JP6413969B2 - 日射遮蔽体形成用分散液および当該分散液を用いた日射遮蔽体 - Google Patents
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Description
特に、建材、乗り物、電話ボックスなどに用いられる熱線遮蔽基材においては、可視光領域で高い透過率が必要とされる。従って、熱成分を除去・減少するために、前記金属酸化物や金属材料の赤外線反射材料を用いる場合には、その被膜の膜厚を非常に薄くしなければならなかった。
しかし、これらの材料の有するプラズマ周波数は近赤外線領域にあるために、可視光に近い近赤外域においては、反射・吸収効果が未だ十分ではなかった。さらに、これらの材料は、単位質量当たりの日射遮蔽力が低いため、高い日射遮蔽機能を得るには使用量が多くなり、コストが割高となるという問題を有していた。
具体的には、ATO微粒子と六ホウ化物微粒子とを併せた日射遮蔽用微粒子と分散剤とを、溶媒中に分散させた日射遮蔽体形成用分散液において、当該分散剤の奏する効果に着目して検討を行った。そして、アミン価を有し、かつ酸価が19mgKOH/g以下である分散剤を含有する日射遮蔽体形成用分散液を用いて日射遮蔽体を形成すると、得られた日射遮蔽体の耐湿熱特性が向上することを知見し、本発明を完成するに至った。
日射遮蔽用微粒子と分散剤とを溶媒中に分散させた日射遮蔽体形成用分散液であって、
前記日射遮蔽用微粒子は、一般式XB6(但し、Xは、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caの群から選択される1種以上)で表される六ホウ化物微粒子と、アンチモン含有錫酸化物(ATO)微粒子とを含有し、前記六ホウ化物微粒子と前記ATO微粒子との平均一次粒子径は200nm以下であり、 前記日射遮蔽体形成用分散液中の前記六ホウ化物微粒子の含有量は0.01質量%以上3.0質量%以下であり、前記ATO微粒子の含有量は10.0質量%以上30.0質量%以下であり、前記六ホウ化物微粒子と前記ATO微粒子とが質量比で0.1:99.9〜13.8:86.2の範囲で配合され、
前記分散剤は、アミン価が10mgKOH/g以上29mgKOH/g以下であり、かつ、酸価が19mgKOH/g以下である、ことを特徴とする日射遮蔽体形成用分散液である。
第2の発明は、
前記ATO微粒子はタップ密度が1.85g/cm3以下で、比表面積が5〜110m2/gであり、かつ、L*a*b*表色系による粉体色L*が40〜65であり、a*が−5〜−1であり、b*が−11〜−1であり、
前記六ホウ化物微粒子は、格子定数が0.4100〜0.4160nmであり、L*a*b*表色系による粉体色L*が30〜60であり、a*が−5〜10であり、b*が−10〜2である、ことを特徴とする日射遮蔽体形成用分散液である。
第3の発明は、
前記日射遮蔽体形成用分散液が、さらに、ZrO2、TiO2、Si3N4、SiC、SiO2、Al2O3、Y2O3、ZnO、CeO2、Fe(OH)3、FeOOHから選択される少なくとも1種以上の化合物を含有する、ことを特徴とする日射遮蔽体形成用分散液である。
第4の発明は、
前記日射遮蔽体形成用分散液を含む膜が基材上に成膜されている、ことを特徴とする日射遮蔽体である。
第5の発明は、
前記基材が透明基材である、ことを特徴とする日射遮蔽体である。
第6の発明は、
前記透明基材が、ガラス、樹脂フィルム、樹脂ボードから選択される1種である、ことを特徴とする日射遮蔽体である。
第7の発明は、
前記日射遮蔽体形成用分散液が練り込まれた日射遮蔽体形成用母材が、板状、シート状、フィルム状から選択される形状に成形されたものである、ことを特徴とする日射遮蔽体である。
