JP5040330B2 - ホウ化物粒子の粉砕分散方法およびホウ化物粒子分散液並びに光学材料 - Google Patents
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Description
5 mg・g-1以下の範囲にある分散剤を添加して、極性がコントロールされ且つ分散剤が添加されたスラリーとすることに想到した。そして、当該極性がコントロールされ且つ分散剤が添加されたスラリーを用いることで、ホウ化物粒子の媒体攪拌ミルによる粉砕分散が効率的なものとなり、且つ得られた分散液が液状となることを見出し、本発明を完成したものである。
粒径が0.1μm以上、30μm以下の範囲にあるLaB 6 粒子と、沸点が82℃以上、132℃以下の範囲にあるアルコールとを、LaB 6 粒子1重量部に対し、アルコールを2重量部以上、20重量部以下混合して媒体攪拌ミルで粉砕してスラリーとし、
当該スラリーへ、アミン価が4mg・g−1以上、44mg・g−1以下の範囲、且つ、酸価が0mg・g−1以上、4mg・g−1以下の範囲にある分散剤を、LaB 6 粒子1重量部に対し0.05重量部以上、2重量部以下添加し、
当該分散剤を添加したスラリーを、さらに媒体攪拌ミルで粉砕することを特徴とするホウ化物粒子の粉砕分散方法である。
前記アルコールが、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノ−ル、アリルアルコール、から選ばれた1種以上であることを特徴とする第1の発明に記載のホウ化物粒子の粉砕分散方法である。
前記分散剤が、アミノ基を有するアクリル系高分子分散剤であることを特徴とする第1の発明に記載のホウ化物粒子の粉砕分散方法である。
第1〜3の発明のいずれかに記載の粉砕分散方法により得られ、平均分散粒子直径が70nm以下であることを特徴とするホウ化物粒子分散液である。
第4の発明に記載のホウ化物粒子分散液を、基材表面に塗布して得られたものであることを特徴とする日射遮蔽膜を有する光学材料である。
第4の発明に記載のホウ化物粒子分散液へ有機バインダー又は無機バインダーを添加した塗布液を、基材表面に塗布して得られたものであることを特徴とする日射遮蔽膜を有する光学材料である。
本発明に係るホウ化物粒子の粉砕分散方法が適用出来るホウ化物の種類は、特に限定されるものではない。しかし、製造されたホウ化物粒子の分散液を日射遮蔽材としての用途に用いる観点からは、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caから選ばれた少なくとも1種以上の金属元素のホウ化物が好適である。
従って、ホウ化物微粒子としては、ホウ化物のうちXB4、XB6が主体となっていることが好ましく、さらに一部XB12を含んでいても良い。
本発明方法で用いる媒体攪拌ミルとは、球状のビーズと共に、被粉砕物である粉体のスラリーを粉砕容器(以下、ベッセルと記す場合がある。)に投入し、両者を強制的に攪拌させることにより、主にビーズのせん断力を利用してスラリー中の粒子を粉砕、分散する装置である。その攪拌手段としては、当該ビーズのせん断力がスラリーに効率よく伝達されるものであれば良く、その機構や形状は特に限定されない。
ルには、スラリーとビーズの分離機構が各種あり、使用するビーズの直径とスラリーの粒子径、スラリーの比重等によって分離機構が決定される。これらの機構には、一般的に、スリットで機械的に分離する方法、スラリーとビーズの比重差を利用して遠心力で分離する方法、その両者を組み合わせた方法があるが、本発明ではいずれの分離方法を用いても良い。
セラミックスのうち酸化物のビーズでは、ZrO2、Y2O3、SiO2、Al2O3の1種以上が好ましく、中でも、窒化物ではSi3N4、炭化物ではSiCが好ましい。ZrO2にY2O3やCaO等を添加して安定化させた安定化ジルコニアが好ましい。これらは比重が大きく、粉砕効率が高く、磨耗が少ない上、磨耗した粒子も透明であるため、粉砕して得られるホウ化物粒子を光学的用途に使用するのに適している。
ホウ化物ビーズは、被粉砕物である高硬度のホウ化物による磨耗を防ぎ、不純物の混入を防ぐために有効である。ビーズを構成するホウ化物は、被粉砕物であるホウ化物粒子と同一種であることが好ましいが、同一種のホウ化物を2重量%以上含むものでも良い。
超硬合金ビーズとしては、耐摩耗性の高いWC等の超硬合金からなるビーズが使用できる。
