JP2021038119A - 窒化ジルコニウム粉末及びその製造方法 - Google Patents

窒化ジルコニウム粉末及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い絶縁性及び高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する。【解決手段】本発明の窒化ジルコニウム粉末は、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が107Ω・cm以上であり、かつ水又は炭素数2〜5の範囲内にあるアルコールで希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μm以下である。また、上記窒化ジルコニウム粉末がアクリルモノマー又はエポキシモノマーに分散されてモノマー分散体が調製される。更に、上記窒化ジルコニウム粉末が黒色顔料として分散媒に分散され更に樹脂が混合されて黒色組成物が調製される。【選択図】なし

Description

本発明は、高い紫外線透過率及び高い黒色度を有し、更に高い絶縁性を有する黒色顔料として好適に用いられる窒化ジルコニウム粉末及びその製造方法に関するものである。
従来、BET法により測定される比表面積が20m2/g〜90m2/gであり、X線回折プロファイルにおいて、窒化ジルコニウムのピークを有する一方、二酸化ジルコニウムのピーク及び低次酸化ジルコニウムのピークを有しない窒化ジルコニウム粉末が開示されている(例えば、特許文献1(請求項1、段落[0016])参照。)。この窒化ジルコニウム粉末は、この粉末濃度50ppmの分散液透過スペクトルにおいて、370nmの光透過率Xが少なくとも18%であり、550nmの光透過率Yが12%以下であって、370nmの光透過率Xに対する550nmの光透過率Y(X/Y)が2.5以上である。
このように構成された窒化ジルコニウム粉末は、比表面積が20m2/g以上であるため、レジストとした場合の沈降抑制の効果があり、また90m2/g以下であるため、十分な遮光性を有する効果がある。またX線回折プロファイルにおいて、窒化ジルコニウムのピークを有する一方、二酸化ジルコニウムのピーク、低次酸化ジルコニウムのピーク及び低次酸窒化ジルコニウムのピークを有しないため、粉末濃度50ppmの分散液透過スペクトルにおいて、370nmの光透過率Xが少なくとも18%であり、550nmの光透過率Yが12%以下である特徴を有し、またX/Yが2.5以上である特徴を有する。X/Yが2.5以上であることにより、紫外線をより一層透過する特長がある。この結果、黒色顔料として黒色パターニング膜を形成するときに高解像度のパターニング膜を形成することができ、しかも形成したパターニング膜は高い遮光性能を有するようになる。
特開2017−222559号公報
上記特許文献1に示された窒化ジルコニウム粉末では、窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒に分散させ、ビーズミル(メディア:ジルコニア)などを用いて分散性を高めると、高い絶縁性が得られるけれども、この窒化ジルコニウム粉末を高粘度の樹脂ペーストに直接練り込むと、窒化ジルコニウム粗粉末が残って、分散性が不足する。このため、窒化ジルコニウム粉末を黒色顔料として用いたときに、黒色塗料の着色力が低下するとともに、窒化ジルコニウム粗粉末の残留により抵抗値が低くなる不具合があった。また、上記窒化ジルコニウム粗粉末を乾式粉砕機などで強制的に粉砕すると、粉末径が小さくなり、かつ粉末表面の酸化反応が起こるため、絶縁性は向上するけれども、黒色塗料の黒色度が低下する問題点があった。
本発明の第1の目的は、高い絶縁性及び高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する、窒化ジルコニウム粉末及びその製造方法を提供することにある。本発明の第2の目的は、低温湿式メディア粉砕により或いは発熱量の少ないジェットミルでの粉砕により、高い黒色度を維持することができる、窒化ジルコニウム粉末の製造方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、不活性ガス雰囲気中での焼成により、黒色膜の絶縁性を向上できる、窒化ジルコニウム粉末の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が107Ω・cm以上であり、かつ水又は炭素数2〜5の範囲内にあるアルコールで希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μm以下である窒化ジルコニウム粉末である。
本発明の第2の観点は、テルミット法又はプラズマ合成法により窒化ジルコニウム粗粉末を生成する工程と、この窒化ジルコニウム粗粉末を10℃以下の分散媒温度で低温湿式メディア粉砕を行うか又は0.3MPa以上のガス圧でジェットミル粉砕を行うことにより、水又は炭素数2〜5の範囲内にあるアルコールで希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μm以下である窒化ジルコニウム前駆体粉末を作製する工程と、この粉砕した窒化ジルコニウム前駆体粉末を不活性ガス雰囲気中で焼成することにより、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が107Ω・cm以上である窒化ジルコニウム粉末を製造する工程とを含む窒化ジルコニウム粉末の製造方法である。
本発明の第3の観点は、第1の観点に記載の窒化ジルコニウム粉末がアクリルモノマー又はエポキシモノマーに分散されたモノマー分散体である。
本発明の第4の観点は、第1の観点に記載の窒化ジルコニウム粉末が黒色顔料として分散媒に分散され更に樹脂が混合された黒色組成物である。
本発明の第5の観点は、第3の観点に記載のモノマー分散体を基板に塗布して塗膜を形成する工程と、この塗膜を熱硬化又は紫外線硬化させて黒色膜を作製する工程とを含む黒色膜の作製方法である。
本発明の第6の観点は、第4の観点に記載の黒色組成物を基板に塗布して塗膜を形成する工程と、この塗膜を熱硬化又は紫外線硬化させて黒色膜を作製する工程とを含む黒色膜の作製方法である。
本発明の第1の観点の窒化ジルコニウム粉末は、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が107Ω・cm以上であるので、厚さ10μm〜100μm程度の黒色厚膜を作製したときの絶縁性を向上できる。また、窒化ジルコニウム粉末は、水又は炭素数2〜5の範囲内にあるアルコールで希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μm以下であるので、窒化ジルコニウム粗粉末が存在せず、良好な分散体や分散液を得ることができる。この結果、上記窒化ジルコニウム粉末を用いた分散体や分散液により作製された黒色膜は、高い絶縁性及び高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する。
本発明の第2の観点の窒化ジルコニウム粉末の製造方法では、窒化ジルコニウム粗粉末を10℃以下の分散媒温度で低温湿式メディア粉砕を行うと、発熱量が少ないため、窒化ジルコニウムの表面酸化が進まず、高い黒色度を維持することができる。また、窒化ジルコニウム粗粉末を0.3MPa以上のガス圧でジェットミル粉砕を行うと、窒化ジルコニウム粗粉末が残らず、黒色膜の絶縁性を向上できる。更に、上記粉砕した窒化ジルコニウム前駆体粉末を不活性ガス雰囲気中で焼成することにより、黒色膜の絶縁性を向上できる。
本発明の第3の観点のモノマー分散体は、本発明の第1の観点の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマー又はエポキシモノマーに分散したので、これらのモノマーの粘度が比較的高くても、窒化ジルコニウム粉末の上記モノマーに対する分散性を良好に保つことができる。この結果、モノマー分散体を用いた黒色膜は、高い絶縁性及び高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する。
本発明の第4の観点の黒色組成物は、本発明の第1の観点の窒化ジルコニウム粉末を黒色顔料として分散媒に分散し更に樹脂を混合したので、窒化ジルコニウム粉末が分散媒に均一に分散する。この結果、黒色組成物を用いた黒色膜は、高い絶縁性及び高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する。
本発明の第5の観点の黒色膜の作製方法では、上記モノマー分散体を基板に塗布して塗膜を形成した後、この塗膜を熱硬化又は紫外線硬化させて黒色膜を作製したので、黒色膜は、高い絶縁性及び高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する。
本発明の第6の観点の黒色膜の作製方法では、上記黒色組成物を基板に塗布して塗膜を形成した後、この塗膜を熱硬化又は紫外線硬化させて黒色膜を作製したので、黒色膜は、高い絶縁性及び高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する。
次に本発明を実施するための形態を説明する。本実施の形態の窒化ジルコニウム粉末は、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が107Ω・cm以上、好ましくは108Ω・cm以上であり、かつ水又は炭素数2〜5の範囲内にあるアルコールで希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μm以下、好ましくは8μm以下である。ここで、上記体積抵抗率を107Ω・cm以上に限定したのは、107Ω・cm未満では窒化ジルコニウム粉末を用いて厚さ1μm〜100μm程度の黒色厚膜を作製したときの絶縁性が低下してしまうからである。また、上記粒度分布D90を10μm以下に限定したのは、10μmを超えると窒化ジルコニウム粗粉末が残存し、良好な分散体や黒色膜が得られないからである。
