JP2007106977A - 熱可塑性樹脂組成物及び光学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱可塑性樹脂組成物における透明性及び屈折率の向上を図る。
【解決手段】本発明に係る光学素子としての対物レンズ7は熱可塑性樹脂組成物を用いて成形されたものであり、当該熱可塑性樹脂組成物は、表面をシリカ層で被覆して当該シリカ層の表面に疎水化処理を施した平均粒子径が1〜100nmの無機微粒子を熱可塑性樹脂中に含有している。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る光学素子としての対物レンズ7は熱可塑性樹脂組成物を用いて成形されたものであり、当該熱可塑性樹脂組成物は、表面をシリカ層で被覆して当該シリカ層の表面に疎水化処理を施した平均粒子径が1〜100nmの無機微粒子を熱可塑性樹脂中に含有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱可塑性樹脂組成物及び光学素子に係り、特に、レンズ、フィルター、グレーティング、光ファイバー及び平板光導波路等として好適に用いられる熱可塑性樹脂組成物及び光学素子に関する。
従来、光学樹脂に微粒子を分散させることで、屈折率の温度変化、光学樹脂の熱膨張率を抑制した熱可塑性樹脂組成物を得る方法が提案されており(例えば、特許文献1参照)、微粒子を樹脂中に含有することで、上述した屈折率の温度変化や、光学樹脂の物性が改善されている。
しかし、微粒子を分散させた熱可塑性樹脂組成物を、光学用途であるレンズ等に用いるためには、高い透明性とともに、高い屈折率を有する必要がある。
しかし、微粒子を分散させた熱可塑性樹脂組成物を、光学用途であるレンズ等に用いるためには、高い透明性とともに、高い屈折率を有する必要がある。
そこで、透明性を維持した熱可塑性樹脂組成物として、シランカップリング剤等の表面処理剤を用いることにより、シリカの表面を一定以上疎水化して、アクリル系高分子、ポリカーボネート系高分子又はポリスチレン系高分子に混合することで、透明性及び剛性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。同様に、透明な非結晶の高分子に可視光線波長以下の径を有する微細なシリカを配合した熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、シリカの屈折率は、一般的な光学用途の樹脂の屈折率より低いため、ある程度透明な熱可塑性樹脂組成物を得ることは可能であるが、熱可塑性樹脂組成物の屈折率が低減されてしまい、レンズ等の光学用途には不向きであった。
しかし、シリカの屈折率は、一般的な光学用途の樹脂の屈折率より低いため、ある程度透明な熱可塑性樹脂組成物を得ることは可能であるが、熱可塑性樹脂組成物の屈折率が低減されてしまい、レンズ等の光学用途には不向きであった。
一方、高屈折及び耐熱性を有する光学樹脂中に、高い屈折率を有する酸化チタンや、酸化亜鉛等を微細な状態で混入した熱可塑性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、シリカ以外の微粒子を用いた場合、微粒子に対して高い分散性を実現するための表面処理が困難であるため、熱可塑性樹脂組成物の透明度が悪化することにより、光学用途に用いることが非常に困難であった。
したがって、現状においては、シリカ以上の屈折率を有する微粒子を用いて、屈折率の低下を抑制し、かつ、高い透明性を有する熱可塑性樹脂組成物が求められている。
特開2002−241592号公報
特開2003−201114号公報
特開平11−343349号公報
特開2003−73563号公報
しかし、シリカ以外の微粒子を用いた場合、微粒子に対して高い分散性を実現するための表面処理が困難であるため、熱可塑性樹脂組成物の透明度が悪化することにより、光学用途に用いることが非常に困難であった。
したがって、現状においては、シリカ以上の屈折率を有する微粒子を用いて、屈折率の低下を抑制し、かつ、高い透明性を有する熱可塑性樹脂組成物が求められている。
ところで、上述した熱可塑性樹脂組成物の場合、表面処理を行うために好ましく用いることができるシランカップリング剤は、シリカの表面には強固な表面処理を形成することが可能であるため、高い疎水性等を示すが、シリカ以外の粒子の表面では、シリカと同様に、高い疎水性等を示さず、効果が弱まってしまう。
そのため、シランカップリング剤を用いて、シリカ以外の粒子に高い疎水性を示すような表面処理を行うことは非常に困難であり、光学用途に広く用いられているシクロオレフィン樹脂等に均一に混合するような高い疎水性を有する表面処理をすることが困難であるといった問題が生じている。
そのため、シランカップリング剤を用いて、シリカ以外の粒子に高い疎水性を示すような表面処理を行うことは非常に困難であり、光学用途に広く用いられているシクロオレフィン樹脂等に均一に混合するような高い疎水性を有する表面処理をすることが困難であるといった問題が生じている。
本発明は、前記した点に鑑みてなされたものであり、透明性及び屈折率の向上を図ることが可能な熱可塑性樹脂組成物及び光学素子を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、表面をシリカ層で被覆して当該シリカ層の表面に疎水化処理を施した平均粒子径が1〜100nmの無機微粒子を熱可塑性樹脂中に含有することを特徴とする。
請求項2に記載の発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物において、前記疎水化処理が前記シリカ層の表面にシラザン類を被着させ、加熱する処理であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物において、前記シラザン類がヘキサメチルジシラザンであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物において、前記シリカ層がポリシラザン又はテトラエトキシシランのいずれかから形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物において、前記シリカ層がポリシラザンで形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物において、前記無機微粒子が酸化物微粒子又はリン酸塩微粒子であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物において、前記無機微粒子と前記シリカ層との屈折率差が0.3以下であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明に係る光学素子は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形されることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、シリカ以上の屈折率を有する無機微粒子の表面に強固なシリカ層を形成し、このシリカ層の上に疎水化処理を施すことで、シリカと同様の表面処理を行うことが可能となる。
そのため、無機微粒子の分散性が向上され、熱可塑性樹脂組成物における透明性及び屈折率の向上を図ることができる。
そのため、無機微粒子の分散性が向上され、熱可塑性樹脂組成物における透明性及び屈折率の向上を図ることができる。
請求項2,3に記載の発明によれば、シラザン類を用いて疎水化処理を施すことで、高い疎水性を示す無機微粒子を得ることが可能となる。
そのため、疎水性が高く、無機微粒子を均一に混合することが困難であるポリオレフィン系樹脂であっても、均一に分散させることができる。
そのため、疎水性が高く、無機微粒子を均一に混合することが困難であるポリオレフィン系樹脂であっても、均一に分散させることができる。
請求項4,5に記載の発明によれば、シリカ層がポリシラザン又はテトラエトキシシランで形成されることで、シリカ層を効率よく形成することができる。
請求項6に記載の発明によれば、無機微粒子に、屈折率の温度依存性の低い酸化物微粒子又はリン酸塩微粒子を用いることで、熱可塑性樹脂組成物における屈折率の温度依存性の低減を図ることができる。
請求項8に記載の発明によれば、成形された光学素子における透明性及び屈折率の向上を図ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂に対し、表面をシリカ層で被覆して当該シリカ層の表面に疎水化処理を施した無機微粒子を含有するものである。以下、熱可塑性樹脂及び無機微粒子の詳細についてそれぞれ説明する。
まず始めに、熱可塑性樹脂について説明する。
本実施形態における熱可塑性樹脂としては、光学材料として一般的に用いられる透明の熱可塑性樹脂であれば、特に限定されるものではないが、光学素子としての加工性の観点から、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリイミド樹脂であることが好ましく、環状オレフィン樹脂であることが特に好ましい。具体例として、特開2003−73559号公報等に記載の化合物を挙げることができ、好ましい化合物を下記表1に示す。