当該ベッセル内壁等の他接液部の材質については、特に限定されないが、被粉砕物であるホウ化物が高硬度であるため、対磨耗性に優れた材質であることが好ましい。具体的には、上記したビーズの材質と同じ、酸化物、窒化物、炭化物等のセラミックスの他、ホウ化物、超硬合金のいずれかを用いることができる。不純物の混入防止の観点からは、被粉砕物であるホウ化物粒子と同じ材質で作製することが好ましい。例えば、六ホウ化ランタンを粉砕分散する場合には、ベッセル内壁等を同じ六ホウ化ランタンで作製することが好ましい。
ーでも使用することができる。中でも、大気圧下でポリアミドモノマーを重合させた重合ポリアミドは、磨耗が少なく、各種の有機溶剤に対して安定な為、好ましい材質と言える。
上述したホウ化物粒子に混合してスラリーを形成するための溶媒としては、沸点が60℃〜140℃の範囲にあり、極性の高いアルコールを用いることが肝要である。当該アルコールを用いてホウ化物粒子スラリーを作製することで、分散液の粘度を高くすることなくホウ化物粒子の分散液を製造することが出来る。
当該アルコールの極性範囲は、双極子モーメントで表せば、1.5以上であれば良好な濡れ性が確保できる。さらに、2.7以下であれば、ホウ化物粒子が酸化され易くなり、酸化の進行と共に分散液の粘度が上昇してしまうという問題を回避することが出来る。
Waals力による相互作用が高くなるため再凝集しやすくなるからと考えられる。ここで溶媒として上記のような極性の高いアルコールを用いると、当該溶媒の濡れ性が良いため、粒子同士の凝集が弱い分散液が得られるのであると考えられる。
上述したホウ化物粒子に混合してスラリーを形成する際、媒体攪拌ミルによる粉砕分散処理の過程で、粒子の再凝集等による分散阻害を防止するため、上述した極性の高いアルコールと共に、アミン価が3mg・g-1以上、50mg・g-1以下の範囲で、且つ、酸価が0mg・g-1以上、5mg・g-1以下の範囲である分散剤を用いることが肝要である。
ここで、上記分散剤添加によるゲル化の解消効果は大きいが、当該分散剤は熱に弱く、長時間媒体攪拌ミルにかけていると上記効果が低下してしまう。そこで、上述したように、粉砕処理の大部分は溶剤のみを添加した状態で行い、該粉砕処理の最終段階で分散剤を添加し、分散剤の効果を確保したまま、液状で回収することが好ましい。
具体的には、上記粉砕の途中において、スラリーを採取し、ホウ化物粒子の粒径を動的光散乱法を用いた測定装置(大塚電子株式会社製 ELS800)等により測定し、平均粒径が75〜80nmの範囲に入ったところで、分散剤を添加し、その後、繰り返し上記と同様の方法で平均分散粒子径を測定し、平均分散粒子径70nm以下の所望の平均分散粒子径に到達したところで粉砕分散を終了することが好ましい。
当該分散剤としては、アクリル系高分子分散剤、ウレタン系高分子分散剤、ポリエーテルリン酸エステル系分散剤、ポリエーテルエステル酸のアミン塩系分散剤、酸性ポリエーテル系分散剤、アニオン系ポリエステルポリアマイド系分散剤などがあるが、分子構造中にアミノ基を持つアクリル系高分子分散剤を用いることが最も好ましい。当該分散剤は、粉砕分散されたホウ化物粒子の表面に吸着し、構造障害、または、静電気的な反発力を発揮して、ホウ化物粒子の再凝集を防止することができるからである。
分散効果を得ることが出来る。また、アミン価が50mg・g-1以下であれば、ホウ化
物の分解によるホウ化物粒子の再凝集を回避することが出来る。
物が粉砕されると化学的に不安定になり酸化され易くなることによる。尤も、当該分散剤の酸価が5mg・g-1以下であれば、ホウ化物の酸化の進行による分散液の粘度上昇を
回避することが出来る。
上述した媒体攪拌ミル、溶媒、分散剤を用いて、粒径が0.1μm以上30μm以下の範囲にあるホウ化物粒子を含み極性がコントロールされ且つ分散剤が添加されたスラリーを粉砕分散することで、平均分散粒子径が70nm以下のホウ化物粒子の分散液を容易且つ効率的に得ることができる。尚、この時、得られるホウ化物粒子の形状は、必ずしも球形ではなく、そのほとんどが不定形の粒子である。
ここで、溶媒であるアルコールや分散剤のホウ化物粒子に対する配合比は、生産性の観点から低いほうが好ましいが、過小であると添加効果がなくなりゲル化しやすくなってしまう。具体的には、上記アルコールは、ホウ化物粒子1重量部に対して、2重量部以上20重量部以下であることが好ましい。3重量部以上10重量部以下であればより好ましい。また、上記分散剤は、ホウ化物粒子1重量部に対して、0.05重量部以上2重量部以下であることが好ましい。0.1重量部以上1.5重量部以下であればより好ましい。
