以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は実施の形態1に係るモータ装置を示す平面図を、図2(a)はコネクタ部材を矢印A方向から見た図,(b)はコネクタ部材を矢印B方向から見た図を、図3(a)はコネクタ部材を矢印C方向から見た図,(b)はコネクタ部材を矢印D方向から見た図を、図4(a),(b)は差込軸心を中心に180度回転させた状態のコネクタ部材を説明する説明図を、図5はブラシホルダの構造を示す斜視図をそれぞれ示している。
図1に示すモータ装置10は、自動車等の車両に搭載されるパワーウィンド装置(図示せず)の駆動源として用いられ、ウィンドガラスを昇降させるウィンドレギュレータ(図示せず)を駆動するものである。モータ装置10は、小型でありながら大きな出力が可能な減速機構付モータとして形成され、車両のドア内に形成される幅狭のスペース(図示せず)に設置されるようになっている。モータ装置10は、モータ部20とギヤ部40とを備えており、これらのモータ部20およびギヤ部40は、複数の締結ネジ11(図示では2つ)により互いに連結され、ユニット化されている。
モータ部20は、磁性材料よりなる鋼板をプレス加工等することにより、有底筒状に形成されたモータケース(ハウジング)21を備えている。モータケース21は、互いに対向する平面壁部21aと、互いに対向する円弧状壁部21bとを備えており、その断面形状は略小判形状に形成されている。つまり、モータケース21の各平面壁部21aが対向する方向の厚み寸法が薄くされ、これにより、モータ部20を扁平形状として、モータ装置10をドア内の幅狭空間に配置可能としている。ここで、ギヤケース41においてもモータケース21の扁平形状に倣って扁平形状となっている(詳細図示せず)。なお、図1においては、各平面壁部21aのうち、図中手前側の平面壁部21aのみが示されている。
モータケース21における各円弧状壁部21bの内側には、断面が略円弧形状に形成された複数のマグネット22(図示では2つ)が固定されており、各マグネット22の内側には、コイル23が巻装されたアーマチュア24が、所定の隙間を介して回転自在に収容されている。そして、モータケース21の開口側(図1中左側)にはブラシホルダ60が装着されており、当該ブラシホルダ60によってモータケース21の開口側は閉塞されている。
アーマチュア24の軸心SCには貫通孔(図示せず)が形成され、回転軸としてのアーマチュア軸26はアーマチュア24の貫通孔に圧入により固定されている。アーマチュア軸26は、モータ部20およびギヤ部40の双方を横切るようにして設けられ、アーマチュア軸26の軸方向一側(図1中右側)はモータケース21内に配置され、アーマチュア軸26の軸方向他側(図1中左側)はギヤケース41内に配置されている。
アーマチュア軸26の軸方向に沿う略中間部分で、かつアーマチュア24に近接する部位には、略筒状に形成されたコンミテータ27が固定されている。このコンミテータ27には、アーマチュア24に巻装されたコイル23の端部が電気的に接続されている。
コンミテータ27の外周には、ブラシホルダ60に保持された複数のブラシ28(図示では2つ)が摺接するようになっており、各ブラシ28は、バネ部材29によりそれぞれコンミテータ27に向けて所定圧で弾性接触されている。これにより、車載コントローラ(図示せず)から各ブラシ28に駆動電流を供給することでアーマチュア24には回転力(電磁力)が発生し、ひいてはアーマチュア軸26が所定の回転数および回転トルクで回転するようになっている。
アーマチュア軸26の軸方向に沿う略中間部分で、かつコンミテータ27のアーマチュア24側とは反対側には、センサマグネット30が固定されている。センサマグネット30は、アーマチュア軸26の回転方向に沿って複数の極性(例えば4極)を有するよう環状に形成されている。センサマグネット30は、アーマチュア軸26と共に一体回転するようになっており、したがって、アーマチュア軸26の回転に伴い、センサマグネット30の径方向外側に配置された回転センサ55に対する磁束線の状態が変化するようになっている。
アーマチュア軸26のセンサマグネット30よりも軸方向他側には、ウォームギヤ31が設けられている。ウォームギヤ31は略筒状に形成され、アーマチュア軸26に圧入によって固定されている。ウォームギヤ31には、ギヤケース41内に回転自在に収容されたウォームホイール43の歯部43a(詳細図示せず)が噛合されている。これにより、ウォームギヤ31はギヤケース41内でアーマチュア軸26の回転に伴って回転し、その回転がウォームホイール43に伝達されるようになっている。ここで、ウォームギヤ31およびウォームホイール43は減速機構SDを形成している。
モータケース21の底部側(図1中右側)は段付形状に形成されており、当該部位にはモータケース21の本体部分よりも小径となった小径部21cが設けられている。この小径部21cには第1軸受部材32が設けられており、この第1軸受部材32は、アーマチュア軸26の軸方向一側を回転自在に支持するようになっている。
ギヤ部40は、ギヤケース(ハウジング)41およびコネクタ部材50を備えている。ギヤケース41の図1中手前側の開口部分(図示せず)は、略円盤状に形成されたギヤカバー42によって閉塞されている。ギヤ部40を形成するギヤケース41は、樹脂材料により所定形状に形成され、モータケース21の開口側に各締結ネジ11を介して連結されている。
ギヤケース41内には、アーマチュア軸26に固定されたウォームギヤ31と、外周部分にウォームギヤ31と噛み合う歯部43aを備えたウォームホイール43とが、それぞれ回転自在に収容されている。ここで、ウォームホイール43の歯部43aは、ウォームギヤ31に形成された螺旋状の歯部(図示せず)と噛み合うように、ウォームホイール43の軸方向に向けて緩やかな傾斜角度で傾斜されている。これにより、ウォームギヤ31からウォームホイール43に対して滑らかな動力伝達が可能となっている。
