JP6415268B2 - 3d印刷用材料、印刷物の製造方法及び印刷物 - Google Patents

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Description

本発明は、3D印刷用材料、印刷物の製造方法及び印刷物に関し、詳しくは、材料同士の融着性に優れ、流動性及び衝撃強度にも優れ、3D印刷で造形された三次元状印刷物の表面硬度が高く、耐傷付き性に優れた印刷物を容易に形成可能な3D印刷用材料、3D印刷による印刷物の製造方法及び印刷物に関するものである。
複雑な三次元形状の成形体を容易に製造できる方法として、3Dプリンターを使用する3D印刷が行われてきている。3Dプリンターは3DCAD等のデータを用いて、立体のプラスチックモデルを造形する立体プリンターであり、近年の急激なコンピュータの性能向上とコンピュータ技術の進歩により、各種の分野で急速に利用されるようになっている。
例えば、医療分野では、CTやMRIによって取得した人体内部の断層データをもとに、仮想空間に人体を再構成し、実際には容易に観察することができない体内の世界を、コンピュータ画面を通して観察や体験することが可能となり、手術計画の立案や手術前シミュレーションなどに利用されるようになってきた。また機械部品の設計や建築等の分野でも、コンピュータを利用した設計支援ツールが広く使われるようになり、設計中の機械部品等をコンピュータの画面に立体的に表示し、部品形状の疑似立体を体感し確認しながら、設計にフィードバックすることが可能となっている。更に、設計に留まらず、実際に使用する製品や部品自体を3Dプリンターで製造することも行われつつある。
3Dプリンターによる三次元形状の成形体を造形する方法としては、各種の方式があり、特に薄層を積層する方法である積層造形法(アディティブ・マニュファチュアリング)等が3DCADデータから迅速に複雑な形状を有する三次元形状物体を製造出来ることで知られている(特許文献1〜3参照)。積層造形法として、光造形法、粉末焼結法、インクジェット法、熱溶解積層法等が知られている。光造形法、粉末焼結法、インクジェット法はいずれも高エネルギーのレーザー光や電子ビーム等の光硬化性を有する材料や溶融可能な材料等に照射し、一層ずつ形状を形成し積み上げていくことで三次元形状物体を形成する方法である。
中でも、熱溶解積層法は、一般的な熱可塑性樹脂により製造されるワイヤー状の樹脂材料を、プリンターのノズル部分にて加熱溶解させ、溶解された樹脂を積層することによって三次元形状物体を造形する方法であり、3Dプリンター装置が安価に製造でき、熱可塑性樹脂により形成されるため得られる三次元造形物の強度に優れる。
特開平10−207194号公報 特開2002−347129号公報 特開2002−67174号公報
しかしながら、今まで提案されてきた3D印刷用材料として使用できる熱可塑性樹脂は、樹脂同士の接合部や三次元物体自体の強度が低く割れやすいといった問題があったり、得られる三次元物体表面の硬度が低いため、表面が傷付きやすいといった問題があった。また、用いられる樹脂としては、融点やガラス転移温度の高いものが多く、プリンターの加熱ノズル部分を非常に高温にする必要があったり、あるいは固化する速度が遅いため印刷速度が低下し、溶融した熱可塑性樹脂を外部から冷却するなどの必要があった。
かかる状況下、本発明の目的(課題)は、融着性と流動性に優れ、造形物の耐衝撃性、表面硬度及び耐傷付き性が優れる3D印刷用材料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題につき鋭意検討を重ねた結果、特定の芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有するポリカーボネート樹脂を含む材料が、上記課題を解決することを見出し、本発明に至った。
本発明は、以下の発明に係るものである。
[1]下記一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする、3D印刷用材料。
(一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Xは、
のいずれかを示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Zは炭素原子(C)と結合して置換基を有していてもよい炭素数6〜12の脂環式炭化水素を形成する基を示す。
[2]ガラス転移温度が140℃以下である上記[1]に記載の3D印刷用材料。
[3]鉛筆硬度がHB以上である上記[1]または[2]に記載の3D印刷用材料。
[4]熱溶解積層法による3D印刷に使用される上記[1]〜[3]のいずれかに記載の3D印刷用材料。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の3D印刷用材料を用いて立体物を造形することを特徴とする3D印刷物の製造方法。
