JP2010221257A - スプレーノズルとそのフィルター構造 - Google Patents

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剛 千本
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Abstract

【課題】簡単な構造で流路内での乱流の発生を軽減できるスプレーノズル及びそのフィルタ構造を提供する。
【解決手段】ノズル1の上流域には複数のスリット状流入口3が形成され、この流入口からの流体の流入域の流路内には、放射状の複数の規制羽根5を有する仕切り部材4が配設され、仕切り部材の下流側の流路内には放射方向の複数の羽根7を有する整流部材6が配設されている。整流部材6の羽根7の数は、仕切り部材4の羽根5の数の整数倍であり、仕切り部材4の羽根5と、整流部材6の一部の羽根7とは、周方向の位相(位置)がほぼ一致し、対向する位置の羽根5及び羽根7は、ノズルの先端部で楕円形状で開口する吐出口16の長軸方向とほぼ一致して半径方向に延びている。整流部材6の下流側には先細状の円錐形突起が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、スプレーノズルとそのフィルター構造、例えば、熱間圧延鋼板のスケール、錆やコーティング膜の除去や、基材などの被洗浄物の洗浄などに有用な高圧スプレーノズル(デスケーリングノズルなど)とそのフィルター構造に関する。
高圧スプレーノズル、例えば、デスケーリングノズルは、通常、軸方向に延びる流路を有するノズル本体と、このノズル本体の上流側の周壁に周方向に間隔をおいて軸方向に延び、かつ流体(水など)を前記流路内に流入させるための複数のスリットと、このスリットの下流側の流路内に配設され、前記スリットから流入して混合した流体を整流化するための整流部材と、この整流部材の下流方向に延び、前記ノズル本体の先端部に装着されたノズルチップの吐出口に至る流路とを備えている。なお、前記複数のスリットは、夾雑物が流路内に侵入するのを防止するためのフィルタ部を構成しており、前記整流部材は、周方向に間隔をおいて軸方向に延びる複数の羽根を備えている。このような高圧スプレーノズルでは、各スリットから流入した流体(水など)が流路内で合流・混合されて乱流を形成し、整流部材により整流化し、吐出口から流体を吐出又は噴射できる。このようなノズル構造は、例えば、特開平5−261426号公報(特許文献1)、特許第3801778号公報(特許文献2)、特許第4084295号公報(特許文献3)、特開2008−285755号公報(特許文献4)などに記載されている。
しかし、これらのノズル構造では、スリットから流入した流体が流路内で合流・衝突して乱流が生成し、流体の流速を大きく低減させる。そのため、吐出口からの流体の衝突力が低減し、洗浄効率を高めることができない。
さらに、スリットの下流域の流路に、周方向に間隔をおいて半径方向に延びる複数の羽根を有する2つの整流部材を軸方向に所定間隔おいて配設し、隣接する2つの整流部材を、羽根の周方向の位置をずらせて配設したデスケーリングノズルも提案されている。しかし、このようなノズルでも、隣接する2つの整流部材の羽根が周方向に位置ずれしているため、乱流が生成し、流体の流速が大きく低減するため、洗浄効率を高めることができない。
さらに、特公平6−73697号公報(特許文献5)には、整流器を備えた整流通路(A)と、この整流通路(A)の下流方向に連なる絞り通路(B)と、この絞り通路(B)の下流方向に連なり、噴射口(C1)が開口した噴射通路(C)とが同軸に形成されたスケール除去用ノズルであって、前記整流器は、前記整流通路(A)の通路長手方向に沿う整流板(4A)を備えているとともに、その整流板(4A)よりも下流側に、下流側ほど先細りとなる円錐形の突起(4B)を備え、この突起(4B)部を前記絞り通路(B)の上流部に入り込む状態で設けたスケール除去用ノズルが開示されている。この文献にも、整流器の上流域に形成され、スリットを有するフィルタ部が記載されている。このノズルでは、噴射流を可及的に整流状態に維持して、噴射圧の上昇および均等化により効率よく確実にスケールを除去できる。特開2004−216454号公報(特許文献6)には、ノズルから水を吐出させて鋼板表面のスケールを除去するためのデスケーリングノズルであって、ノズルが、先端部の凹面又は凹部で開口した吐出孔と、この吐出孔からテーパ角θ30〜80°で延びるテーパ部と、このテーパ部に連なる径大部とで構成されたノズル孔を備えており、前記吐出孔の短径Dに対する径大部の内径Dの割合(D/D)が3以上であるデスケーリングノズルが開示されている。このノズルでは、低圧及び/又は低流量であってもデスケーリング効率を大きく改善できる。この文献にも、複数のスリットで構成されたフィルタ部と、整流羽根を備えた整流ユニットと、この整流ユニットの芯体の両端から上下方向に延びる円錐部とが記載されている。
しかし、これらの文献に記載のノズルでも、フィルタ部のスリットから流入した流体が流路内で合流・衝突して、流体の流速を低減させる。そのため、高い衝突力で洗浄効率を高めるためには、整流板の構造、流路径の調整などが必要である。
このように、従来のノズルの整流部材では、流路内で発生する乱流を効率よく整流化できず、整流化した状態で流体を吐出口から吐出又は噴射することが困難である。また、生成する乱流に起因して、吐出口から噴射される流体の噴射パターンが不安定となる。さらには、衝突力が低下するため、洗浄又は清浄化効率が低下し、例えば、熱間圧延鋼板の製造過程で生成するスケールを高い壊食性能で効率よく除去できない。