本実施形態における熱可塑性樹脂としては、光学材料として一般的に用いられる透明の熱可塑性樹脂であれば、特に限定されるものではないが、光学素子としての加工性の観点から、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂又はポリイミド樹脂であることが好ましく、環状オレフィン樹脂であることが特に好ましい。具体例として、特開2003−73559号公報等に記載の化合物を挙げることができ、好ましい化合物を下記表1に示す。
なお、熱可塑性樹脂の吸水率は、0.2質量%以下であることが好ましい。吸水率が0.2質量%以下の樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、フッ素樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標)AF(デュポン社製)、サイトップ(旭硝子社製)等)、環状オレフィン樹脂(例えば、ZEONEX(日本ゼオン社製)、アートン(JSR社製)、アペル(三井化学社製)、TOPAS(ポリプラスチック社製)等)、インデン/スチレン系樹脂、ポリカーボネート等が好ましく用いられるが、特に限定されるものではない。
また、これらの樹脂と相溶性のある他の樹脂を併用することが好ましい。2種以上の樹脂を用いる場合、その吸水率は、個々の樹脂における吸水率の平均値と略同一と考えられ、その平均の吸水率が0.2%以下であればよい。
次に、無機微粒子について説明する。
本実施形態における無機微粒子は、特に限定されるものではなく、得られる熱可塑性樹脂組成物の温度による屈折率の変化率(以後、|dn/dT|とする。)が小さいという本発明の目的の達成を可能とする無機微粒子の中から任意に選択することができる。
具体的には酸化物微粒子、金属塩微粒子、半導体微粒子などが好ましく用いられ、この中から、光学素子として使用する波長領域において吸収、発光、蛍光等が生じないものを適宜選択して使用することが好ましい。
本実施形態における無機微粒子は、特に限定されるものではなく、得られる熱可塑性樹脂組成物の温度による屈折率の変化率(以後、|dn/dT|とする。)が小さいという本発明の目的の達成を可能とする無機微粒子の中から任意に選択することができる。
具体的には酸化物微粒子、金属塩微粒子、半導体微粒子などが好ましく用いられ、この中から、光学素子として使用する波長領域において吸収、発光、蛍光等が生じないものを適宜選択して使用することが好ましい。
酸化物微粒子としては、金属酸化物を構成する金属が、Li、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Rb、Sr、Y、Nb、Zr、Mo、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Ta、Hf、W、Ir、Tl、Pb、Bi及び希土類金属からなる群より選ばれる1種または2種以上の金属である金属酸化物を用いることができ、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、これら酸化物より構成される複酸化物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物(MgAl2O4)等が挙げられる。
また、酸化物微粒子として、希土類酸化物を用いることもでき、具体的には、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム等も挙げられる。
さらに、金属塩微粒子としては、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩などが挙げられ、具体的には炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム等が挙げられる。
さらに、金属塩微粒子としては、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩などが挙げられ、具体的には炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム等が挙げられる。
なお、熱可塑性樹脂のdn/dTは、一般的に負の値である、すなわち、温度の上昇に伴い屈折率が小さくなるため、熱可塑性樹脂組成物の|dn/dT|を効率的に小さくするために、dn/dTが大きい無機微粒子を分散させることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂のdn/dTと同符号の値を有する無機微粒子を用いる場合には、無機微粒子の|dn/dT|が、母材となる熱可塑性樹脂のdn/dTよりも小さいことが好ましい。
さらに、熱可塑性樹脂のdn/dTと逆符号のdn/dTを有する無機微粒子、すなわち、正の値のdn/dTを有する無機微粒子が好ましく用いられる。このような無機微粒子を熱可塑性樹脂に分散させることで、少ない量で効果的に熱可塑性樹脂組成物の|dn/dT|を小さくすることができる。
また、熱可塑性樹脂のdn/dTと同符号の値を有する無機微粒子を用いる場合には、無機微粒子の|dn/dT|が、母材となる熱可塑性樹脂のdn/dTよりも小さいことが好ましい。
さらに、熱可塑性樹脂のdn/dTと逆符号のdn/dTを有する無機微粒子、すなわち、正の値のdn/dTを有する無機微粒子が好ましく用いられる。このような無機微粒子を熱可塑性樹脂に分散させることで、少ない量で効果的に熱可塑性樹脂組成物の|dn/dT|を小さくすることができる。
また、無機微粒子のdn/dTは、熱可塑性樹脂のdn/dTの値に応じて、適宜選択することができるが、一般的に光学素子に好ましく用いられる熱可塑性樹脂に無機微粒子を分散させる場合、無機微粒子のdn/dTが−20×10-6よりも大きいことが好ましく、−10×10-6よりも大きいことがより好ましい。
さらに、熱可塑性樹脂に無機微粒子を分散させる際には、熱可塑性樹脂の屈折率と、無機微粒子の屈折率との差が小さいことが好ましい。これは、屈折率の差が小さいと、光を透過させた場合に、光散乱が生じ難いためである。すなわち、熱可塑性樹脂に無機微粒子を分散させる際、当該無機微粒子が大きい程、光を透過させた時の散乱を起こしやすくなるが、熱可塑性樹脂と分散される無機微粒子の屈折率の差が小さいと、比較的大きな無機微粒子を用いても光の散乱が発生する度合いが小さくなる。
なお、熱可塑性樹脂の屈折率と、無機微粒子の屈折率との差は、0〜0.3の範囲内であることが好ましく、0〜0.15の範囲内であることがより好ましい。
また、光学材料として好ましく用いられる熱可塑性樹脂の屈折率は、1.4〜1.6程度である場合が多いため、これらの熱可塑性樹脂に分散させる無機微粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミニウム・マグネシウム酸化物などが好ましく用いられる。
また、無機微粒子の屈折率は、熱可塑性樹脂組成物のdn/dTを効果的に小さくする観点から、比較的低いことが好ましい。屈折率が低い無機微粒子を分散した熱可塑性樹脂組成物の|dn/dT|が小さくなる理由について、詳細な原理は解明されていないが、熱可塑性樹脂組成物における無機微粒子の体積分率の温度変化は、無機微粒子の屈折率が低い程、樹脂組成物の|dn/dT|を小さくする方向に働くためと考えられる。
なお、屈折率が比較的低い無機微粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、リン酸アルミニウムが好ましく用いられる。
熱可塑性樹脂組成物のdn/dTの低減効果、光透過性、所望の屈折率等を全て同時に向上させることは困難であり、熱可塑性樹脂に分散させる無機微粒子は、熱可塑性樹脂組成物に求める特性に応じて、無機微粒子自体のdn/dTの大きさ、無機微粒子のdn/dTと母材となる熱可塑性樹脂のdn/dTとの差、及び無機微粒子の屈折率等を考慮して適宜選択することができる。
また、母材となる熱可塑性樹脂との相性、すなわち、熱可塑性樹脂に対する分散性、散乱を引き起こし難い無機微粒子を適宜選択して用いることは、光透過性を維持する上で好ましい。
また、母材となる熱可塑性樹脂との相性、すなわち、熱可塑性樹脂に対する分散性、散乱を引き起こし難い無機微粒子を適宜選択して用いることは、光透過性を維持する上で好ましい。
上述した無機微粒子は、1種類の無機微粒子を用いてもよく、また複数種類の無機微粒子を併用してもよい。異なる性質を有する複数種類の無機微粒子を用いることで、必要とされる特性を更に効率よく向上させることもできる。
無機微粒子の平均粒子径は、1nm以上、100nm以下であることが好ましく、1nm以上、40nm以下であることがより好ましい。これは、平均粒子径が1nm未満の場合、無機微粒子の分散が困難になり所望の性能が得られないおそれがあるため、平均粒子径は1nm以上であることが好ましい。一方、平均粒子径が100nmを超える場合、得られる熱可塑性樹脂組成物が濁るなどして透明性が低下し、光線透過率が70%未満となるおそれがあることから、平均粒子径は100nm以下であることが好ましい。
ここで、平均粒子径とは、各粒子を同体積の球に換算した時の直径(球換算粒径)の体積平均値をいう。