[6]熱溶解積層法により前記立体物を造形する上記[5]に記載の3D印刷物の製造方法。
[7]上記[5]または[6]に記載の製造方法により造形された3D印刷物。
[8]印刷物表面の鉛筆硬度がHB以上である上記[7]に記載の3D印刷物。
本発明によれば、材料同士の融着性に優れ、流動性及び衝撃強度にも優れ、表面硬度が高く耐傷付き性に優れた造形物を容易に形成可能な3D印刷用材料、3D印刷による印刷物の製造方法及び印刷物が提供される。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
なお、本願明細書において、「〜」とは、特に断りがない場合、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の3D印刷用材料は、下記の一般式(1)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする。
(一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、Xは、置換若しくは無置換のアルキリデン基、置換若しくは無置換のシクロアルキリデン基を示す。)
上記一般式(1)において、R及びRの、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられ、置換若しくは無置換のアリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、トリル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R及びRは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、4−メチルフェニル基が好ましく、特に水素原子、メチル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
一般式(1)において、Xのアルキリデン基としては、イソプロピリデン基が好ましく、Xのシクロアルキリデン基としては、シクロヘキシリデン基、シクロドデシリデン基等のシクロアルキリデン基及びこれらのメチル、エチル置換体が好ましい。中でも、Xとしては、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロヘキシリデン基のメチル置換体がより好ましい。
一般式(1)で表される化合物としては、以下の式(1a)に示す芳香族ジヒドロキシ化合物である、ビスフェノールC(以下、「BPC」と略記することがある。)が特に好ましく挙げられる。
本発明の3D印刷用材料に用いる上記ポリカーボネート樹脂は、上記一般式(1)で示される化合物に由来する構造単位以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(以下「その他の構造単位」という。)を含む共重合体であってもよい。その他の構造単位として、例えば、汎用の芳香族ジヒドロキシ化合物である、ビスフェノールA(以下、「BPA」ともいう。)に由来する構造単位が挙げられる。
かかるポリカーボネート樹脂におけるその他の構造単位の割合は、特に限定されないが、好ましくは、ポリカーボネート樹脂中の5〜60質量%、より好ましくは10〜55質量%である。
本発明の3D印刷用材料に用いるポリカーボネート樹脂は、JIS K5600−5−4:1999に準拠した鉛筆硬度が、HB以上であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂の鉛筆硬度は、より好ましくはF以上であり、さらに好ましくはH以上であり、特に好ましくは2H以上である。但し、通常、3H以下である。このような鉛筆硬度がHB以上のポリカーボネート樹脂は、表面硬度が高く耐傷付き性に優れた印刷物を可能とする。鉛筆硬度がHB未満のポリカーボネート樹脂では表面が傷つきやすく、従来のビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂では鉛筆硬度は2Bであり不十分である。
なお、ポリカーボネート樹脂の鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4:1999に準拠して規定される鉛筆硬度である。鉛筆硬度はランクが低い方から、・・・、2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H、・・・とランク付けされる。
また、本発明の3D印刷用材料に用いるポリカーボネート樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が140℃以下であることが好ましい。140℃以下という適度なガラス転移温度を有することにより、3D印刷時の材料同士の融着性が優れ、衝撃強度にも優れた印刷物を得ることができる。また、印刷時に高い熱をかける必要がないため、発生ガスの問題が起きにくく、また、流動性に優れるため印刷速度低下等の問題も発生しにくい。