上記体積抵抗率は、例えば、三菱化学社製の低抵抗率計ロレスタ−GP(型式:UV−3101PC)を用いて、四端子四探針法により測定される。この四端子四探針法とは、試料(圧粉体)の表面に4本の針状電極を所定の間隔をあけて一直線上に置き、外側の2本の針状電極間に一定の電流を流し、内側の2本の針状電極間に生じる電位差を測定することにより体積抵抗率を求める方法である。
また、窒化ジルコニウム粉末は、一次粒子が凝集した二次粒子の状態であり、レーザ回折散乱法により測定される体積基準の粒度分布である。ここで、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布の測定は、次のように行う。先ず、窒化ジルコニウム粉末(二次粒子)0.1gをイオン交換水20g中に投入し、25kHzの超音波を5分間照射して、イオン交換水に窒化ジルコニウム粉末を分散させる。次に、得られた窒化ジルコニウム粉末の分散液を、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製商品名:LA−300)の観察セルに適量滴下し、この装置の手順に従い粒度分布を測定する。このレーザ回折散乱法によって測定された粒度分布は、窒化ジルコニウム粉末の一次粒子が凝集した二次粒子の粒度分布である。なお、イオン交換水に替えて、炭素数2〜5の範囲内にあるアルコールを用いてもよい。炭素数2のアルコールとして、エタノールが挙げられ、炭素数3のアルコールとして、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられ、炭素数4のアルコールとして、1−ブタノール、2−ブタノール等が挙げられ、炭素数5のアルコールとして、1−ペンタノール、2−ペンタノール等が挙げられる。なお、炭素数が1以下では揮発性が高く測定値が安定しないという不具合があり、炭素数が6以上では親和性が不足し測定値が安定しないという不具合がある。
このように構成された窒化ジルコニウム粉末の製造方法を説明する。先ず、テルミット法又はプラズマ合成法により窒化ジルコニウム粗粉末を生成する。本明細書において、テルミット法とは、酸化ジルコニウム粉末を金属マグネシウムの存在下でN2ガス(窒素ガス)と反応させて還元する方法をいう。この実施の形態では、酸化ジルコニウム粉末として、二酸化ジルコニウム(ZrO2)粉末又はシリカがコーティングされた二酸化ジルコニウム(ZrO2)粉末が用いられる。また、金属マグネシウム粉末に窒化マグネシウム(Mg32)粉末が添加される。これらの粉末を出発原料として、特定の雰囲気下で、特定の温度と時間で焼成することにより、BET法により測定される比表面積が20m2/g〜90m2/gである窒化ジルコニウム粗粉末を生成する。
[二酸化ジルコニウム粉末]
二酸化ジルコニウム粉末としては、例えば、単斜晶系二酸化ジルコニウム、立方晶系二酸化ジルコニウム、イットリウム安定化二酸化ジルコニウム等の二酸化ジルコニウムの粉末がいずれも使用可能であるが、窒化ジルコニウム粉末の生成率が高くなる観点から、単斜晶系二酸化ジルコニウム粉末が好ましい。また、二酸化ジルコニウム粉末又はシリカがコーティングされた二酸化ジルコニウム粉末の各平均一次粒径、及び酸化マグネシウム粉末の平均一次粒径は、BET法により測定される比表面積が20m2/g〜90m2/gの窒化ジルコニウム粗粉末を得るためには、比表面積の測定値から球形換算した平均一次粒径で500nm以下であることが好ましく、粉末の取扱い易さから、平均一次粒径で500nm以下で10nm以上であることが好ましい。
[シリカがコーティングされた二酸化ジルコニウム粉末]
シリカがコーティングされた二酸化ジルコニウム粉末は、二酸化ジルコニウム粉末とシリケートゾルゲル液とを混合してスラリーを調製し、このスラリーを乾燥し粉砕して得られる。二酸化ジルコニウムとシリケートゾルゲル液との混合割合は、質量比で二酸化ジルコニウム:シリケートゾルゲル液のシリカ分が(90.0〜99.5):(10.0〜0.5)であることが好ましい。シリカ分が下限値未満では、二酸化ジルコニウム表面のシリカ被覆率が低すぎ、シリカ分が上限値を超えると、得られた窒化ジルコニウム粉末を用いてパターニング膜を形成したときに遮光性が不足する不具合がある。
二酸化ジルコニウム粉末を水、アルコールなどの分散液に入れて混合した後、この混合液をシリケートゾルゲル液に添加混合することが、二酸化ジルコニウムがゾルゲル液に均一に混合するため、好ましい。シリケートゾルゲル液は、メチルシリケート、エチルシリケートなどのシリケートが水、アルコールなどの溶媒に溶解した液が好ましい。二酸化ジルコニウムとゾルゲル液との混合割合は、得られるスラリーの固形分濃度が固形分で10質量%〜50質量%になるように決められる。得られたスラリーを大気中又は真空雰囲気下60℃〜350℃の温度で1分間〜360分間乾燥して、シリカがコーティングされた二酸化ジルコニウム粉末が得られる。
出発原料にシリカがコーティングされた二酸化ジルコニウム粉末を用いることにより、焼成時に粒成長を抑えることが可能となり、BET法により測定される比表面積が20m2/g〜90m2/gであるより微細な窒化ジルコニウム粉末を得ることができる。このとき、窒化ジルコニウム粉末は、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素を10.0質量%以下、好ましくは9.0質量%以下の割合で含有する。10.0質量%を超えると、得られた窒化ジルコニウム粉末を用いてパターニング膜を形成したときに遮光性が不足する不具合がある。
[金属マグネシウム粉末]
金属マグネシウム粉末は、粒径が小さすぎると、反応が急激に進行して操作上危険性が高くなるので、粒径が篩のメッシュパスで100μm〜1000μmの粒状のものが好ましく、特に200μm〜500μmの粒状のものが好ましい。ただし、金属マグネシウムは、すべて上記粒径範囲内になくても、その80質量%以上、特に90質量%以上が上記範囲内にあればよい。
二酸化ジルコニウム粉末に対する金属マグネシウム粉末の添加量の多寡は、後述する雰囲気ガス中のアンモニアガス及び水素ガスの量とともに二酸化ジルコニウムの還元力に影響を与える。金属マグネシウムの量が少なすぎると、還元不足で目的とする窒化ジルコニウム粉末が得られにくくなり、多すぎると、過剰な金属マグネシウムにより反応温度が急激に上昇し、粉末の粒成長を引き起こすおそれがあるとともに不経済となる。金属マグネシウム粉末は、その粒径の大きさによって、金属マグネシウムが二酸化ジルコニウムの2.0倍モル〜6.0倍モルの割合になるように、金属マグネシウム粉末を二酸化ジルコニウム粉末に添加して混合する。2.0倍モル未満では、二酸化ジルコニウムの還元反応が不十分であり、6.0倍モルを超えると、過剰な金属マグネシウムにより反応温度が急激に上昇し、粉末の粒成長を引き起こすおそれがあるとともに不経済となる。
[窒化マグネシウム粉末]
窒化マグネシウム粉末は、焼成時に窒化ジルコニウム表面をコーティングして、金属マグネシウムの還元力を緩和して、窒化ジルコニウム粉末の焼結及び粒成長を防止する。窒化マグネシウム粉末は、その粒径の大きさによって、窒化マグネシウムが二酸化ジルコニウムの0.3倍モル〜3.0倍モルの割合になるように、二酸化ジルコニウムに添加して混合する。0.3倍モル未満では窒化ジルコニウム粉末の焼結防止にならず、3.0倍モルを超えると、焼成後の酸洗浄時に要する酸性溶液の使用量が増加する不具合がある。好ましくは0.4倍モル〜2.0倍モルである。窒化マグネシウム粉末は、比表面積の測定値から球形換算した平均一次粒径で1000nm以下であることが好ましく、粉末の取扱い易さから、平均一次粒径で10nm以上500nm以下であることが好ましい。なお、窒化マグネシウムのみではなく、酸化マグネシウムも窒化ジルコニウムの焼結予防に有効であるため、窒化マグネシウムに一部酸化マグネシウムを混合して使用することも可能である。
[金属マグネシウム粉末による還元反応]
窒化ジルコニウム粗粉末を生成させるための金属マグネシウムによる還元反応時の温度は、650℃〜900℃、好ましくは700℃〜800℃である。650℃は金属マグネシウムの溶融温度であり、温度がそれより低いと、二酸化ジルコニウムの還元反応が十分に生じない。また、温度を900℃より高くしても、その効果は増加せず、熱エネルギーの無駄になるとともに粉末の焼結が進行し好ましくない。また還元反応時間は30分〜90分が好ましく、30分〜60分が更に好ましい。
上記還元反応を行う際の反応容器は、反応時に原料や生成物が飛び散らないように、蓋を有するものが好ましい。これは、金属マグネシウムの溶融が開始されると、還元反応が急激に進行し、それに伴って温度が上昇して、容器内部の気体が膨張し、それによって、容器の内部のものが外部に飛び散るおそれがあるからである。
[金属マグネシウム粉末による還元反応時の雰囲気ガス]
雰囲気ガスは、窒素ガス単体であるか、又は窒素ガスと水素ガスの混合ガスであるか、又は窒素ガスとアンモニアガスの混合ガスである。上記還元反応は上記混合ガスの気流中で行われる。混合ガス中の窒素ガスは、金属マグネシウムや還元生成物と酸素との接触を防ぎ、それらの酸化を防ぐとともに、窒素をジルコニウムと反応させ、窒化ジルコニウムを生成させる役割を有する。混合ガス中の水素ガス又はアンモニアガスは、金属マグネシウムとともに、二酸化ジルコニウムを還元させる役割を有する。水素ガスは、上記混合ガス中、0体積%〜40体積%含むことが好ましく、10体積%〜30体積%含むことが更に好ましい。またアンモニアガスは、上記混合ガス中、0体積%〜50体積%含むことが好ましく、0体積%〜40体積%含むことが更に好ましい。この還元力のある雰囲気ガスを使用することにより、最終的に低次酸化ジルコニウム及び低次酸窒化ジルコニウムを含まない窒化ジルコニウム粉末を製造することができる。一方、この範囲より水素ガスの割合、或いはアンモニアガスの割合が高いと還元は進むものの窒素源が少なくなるため、低次酸化ジルコニウム又は低次酸窒化ジルコニウムが生成してしまい、望ましくない。また、水素ガスの割合よりもアンモニアガスの割合が高いのは、ガスの窒化能力が水素よりアンモニアのほうが高いからと考えられる。
