JP2007264581A - 光学用無機材料の製造方法並びに光学用無機材料、光学用樹脂材料及び光学素子 - Google Patents

光学用無機材料の製造方法並びに光学用無機材料、光学用樹脂材料及び光学素子 Download PDF

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Abstract

【課題】無機フィラーを含有し、物性が改良された光学素子の光線透過率を向上させる。
【解決手段】本発明に係る光学素子としての対物レンズ7は、光学用無機材料と熱可塑性樹脂とを混練した光学用樹脂材料を成型したものである。当該光学用無機材料の製造方法は、等電点がpH7以上の領域に存在する無機粒子と等電点がpH7以下の領域に存在する無機酸化物の前駆体化合物とをpH7以上の溶液中に分散させて分散液を作製する分散工程と、前記分散工程後に、前記分散液に更に前記前駆体化合物を添加して前記無機粒子の表面に前記無機酸化物の層を形成する層形成工程と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、レンズ、フィルター、グレーティング、光ファイバー、平板光導波路などの光学用途に好適に用いられる光学用無機材料の製造方法並びに光学用無機材料、光学用樹脂材料及び光学素子に関する。
従来から、無機粒子の表面に無機酸化物の層を形成した無機材料はさまざまな範囲に応用がされている。例えば、特願2003−593672には、表面に酸化珪素層を形成した酸化チタンをさらに疎水化処理して用いた化粧品が提案されている。特許文献1には粒子の最外層から不定形シリカ−酸化セリウム−顔料の三層構造を持った粒子が開示されており、これによって、適度な触媒活性の抑制と光散乱性をもったフィルムが提案されている。特許文献2には、光学樹脂に無機粒子を分散させることで、屈折率の温度変化、樹脂の熱膨張率を抑えた光学用樹脂材料を得る事が提案されている。
このように、無機粒子の表面に無機酸化物の層を形成することでさまざまな効果を無機材料に付与することができ、広い応用範囲がある。また、このような無機材料を樹脂中にフィラー(添加剤)として含有させることで、樹脂の物性を改善できることがわかっている。ところで無機酸化物の層の形成手法において、厚さが均一な無機酸化物の層を形成しようとする場合、湿式処理においては、処理溶液中で無機粒子を分散した分散液を作製する必要がある。
特開2000−60882号公報 特開2002−241592号公報
しかしながら、上記特許文献に記載されている無機酸化物の層の形成は塩基性溶液中で行われており、同様の方法を用いて無機酸化物の層を形成しようと試みると、pH7以上の領域に等電位点を持つα−アルミナ、γ−アルミナ、BeO等の化合物(無機粒子)はpH7以上の塩基性溶液中でゲル化して当該溶液中に分散せず、厚さが均一な無機酸化物の層が形成されないことがわかってきた。
したがって、これらのpH7以上の領域に等電点が存在する無機粒子の表面に無機酸化物の層を形成した無機材料を、ナノオーダーでの分散が必要な光学素子等にフィラー(添加剤)として応用しようとした場合、無機酸化物層の形成過程において無機粒子で構成された大きな凝集粒子が生成され、これを応用した光学素子は光線透過率などの物性が低下してしまう事がわかってきた。
本発明の目的は、無機フィラーを含有し、物性が改良された光学素子の光線透過率を向上させることである。
上記課題を解決するため、第1の発明に係る光学用無機材料の製造方法は、
等電点がpH7以上の領域に存在する無機粒子と等電点がpH7以下の領域に存在する無機酸化物の前駆体化合物とをpH7以上の溶液中に分散させて分散液を作製する分散工程と、
前記分散工程後に、前記分散液に更に前記前駆体化合物を添加して前記無機粒子の表面に前記無機酸化物の層を形成する層形成工程と、
を備えることを特徴としている。
第1の発明に係る光学用無機材料の製造方法においては、
前記層形成工程後に、前記無機粒子に対し疎水化処理を施す疎水化処理工程を備えるのが好ましい。
第1の発明に係る光学用無機材料の製造方法においては、
前記前駆体化合物がテトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランであるのが好ましい。
第1の発明に係る光学用無機材料の製造方法においては、
前記無機粒子がアルミナであるのが好ましい。
第1の発明に係る光学用無機材料の製造方法においては、
前記無機粒子の一次粒子径が100nm以下であるのが好ましい。
第2の発明に係る光学用無機材料は、
等電点がpH7以上の領域に存在する無機粒子の表面に対し、等電点がpH7以下の領域に存在する無機酸化物の層が形成された光学用無機材料であって、
前記無機粒子と前記無機酸化物の前駆体化合物とがpH7以上の溶液中に分散され、その分散液に更に前記前駆体化合物が添加され、前記無機粒子の表面に前記無機酸化物の層が形成されたことを特徴としている。
第3の発明に係る光学用樹脂材料は、
第2の発明に係る光学用無機材料と熱可塑性樹脂とを混練したものであることを特徴としている。
