブシュ(又は環状側壁)14とが順次装着されており、前記ノズルチップ12は掛止段部13により先端部方向への抜けが規制されている。前記ノズルチップ12の先端面には、断面U字状の湾曲溝15が半径方向に形成されているとともに、この湾曲溝の湾曲凹面には、楕円形状の吐出孔16が開口している。楕円形状の吐出孔16の長径/短径比は、1.5〜1.8程度に形成されている。
さらに、前記整流部材4の一部の羽根(芯体の半径方向の線上に位置する2つの羽根)5は、前記吐出孔16の長軸方向とほぼ一致して半径方向に延びている。すなわち、安定な噴射パターンを得るため、前記整流部材4の羽根5の延びる方向を吐出孔16の長径方向に合わせている。
前記第2のケーシング11において、ノズル1の軸線方向に延びるノズル孔は、吐出孔(又は噴出口)16と、ノズルチップ12に形成され、かつ前記吐出孔16から上流方向に向かって所定のテーパ角θで円錐状に拡径して延びるテーパ部(又は円錐状傾斜壁)17により形成された円錐状流路(噴射流路)P5と、前記ブシュ14により形成され、かつ前記テーパ部17の上流端から実質的に同じ内径で上流方向へ連なる円筒状流路P4とで構成されており、円筒状流路P4は中間流路を形成している。前記テーパ部17の角度(テーパ角)θは、低圧及び/又は低流量であっても衝突力を高めるため、45〜55°程度に設定されている。なお、前記テーパ部17の上流端から実質的に同じ内径で延びる流路(この例では、円錐状流路(噴射流路)の上流端から緩やかな傾斜流路P2の下流端までの円筒状流路P3及びP4)を径大部18とすることができる。前記吐出孔16と径大部18との関係について、吐出孔16の短径Dに対する径大部18の内径Dの割合(D/D)は、ノズル1を小型化するため、3〜7程度に設定されている。
なお、前記第1及び第2のケーシング2,11や中間ケーシング10の適所(この例では、第2のケーシング11)には、アダプター(図示せず)を利用して導管又はヘッダ(図示せず)にノズル1を取り付けるための鍔部(又はフランジ)19などの取付部を形成してもよく、導管に対する周方向の位置決め用凸部20を形成してもよい。
このようなフィルタ構造を備えたスプレーノズルを用いると、前記整流部材4が所定の厚み及び長さを有する多数の整流羽根5を有しているため、前記流入口3又はフィルタ部から流入した流体の乱流化を有効に防止して流体を効率よく整流化できる。また、整流部材4の円錐部(円錐状突起)6,7、特に下流側の円錐部(円錐状突起)7により急激な流体の衝突を防止して流体をさらに整流化でき、流体を均等に分配して、吐出口16の近傍で流体が乱流化するのを抑制できる。そのため、流体の流速を低減させることなく、噴霧パターンを安定化できる。さらに、衝突力及び壊食性能を向上できる。
さらには、ノズル孔の径大部18を経てテーパ部17が直線的に傾斜して吐出孔16に至っているため、シャープな衝突力分布を実現でき、小型であっても低圧及び低流量で効率よくスケールを除去できる。また、低圧及び低流量でデスケーリングできるため、鋼板の冷却を抑制しつつデスケーリング性能を改善できる。なお、鋼板に対してノズル1を近接させることにより、さらに衝突力を向上でき、デスケーリング性能を改善できる。そのため、前記ノズル1は、水を吐出させ、熱間圧延などの鋼板表面のスケールを除去するためのデスケーリングノズル(又はフラットデスケーリングノズル)として有用である。
なお、整流部材は軸芯から放射状に延びる整流羽根を備えており、整流羽根は、周方向に不規則的な間隔で放射状に延びていてもよいが、通常、周方向に規則的な間隔、特に周方向に等間隔(又は軸芯から同じ角度の間隔)で軸芯を中心として放射状に延びている。整流部材の整流羽根は、軸方向に対して斜め方向に延びていてもよく、軸方向に沿って湾曲して延びていてもよいが、通常、軸方向に沿って直線状に延びている。羽根の枚数は奇数枚であってもよく偶数枚であってもよい。