ここで、平均粒子径とは、各粒子を同体積の球に換算した時の直径(球換算粒径)の体積平均値をいう。
無機微粒子の形状は、特に限定されるものではないが、球状の無機微粒子が好適に用いられる。具体的には、無機微粒子の最小径(無機微粒子の外周に接する2本の接線を引く場合における当該接線間の距離の最小値)/最大径(無機微粒子の外周に接する2本の接線を引く場合における当該接線間の距離の最大値)が0.5〜1.0であることが好ましく、0.7〜1.0であることがより好ましい。
上述した平均粒子径の分布は、特に限定されるものではないが、本発明の効果をより効率よく発現させるためには、広範な分布を有するものよりも、比較的狭い分布を有するものが好適に用いられる。
次に、無機微粒子の表面にシリカ層を形成するための処理剤及び処理方法について説明する。
本実施形態における処理剤としては、ポリシラザン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3官能基シランカップリング等のケイ素を含有した層を形成する試薬を好ましく用いることができる。これら試薬の中でも、層形成の速さ及び層の緻密さの観点から、ポリシラザンを好ましく用いることができる。
また、上述した3官能シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシランを好適に用いることができる。
本実施形態における処理剤としては、ポリシラザン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3官能基シランカップリング等のケイ素を含有した層を形成する試薬を好ましく用いることができる。これら試薬の中でも、層形成の速さ及び層の緻密さの観点から、ポリシラザンを好ましく用いることができる。
また、上述した3官能シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシランを好適に用いることができる。
シリカの層形成方法としては、乾式、湿式のいずれの方法を用いてもよいが、乾式の表面処理を用いる場合、ヘンシェルミキサー等を用いて乾燥した無機微粒子と、上述した処理剤とを混合し、さらに、加熱を行うことでシリカの層を形成することができる。
一方、湿式の表面処理は、無機微粒子を溶媒中に分散した後、処理剤を添加し、過熱することで行われる。
一方、湿式の表面処理は、無機微粒子を溶媒中に分散した後、処理剤を添加し、過熱することで行われる。
なお、湿式の表面処理に用いられる処理剤の量は、粉体の重量に対して5〜30wt%であることが好ましく、5〜15wt%であることがより好ましい。これは、処理剤の添加量が30wt%以上の場合、無機微粒子同士の凝集が著しく実用化が困難となるためであり、処理剤の添加量が5wt%未満の場合、シリカの層で無機微粒子の表面を均一に覆うことが非常に困難であり、表面の疎水化処理において疎水性が低下するためである。
湿式処理における溶媒としては、純水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エトキシエタノール、ジメチルフォルムアミド、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、キシレン、シクロへキサンなどが適用可能である。当該溶媒の使用に際しては、無機微粒子の分散性や安定性、表面処理剤の特性等に応じて単独で又は2種類以上混合して、使い分けて用いることが可能である。
また、テトラエトキシシランなどのアルコキシド系シランカップリング剤を用いる場合は、反応溶液中のpHの値は7以上であるのが好ましく、9〜12であるのがより好ましい。当該pHの値が12を上回る場合においては無機微粒子の溶解が懸念され、当該pHの値が9未満である場合においてはカップリング剤の反応速度が低く生産性に劣る。当該pHの値を調整する試薬としては、アンモニア、酢酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、トリメチルアミン、ピリジン、アニリン等を用いるのが好ましく、これらのなかでもアンモニアを用いるのがより好ましい。
また、テトラエトキシシランなどのアルコキシド系シランカップリング剤を用いる場合は、反応溶液中のpHの値は7以上であるのが好ましく、9〜12であるのがより好ましい。当該pHの値が12を上回る場合においては無機微粒子の溶解が懸念され、当該pHの値が9未満である場合においてはカップリング剤の反応速度が低く生産性に劣る。当該pHの値を調整する試薬としては、アンモニア、酢酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、トリメチルアミン、ピリジン、アニリン等を用いるのが好ましく、これらのなかでもアンモニアを用いるのがより好ましい。
上述した方法によって表面にシリカ層が形成された粒子は、凝集の少ないものであるが、任意に粉砕処理を行ってもよい。
その際使用される粉砕機としては、ウルトラアペックスミル(コトブキ技研社製);カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)等が挙げられる。
その際使用される粉砕機としては、ウルトラアペックスミル(コトブキ技研社製);カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)等が挙げられる。
なお、無機微粒子の屈折率とシリカ層の屈折率との屈折率差は0.3以下であることが好ましい。
上述した方法によって表面にシリカ層を形成した無機微粒子に対して、湿式、乾式のいずれの方法を用いて、疎水化処理を行ってよい。
このうち、湿式による疎水化処理の場合、任意の溶媒中に無機微粒子を投入して分散させ、その後、シラザン類又はシランカップリング剤を加えて表面処理を行い、シリカ層の表面にシラザン類又はシランカップリング剤を被着させる。その後、ろ過又は遠心分離等の手法を用いて、無機微粒子を溶媒から分離・乾燥(加熱)することにより、表面に疎水化処理が施された無機微粒子を得ることができる。
このうち、湿式による疎水化処理の場合、任意の溶媒中に無機微粒子を投入して分散させ、その後、シラザン類又はシランカップリング剤を加えて表面処理を行い、シリカ層の表面にシラザン類又はシランカップリング剤を被着させる。その後、ろ過又は遠心分離等の手法を用いて、無機微粒子を溶媒から分離・乾燥(加熱)することにより、表面に疎水化処理が施された無機微粒子を得ることができる。
上記シラザン類としては、ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン等が適用可能であり、反応性の高さという観点からすれば、ヘキサメチルジシラザンが好適である。上記シランカップリング剤としてはビニルシラザン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリメチルアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、メチルトリアルコキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルトリメトキシシラン等が適用可能であり、これらの中でも、疎水性の高さからメチルトリメトキシシランが好適である。
一方、乾式による疎水化処理の場合、ヘンシェルミキサーなどの攪拌装置で粉体にせん断力を加えながら、ヘキサメチルジシラザン等の表面処理剤を添加した後、加熱することにより、表面に疎水化処理が施された無機微粒子を得ることができる。
湿式による疎水化処理において用いられる分散装置としては、超音波分散機、ビーズミル等の媒体攪拌ミルが適用できる。これらの中でも、容器内に媒体としてビーズを充填させ、ビーズを攪拌させながら表面処理された無機微粒子と溶媒とを流し込み、これらを容器内でさらに攪拌させることにより無機微粒子の凝集粒子をビーズにより粉砕させて、溶媒中に分散させるビーズミルが好ましい。
ビーズミルとしては、具体的に、スターミルZRS(アシザワファインテック株式会社製)、ウルトラアペックスミル(壽工業株式会社製)等が挙げられる。このような装置は、溶媒中に無機微粒子を十分分散させてから、ビーズのみを遠心分離させることによりスラリーを得ることができるようになっている。遠心分離によってビーズのみを分離させるので、より細かいビーズの使用が可能であり、無機微粒子をより一次粒子に近い体積平均粒子径まで粉砕させるようになっている。
なお、ビーズは、ガラス、アルミナ、スチール、ダイヤモンド、フリント石等を用いることが可能であり、ジルコニア粉末(例えば、TZシリーズ:東ソー株式会社製等)が好ましく用いられる。
また、ビーズの粒子径は、0.03〜0.3mm程度であることが好ましい。
また、ビーズの粒子径は、0.03〜0.3mm程度であることが好ましい。
次に、無機微粒子と熱可塑性樹脂との混合方法について説明する。
本実施形態における無機微粒子と熱可塑性樹脂との混合方法は、直接溶融混練する方法であってもよいし、無機微粒子の分散液と熱可塑性樹脂を混合したものを乾燥させた後、さらに溶融混練する方法であってもよい。
本実施形態における無機微粒子と熱可塑性樹脂との混合方法は、直接溶融混練する方法であってもよいし、無機微粒子の分散液と熱可塑性樹脂を混合したものを乾燥させた後、さらに溶融混練する方法であってもよい。