上述の方法で得られた、ホウ化物粒子の分散液または平均分散粒子径が70nm以下のホウ化物粒子を用いることにより、日射遮蔽作用を有する光学材料を作製することができる。例えば、当該ホウ化物粒子の分散液、さらには、必要に応じて無機バインダーまたは有機バインダー等を添加した当該ホウ化物粒子の分散液を、ガラス板、樹脂フィルム、樹脂ボード等の基材表面に塗布した後、溶媒を蒸発させることによって、当該基材表面に日射遮蔽膜を備えた光学材料が得られる。
粒径が0.1μm以上30μm以下の範囲にあるLaB6粉末13重量部と、2−プロパノール(沸点82.4℃、双極子モーメント1.68)87重量部とを攪拌混合し、3kgのスラリーを製造した。
ここで、ビーズは、直径0.3mmのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)製を使用した。媒体攪拌ミルは、横型円筒形のアニュラータイプ(アシザワ株式会社製)を使用したが、ベッセル内壁とローター(回転攪拌部)の材質はZrO2とした。
媒体攪拌ミルのローターの回転速度を12m/秒とし、スラリー流量1kg/分にて、17時間粉砕分散処理を行った。
次に、アミン価44mg・g-1、酸価0mg・g-1のアミノ基を持つアクリル系分散剤を、LaB6粉末と等重量だけスラリーへ添加し、さらに10分間粉砕分散処理した後に、媒体攪拌ミルから実施例1に係る分散液を取り出した。
さらに、LaB6の粉砕度合いを評価する方法として、可視光透過率を同一にした日射遮蔽膜のヘイズ値を比較することで行った。尚、可視光透過率の測定は、JIS R3106に従い、ヘイズ値の測定は、JIS K7105に従い、可視光透過率70%のときの値に規格化して求めたところ0.1%であった。当該ヘイズ値が小さいほど粒子が微細であることになる。可視光透過率及びヘイズ値測定用の試料は、得られた分散液を紫外線硬化樹脂と混合し、ガラス基板上にバーコーターで成膜し、溶媒蒸発後、紫外線照射して硬化させて得た。尚、ガラス基板のみのヘイズ値は0.1%であった。
また、得られた実施例1に係る分散液の初期の粘性を観測したところ液状であった。さらに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところ液状であった。
スラリーへ添加するアクリル系分散剤のアミン価を25mg・g-1、とした以外は、
実施例1と同様の操作を行って、実施例2に係る分散液を得た。
得られた実施例2に係る分散液中におけるホウ化物粒子の平均分散粒子径は65nmであった。
当該得られた実施例2に係る分散液を用い、実施例1と同様の操作を行ってヘイズ値を測定したところ0.1%であった。
また、得られた実施例2に係る分散液の初期の粘性を観測したところ液状であった。さらに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところ液状であった。
スラリーへ添加するアクリル系分散剤のアミン価を14mg・g-1、とした以外は、
実施例1と同様の操作を行って、実施例3に係る分散液を得た。
得られた実施例3に係る分散液中におけるホウ化物粒子の平均分散粒子径は63nmであった。
当該得られた実施例3に係る分散液を用い、実施例1と同様の操作を行ってヘイズ値を測定したところ0.1%であった。
また、得られた実施例3に係る分散液の初期の粘性を観測したところ液状であった。さらに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところ液状であった。
スラリーへ添加するアクリル系分散剤のアミン価を4mg・g-1、とした以外は、実
施例1と同様の操作を行って、実施例4に係る分散液を得た。
得られた実施例4に係る分散液中におけるホウ化物粒子の平均分散粒子径は66nmであった。
当該得られた実施例4に係る分散液を用い、実施例1と同様の操作を行ってヘイズ値を測定したところ0.1%であった。
また、得られた実施例4に係る分散液の初期の粘性を観測したところ液状であった。さ
らに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところ液状であった。
スラリーへ添加するアクリル系分散剤のアミン価を19mg・g-1、酸価を4mg・
g-1、とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例5に係る分散液を得た。
得られた実施例5に係る分散液中におけるホウ化物粒子の平均分散粒子径は65nmであった。
当該得られた実施例5に係る分散液を用い、実施例1と同様の操作を行ってヘイズ値を測定したところ0.1%であった。