さらに、ノズルの先端部の吐出口が楕円形状で開口している場合、前記整流部材の一部の羽根は、吐出口の長軸、短軸又は斜め方向に向いていてもよいが、安定な噴射パターンを得るため、吐出孔の長軸方向を向いているのが好ましい。特に、前記整流部材の一部の羽根(軸芯を中心としてほぼ対向する位置に形成された一対の羽根など)は、吐出孔の長軸方向と向きをほぼ一致させて半径方向に延びているのが好ましい。
前記のように、整流部材の構造(羽根の枚数、厚み、長さ)を最適化することにより、壊食性能を向上できる。特に、羽根の枚数及び厚みの効果は顕著であり、羽根の枚数が多いほど、また羽根の厚みが小さいほど、壊食性能が向上する。羽根の枚数は、ノズルのサイズや用途などに応じて、例えば、10〜20枚(例えば、10〜18枚)程度の範囲から選択でき、通常、10〜16枚、好ましくは10〜14枚(例えば、12〜14枚)程度である。なお、羽根の枚数が多くなるにつれて衝突力(又は壊食性能)は向上するが、羽根の枚数が多くなりすぎると、羽根同士の間隔が小さくなり過ぎて、詰まりが発生しやすくなる。そのため、フィルタ構造により詰まりの発生を防止できるノズルでは、羽根の数が多いほど有利であるが、通常のスリット状流入口などで形成されたフィルタ構造を有するノズル(特に、デスケーリングノズル)では、前記10〜14枚(例えば、12〜14枚)、特に12枚程度の羽根が有利である。
羽根の厚みを薄くするにつれて、羽根の端面での流れの乱れを軽減できるため、整流作用を高め、衝突力(壊食性能)を向上できる。一方、羽根の厚みが薄すぎると、強度が低下して羽根が変形又は破損するおそれがある。そのため、羽根の厚みは、ノズルのサイズや用途などに応じて、0.1〜1mm(例えば、0.2〜0.9mm)程度の範囲から選択でき、通常、0.3〜0.8mm(例えば、0.5〜0.8mm)、好ましくは0.3〜0.7mm(例えば、0.4〜0.6mm)程度であってもよく、0.4〜0.7mm程度であってもよい。
羽根の長さは、ノズルのサイズなどに応じて、10〜50mm(例えば、12〜45mm)程度の範囲から選択でき、例えば、15〜45mm(例えば、17〜40mm)、好ましくは20〜43mm(例えば、23〜40mm)、さらに好ましくは25〜40(例えば、25〜38mm)程度であり、16〜35mm(例えば、25〜35mm)程度であってもよい。羽根の長さを25〜40mm(例えば、28〜38mm)程度にすると、性能が大幅に向上する。
また、整流部材が装着される流路(円筒状流路)の内径(D)に対する羽根の長さ(L)の比(L/D)が大きいほど整流効果が高く、壊食性能が向上する傾向を示し、前記比(L/D)が大きすぎると、噴射パターンに曲がりが発生するなど噴霧が不安定になりやすくなる。前記比(L/D)は、ノズルのサイズや用途などに応じて、1〜3(例えば、1.3〜2.5)程度の範囲から選択でき、通常、1.5〜2.3(例えば、0.6〜2.2)、好ましくは1.8〜2.1程度であってもよく、1〜2.3程度であってもよい。なお、前記通常のスリット状流入口などで形成されたフィルタ構造を有するノズル(特に、デスケーリングノズル)では、比(L/D)が1.5未満では整流効果及び壊食性能が低い場合がある。
前記整流部材の上流部及び下流部には、必ずしも必要ではないが、流体をより整流化するため、整流案内部を備えているのが好ましい。この整流案内部は、下流方向又は上流方向にいくにつれて先細りとなる形態を有していればよく、整流案内部材の頂部は、流体の乱流化を抑制できる限り、弾頭状、ノーズ状などの形態で湾曲していてもよく、円錐台状であってもよく、先端が鋭角に尖った円錐状であってもよい。
整流案内部(先細状の円錐状の突起など)は必ずしも必要ではないが、少なくとも整流部材の下流側に整流案内部(先細状の突起、円錐部など)を形成するのが好ましい。整流部材の下流側に下流方向にいくにつれて先細りとなる円錐状の突起(円錐部)を形成し、整流部材の上流側に上流側ほど先細りとなる円錐状の突起(円錐部)を形成すると、整流効果が高めることができ有利である。この整流案内部(円錐状の突起)の頂点は、整流羽根よりも上流方向及び下流方向に延出している。