ウォームホイール43の軸心OCには、出力部材43bが配置されており、当該出力部材43bは、ウィンドレギュレータ(図示せず)に動力伝達可能に接続されるようになっている。つまり、アーマチュア軸26の回転は、減速機構SDにより減速されて高トルク化され、出力部材43bからウィンドレギュレータに出力されるようになっている。
また、ギヤケース41内のアーマチュア軸26の軸方向他側に対応する部分には、第2軸受部材44が設けられている。この第2軸受部材44は、アーマチュア軸26の軸方向他側を回転自在に支持するようになっている。
ギヤケース41の側方部分(図1中上側)には、組付孔としてのコネクタ部材組付孔41aが設けられている(詳細は図6参照)。コネクタ部材組付孔41aは、その断面形状が円形に形成されており、その軸心となる差込軸心FCは、アーマチュア軸26の軸心SCと直交し、かつ出力部材43bの軸心OCに対して垂直な方向に延在されている。つまり、コネクタ部材50は、コネクタ部材組付孔41aに対して、軸心SCと直交し、かつ軸心OCと垂直な方向である差込軸心FCに沿って差し込まれるようになっている。ここで、軸心SCの延在方向はモータ装置10の縦幅方向を、差込軸心FCの延在方向はモータ装置10の横幅方向を、軸心OCの延在方向はモータ装置10の厚み方向をそれぞれ示している。また、差込軸心FCは、本発明における軸心を構成している。
また、ギヤケース41の側方部分で、かつコネクタ部材組付孔41aの開口側には、筒状装着部41b(図6参照)が設けられており、この筒状装着部41bには、コネクタ部材50に設けられたOリング53(図3(b),図4参照)を介して、コネクタ部材50のキャップ部51b(図2参照)が装着されるようになっている。これにより、コネクタ部材組付孔41a内への雨水等の進入が阻止される。
さらに、ギヤケース41の側方部分で、かつギヤケース41のコネクタ部材組付孔41aに対応する表側および裏側には、一対の被係合爪41cが設けられている。すなわち、各被係合爪41cは、軸心OCの軸方向、つまりギヤケース41の厚み方向に沿う一側および他側にそれぞれ対向するよう設けられている。なお、図示においては一方(表側)の被係合爪41cのみを示している。
各被係合爪41cは板状に形成され、各被係合爪41cの板厚方向は、ギヤケース41の厚み方向に一致されている。また、各被係合爪41cは、アーマチュア軸26の軸心SCの軸方向に対し、モータ部20とギヤ部40とを連結する締結ネジ11よりもウォームギヤ31側のデッドスペースに配置されている。これにより、ギヤケース41の厚み寸法を厚くすること無く、各被係合爪41cを設けられるようにしている。
各被係合爪41cは、それぞれ差込軸心FCを中心に対向配置され、コネクタ部材50の各係合爪51f(図2参照)が係合するようになっている。これによりコネクタ部材50がギヤケース41の所定位置に、抜け止めされた状態で固定される。ここで、ギヤケース41の各被係合爪41cは、本発明における被係合部を構成している。
また、ギヤケース41には、3つの固定部41dが設けられている。各固定部41dは、出力部材43bを囲うようにしてギヤケース41の周囲にそれぞれ所定間隔(略120度間隔)で配置されている。そして、各固定部41dには、モータ装置10を車両のドア内に固定するための固定ボルト(図示せず)がそれぞれ装着されるようになっている。このように、各固定部41dを、出力部材43bを囲うようにして所定間隔で設けることにより、幅狭のドア内においてモータ装置10をバランス良く支持できるようにし、ひいてはモータ装置10に高負荷が掛かったとしても、モータ装置10がドア内でガタつくのを効果的に防止できるようになっている。
コネクタ部材50は、図2〜図4に示すように、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することにより略L字形状に形成されている。コネクタ部材50は、ギヤケース41に組み付けられる組み付け部51と、外部コネクタCN(図1参照)が接続されるコネクタ接続部52と、組み付け部51とコネクタ接続部52とを連結する連結部52aとから形成されている。コネクタ部材50はブラシホルダ60に接続され(詳細は図7,図8を参照)、外部コネクタCNからの駆動電流をブラシホルダ60に供給するようになっている。
組み付け部51は、断面形状が円形に形成された組付本体51aを備えており、当該組付本体51aの周囲にはキャップ部51bが設けられている。組付本体51aはコネクタ部材組付孔41a(図1,図6参照)に差し込まれるようになっており、キャップ部51bは筒状装着部41b(図6参照)に装着されるようになっている。ここで、連結部52aは、キャップ部51bの軸心、つまり差込軸心FCから、コネクタ接続部52の開口側(図2(b)の右側)とは反対側に所定量オフセットされている。これにより、コネクタ部材50を差込軸心FCに沿う方向から見た際に、コネクタ接続部52がキャップ部51bから可能な限りはみ出さないようにしている。
組付本体51aをコネクタ部材組付孔41aに差し込んだ状態のもとで、組付本体51aとコネクタ部材組付孔41aとの間には、Oリング53(図3(b),図4参照)が挟持されるようになっている。つまり、Oリング53は弾性変形しつつ、組付本体51aおよびコネクタ部材組付孔41aの双方に密着されるようになっている。ここで、Oリング53はシール部材として機能し、汎用のOリングが用いられている。
組付本体51aの軸心は差込軸心FCに一致され、組付本体51aの差込軸心FCの軸方向に沿うコネクタ接続部52側とは反対側(図2中下側)には、略直方体形状に形成されたケース部51cが一体に設けられている。当該ケース部51cは、差込軸心FCの軸方向に延在され、基板保持部51dと端子収容部51eとから形成されている。