一方、プラズマ合成法による窒化ジルコニウム粗粉末の生成方法は、プラズマナノ粒子製造装置に金属ジルコニウム粉末を導入し、N2ガス雰囲気にて窒化ジルコニウムナノ粒子を得る方法である。この方法により合成される窒化ジルコニウムは、20m2/g〜90m2/gのBET法により測定される比表面積のものを得ることができるが、原料である金属ジルコニウムの燃焼性が高く危険であること、及びコスト的に高くなるデメリットがある。なお、プラズマ合成法により生成されたナノ粒子は、冷却過程、製品取出し過程における急激な表面酸化、付着、凝集等により粗大化し、粗粉末になるものがあるため、プラズマ合成法により生成されたものも窒化ジルコニウム粗粉末とした。
次に、この窒化ジルコニウム粗粉末を10℃以下の分散媒温度で低温湿式メディア粉砕を行うか又は0.3MPa以上のガス圧でジェットミル粉砕を行うことにより、水又は炭素数2〜5の範囲内にあるアルコールで希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μm以下である窒化ジルコニウム前駆体粉末を作製する。なお、この窒化ジルコニウム前駆体粉末のBET法により測定される比表面積は22m2/g〜120m2/gである。
上記低温湿式メディア粉砕法とは、イオン交換水や炭素数2〜5のアルコール等の分散媒に窒化ジルコニウム粗粉末を分散させ、分散媒温度を10℃以下に保った状態で、平均粒径50μm〜500μmのジルコニア、アルミナ、ガラス、ウレタン樹脂等のメディアを用いたビーズミル粉砕法をいう。ここで、分散媒温度を10℃以下に保つのは、10℃を超えると窒化ジルコニウム前駆体粉末の粉砕が進んで、後述の黒色膜のOD値が低下してしまうからである。なお、分散媒温度を10℃以下に保つために、分散媒として液体窒素を用いたり、メディアとしてドライアイスビーズを用いてもよい。また、窒化ジルコニウム粗粉末を上記低温湿式メディア粉砕法で粉砕すると、発熱量が少ないため、窒化ジルコニウムの表面酸化が進まず、高い黒色度を維持することができる。
また、ガス圧0.3MPa以上のジェットミル粉砕とは、ノズルから噴射される0.3MPa以上の高圧の空気、窒素などの不活性ガス、又は蒸気を超高速ジェットとして粉末に衝突させ、粉末同士の衝撃によって数μmのレベルの微粉末にまで粉砕する装置をいい、噴射される空気又は蒸気は音速前後に達する。ジェットミルの特徴として、噴射されるガスが断熱膨張することにより温度が下がるため、低温での粉砕が可能であることが挙げられ、本発明における窒化ジルコニウムのような還元性の物質でも酸化を抑制することが可能である。ここで、上記ガス圧を0.3MPa以上に限定したのは、0.3MPa未満では窒化ジルコニウム粗粉末が残ってしまうからである。なお、窒化ジルコニウム粗粉末を上記ジェットミル粉砕法で粉砕すると、窒化ジルコニウム粗粉末が残らず、黒色膜の絶縁性を向上できる。
更に、この粉砕した窒化ジルコニウム前駆体粉末を不活性ガス雰囲気中で焼成することにより、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が107Ω・cm以上である窒化ジルコニウム粉末を製造する。不活性ガスとしては、N2ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げられる。上記焼成温度は250℃〜550℃の範囲内であることが好ましく、焼成時間は1時間〜5時間の範囲内であることが好ましい。ここで、好ましい焼成温度を250℃〜550℃の範囲内に限定したのは、250℃未満では抵抗値の上昇が不十分であり、550℃を超えると粉末同士の融着が進み粗粉末が増えてしまうからである。また、好ましい焼成時間を1時間〜5時間の範囲内に限定したのは、1時間未満では抵抗値の上昇が不十分であり、5時間を超えても効果が変わらず不経済だからである。なお、窒化ジルコニウム前駆体粉末を不活性ガス雰囲気中で焼成することにより、黒色膜の絶縁性を向上できる。不活性ガス雰囲気中での焼成により、黒色膜の絶縁性が向上する詳細なメカニズムは不明であるが、窒化ジルコニウムの粗粉末がなくなって粉末の均一性が良好になったことや、接触点が減ることや、黒色膜の表面に極薄の絶縁層が形成されたことに起因していると推測される。
上記窒化ジルコニウム粉末がアクリルモノマー又はエポキシモノマーに分散されてモノマー分散体が調製される。このモノマー分散体は、無機粉末を分散して含有する樹脂組成物、樹脂成形体等の用途に有用である。また、上記モノマー分散体は、更に金属酸化物粉末を含み、可塑剤を更に含有することができる。可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、リン酸トリブチル、リン酸2−エチルヘキシル等のリン酸エステル系可塑剤、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル系可塑剤、オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル等の脂肪族− 塩基性エステル系可塑剤、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなどの二価アルコールエステル系可塑剤;アセチルリシノール酸メチル、アセチルクエン酸トリブチルなどオキシ酸エステル系可塑剤等の従来公知の可塑剤を挙げることができる。更に、モノマー分散体に、更に別のモノマーを添加することができる。別のモノマーとしては、特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系モノマー、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系モノマー、ウレタンアクリレート等のウレタン系モノマー、上記各種ポリオール類など、従来公知のモノマーを挙げることができる。なお、モノマー分散体の粘度は、窒化ジルコニウム粉末の分散性を考慮して10Pa・s〜1000mPa・sの範囲内に設定されることが好ましい。モノマーへの分散は、溶剤への分散と同様に、粉砕メディアを使用したミル方式を使用することも可能である。また、必須成分ではないが、より分散性を向上させるため高分子分散剤を使用することも可能である。高分子分散剤は分子量が数千〜数万であることが有効であり、また、顔料に吸着する官能基としては二級アミン、三級アミン、カルボン酸、リン酸、リン酸エステルなどが挙げられるが、特に三級アミン、カルボン酸が有効である。高分子分散剤の代わりに、シランカップリング剤を少量添加することも分散性向上に有効である。一方、遊星撹拌を施した後、三本ロールを数回通して分散液を得ることも可能である。一方、窒化ジルコニウム粉末が黒色顔料として分散媒に分散され更に樹脂が混合された黒色組成物が調製される。この上記分散媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸ブチル(BA)等が挙げられる。また、上記樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。溶剤系分散についても、モノマー分散と同様に高分子分散剤の添加が有効であり、モノマー分散と同様に分子量が数千から数万であることが有効であり、官能基としては三級アミン、カルボン酸が有効である。
次に、上記モノマー分散体を用いて黒色膜を作製する方法を説明する。先ず、モノマー分散体に光重合開始剤を加えた後に、このモノマー分散体を基板に塗布して塗膜を形成する。次に、この塗膜を熱硬化又は紫外線硬化させて黒色膜を作製する。上記基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。また上記基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。モノマー分散体を基板に塗布する際には、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布法を採用することができる。
上記塗膜を熱硬化させるには、大気中で80℃〜250℃の温度に5分間〜60分間保持することが好ましい。ここで、塗膜の熱硬化温度を80℃〜250℃の範囲内に限定したのは、80℃未満では塗膜が十分に硬化せず、250℃を超えると基板が軟化してしまうからである。また、塗膜の熱硬化時間を5分間〜60分間の範囲内に限定したのは、5分間未満では塗膜が十分に硬化せず、60分間を超えると必要以上に時間を要し不経済だからである。一方、上記塗膜を紫外線硬化させるには、予めモノマー分散体にイルガキュア184(BASF社製)、イルガキュア250(BASF社製)、イルガキュア270(BASF社製)、イルガキュア369(BASF社製)、イルガキュア500(BASF社製)、イルガキュア907(BASF社製)、アデカオプトマーN−1919(ADEKA社製)等の紫外線で開裂する光重合開始剤が添加される。そして、この光重合開始剤が添加されたモノマー分散体を基板上に塗布した後、プレベークを行って溶剤を蒸発させて、フォトレジスト膜を形成する。次にこのフォトレジスト膜にフォトマスクを介して所定のパターン形状に露光した後、アルカリ現像液を用いて現像して、フォトレジスト膜の未露光部を溶解除去し、その後好ましくはポストベークを行うことにより、所定の黒色膜が形成される。