特開平5−261426号公報(段落[0016]、図5) 特許第3801778号公報(段落[0016]、図5) 特許第4084295号公報(段落[0028]、図7,図8) 特開2008−285755号公報(段落[0035]〜[0037],図1) 特公平6−73697号公報(請求項1、図1〜図2) 特開2004−216454号公報(請求項1,段落[0028]、図1〜図3)
従って、本発明の目的は、簡単な構造で流路内での乱流の発生を軽減できるスプレーノズル及びそのフィルタ構造を提供することにある。
本発明の他の目的は、吐出口での整流化を容易に実現でき、噴射パターンを安定化できるスプレーノズル及びそのフィルタ構造を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、衝突力を高め、壊食性能を向上できるスプレーノズル及びそのフィルタ構造を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、スプレーノズルの上流域において周方向に間隔をおいて形成された流入口(スリット状流入口)から流体が流入する流入域の流路内に、周方向に間隔をおいて軸方向に延びる羽根を有する周方向への流体の移動を規制するための規制羽根(又は流体の流れ方向を軸方向へ変換する羽根部材)を有する仕切り部材を配設すると、軸方向に対して交差する方向から流体が流路内に流入しても、仕切り部材により流体が周方向に移動するのを規制しつつ、流体の流れ方向を軸方向に変換して、乱流の生成を大きく抑制できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のスプレーノズルのフィルター構造は、軸方向に延びる流路を有するノズルの上流域において周方向に間隔をおいて形成され、かつ流体を前記流路内に流入させるための複数の流入口(スリットなど)を備えており、前記流入口からの流体の流入域(スリットなどの前記流入口が形成された領域又はフィルタ部)の流路内には、周方向への流体の移動を規制するための規制羽根を有する仕切り部材が配設されている。すなわち、複数の流入口(スリットなど)が形成されたフィルタ部(又は領域)の内部には仕切り部材が装着されている。前記流入口は、通常、ノズルの上流域の周壁に周方向に間隔をおいて軸方向に延びるスリット状に形成され、仕切り部材は、通常、放射状に延びる複数の羽根(周方向に間隔をおいて軸方向に延びる複数の羽根)を備えている。
このような構造では、周方向に異なる位置の各流入口(スリットなど)から流体が流入しても、仕切り部材の規制羽根により乱流が生成するのを抑制又は軽減でき、吐出口において流体の整流化を実現でき、流速を低減することなく流体を噴射できる。また、乱流の発生を軽減できるため、噴射パターンを安定化できる。さらに、整流化された流体を吐出口から噴射でき、流体の衝突力が高くなるため、洗浄又は清浄化効率を向上でき、例えば、熱間圧延鋼板のスケールを高い壊食性能で効率よく除去できる。さらには、流入域に仕切り部材が装着(特に軸方向に装着)されるため、流入口(スリットなど)が形成された領域を補強でき、変形に対する耐性を向上できる。
前記仕切り部材の下流側の流路内には整流部材を配設してもよい。仕切り部材と整流部材とを組み合わせると、仕切り部材による流体の流れを整流部材で整流化でき、さらに流体の整流化が達成できる。具体的には、前記整流部材は、通常、放射方向に延びる複数の羽根を備えており、周方向において、仕切り部材の規制羽根は、前記整流部材の周方向に隣接する2つの羽根の間(例えば、中間)に位置していてもよい。また、仕切り部材は、通常、放射方向に延び、かつ整流部材よりも少ない数の羽根を備えている。このような構造では、仕切り部材による流体の流れを整流部材でさらに分割して整流化できる。
さらに、整流部材の羽根の数は、仕切り部材の羽根の数の整数倍であってもよく、前記仕切り部材の羽根の周方向(円周方向など)の位相(又は位置)は、前記整流部材の一部の羽根の周方向(円周方向など)の位相(又は位置)とほぼ一致していてもよい。このような構造では、仕切り部材と整流部材とで流体の流れを均等に分割でき、より効率よく乱流の生成を防止でき、安定な噴射パターンを得ることができる。
前記ノズルの先端部の吐出口は楕円形状で開口していてもよく、仕切り部材及び整流部材の羽根の数は偶数であってもよい。また、前記仕切り部材及び整流部材の一部の羽根は、吐出孔の長軸方向とほぼ一致して半径方向に延びていてもよい。前記仕切り部材及び整流部材の一部の羽根の延出方向と吐出口の長軸方向とを揃えると、乱流の生成を防止でき、安定な噴射パターンを得ることができる。
さらに、流体をより整流化するため、整流部材は、その下流側に、下流方向にいくにつれて先細状の円錐形突起を備えていてもよい。また、仕切り部材と整流部材とは隣接している場合が多く、互いに所定間隔をおいて又は密接して若しくは遊離していてもよく一体化していてもよい。
さらに、低流量及び/又は低圧でも衝突力を高めるため、ノズルは、先端部の凹面又は凹部で開口した吐出孔と、この吐出孔から内径が上流方向に拡大して延びるテーパ部と、このテーパ部に連なる径大部とで構成されたノズル孔を備えていてもよく、前記吐出孔の短径Dに対する径大部の内径の割合(D/D)が3以上であってもよい。
前記仕切り部材は、流入口(軸方向に延びるスリット状流入口など)から流体が流入する流路の少なくとも一部を仕切ってもよい。すなわち、仕切り部材は、流入口(特に、スリット状流入口)又はフィルタ部(流入口が形成され、フィルタとして機能する領域)の流路の少なくとも一部を仕切ればよく、流入口又はフィルタ部の流路の全部又は一部(例えば、下流側の一部)を仕切ってもよい。