基板保持部51dは、センサ基板54を保持するようになっており、端子収容部51eよりもコネクタ接続部52側とは反対側に突出されている。そして、基板保持部51dの突出部分の短手方向(図2(a)の左右方向)に沿う幅寸法はW1に設定され、基板保持部51dの厚み方向(図2(b)の左右方向)に沿う高さ寸法はH1に設定されている。
基板保持部51dに保持されるセンサ基板54は、例えばフェノール樹脂等により略長方形形状に形成され、当該センサ基板54の短手方向(図2(a)の左右方向)に沿う中央部分には、回転センサ55(網掛部分)が実装されている。ここで、回転センサ55は、センサマグネット30(図1,図4参照)の径方向外側に配置され、当該センサマグネット30の磁束線の向きやその変化を捉える磁気センサとなっている。これにより回転センサ55は、アーマチュア軸26(図1参照)の回転状態、つまりアーマチュア軸26の回転方向や回転速度を検出可能となっている。より具体的には、回転センサ55は、センサ素子としての磁気抵抗素子(MR素子)備え、さらには巨大磁気抵抗効果現象(Giant Magneto Resistance Effect)を応用したGMRセンサとなっている。
センサ基板54には、4本のセンサ用導電部材56(網掛部分)の長手方向一側がはんだ付け等の接続手段により電気的に接続されている。一方、各センサ用導電部材56の長手方向他側は、コネクタ接続部52の内部に露出されている。これにより、回転センサ55の検出信号は、各センサ用導電部材56および外部コネクタCN(図1参照)を介して車載コントローラに送出されるようになっている。
コネクタ部材50内には、各センサ用導電部材56に加えて、一対のコネクタ側駆動用導電部材57(網掛部分)が設けられている。そして、端子収容部51e内には、図3(b)に示すように、各コネクタ側駆動用導電部材57の長手方向一端側を形成するコネクタ側メス型端子57aが収容されている。つまり、各コネクタ側メス型端子57aは、組付本体51aの差し込み方向先端側に設けられている。
各コネクタ側メス型端子57aは、差込軸心FCを中心に対向するよう端子収容部51e内に配置されている。つまり、図4に示すように、各コネクタ側メス型端子57aは、差込軸心FCを通過する中心線CL上に配置され、各コネクタ側メス型端子57aと差込軸心FCとの間の離間距離は何れもL1に設定されている。ここで、コネクタ側メス型端子57aは、本発明におけるコネクタ部材側端子を構成している。
一方、各コネクタ側駆動用導電部材57の長手方向他端側には、コネクタ側オス型端子57bがそれぞれ形成されており、各コネクタ側オス型端子57bは、コネクタ接続部52の内部に露出されている。これにより、各コネクタ側駆動用導電部材57には、外部コネクタCN(図1参照)を介して、車載コントローラからの駆動電流が供給されるようになっている。
キャップ部51bのケース部51c側(図2中下側)には、一対の係合爪51fが一体に設けられている。各係合爪51fは、コネクタ部材50をギヤケース41に装着した状態のもとで、ギヤケース41の各被係合爪41cに係合されて外れないようになっている。ここで、各係合爪51fにおいても各被係合爪41cと同様に板状に形成されており、各係合爪51fを各被係合爪41cに係合させた状態のもとで、ギヤケース41の厚み寸法が厚くならないようにしている。
各係合爪51fは、各コネクタ側メス型端子57aと同様に、差込軸心FCを中心に対向するようキャップ部51bに配置されている。また、図4に示すように、各係合爪51fは、差込軸心FCを通過する中心線CL上に配置され、各係合爪51fと差込軸心FCとの間の離間距離は何れもL2(L2>L1)に設定されている。ここで、係合爪51fは、本発明における係合部を構成している。
このように、コネクタ部材組付孔41aおよび組付本体51aの差し込み方向と交差する方向の断面形状を、差込軸心FCを中心にそれぞれ点対称な円形形状としている。また、各コネクタ側メス型端子57aを、差込軸心FCを中心に対向配置しつつ、各被係合爪41cおよび各係合爪51fにおいても、差込軸心FCを中心に対向配置され、点対称な形状となっている。
これにより、図4(a)に示すコネクタ部材50のギヤケース41に対する第1組付状態(0度組付状態)と、図4(b)に示す第1組付状態に対して差込軸心FCを中心に180度回転させた第2組付状態(180度組付状態)との両状態において、各コネクタ側メス型端子57aおよび各係合爪51fを同じ位置に配置しつつ、組付本体51aをコネクタ部材組付孔41aに差し込めるようになっている。
また、コネクタ部材50に設けられた回転センサ55は、アーマチュア軸26に設けられたセンサマグネット30に対して、図4(a)の第1組付状態と、図4(b)の第2組付状態との両状態において、センサマグネット30の径方向外側に当該センサマグネット30と重なるよう配置される。これにより、第1組付状態および第2組付状態において、回転センサ55によるセンサマグネット30からの磁束線の検出状態に誤差が生じることは無い。
図5に示すように、給電部材としてのブラシホルダ60は、モータケース21およびギヤケース41内に設けられ、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで所定形状に形成されている。ブラシホルダ60は、ホルダ本体61と軸受保持筒62とを備えている。ここで、図5においては、ブラシホルダ60に装着される電子部品に網掛けを施している。
ブラシホルダ60には、コネクタ部材50が接続されるようになっている(詳細は図7,図8を参照)。これにより、アーマチュア軸26を回転させる駆動電流が、外部コネクタCN(図1参照)からコネクタ部材50を介して、ブラシホルダ60に供給されるようになっている。