溶融混練に用いられる混練機としては、具体的に、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ポリラボシステム(HAAKE社製);ナノコンミキサー(東洋精機製作所社製);ナウターミキサーブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)等が挙げられる。
以上のような熱可塑性樹脂組成物を成形することにより、各種成形物を得ることができ、その成形方法としては、特に限定されるものはないが、低複屈折性、機械強度、寸法精度等の特性に優れた成形物を得るためには、溶融成形法が好ましい。溶融成形法としては、市販のプレス成形、市販の押し出し成形、市販の射出成形等が挙げられるが、成形性及び生産性の観点から、射出成形が好ましい。
また、成形工程における成形条件は、使用目的又は成形方法により適宜選択されるが、射出成形における樹脂組成物の温度は、成形時に適度な流動性を熱可塑性樹脂に付与して成形品のヒケや、ひずみの発生とともに、熱可塑性樹脂の熱分解によるシルバーストリークの発生を防止し、さらには、成形物の黄変を効果的に防止する観点から、150℃〜400℃の範囲内であることが好ましく、200℃〜350℃の範囲内であることがより好ましく、200℃〜330℃の範囲内であることが特に好ましい。
成形物としては、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状など種々の形態で使用することができ、また、低複屈折性、透明性、機械強度、耐熱性、低吸水性に優れるため、各種光学部品への適用が可能である。
具体的な適用例としては、光学レンズや、光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズ等のレンズ;眼鏡レンズ等の全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)等の光ディスクのピックアップレンズ;レーザビームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズ等のレーザ走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズ等が挙げられる。
また、その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム等の光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板等が挙げられる。
具体的な適用例としては、光学レンズや、光学プリズムとしては、カメラの撮像系レンズ;顕微鏡、内視鏡、望遠鏡レンズ等のレンズ;眼鏡レンズ等の全光線透過型レンズ;CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)等の光ディスクのピックアップレンズ;レーザビームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズ等のレーザ走査系レンズ;カメラのファインダー系のプリズムレンズ等が挙げられる。
また、その他の光学用途としては、液晶ディスプレイなどの導光板;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム等の光学フィルム;光拡散板;光カード;液晶表示素子基板等が挙げられる。
上述した成形物の中でも、低複屈折性が要求されるピックアップレンズや、レーザ走査系レンズ等の光学素子として用いるのが好適である。
以下、図1を参照しながら、本実施形態における熱可塑性樹脂組成物によって成形された光学素子が用いられた光ピックアップ装置1について説明する。
図1は、光ピックアップ装置1の内部構造を示す模式図である。
図1は、光ピックアップ装置1の内部構造を示す模式図である。
なお、本実施形態では、使用波長が405nmのいわゆる青紫色レーザ光源を用いた「高密度な光ディスク」をターゲットとしており、この光ディスクの有する保護基板厚は、0.1mmであり、記憶容量は約30GBである。
図1に示すように、光ピックアップ装置1には、光源である半導体レーザ発振器2が具備されている。この半導体レーザ発振器2から出射される青色光の光軸上には、半導体レーザ発振器2から離間する方向に向かって、コリメータ3、ビームスプリッタ4、1/4波長板5、絞り6、対物レンズ7が順次配設されている。
また、ビームスプリッタ4と近接した位置であって、上述した青色光の光軸と直交する方向には、2組のレンズからなるセンサーレンズ群8、センサー9が順次配設されている。
また、ビームスプリッタ4と近接した位置であって、上述した青色光の光軸と直交する方向には、2組のレンズからなるセンサーレンズ群8、センサー9が順次配設されている。
光学素子である対物レンズ7は、光ディスクDに対向した位置に配置されるものであって、半導体レーザ発振器2から出射された青色光を、光ディスクDの一面上に集光するようになっている。このような対物レンズ7には、2次元アクチュエータ10が具備されており、この2次元アクチュエータ10の動作により、対物レンズ7は、光軸上を移動自在となっている。
次に、光ピックアップ装置1の作用について説明する。
本実施形態における光ピックアップ装置1は、光ディスクDへの情報の記録動作時や、光ディスクDに記録された情報の再生動作時に、半導体レーザ発振器2から青色光を出射する。出射された青色光は、図1に示すように、光線L1となって、コリメータ3を透過して無限平行光にコリメートされた後、ビームスプリッタ4を透過して、1/4波長板5を透過する。さらに、絞り6及び対物レンズ7を順次透過した後、光ディスクDの保護基板D1を介して情報記録面D2に集光スポットを形成する。
本実施形態における光ピックアップ装置1は、光ディスクDへの情報の記録動作時や、光ディスクDに記録された情報の再生動作時に、半導体レーザ発振器2から青色光を出射する。出射された青色光は、図1に示すように、光線L1となって、コリメータ3を透過して無限平行光にコリメートされた後、ビームスプリッタ4を透過して、1/4波長板5を透過する。さらに、絞り6及び対物レンズ7を順次透過した後、光ディスクDの保護基板D1を介して情報記録面D2に集光スポットを形成する。
集光スポットを形成した光は、光ディスクDの情報記録面D2で情報ピットによって変調され、情報記録面D2によって反射される。そして、この反射光は、光線L2となって、対物レンズ7及び絞り6を順次透過した後、1/4波長板5によって偏光方向が変更され、ビームスプリッタ4で反射する。その後、センサーレンズ群8を透過して非点収差が与えられ、センサー9で受光されて、最終的には、センサー9によって光電変換されることによって電気的な信号となる。
以後、このような動作が繰り返し行われ、光ディスクDに対する情報の記録動作や、光ディスクDに記録された情報の再生動作が完了する。
以後、このような動作が繰り返し行われ、光ディスクDに対する情報の記録動作や、光ディスクDに記録された情報の再生動作が完了する。
なお、光ディスクDにおける保護基板D1の厚さ寸法及び情報ピットの大きさにより、対物レンズ7に要求される開口数NAも異なる。本実施形態においては、高密度な光ディスクDであり、その開口数は0.85に設定されている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず始めに、無機微粒子の疎水化度の算出方法について説明する。
50mlの水に無機微粒子0.2gを添加した後、ビューレットを用いて、無機微粒子が懸濁するまでメタノールを加え、下記式(1)に基づいて、疎水化度を求める。
まず始めに、無機微粒子の疎水化度の算出方法について説明する。
50mlの水に無機微粒子0.2gを添加した後、ビューレットを用いて、無機微粒子が懸濁するまでメタノールを加え、下記式(1)に基づいて、疎水化度を求める。
疎水化度=V/(50+V)×100 …(1)
ここで、Vは添加したメタノールの容量(ml)を示す。
ここで、Vは添加したメタノールの容量(ml)を示す。
上述した熱可塑性樹脂に対して無機微粒子を混練したとき、無機微粒子の疎水化度が50%未満の場合では、混練した熱可塑性樹脂が白濁してしまい、光学樹脂としての使用に耐えないものであった。これは、無機微粒子と熱可塑性樹脂との界面の分離によるものと考えられる。したがって、無機微粒子の疎水化度は、50%以上であることが必要とされる。
次に、リン酸アルミニウムの無機微粒子の作製方法について説明する。
ダブルジェット法により、0.027molのリン酸三アンモニウムを含有する水溶液(以下「第1溶液」という。)3リットルに、3.53molの硫酸アルミニウム水溶液2リットルと、10.59molのリン酸三アンモニウム水溶液(以下「第2溶液」という。)2リットルとを、10分間かけて添加した。この際、硫酸を用いて、無機微粒子形成中のpHを6.5に制御するとともに、温度を25℃に制御した。添加終了後、限外ろ過法により、可溶性塩類を脱塩除去し、10質量%のリン酸アルミニウム分散液を得た。さらに、この溶液をスプレードライで噴霧乾燥することにより、体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムの粉体を得た。