第4の発明に係る光学素子は、
第2の発明に係る光学用無機材料と熱可塑性樹脂とを混練した光学用樹脂材料を成型したものであることを特徴としている。
本発明によれば、分散工程で、等電点がpH7以上の領域に存在する無機粒子に対し、等電点がpH7以下の領域に存在する無機酸化物の前駆体化合物を加えて分散するため、無機粒子がゲル化することなく分散した分散液を得ることができる。この分散液を用いて得られた光学用無機材料は、表面が無機酸化物で覆われた無機粒子であり、当該無機粒子をさらに疎水化処理して熱可塑性樹脂と複合化させることにより、透明性の高い光学用樹脂材料を得ることができる。この光学用樹脂材料を用いて光学素子を作製することで、当該光学素子の光線透過率を向上させることができる(下記実施例参照)。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
本発明に係る光学用樹脂材料は熱可塑性樹脂と光学用無機材料とを混練したものであり、本発明に係る光学素子は当該光学用樹脂材料を成型したものである。
以下では、(1)熱可塑性樹脂及び(2)光学用無機材料についてそれぞれ説明し、その後に(3)光学用樹脂材料の製造方法と(4)その製造方法により得られた光学素子の製造方法や適用例とについてそれぞれ説明する。
(1)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂としては、光学材料として一般的に用いられる透明の熱可塑性樹脂材料であれば特に制限はないが、光学素子としての加工性を考慮すると、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、またはポリイミド樹脂であることが好ましく、特に好ましくは環状オレフィン樹脂であり、例えば、特開2003−73559号公報等に記載の化合物を挙げることができ、その好ましい化合物を表1に示す。
Figure 2007264581
光学用樹脂材料においては、熱可塑性樹脂はその吸水率が0.2質量%以下であることが好ましい。吸水率が0.2質量%以下の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標)AF(デュポン社製)、サイトップ(旭硝子社製)等)、環状オレフィン樹脂(例えば、ZEONEX(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製)、TOPAS(ポリプラスチック社製)等)、インデン/スチレン系樹脂、ポリカーボネートなどが好適であるが、これらに限るものではない。
また、これらの樹脂と相溶性のある他の樹脂を併用することも好ましい。2種以上の樹脂を用いる場合、その吸水率は、個々の樹脂の吸水率の平均値にほぼ等しいと考えられ、その平均の吸水率が0.2%以下になればよい。
(2)光学用無機材料
光学用無機材料は無機粒子の表面に対し無機酸化物の層が形成されたものである。下記では、(2.1)無機粒子及び(2.2)無機酸化物についてそれぞれ説明する。
(2.1)無機粒子
無機粒子は、等電点がpH7以上の領域に存在している粒子である。そのような無機粒子としては、酸化マグネシウム、酸化鉄(二価)、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化ランタン、酸化ベリリウム、酸化銅、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム等がある。また、無機粒子はその製法により、ある程度等電点が変化する。したがって、当該無機粒子として、Z電位測定などで測定した等電点がpH7以上の領域に存在する任意の無機粒子を用いるのがよい。
熱可塑性樹脂に無機粒子を分散させる際には、母材となる熱可塑性樹脂と無機粒子の屈折率の差が小さいことが望ましい。発明者らの検討の結果、熱可塑性樹脂と分散される無機粒子の屈折率の差が小さいと、光を透過させた場合に散乱を起こし難いということがわかった。熱可塑性樹脂に無機粒子を分散させる際、無機粒子が大きい程、光を透過させた時の散乱を起こしやすくなるが、熱可塑性樹脂と分散される無機粒子の屈折率の差が小さいと、比較的大きな無機粒子を用いても光の散乱が発生する度合いが小さいことを発見した。熱可塑性樹脂と分散される無機粒子の屈折率の差は、0〜0.3の範囲であることが好ましく、更に0〜0.15の範囲であることが好ましい。
光学用樹脂材料として好ましく用いられる熱可塑性樹脂の屈折率は、1.4〜1.6程度である場合が多く、これらの熱可塑性樹脂に分散させる無機粒子としては、例えば酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物、シリカ−ジルコニウム複合粒子などが好ましく用いられる。