本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液は、日射遮蔽用微粒子と分散剤とを溶媒中に分散させた日射遮蔽体形成用分散液であって、前記日射遮蔽用微粒子は、一般式XB6(但し、Xは、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caの群から選択される1種以上)で表される六ホウ化物微粒子と、ATO微粒子とを含有し、前記六ホウ化物微粒子と前記ATO微粒子との平均一次粒子径は200nm以下であり、前記日射遮蔽体形成用分散液中の前記六ホウ化物微粒子の含有量は0.01質量%以上3.0質量%以下であり、前記ATO微粒子の含有量は10.0質量%以上30.0質量%以下であり、前記六ホウ化物微粒子と前記ATO微粒子とが質量比で0.1:99.9〜13.8:86.2の範囲で配合され、前記分散剤は、アミン価を有し、かつ酸価が19mgKOH/g以下である日射遮蔽体形成用分散液である。
本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液において用いられる日射遮蔽用微粒子は、六ホウ化物微粒子とATO微粒子とを併せたものである。
当該日射遮蔽用微粒子について、以下a)六ホウ化物微粒子、b)ATO微粒子、c)日射遮蔽用微粒子、の順に説明する。
本発明に係る六ホウ化物微粒子は、その平均1次粒子径が200nm以下、結晶構造は単純立方格子で、格子定数が0.4100〜0.4160nmであり、かつ、L*a*b*表色系における粉体色は、L*が30〜60、a*が−5〜10、b*が−10〜2であることが好ましい。
すなわち、溶媒中に六ホウ化物微粒子、分散剤、ビーズ等を入れて、例えば、ペイントシェーカーに装填し、六ホウ化物粒子を粉砕・分散処理する。当該処理後に溶媒を蒸発させて除去し、分散剤を加熱分解により除去した後に、得られた六ホウ化物微粒子のTEM−EDS解析により算出した値である。
ここで、m>4となる場合は、XB、XB2などの生成が抑制されており、理由は不明であるが、日射遮蔽特性が向上する。
一方、m≦6.3となる場合は、ホウ化物微粒子以外のホウ素化合物である、酸化ホウ素粒子の生成が抑制されている。当該酸化ホウ素粒子は吸湿性があるため、ホウ化物微粒子の粉体中において酸化ホウ素粒子の生成が抑制されていると、当該ホウ化物微粒子の粉体の耐湿性が担保され、日射遮蔽特性の経時劣化が抑制され好ましい。そこで、m≦6.3として、酸化ホウ素粒子の生成を抑制することが好ましい。
本発明に係る六ホウ化物微粒子の製造方法について、固相反応法によるLaB6(六ホウ化ランタン)の製造方法を、具体例の一例として説明するが、上述した粉体特性を具備するものであれば、製造方法は限定されるものではない。
そこで、例えば、後工程においてジェットミルやビーズミルのようなメカニカル法によって、六ホウ化ランタン粒子を粉砕する、または、ホウ素化合物とランタン化合物との固相反応時に粒成長抑制剤を添加することにより、粒径分布を制御して調製する。この結果、平均1次粒子径が200nm以下の六ホウ化ランタン微粒子を得ることができる。
もっとも、用途によっては透明性が要求されない場合もあるため、六ホウ化ランタン微粒子の平均1次粒子径は、2nm〜10μmの範囲内で適宜設定すればよい。
この理由は詳細には判明していないが、これら六ホウ化物微粒子は、粒子中の自由電子の量が多く、微粒子内部および表面の自由電子によるバンド間の間接遷移の吸収エネルギーが、丁度、可視〜近赤外領域の付近にあるために、この波長領域の熱線が選択的に反射・吸収されるものと考えられる。
一方、人間の視覚において可視光波長の波長領域は380nm〜780nmであり、視感度が波長550nm付近をピークとする釣鐘型であることを考慮すると、当該日射遮蔽膜において可視光は透過し、それ以外の熱線は有効に反射もしくは吸収されていることが理解出来る。
その上、本発明者らは、六ホウ化物微粒子と、ITO微粒子および/またはATO微粒子とを併用することによって、一定の可視光透過率を保ちながら日射遮蔽特性のみをさらに向上させることができることも知見した。この結果、日射遮蔽体粒子の使用総量の削減、および生産コストの削減ができることも判明した。
本発明に係るATO微粒子は、平均一次粒子径が200nm以下であることが好ましい。そして、タップ密度が1.85g/cm3以下であることが好ましい。当該ATO微粒子が上記微粒子性状を有していると、本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液を製造する際の混合工程において、媒体攪拌ミル等による粉砕と分散とがスムーズに進行する。