なお、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121:1987に準拠し測定する。具体的には、示差走査熱量測定:Differential scanning calorimetry(DSC)により、窒素気流下、室温から10℃/minの速度で昇温した際の変曲点を、ガラス転移温度とする。
本発明の3D印刷用材料に用いるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、特に限定されないが、通常12,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは18,000以上、特に好ましくは20,000以上、最も好ましくは22,000以上である。また、通常100,000以下、好ましくは50,000以下、より好ましくは40,000以下、特に好ましくは35,000以下である。粘度平均分子量が低すぎると、機械的物性が低下する虞がある。また、粘度平均分子量が高すぎると、流動性が低下し、材料同士の融着性が低下する虞がある。
なお、粘度平均分子量(Mv)は、ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解した溶液(濃度6.0g/L)を用い、ウベローデ粘度管により20℃における比粘度(ηsp)を測定し、下記の式によりを算出することができる。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10−4Mv0.83
本発明の3D印刷用材料に使用するポリカーボネート樹脂を製造する方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融重合法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
本発明の3D印刷用材料は、上述したように、一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とするが、必要に応じて、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)に由来する構造単位を主成分とするポリカーボネート樹脂を含む混合物であることがより好ましい。
この場合、一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂の含有量は、3D印刷用材料に含まれる全ポリカーボネート樹脂中の30質量%以上であるのが好ましく、40質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上が特に好ましく、80質量%以上が最も好ましい。また、99質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂の含有量が多すぎると耐衝撃性が低下する可能性があり、少なすぎると鉛筆硬度が低下する可能性があり好ましくない。
また、本発明の3D印刷用材料は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、流動性改良剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、離型剤、難燃剤、耐衝撃性改良剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、滴下防止剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、分散剤、抗菌剤等を挙げることができる。
[3D印刷用材料の製造方法]
本発明の3D印刷用材料の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。具体的には、一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂、必要に応じて配合されるその他のポリカーボネート樹脂及び添加剤成分を、例えば、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。一般式(1)で表される化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂のみを用いる場合は、重合後のものをそのまま用いることもできる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
このようにして得られる本発明の3D印刷用材料は、鉛筆硬度がHB以上であることが好ましく、F以上がより好ましく、H以上がさらに好ましく、2H以上が特に好ましく、通常は、3H以下である。このような鉛筆硬度を有する樹脂材料を用いることにより、得られる3D印刷物が傷付き難くなる傾向にあり、好ましい。
