JP6409293B2 - 静電像現像用トナー、現像剤、画像形成装置、プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
植物由来の原材料を使用した樹脂をトナー用材料として活用する手段として、結着樹脂に非晶性ポリ乳酸を使用する例がある(例えば特許文献1)。
しかし、この特許文献2記載の技術は、ポリ乳酸を使用したトナーの場合、着色剤が偏在するという問題の解決を志向したものとは言えない。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段は、以下の(1)に記載のとおりのものである。
(1)「ポリ乳酸骨格を有する樹脂を含むトナーであって、該トナーの母体粒子の最表面からその中心部に向かって50nm以内の領域よりもさらに内部の領域に着色剤が存在し、前記内部領域における着色剤の面積率が5%以上であることを特徴とするトナー。」
(2)「前記内部領域における着色剤の面積率が10%以上30%以下であることを特徴とする前記(1)に記載のトナー。」
(3)「前記ポリ乳酸骨格を有する樹脂として、ポリ乳酸セグメントとポリ乳酸以外のポリエステルセグメントとの共重合体を含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のトナー。」
(4)「前記共重合体は酢酸エチルに難溶な共重合体(A)であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載のトナー。」
(5)「前記共重合体(A)におけるポリ乳酸セグメントの比が50wt%以下であることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のトナー。」
(6)「前記共重合体(A)が非晶性ポリエステルセグメントと非晶質ポリ乳酸セグメントの共重合体であることを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のトナー。」
(7)「前記ポリ乳酸骨格を有する樹脂として、さらに、結晶性ポリエステルセグメントと非晶質ポリ乳酸セグメントの共重合体(B)を含有することを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載のトナー。」
(8)「前記共重合体(B)が、グラフト共重合体であることを特徴とする前記(1)乃至(7)のいずれかに記載のトナー。」
(9)「含有比(共重合体(A)/共重合体(B))が50/50〜20/80であることを特徴とする前記(7)又は(8)に記載のトナー。」
(10)「前記(1)乃至(9)のいずれかに記載のトナーと、キャリアを含む現像剤。」
(11)「静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記トナーが、前記(1)乃至(9)のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。」
(12)「静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記トナーが、前記(1)乃至(9)のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。」
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂と、着色剤を含んでなり、更に必要に応じて、その他の成分を含む。
(ポリ乳酸樹脂及びポリ乳酸部位)
本発明のトナーに用いる結着樹脂は、ポリ乳酸分を含む。
結着樹脂として用いるポリ乳酸分はポリ乳酸単独でもポリ乳酸と他の材料との共重合体、或いはポリ乳酸と他の樹脂分とのブレンドを用いても良い。前記共重合体における「他の材料」、或いはブレンドにおける「他の樹脂分」は、ポリエステル系のもの(変性ポリエステルを含む)であることが好ましい。
ポリ乳酸は、光学異性体であるL−乳酸とD−乳酸があるが、本発明においてはこれらを併用してポリマーとすることで得られる非結晶性のポリ乳酸が好ましい。これは、トナーに要求される熱特性、すなわち加熱定着方式において適切な温度で熱溶融せしめるために、本来結晶性のポリ乳酸を一部非晶質化して用いるためである。
本発明においては、後ほど詳述するブロック共重合体A及びブロック共重合体Bのいずれも、非晶質とするためには、L体とD体の比は同じぐらいの方が好ましいが、ただ、L体とD体の比が同じぐらいになると、ガラス転移点の低い樹脂ができる。トナーとして用いるためには、ある程度Tgの高いものでないと、耐熱保存性などに影響を与えるため、どちらかが多い方が好ましくなる。であるので、トナーの耐熱保存性を維持する観点からは、どちらかが過剰な方が好ましく、経済性から、D型乳酸が少ないことがより好ましい。
但し、結着樹脂としてのブロック共重合体の一部非晶質化は、ポリ乳酸の共重合相手の樹脂分の種類、性質によっても左右されるところがある。
また、D型乳酸が過剰であっても同様であり、48:52〜5:95の範囲から選択される。なかでもより好ましくは80:20〜95:5の範囲である。ポリ乳酸は、構造中でエステル結合部位が優越していることもあって、他の樹脂との相溶性がよい方ではない。
一部非晶質化してもこの傾向は本質的に残っている。したがって、本発明においては、他の樹脂とのブレンドとして用いることも可能ではあるが、他の樹脂成分と反応させた化学結合体として用いることがより好ましい。
[ブロック共重合体A]
ポリ乳酸と共重合させる樹脂材料又は前駆体としては、特に規定はないが、例えばポリエステルやポリカーボネート、ポリエーテル、ヒドロキシル基を有するビニル樹脂、末端にヒドロキシル基を有するシリコーン樹脂及びそれらの前駆体等が挙げられる。
中でも、ポリエステルであることが好ましく、うち、非晶質ポリエステル及びその前駆体であることがより好ましい。
ブロック共重合体(A)における非晶質ポリエステルの含有率は30wt%以上が好ましく、着色剤の分散性とポリ乳酸との親和性から50wt%以上80wt%以下がより好ましい。
前記非晶質ポリエステル分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステル及びそのための中間体(前駆体)などが挙げられる。
非線状のポリエステル分の非芳香族系バルクセグメント構造は、低温定着性のための非晶質化に寄与するだけでなく、ポリ乳酸分を含む各種の重合体、共重合体相互間の親和化にも寄与するように思われる。すなわち、この非晶質ポリエステル分には、トナー物性の調節作用、前記該芳香族系部位を含有する非晶質ポリエステルと、後に詳細に説明する結晶性ポリエステル分を含むブロック共重合体(B)との相溶性を高める等々の好ましい作用も期待される。