また、発明者らの研究により、比較的屈折率の低い無機粒子を分散させることで、光学用樹脂材料のdn/dT(温度変動に対する屈折率変動)を効果的に小さくすることができることがわかった。屈折率が低い無機粒子を分散した光学用樹脂材料の|dn/dT|が小さくなる理由について、詳細はわかっていないものの、光学用樹脂材料における無機粒子の体積分率の温度変化が、無機粒子の屈折率が低いほど、光学用樹脂材料の|dn/dT|を小さくする方向に働くのではないかと考えられる。比較的屈折率が低い無機粒子としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)などが挙げられる。
光学用樹脂材料のdn/dTの低減効果、光透過性、所望の屈折率等を全て同時に向上させることは困難であり、熱可塑性樹脂に分散させる無機粒子は、光学用樹脂材料に求める特性に応じて、無機粒子自体のdn/dTの大きさ、無機粒子のdn/dTと母材となる熱可塑性樹脂のdn/dTとの差、及び無機粒子の屈折率等を考慮して適宜選択することができる。更に、母材となる熱可塑性樹脂との相性、即ち、熱可塑性樹脂に対する分散性、散乱を引き起こし難い無機粒子を適宜選択して用いることは、光透過性を維持する上で好ましい。
無機粒子は、平均粒子径が1〜100nmであるのが好ましく、1〜40nmであるのがより好ましい。平均粒子径が1nm未満の場合、無機粒子の分散が困難になり所望の性能が得られない恐れがあることから、平均粒子径は1nm以上であることが好ましい。他方、平均粒子径が100nmを超えると、得られる光学用樹脂材料が濁るなどして透明性が低下し、光線透過率が70%未満となる恐れがあることから、平均粒子径は100nm以下であることが好ましい。ここでいう「平均粒子径」とは、各無機粒子を同体積の球に換算した時の直径(球換算粒径)の体積平均値である。
無機粒子の形状は、特に限定されるものではないが、球状であるのが好適である。具体的には、無機粒子の最小径(無機粒子の外周に接する2本の接線を引く場合における当該接線間の距離の最小値)/最大径(無機粒子の外周に接する2本の接線を引く場合における当該接線間の距離の最大値)が0.5〜1.0であることが好ましく、0.7〜1.0であることが更に好ましい。
無機粒子径の分布に関しても特に制限されるものではないが、本発明の効果をより効率よく発現させるためには、広範な分布を有するものよりも、比較的狭い分布を持つものが好適に用いられる。
(2.2)無機酸化物
無機酸化物は無機粒子の表面に対し形成される層を構成するもので、等電点がpH7以下の領域に存在するものである。当該無機酸化物の層はその前駆体化合物から構成されるようになっている。
前駆体化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ポリシラザン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラメトキシタングステン、テトラエトキシタングステンなどが適用可能である。当該前駆体化合物は、コア無機粒子表面に対し、加水分解して等電点がpH7以下の無機酸化物を生成する試薬であれば任意の試薬を用いる事ができる。特に、無機粒子の凝集体が生成され難く緻密な層を無機粒子の表面上に形成できることから、当該前駆体化合物としてテトラエトキシシランを用いるのが好ましい。
分散工程(下記参照)においては、これらの前駆体化合物の添加量は、無機粒子の重量に対して30重量%以下であるのが好ましく、5〜30重量%であるのがより好ましい。前駆体化合物の添加量が30重量%以上であると、無機粒子の表面に無機酸化物の層が形成されるだけではなく、無機酸化物の粒子が生成されてしまう場合があり、逆に、前駆体化合物の添加量が5重量%以下であると、当該前駆体化合物自体の分散が困難になる。
他方、層形成工程(下記参照)においては、これらの前駆体化合物の添加量は、無機粒子の表面に形成しようとする無機酸化物の層厚に合わせた任意量とするのがよく、無機粒子の表面に対し層厚が1〜4nm程度の無機酸化物の層を形成可能な量とするのが好ましい。前駆体化合物の添加量がこれ以上であると、無機酸化物の粒子が生成される場合があり、逆に、前駆体化合物の添加量がこれ以下であると、堅牢な無機酸化物の層を形成することが難しい。
(3)光学用樹脂材料の製造方法(光学用無機材料の製造方法を含む。)
光学用樹脂材料の製造方法は、(3.1)無機粒子と無機酸化物の前駆体化合物とをpH7以上の溶液中に分散させて分散液を作製する分散工程と、(3.2)分散工程後に、分散液に更に前駆体化合物を添加して無機粒子の表面に無機酸化物の層を形成する層形成工程と、(3.3)層形成工程後に、分散液から無機粒子を分離してその無機粒子に対し疎水化処理を施す疎水化処理工程と、(3.4)疎水化処理工程後に、光学用無機材料と熱可塑性樹脂とを混練する混練工程と、を備えている。
(3.1)分散工程
分散工程は湿式処理における分散手法による。当該分散手法では湿式処理における分散装置を適用する。当該分散装置としては、超音波分散機、ビーズミルなどの媒体攪拌ミルが適用可能であり、その中でもビーズミルを適用するのが好ましい。分散装置としてビーズミルを適用した場合は、容器内に媒体としてビーズを充填させ、そのビーズを攪拌させながら無機粒子と前駆体化合物とpH7以上の溶液とを容器内に流し込み、これらを容器内でさらに攪拌させる。分散装置としてビーズミルを適用した場合の具体的な装置としては、スターミルZRS(アシザワファインテック株式会社製)、ウルトラアペックスミル(寿工業株式会社製)などが挙げられる。