本発明は、前記フィルター構造を有するスプレーノズル、例えば、軸方向に延びる流路を有するノズルの上流域の周壁に周方向に間隔をおいて形成され、かつ流体を前記流路内に流入させるための複数の流入口(軸方向に延びるスリットなど)を備え、前記流路を経て先端部の吐出口から流体を吐出するためのスプレーノズルであって、前記流入口(軸方向に延びるスリットなど)からの流体の流入域の流路内に、周方向への流体の移動を規制するための規制羽根を有する仕切り部材が配設されているスプレーノズルも包含する。このスプレーノズルは、仕切り部材の下流側の流路に配設された整流部材と、この整流部材から吐出口に向かって延びる先細状の流路とを備えていてもよい。また、前記のように、ノズルが、先端部の凹面又は凹部で開口した吐出孔と、この吐出孔から内径が上流方向に拡大して延びるテーパ部(テーパ角30〜80°程度のテーパ部)と、このテーパ部に連なる径大部とで構成されたノズル孔を備えており、前記吐出孔の短径Dに対する径大部の内径の割合(D/D)が3以上であってもよい。スプレーノズルはデスケーリングノズルであってもよい。
なお、本明細書において、流入口が形成された領域がフィルタとして機能するため、流入口が形成された領域又は部位をフィルタ部という場合がある。また、仕切り部材とは、流入口又はフィルタ部から流体が流入する流路の少なくとも一部(一部又は全部)を軸方向に仕切る部材を意味し、整流部材とは、流入口又はフィルタ部の下流に仕切り部材と隣接して位置し、流体の流れを整流する部材を意味する。
本発明では、流路内に仕切り部材が配設された簡単な構造で、流入口から流入した流体が流路内で乱流化するのを有効に防止でき、吐出口での整流化を容易に実現できる。そのため、噴射パターンを安定化できるとともに、衝突力を高め、壊食性能を向上できる。
図1は本発明のスプレーノズルの一例を示す概略斜視図である。 図2は図1のII-II線概略断面図である。 図3は整流部材及び仕切り部材を示す概略斜視図である。 図4は図1のノズル先端部の概略正面図である。 図5は他の整流部材及び仕切り部材を示す概略斜視図である。 図6は本発明のノズル先端部の他の例を示す部分概略斜視図である。 図7は図6のノズルの先端部を示す概略断面図である。 図8はケーシングの上流側端部の他の例を示す概略斜視図である。
図1は本発明のスプレーノズルの一例を示す概略斜視図であり、図2は図1のII-II線概略断面図であり、図3は整流部材と仕切り部材を示す概略斜視図であり、図4は図1のノズル先端部の概略正面図である。この例ではスプレーノズルとしてデスケーリングノズルが示されている。
前記スプレーノズル1は、上流側に位置し、円筒状の整流流路P1を形成するための円筒状の第1のケーシング2と、このケーシングに装着され、前記整流流路P1から下流方向に延びる円筒状の中間流路P2,P3を有する円筒状の中間ケーシング10と、このケーシングに装着され、前記中間ケーシング10の流路から下流方向に延び、かつ下流側の流路径が絞られた噴射流路P4,P5を有する円筒状の第2のケーシング11とを備えている。前記第1のケーシング2と中間ケーシング10と第2のケーシング11とは互いに螺合などにより装着され、一体化しており、整流流路P1、中間流路P2,P3及び絞り流路P4,P5は、ノズル1の軸芯に沿って軸線方向に延びるノズル孔又はノズル流路を形成している。
第1のケーシング2の上流域の周壁(上流端部の周面及び端面)には、夾雑物の流入を規制しつつ流体(水など)を整流流路内に流入させるため、軸方向に延びる複数のスリット状の流入口3が周方向に間隔をおいて形成され、フィルタ部を形成している。このようなフィルタ構造では、周方向に間隔をおいて形成された流入口3から流入した流体が流入域で合流して乱流を生成させ、流体の流れ方向が大きく乱れるとともに、流体の流速を大きく低減させる。
本発明では、前記乱流の生成を抑制するため、前記スリット状流入口3からの流体の流入域(流入口が形成された領域)の整流流路内には、放射状の複数の羽根5を備えた仕切り部材(又は仕切りユニット)4と、この仕切り部材の下流部に配設され、かつ放射状の複数の羽根7を備えた整流部材(又は整流器、スタビライザなどの整流ユニット)6とが配設されている。この例では、図3に示されるように、仕切り部材4及び整流部材6は、軸芯方向に延びる共通の芯体を備えており、この芯体の上流部(前記流入域に対応する部位)には、周方向への流体の移動を規制するため、芯体から複数の規制羽根(又は仕切り羽根)5が放射方向に延びて仕切り部材4を形成している。また、仕切り部材4により乱流の生成が抑制された流体を整流化するため、前記複数の規制羽根5に隣接する前記芯体の下流部では、芯体から複数の規制羽根(又は仕切り羽根)7が放射方向に延びて整流部材6を形成しており、前記整流部材6は、仕切り部材4の羽根5の整数倍の数の羽根7を備えている。この例では、仕切り部材4は芯体から周方向に等間隔で放射方向に延びる6枚の整流羽根5を備えており、整流部材6は芯体から周方向に等間隔で放射方向に延びる12枚の整流羽根7を備えている。
流れを均等に分割し、安定な噴射パターンを得るため、前記仕切り部材4の羽根5の円周方向の位相(位置)は、前記整流部材6の一部の羽根(この例では、6枚の羽根)の円周方向の位相(位置)とほぼ一致している。すなわち、仕切り部材4の6枚の羽根5と、整流部材6の12枚の羽根のうち6枚の羽根(1つおきの6枚の羽根)とが、ほぼ同じ軸線上に位置し、かつ軸方向に延びている。
なお、仕切り部材(又は仕切りユニット)4及び整流部材(整流ユニット)6の羽根5,7はケーシング2の内壁に当接しているとともに、固定手段(係止、装着、溶着、固着など)により下流側への移動が規制されている。
さらに、流体を整流化するため、前記芯体の下流端からは、芯体と同軸に形成され、かつ先細状の先端部を下流方向に向いた鋭角な円錐部(下流側が先細り状態の円錐部)8が延出している。