また、整流羽根は芯体から放射状に延出している必要はなく、軸芯から放射状に延出していればよい。このような整流羽根を備えた整流部材は、例えば、互いに装着可能な切り込み部を有する複数の板部材を組み合わせることにより形成してもよい。
整流部材は、ノズルの流路内に配設すればよく、通常、所望する整流域(整流流路)に応じて、ノズルの上流部、特に流体の流入域(流入口が形成された領域)に通じる整流流路内、特に、少なくとも流入口の流入域よりも下流域に配設され、整流部材の一部は流入口からの流体の流入域に至っていてもよい。より具体的には、整流部材は、流入口全体と流入口の下流域とに亘る領域、前記流入口の一部と流入口の下流域とに亘る領域、流入口よりも下流域などの適所に配設できる。
図5は他の整流部材を示す概略斜視図であり、図6は図5に示す整流部材の組立方法を示す概略図である。
図5に示す整流部材24は、上流部及び下流部に円錐状突起部が形成されていない点、複数の板部材26a〜26fの組合せにより整流羽根25が延出している点を除いて、図3に示す整流部材と同様に構成されている。この例の整流部材は、図6に示されるように、6枚の板部材26a〜26fを組み合わせて12枚の羽根25を形成している。すなわち、第1の板部材26aには、端部から所定長さの第1の装着部27aを残して、幅方向の中央部に長手方向(又は軸方向)に延びる所定長さの第1のスリット状切り込み部28aが形成され、第2の板部材26bの幅方向の中央部には、長手方向(又は軸方向)に沿って、一方の端部から第1の装着部27aに装着可能であり、かつ第1の装着部27aに対応する長さのスリット29bが形成され、所定長さの第2の装着部27bを残して、他方の端部から延びる所定長さのスリット状切り込み部28bが形成されており、第3の板部材26cの幅方向の中央部には、長手方向(又は軸方向)に沿って、一方の端部から、第2の装着部27bに装着可能であり、かつ第1及び第2の装着部27a,27bに対応する長さのスリット29cが形成され、所定長さの第3の装着部27cを残して、他方の端部から所定長さのスリット状切り込み部28cが形成されている。第4の板部材26d、第5の板部材26e及び第6の板部材26fは、前記第3の板部材26c、第2の板部材26b及び第1の板部材26aと対称の形態でスリット29d〜29f、装着部27d〜27f及びスリット状切り込み部28d〜28eが形成されている。なお、第6の板部材26fは、第1の板部材26aと対称の形態を有しており、一方向からだけスリット状切り込み部が形成されている。
図6に示されるように、第1の板部材26aに対して第2の板部材26b、第2の板部材26bに対して第3の板部材26c、第3の板部材26cに対して第4の板部材26d、第4の板部材26dに対して第5の板部材26e、第5の板部材26eに対して第6の板部材26fを順次装着又は嵌合することにより、図5に示す整流部材24を組み立てることができる。これらの12枚の羽根は周方向において角度30°毎に形成されている。
このような整流部材は効率よく組立てることができるとともに、整流羽根の数が多いため、整流効果を高めることができる。
なお、整流部材の整流羽根を前記板部材で構成する場合、整流羽根の枚数に応じて、n枚の板部材の組み合わせにより、2×n枚の羽根を形成できる。また、複数の板部材の組合せにより整流羽根を形成する場合、各板部材の装着部(各板部材が集合した芯部)を接合して補強してもよい。また、整流部材のうち各板部材が集合した芯部の少なくとも下流側(好ましくい下流部及び上流部)には、前記円錐状の突起部材を取り付けてもよい。
さらに、整流羽根の上流側及び下流側の端面は、面取りされていてもよく、鋭角に尖っていてもよい。また、整流羽根の半径方向の端部(外方向の端部又はコーナー部)は所定のアール形状に湾曲又は傾斜していてもよい(又は上流方向又は下流方向にいくにつれて半径方向の径が小さくなっていてもよい)。