硬化後の黒色膜の膜厚は、0.1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。特に、膜厚が10μm〜100μmという厚い黒色膜の作製に適している。また、黒色膜のOD値(Optical Density値)は、窒化ジルコニウム粉末を用いた黒色膜の遮光性(透過率の減衰)を表す指標としての光学濃度である。具体的には、OD値は、光が黒色膜を通過する際に吸収される度合を対数で表示したものであって、次の式(1)で定義される。式(1)中、Iは透過光量であり、I0は入射光量である。
OD値=−log10(I/I0) …………(1)
更に、上記黒色膜のOD値は、高い遮光性を確保するため、2.0以上であることが好ましく、黒色膜の体積抵抗率は、高い絶縁性を確保するため、1×1013Ω・cm以上であることが好ましい。
上記黒色組成物を用いて黒色膜を作製する方法を説明する。先ず、黒色組成物を基板に塗布して塗膜を形成する。次に、この塗膜を熱硬化又は紫外線硬化させて黒色膜を作製する。この黒色組成物を用いた黒色膜の作製方法は、上記モノマー分散体を用いた黒色膜の作製方法と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、テルミット法により窒化ジルコニウム粗粉末を作製した。具体的には、BET法により測定される比表面積から算出される平均一次粒径が50nmの単斜晶系二酸化ジルコニウム粉末7.4gに、平均一次粒径が150μmの金属マグネシウム粉末7.3gと平均一次粒径が200nmの窒化マグネシウム粉末3.0gを添加し、石英製ガラス管に黒鉛のボートを内装した反応装置により均一に混合した。このとき金属マグネシウムの添加量は二酸化ジルコニウムの5.0倍モル、窒化マグネシウムの添加量は二酸化ジルコニウムの0.5倍モルであった。この混合物を窒素ガスの雰囲気下、700℃の温度で60分間焼成して焼成物を得た。この焼成物を、1リットルの水に分散し、10%塩酸を徐々に添加して、pHを1以上で、温度を100℃以下に保ちながら洗浄した後、25%アンモニア水にてpH7〜pH8に調整し、濾過した。その濾過固形分を水中に400g/リットルに再分散し、もう一度、前記と同様に酸洗浄、アンモニア水でのpH調整をした後、濾過した。このように酸洗浄−アンモニア水によるpH調整を2回繰り返した後、濾過物をイオン交換水に固形分換算で500g/リットルで分散させ、60℃での加熱撹拌とpH7への調整をした後、吸引濾過装置で濾過し、更に等量のイオン交換水で洗浄し、設定温度:120℃の熱風乾燥機にて乾燥することにより、窒化ジルコニウム粗粉末を得た。
次に、上記窒化ジルコニウム粗粉末20gをイソプロパノール5リットルに分散し、低温湿式メディア粉砕(メディア:アルミナ)を60分間行って、窒化ジルコニウム前駆体粉末を得た。このときのイソプロパノール(分散媒)の温度は5℃以下であった。更に、上記窒化ジルコニウム前駆体粉末を乾燥させた後、N2ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持して焼成して、窒化ジルコニウム粉末を得た。この窒化ジルコニウム粉末を実施例1とした。
<実施例2〜12及び比較例1〜10>
実施例2〜12及び比較例1〜10の窒化ジルコニウム粉末は、表1に示す方法で、窒化ジルコニウム粗粉末をそれぞれ生成し、それぞれ粉砕し、更にそれぞれ焼成した。なお、表1に示した生成方法、粉砕方法及び焼成方法以外は、実施例1と同様にして、窒化ジルコニウム粉末を作製した。なお、表1の窒化ジルコニウム粗粉末の生成方法の欄において、『TM』はテルミット法であり、『PZ』はプラズマ法である。また、表1の窒化ジルコニウム粗粉末の粉砕方法の欄において、『BM』はビーズミル法であり、『JM』はジェットミル法である。更に、表1の窒化ジルコニウム前駆体粉末の焼成時間/ガスの欄において、『N2』は窒素ガスであり、『He』はヘリウムガスであり、『Ar』はアルゴンガスである。
<比較試験1>
実施例1〜12及び比較例1〜10の窒化ジルコニウム粉末について、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率と、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90をそれぞれ測定した。これらの結果を表1に示す。
<比較試験2>
実施例1〜11及び比較例1〜9の窒化ジルコニウム粉末40gについては、表1に示すように、200ミリリットルのアクリルモノマー又はエポキシモノマーに分散してモノマー分散体を調製した。一方、実施例12及び比較例10の窒化ジルコニウム粉末40gについては、表1に示すように、アミン系分散剤を添加して、200ミリリットルのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶剤中で分散処理を行って黒色顔料分散液を調製した後、これらの黒色顔料分散液にアクリル樹脂を、質量比で黒色顔料:樹脂=3:7となる割合で添加し混合して黒色組成物を調製した。そして、上記モノマー分散体又は黒色組成物にイルガキュア500(光重合開始剤:BASF社製)を4g添加した。次に、上記モノマー分散体又は黒色組成物をガラス基板上に焼成後の膜厚が表1に示す厚さになるようにスピンコートした後に、プレベークを行って溶剤を蒸発させて、フォトレジスト膜を形成した。更に、このフォトレジスト膜にフォトマスクを介して所定のパターン形状に露光した後、アルカリ現像液を用いて現像して、フォトレジスト膜の未露光部を溶解除去し、その後、ポストベークを行うことにより、黒色膜をそれぞれ形成した。これらの黒色膜について、紫外線(中心波長370nm)及び可視光(中心波長560nm)のOD値を前述した式(1)に基づき、マクベス社製の品名D200の濃度計(densitometer)を用いてそれぞれ測定するとともに、黒色膜の体積抵抗率(Ω・cm)もそれぞれ測定した。これらの結果を表1に示した。
Figure 2021038119
表1から明らかなように、比較例1及び10の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製したけれども、この窒化ジルコニウムを粉砕せずに、窒素ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率がそれぞれ1×105Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)より小さく、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90がそれぞれ30μmと適切な範囲(10μm以下)より大きかった。また、比較例1の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は1.0と適切な範囲(2.0以上)より小さく、体積抵抗率は1×106Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)より小さく、塗膜が均一にならなかった。更に、比較例10の窒化ジルコニウム粉末をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に分散させて作製した黒色膜のOD値は1.9と適切な範囲(2.0以上)より小さく、体積抵抗率は6×1012Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)より小さかった。
比較例3の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃以下のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)したけれども、窒化ジルコニウム前駆体粉末を焼成しなかった窒化ジルコニウム粉末では、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が9μmと適切な範囲(10μm以下)内であったけれども、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が1×106Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)より小さかった。また、比較例3の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.1と適切な範囲(2.0以上)内であったけれども、体積抵抗率は5×1011Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)より小さかった。
これらに対し、実施例1及び12の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウムを分散媒温度5℃以下のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、窒素ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率がそれぞれ1×108Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90がそれぞれ7μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例1の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.1と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は5×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)であった。更に、実施例12の窒化ジルコニウム粉末をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に分散させて作製した黒色膜のOD値は2.1と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は5×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