前記第1のケーシング2は実質的に同じ内径の円筒状流路(整流流路)P1を形成しており、中間ケーシング10は、前記整流部材6の下流端から下流方向に向かって緩やかな傾斜でテーパ状に狭まり、中間ケーシング10の途中部に至る傾斜流路(環状傾斜流路)P2と、この傾斜流路の下流端から実質的に同じ内径で下流方向に延びる円筒状流路P3とを備え、中間流路(又は絞り流路)を形成している。この例では、傾斜流路P2を形成する傾斜壁(テーパ部)のテーパ角は、例えば、5〜10°程度に形成されている。
また、第2のケーシング11の先端部には、吐出口を形成する超硬合金製ノズルチップ12が装着されている。すなわち、前記第2のケーシング11内には、先端部から上流方向に向かって、超硬合金製ノズルチップ12と、前記中間ケーシング10の下流端と実質的に同じ内径の流路が形成されたブシュ(又は環状側壁)14とが順次装着されており、前記ノズルチップ12は掛止段部13により先端部方向への抜けが規制されている。前記ノズルチップ12の先端面には、断面U字状の湾曲溝15が半径方向に形成されているとともに、この湾曲溝の湾曲凹面には、楕円形状の吐出孔16が開口している。楕円形状の吐出孔16の長径/短径比は、1.5〜1.8程度に形成されている。
さらに、前記仕切り部材4の一部の羽根5及び整流部材6の一部の羽根(芯体の半径方向の線上に位置する2つの羽根)7は、前記吐出孔16の長軸方向とほぼ一致して半径方向に延びている。すなわち、安定な噴射パターンを得るため、前記仕切り部材4及び整流部材6の羽根5,7の延びる方向を吐出孔16の長径方向に合わせている。
前記第2のケーシング11において、ノズル1の軸線方向に延びるノズル孔は、吐出孔(又は噴出口)16と、ノズルチップ12に形成され、かつ前記吐出孔16から上流方向に向かって所定のテーパ角θで円錐状に拡径して延びるテーパ部(又は円錐状傾斜壁)17により形成された円錐状流路(噴射流路)P5と、前記ブシュ14により形成され、かつ前記テーパ部17の上流端から実質的に同じ内径で上流方向へ連なる円筒状流路P4とで構成されており、円筒状流路P4は中間流路を形成している。前記テーパ部17の角度(テーパ角)θは、低圧及び/又は低流量であっても衝突力を高めるため、45〜55°程度に設定されている。なお、前記テーパ部17の上流端から実質的に同じ内径で延びる流路(この例では、円錐状流路(噴射流路)の上流端から緩やかな傾斜流路P2の下流端までの円筒状流路P3及びP4)を径大部18とすることができる。前記吐出孔16と径大部18との関係について、吐出孔16の短径Dに対する径大部18の内径Dの割合(D/D)は、ノズル1を小型化するため、3〜7程度に設定されている。
なお、前記第1及び第2のケーシング2,11や中間ケーシング10の適所(この例では、第2のケーシング11)には、アダプター(図示せず)を利用して導管又はヘッダ(図示せず)にノズル1を取り付けるための鍔部(又はフランジ)19などの取付部を形成してもよく、導管に対する周方向の位置決め用凸部20を形成してもよい。
このようなフィルタ構造を備えたスプレーノズルを用いると、前記仕切り部材4により、前記流入口3又はフィルタ部から流入した流体により乱流が発生するのを軽減でき、流体を整流化できる。また、前記整流部材6により流体を分割してさらに整流化できる。さらには、整流部材6の下流側の円錐部(円錐状突起)8により流体をさらに整流化できるとともに、周方向の規制羽根5及び整流羽根7の配置、及び吐出口16に対する規制羽根5及び整流羽根7の向きを調整しているため、流体を均等に分配でき、吐出口16の近傍で流体が乱流化するのを抑制できる。そのため、流体の流速を低減させることなく、噴霧パターンを安定化できる。さらに、衝突力及び壊食性能を向上できるとともに、仕切り部材4により流入口3が形成された領域を補強でき、変形に対する強度を大きくできる。
さらには、ノズル孔の径大部18を経てテーパ部17が直線的に傾斜して吐出孔16に至っているため、シャープな衝突力分布を実現でき、小型であっても低圧及び低流量で効率よくスケールを除去できる。また、低圧及び低流量でデスケーリングできるため、鋼板の冷却を抑制しつつデスケーリング性能を改善できる。なお、鋼板に対してノズル1を近接させることにより、さらに衝突力を向上でき、デスケーリング性能を改善できる。そのため、前記ノズル1は、水を吐出させ、熱間圧延などの鋼板表面のスケールを除去するためのデスケーリングノズル(又はフラットデスケーリングノズル)として有用である。
図5は他の整流部材及び仕切り部材を示す概略斜視図であり、図6はノズル先端部の他の例を示す部分概略斜視図であり、図7は図6のノズルの先端部を示す概略断面図である。
この例のスプレーノズル21は、仕切り部材24の羽根25と整流部材26の羽根27とが共通の芯体で一体化している点、ノズル先端部の構造が異なる点を除いて、前記図1に示すスプレーノズルと同様の構造を有している。すなわち、芯体には、全長に亘り、周方向に等間隔をおいて放射方向に延びる放射状の複数の羽根(この例でも、芯体の軸方向に延びる12枚の羽根)が形成されており、芯体の下流域では放射状の複数の整流羽根(この例でも、12枚の羽根)27を備えた整流部材(整流部)26を形成している。一方、芯体の上流域では、下流域の複数の羽根27のうち周方向に1つおきに羽根(この例でも、6枚の羽根)27の上流域が湾曲して切除され、残りの複数の羽根25は仕切り部材24の規制羽根(仕切り羽根)を形成している。すなわち、周方向に間隔をおいて軸方向に連なる複数の羽根27は下流域では整流羽根27を形成し、上流域において、周方向に1つおきに、整流羽根27は上流方向にいくにつれて湾曲して芯体の表面に至る湾曲部を介して切除され、残余の羽根が規制羽根(仕切り羽根)25を形成している。なお、芯体の下流端からは、鋭角な円錐部(下流側が先細り状態の円錐部又は円錐状突起)28が下流方向に突出している。