図7はノズル先端部の他の例を示す部分概略斜視図であり、図8は図7のノズルの先端部を示す概略断面図である。
この例のスプレーノズル30は、ノズル先端部の構造が異なる点を除いて、前記図1に示すスプレーノズルと同様の構造を有している。すなわち、第2のケーシング31に装着された超硬合金製ノズルチップ32の先端部には、楕円形状の凹部(又は環状凹部)35が形成され、この凹部は、ノズルの先端部から上流側にいくにつれて半径方向の内方へ直線状又は湾曲して傾斜した(又は狭まる)傾斜側壁35aと、この傾斜側壁の上流端から軸線方向に延びる周壁35bとを備えている。そして、このような凹部35の中央部には、前記楕円形状凹部35の長軸と軸線を同じくして楕円形状の吐出孔36が開口している。この吐出孔(又は前記周壁の上流端)36から上流方向には、前記と同様に、テーパ部(テーパ状環状側壁又はテーパ側壁)37により所定のテーパ角θで拡がるテーパ状流路(又は円錐状流路)P5と、ブシュ又は環状側壁34によりほぼ同じ内径で延びる流路(径大流路又は径大部38)P4(又はP4〜P1)とが形成されている。
このようなノズルでも、整流部材により、乱流の発生を軽減しつつ、流体の整流化と噴霧パターンの安定化を実現できる。また、前記径大部38及びテーパ部37を経て吐出孔から水を噴出できるので、低圧及び/又は低流量であってもデスケーリング効率を向上できる。さらに、吐出孔36の全周に亘って、周壁により所定の厚みを確保できるとともに、テーパ部(又はテーパ側壁)37と傾斜側壁との角度を大きく形成でき厚肉化できるので、吐出孔36を含めてノズル孔の耐摩耗性を改善できる。また、吐出孔36の全周に亘って傾斜側壁が形成され、吐出孔36が深部に位置するので、ノズルからの吐出流が鋼板などから跳ね返っても、吐出孔やその周辺に衝突するおそれが少なくなる。そのため、ノズルの耐久性を改善できる。
なお、吐出孔を含めてノズル孔の形状は特に制限されず、種々のノズル孔が利用できる。例えば、ノズルチップの先端面において、断面U字状の湾曲溝の底面は、吐出孔を最下部として延出方向(又は半径方向)にいくにつれて両端部が隆起した湾曲状底面であってもよい。また、ノズル先端部の凹面は、前記断面U字状溝(断面湾曲面)に限らず、湾曲凹面(開口部側が広がり、上流部側が狭まった湾曲面、例えば、球面状の凹部面、楕円面状の凹部面、茶碗状凹部面、ラッパ状凹部などの湾曲凹面など)であってもよい。さらに、ノズル先端部の凹面は、湾曲状又は直線状に傾斜した側壁を有する凹部で形成してもよい。
本発明のノズル及びそのフィルタ構造は、軸方向に延びる流路を有し、ノズルの上流域において周方向に間隔をおいて形成された流入口を備えており、この流入口は前記軸方向に延びるスリット状流入口(又はスリット)に限らず、周方向に延びるスリット、ランダム方向に延びるスリットで形成してもよく、複数の孔(円形状、楕円形状などの孔)で形成できる。流入抵抗を低減し、流体を流路内に円滑に流入させるためには、軸方向に延びた流入口(特にスリット状流入口)であるのが好ましい。なお、流入口を前記円形状などの孔で形成する場合、規則的又は不規則的に散在させてもよく、周方向に間隔をおいて、軸方向に列状に並ぶ複数の孔で流入口を形成してもよい。流入口は、ノズルの上流域の周壁に周方向に間隔をおいて形成すればよく、通常、周方向に隣接させて等間隔で形成する場合が多い。流入口の数は、例えば、ノズルの大きさ、流入口の形状などに応じて選択でき、スリット状流入口の数は、例えば、3〜20(好ましくは6〜24)程度であってもよい。
本発明のスプレーノズルのノズル孔は、整流部材から吐出口に向かって延びる先細状の流路を備えており、通常、ノズル孔の先端部は噴射流路を形成している。例えば、ノズル孔は、前記のように、上流から下流に向かって、整流流路、中間流路又は絞り流路、および噴射流路を備えていてもよい。特に、ノズル孔を、先端部(先端部の凹面又は凹部など)で開口した吐出孔と、吐出孔から延びるテーパ部と、このテーパ部に連なる径大部とで構成すると、衝突力及び壊食性能を向上できる。そのため、このような流路を有するノズルはフラットスプレーノズルを構成するのに有用である。