また、芳香族系部位を含有する線状ポリエステル樹脂分は、主鎖のバルク構造を齎らし、トナーの耐熱保存性向上に寄与するだけでなく、結着樹脂における著しい極性を緩和し、着色剤の分散性向上にも有効であるように思われる。
しかし、これは単なる一例であって、他のもの例えば非芳香族系の分枝鎖とスター型構造を併せ有するものであっても無論よい。また、ポリアルキレンオキシド付加ビスフエノールA等のポリオール由来の芳香族系部位を有するものであっても、無論よく、かつ、好ましい。
前記ポリオールとしては、例えば、2価のジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオールなどが挙げられる。
これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカンジカルボン酸、アルケニルコハク酸、アルケンジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。
前記アルケンジカルボン酸としては、例えば、炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸などが挙げられる。
なお、前記ジカルボン酸又は前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4のアルキルエステルを用いてもよい。前記炭素数1〜4のアルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなどが挙げられる。
低温定着性の観点から、結晶性ポリエステルとポリ乳酸のブロック共重合体(B)を主成分とすることが好ましく、ブロック共重合体(B)は結晶性ポリエステルを開始剤としてラクチドを開環重合して結着樹脂とすることが好ましい。
ここで、ポリエステルが結晶性であるか否かは、示差走査熱量測定(DSC測定)による融点の評価、広角X線回折による相対結晶化度などによって確認できる。但し、X線回析スペクトル(XD)におけるブラッグ(Bragg)角(2θ±2°)を測定するには、平行な複数光路のX線(通常は、Cu、Kα線を線源とするX線)が平行状態を保持したまま照射されるだけの広さを持った大きさの明確な結晶であることが必要である等の理由もあり、本発明においては示差走査熱量測定(DSC測定)により評価した。
前記結晶性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2価の脂肪族アルコール成分と2価の脂肪族カルボン酸成分とを構成成分に有する結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
前記2価のジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖型脂肪族アルコール、分岐型脂肪族アルコール等の脂肪族アルコール(2価の脂肪族アルコール)、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール、炭素数4〜36の脂環式ジオール、前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」を「AO」と略記することがある)、ビスフェノール類のAO付加物、ポリラクトンジオール、ポリブタジエンジオール、カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、これらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどが挙げられる。これらの中でも、鎖炭素数が2〜36の脂肪族アルコールが好ましく、鎖炭素数が2〜36の直鎖型脂肪族アルコールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記炭素数4〜36の脂環式ジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどが挙げられる。
これらの中でも、3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
前記ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジカルボン酸(2価の脂肪族カルボン酸)、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
前記アルカンジカルボン酸としては、例えば、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸などが挙げられる。
前記アルケンジカルボン酸としては、例えば、炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸などが挙げられる。前記炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸などが挙げられる。
なお、前記ジカルボン酸又は前記3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4のアルキルエステルを用いてもよい。前記炭素数1〜4のアルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなどが挙げられる。
結晶性ポリエステルは結晶性を持つため、定着開始温度付近において急激な熱溶融特性を示す。このような特性を有する結晶性ポリエステル(C)を、ブロック共重合体(B)と共に用いることがより好ましい。溶融開始温度直前までは結晶性による耐ブロッキング性が維持され、溶融開始温度では結晶性ポリエステル(C)の融解による急激な粘度低下を起こし、トナーの溶融変形のトリガーとなると共に、加熱−圧縮変形した結着樹脂同士の隙間を充填し、良好な耐ブロッキング性と低温定着性とを兼ね備えたトナーが得られる。
ブロック共重合体におけるポリ乳酸部のL体、D体比率は、L体/D体=70/30〜90/10を満たすことが好ましい。即ちポリ乳酸部が非晶質であることが好ましい。
L体比率が90/10以下であれば、ポリ乳酸部の結晶性が増大して低温定着性が損なわれるようなことはなく、必要な定着温度幅も得られる。また、加工性が悪化したり、生産性の悪化やコストアップを招くこともない。他方、L体比率が70/30以上であれば、熱膨張により取り扱い難くなるようなことはなく、存在比率の少ないD体を多く使うことによりコストアップとなることもない。なお、ポリ乳酸部のラセミ度については、基本的には仕込み保証となるが、必要に応じてキラルカラムを接続した熱分解GC/MSなど、公知の手法で比率を確認できる。