上記湿式処理における溶媒としては、純水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エトキシエタノール、ジメチルフォルムアミド、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン、シクロへキサンなどの溶媒を、無機粒子の分散性や安定性や前駆体化合物の特性等に応じて、単独で又は2種類以上混合して、使い分けて用いることが可能である。当該溶媒としては、取り扱いが簡単で費用が安いことから、エタノール又はエタノールと純水との混合溶液を用いるのが好ましい。反応溶液中はpH7以上であるのが好ましく、pH9〜13であるのがより好ましい。pH13以上においては、分散粒子の溶解が懸念され、pH9以上では前駆体化合物の反応速度が低く生産性に劣る。pHを調整する試薬としては、アンモニア、酢酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、トリメチルアミン、ピリジン、アニリン等を好ましく用いることができるが、粒子形成後に加熱により容易に取り除けることより、アンモニアを用いるのが好ましい。
当該分散工程で上記のような装置を用いた場合は、溶液中に無機粒子と前駆体化合物とを十分分散させてから、遠心分離によりビーズのみを分離することで所望の分散液を作製することができる。遠心分離によってビーズのみを分離させるので、より細かいビーズの使用が可能である。ビーズとしては、ガラス、アルミナ、スチール、ダイヤモンド、フリント石などが適用可能であり、ジルコニア粉末(例えば、TZシリーズ(東ソー株式会社製)など)を適用するのが好ましい。また、ビーズとして粒子径が0.015〜0.3mm程度であるものを適用するのが好ましい。
(3.2)層形成工程
層形成工程では、上記分散工程で得た分散液に対して上記分散工程で用いたものと同様の前駆体化合物を添加し、その分散液を攪拌する。分散液に前駆体化合物を添加する場合には、前駆体化合物をエタノールと純水との混合液で希釈し、その希釈液を分散液に滴下するのが好ましい。その結果、無機粒子の表面に無機酸化物の層を形成することができる。
なお、攪拌溶液中の反応を促進するため、攪拌溶液を任意に加熱してもよい。その加熱温度は5〜60℃であるのが好ましく、20〜40℃であるのがより好ましい。当該加熱温度が60℃を上回ると、前駆体化合物が単独粒子を形成したり、溶媒が揮発したりするなどの現象が起こる場合があり、好ましくない。他方、当該加熱温度が5℃未満であると、攪拌溶液中の反応時間が長期化して実用に耐えるものではなく、好ましくない。
(3.3)疎水化処理工程
疎水化処理では、乾式、湿式の両方を用いることができる。
乾式の疎水化処理では、上記層形成工程を経た分散液から遠心分離、ろ過等で表面に無機酸化物の層が形成された無機粒子を分離する。その後、この無機粒子を80〜120℃の範囲で乾燥又は減圧乾燥して溶媒を取り除き、任意に200〜400℃の範囲でエイジングする。このエイジング操作の際、着色が見られる場合は、窒素やアルゴンなどの不活性気体を流しながらエイジングすることが好ましい。こうして得た粒子をヘンシェルミキサー、スーパーミキサーなどの高速攪拌機に入れて高速攪拌しながら、当該粒子に対して疎水化処理剤を滴下して又はスプレーなどで添加し、疎水化処理剤を添加した後の粉体を加熱する。
湿式の疎水化処理では、上記層形成工程を経た分散液に疎水化処理剤を加えて任意にその分散液を加熱する。この分散液から、粒子を遠心分離、ろ過等で分離して乾燥させる。
当該疎水化処理剤としては、耐熱性や、高い疎水性を示すシランカップリン剤を用いるのが好ましい。シランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルシリルクロライド、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N-2(アミノエチル)3アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、東レ・ダウシリコーン製のSZ6187などを好適に用いることができる。
上記シランカップリング剤のなかでも、液中での粒子の凝集が小さいことから、一官能のシランカップリング剤を用いるのが好ましい。さらに、粒子が小粒径化するにしたがって、重量に対する表面積が増加し、分子量の大きな疎水化処理剤を用いて疎水化処理を行うと多量の疎水化処理剤が必要となる。疎水化処理を多量に含有した粒子を用いて作製した光学用樹脂材料の物性は劣化する。したがって、分子量が小さく、高い疎水性を示すシランカップリング剤を用いるのが望ましく、疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルシリルクロライドを用いるのがより好ましい。