前記吐出孔は、扁平状などの種々の形状であってもよいが、通常、楕円形状である。楕円形状の吐出孔において、長径と短径との割合は、例えば、長径/短径=1.2〜3、好ましくは1.2〜2.5、さらに好ましくは1.4〜2程度である。
さらに、前記整流部材の一部の羽根(特に、半径方向の線上に位置する2つの羽根)の延出方向(半径方向への延出方向)と、前記吐出孔の長軸方向とは必ずしも一致している必要はなく、互いにずれていてもよいが、安定な噴射パターンを得るため、ほぼ一致しているのが好ましい。すなわち、前記整流部材の羽根の延びる方向は、吐出孔の長径方向(長軸方向)に一致又は合わせるのが好ましい。
前記テーパ部は所定の角度で直線状に傾斜していてもよく、異なる複数の傾斜角で順次傾斜していてもよく、湾曲して傾斜していてもよい。前記テーパ部は、角度の異なる複数のテーパ部(例えば、3以上のテーパ部)で構成された多段テーパ部であってもよく、吐出孔から軸線方向の上流側に向かって内径が連続的に大きくなる紡錘状の湾曲面によりテーパ面を形成してもよい。前記テーパ部の角度(テーパ角)θは、20〜80°程度の範囲、例えば、30〜80°、好ましくは35〜75°(例えば、35〜60°)、さらに好ましくは40〜70°、特に40〜60°程度の範囲から選択できる。なお、テーパ部が複数のテーパ部や湾曲部で構成されている場合、吐出側(下流側)に位置する最小の孔部(吐出孔)と、上流側に位置する径大部の始端部とを結ぶ線で形成される角度を前記テーパ角θとすることができる。
本発明のスプレーノズル及びノズルチップにおいて、吐出孔の短径Dに対する径大部の内径Dの割合(D/D)は、2〜10程度であってもよい。ノズルを小型化するためには、割合(D/D)は、3以上(例えば、3〜15)、例えば、3〜10(例えば、3〜8)、好ましくは3.5〜7.5、さらに好ましくは4〜7(例えば、4〜6)程度であってもよい。なお、径大部の内径Dは、8〜20mm(例えば、8〜15mm、好ましくは9〜15mm)程度であってもよい。
径大部は、通常、実質的に同じ内径に形成する場合が多いものの、デスケーリング効率を損なわない限り、前記傾斜部のように、角度0〜3°で上流方向に向かって内径が若干拡大して傾斜していてもよい。径大部(円筒状径大部又は径大流路部)の全体の長さは、例えば、30〜300mm(例えば、50〜200mm)、好ましくは50〜150mm(例えば、75〜150mm)程度である。
本発明のノズルは、第1のケーシングと中間ケーシングと第2のケーシングとで構成する必要はなく、単一の又は複数のケーシングで構成してもよい。また、上流域を形成するケーシングの上流側端部には、湾曲端面又は膨出状端面を形成してもよい。図9はケーシングの上流側端部の他の例を示す概略図である。
この例では、第1のケーシング41の上流側の端部はノーズ状又は頭部状の湾曲端部として形成されており、ケーシングの端部の周面及び湾曲端部面には、軸方向に延びる複数のスリット状流入口43が所定間隔をおいて周方向に形成されている。このようなケーシング41のスリット状流入口43でも、円滑に水を流入させ、前記と同様の仕切り部材、及び必要により整流部材を利用して、吐出孔から均一で高い衝突力分布で吐出流を噴出できる。
本発明の整流部材、フィルタ構造及びそれを備えたノズル(スプレーノズル)は、種々の用途、例えば、熱間圧延鋼板のスケール、基材の錆や塗料の除去、基材の洗浄などに利用できる。特に、前記整流部材を利用することにより、衝突力及び壊食能を向上でき、高圧スプレーノズルとして有用である。そのため、前記ノズルは、鋼板のスケールを除去するためのデスケーリングノズルとして有用である。高圧スプレーノズル(デスケーリングノズルなど)では、低圧及び/又は低流量であってもデスケーリング効率を大きく改善できる。例えば、ノズルからの水の吐出圧又は噴出圧は、5〜55MPa(好ましくは8〜30MPa、さらに好ましくは10〜25MPa、特に12〜20MPa(例えば、15〜18MPa))程度であってもよく、水の吐出流量又は噴出流量は、例えば、40〜200L/分程度の範囲、通常、45〜150L/分、好ましくは50〜100L/分、特に40〜100L/分(例えば、50〜80L/分)程度であってもよい。