次に、第1溶液及び第2溶液の濃度を2倍に増加させ、同様の製法により、体積平均粒子径が65nmのリン酸アルミニウムの粉体を得た。併せて、第1溶液及び第2溶液の濃度を3倍に増加させ、同様の製法により、体積平均粒子径が110nmのリン酸アルミニウムの粉体を得た。
ダブルジェット法により、0.027molのリン酸三アンモニウムを含有する水溶液(以下「第1溶液」という。)3リットルに、3.53molの硫酸アルミニウム水溶液2リットルと、10.59molのリン酸三アンモニウム水溶液(以下「第2溶液」という。)2リットルとを、10分間かけて添加した。この際、硫酸を用いて、無機微粒子形成中のpHを6.5に制御するとともに、温度を25℃に制御した。添加終了後、限外ろ過法により、可溶性塩類を脱塩除去し、10質量%のリン酸アルミニウム分散液を得た。さらに、この溶液をスプレードライで噴霧乾燥することにより、体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムの粉体を得た。
次に、第1溶液及び第2溶液の濃度を2倍に増加させ、同様の製法により、体積平均粒子径が65nmのリン酸アルミニウムの粉体を得た。併せて、第1溶液及び第2溶液の濃度を3倍に増加させ、同様の製法により、体積平均粒子径が110nmのリン酸アルミニウムの粉体を得た。
次に、実施例1について説明する。
化学晶析により、作製した体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
減圧下において200℃の温度で乾燥させたリン酸アルミニウム30gを、キシレン720cc中でUS分散(超音波で分散)させ、ゲル化させた。得られた溶液に対し、アルゴン雰囲気下で5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)180ccを加えた。この溶液を10分攪拌した後、さらに、大気雰囲気下で攪拌しながら200℃の温度で1時間加熱を行った。その後、噴霧乾燥を行い、得られた微粒子を、さらに大気雰囲気下において200℃の温度で1時間加熱した。
次に、得られた粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)4gを加えた。さらに、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧することにより、未反応のヘキサメチルジシラザンや、微粒子に吸着した副生成物のアンモニアを除去して、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、60%であった。
化学晶析により、作製した体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
減圧下において200℃の温度で乾燥させたリン酸アルミニウム30gを、キシレン720cc中でUS分散(超音波で分散)させ、ゲル化させた。得られた溶液に対し、アルゴン雰囲気下で5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)180ccを加えた。この溶液を10分攪拌した後、さらに、大気雰囲気下で攪拌しながら200℃の温度で1時間加熱を行った。その後、噴霧乾燥を行い、得られた微粒子を、さらに大気雰囲気下において200℃の温度で1時間加熱した。
次に、得られた粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)4gを加えた。さらに、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧することにより、未反応のヘキサメチルジシラザンや、微粒子に吸着した副生成物のアンモニアを除去して、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、60%であった。
次に、実施例2について説明する。
化学晶析によって作製した体積平均粒子径が65nmのリン酸アルミニウムに、5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)をキシレンで希釈し1%にしたものを283ccに変更した以外は、実施例1と同様の製法により、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、60%であった。
化学晶析によって作製した体積平均粒子径が65nmのリン酸アルミニウムに、5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)をキシレンで希釈し1%にしたものを283ccに変更した以外は、実施例1と同様の製法により、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、60%であった。
次に、実施例3について説明する。
化学晶析により、作製した体積平均粒子径が65nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
減圧下において200℃の温度で乾燥させたリン酸アルミニウムの粉体30gを、キシレン720cc中でUS分散させ、ゲル化させた後、得られた溶液に対しアルゴン雰囲気下において5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)180ccを加えた。さらに、得られた溶液を10分間攪拌した後、大気雰囲気下で攪拌しながら200℃の温度で1時間加熱を行った。そして、次に噴霧乾燥を行い、得られた粒子をさらに大気雰囲気下において200℃の温度で1時間加熱した。
次に、得られた粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらメチルトリメトキシシラン(LS−530:信越化学製)4gを加え、200℃の温度で30分間加熱した後、室温まで冷却した。
なお、得られた粉体の疎水化度は、50%であった。
化学晶析により、作製した体積平均粒子径が65nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
減圧下において200℃の温度で乾燥させたリン酸アルミニウムの粉体30gを、キシレン720cc中でUS分散させ、ゲル化させた後、得られた溶液に対しアルゴン雰囲気下において5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)180ccを加えた。さらに、得られた溶液を10分間攪拌した後、大気雰囲気下で攪拌しながら200℃の温度で1時間加熱を行った。そして、次に噴霧乾燥を行い、得られた粒子をさらに大気雰囲気下において200℃の温度で1時間加熱した。
次に、得られた粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらメチルトリメトキシシラン(LS−530:信越化学製)4gを加え、200℃の温度で30分間加熱した後、室温まで冷却した。
なお、得られた粉体の疎水化度は、50%であった。
次に、実施例4について説明する。
化学晶析により、作製した体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
溶液1として、純水480cc、エタノール1680cc、アンモニア水90ccの混合溶液にリン酸アルミニウムを30g加えた溶液を作製した。その後、ウルトラアペックスミル(壽工業株式会社製)を用いて、溶液1中のリン酸アルミニウムの分散を行った。その後、溶液2として、テトラエトキシシラン(LS−2430:信越化学製)228cc、純水48cc、エタノール188ccの溶液を作製した。その後、室温でポンプを用いて溶液1に対し溶液2を8時間かけて滴下しながら攪拌し、さらに1時間攪拌を続けたところでアンモニア水を用いて溶液のpHを10.4まで引き上げ、さらに室温で15時間攪拌し続けた。その後、攪拌後の溶液を15000rpm(round per minute)で10分間遠心分離して粒子を分離した。その後、粒子分離後の溶液にエタノールを1500cc加えてUS分散し、さらに遠心分離を行い粒子を得た。この粒子を190℃で5時間加熱して乾燥させた。
次に、得られた粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)4gを加えた。さらに、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧しながら降温することにより、未反応のヘキサメチルジシラザンや、微粒子に吸着した副生成物のアンモニアを除去して、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、50%であった。
化学晶析により、作製した体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