ホルダ本体61は、底壁部61aと側壁部61bとを備えており、これらの壁部61a,61bによって囲まれた内側には、複数のブラシ28(図示では1つのみ示す)が移動自在に設けられるとともに、コンデンサ等の電子部品(図示せず)が設けられている。また、底壁部61aの外側には、一対のブラシ側駆動用導電部材63が設けられ、側壁部61bの外側には、一対のチョークコイル64(図示では1つのみ示す)が設けられている。ここで、コンデンサやチョークコイル64は、ブラシ28とブラシ側駆動用導電部材63との間に互いに電気的に接続するよう配置されている。
各ブラシ側駆動用導電部材63は、鋼板を屈曲成形することで所定形状に形成され、本体部63a,延長部63b,突片63cおよびブラシ側オス型端子63dをそれぞれ備えている。本体部63aは、底壁部61aに沿うよう配置され、延長部63bは、本体部63aから直角に折り曲げられて軸受保持筒62の延在方向に延ばされている。また、ブラシ側オス型端子63dは、延長部63bから直角に折り曲げられて本体部63aの延在方向に延ばされている。
これにより、ブラシ側オス型端子63dは、軸受保持筒62の軸方向に沿う略中央部分において、差込軸心FCの軸方向に沿うコネクタ部材組付孔41a側に向けられている。ここで、各ブラシ側オス型端子63dを結ぶ線分(図示せず)の中間部分には、コネクタ部材組付孔41aの差込軸心FCが配置されるようになっている。つまり、ブラシホルダ60のコネクタ部材組付孔41aとの対向部分には、差込軸心FCを中心に対向するよう、各ブラシ側オス型端子63dが設けられている。
ここで、ブラシ側オス型端子63dは、本発明における給電部材側端子を構成しており、各ブラシ側オス型端子63dと差込軸心FCとの間の離間距離は、何れも各コネクタ側メス型端子57aと差込軸心FCとの間の離間距離L1(図4参照)と等しい長さに設定されている。これにより、ブラシ側オス型端子63dにはコネクタ側メス型端子57aが、差込軸心FCに沿う図中矢印A1方向から接続されるようになっている。
突片63cは、延長部63bとブラシ側オス型端子63dとの間に設けられ、先端側が底壁部61a側を向くよう屈曲されている。一方、底壁部61aの各突片63cと対向する部分には、軸受保持筒62の延在方向に延びるよう一対の支持突起61cが一体に設けられている。各支持突起61cには、それぞれ切欠部61dが形成されており、当該切欠部61dに各突片63cがそれぞれ入り込むようになっている。これにより、何にも支持されない中空に配置されたブラシ側オス型端子63dの先端側がふらつくのを抑制して、当該ブラシ側オス型端子63dとコネクタ側メス型端子57aとの接続を、確実に安定して行えるようにしている。
ここで、各支持突起61cの離間寸法は、基板保持部51dの突出部分の短手方向に沿う幅寸法W1(図2(a)参照)よりも大きい離間寸法W2に設定されている(W2>W1)。また、各支持突起61cの高さ寸法は、基板保持部51dの厚み方向に沿う高さ寸法H1(図2(b)参照)よりも大きい高さ寸法H2に設定されている(H2>H1)。これにより、各支持突起61c間には、当該各支持突起61cに接触すること無く、基板保持部51dの突出部分が入り込めるようになっている。これにより、ブラシホルダ60に対するコネクタ部材50の組み付け作業を容易に行うことができる。
軸受保持筒62は、一対の円弧状壁62aと一対の平面壁62bとを備えており、一対の円弧状壁62aのそれぞれ、および一対の平面壁62bのそれぞれは、互いに対向するよう配置されている。また、一対の平面壁62bのそれぞれは、ブラシ側オス型端子63dの延出方向に対して垂直となるように配置されている。このように、軸受保持筒62にブラシ側オス型端子63dの延出方向に対して垂直となる平面壁62bを設けることで、当該平面壁62bの部位の肉厚を、円弧状壁62aの部位に比して薄肉としている。よって、コネクタ部材50をブラシホルダ60に組み付けた状態のもとで、回転センサ55をセンサマグネット30に近接して配置することができ、ひいては回転センサ55の検出精度が低下するのを抑制できる。
また、軸受保持筒62の底壁部61a側とは反対側の先端部分には、軸受収容部62cが形成されている。そして、軸受収容部62cには、アーマチュア軸26(図1参照)の軸方向中間部分を回転自在に支持する第3軸受部材65が嵌合して固定されている。ここで、軸受保持筒62は、本発明における壁部を構成している。
さらに、軸受保持筒62の軸方向に沿う軸受収容部62c寄りの部位であって、かつ円弧状壁62aと平面壁62bとの間には、当該部位を補強する合計4個の補強リブ62d(図示では3つのみ示す)が設けられている。これらの補強リブ62dは、ギヤケース41の装着孔(図示せず)に圧入により固定される。このように、各補強リブ62dをギヤケース41の装着孔に圧入するため、薄肉の平面壁62bを有する軸受保持筒62のギヤケース41内でのがたつき、つまり第3軸受部材65のがたつきを確実に防止できる。よって、モータ装置10の作動時における静粛性を向上させることができる。
また、軸受保持筒62の内側にはセンサマグネット30が配置され、コネクタ部材組付孔41a側の平面壁62bは、各ブラシ側オス型端子63dの基端側を支持するようになっている。つまり、ブラシホルダ60の軸受保持筒62は、センサマグネット30の周囲を覆い、かつ各ブラシ側オス型端子63dのコネクタ部材組付孔41a側とは反対側を支持するようになっている。これにより、ブラシ側オス型端子63dとコネクタ側メス型端子57aとの接続時において、ブラシ側オス型端子63dとセンサマグネット30との接触を防止しつつ、ブラシ側オス型端子63dが変形されるのを防止して当該接続作業を容易にしている。