被処理基材(鋼板)に対する吐出距離(スプレー距離)は、用途に応じて選択でき、デスケーリングの用途では、例えば、600mm以下(例えば、50〜500mm程度)の範囲から適当に選択できる。特に、本発明では吐出距離(スプレー距離)が遠距離、例えば、200〜700mm、好ましくは300〜600mm(例えば、300〜500mm)程度であっても、高い衝突力を発揮する。なお、吐出距離(スプレー距離)が短ければ、デスケーリング効率をさらに高めることができる。そのため、鋼板に対してノズルは近接させてもよく、前記吐出距離は、200mm以下(好ましくは50〜200mm、さらに好ましくは50〜180mm、特に75〜150mm)程度であってもよい。
なお、図示する例のノズルでは、吐出流は、通常、ノズル軸心に対して垂直な面内の一方向(面方向又は幅方向)に広がりを形成する。このようなノズル(フラットスプレーノズル)は、シャープでしかも均一な衝突力分布を実現でき、吐出流の衝突力分布において、幅方向の両側ではシャープな立ち上がりを示すだけでなく、幅方向の全体に亘ってほぼ均一で高い衝突力を示す。また、前記スプレーノズルは、通常、前記幅方向に対して垂直な方向(厚み方向)に、所定の壊食厚み角度φを備えており、所定の壊食厚み角度φで水が吐出又は噴出される。壊食厚み角度φはデスケーリング効率を損なわない限り特に制限されず、例えば、1.5〜3°(好ましくは2〜2.5°)程度である。なお、壊食厚み角度φは下記式に従って算出できる。
φ=2tan−1[(t−d)/2H]
(式中、t(mm)は壊食厚み、d(mm)はノズル吐出孔の短径、H(mm)はスプレー距離又は噴射距離を示す)
本発明では、整流部材を、ノズル流路(フィルタ部の流路など)内に配設することにより、吐出口からの流体による衝突力及び壊食性能を向上できる。そのため、本発明は、デスケーリングノズルの壊食能を向上させる方法も包含する。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜7及び比較例1〜4
図1に示すスプレーノズルを用いて、表1に示すように、羽根枚数、羽根厚み、羽根長さの異なる整流部材10種類について、鉛壊食性能を調べた。これらのノズルは断面U字状溝の凹面で開口されたノズルチップの吐出孔(長径4.7mm、短径3.3mmの楕円形状)、吐出孔からテーパ角50°、ノズルケース及び第1のケーシングの途中部まで延びる内径11mmφの径大部を形成する円筒状流路、この円筒状流路の上流端からテーパ角7.5°で延びる傾斜流路(長さ36mm)、この傾斜流路の上流端から内径16mmφで延び、かつ整流部材が装着された円筒状流路(φ16mm)、第2のケーシングの上流側端部に形成された12個のスリット(スリット長25mm)を有している。D/Dは3.3である。
径大部を形成する円筒状流路の長さは、羽根の長さが16mmの場合には79mm、羽根長さが25mmの場合には70mm、羽根長さが35mmの場合には60mmとした。また、整流部材としては、図3に示されるように、上流側及び下流側にそれぞれ先端部が上流側および下流側に向いた円錐状突起を備えた一体型の整流部材(比較例1〜3,実施例1〜3、実施例5〜6)と、図5及び図6に示すように、6枚の板部材の組み合わせにより12枚の羽根を形成し、上記円錐状突起は備えていない組合せ型の整流部材(実施例4および実施例7)を用いた。比較例1〜3で用いた整流部材54は、図10に示されるように、芯体から周方向に45°の角度で放射状に延びる8枚の羽根55と、上流部及び下流部に取り付けられた円錐状突起56,57とを備えている。一体型の整流部材は、円錐状突起も含め、切削加工により削り出して形成した。また、整流部材はいずれも、圧入により第2のケーシング内に固定した。