ここで、分散粒子径とは、溶媒中に分散しているATO微粒子の凝集粒子径を意味するものであり、市販されている種々の粒度分布計で測定することができる。例えば、ATO微粒子が溶媒中に分散された分散液からサンプリングを行い、動的光散乱法を原理とした大塚電子(株)製のESL−800を用いて測定することができる。
まず、液温50℃以下とした錫化合物の溶液へ、アンチモン化合物を溶解したアルコール溶液とアルカリ溶液とを並行滴下、もしくは50℃以下のアルカリ溶液に、錫化合物の溶液とアンチモン化合物を溶解したアルコール溶液とを並行滴下して錫とアンチモンとを含む微粒子前駆体である水酸化物を、生成沈殿させる。なお、当該錫化合物の溶液へ予めHClを添加しても良い。溶液温度が50℃以下であれば、溶媒である水の蒸発などによって系内の錫化合物やアンチモン化合物の濃度が変化することがないため、得られる前記微粒子前駆体の粒径などの再現性が得られやすい。さらに、溶液温度が50℃以下であれば、前記微粒子前駆体の成長が抑制され、ATO微粒子において所望の光学特性が得られるからである。一方、溶液温度の下限は特に限定されないが、例えば、室温より低くするためには新たに冷却装置などが必要となり、装置コストや生産コストが発生することから、そのような装置を要しない温度とすることが好ましい。
上述した湿潤処理を行うとき、アルコール溶液の濃度は50%以上であることが好ましい。アルコール溶液の濃度が50%以上であれば、ATO微粒子が塊状の強凝集体となることを回避できるからである。ここで、当該アルコール溶液に用いられるアルコールは特に限定されないが、水に対する溶解性に優れ、沸点100℃以下のアルコールが好ましい。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブチルアルコールが挙げられる。
本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液は、日射遮蔽用微粒子と分散剤とを溶媒中に分散させたものである。そして、当該分散液中の、前記六ホウ化物微粒子の含有量を0.01質量%以上3.0質量%以下とし、前記ATO微粒子の含有量を10.0質量%以上30.0質量%以下としたものである。各微粒子の含有量が前記範囲にあることで、十分な日射遮蔽効果を得ることが出来、分散液の粘度が保たれ、当該分散液のポットライフが担保される。
また、六ホウ化物微粒子とATO微粒子との混合は、光学特性とコスト削減との観点から、質量比で0.1:99.9〜13.8:86.2の範囲が好ましい。
本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液は、日射遮蔽用微粒子である前記ATO微粒子と六ホウ化物微粒子と分散剤とが溶媒中に分散したものである。
当該分散剤は、アミン価を有し、かつ酸価が19mgKOH/g以下である分散剤を含有していることが必要である。当該アミン価を有し、かつ酸価が19mgKOH/g以下である分散剤は、上述した固相反応法等により得られた粒径が0.1μm以上30μm以下程度の範囲にあるATO微粒子と六ホウ化物粒子とを、日射遮蔽材用途に適した200nm以下の粒子径に微細化し、且つ、その再凝集を抑制するように、粉砕分散するために添加するものである。
以上、説明した本発明に係るATO微粒子と六ホウ化物微粒子とを併せた日射遮蔽用微粒子と、前記分散剤とを溶媒中に分散させた日射遮蔽体形成用分散液を用いて日射遮蔽体を形成すると、得られた日射遮蔽体の耐湿熱特性が向上することができる。
本発明に係る分散剤は、上述したようアミン価を有し、かつ酸価が19mgKOH/g以下である分散剤を含有していることが必要である。ここで、アミン価については、アミン価を有していればよく、特に限定されるものではないが、5〜100mgKOH/gであることが好ましく、5〜30mgKOH/gであることがさらに好ましい。
一方、酸価は19mgKOH/g以下であることが求められる。これは、酸価が19mgKOH/g以下であることにより、詳細は不明であるが、得られる日射遮蔽体の耐湿熱特性が向上することが見出されている。