また、第2のケーシング31に装着された超硬合金製ノズルチップ32の先端部には、楕円形状の凹部(又は環状凹部)35が形成され、この凹部は、ノズルの先端部から上流側にいくにつれて半径方向の内方へ直線状又は湾曲して傾斜した(又は狭まる)傾斜側壁35aと、この傾斜側壁の上流端から軸線方向に延びる周壁35bとを備えている。そして、このような凹部35の中央部には、前記楕円形状凹部35の長軸と軸線を同じくして楕円形状の吐出孔36が開口している。この吐出孔(又は前記周壁の上流端)36から上流方向には、前記と同様に、テーパ部(テーパ状環状側壁又はテーパ側壁)37により所定のテーパ角θで拡がるテーパ状流路(又は円錐状流路)P5と、ブシュ又は環状側壁34によりほぼ同じ内径で延びる流路(径大流路又は径大部38)P4(又はP4〜P1)とが形成されている。
このようなノズルでも、仕切り部材24により、乱流の発生を軽減しつつ、流体の整流化と噴霧パターンの安定化を実現でき、整流部材26によりさらに整流化できる。また、前記径大部38及びテーパ部37を経て吐出孔から水を噴出できるので、低圧及び/又は低流量であってもデスケーリング効率を向上できる。さらに、吐出孔36の全周に亘って、周壁により所定の厚みを確保できるとともに、テーパ部(又はテーパ側壁)37と傾斜側壁との角度を大きく形成でき厚肉化できるので、吐出孔36を含めてノズル孔の耐摩耗性を改善できる。また、吐出孔36の全周に亘って傾斜側壁が形成され、吐出孔36が深部に位置するので、ノズルからの吐出流が鋼板などから跳ね返っても、吐出孔やその周辺に衝突するおそれが少なくなる。そのため、ノズルの耐久性を改善できる。
なお、吐出孔を含めてノズル孔の形状は特に制限されず、種々のノズル孔が利用できる。例えば、ノズルチップの先端面において、断面U字状の湾曲溝の底面は、吐出孔を最下部として延出方向(又は半径方向)にいくにつれて両端部が隆起した湾曲状底面であってもよい。また、ノズル先端部の凹面は、前記断面U字状溝(断面湾曲面)に限らず、湾曲凹面(開口部側が広がり、上流部側が狭まった湾曲面、例えば、球面状の凹部面、楕円面状の凹部面、茶碗状凹部面、ラッパ状凹部などの湾曲凹面など)であってもよい。さらに、ノズル先端部の凹面は、湾曲状又は直線状に傾斜した側壁を有する凹部で形成してもよい。
本発明のスプレーノズル及びそのフィルター構造は、軸方向に延びる流路を有し、ノズルの上流域において周方向に間隔をおいて形成された流入口を備えており、この流入口は前記軸方向に延びるスリット状流入口(又はスリット)に限らず、周方向に延びるスリット、ランダム方向に延びるスリットで形成してもよく、複数の孔(円形状、楕円形状などの孔)で形成できる。流入抵抗を低減し、流体を流路内に円滑に流入させるためには、軸方向に延びた流入口(特にスリット状流入口)であるのが好ましい。なお、流入口を前記円形状などの孔で形成する場合、規則的又は不規則的に散在させてもよく、周方向に間隔をおいて、軸方向に列状に並ぶ複数の孔で流入口を形成してもよい。流入口は、ノズルの上流域の周壁に周方向に間隔をおいて形成すればよく、通常、周方向に隣接させて等間隔で形成する場合が多い。流入口の数は、例えば、ノズルの大きさ、流入口の形状などに応じて選択でき、スリット状流入口の数は、例えば、3〜20(好ましくは6〜24)程度であってもよい。
仕切り部材は、流体の流入域の流路内(例えば、スリット状流入口の内部流路)に配設され、周方向への流体の移動を規制するための規制羽根を有していればよく、規制羽根は、通常、半径方向に延出し、かつ軸方向に延びている。規制羽根は、軸方向に対して斜め方向に延びていてもよく、軸方向に沿って湾曲して延びていてもよいが、通常、軸方向に沿って直線状に延びている。仕切り部材は、通常、芯体から周方向に間隔をおいて放射状に延びる複数の規制羽根(すなわち、周方向に間隔をおいて軸方向に延びる複数の規制羽根)を備えており、複数の規制羽根は、周方向に不規則に形成してもよいが、通常、周方向に等間隔で形成する場合が多い。
なお、前記仕切り部材は、流入口(軸方向に延びるスリット状流入口など)又はフィルタ部(流入口が形成され、フィルタとして機能する領域)から流体が流入する流路の少なくとも一部を仕切ればよく、流入口又はフィルタ部の流路の全部(又は全域)又は一部(例えば、流入口又はフィルタ部の流路の下流側又はその一部)を仕切ってもよい。なお、仕切り部材は、通常、下記のように、整流部材よりも少ない羽根を備えているか、又は吐出孔の長軸方向に羽根が向いている場合が多い。
本発明のスプレーノズル及びそのフィルター構造において、仕切り部材の下流側の流路内には必ずしも整流部材を配設する必要はないが、仕切り部材と整流部材とを組み合わせると、仕切り部材により乱流の発生を抑制しつつ、整流部材により流体をさらに整流化できる。
整流部材は、ノズルと同軸に延びる軸部又は芯体から周方向の所定間隔毎に放射状に延びる複数の羽根に限らず、放射状に延びる複数の羽根(整流板)、格子状又はハニカム状流路を形成する断面格子状又はハニカム状の流路形成部材で構成してもよい。整流部材の整流羽根は、軸方向に対して斜め方向に延びていてもよく、軸方向に沿って湾曲して延びていてもよいが、通常、軸方向に沿って直線状に延びている。整流部材は、通常、周方向に間隔をおいて芯体を中心として放射方向に延びる複数の羽根を備えている。整流部材の羽根も周方向に不規則的に形成してもよいが、通常、周方向に等間隔に形成されている。