疎水化処理剤の添加量は、全無機粒子に対し、5〜30重量%であるのが望ましく、10〜20重量%であるのがより望ましい。疎水化処理剤の添加量が30重量%を上回ると、当該疎水化処理剤の凝集体が生成し、光学用樹脂材料自体の透過率が低下する可能性がある。他方、疎水化処理剤の添加量が5重量%未満であると、無機粒子に十分な疎水性を与えることが難しい。
以上の分散工程から層形成工程を経て疎水化処理工程までの各工程の処理をおこなうことで、本発明に係る光学用無機材料を製造することができる。
なお、当該疎水化処理工程の処理はおこなわなくてもよく、分散工程と層形成工程との各処理のみで、表面に無機酸化物の層が形成された無機粒子(疎水化処理は施されていない)を製造し、その製造物を光学用無機材料として扱ってもよい。
(3.4)混練工程
混練工程では、上記疎水化処理工程で得た光学用無機材料と熱可塑性樹脂とを混練する。具体的な混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ポリラボシステム(HAAKE社製);ナノコンミキサー(東洋精機製作所社製);ナウターミキサーブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられる。
以上の分散工程から表面処理工程を経て混練工程の各処理をおこなうことで、本発明に係る光学用樹脂材料を製造することができる。
(4)光学素子の製造方法や適用例
(4.1)光学素子の製造方法
次いで、本発明に係る光学素子(例えば光学用樹脂レンズ)の作製方法について説明する。
当該光学素子の作製では、上記の通り得られる光学用樹脂材料を成型する。成型方法としては、格別制限されるものはないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等の特性に優れた成型物を得る為には溶融成型が好ましい。溶融成型法としては、例えば、市販のプレス成型、市販の押し出し成型、市販の射出成型等が挙げられるが、射出成型が成型性、生産性の観点から好ましい。
成型条件は使用目的、または成型方法により適宜選択されるが、例えば、射出成型における光学用樹脂材料の温度は、成型時に適度な流動性を樹脂に付与して成型品のヒケやひずみを防止し、樹脂の熱分解によるシルバーストリークの発生を防止し、更に、成型物の黄変を効果的に防止する観点から150℃〜400℃の範囲が好ましく、更に好ましくは200℃〜350℃の範囲であり、特に好ましくは200℃〜330℃の範囲である。
当該成型物は、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れるため、本発明の光学素子の一つである光学用樹脂レンズとして好適に用いられるが、その他の光学部品として用いてもよい。
(4.2)光学素子の適用例
本発明に係る光学素子は、上記の作製方法により得られるが、光学部品への具体的な適用例としては、以下のようである。
例えば、光学レンズや光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズなどのレンズ;眼鏡レンズなどの全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などの光ディスクのピックアップレンズ;レーザビームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズなどのレーザ走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズなどが挙げられる。
光ディスク用途としては、CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)などが挙げられる。その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなどの光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板などが挙げられる。
本発明に係る光学素子は、これらの中でも、低複屈折性が要求されるピックアップレンズやレーザ走査系レンズとして好適に用いられ、ピックアップレンズに最も好適に用いられる。
以下、図1を参照しながら、光学用樹脂材料によって成型された光学素子が用いられた光ピックアップ装置1について説明する。
図1は、光ピックアップ装置1の内部構造を示す模式図である。
なお、本実施形態では、使用波長が405nmのいわゆる青紫色レーザ光源を用いた「高密度な光ディスク」をターゲットとしており、この光ディスクの有する保護基板厚は、0.1mmであり、記憶容量は約30GBである。
本実施形態における光ピックアップ装置1には、図1に示すように、光源である半導体レーザ発振器2が具備されている。この半導体レーザ発振器2から出射される青色光の光軸上には、半導体レーザ発振器2から離間する方向に向かって、コリメータ3、ビームスプリッタ4、1/4波長板5、絞り6、対物レンズ7が順次配設されている。
また、ビームスプリッタ4と近接した位置であって、上述した青色光の光軸と直交する方向には、2組のレンズからなるセンサーレンズ群8、センサー9が順次配設されている。