実施例9の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウムを分散媒温度5℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、ヘリウムガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が8×107Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が7μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例9の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.2と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は3×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
実施例10の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウムを分散媒温度5℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、アルゴンガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が8×107Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が9μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例10の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.2と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は3×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
一方、比較例2の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をプラズマ法で作製したけれども、この窒化ジルコニウムを粉砕せずに、窒素ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が3×104Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)より小さく、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が14μmと適切な範囲(10μm以下)より大きかった。また、比較例2の窒化ジルコニウム粉末をエポキシモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は1.2と適切な範囲(2.0以上)より小さく、体積抵抗率は2×106Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)より小さかった。
比較例4の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をプラズマ法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃以下のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)したけれども、窒化ジルコニウム前駆体粉末を焼成しなかった窒化ジルコニウム粉末では、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が5μmと適切な範囲(10μm以下)内であったけれども、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が2×104Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)より小さかった。また、比較例4の窒化ジルコニウム粉末をエポキシモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.0と適切な範囲(2.0以上)内であったけれども、体積抵抗率は2×1010Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)より小さかった。
これらに対し、実施例2及び4の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をプラズマ法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃以下のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、窒素ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率がそれぞれ1×107Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90がそれぞれ5μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例2の窒化ジルコニウム粉末をエポキシモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.2と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は2×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。更に、実施例4の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.3と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は1×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
一方、比較例5の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製したけれども、この窒化ジルコニウム粗粉末を適切な分散媒温度範囲(10℃以下)より高い分散媒温度12℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、窒素ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μmと適切な範囲(10μm以下)内であったけれども、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が7×106Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)より小さかった。また、比較例5の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.0と適切な範囲(2.0以上)内であったけれども、体積抵抗率は4×1012Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)より小さかった。
これに対し、実施例5の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をプラズマ法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を適切な分散媒温度範囲(10℃以下)内である分散媒温度10℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、窒素ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が8×107Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例5の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.0と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は3×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
一方、比較例6の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)したけれども、窒素ガス雰囲気中で、焼成温度が適切な範囲(250℃〜550℃)より低い200℃の温度に、焼成時間が適切な範囲(1時間〜5時間)内である4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が8μmと適切な範囲(10μm以下)内であったけれども、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が1×106Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)より小さかった。また、比較例6の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.0と適切な範囲(2.0以上)内であったけれども、体積抵抗率は1×1012Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)より小さかった。