さらには、軸受保持筒62は、センサマグネット30と回転センサ55(図2参照)との間に配置される仕切壁としての機能も備えている。これにより、センサマグネット30側にある各ブラシ28の摩耗粉が、回転センサ55や当該回転センサ55が実装されたセンサ基板54に付着しないようにしている。よって、回転センサ55の検出性能が低下するのを長期に亘り抑制することができる。
次に、以上のように形成したモータ装置10の組み立て手順について、図面を用いて詳細に説明する。
図6はギヤケースへのコネクタ部材の装着手順を説明する説明図を、図7はコネクタ部材のブラシホルダに対する第1組付状態(0度組付状態)を示す概略図を、図8はコネクタ部材のブラシホルダに対する第2組付状態(180度組付状態)を示す概略図をそれぞれ示している。
まず、図1に示すように、モータケース21に、アーマチュア24やブラシホルダ60等を組み付けたモータ部20を準備するとともに、ギヤケース41を準備する。そして、モータ部20を形成するウォームギヤ31およびブラシホルダ60の軸受保持筒62を、ギヤケース41内に挿入していく。その後、モータケース21をギヤケース41に突き当てる。次いで、締結工具(図示せず)を用いて締結ネジ11をネジ結合することで、モータケース21とギヤケース41と連結して一体化させる。その後、ギヤケース41の開口部分から、当該ギヤケース41内にウォームホイール43を収容するとともに、ギヤケース41の開口部分をギヤカバー42によって密閉する。
次に、図6に示すように、予め別の組み立て工程で組み立てられたコネクタ部材50を準備する。そして、図6の矢印A1に示すように、コネクタ部材50の組付本体51a(ケース部51c)側、つまりセンサ基板54側を、コネクタ部材組付孔41aに臨ませる。このとき、コネクタ接続部52の開口側がモータケース21側を向くようにする(図1参照)。
そして、差込軸心FCを一致させた状態のもとで、ケース部51cおよび組付本体51aをコネクタ部材組付孔41aに徐々に差し込んでいく。これにより、コネクタ部材50の各コネクタ側メス型端子57a(図3参照)が、ブラシホルダ60の各ブラシ側オス型端子63d(図5参照)に電気的に接続されていく。そして、さらに差し込み作業を進めていくことで、キャップ部51bが筒状装着部41bに装着されつつ、各係合爪51fが各被係合爪41cに対して引っ張っても抜けない係合状態とされる。
これにより、図7に示すように、コネクタ部材50とブラシホルダ60とが接続された状態となり、第1組付状態(0度組付状態)である一の配置ニーズ(図1の状態のモータ装置10)に対応したモータ装置10が完成する。このとき、基板保持部51dの突出部分は、軸受保持筒62の各支持突起61cよりも軸受収容部62c側に配置され、回転センサ55は、センサマグネット30の軸方向寸法範囲MA内に配置される。
一方、コネクタ接続部52の開口側がギヤケース41側に向けられる第2組付状態(180度)である他の配置ニーズに対応するには、まず、図6の破線矢印B1に示すように、コネクタ部材50を第1組付状態に対して、差込軸心FCを中心に180度回転させる。その後、破線矢印B2に示すように、上述した組み立て手順と同様に、ケース部51cおよび組付本体51aをコネクタ部材組付孔41aに徐々に差し込んでいく。
これにより、図8に示すように、コネクタ部材50とブラシホルダ60とが接続された状態となり、第2組付状態(180度組付状態)である他の配置ニーズに対応したモータ装置10が完成する。このとき、基板保持部51dの突出部分は、各支持突起61c間に、当該各支持突起61cと非接触の状態で配置され、回転センサ55は、センサマグネット30の軸方向寸法範囲MA内に配置される。
以上詳述したように、実施の形態1に係るモータ装置10によれば、コネクタ部材組付孔41aおよび組付本体51aの差し込み方向と交差する方向の断面形状を、差込軸心FCを中心にそれぞれ点対称な円形形状に形成したので、コネクタ部材50を、差込軸心FCを中心に180度回転させた状態のもとで、ギヤケース41に差し込むことができる。つまり、外部コネクタCNの接続方向の180度違いの配置ニーズに、1つのコネクタ部材50で対応することができる。
また、組付本体51aの差し込み方向先端側に、差込軸心FCを中心に対向される一対のコネクタ側メス型端子57aを設け、ブラシホルダ60のコネクタ部材組付孔41aとの対向部分に、差込軸心FCを中心に対向され、コネクタ側メス型端子57aが接続される一対のブラシ側オス型端子63dを設けたので、コネクタ部材50とブラシホルダ60との電気的な接続についても、外部コネクタCNの接続方向の180度違いの配置ニーズに対応することができる。
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図9(a),(b)は実施の形態2に係るコネクタ部材の図4に対応する説明図を示している。
図9に示すように、実施の形態2に係るコネクタ部材70は、上述した実施の形態1のコネクタ部材50に比して、組み付け部51に対するコネクタ接続部52の位置が、差込軸心FCを中心に反時計方向に90度回転された位置となっている点のみが異なっている。つまり、コネクタ接続部52の開口側の方向が、差込軸心FCを通過する中心線CLの方向に一致するようになっている。
この実施の形態2に係るコネクタ部材70においては、当該コネクタ部材70のギヤケース41(図1,図6参照)への組み付け状態のもとで、ギヤケース41の厚み方向に沿う一側(第1組付状態)あるいは他側(第2組付状態)に、コネクタ接続部52の開口側が向けられるようになっている。
以上のように形成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。ただし、組み付け部51に対するコネクタ接続部52の角度位置は、差込軸心FCを中心として30度や45度等、何度であっても構わない。