光学素子である対物レンズ7は、光ディスクDに対向した位置に配置されるものであって、半導体レーザ発振器2から出射された青色光を、光ディスクDの一面上に集光するようになっている。このような対物レンズ7には、2次元アクチュエータ10が具備されており、この2次元アクチュエータ10の動作により、対物レンズ7は、光軸上を移動自在となっている。
次に、光ピックアップ装置1の作用について説明する。
本実施形態における光ピックアップ装置1は、光ディスクDへの情報の記録動作時や、光ディスクDに記録された情報の再生動作時に、半導体レーザ発振器2から青色光を出射する。出射された青色光は、図1に示すように、光線L1となって、コリメータ3を透過して無限平行光にコリメートされた後、ビームスプリッタ4を透過して、1/4波長板5を透過する。さらに、絞り6及び対物レンズ7を順次透過した後、光ディスクDの保護基板D1を介して情報記録面D2に集光スポットを形成する。
集光スポットを形成した光は、光ディスクDの情報記録面D2で情報ピットによって変調され、情報記録面D2によって反射される。そして、この反射光は、光線L2となって、対物レンズ7及び絞り6を順次透過した後、1/4波長板5によって偏光方向が変更され、ビームスプリッタ4で反射する。その後、センサーレンズ群8を透過して非点収差が与えられ、センサー9で受光されて、最終的には、センサー9によって光電変換されることによって電気的な信号となる。
以後、このような動作が繰り返し行われ、光ディスクDに対する情報の記録動作や、光ディスクDに記録された情報の再生動作が完了する。
なお、光ディスクDにおける保護基板D1の厚さ寸法及び情報ピットの大きさにより、対物レンズ7に要求される開口数NAも異なる。本実施形態においては、高密度な光ディスクDであり、その開口数は0.85に設定されている。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)試料の作製
(1.1)光学用無機材料1〜6の作製
(1.1.1)光学用無機材料1の作製
始めに、アルミナ(日本アエロジル株式会社製アルミナC,一次粒子径13nm)7.2gに対して、純水50cc、特級エタノール(関東化学製)390cc、28%アンモニア(関東化学製)22ccを加えたpH7以上の溶液を作製した。
次に、当該溶液に対してテトラエトキシシラン(信越化学製LS-2430)0.72gを添加し、その溶液をウルトラアペックスミル(寿工業株式会社製)で周速6m/secで1時間攪拌してアルミナとテトラエトキシシランとを分散させる。その後更に、その分散液に対してテトラエトキシシラン(信越化学製LS-2430)0.72gを添加し、その分散液を上記と同じように1時間攪拌する(分散工程)。ゼータサイザー1000HSa(マルバーン社製)を用い、上記分散工程で得た分散液中のアルミナの体積平均粒子径(分散粒子径)をエタノール中で測定したら、当該アルミナの体積平均粒子径は40nmであった。
その後、テトラエトキシシラン(信越化学製LS-2430)18.16gをエタノールと純水との混合液で希釈し、その希釈液を上記分散工程で得た分散液にゆっくり滴下し、その溶液を室温で20時間攪拌してアルミナの表面にシリカ層を形成した(層形成工程)。
その後、遠心分離機を用いて上記溶液中からアルミナを分離し、そのアルミナを80℃で24時間減圧乾燥させた。乾燥後のアルミナに対して10重量%のヘキサメチルジシラザン(信越化学製HMDS3)を添加し、その混合物を攪拌しながら加熱した(疎水化処理工程)。以上の処理で疎水化度が50%の白色粉末を得てこれを「光学用無機材料1」とした。
(1.1.2)光学用無機材料2の作製
始めに、アルミナ(日本アエロジル株式会社製アルミナC,一次粒子径13nm)7.2gに対して、純水20cc、脱水メタノール(関東化学製)420cc、28%アンモニア(関東化学製)22ccを加えたpH7以上の溶液を作製した。
次に、当該溶液に対してテトラメトキシシラン(信越化学製LS-540)0.54gを添加し、その溶液をウルトラアペックスミル(寿工業株式会社製)で周速6m/secで1時間攪拌してアルミナとテトラメトキシシランを分散させる。その後更に、その分散液に対してテトラメトキシシラン(信越化学製LS-540)0.54gを添加し、その分散液を上記と同じように1時間攪拌する(分散工程)。ゼータサイザー1000HSa(マルバーン社製)を用い、上記分散工程で得た分散液中のアルミナの体積平均粒子径(分散粒子径)をエタノール中で測定したら、当該アルミナの体積平均粒子径は42nmであった。
その後、テトラメトキシシラン(信越化学製LS-540)13.6gをエタノールと純水との混合液で希釈し、その希釈液を上記分散工程で得た分散液にゆっくり滴下し、その溶液を室温で20時間攪拌してアルミナの表面にシリカ層を形成した(層形成工程)。
その後、遠心分離機を用いて上記溶液中からアルミナを分離し、そのアルミナを80℃で24時間減圧乾燥させた。乾燥後のアルミナに対して10重量%のヘキサメチルジシラザン(信越化学製HMDS3)を添加し、その混合物を攪拌しながら加熱した(疎水化処理工程)。以上の処理で疎水化度が50%の白色粉末を得てこれを「光学用無機材料2」とした。