比較例7の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)したけれども、窒素ガス雰囲気中で、焼成温度が適切な範囲(250℃〜550℃)内である350℃の温度に、焼成温度が適切な範囲(1時間〜5時間)より短い0.5時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が7μmと適切な範囲(10μm以下)内であったけれども、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が3×106Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)より小さかった。また、比較例7の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.0と適切な範囲(2.0以上)内であったけれども、体積抵抗率は2×1012Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)より小さかった。
比較例8の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)したけれども、窒素ガス雰囲気中で、焼成温度が適切な範囲(250℃〜550℃)より高い600℃の温度に、焼成時間が適切な範囲(1時間〜5時間)内である1時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が4×106Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)より小さく、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が14μmと適切な範囲(10μm以下)より大きかった。また、比較例8の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は1.2と適切な範囲(2.0以上)より小さく、体積抵抗率は1×109Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)より小さかった。
これらに対し、実施例6の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をプラズマ法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、窒素ガス雰囲気中で、焼成温度が適切な範囲(250℃〜550℃)内である250℃の温度に、焼成時間が適切な範囲(1時間〜5時間)内である4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が3×107Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が8μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例6の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.0と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は2×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
実施例7の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をプラズマ法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、窒素ガス雰囲気中で、焼成温度が適切な範囲(250℃〜550℃)内である350℃の温度に、焼成時間が適切な範囲(1時間〜5時間)内である1時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が1×107Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が7μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例7の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.0と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は1×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
実施例8の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をプラズマ法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、窒素ガス雰囲気中で、焼成温度が適切な範囲(250℃〜550℃)内である550℃の温度に、焼成時間が適切な範囲(1時間〜5時間)内である1時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が1×108Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が8μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例8の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.4と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は1×1014Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
一方、比較例9の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製したけれども、この窒化ジルコニウム粗粉末を、粉砕圧力が適切な範囲(0.3MPa以上)内より小さい0.2MPaの粉砕圧力でジェットミル粉砕した後に、窒素ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が2×106Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)より小さく、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が14μmと適切な範囲(10μm以下)より大きかった。また、比較例9の窒化ジルコニウム粉末をエポキシモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は1.3と適切な範囲(2.0以上)より小さく、体積抵抗率は1×1011Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)より小さかった。
これに対し、実施例3の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を、粉砕圧力が適切な範囲(0.3MPa以上)内である0.5MPaの粉砕圧力でジェットミル粉砕した後に、窒素ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が2×108Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が6μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例3の窒化ジルコニウム粉末をエポキシモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.2と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は2×1014Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
実施例11の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を、粉砕圧力が適切な範囲(0.3MPa以上)内である0.3MPaの粉砕圧力でジェットミル粉砕した後に、窒素ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った実施例3の窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が2×107Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例11の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.4と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は1×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
本発明の窒化ジルコニウム粉末は、高い絶縁性、高い黒色度及び高い絶縁性を有する黒色膜を得るための黒色顔料として利用できる。
Figure 2021038119