次に、本発明の実施の形態3について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図10(a),(b)は実施の形態3に係るコネクタ部材の図4に対応する説明図を示している。
図10に示すように、実施の形態3に係るコネクタ部材80は、上述した実施の形態1のコネクタ部材50に比して、各係合爪51fの位置が、差込軸心FCを通過する中心線CL上では無く、中心線CLに対して反時計方向に45度回転された差込軸心FCを通過する中心線SL上とされた点のみが異なっている。この場合、各係合爪51fの位置の変更に伴い、詳細は図示しないが、ギヤケース41側の各被係合爪41cの位置も変更されている。
以上のように形成した実施の形態3においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。ただし、各係合爪51fが配置される差込軸心FCを通過する中心線SLの角度位置は、差込軸心FCを中心として30度や90度等、何度であっても構わない。
次に、本発明の実施の形態4について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図11は実施の形態4に係るギヤケースおよびコネクタ部材の図6に対応する説明図を、図12は図11のコネクタ部材の詳細構造を説明する説明図を、図13は図12のコネクタ部材を矢印E方向から見た図を、図14(a),(b)は図13の破線円F部の拡大図であって、基板保持部に対するセンサ基板の装着手順を説明する説明図を、図15はセンサ用導電部材およびコネクタ側駆動用導電部材の形状を説明する図12のコネクタ部材を矢印G方向から見たスケルトン図をそれぞれ示している。
図11〜図13に示すように、実施の形態4に係るギヤケース(ハウジング)90およびコネクタ部材100は、上述した実施の形態1のギヤケース41およびコネクタ部材50(図6参照)に比して、第1に、互いの接続構造が異なっている。第2に、基板保持部51dに対するセンサ基板54の装着手順が異なっている。第3に、コネクタ部材100を差込軸心FCに沿う方向から見た際に、コネクタ部材100を囲む範囲AR内にコネクタ接続部52を収めた点が異なっている。
第1の異なる点について述べると、具体的には、実施の形態1においては、ギヤケース41の各被係合爪41cに対して、コネクタ部材50の各係合爪51fを係合させて両者を接続したが、実施の形態4においては、ギヤケース90とコネクタ部材100とを一対の固定ネジSで固定するようにしている。
ギヤケース90のコネクタ部材組付孔41aに対応する表側および裏側には、コネクタ部材組付孔41aの径方向外側に突出するよう一対の第1被係合凸部(被係合部)91が設けられている。すなわち、各第1被係合凸部91は、軸心OC(図1参照)の軸方向、つまりギヤケース90の厚み方向に沿う一側および他側にそれぞれ対向するよう設けられている。そして、各第1被係合凸部91には、差込軸心FCの軸方向に延びる雌ネジ部91aがそれぞれ設けられ、各雌ネジ部91aには、差込軸心FCの軸方向から各固定ネジSがネジ結合されるようになっている。
また、各第1被係合凸部91に対して、コネクタ部材組付孔41aの周方向に90度ずれた位置には、一対の第2被係合凸部92が設けられている。これらの各第2被係合凸部92においても、各第1被係合凸部91と同様にコネクタ部材組付孔41aの径方向外側に突出するよう設けられている。なお、各第2被係合凸部92にもそれぞれ雌ネジ部92aが設けられ、各第2被係合凸部92は、軸心OCと直交する軸心SC(図1参照)の方向に沿って対向するよう設けられている。ここで、各第2被係合突起92においても本発明における被係合部を構成しており、コネクタ部材100とは接続仕様が異なる他のコネクタ部材(図示せず)に対応できるようになっている。
各第1被係合突部91の高さ寸法は、ギヤケース90の厚み寸法を超えない寸法に設定されている。さらに、各第1被係合凸部91は、軸心SCの軸方向に対して、モータ部20とギヤ部40とを連結する締結ネジ11よりもウォームギヤ31側(図1参照)のデッドスペースに配置されている。これにより、ギヤケース90の厚み寸法を厚くすること無く、各第1被係合凸部91を設けられるようになっている。なお、各第2被係合凸部92のうちの一方の第2被係合凸部92(モータ部20側)においても、各締結ネジ11間のデッドスペースに配置されている。
コネクタ部材100のキャップ部101の外周部分には、一対の第1係合凹部(係合部)101aが一体に設けられている。各第1係合凹部101aは、コネクタ部材100をギヤケース90に装着した状態のもとで、ギヤケース90の各第1被係合凸部91に係合されるようになっている。また、各第1係合凹部101aには、各固定ネジSが挿通されるネジ挿通孔101bがそれぞれ設けられている。ここで、各第1係合凹部101aにそれぞれ設けられたネジ挿通孔101bの軸線上には、コネクタ接続部52が配置されていない。つまり、ネジ挿通孔101bのそれぞれは、コネクタ接続部52に対する外部コネクタCN(図1参照)の差し込み方向と交差する方向から、コネクタ部材52を挟むようにしてキャップ部101に設けられている。これにより、締結工具(図示せず)を用いて容易に各固定ネジSをねじ込むことができる。さらには、外部コネクタCNの差し込み力を各固定ネジSに略均等に分散させることができるので、コネクタ部材100が早期に損傷するのを防止できる。
また、キャップ部101の外周部分には、コネクタ部材100をギヤケース90に装着した状態のもとで、ギヤケース90の各第2被係合凸部92に係合される一対の第2係合凹部101c(図示では1つのみ示す)が設けられている。ここで、各第2係合凹部101cにはネジ挿通孔が設けられておらず、各第2係合凹部101cと各第2被係合凸部92とを、コネクタ部材100をギヤケース90に装着する際に係合させることにより、コネクタ部材100のギヤケース90に対する差込軸心FCを中心とした回転方向へのガタつきを防止するようになっている。ここで、各第2係合凹部101cにはネジ挿通孔を設けていないため、コネクタ部材100をギヤケース90に装着した状態のもとで、各第2被係合凸部92の各雌ネジ部92aを塞ぐ。よって、各第2係合凹部101cは、各雌ネジ部92aに埃等が進入するのを防止するカバーとしても機能する。