前記仕切り部材と整流部材との羽根の関係について、仕切り部材は、整流部材よりも多くの又は同じ数の羽根を備えていてもよい。例えば、仕切り部材は周方向の前記流入口に対応させて、各流入口から流入する流体をそれぞれ軸方向に流すため、1又は複数の流入口(スリット状流入口など)に対応する数の羽根を備えていてもよく、整流部材と同じ数の羽根が仕切り部材にも延び、複数の羽根を有する整流部材が流入域にまで延びた形態で仕切り部材を形成してもよい。仕切り部材は、通常、整流部材よりも少ない数の羽根を備えている。さらに、仕切り部材及び整流部材の羽根の数は、奇数(例えば、3〜25から選択された奇数)であってもよいが、偶数(例えば、4〜36、特に6〜24程度から選択された偶数)である場合が多い。特に、整流効果を高めるため、整流部材の羽根の数Aは、仕切り部材の羽根の数Bの整数倍(B×n)、例えば、n=2〜4程度であってもよい。例えば、整流部材の羽根の数Aは、4〜36(好ましくは6〜24、さらに好ましくは8〜16)程度であってもよく、仕切り部材の羽根の数Bは2〜18(好ましくは3〜12、さらに好ましくは4〜8)程度であってもよい。前記係数nは、通常、2〜3、特に2である。
前記仕切り部材の羽根は、前記整流部材の羽根に対して、周方向の位相(位置)がずれていてもよく、例えば、周方向において、整流部材の隣接する2つの羽根の間(特に、中間部)に仕切り部材の羽根が位置していてもよい。好ましい態様では、流体の流れを均等に分割して乱流の発生を防止するため、仕切り部材の羽根と整流部材の羽根の周方向の位置は、一致又はほぼ一致しているのが好ましい。すなわち、仕切り部材及び整流部材の羽根は、通常、軸方向の向きを揃えて周方向の同じ位置から延びているのが好ましい。
特に、仕切り部材が整流部材よりも少ない数の羽根を備えている場合、流体の流れを均等に分割して乱流の発生を防止するとともに噴射パターンを安定化するため、前記整流部材の一部の羽根[例えば、周方向に1又は複数(例えば、2〜4)の羽根を所定間隔で飛ばした羽根]の周方向の位相(位置)に対して、前記仕切り部材の羽根の周方向の位相(位置)は一致又はほぼ一致しているのが好ましい。
さらに、ノズルの先端部の吐出口が楕円形状で開口している場合、前記仕切り部材及び/又は整流部材の一部の羽根は、吐出口の長軸、短軸又は斜め方向に向いていてもよいが、安定な噴射パターンを得るため、吐出孔の長軸方向を向いているのが好ましい。特に、前記仕切り部材及び/又は整流部材の一部の羽根(芯体のほぼ対向する位置に形成された一対の羽根など)は、吐出孔の長軸方向と向きをほぼ一致させて半径方向に延びているのが好ましい。
前記仕切り部材と整流部材とは互いに個別の部材として軸方向に互いに離れていてもよいが、隣接しているのが好ましい。また、強度及びノズルへの装着性などの点から、前記仕切り部材と整流部材とは一体化していてもよく、一体化した仕切り部材及び整流部材において、仕切り部材及び整流部材はそれぞれ仕切り部と整流部を形成する。また、仕切り部と整流部とは軸方向に離れていてもよい。前記仕切り部材(又は仕切り部)と整流部材(又は整流部)において前記半径方向に延びる羽根が同軸で軸方向に形成されている場合、仕切り部材又は仕切り部は、整流部材又は整流部の上流端から半径方向に垂直に切除されていてもよく、整流部材又は整流部の上流端から上流方向に向かって、斜め方向に又はなだらかに湾曲して切除されていてもよい。
さらに、整流部材の下流側には、円錐部は必ずしも必要ではないが、流体をより整流化するため、整流案内部材(例えば、前記円錐部や円錐状又はノーズ状案内部材)、特に、下流方向にいくにつれて先細状の円錐形突起を取付又は配設する場合が多い。
本発明のスプレーノズルのノズル孔は、整流部材から吐出口に向かって延びる先細状の流路を備えており、通常、ノズル孔の先端部は噴射流路を形成している。例えば、ノズル孔は、前記のように、上流から下流に向かって、整流流路、中間流路又は絞り流路、および噴射流路を備えていてもよい。特に、ノズル孔を、先端部(先端部の凹面又は凹部など)で開口した吐出孔と、吐出孔から延びるテーパ部と、このテーパ部に連なる径大部とで構成すると、衝突力及び壊食性能を向上できる。そのため、このような流路を有するノズルはフラットスプレーノズルを構成するのに有用である。
前記吐出孔は、扁平状などの種々の形状であってもよいが、通常、楕円形状である。楕円形状の吐出孔において、長径と短径との割合は、例えば、長径/短径=1.2〜3、好ましくは1.2〜2.5、さらに好ましくは1.4〜2程度である。
前記テーパ部は所定の角度で直線状に傾斜していてもよく、異なる複数の傾斜角で順次傾斜していてもよく、湾曲して傾斜していてもよい。前記テーパ部は、角度の異なる複数のテーパ部(例えば、3以上のテーパ部)で構成された多段テーパ部であってもよく、吐出孔から軸線方向の上流側に向かって内径が連続的に大きくなる紡錘状の湾曲面によりテーパ面を形成してもよい。前記テーパ部の角度(テーパ角)θは、20〜80°程度の範囲、例えば、30〜80°、好ましくは35〜75°(例えば、35〜60°)、さらに好ましくは40〜70°、特に40〜60°程度の範囲から選択できる。なお、テーパ部が複数のテーパ部や湾曲部で構成されている場合、吐出側(下流側)に位置する最小の孔部(吐出孔)と、上流側に位置する径大部の始端部とを結ぶ線で形成される角度を前記テーパ角θとすることができる。
本発明のスプレーノズル及びノズルチップにおいて、吐出孔の短径Dに対する径大部の内径Dの割合(D/D)は、2〜10程度であってもよい。ノズルを小型化するためには、割合(D/D)は、3以上(例えば、3〜15)、例えば、3〜10(例えば、3〜8)、好ましくは3.5〜7.5、さらに好ましくは4〜7(例えば、4〜6)程度であってもよい。なお、径大部の内径Dは、8〜20mm(例えば、8〜15mm、好ましくは9〜15mm)程度であってもよい。
径大部は、通常、実質的に同じ内径に形成する場合が多いものの、デスケーリング効率を損なわない限り、前記傾斜部のように、角度0〜3°で上流方向に向かって内径が若干拡大して傾斜していてもよい。径大部(円筒状径大部又は径大流路部)の全体の長さは、例えば、30〜300mm(例えば、50〜200mm)、好ましくは50〜150mm(例えば、75〜150mm)程度である。