また、そのガラス転移温度が140℃以下であることが好ましく、135℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましく、また110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましい。このようなガラス転移温度を有する樹脂材料を用いることにより、材料同士の融着性に優れ、衝撃強度にも優れた3D印刷物を得られやすい傾向にあり、好ましい。さらに、高温での加熱によりガスが発生したり、そのために発生ガスを捕集するための装置が必要となりプリンターが高価になることもなく、さらには、流動性に優れるため、ノズル部に溶融樹脂や樹脂の分解物が堆積する所謂「目ヤニ」が発生する等の問題も起きにくく、3D印刷性に優れる傾向となり好ましい。
3D印刷用材料の粘度平均分子量(Mv)は、通常12,000以上、好ましくは15,000以上、より好ましくは18,000以上、特に好ましくは20,000以上、最も好ましくは22,000以上である。また、通常100,000以下、好ましくは50,000以下、より好ましくは40,000以下、特に好ましくは35,000以下である。粘度平均分子量が低すぎると、機械的物性が低下する虞がある。また、粘度平均分子量が高すぎると、流動性が低下し、材料同士の融着性が低下する虞があるので好ましくない。
[3Dプリンターによる印刷物の製造]
本発明の3D印刷用材料を使用して3次元の印刷物を3Dプリンターにて製造するには、各種の公知の方法で可能であるが、好ましくは熱溶解積層法によることが好ましい。
熱溶解積層法の一実施形態について説明すると、熱溶解積層法では、その各層は2次元表面を走査してそれをパターン化する3Dプリンター装置によって形成される。走査中、2次元の層(または表面上)の複数の目標位置にアクセスし、目標位置のそれぞれ、または目標位置の領域について、印刷用材料をそこに供給するかを決定する。この決定は3DCAD等のデータに従って行われる。
印刷用材料は、好ましくはワイヤー状又は繊維状にされ、加熱部を有するノズル部を有するヘッドから、送出しローラによって送り出され、その際、印刷用材料がノズル部で加熱溶融されてノズル先端から押出され、支持体上に堆積する。そして、この層状物は順次形成することにより積層され、熱融着し、最終的に3次元の立体印刷物となる。
本発明の3D印刷用材料を用いて3Dプリンターにより製造された立体印刷物は、表面の鉛筆硬度が好ましくはHB以上という高い表面硬度を有するため、耐傷付き性に優れる。また、積層により形成されているのも係わらず、層間の融着強度が高いので、耐衝撃性等の機械的強度に優れた印刷物が得られる。さらに、ガラス転移温度が140℃以下のものを採用すれば、印刷速度の低下、発生ガス等の問題も少なくなり、印刷性により優れる。
従って、得られる3D印刷物は、硬度や耐衝撃性等の機械的強度が求められる製品のモデルあるいは実製品、例えば、生活雑貨、電気電子機器の筐体や部品、食器、各種遊具等として好適である。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
実施例及び比較例に使用した原料は以下の表1に記載したとおりである。
なお、上記のビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂(C−PC)は以下の方法で製造した。
(製造例1)
ビスフェノールC26.14モル(6.75kg)と、ジフェニルカーボネート26.79モル(5.74kg)を、撹拌機および溜出凝縮装置付きのSUS製反応器(内容積10リットル)内に入れ、反応器内を窒素ガスで置換後、窒素ガス雰囲気下で220℃まで30分間かけて昇温した。
次いで、反応器内の反応液を撹拌し、溶融状態下の反応液にエステル交換反応触媒として炭酸セシウム(CsCO)を、ビスフェノールC1モルに対し1.5×10−6モルとなるように加え、窒素ガス雰囲気下、220℃で30分、反応液を撹拌醸成した。次に、同温度下で反応器内の圧力を40分かけて100Torrに減圧し、さらに、100分間反応させ、フェノールを溜出させた。
次に、反応器内を60分かけて温度を284℃まで上げるとともに3Torrまで減圧し、留出理論量のほぼ全量に相当するフェノールを留出させた。次に、同温度下で反応器内の圧力を1Torr未満に保ち、さらに60分間反応を続け重縮合反応を終了させた。このとき、撹拌機の攪拌回転数は38回転/分であり、反応終了直前の反応液温度は289℃、攪拌動力は0.75kWであった。
次に、溶融状態のままの反応液を2軸押出機に送入し、炭酸セシウムに対して4倍モル量のp−トルエンスルホン酸ブチルを2軸押出機の第1供給口から供給し、反応液と混練し、その後、反応液を2軸押出機のダイを通してストランド状に押し出し、カッターで切断してカーボネート樹脂のペレットを得た。
得られたポリカーボネート樹脂(C−PC)の物性は以下の通りであった。
鉛筆硬度:2H
粘度平均分子量(Mv):22,000
ガラス転移温度(Tg):125℃
(実施例1〜3、比較例1)
[樹脂組成物ペレットの製造]