溶液1として、純水480cc、エタノール1680cc、アンモニア水90ccの混合溶液にリン酸アルミニウムを30g加えた溶液を作製した。その後、ウルトラアペックスミル(壽工業株式会社製)を用いて、溶液1中のリン酸アルミニウムの分散を行った。その後、溶液2として、テトラエトキシシラン(LS−2430:信越化学製)228cc、純水48cc、エタノール188ccの溶液を作製した。その後、室温でポンプを用いて溶液1に対し溶液2を8時間かけて滴下しながら攪拌し、さらに1時間攪拌を続けたところでアンモニア水を用いて溶液のpHを10.4まで引き上げ、さらに室温で15時間攪拌し続けた。その後、攪拌後の溶液を15000rpm(round per minute)で10分間遠心分離して粒子を分離した。その後、粒子分離後の溶液にエタノールを1500cc加えてUS分散し、さらに遠心分離を行い粒子を得た。この粒子を190℃で5時間加熱して乾燥させた。
次に、得られた粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)4gを加えた。さらに、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧しながら降温することにより、未反応のヘキサメチルジシラザンや、微粒子に吸着した副生成物のアンモニアを除去して、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、50%であった。
次に、実施例5について説明する。
化学晶析によって作製した体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
リン酸アルミニウムの粉体40gに対して純水4000gを入れ、28%アンモニア水(関東化学製)を用いてPH10.5に調整した後、得られた分散液を攪拌しながら、溶液を7℃まで冷却した。次に、メチルトリメトキシシラン(LS−530:信越化学製)20gを溶液中にゆっくりと滴下して、1時間攪拌を行った後、液温を75℃まで昇温させ、さらに1時間攪拌を行った。さらに、この溶液を回転速度15000rpmで10分間遠心分離を行い、上澄みを捨てた。そして、得られた微粒子をメタノール中に分散させ、噴霧乾燥を行うことにより、表面処理が施された粉体を得た。
次に、得られた粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)3gを加え、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧する。さらに、100℃において減圧することで未反応のヘキサメチルジシラザンや、微粒子に吸着した副生成物のアンモニアを除去して、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、50%であった。
化学晶析によって作製した体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
リン酸アルミニウムの粉体40gに対して純水4000gを入れ、28%アンモニア水(関東化学製)を用いてPH10.5に調整した後、得られた分散液を攪拌しながら、溶液を7℃まで冷却した。次に、メチルトリメトキシシラン(LS−530:信越化学製)20gを溶液中にゆっくりと滴下して、1時間攪拌を行った後、液温を75℃まで昇温させ、さらに1時間攪拌を行った。さらに、この溶液を回転速度15000rpmで10分間遠心分離を行い、上澄みを捨てた。そして、得られた微粒子をメタノール中に分散させ、噴霧乾燥を行うことにより、表面処理が施された粉体を得た。
次に、得られた粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)3gを加え、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧する。さらに、100℃において減圧することで未反応のヘキサメチルジシラザンや、微粒子に吸着した副生成物のアンモニアを除去して、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、50%であった。
次に、実施例6について説明する。
化学晶析によって作製した65nmのリン酸アルミニウムを用いて、メチルトリメトキシシラン(LS−530:信越化学製)の量を20gから7gに変更した以外は、実施例5と同様の製法によって作製することにより、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、50%であった。
化学晶析によって作製した65nmのリン酸アルミニウムを用いて、メチルトリメトキシシラン(LS−530:信越化学製)の量を20gから7gに変更した以外は、実施例5と同様の製法によって作製することにより、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、50%であった。
次に、実施例7について説明する。
市販のアルミナ(粒子径13nm,アルミナC:日本アエロジル社製)を用いて検討を行った。
減圧下において200℃の温度で乾燥させたアルミナの粉体30gをキシレン1100cc中でUS分散させ、ゲル化させた。得られた溶液に対しアルゴン雰囲気下で5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)276ccを加え、この溶液を10分間攪拌した後、大気雰囲気下で攪拌しながら200℃の温度で1時間加熱を行った。その後、噴霧乾燥を行い、得られた粒子を大気雰囲気下において200℃の温度で1時間加熱した。
次に、得られた粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)4gを加え、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧した。さらに、100℃において減圧することで未反応のヘキサメチルジシラザンや、粒子に吸着した副生成物のアンモニアを除去することにより、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、60%であった。
市販のアルミナ(粒子径13nm,アルミナC:日本アエロジル社製)を用いて検討を行った。
減圧下において200℃の温度で乾燥させたアルミナの粉体30gをキシレン1100cc中でUS分散させ、ゲル化させた。得られた溶液に対しアルゴン雰囲気下で5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)276ccを加え、この溶液を10分間攪拌した後、大気雰囲気下で攪拌しながら200℃の温度で1時間加熱を行った。その後、噴霧乾燥を行い、得られた粒子を大気雰囲気下において200℃の温度で1時間加熱した。
次に、得られた粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)4gを加え、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧した。さらに、100℃において減圧することで未反応のヘキサメチルジシラザンや、粒子に吸着した副生成物のアンモニアを除去することにより、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、60%であった。
次に、実施例8について説明する。
市販の酸化チタン(粒子径5nm,MC−150:石原産業(株)製)を用いて検討を行った。
減圧下において200℃の温度で乾燥させた酸化チタン30gをキシレン720cc中でUS分散させ、ゲル化させた。得られた溶液に対しアルゴン雰囲気下で5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)540ccを加え、この溶液を10分間攪拌した後、大気雰囲気下で攪拌しながら200℃の温度で1時間加熱を行った。その後、噴霧乾燥を行い、得られた粒子を大気雰囲気下において200℃の温度で1時間加熱した。
次に、得られた粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)4gを加え、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧した。さらに、100℃において減圧することで未反応のヘキサメチルジシラザンや、粒子に吸着した副生成物のアンモニアを除去することにより、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、60%であった。
市販の酸化チタン(粒子径5nm,MC−150:石原産業(株)製)を用いて検討を行った。
減圧下において200℃の温度で乾燥させた酸化チタン30gをキシレン720cc中でUS分散させ、ゲル化させた。得られた溶液に対しアルゴン雰囲気下で5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)540ccを加え、この溶液を10分間攪拌した後、大気雰囲気下で攪拌しながら200℃の温度で1時間加熱を行った。その後、噴霧乾燥を行い、得られた粒子を大気雰囲気下において200℃の温度で1時間加熱した。
次に、得られた粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)4gを加え、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧した。さらに、100℃において減圧することで未反応のヘキサメチルジシラザンや、粒子に吸着した副生成物のアンモニアを除去することにより、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、60%であった。