この結晶性ポリエステルの融点は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが50〜80℃が好ましい。融点が50℃未満では、結晶性ポリエステルが低温で溶融し易く、トナーの耐ブロッキング性が低下することがある。また融点が80℃を超えると、定着時の加熱による結晶性ポリエステル(B)の溶融が不十分となり、低温定着性が低下することがある。
前記融点は、示差走査熱量計(DSC)測定におけるDSCチャートの吸熱ピーク値により測定することができる。
本発明のトナーに用いる着色剤としては、トナー用として公知の染料、顔料等を適宜使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ソルベントイエロー(21,77,114など)、ピグメントイエロー(12,14,17,83など)、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトアニリンレッド、トルイジンレッド、ソルベントレッド(17,49,128,5,13,22,48・2など)、ディスパースレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ソルベントブルー(25,94,60,15・3など)、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
着色剤の含有量は、重量基準で、本発明のトナーバインダー100部に対して、好ましくは0.1〜40部、更に好ましくは0.5〜10部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150部、更に好ましくは40〜120部である。
本発明のトナーに用いる離型剤としては、軟化点が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス(例えば、カルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス及びライスワックスなど)、炭素数30〜50の脂肪族アルコール(例えば、トリアコンタノールなど)、炭素数30〜50の脂肪酸(例えば、トリアコンタンカルボン酸など)及びこれらの混合物等が挙げられる。
また、添加剤の合計含有量は、好ましくは3〜70%、更に好ましくは4〜58%、特に好ましくは5〜50%である。
組成比を上記範囲にすれば帯電性が良好なトナーを容易に得ることができる。
また、トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
本発明のトナーは、混練粉砕法、乳化転相法、重合法等の従来公知の方法で得ることができる。例えば混練粉砕法を採用する場合には、流動化剤を除くトナーの構成成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、粗粉砕し、ジェットミル粉砕機等を用いて微粒化し、更に分級して体積平均粒径(D50)が5〜20μm程度の微粒子とした後、流動化剤を混合すればよい。なお、体積平均粒径(D50)は、コールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定できる。
また、特開2002−284881号公報に記載の有機微粒子を用いる方法を採用してもよい。
水系媒体の調製は、例えば、樹脂粒子を水系媒体に分散させることにより行うことができる。樹脂粒子の水系媒体中の添加量には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5〜10重量%が好ましい。
水系媒体としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、水、水と混和可能な溶媒、これらの混合物、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも水が好ましい。
油相の調製は、有機溶媒中に、ブロック共重合体(A)、結晶性ポリエステル(B)、離型剤、着色剤などを含むトナー材料を、溶解乃至分散させればよい。
有機溶媒としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、除去が容易である点で、沸点が150℃未満の有機溶媒が好ましい。
前記沸点が150℃未満の有機溶媒としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等が好ましく、酢酸エチルがより好ましい。
乳化乃至分散は、前記トナー材料を含有する油相を、前記水系媒体中に分散させることにより行うことができる。分散液を安定に形成する方法には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系媒体相中に、トナー材料を溶媒に溶解乃至分散させて調製した油相を添加し、せん断力により分散させる方法、などが挙げられる。
前記分散のための分散機としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機、などが挙げられる。これらの中でも、分散体(油滴)の粒子径を2〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件は、目的に応じて適宜選択することができる。
前記回転数には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜30,000rpmが好ましく、5,000〜20,000rpmがより好ましい。
前記分散時間には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バッチ方式の場合、0.1〜5分間が好ましい。
前記分散温度には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加圧下において、0℃〜150℃が好ましい。
前記水系媒体の使用量が50重量部未満では、トナー材料の分散状態が悪くなって所定の粒子径のトナー母粒子が得られないことがあり、2,000重量部を超えると、生産コストが高くなることがある。
前記分散剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記陰イオン界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル、などが挙げられる。
前記乳化スラリー等の分散液から有機溶媒を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶媒を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の有機溶媒を除去する方法、などが挙げられる。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させて粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法、などが挙げられる。