本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、塗布条件、塗布環境、および、無機バインダーや樹脂バインダーの添加の有無に合わせて適宜選択すればよい。
例えば、水やエタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、メチルエーテル,エチルエーテル、プロピルエーテルなどのエーテル類、エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン、イソブチルケトンなどのケトン類といった各種の有機溶媒が使用可能である。また、必要に応じて酸やアルカリを添加してpH調整してもよい。
無機バインダーとしては、珪素、ジルコニウム、チタン、もしくはアルミニウムの金属アルコキシドおよびその加水分解重合物を用いることができる。また、樹脂バインダーとしては、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の樹脂を含むものを用いることが可能である。
本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液には、日射遮蔽用微粒子と分散剤と溶媒に加えて、さらに、ZrO2、TiO2、Si3N4、SiC、SiO2、Al2O3、Y2O3、ZnO、CeO2、Fe(OH)3、FeOOHから選択される、少なくとも1種以上の化合物の微粒子を添加することも好ましい。
上述した六ホウ化物微粒子とATO微粒子と分散剤とを、所定の溶媒と混合し、当該溶媒中へ均一に分散させることで、本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液が得られる。
当該分散方法は、六ホウ化物微粒子とATO微粒子と分散剤とが、分散液中に均一に分散する方法であれば特に限定されず、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザーなどを用いた分散処理が挙げられる。これらの分散処理器材を用いた分散処理条件によって、微粒子の溶媒中への分散と同時に粒子同士の衝突等による微粒子化も進行し(すなわち、粉砕・分散処理され)、より微粒子化して分散させることができる。
本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液へ、上述したその他添加物の微粒子を添加することによって、形成される日射遮蔽体の膜強度を高めることができる。尚、上述した化合物の微粒子の添加量としては、[上述したその他添加物の微粒子の質量/本発明に係る日射遮蔽用微粒子の質量]×100の値が、0.1〜250%の範囲に設定されることが好ましい。これは、添加量が0.1%以上であれば、上述したその他添加物の添加効果が認められ、250%以下であれば、日射遮蔽用微粒子の割合が低下して日射遮蔽機能が低下することを回避出来るからである。
本発明に係る日射遮蔽体は、上述した日射遮蔽体形成用分散液を適宜な基材上に塗布形成する、または、上述した日射遮蔽体形成用分散液を、日射遮蔽体形成用母材に練り込み、板状、シート状、フィルム状、等のいずれかの形状に成形することで得られる。
当該適宜な基材としては、主に透明基材が用いられる。そして当該透明基材としては、透明であれば特に制限はなく、有機系基材、無機系基材のいずれも使用することができる。
例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、等の有機系基材、ガラス、等の無機系基材を挙げることができる。また、当該透明基材の形状や製法はどのようなものでもよく、特に限定はない。尚、本発明でいう透明基材とは、無色透明基材のみならず、有色透明基材、半透明基材を含む概念である。
本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液を基材上に塗布して被膜を形成する場合、塗布方法は特に限定されない。例えば、スピンコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スクリーン印刷法、ロールコート法、流し塗りなど、分散液を平坦かつ薄く均一に塗布できる方法であればいずれの方法でもよい。