コネクタ部材100をギヤケース90に組み付けるには、互いの差込軸心FCを一致させた状態のもとで、図中矢印C1に示すように、ケース部51cおよび組付本体51a(図11には現れないが図3参照)をコネクタ部材組付孔41aに徐々に差し込んでいく。これにより、コネクタ部材100の各コネクタ側メス型端子57a(図11には現れないが図3参照)が、ブラシホルダ60の各ブラシ側オス型端子63d(図11には現れないが図5参照)に電気的に接続されていく。そして、さらに差し込み作業を進めていくことで、キャップ部101が筒状装着部41bに装着されつつ、各第1係合凹部101aが各第1被係合凸部91に係合され、各第2係合凹部101cが各第2被係合凸部92に係合される。
その後、図中矢印C2に示すように、各固定ネジSを各ネジ挿通孔101bに挿通しつつ、図示しない締結工具(例えばネジ回し等)を用いて各固定ネジSを、所定の締め付けトルクで各雌ネジ部91aにネジ結合させる。これにより、各第1係合凹部101aおよび各第1被係合凸部91が、互いに各固定ネジSによって固定され、第1組付状態(0度組付状態)である一の配置ニーズに対応したモータ装置10が完成する。
一方、第2組付状態(180度)である他の配置ニーズに対応するには、実施の形態1と同様に、コネクタ部材100を第1組付状態に対して差込軸心FCを中心に180度回転させる。その後、上述した組み立て手順と同様に、ケース部51cおよび組付本体51aをコネクタ部材組付孔41aに徐々に差し込んでいき、最終的に各固定ネジSによりコネクタ部材100とギヤケース90とを固定する。
次に、第2の異なる点について述べると、具体的には、実施の形態4では、センサ基板54を基板保持部51dに組み付ける際に、センサ基板54を基板保持部51dに対して略水平に仮保持できるようにしている。
図12に示すように、センサ基板54には、一対の長辺部54aと一対の短辺部54bとが設けられ、一対の長辺部54aには、それぞれ対向するようにして窪み部54cが形成されている。これらの窪み部54cには、後述する基板保持部51dの各保持爪102が組み付けられる。
基板保持部51dには、差込軸心FCを挟むようにして一対の保持爪102がコネクタ接続部52の開口方向と反対の方向に突出して設けられている。基板保持部51dには、さらに、差込軸心FCを挟んで、かつ差込軸心FCの軸方向に延びた一対のスライド部103が設けられている。ここで、スライド部103は、コネクタ部材100をギヤケース90に組み付ける際に、ギヤケース90の装着孔(図示せず)に摺接して、コネクタ部材100のギヤケース90への組み付けを案内する。そして、各保持爪102は、各スライド部103よりもセンサ基板54寄りの部位に配置され、これにより各保持爪102は、センサ基板54を保持した状態のもとで、各スライド部材103のセンサ基板54側とは反対側に突出することが無い。よって、コネクタ部材100をギヤケース90に対してスムーズに組み付けることができる。
図13および図14に示すように、各保持爪102は、その先端側(図中上方側)から基端側(図中下方側)に向けて、仮保持垂直壁102a,テーパ凸部102b,テーパ押さえ部102cをそれぞれ有している。一対の仮保持垂直壁102a間の距離は、センサ基板54に設けた一対の窪み部54c間の距離と略等しい距離となっている。また、一対のテーパ凸部102bは、各仮保持垂直壁102aから各保持爪102の基端側に向かうにつれて、互いに近接するように徐々に出っ張るように傾斜して設けられている。さらに、一対のテーパ押さえ部102cは、各テーパ凸部102bから各保持爪102の基端側に向かうにつれて、互いに離間するように徐々に引っ込むように傾斜して設けられている。したがって、一対の保持爪102の間隔は、各テーパ凸部102bの部位が互いに最も近接するように形成されている。
次に、基板保持部51dに対するセンサ基板54の装着手順について、図面を用いて詳細に説明する。
まず、図13の矢印Mに示すように、センサ基板54を基板保持部51dの開口された側に臨ませる。このとき、一対の窪み部54cと一対の保持爪102とを、差込軸心FCの軸方向に一致させるようにする。これにより、図14(a)に示すように、各窪み部54cと各仮保持垂直壁102aとが対向して、センサ基板54が各保持爪102に保持される。よって、センサ基板54が基板保持部51dに対して略水平に仮保持される。ここで、図14(a)に示すように、センサ基板54が基板保持部51dに仮保持された状態になると、各センサ用導電部材56の基板接続部56aが、センサ基板54の所定の接続穴Hに位置決めされる。
次に、センサ基板54を各保持爪102の基端側に向けて押圧する。すると、センサ基板54が各保持爪102の基端側に徐々に移動する。すると、図14(b)に示すように、各窪み部54cは各テーパ凸部102bを乗り越えて、各テーパ押さえ部102cの部分に到達する。これにより各保持爪102は、センサ基板54側とは反対側(外側)に弾性変形される。ここで、各テーパ押さえ部102cの傾斜面は、各保持爪102の基端側に向けられているので、各保持爪102は、センサ基板54を押さえつつセンサ基板54のがたつきを防止する。
次に、第3の異なる点について述べると、具体的には、実施の形態4では、コネクタ部材100を差込軸心FCに沿う方向から見た際に、図13に示すように、コネクタ部材100を囲む範囲AR内にコネクタ接続部52を収めている。