これに対し、実施例5の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を適切な分散媒温度範囲(10℃以下)内である分散媒温度10℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、窒素ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が8×107Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例5の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.0と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は3×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
これらに対し、実施例6の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、窒素ガス雰囲気中で、焼成温度が適切な範囲(250℃〜550℃)内である250℃の温度に、焼成時間が適切な範囲(1時間〜5時間)内である4時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が3×107Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が8μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例6の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.0と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は2×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
実施例7の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、窒素ガス雰囲気中で、焼成温度が適切な範囲(250℃〜550℃)内である350℃の温度に、焼成時間が適切な範囲(1時間〜5時間)内である1時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が1×107Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が7μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例7の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.0と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は1×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
実施例8の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)した後に、窒素ガス雰囲気中で、焼成温度が適切な範囲(250℃〜550℃)内である550℃の温度に、焼成時間が適切な範囲(1時間〜5時間)内である1時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が1×108Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が8μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例8の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.4と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は1×1014Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
実施例11の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を、粉砕圧力が適切な範囲(0.3MPa以上)内である0.3MPaの粉砕圧力でジェットミル粉砕した後に、窒素ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った実施例3の窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が2×107Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例11の窒化ジルコニウム粉末をエポキシモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.4と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は1×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
釈明書(1/3)
Figure 2021038119
釈明書(2/3)
Figure 2021038119
釈明書(3/3)
Figure 2021038119
本発明の第1の目的は、高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する、窒化ジルコニウム粉末及びその製造方法を提供することにある。本発明の第2の目的は、低温湿式メディア粉砕により或いは発熱量の少ないジェットミルでの粉砕により、高い黒色度を維持することができる、窒化ジルコニウム粉末の製造方法を提供することにある。本発明の第3の目的は、不活性ガス雰囲気中での焼成により、黒色膜の絶縁性を向上できる、窒化ジルコニウム粉末の製造方法を提供することにある。
本発明の第2の観点は、テルミット法又はプラズマ合成法により窒化ジルコニウム粗粉末を生成する工程と、この窒化ジルコニウム粗粉末を10℃以下の分散媒温度で低温湿式メディア粉砕を行うか又は0.3MPa以上のガス圧でジェットミル粉砕を行うことにより、水又は炭素数〜5の範囲内にあるアルコールで希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μm以下である窒化ジルコニウム前駆体粉末を作製する工程と、この粉砕した窒化ジルコニウム前駆体粉末を不活性ガス雰囲気中で焼成することにより、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が107Ω・cm以上である窒化ジルコニウム粉末を製造する工程とを含む窒化ジルコニウム粉末の製造方法である。
本発明の第1の観点の窒化ジルコニウム粉末は、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が107Ω・cm以上であるので、厚さ10μm〜100μm程度の黒色厚膜を作製したときの絶縁性を向上できる。また、窒化ジルコニウム粉末は、水又は炭素数〜5の範囲内にあるアルコールで希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μm以下であるので、窒化ジルコニウム粗粉末が存在せず、良好な分散体や分散液を得ることができる。この結果、上記窒化ジルコニウム粉末を用いた分散体や分散液により作製された黒色膜は、高い遮光性即ち高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する。
本発明の第3の観点のモノマー分散体は、本発明の第1の観点の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマー又はエポキシモノマーに分散したので、これらのモノマーの粘度が比較的高くても、窒化ジルコニウム粉末の上記モノマーに対する分散性を良好に保つことができる。この結果、モノマー分散体を用いた黒色膜は、高い遮光性即ち高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する。
本発明の第4の観点の黒色組成物は、本発明の第1の観点の窒化ジルコニウム粉末を黒色顔料として分散媒に分散し更に樹脂を混合したので、窒化ジルコニウム粉末が分散媒に均一に分散する。この結果、黒色組成物を用いた黒色膜は、高い遮光性即ち高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する。
本発明の第5の観点の黒色膜の作製方法では、上記モノマー分散体を基板に塗布して塗膜を形成した後、この塗膜を熱硬化又は紫外線硬化させて黒色膜を作製したので、黒色膜は、高い遮光性即ち高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する。
本発明の第6の観点の黒色膜の作製方法では、上記黒色組成物を基板に塗布して塗膜を形成した後、この塗膜を熱硬化又は紫外線硬化させて黒色膜を作製したので、黒色膜は、高い遮光性即ち高い黒色度を得ることができるとともに、高い絶縁性を有する。
また、窒化ジルコニウム粉末は、一次粒子が凝集した二次粒子の状態であり、この粉末の二次粒子の粒度分布はレーザ回折散乱法により測定される体積基準の粒度分布である。ここで、レーザ回折散乱法による体積基準の粒度分布の測定は、次のように行う。先ず、窒化ジルコニウム粉末(二次粒子)0.1gをイオン交換水20g中に投入し、25kHzの超音波を5分間照射して、イオン交換水に窒化ジルコニウム粉末を分散させる。次に、得られた窒化ジルコニウム粉末の分散液を、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製商品名:LA−300)の観察セルに適量滴下し、この装置の手順に従い粒度分布を測定する。このレーザ回折散乱法によって測定された粒度分布は、窒化ジルコニウム粉末の一次粒子が凝集した二次粒子の粒度分布である。なお、イオン交換水に替えて、炭素数2〜5の範囲内にあるアルコールを用いてもよい。炭素数2のアルコールとして、エタノールが挙げられ、炭素数3のアルコールとして、1−プロパノール、2−プロパノール等が挙げられ、炭素数4のアルコールとして、1−ブタノール、2−ブタノール等が挙げられ、炭素数5のアルコールとして、1−ペンタノール、2−ペンタノール等が挙げられる。なお、炭素数が1以下では揮発性が高く測定値が安定しないという不具合があり、炭素数が6以上では親和性が不足し測定値が安定しないという不具合がある。