尤も、上述した無機バインダーを含む日射遮蔽体形成用分散液を塗布した場合は、塗布後の基材加熱温度を100℃以上、さらに好ましくは分散液中の溶媒の沸点以上として、塗膜中に含まれるアルコキシドまたはその加水分解重合物の重合反応を完結させることが好ましい。また、塗布後の基材加熱温度を100℃以上、さらに好ましくは分散液中の溶媒の沸点以上とすることで塗膜中の水や有機溶媒を膜中から除去し、塗膜の可視光透過率低下の原因を除去することができ好ましい。
このため、本発明に係る日射遮蔽体は、物理成膜法によって得られ膜内を結晶が緻密に埋めているために鏡面状表面をもつ従来の技術に係る酸化物薄膜を有する日射遮蔽体に比べて、可視光領域での反射が少なく、ギラギラした外観を呈することが回避できる。その上、本発明に係る日射遮蔽体は、可視光領域から近赤外光領域にプラズマ周波数をもつため、これに起因するプラズマ反射が近赤外光領域で大きくなり、遮熱効果に優れる。
上記特性に加えて、可視光領域の反射をさらに抑制したい場合には、本発明の日射遮蔽用微粒子が分散された日射遮蔽体の塗膜の上へ、さらにSiO2やMgF2のような低屈折率の膜を成膜することにより、容易に視感反射率1%以下の多層膜を得ることができる。
本発明に係る日射遮蔽体を製造するために、当該日射遮蔽体の形成用母材である樹脂へ上述した日射遮蔽体形成用分散液を練り込むときは、上述した六ホウ化物微粒子とATO微粒子とが当該母材樹脂中へ均一に分散する方法であれば、公知の方法を適宜選択すればよい。
当該母材樹脂としては、PET樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、等が好ましく挙げられる。
本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液を適宜な基材上に塗布形成して得た日射遮蔽体、または、前記日射遮蔽体形成用分散液を日射遮蔽体形成用母材に練り込み、板状、シート状、フィルム状等のいずれかの形状に成形して得た日射遮蔽体の耐候性、特に湿熱特性、即ち、湿熱雰囲気下における耐加水分解性は、当該日射遮蔽体を65℃の温水に2日間浸漬し、浸漬前後における可視光透過率の変化率(本発明において「ΔVLT」と記載する場合がある。)を測定することで評価できる。本発明に係る日射遮蔽体のΔVLTの値は、従来の技術に係る日射遮蔽体のΔVLTの値より小さく、本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液を用いて基材上に塗膜形成して得られた日射遮蔽体、および、本発明に係る日射遮蔽体形成用分散液を日射遮蔽体形成用母材に練り込み、板状、シート状、フィルム状等のいずれかの形状に成形して得られた日射遮蔽体は、耐候性、特に耐湿熱特性に優れた日射遮蔽体であることが確認できた(詳細は、後述する実施例、比較例を参照のこと。)。
(実施例1)
1.ATO微粒子の作製
25℃の水340gにSnCl4・5H2Oを55.74g溶解し、溶液とした。当該溶液へ、SbCl3を4.2g溶解したメタノール溶液12.7mlと、16%NH4OH水溶液とを並行滴下した。当該並行滴下は、当該溶液のpHが7.5となるまで約25分間かけて行った。そして、当該並行滴下により沈殿物を生成させ、滴下終了後さらに10分間攪拌を継続した。
次に、この沈殿物をデカンテーションによって繰り返し洗浄した。当該デカンテーションは、洗浄液の上澄み部分の導電率が1mS/cm以下になるまで、繰り返し行った。当該デカンテーションが完了したら、沈殿物を濾過した。
次に、濾過した沈殿物を無水のエチルアルコール溶液で湿潤処理した。当該湿潤処理の際、濾過した沈殿物:無水のエチルアルコール溶液の質量比を1:4の割合(アルコールの割合が80%相当)とし、濾過した沈殿物と無水のエチルアルコール溶液とを室温下で1時間攪拌することで湿潤処理し前駆体を得た。
当該湿潤処理の完了後に、当該前駆体を90℃で10時間乾燥させ、乾燥物を得た。得られた乾燥物を、大気雰囲気下700℃で1時間焼成して実施例に係るATO微粒子を得た。
当該ATO微粒子のタップ密度は1.39g/cm3で、粉体色は、L*が55.0874、a*が−3.8119、b*が−8.0813で、比表面積は67.1m2/gであった。