次に、比較例1について説明する。
化学晶析により、作製した体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
リン酸アルミニウムの粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)3gを加え、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧した。さらに、100℃において減圧することで未反応のヘキサメチルジシラザンや、粒子に吸着した副生成物のアンモニアを除去することにより、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、30%であった。
化学晶析により、作製した体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
リン酸アルミニウムの粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)3gを加え、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧した。さらに、100℃において減圧することで未反応のヘキサメチルジシラザンや、粒子に吸着した副生成物のアンモニアを除去することにより、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、30%であった。
次に、比較例2について説明する。
化学晶析によって作製した体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
リン酸アルミニウムの粉体30gに対してメチルトリメトキシシラン(LS−530:信越化学製)3gを加え、アルゴン雰囲気下において200℃の温度で1時間攪拌を行った後、室温まで冷却することにより、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、40%であった。
化学晶析によって作製した体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
リン酸アルミニウムの粉体30gに対してメチルトリメトキシシラン(LS−530:信越化学製)3gを加え、アルゴン雰囲気下において200℃の温度で1時間攪拌を行った後、室温まで冷却することにより、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、40%であった。
次に、比較例3について説明する。
化学晶析によって作製した体積平均粒子径が110nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
減圧下において200℃の温度で乾燥させたリン酸アルミニウムの粉体30gを、キシレン720cc中でUS分散させ、ゲル化させた。得られた溶液に対し、5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)をキシレンで希釈して1%にしたものを70cc加えた。次に、この溶液を10分攪拌した後、この溶液を大気雰囲気下で攪拌しながら200℃の温度で1時間加熱を行った。その後、噴霧乾燥を行い、得られた粉体をさらに大気雰囲気下において200℃の温度で1時間加熱した。
次に、得られた粉体30gに対して、アルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)4gを加える。そして、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧する。さらに、100℃において減圧することで未反応のヘキサメチルジシラザンや、微粒子の粉体に吸着した副生成物のアンモニアを除去して、表面が疎水化された無機微粒子の粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、60%であった。
化学晶析によって作製した体積平均粒子径が110nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
減圧下において200℃の温度で乾燥させたリン酸アルミニウムの粉体30gを、キシレン720cc中でUS分散させ、ゲル化させた。得られた溶液に対し、5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)をキシレンで希釈して1%にしたものを70cc加えた。次に、この溶液を10分攪拌した後、この溶液を大気雰囲気下で攪拌しながら200℃の温度で1時間加熱を行った。その後、噴霧乾燥を行い、得られた粉体をさらに大気雰囲気下において200℃の温度で1時間加熱した。
次に、得られた粉体30gに対して、アルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)4gを加える。そして、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧する。さらに、100℃において減圧することで未反応のヘキサメチルジシラザンや、微粒子の粉体に吸着した副生成物のアンモニアを除去して、表面が疎水化された無機微粒子の粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、60%であった。
次に、比較例4について説明する。
化学晶析により、作製した体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
減圧下において200℃の温度で乾燥させたリン酸アルミニウムの粉体30gをキシレン720cc中でUS分散させ、ゲル化させる。この溶液に対し、アルゴン雰囲気下において5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)180ccを加えた。次に、この溶液を10分撹拌した後、さらに、大気下において撹拌しながら200℃の温度で1時間加熱を行った。その後、噴霧乾燥を行い、得られた粉体を、さらに大気下において200℃の温度で1時間加熱した。
化学晶析により、作製した体積平均粒子径が20nmのリン酸アルミニウムを用いて検討を行った。
減圧下において200℃の温度で乾燥させたリン酸アルミニウムの粉体30gをキシレン720cc中でUS分散させ、ゲル化させる。この溶液に対し、アルゴン雰囲気下において5%ポリシラザン溶液(NP110:AZエレクトロマテリアルズ社製)180ccを加えた。次に、この溶液を10分撹拌した後、さらに、大気下において撹拌しながら200℃の温度で1時間加熱を行った。その後、噴霧乾燥を行い、得られた粉体を、さらに大気下において200℃の温度で1時間加熱した。
次に、比較例5について説明する。
市販のアルミナ(粒子径13nm,アルミナC:日本アエロジル社製)を用いて検討を行った。
アルミナの粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)3gを加える。次に、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧する。さらに、100℃において減圧することで未反応のヘキサメチルジシラザンや、粉体に吸着した副生成物のアンモニアを除去して、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、30%であった。
市販のアルミナ(粒子径13nm,アルミナC:日本アエロジル社製)を用いて検討を行った。
アルミナの粉体30gに対してアルゴン雰囲気下で攪拌しながらヘキサメチルジシラザン(HMDS3:信越化学製)3gを加える。次に、200℃の温度で30分間加熱した後、100℃まで減圧する。さらに、100℃において減圧することで未反応のヘキサメチルジシラザンや、粉体に吸着した副生成物のアンモニアを除去して、表面が疎水化された粉体を得た。
なお、得られた粉体の疎水化度は、30%であった。
次に、熱可塑性樹脂組成物の作製方法について説明する。
上述した製法によって作製した各粉体を、ポリラボシステム(HAAKE社製)を用いて、環状オレフィン樹脂(ZEONEX330R:日本ゼオン株式会社)に対して20vol%の量を溶融混練することにより、リン酸アルミニウム、アルミナ又は酸化チタンが20vol%含有した熱可塑性樹脂組成物を得た。
ここで、得られた各熱可塑性樹脂組成物を250℃の温度下で2時間保存したところ、質量の原料分は2wt%以下であったため、溶媒や、未反応のシランカップリング剤の残留による物性の劣化はないものと考えられる。
上述した製法によって作製した各粉体を、ポリラボシステム(HAAKE社製)を用いて、環状オレフィン樹脂(ZEONEX330R:日本ゼオン株式会社)に対して20vol%の量を溶融混練することにより、リン酸アルミニウム、アルミナ又は酸化チタンが20vol%含有した熱可塑性樹脂組成物を得た。
ここで、得られた各熱可塑性樹脂組成物を250℃の温度下で2時間保存したところ、質量の原料分は2wt%以下であったため、溶媒や、未反応のシランカップリング剤の残留による物性の劣化はないものと考えられる。