本発明のノズルは、第1のケーシングと中間ケーシングと第2のケーシングとで構成する必要はなく、単一の又は複数のケーシングで構成してもよい。また、上流域を形成するケーシングの上流側端部には、湾曲端面又は膨出状端面を形成してもよい。図8はケーシングの上流側端部の他の例を示す概略図である。
この例では、第1のケーシング41の上流側の端部はノーズ状又は頭部状の湾曲端部として形成されており、ケーシングの端部の周面及び湾曲端部面には、軸方向に延びる複数のスリット状流入口43が所定間隔をおいて周方向に形成されている。このようなケーシング41のスリット状流入口43でも、円滑に水を流入させ、前記と同様の仕切り部材、及び必要により整流部材を利用して、吐出孔から均一で高い衝突力分布で吐出流を噴出できる。
本発明のスプレーノズルは、種々の用途、例えば、熱間圧延鋼板のスケール、基材の錆や塗料の除去、基材の洗浄などに利用できる。特に、高圧スプレーノズルとして有用である。さらに、前記ノズルは、高圧及び/又は高流量で鋼板のスケールを除去するためのデスケーリングノズルとして有用である。高圧スプレーノズル(デスケーリングノズルなど)では、低圧及び/又は低流量であってもデスケーリング効率を大きく改善できる。例えば、ノズルからの水の吐出圧又は噴出圧は、5〜30MPa(好ましくは8〜25MPa、さらに好ましくは10〜20MPa、特に12〜18MPa)程度であってもよく、水の吐出流量又は噴出流量は、例えば、40〜200L/分程度の範囲、通常、45〜150L/分、好ましくは50〜100L/分、特に40〜100L/分(例えば、50〜80L/分)程度であってもよい。
被処理基材(鋼板)に対する吐出距離(スプレー距離)は、用途に応じて選択でき、デスケーリングの用途では、例えば、600mm以下(例えば、50〜500mm程度)の範囲から適当に選択できる。特に、本発明では吐出距離(スプレー距離)が遠距離、例えば、200〜700mm、好ましくは300〜600mm(例えば、300〜500mm)程度であっても、高い衝突力を発揮する。なお、吐出距離(スプレー距離)が短ければ、デスケーリング効率をさらに高めることができる。そのため、鋼板に対してノズルは近接させてもよく、前記吐出距離は、200mm以下(好ましくは50〜200mm、さらに好ましくは50〜180mm、特に75〜150mm)程度であってもよい。
なお、図示する例のノズルでは、吐出流は、通常、ノズル軸心に対して垂直な面内の一方向(面方向又は幅方向)に広がりを形成する。このようなノズル(フラットスプレーノズル)は、シャープでしかも均一な衝突力分布を実現でき、吐出流の衝突力分布において、幅方向の両側ではシャープな立ち上がりを示すだけでなく、幅方向の全体に亘ってほぼ均一で高い衝突力を示す。また、前記スプレーノズルは、通常、前記幅方向に対して垂直な方向(厚み方向)に、所定の壊食厚み角度φを備えており、所定の壊食厚み角度φで水が吐出又は噴出される。壊食厚み角度φはデスケーリング効率を損なわない限り特に制限されず、例えば、1.5〜3°(好ましくは2〜2.5°)程度である。なお、壊食厚み角度φは下記式に従って算出できる。
φ=2tan−1[(t−d)/2H]
(式中、t(mm)は壊食厚み、d(mm)はノズル吐出孔の短径、H(mm)はスプレー距離又は噴射距離を示す)
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
比較例
図1〜図4に示すスプレーノズルにおいて、仕切り部材を用いることなく試験に供した。なお、整流部材は周方向に等間隔で8枚の羽根を有している。このノズルは断面U字状溝の凹面で開口されたノズルチップの吐出孔(長径4.7mm、短径3.3mmの楕円形状)、吐出孔からテーパ角50°、ノズルケース及び第1のケーシングの途中部まで延びる内径11mmφ及び長さ75mmの円筒状流路(径大部)、この円筒状流路の上流端からテーパ角7.5°で延びる傾斜流路(長さ36mm)、この傾斜流路の上流端から内径16mmφで延び、かつ整流部材(軸方向の長さ16mm)が装着された円筒状流路、第2のケーシングの上流側端部に形成された12個のスリット(スリット長32mm)を有している。D/Dは3.3である。整流部材は上流側及び下流側にそれぞれ先端部が上流側および下流側に向いた円錐状突起を備えている。
実施例1
図1〜図4に示すスプレーノズルにおいて、周方向に等間隔で6枚の羽根を有する仕切り部材、周方向に等間隔で12枚の羽根を有する整流部材を用いた。このノズルは断面U字状溝の凹面で開口されたノズルチップの吐出孔(長径4.7mm、短径3.3mmの楕円形状)、吐出孔からテーパ角50°、ノズルケース及び第1のケーシングの途中部まで延びる内径11mmφ及び長さ75mmの円筒状流路(径大部)、この円筒状流路の上流端からテーパ角7.5°で延びる傾斜流路(長さ36mm)、この傾斜流路の上流端から内径16mmφで延び、かつ羽根数12枚の整流部材(軸方向の長さ16mm)が装着された円筒状流路、第2のケーシングの上流側端部に形成された12個のスリット(スリット長32mm)を有している。スリット部内部には羽根数6枚の仕切り部材が設けられている。D/Dは3.3である。整流部材は先端部が下流側に向いた円錐状突起を備えている。また、整流部材と仕切り部材は、図3に示すように、仕切り部材の6枚の羽根の円周方向の位置は、整流部材の羽根の円周方向の位置とほぼ同じにし、隣接して軸方向に連なるようにした。
実施例2