平均粒径が約10μmのLa2O3粒子粉と平均粒径が約22μmのB4C粒子粉とを、La元素とB元素との原子比が1:6となるよう混合して均一混合物とした。得られた均一混合物を真空雰囲気下(約0.02Pa)、1500℃で3時間焼成して平均粒径約1.5μmのLaB6粒子粉を得た。
当該LaB6粒子の格子定数は0.4157nmで、粉体色はL*が36.3706、a*が2.1309で、b*が−4.4973であった。
1)ATO微粒子粉、LaB6粒子粉、分散剤、トルエンを混合粉砕処理して得られる分散液(A液)を作製するために、上述した1.で得られた実施例に係るATO微粒子粉20質量%とLaB6粒子粉3.5質量%とを準備した。
2)分散剤(アミン価18mgKOH/g、酸価0mgKOH/g:以下アミン価、酸価の単位「mgKOH/g」は省略する。)商品名:DISPERBYK−164(ビックケミ−・ジャパン社製)15質量%を準備した。
3)トルエン61.5質量%を準備した。
4)1)〜3)とを0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、6.5時間粉砕・分散処理することによって分散液を調製した(A液)。
A液中のATO微粒子、LaB6微粒子の平均一次粒子径は、TEM−EDS解析によって測定した。そしてATO微粒子は25nm、LaB6微粒子は80nmとなっていることを確認した。
5)日射遮蔽体形成用分散液aを作製するために、前記A液55.45質量%を準備した。
6)トルエン20.79質量%を準備した。
7)紫外線硬化樹脂23.76質量%を準備した。
8)5)〜7)とを混合し、日射遮蔽体形成用分散液aを調製した。
9)番手No8のバーを用いて、膜厚50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上へ、当該日射遮蔽体形成用分散液aを塗布した後、70℃で1分間の条件で高圧水銀ランプの紫外線を照射し、実施例1に係る日射遮蔽体Aを得た。
実施例1に係る日射遮蔽体Aの光学特性を、日立製作所(株)製の分光光度計U−4100を用いて測定した。すると、可視光透過率68.1%、日射透過率44.2%、ヘイズ1.0%であった。
次に、得られた実施例1に係る日射遮蔽体の加速劣化試験として、当該日射遮蔽体を65℃の温水に2日間浸漬し、浸漬前後におけるΔVLTを測定した。当該加速劣化試験の結果、ΔVLTは5.1%であった。
以上の結果を、表1に記載した。
実施例1に係るアミン価18、酸価0の分散剤に代えて、アミン価29、酸価19の分散剤、商品名(DISPERBYK−2001、ビックケミ−・ジャパン社製)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行って、実施例2に係る日射遮蔽体Bを得た。
実施例2に係る日射遮蔽体Bの光学特性測定、加速劣化試験を実施した。
以上の結果を、表1に記載した。
実施例1に係るアミン価18、酸価0の分散剤に代えて、アミン価10、酸価0の分散剤、商品名(DISPERBYK−163、ビックケミ−・ジャパン社製)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行って、実施例3に係る日射遮蔽体Cを得た。
実施例3に係る日射遮蔽体Cの光学特性測定、加速劣化試験を実施した。
以上の結果を、表1に記載した。
実施例1に係るアミン価18、酸価0の分散剤に代えて、アミン価13、酸価0の分散剤、商品名(DISPERBYK−162、ビックケミ−・ジャパン社製)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行って、実施例4に係る日射遮蔽体Dを得た。
実施例4に係る日射遮蔽体Dの光学特性測定、加速劣化試験を実施した。
以上の結果を、表1に記載した。
実施例1に係るアミン価18、酸価0の分散剤に代えて、アミン価44、酸価38の分散剤、商品名(BYK−9076、ビックケミ−・ジャパン社製)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行って、比較例1に係る日射遮蔽体Eを得た。
比較例1に係る日射遮蔽体Eの光学特性測定、加速劣化試験を実施した。