最後に、熱可塑性樹脂組成物の評価方法について説明する。
評価項目として、光線透過率と屈折率とが挙げられ、以下、光線透過率と屈折率との各測定方法について説明する。
光線透過率の測定では、得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより、測定用のサンプル(厚さ3mm)の成形体を作製し、この測定用のサンプルに対し分光光度計(UV−3150:島津製作所製)を用いて587.5nmの透過率を測定した。その測定結果を下記表2に示した。
評価項目として、光線透過率と屈折率とが挙げられ、以下、光線透過率と屈折率との各測定方法について説明する。
光線透過率の測定では、得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより、測定用のサンプル(厚さ3mm)の成形体を作製し、この測定用のサンプルに対し分光光度計(UV−3150:島津製作所製)を用いて587.5nmの透過率を測定した。その測定結果を下記表2に示した。
屈折率の測定では、得られた熱可塑性樹脂組成物を溶融して加熱成型することにより、測定用のサンプル(厚さ3mm)の成形体を作製し、この測定用のサンプルに対しカルニュー光学工業(株)製の自動屈折計KPR-200を用いて波長587.5nmの屈折率を測定した。その測定結果を下記表2に示した。
なお、下記表2には、上記光線透過率と屈折率との各測定結果と併せて、無機微粒子の屈折率(Nc)とシリカ層の屈折率(Ns)との差(Nc−Ns)も示している。
この結果、無機微粒子であるリン酸アルミニウムの表面にシリカ層が形成され、このシリカ層に疎水化処理が施された平均粒子径が1〜100nmの範囲内である実施例1,2の熱可塑性樹脂組成物を、リン酸アルミニウムの表面にシリカ層が形成されていない比較例1,2の熱可塑性樹脂組成物や、平均粒子径が1〜100nmの範囲内にない比較例3の熱可塑性樹脂組成物や、シリカ層に疎水化処理が施されていない比較例4の熱可塑性樹脂組成物と比較すると、実施例1,2の熱可塑性樹脂組成物の方が、光線透過率の値が高い、すなわち、透明性に優れていることが確認された。
また、無機微粒子にアルミナ,酸化チタンを用いた場合も同様であり、アルミナ,酸化チタンの表面にシリカ層が形成され、このシリカ層に疎水化処理が施された平均粒子径が1〜100nmの範囲内である実施例7,8の熱可塑性樹脂組成物と、アルミナの表面にシリカ層が形成されていない比較例5の熱可塑性樹脂組成物とを比較すると、実施例7,8の熱可塑性樹脂組成物の方が、光線透過率の値が高い、すなわち、透明性に優れていることが確認された。併せて、屈折率の値が高いことが確認された。
さらに、リン酸アルミニウムの表面にシリカ層が形成され、このシリカ層に疎水化処理が施された平均粒子径が1〜100nmの範囲内である熱可塑性樹脂組成物であっても、無機微粒子の処理剤にポリシラザン溶液,テトラエトキシシランが、シリカ層の疎水化処理剤にヘキサメチルジシラザンがそれぞれ用いられた実施例1,2,4の熱可塑性樹脂組成物を、シリカ層の疎水化処理剤にメチルトリメトキシシランが用いられた実施例3の熱可塑性樹脂組成物や、無機微粒子の処理剤にメチルトリメトキシシランが用いられた実施例5,6の熱可塑性樹脂組成物と比較すると、実施例1,2,4の熱可塑性樹脂組成物の方が、光線透過率の値が高い、すなわち、透明性に優れていることが確認された。
また、無機微粒子の処理剤にポリシラザン溶液,テトラエトキシシランが、シリカ層の疎水化処理剤にヘキサメチルジシラザンがそれぞれ用いられた熱可塑性樹脂組成物であっても、無機微粒子の屈折率とシリカ層の屈折率との屈折率差が0.3以下である実施例1,2,4,7の熱可塑性樹脂組成物を、当該屈折率差が0.3を上回る実施例8の熱可塑性樹脂組成物と比較すると、実施例1,2,4,7の熱可塑性樹脂組成物の方が、光線透過率の値が高い、すなわち、透明性に優れていることが確認された。
以上より、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物によれば、表面にシリカ層が形成され、このシリカ層の表面に疎水化処理が施された平均粒子径が1〜100nmである無機微粒子を熱可塑性樹脂中に含有するので、無機微粒子の表面に強固なシリカ層を形成するとともに、このシリカ層の上に疎水化処理を施すことで、シリカ以上の屈折率を有する無機微粒子の表面に強固なシリカ層を形成し、このシリカ層の上に疎水化処理を施すことで、シリカと同様の表面処理を行うことが可能となる。
そのため、無機微粒子の分散性が向上され、熱可塑性樹脂組成物における透明性及び屈折率の向上を図ることができる。
そのため、無機微粒子の分散性が向上され、熱可塑性樹脂組成物における透明性及び屈折率の向上を図ることができる。
1 光ピックアップ装置
2 半導体レーザ発振器
3 コリメータ
4 ビームスプリッタ
5 1/4波長板
6 絞り
7 対物レンズ(光学素子)
8 センサーレンズ群
9 センサー
10 2次元アクチュエータ
D 光ディスク
D1 保護基板
D2 情報記録面
2 半導体レーザ発振器
3 コリメータ
4 ビームスプリッタ
5 1/4波長板
6 絞り
7 対物レンズ(光学素子)
8 センサーレンズ群
9 センサー
10 2次元アクチュエータ
D 光ディスク
D1 保護基板
D2 情報記録面
Claims (8)
- 表面をシリカ層で被覆して当該シリカ層の表面に疎水化処理を施した平均粒子径が1〜100nmの無機微粒子を熱可塑性樹脂中に含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物において、
前記疎水化処理が前記シリカ層の表面にシラザン類を被着させ、加熱する処理であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物において、
前記シラザン類がヘキサメチルジシラザンであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物において、
前記シリカ層がポリシラザン又はテトラエトキシシランのいずれかから形成されていることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物において、
前記シリカ層がポリシラザンで形成されていることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物において、
前記無機微粒子が酸化物微粒子又はリン酸塩微粒子であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物において、
前記無機微粒子と前記シリカ層との屈折率差が0.3以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形されることを特徴とする光学素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006000750A JP2007106977A (ja) | 2005-09-13 | 2006-01-05 | 熱可塑性樹脂組成物及び光学素子 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005265157 | 2005-09-13 | ||
JP2006000750A JP2007106977A (ja) | 2005-09-13 | 2006-01-05 | 熱可塑性樹脂組成物及び光学素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007106977A true JP2007106977A (ja) | 2007-04-26 |
Family
ID=38033090
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JP (1) | JP2007106977A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009022519A1 (ja) * | 2007-08-10 | 2009-02-19 | Konica Minolta Opto, Inc. | 光学用樹脂材料及び光学素子 |
JP2011509913A (ja) * | 2008-01-22 | 2011-03-31 | コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ | コートおよび官能基化された粒子、それを含有するポリマー、それを調製するための方法、ならびにその使用 |
-
2006
- 2006-01-05 JP JP2006000750A patent/JP2007106977A/ja active Pending
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WO2009022519A1 (ja) * | 2007-08-10 | 2009-02-19 | Konica Minolta Opto, Inc. | 光学用樹脂材料及び光学素子 |
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