前記方法に用いる装置としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
本発明の現像剤は、少なくとも前記トナーを含み、必要に応じてキャリア等の適宜選択されるその他の成分を含む。
これにより、転写性、帯電性等に優れ、高画質な画像を安定に形成することができる。
なお、現像剤は、一成分現像剤であっても二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命が向上することから、二成分現像剤が好ましい。
二成分系現像剤として用いる場合には、本発明のトナーとキャリアを混合して用いる。
キャリアの含有量には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、90〜98重量%が好ましく、93〜97重量%がより好ましい。
キャリアとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。
芯材の材料としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム系材料、マンガン−マグネシウム系材料などが挙げられる。また画像濃度を確保するためには、100emu/g以上の鉄粉、75〜120emu/gのマグネタイト等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、穂立ち状態となっている現像剤の感光体に対する衝撃を緩和でき、高画質化に有利であることから、30〜80emu/gの銅−亜鉛系等の低磁化材料を用いることが好ましい。
これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
芯材の体積平均粒子径には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、10〜150μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。体積平均粒子径が10μm未満では、キャリア中に微粉が多くなり、一粒子当たりの磁化が低下してキャリアの飛散が生じることがある。また、150μmを超えると、比表面積が低下しトナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
本発明のトナーを用いた画像形成装置は、静電潜像担持体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて適宜その他の手段を有する。
前記現像手段は、トナーを用いて静電潜像を現像して可視像を形成する手段である。
また、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像器40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー画像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
この画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図5中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング手段17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光手段21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写手段22が配置されている。
二次転写手段22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写手段22の近傍には定着手段25が配置されている。
定着手段25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、画像形成装置においては、二次転写手段22及び定着手段25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるための反転装置28が配置されている。
即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は、直ちにスキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。
このとき第1走行体33により光源からの光が照射されると共に、原稿面からの反射光が第2走行体34におけるミラーで反射され、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。
そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録媒体の紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間に記録媒体を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該記録媒体上に転写(二次転写)することにより、該記録媒体上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
プロセスカートリッジ110は、感光体ドラム10、コロナ帯電器58、現像器40、転写ローラ80及びクリーニング装置90を有する。
本発明においては、上述の各構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成することができる。
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてプロピレングリコールと1,3−プロパンジオールとをプロピレングリコール/1,3−プロパンジオール=80/20(モル比率)の割合になるように仕込み、ジカルボン酸としてテレフタル酸ジメチルを、OH基(ジオールのOH基)とCOOH基(テレフタル酸のCOOH基)のモル比率(OH/COOH)が1.2になるように仕込み、仕込んだ原料の質量に対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを仕込み、メタノールを流出させながら反応させ、最終的に230℃に昇温して樹脂酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。その後、20mmHg〜30mmHgの減圧下にて4時間反応させ、線状ポリエステル樹脂である非晶質ポリエステルa1を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ネオペンチルアルコール187.5部、エチレンオキサイド79.3部、テレフタル酸438.6部及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネート0.21部を入れ、窒素気流下、生成するメタノールを留去しながら、180℃で8時間反応させた。次に、230℃まで徐々に昇温し、窒素気流下、生成するメタノールを留去しながら4時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下、重量平均分子量が7460に達するまで反応させ、ガラス転移温度が68℃の非結晶質ポリエステルa2を得た。