以上の結果を、表1に記載した。
実施例1に係るアミン価18、酸価0の分散剤に代えて、アミン価43、酸価46の分散剤、商品名(DISPERBYK−142、ビックケミ−・ジャパン社製)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。しかし、日射遮蔽体形成用分散液が白濁し、日射遮蔽体の形成に至らなかった。
実施例1に係るアミン価18、酸価0の分散剤に代えて、アミン価0、酸価22の分散剤、商品名(DISPERBYK−174、ビックケミ−・ジャパン社製)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。しかし、フィラ−の凝集による沈降が見られたため、日射遮蔽体の形成に至らなかった。
以上の結果を、表1に記載した。
日射遮蔽体B〜Eの光学特性を測定したところ、日射遮蔽体Bは、可視光透過率67.9%、日射透過率44.0%、ヘイズ1.0%、ΔVLTは3.9%であり、日射遮蔽体Cは、可視光透過率68.4%、日射透過率45.2%、ヘイズ1.2%、ΔVLTは4.6%であり、日射遮蔽体Dは、可視光透過率68.1%、日射透過率44.5%、ヘイズ1.0%、ΔVLTは4.8%であり、日射遮蔽体Eは、可視光透過率67.5%、日射透過率43.3%、ヘイズ1.0%、ΔVLTは7.5%であり、比較例2に係る日射遮蔽体形成用分散液が白濁し、日射遮蔽体形成に至らなかった。
Claims (7)
- 日射遮蔽用微粒子と分散剤とを溶媒中に分散させた日射遮蔽体形成用分散液であって、
前記日射遮蔽用微粒子は、一般式XB6(但し、Xは、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caの群から選択される1種以上)で表される六ホウ化物微粒子と、アンチモン含有錫酸化物(ATO)微粒子とを含有し、前記六ホウ化物微粒子と前記ATO微粒子との平均一次粒子径は200nm以下であり、 前記日射遮蔽体形成用分散液中の前記六ホウ化物微粒子の含有量は0.01質量%以上3.0質量%以下であり、前記ATO微粒子の含有量は10.0質量%以上30.0質量%以下であり、前記六ホウ化物微粒子と前記ATO微粒子とが質量比で0.1:99.9〜13.8:86.2の範囲で配合され、
前記分散剤は、アミン価が10mgKOH/g以上29mgKOH/g以下であり、かつ、酸価が19mgKOH/g以下である、ことを特徴とする日射遮蔽体形成用分散液。 - 前記ATO微粒子はタップ密度が1.85g/cm3以下で、比表面積が5〜110m2/gであり、かつ、L*a*b*表色系による粉体色L*が40〜65であり、a*が−5〜−1であり、b*が−11〜−1であり、
前記六ホウ化物微粒子は、格子定数が0.4100〜0.4160nmであり、L*a*b*表色系による粉体色L*が30〜60であり、a*が−5〜10であり、b*が−10〜2である、ことを特徴とする請求項1に記載の日射遮蔽体形成用分散液。 - 前記日射遮蔽体形成用分散液が、さらに、ZrO2、TiO2、Si3N4、SiC、SiO2、Al2O3、Y2O3、ZnO、CeO2、Fe(OH)3、FeOOHから選択される少なくとも1種以上の化合物を含有する、ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の日射遮蔽体形成用分散液。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の日射遮蔽体形成用分散液を含む膜が基材上に成膜されている、ことを特徴とする日射遮蔽体。
- 前記基材が透明基材である、ことを特徴とする請求項4に記載の日射遮蔽体。
- 前記透明基材が、ガラス、樹脂フィルム、樹脂ボードから選択される1種である、ことを特徴とする請求項5に記載の日射遮蔽体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の日射遮蔽体形成用分散液が練り込まれた日射遮蔽体形成用母材が、板状、シート状、フィルム状から選択される形状に成形されたものである、ことを特徴とする日射遮蔽体。
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