壊食性能は、スプレーの噴射圧(水圧)15MPaおよび吐出流量116リットル/分に設定し、スプレー距離300mm、鉛壊食時間20秒の条件で鉛壊食量を調べた。結果を表1に示す。なお、鉛壊食速度比は、比較例2の鉛壊食速度を「1」として表している。
結果を表1に示す。なお、表中、Dは整流部材が装着された円筒状流路の内径を示す。
Figure 2011115749
表1から明らかなように、比較例に比べ、実施例では壊食性能を大きく向上できる。特に、羽根の数が12枚の整流部材を用いた例では壊食性能が顕著に向上し、羽根の厚みが小さく、羽根の長さが大きい整流部材(特に、羽根の長さが25mm以上、特に35mmの整流部材)では壊食性能が向上した。
本発明の整流部材、フィルタ構造及びノズルは、基材の洗浄、錆や塗膜の除去、鋼板表面のデスケーリング(熱間圧延工程での鋼板表面のデスケーリング)などの広い用途に利用できる。特に、低圧及び低流量であっても、衝突力が高く、均一な噴霧パターンを形成できるので、デスケーリングノズルとして有用である。
1,21,41…スプレーノズル
2…第1のケーシング
3,43…流入口
4,24…整流部材
5,25…羽根(整流羽根)
6,7,26,27…円錐部
10…中間ケーシング
11,31…第2のケーシング
12,32…ノズルチップ
15,35…湾曲溝
16,36…吐出口
17,37…テーパ部
18,38…径大部
35…凹部

Claims (12)

  1. ノズルの流路内に配設される整流部材であって、軸芯から放射状に10〜20枚の羽根が延びている整流部材。
  2. 羽根の厚みが0.1〜1mmである請求項1記載の整流部材。
  3. 整流部材が装着される流路の内径(D)に対する羽根の長さ(L)の比(L/D)が1〜3であるである請求項1又は2記載の整流部材。
  4. 下流側に下流方向にいくにつれて先細りとなる円錐状の突起を備えているとともに、上流側に上流方向にいくにつれて先細りとなる円錐状の突起を備えている請求項1〜3のいずれかに記載の整流部材。
  5. n枚の板部材の組み合わせにより、2×n枚の羽根を形成している請求項1〜4のいずれかに記載の整流部材。
  6. ノズルが、先端部の凹面または凹部で開口した吐出孔と、この吐出孔からテーパ角30〜80°で延びるテーパ部と、このテーパ部に連なる径大部とで構成されたノズル孔を備えており、前記吐出孔の短径D2に対する径大部の内径D1の割合(D1/D2)が3以上である請求項1〜5のいずれかに記載の整流部材。
  7. 周方向に等間隔で10〜16枚の羽根が放射状に延びており、羽根の厚みが0.3〜0.7mmであり、整流部材が装着される流路の内径(D)に対する羽根の長さ(L)の比(L/D)が1.3〜2.5である請求項1〜6のいずれかに記載の整流部材。
  8. 周方向に等間隔で12枚の羽根が放射状に延びており、羽根の厚みが0.4〜0.6mmであり、整流部材が装着される流路の内径(D)に対する羽根の長さ(L)の比(L/D)が1.5〜2.3である請求項1〜7のいずれかに記載の整流部材。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載された整流部材が、ノズルの流路内に配設されているデスケーリングノズル。
  10. ノズルの上流部に周方向に間隔をおいて軸方向に延びる複数のスリットを有するスリット状フィルタ部が形成され、このフィルタ部の流路内に整流部材が配設されている請求項9記載のデスケーリングノズル。
  11. 請求項1〜8のいずれかに記載された整流部材がノズルのフィルタ部の流路内に配設されているノズルのフィルタ構造。
  12. 請求項1〜8のいずれかに記載された整流部材を、ノズルのフィルタ部の流路内に配設し、デスケーリングノズルの壊食能を向上させる方法。
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