このようにコネクタ部材100をできる限り小型化するために、コネクタ部材100に埋設される4本のセンサ用導電部材56、および2本のコネクタ側駆動用導電部材57の形状を、図15に示すような形状としている。以下、センサ用導電部材56およびコネクタ側駆動用導電部材57の形状について、図面を用いて詳細に説明する。なお、両者の違いを明確にするために、センサ用導電部材56には間隔の狭いハッチングを、コネクタ側駆動用導電部材57には間隔の広いハッチングを、それぞれ施している。
コネクタ側駆動用導電部材57のコネクタ側オス型端子57bがある側とは反対側には、コネクタ側メス型端子57a(図3参照)が固定されるメス型端子固定部57cが設けられている。このメス型端子固定部57cは、差込軸心FCの軸方向に延ばされており、かつ、図15に示すようにコネクタ部材100を側方から見た際に、キャップ部101の中央部に配置されている。これは、コネクタ部材100を、差込軸心FCを中心に180度回転させても、ギヤケース90に組み付けられるようにするためである。これに対して、キャップ部101とコネクタ接続部52とを連結する連結部52aは、差込軸心FCに対して、コネクタ接続部52の開口側(図中下側)とは反対側のセンサ基板54側(図中上側)に配置される。これにより、コネクタ部材100を囲む範囲AR内にコネクタ接続部52を収めることができる。
コネクタ側駆動用導電部材57のメス型端子固定部57cとコネクタ側オス型端子57bとの間には、それぞれ90度(直角)に折り曲げられた第1屈曲部57d,第2屈曲部57eおよび第3屈曲部57fが設けられている。また、第2,第3屈曲部57e,57f間には、中間部57gが設けられている。そして、第2,第3屈曲部57e,57fおよび中間部57gは、図15に示すように、差込軸心FCに対して、コネクタ接続部52の開口側とは反対側のセンサ基板54側に配置されている。これにより、連結部52aを、差込軸心FCからセンサ基板54側にオフセット可能としている。
また、4本のセンサ用導電部材56は、基板接続部56aとコネクタ側オス型端子56bとを備えている。センサ用導電部材56は、2種類の形状のセンサ用導電部材56からなり、一方の種類のセンサ用導電部材56は、基板接続部56aとコネクタ側オス型端子56bとの間に、90度に折り曲げられた第1屈曲部56cおよび第2屈曲部56dを有している。これらの第1,第2屈曲部56c,56d間には、中間部56eが設けられている。
また、他方の種類のセンサ用導電部材56は、基板接続部56aとコネクタ側オス型端子56bとの間に、90度に折り曲げられた第1屈曲部56f,第2屈曲部56g,第3屈曲部56hおよび第4屈曲部56iを有している。第1,第2屈曲部56f,56g間には第1中間部56jが設けられ、第3,第4屈曲部56h,56i間には第2中間部56kが設けられている。
そして、第1,第2屈曲部56c,56dおよび中間部56e、さらに第1〜第4屈曲部56f〜56iおよび第1,第2中間部56j,56kは、図15に示すように、差込軸心FCに対して、コネクタ接続部52の開口側とは反対側のセンサ基板54側に配置されている。これにより、連結部52aを、差込軸心FCからセンサ基板54側にオフセット可能としている。
以上のように形成した実施の形態4においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態4においては、各第1係合凹部101aおよび各第1被係合凸部91が、互いに各固定ネジSによって固定される。したがって、実施の形態1に比して、よりガタつきが抑えられた状態のもとで、コネクタ部材100をギヤケース90に固定することができる。よって、ギヤケース90内のセンサマグネット30(図11には現れないが図1参照)に対する回転センサ55の位置を、製品毎にバラつくこと無く高精度にすることができる。
また、実施の形態4においては、センサ基板54を基板保持部51dに略水平に仮保持できるので、センサ基板54を精度良く基板保持部51dに保持させることが可能となる。したがって、回転センサ55(図11参照)の検出精度が低下するのを抑制することができる。さらに、実施の形態4においては、コネクタ部材100を囲む範囲AR内にコネクタ接続部52を収めることができるので、コネクタ部材100をより小型化できるのはもちろんのこと、コネクタ部材100を射出成形するのに用いる金型(図示せず)も小型化することが可能となる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、コネクタ部材組付孔41aおよび組付本体51aの差し込み方向と交差する方向の断面形状を、差込軸心FCを中心にそれぞれ点対称な円形形状としたものを示したが、本発明はこれに限らない。要は、差込軸心FCを中心に180度回転させた後に、回転させる前と同じ形状になる点対称な形状であれば良く、例えば、差し込み方向と交差する方向の断面形状が正方形や正六角形等であっても良い。
また、上記各実施の形態においては、回転センサ55として、センサマグネット30が形成する磁束線に反応する1つのGMRセンサを用いたものを示したが、本発明はこれに限らず、安価なMRセンサを複数用いても良いし、他の磁気センサ(ホールIC等)を用いることもできる。
さらに、上記各実施の形態においては、モータ装置10を、車両に搭載されるパワーウィンド装置の駆動源として用いたものを示したが、本発明はこれに限らず、サンルーフ装置等の他の駆動源としても用いることができる。
また、上記各実施の形態においては、モータ部20として、ブラシ付の電動モータを採用したものを示したが、本発明はこれに限らず、回転軸を有するブラシレスの電動モータ等を、モータ部として採用することもできる。この場合、給電部材としてのブラシホルダに代えて、給電部材としてのバスバーユニット(集電装置)が採用される。