上記した各成分を、表2に記した割合(質量部)で配合し、タンブラーにて20分混合した後、二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30XCT」)により、バレル温度280℃で溶融混練し、ストランドカットにより3D印刷用材料としてのペレットを得た。
得られたペレットを使用して、以下の測定評価を行った。
(1)ガラス転移温度(Tg)
JIS K7121:1987に準じ、エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製のDSC7020型高感度型示差走査熱量計で、窒素気流下、室温から10℃/minの速度で昇温した際の変曲点を、ガラス転移温度(Tg)として測定した。
(2)流動性(MVR)
JIS K7210:1999に準拠し、温度300℃、荷重11.8NでMVR(メルトボリュームレート、単位:cm/10min)を測定した。MVRは、流動性の指標であり、値が高いほど流動性に優れ、熱溶解積層法に好適であることを示す。
(3)デュポン衝撃強度(面衝撃強度)
上記ペレットを80℃、5時間乾燥した後、射出成形機(日精樹脂工業社製「NEX80−9E」)を用い、シリンダー設定温度260〜280℃、金型温度80℃、スクリュー回転数100rpmの条件にて、100mm×100mm×2mm厚の平板状試験片を射出成形した。
得られた平板状試験片について、東洋精機製作所社製「デュポン衝撃強度測定機」を用いて、亀裂が生じたものを破壊として10回試験を行い、50%破壊エネルギーを求めた。その際の撃芯半径は1/16インチ、錘は133gで、温度25℃で測定した。
結果を表1に示す。
(4)鉛筆硬度
上記ペレットを80℃、5時間乾燥した後、射出成形機(日本製鋼所社製「J55−60H」)を用い、シリンダー設定温度260〜280℃、金型温度80℃、スクリュー回転数100rpm、射出速度30mm/secの条件で、90mm×50mm×3mm厚の平板状試験片を射出成形した。得られた試験片につき、JIS K5600−5−4:1999に準拠して測定した。
(5)融着面強度
熱溶解積層法による印刷物の強度指標のための測定として、以下の融着面強度による判定を行った。
東洋精機製作所製キャピログラフ1Cにて280℃、せん断速度=1216sec−1にて、L/D=10のキャピラリーより押し出したストランドを、キャピラリーより2cm下に置いた金属板上にストランドが積み重なるように受け、約5cm×3cmの大きさの平板状の塊を作成した。
この塊を十分に冷却後、高さ50cmからコンクリート床上に落下させ、融着面の剥離状況を観察し、以下の基準で評価判定を行った。
○: 塊が破壊せず、形状を保った。
×: ストランドの融着部分が3ヶ所以上剥離した。
この融着面強度が高いほど、得られる3D印刷物自体の衝撃強度が高くなると推測される。
結果を以下の表2に示す。
上記表2から明らかなように、実施例1〜3のように本発明で規定の材料は、比較例1に比べて、流動性の指標であるMVRが高く、融着面強度が高く材料同士の融着性に優れる。中でも、面衝撃強度が比較例1に比べて低めであるにもかかわらず、3D印刷物としての耐衝撃性の指標である融着面強度が実施例1〜3の方が優れ融着体が割れにくい点は、驚くべき効果である。従って、本発明の3D印刷用材料は、実印刷物として十分な衝撃強度を有し、さらに、表面硬度の高い3D印刷物を形成可能であることがわかる。
本発明の3D印刷用材料は、材料同士の融着性に優れ、流動性及び衝撃強度にも優れ、3Dプリンターで容易に三次元状構造物を形成可能なので、3D印刷用材料として有益である。そして、造形された三次元状印刷物は、表面硬度が高く耐傷付き性に優れ、衝撃強度等の機械的強度にも優れているため、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (8)

  1. 下記式(1a)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂を含有することを特徴とする、3D印刷による三次元形状成形体の造形用材料。
  2. ガラス転移温度が140℃以下である請求項1に記載の造形用材料。
  3. 鉛筆硬度がHB以上である請求項1又は2に記載の造形用材料。
  4. 熱溶解積層法による3D印刷に使用される請求項1〜3のいずれか1項に記載の造形用材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の造形用材料を用い3D印刷により立体物を造形することを特徴とする三次元形状成形体の製造方法。
  6. 熱溶解積層法により前記立体物を造形する請求項5に記載の三次元形状成形体の製造方法。
  7. 請求項5または6に記載の製造方法により造形された三次元形状成形体
  8. 面の鉛筆硬度がHB以上である請求項7に記載の三次元形状成形体
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