二酸化ジルコニウム粉末を水、アルコールなどの分散に入れて混合した後、この混合液をシリケートゾルゲル液に添加混合することが、二酸化ジルコニウムがゾルゲル液に均一に混合するため、好ましい。シリケートゾルゲル液は、メチルシリケート、エチルシリケートなどのシリケートが水、アルコールなどの溶媒に溶解した液が好ましい。二酸化ジルコニウムとゾルゲル液との混合割合は、得られるスラリーの固形分濃度が固形分で10質量%〜50質量%になるように決められる。得られたスラリーを大気中又は真空雰囲気下60℃〜350℃の温度で1分間〜360分間乾燥して、シリカがコーティングされた二酸化ジルコニウム粉末が得られる。
また、ガス圧0.3MPa以上のジェットミル粉砕とは、ノズルから噴射される0.3MPa以上の高圧の空気、窒素などの不活性ガス、又は蒸気を超高速ジェットとして粉末に衝突させ、粉末同士の衝撃によって数μmのレベルの微粉末にまで粉砕することをいい、噴射される空気又は蒸気は音速前後に達する。ジェットミルの特徴として、噴射されるガスが断熱膨張することにより温度が下がるため、低温での粉砕が可能であることが挙げられ、本発明における窒化ジルコニウムのような還元性の物質でも酸化を抑制することが可能である。ここで、上記ガス圧を0.3MPa以上に限定したのは、0.3MPa未満では窒化ジルコニウム粗粉末が残ってしまうからである。なお、窒化ジルコニウム粗粉末を上記ジェットミル粉砕法で粉砕すると、窒化ジルコニウム粗粉末が残らず、黒色膜の絶縁性を向上できる。
上記窒化ジルコニウム粉末がアクリルモノマー又はエポキシモノマーに分散されてモノマー分散体が調製される。このモノマー分散体は、無機粉末を分散して含有する樹脂組成物、樹脂成形体等の用途に有用である。また、上記モノマー分散体は、更に金属酸化物粉末を含み、可塑剤を更に含有することができる。可塑剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、リン酸トリブチル、リン酸2−エチルヘキシル等のリン酸エステル系可塑剤、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル系可塑剤、オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル等の脂肪族− 塩基性エステル系可塑剤、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなどの二価アルコールエステル系可塑剤;アセチルリシノール酸メチル、アセチルクエン酸トリブチルなどオキシ酸エステル系可塑剤等の従来公知の可塑剤を挙げることができる。更に、モノマー分散体に、更に別のモノマーを添加することができる。別のモノマーとしては、特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル系モノマー、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー、塩化ビニル、酢酸ビニル等のビニル系モノマー、ウレタンアクリレート等のウレタン系モノマー、上記各種ポリオール類など、従来公知のモノマーを挙げることができる。なお、モノマー分散体の粘度は、窒化ジルコニウム粉末の分散性を考慮して10Pa・s〜1000mPa・sの範囲内に設定されることが好ましい。モノマーへの分散は、溶剤への分散と同様に、粉砕メディアを使用したミル方式を使用することも可能である。また、必須成分ではないが、より分散性を向上させるため高分子分散剤を使用することも可能である。高分子分散剤は分子量が数千〜数万であることが有効であり、また、顔料に吸着する官能基としては二級アミン、三級アミン、カルボン酸、リン酸、リン酸エステルなどが挙げられるが、特に三級アミン、カルボン酸が有効である。高分子分散剤の代わりに、シランカップリング剤を少量添加することも分散性向上に有効である。一方、遊星撹拌を施した後、三本ロールを数回通してモノマー分散体を得ることも可能である。一方、窒化ジルコニウム粉末が黒色顔料として分散媒に分散され更に樹脂が混合された黒色組成物が調製される。この上記分散媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸ブチル(BA)等が挙げられる。また、上記樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。溶剤系分散についても、モノマー分散と同様に高分子分散剤の添加が有効であり、モノマー分散と同様に分子量が数千から数万であることが有効であり、官能基としては三級アミン、カルボン酸が有効である。
比較例7の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を分散媒温度5℃のビーズミル法で粉砕(低温湿式メディア粉砕)したけれども、窒素ガス雰囲気中で、焼成温度が適切な範囲(250℃〜550℃)内である350℃の温度に、焼成時間が適切な範囲(1時間〜5時間)より短い0.5時間保持する焼成を行った窒化ジルコニウム粉末では、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が7μmと適切な範囲(10μm以下)内であったけれども、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が3×106Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)より小さかった。また、比較例7の窒化ジルコニウム粉末をアクリルモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.0と適切な範囲(2.0以上)内であったけれども、体積抵抗率は2×1012Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)より小さかった。
実施例11の窒化ジルコニウム粉末、即ち窒化ジルコニウム粗粉末をテルミット法で作製し、この窒化ジルコニウム粗粉末を、粉砕圧力が適切な範囲(0.3MPa以上)内である0.3MPaの粉砕圧力でジェットミル粉砕した後に、窒素ガス雰囲気中で350℃の温度に4時間保持する焼成を行った実施例11の窒化ジルコニウム粉末では、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が2×107Ω・cmと適切な範囲(1×107Ω・cm以上)内であり、水で希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μmと適切な範囲(10μm以下)内であった。また、実施例11の窒化ジルコニウム粉末をエポキシモノマーに分散させて作製した黒色膜のOD値は2.4と適切な範囲(2.0以上)内であり、体積抵抗率は1×1013Ω・cmと適切な範囲(1×1013以上)内であった。
本発明の窒化ジルコニウム粉末は、高い黒色度及び高い絶縁性を有する黒色膜を得るための黒色顔料として利用できる。
Figure 2021038119
Figure 2021038119
Figure 2021038119
Figure 2021038119
Figure 2021038119

Claims (6)

  1. 5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が107Ω・cm以上であり、かつ水又は炭素数2〜5の範囲内にあるアルコールで希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μm以下である窒化ジルコニウム粉末。
  2. テルミット法又はプラズマ合成法により窒化ジルコニウム粗粉末を生成する工程と、
    この窒化ジルコニウム粗粉末を10℃以下の分散媒温度で低温湿式メディア粉砕を行うか又は0.3MPa以上のガス圧でジェットミル粉砕を行うことにより、水又は炭素数2〜5の範囲内にあるアルコールで希釈した状態で5分間超音波分散したときの粒度分布D90が10μm以下である窒化ジルコニウム前駆体粉末を作製する工程と、
    前記粉砕した窒化ジルコニウム前駆体粉末を不活性ガス雰囲気中で焼成することにより、5MPaの圧力で固めた圧粉体の状態での体積抵抗率が107Ω・cm以上である窒化ジルコニウム粉末を製造する工程と
    を含む窒化ジルコニウム粉末の製造方法。
  3. 請求項1記載の窒化ジルコニウム粉末がアクリルモノマー又はエポキシモノマーに分散されたモノマー分散体。
  4. 請求項1記載の窒化ジルコニウム粉末が黒色顔料として分散媒に分散され更に樹脂が混合された黒色組成物。
  5. 請求項3記載のモノマー分散体を基板に塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜を熱硬化又は紫外線硬化させて黒色膜を作製する工程とを含む黒色膜の作製方法。
  6. 請求項4記載の黒色組成物を基板に塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜を熱硬化又は紫外線硬化させて黒色膜を作製する工程とを含む黒色膜の作製方法。
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