また、得られた実施例5に係る分散液の初期の粘性を観測したところ液状であった。さらに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところ、液状であった。
LaB6粉末13重量部と、4−メチル−2−ペンタノール(沸点131.8℃、双極子モーメント2.69)87重量部を攪拌混合した以外は、実施例1と同様の操作を行って、実施例6に係る分散液を得た。
得られた実施例6に係る分散液中におけるホウ化物粒子の平均分散粒子径は64nmであった。
当該得られた実施例6に係る分散液を用い、実施例1と同様の操作を行ってヘイズ値を測定したところ0.1%であった。
また、得られた実施例6に係る分散液の初期の粘性を観測したところ液状であった。さらに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところ液状であった。
実施例1と同様のLaB6粉末13重量部と、トルエン(沸点110.6℃、双極子モーメント0.37)87重量部を攪拌混合した以外は、実施例1と同様の操作を行ったところ、17時間粉砕分散処理中、10時間においてゲル化し粉砕処理の継続が困難になった。そこで、アミン価44mg・g-1、酸価0mg・g-1のアミノ基を持つアクリル系分散剤を、LaB6粉末と等重量だけスラリーへ添加し、ゲル化の解消を試みた。しかし、効果が現れずゲル状のまま、比較例1に係る分散液を得た。
得られた比較例1に係る分散液中におけるホウ化物粒子の平均分散粒子径は90nmであった。
当該得られた比較例1に係る分散液を用い、実施例1と同様の操作を行ってヘイズ値を測定したところ0.5%であった。
また、得られた比較例1に係る分散液の初期の粘性を観測したところ、ゲル状であった。さらに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところゲル化していた。
分散剤を添加しないこと以外は実施例1と同様にして比較例2に係る分散液を得た。
得られた比較例2に係る分散液中におけるホウ化物粒子の平均分散粒子径は65nmであった。
当該得られた比較例2に係る分散液を用い、実施例1と同様の操作を行ってヘイズ値を測定したところ0.1%であった。
また、得られた比較例2に係る分散液の初期の粘性を観測したところゲル状であった。さらに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところゲル化していた。
スラリーへ添加するアクリル系分散剤として、アミン価が60mg・g-1のものを用
いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例3に係る分散液を得た。
得られた比較例3に係る分散液中におけるホウ化物粒子の平均分散粒子径は65nmで
あった。
当該得られた比較例3に係る分散液を用い、実施例1と同様の操作を行ってヘイズ値を測定したところ0.1%であった。
また、得られた比較例3に係る分散液の初期の粘性を観測したところ液状であった。さらに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところゲル化していた。
スラリーへ添加するアクリル系分散剤として、アミン価が28mg・g-1、酸価が3
8mg・g-1のものを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例4に係る
分散液を得た。
得られた比較例4に係る分散液中におけるホウ化物粒子の平均分散粒子径は65nmであった。
当該得られた比較例4に係る分散液を用い、実施例1と同様の操作を行ってヘイズ値を測定したところ0.1%であった。
また、得られた比較例4に係る分散液の初期の粘性を観測したところ液状であった。さらに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところゲル化していた。
スラリーへ添加するアクリル系分散剤として、アミン価が0mg・g-1、酸価が12
9mg・g-1のものを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例5に係る
分散液を得た。
得られた比較例5に係る分散液中におけるホウ化物粒子の平均分散粒子径は66nmであった。
当該得られた比較例5に係る分散液を用い、実施例1と同様の操作を行ってヘイズ値を測定したところ0.1%であった。