(1.1.3)光学用無機材料3の作製
始めに、酸化ランタン(日本電工株式会社製,一次粒子径10nm)5.4gに対して、純水50cc、特級エタノール(関東化学製)390cc、アンモニア(関東化学製)22ccを加えたpH7以上の溶液を作製した。
次に、当該溶液に対してテトラエトキシシラン(信越化学製LS-2430)0.72gを添加し、その溶液をウルトラアペックスミル(寿工業株式会社製)で周速6m/secで1時間攪拌して酸化ランタンとテトラエトキシシランとを分散させる。その後更に、その分散液に対してテトラエトキシシラン(信越化学製LS-2430)0.72gを添加し、その分散液を上記と同じように1時間攪拌する(分散工程)。ゼータサイザー1000HSa(マルバーン社製)を用い、上記分散工程で得た分散液中の酸化ランタンの体積平均粒子径(分散粒子径)をエタノール中で測定したら、当該酸化ランタンの体積平均粒子径は36nmであった。
その後、テトラエトキシシラン(信越化学製LS-2430)18.16gをエタノールと純水との混合液で希釈し、その希釈液を上記分散工程で得た分散液にゆっくり滴下し、その溶液を室温で20時間攪拌して酸化ランタンの表面にシリカ層を形成した(層形成工程)。
その後、遠心分離機を用いて上記溶液中から酸化ランタンを分離し、その酸化ランタンを80℃で24時間減圧乾燥させた。乾燥後の酸化ランタンに対して10重量%のヘキサメチルジシラザン(信越化学製HMDS3)を添加し、その混合物を攪拌しながら加熱した(疎水化処理工程)。以上の処理で疎水化度が50%の白色粉末を得てこれを「光学用無機材料3」とした。
(1.1.4)光学用無機材料4の作製
始めに、アルミナ(日本アエロジル株式会社製アルミナC,一次粒子径13nm)7.2gに対して、純水50cc、特級エタノール(関東化学製)390cc、28%アンモニア(関東化学製)22ccを加えた溶液を作製し、その溶液を攪拌してアルミナを分散させる(分散工程)。ゼータサイザー1000HSa(マルバーン社製)を用い、当該分散液中のアルミナの体積平均粒子径(分散粒子径)をエタノール中で測定しようとしたら、当該溶液はゲル化していた。
その後、ゲル化した上記分散液に対してテトラエトキシシラン(信越化学製LS-2430)をゆっくりと滴下し、その混合液をしばらく攪拌してアルミナの表面にシリカ層を形成した(層形成工程)。
その後、遠心分離機を用いて上記混合液中からアルミナを分離し、そのアルミナを80℃で24時間減圧乾燥させた。乾燥後のアルミナに対して10重量%のヘキサメチルジシラザン(信越化学製HMDS3)を添加し、その混合物を攪拌しながら加熱した(疎水化処理工程)。以上の処理で疎水化度が50%の白色粉末を得てこれを「光学用無機材料4」とした。
(1.1.5)光学用無機材料5の作製
始めに、アルミナ(日本アエロジル株式会社製アルミナC,一次粒子径13nm)7.2gに対して、純水20cc、脱水メタノール(関東化学製)420cc、28%アンモニア(関東化学製)22ccを加えた溶液を作製し、その溶液を攪拌してアルミナを分散させる(分散工程)。ゼータサイザー1000HSa(マルバーン社製)を用い、当該分散液中のアルミナの体積平均粒子径(分散粒子径)をエタノール中で測定しようとしたら、当該溶液はゲル化していた。
その後、ゲル化した上記分散液に対してテトラメトキシシラン(信越化学製LS-540)をゆっくりと滴下し、その混合液をしばらく攪拌してアルミナの表面にシリカ層を形成した(層形成工程)。
その後、遠心分離機を用いて上記混合液中からアルミナを分離し、そのアルミナを80℃で24時間減圧乾燥させた。乾燥後のアルミナに対して10重量%のヘキサメチルジシラザン(信越化学製HMDS3)を添加し、その混合物を攪拌しながら加熱した(疎水化処理工程)。以上の処理で疎水化度が50%の白色粉末を得てこれを「光学用無機材料5」とした。
(1.1.6)光学用無機材料6の作製
始めに、酸化ランタン(日本電工株式会社製,一次粒子径10nm)5.4gに対して、純水50cc、特級エタノール(関東化学製)390cc、アンモニア(関東化学製)22ccを加えた溶液を作製し、その溶液を攪拌して酸化ランタンを分散させる(分散工程)。ゼータサイザー1000HSa(マルバーン社製)を用い、当該分散液中の酸化ランタンの体積平均粒子径(分散粒子径)をエタノール中で測定しようとしたら、当該溶液はゲル化していた。
その後、ゲル化した上記分散液に対してテトラエトキシシラン(信越化学製LS-2430)19.6gを添加し、その混合液をしばらく攪拌して酸化ランタンの表面にシリカ層を形成した(層形成工程)。
その後、遠心分離機を用いて上記混合液中から酸化ランタンを分離し、その酸化ランタンを80℃で24時間減圧乾燥させた。乾燥後の酸化ランタンに対して10重量%のヘキサメチルジシラザン(信越化学製HMDS3)を添加し、その混合物を攪拌しながら加熱した(疎水化処理工程)。以上の処理で疎水化度が50%の白色粉末を得てこれを「光学用無機材料6」とした。