図1〜図4に示すスプレーノズルにおいて、図5に示すように、周方向に等間隔で6枚の羽根を有する仕切り部材と、周方向に等間隔で12枚の羽根を有する整流部材とが一体化した流路制御部材を用いた。このノズルは断面U字状溝の凹面で開口されたノズルチップの吐出孔(長径4.7mm、短径3.3mmの楕円形状)、この吐出孔から上流方向に向かって内径7.6mmφで延びる流路(長さ8mm)、この流路の上流端から上流方向に向かって所定のテーパ角で緩やかに拡がって延び、かつ上流端の内径が10mmφの傾斜流路(長さ22mm)、この傾斜流路の上流端から上流方向に向かってテーパ角7.5°で緩やかに傾斜して拡がり、かつ上流端の内径が16mmφである絞り流路(長さ46mm)、この絞り流路の上流端と同じ内径を有し、かつ比較例と同じ整流部品(羽根数12枚)の整流部材(軸方向の長さ16mm)が装着された円筒状流路、第2のケーシングの上流側端部に形成された12個のスリット(スリット長32mm)を有している。スリット部内部には羽根数6枚の仕切り部材が設けられている。D/Dは2.3である。整流部材は先端部が下流側に向いた円錐状突起を備えている。整流部材と仕切り部材は図5に示すように、仕切り部材の6枚の羽根の円周方向の位置は整流部材の羽根の円周方向の位置とほぼ同じにし、軸方向に連続して連なっている。
[鉛壊食量]
前記比較例及び実施例のノズルについて、スプレーの噴射圧(水圧)15MPaおよび吐出流量111L/分に設定し、スプレー距離300mm、鉛壊食時間45秒およびスプレー距離500mm、鉛壊食時間5分の条件で鉛壊食量を調べた。結果を表1に示す。
Figure 2010221257
表1から明らかなように、比較例に比べて、実施例ではスプレー距離が長くても高い壊食性能を示す。
本発明は、基材の洗浄、錆や塗膜の除去、鋼板表面のデスケーリング(熱間圧延工程での鋼板表面のデスケーリング)などの広い用途に利用できる。特に、低圧及び低流量であっても、衝突力が高く、均一な噴霧パターンを形成できるので、デスケーリングノズルとして有用である。
1,21,41…スプレーノズル
2…第1のケーシング
3,43…流入口
4,24…仕切り部材
5,25…羽根(仕切り羽根)
6,26…整流部材
7,27…羽根(整流羽根)
8,28…円錐部
10…中間ケーシング
11,31…第2のケーシング
12,32…ノズルチップ
15,35…湾曲溝
16,36…吐出口
17,37…テーパ部
18,38…経大部
35…凹部

Claims (16)

  1. 軸方向に延びる流路を有するノズルの上流域において、周方向に間隔をおいて形成され、かつ流体を前記流路内に流入させるための複数の流入口を備えたスプレーノズルのフィルター構造であって、前記流入口からの流体の流入域の流路内に、周方向への流体の移動を規制するための規制羽根を有する仕切り部材が配設されているスプレーノズルのフィルター構造。
  2. 流入口が、ノズルの上流域の周壁に周方向に間隔をおいて軸方向に延びるスリット状に形成され、仕切り部材が周方向に間隔をおいて放射状に延びる複数の羽根を備えている請求項1記載のフィルター構造。
  3. 仕切り部材の下流側の流路内に整流部材が配設されている請求項1又は2記載のフィルター構造。
  4. 整流部材が放射方向に延びる複数の羽根を備えており、仕切り部材の規制羽根が、前記整流部材の周方向に隣接する2つの羽根の間に位置する請求項3記載のフィルター構造。
  5. 整流部材が放射方向に延びる複数の羽根を備えており、仕切り部材が放射方向に延び、かつ整流部材よりも少ない数の羽根を備えている請求項3又は4に記載のフィルター構造。
  6. 整流部材の羽根の数が、仕切り部材の羽根の数の整数倍であり、かつ前記仕切り部材の羽根の周方向の位相(位置)が、前記整流部材の一部の羽根の周方向の位相(位置)とほぼ一致している請求項3〜5のいずれかに記載のフィルター構造。
  7. ノズルの先端部の吐出口が楕円形状で開口しており、仕切り部材及び整流部材の羽根の数が偶数であり、前記仕切り部材及び整流部材の一部の羽根が吐出孔の長軸方向とほぼ一致して半径方向に延びている請求項3〜6のいずれかに記載のフィルター構造。
  8. 整流部材が、下流側に、下流方向にいくにつれて先細状の円錐形突起を備えている請求項3〜7のいずれかに記載のフィルター構造。
  9. 仕切り部材と整流部材とが一体化している請求項3〜8のいずれかに記載のフィルター構造。
  10. ノズルが、先端部の凹面又は凹部で開口した吐出孔と、この吐出孔から内径が上流方向に拡大して延びるテーパ部と、このテーパ部に連なる径大部とで構成されたノズル孔を備えており、前記吐出孔の短径Dに対する径大部の内径の割合(D/D)が3以上である請求項1〜9のいずれかに記載のフィルター構造。
  11. 仕切り部材が、軸方向に延びるスリット状流入口から流体が流入する流路の少なくとも一部を仕切る請求項1〜10のいずれかに記載のフィルター構造。
  12. 軸方向に延びる流路を有するノズルの上流域の周壁に周方向に間隔をおいて形成され、かつ流体を前記流路内に流入させるための複数の流入口を備え、前記流路を経て先端部の吐出口から流体を吐出するためのスプレーノズルであって、前記流入口からの流体の流入域の流路内に、周方向への流体の移動を規制するための規制羽根を有する仕切り部材が配設されているスプレーノズル。
  13. 仕切り部材の下流側の流路に配設された整流部材と、この整流部材から吐出口に向かって延びる先細状の流路とを備えている請求項12記載のスプレーノズル。
  14. ノズルが、先端部の凹面又は凹部で開口した吐出孔と、この吐出孔から内径が上流方向に拡大して延びるテーパ部と、このテーパ部に連なる径大部とで構成されたノズル孔を備えており、前記吐出孔の短径Dに対する径大部の内径の割合(D/D)が3以上である請求項12又は13記載のスプレーノズル。
  15. テーパ部のテーパ角が30〜80°である請求項14記載のスプレーノズル。
  16. デスケーリングノズルである請求項12〜15のいずれかに記載のスプレーノズル。
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