また、得られた比較例5に係る分散液の初期の粘性を観測したところ液状であった。さらに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところゲル化していた。
スラリーへ添加するアクリル系分散剤として、アミン価が0mg・g-1、酸価が22
mg・g-1のものを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例6に係る分
散液を得た。
得られた比較例6に係る分散液中におけるホウ化物粒子の平均分散粒子径は64nmであった。
当該得られた比較例6に係る分散液を用い、実施例1と同様の操作を行ってヘイズ値を測定したところ0.1%であった。
また、得られた比較例6に係る分散液の初期の粘性を観測したところゲル状であった。さらに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところゲル化していた。
実施例1と同様のLaB6粉末13重量部と、1−ヘキサノール(沸点157.1℃、双極子モーメント1.76)87重量部を攪拌混合した以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例7に係る分散液を得た。
得られた比較例7に係る分散液中におけるホウ化物粒子の平均分散粒子径は66nmであった。
当該得られた比較例7に係る分散液を用い、実施例1と同様の操作を行ってヘイズ値を測定しようとしたが成膜が出来なかった。
また、得られた比較例7に係る分散液の初期の粘性を観測したところ液状であった。さらに、40℃で7日間静置した後の粘性も確認したところ液状であった。
実施例1〜6の結果から、本発明に係る粉砕分散方法によれば、固相反応等により得られた金属元素がランタン等であって粒径が0.1μm以上30μm以下の範囲にあるホウ化物粉末を、ジェットミルのような大きな動力と大掛かりな装置を必要とする乾式粉砕法によらずに、簡単かつ経済的に、粒径70nm以下の粒子にまで粉砕して微細化することができることが判明した。さらに、得られた分散液は液状で、保存性も優れている。そして、本発明に係るホウ化物粒子分散液中のホウ化物粒子は、粒径70nm以下の粒子となる為、当該粒子または分散液を用いて、ヘイズ値が低い透明性に優れた日射遮蔽材等の光学材料を提供することができる。
また、溶媒に2−プロパノールを用いた場合であっても、分散剤を添加しない比較例2や、分散剤のアミン価の範囲が3〜50mg・g-1から外れ、酸価の範囲が0〜10m
g・g-1から外れたものを添加した比較例3〜6においては、分散液がゲル化した。
さらに、溶媒に沸点が157℃の1−ヘキサノールを用いた比較例7においては、成膜工程で脱媒が不十分となり成膜出来なかった。
Claims (6)
- 粒径が0.1μm以上、30μm以下の範囲にあるLaB 6 粒子と、沸点が82℃以上、132℃以下の範囲にあるアルコールとを、LaB 6 粒子1重量部に対し、アルコールを2重量部以上、20重量部以下混合して媒体攪拌ミルで粉砕してスラリーとし、
当該スラリーへ、アミン価が4mg・g−1以上、44mg・g−1以下の範囲、且つ、酸価が0mg・g−1以上、4mg・g−1以下の範囲にある分散剤を、LaB 6 粒子1重量部に対し0.05重量部以上、2重量部以下添加し、
当該分散剤を添加したスラリーを、さらに媒体攪拌ミルで粉砕することを特徴とするホウ化物粒子の粉砕分散方法。 - 前記アルコールが、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノ−ル、アリルアルコール、から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のホウ化物粒子の粉砕分散方法。
- 前記分散剤が、アミノ基を有するアクリル系高分子分散剤であることを特徴とする請求項1に記載のホウ化物粒子の粉砕分散方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の粉砕分散方法により得られ、平均分散粒子直径が70nm以下であることを特徴とするホウ化物粒子分散液。
- 請求項4に記載のホウ化物粒子分散液を、基材表面に塗布して得られたものであることを特徴とする日射遮蔽膜を有する光学材料。
- 請求項4に記載のホウ化物粒子分散液へ有機バインダー又は無機バインダーを添加した塗布液を、基材表面に塗布して得られたものであることを特徴とする日射遮蔽膜を有する光学材料。
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