なお、上記光学用無機材料1〜6の疎水化度は以下のようにして求めた。
0.2gの各光学用無機材料1〜6を50mlの水に添加して、メタノールをビューレットから、各光学用無機材料1〜6全量が懸濁するまで加える。ここで、加えたメタノールの容量をVmlとして、次式から各光学用無機材料1〜6の疎水化度を求めた。
疎水化度=V/(50+V)×100
(1.2)光学用樹脂材料1〜6の作製
ポリラボシステム(HAAKE社製)を用いて、熱可塑性樹脂(日本ゼオン株式会社製ZEONEX330R)に対して20体積%の上記光学用無機材料1〜6を添加してこれを溶融混練することによって、光学用無機材料1〜6を20体積%含有した「光学用樹脂材料1〜6」を得る事ができた(混練工程)。各光学用樹脂材料1〜6は光学用無機材料1〜6の種類に応じるもので、光学用樹脂材料の番号(数字部分)と光学用無機材料の番号(数字部分)とが互いに対応している。
なお、光学用樹脂材料1〜6においては、250℃下で2時間保存した所、質量の減量分は2重量%以下であり、溶媒、未反応の疎水化処理剤(ヘキサメチルジシラザン)残留による物性の劣化はないものと考えられる。
(1.3)試料1〜6の作製
各光学用樹脂材料1〜6を射出成型することにより測定用の成型体(厚さ3mm)を作製し、これら成型体を「試料1〜6(光学素子に相当するもの)」とした。各試料1〜6は光学用樹脂材料1〜6の種類に応じるもので、試料の番号(数字部分)と光学用樹脂材料の番号(数字部分)とが互いに対応している。
(2)試料1〜6の光線透過率の測定
波長587.5nmの光に対する各試料1〜6の透過率を測定した。測定には島津製作所製分光光度計UV-3150を用いた。その測定結果を下記表2に示す。
なお、下記表2には各光学用無機材料1〜6についても併せて記載している。
Figure 2007264581
(3)まとめ
表2に示す通り、試料1〜3と試料4〜6とを比較すると、試料1〜3は透過率が比較の試料4〜6のそれより優れている。そのため、分散工程において、等電点がpH以上の領域に存在する無機粒子(シリカ,酸化ランタン)と、pH7以下に等電点が存在する無機酸化物(シリカ)の前駆体化合物(テトラエトキシシラン,テトラメトキシシラン)とを、pH7以上の溶液に分散させることは、光学素子の光線透過率を向上させる上で有用であるのがわかる。
光ピックアップ装置の内部構造を示す模式図である。
符号の説明
1 光ピックアップ装置
2 半導体レーザ発振器
3 コリメータ
4 ビームスプリッタ
5 1/4波長板
6 絞り
7 対物レンズ(光学素子)
8 センサーレンズ群
9 センサー
10 2次元アクチュエータ
D 光ディスク
1 保護基板
2 情報記録面

Claims (8)

  1. 等電点がpH7以上の領域に存在する無機粒子と等電点がpH7以下の領域に存在する無機酸化物の前駆体化合物とをpH7以上の溶液中に分散させて分散液を作製する分散工程と、
    前記分散工程後に、前記分散液に更に前記前駆体化合物を添加して前記無機粒子の表面に前記無機酸化物の層を形成する層形成工程と、
    を備えることを特徴とする光学用無機材料の製造方法。
  2. 請求項1に記載の光学用無機材料の製造方法において、
    前記層形成工程後に、前記無機粒子に対し疎水化処理を施す疎水化処理工程を備えることを特徴とする光学用無機材料の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の光学用無機材料の製造方法において、
    前記前駆体化合物がテトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランであることを特徴とする光学用無機材料の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学用無機材料の製造方法において、
    前記無機粒子がアルミナであることを特徴とする光学用無機材料の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学用無機材料の製造方法において、
    前記無機粒子の一次粒子径が100nm以下であることを特徴とする光学用無機材料の製造方法。
  6. 等電点がpH7以上の領域に存在する無機粒子の表面に対し、等電点がpH7以下の領域に存在する無機酸化物の層が形成された光学用無機材料であって、
    前記無機粒子と前記無機酸化物の前駆体化合物とがpH7以上の溶液中に分散され、その分散液に更に前記前駆体化合物が添加され、前記無機粒子の表面に前記無機酸化物の層が形成されたことを特徴とする光学用無機材料。
  7. 請求項6に記載の光学用無機材料と熱可塑性樹脂とを混練したものであることを特徴とする光学用樹脂材料。
  8. 請求項6に記載の光学用無機材料と熱可塑性樹脂とを混練した光学用樹脂材料を成型したものであることを特徴とする光学素子。
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