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、ネオペンチルアルコール187.5部、エチレンオキサイド79.3部、テレフタル酸199.4部、イソフタル酸239.2部及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネート0.21部を入れ、窒素気流下、生成するメタノールを留去しながら、180℃で8時間反応させた。次に、230℃まで徐々に昇温し、窒素気流下、生成するメタノールを留去しながら4時間反応させた後、5〜20mmHgの減圧下、重量平均分子量が5800に達するまで反応させ、ガラス転移温度が52℃の非晶質ポリエステルa3を得た。
これら非晶質ポリエステルの特性を、次表に纏めて示す。
加熱乾燥した窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5Lの四つ口フラスコに、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸を、OH/COOH=1.15の割合で仕込み、300ppmのチタンテトライソプロポキシドと共に、常圧下、200〜230℃で10時間反応させ、更に10mmHg以下の減圧で5時間反応させて結晶性ポリエステルb1を得た。この樹脂の融点は55℃であった。
500mLの四つ口セパラブルフラスコ中に、L−ラクチド255g、D−ラクチド45g(重量比でL体/D体=85/15)、及びエチレングリコールを1.8g投入し、40℃で5時間乾燥した後、内温を徐々に150℃まで昇温し、目視で系が均一化したことを確認した後、2−エチルヘキサン酸スズ50mgを投入して重合反応させた。この際、系の内温が190℃を超えないように制御した。2時間の反応時間経過後、系を175℃に冷却し、再び流出ラインに切り替え、10mmHgの条件下で60分間、脱ラクチドし、重合反応を完結させてポリ乳酸Pを得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は25000であった。
500mLの四つ口セパラブルフラスコ中に、L−ラクチド212g、D−ラクチド38g(重量比でL体/D体=85/15)、及び非晶質ポリエステルa1を250g投入し、40℃で5時間乾燥した後、内温を徐々に150℃まで昇温し、目視で系が均一化したことを確認した後、2−エチルヘキサン酸スズ50mgを投入して重合反応させた。この際、系の内温が190℃を超えないように制御した。2時間の反応時間経過後、系を175℃に冷却し、再び流出ラインに切り替え、10mmHgの条件下で60分間、脱ラクチドし、重合反応を完結させてブロック共重合体A1を得た。
500mLの四つ口セパラブルフラスコ中に、L−ラクチド212g、D−ラクチド38g(重量比でL体/D体=85/15)、及び非晶質ポリエステルa2を250g投入し、40℃で5時間乾燥した後、内温を徐々に150℃まで昇温し、目視で系が均一化したことを確認した後、2−エチルヘキサン酸スズ50mgを投入して重合反応させた。この際、系の内温が190℃を超えないように制御した。2時間の反応時間経過後、系を175℃に冷却し、再び流出ラインに切り替え、10mmHgの条件下で60分間、脱ラクチドし、重合反応を完結させてブロック共重合体A2を得た。
500mLの四つ口セパラブルフラスコ中に、L−ラクチド106g、D−ラクチド19g(質量比でL体/D体=85/15)、及び非晶質ポリエステa2を375g投入し、40℃で5時間乾燥した後、内温を徐々に150℃まで昇温し、目視で系が均一化したことを確認した後、2−エチルヘキサン酸スズ50mgを投入して重合反応させた。この際、系の内温が190℃を超えないように制御した。2時間の反応時間経過後、系を175℃に冷却し、再び流出ラインに切り替え、10mmHgの条件下で60分間、脱ラクチドし、重合反応を完結させてブロック共重合体A3を得た。
製造例のa2の代わりにa3を用いてブロック共重合体A4を得た。
これらブロック共重合体Aの特性を、次表に纏めて示す。
500mLの四つ口セパラブルフラスコ中に、L−ラクチド212g、D−ラクチド38g(重量比でL体/D体=85/15)、及び結晶性ポリエステルb1を107g投入し、40℃で5時間乾燥した後、内温を徐々に150℃まで昇温し、目視で系が均一化したことを確認した後、2−エチルヘキサン酸スズ50mgを投入して重合反応させた。この際、系の内温が190℃を超えないように制御した。2時間の反応時間経過後、系を175℃に冷却し、再び流出ラインに切り替え、10mmHgの条件下で60分間、脱ラクチドし、重合反応を完結させてブロック共重合体B1を得た。
この樹脂の重量平均分子量(Mw)は31000、融点は51℃であった。
[製造例11;着色剤マスターバッチE1の作製]
シアン顔料(C.I.Pigment blue 15:3)18部、82部のブロック共重合体A1及びイオン交換水15部を混合した後、オープンロール型混練機ニーデックス(三井鉱山社製)を用いて混練し、顔料のマスターバッチを得た。
具体的には、100℃から混練し始め、50℃まで徐々に冷却した。
製造例9のA1をA2に代えた他は同様に処理して、着色剤マスターバッチE2を得た。
製造例9のA1をA3に代えた他は同様に処理して、着色剤マスターバッチE3を得た。
製造例9のA1をA4に代えた他は同様に処理して、着色剤マスターバッチE4を得た。
ブロック共重合体B1を100部、シアン顔料(C.I.Pigment blue 15:3)100部、及びイオン交換水30部をよく混合して、オープンロール型混練機(ニーデックス、日本コークス工業株式会社製)を用いて混練を行った。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却し、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である着色剤マスターバッチE5を作製した。
ポリ乳酸Pを100部、シアン顔料(C.I.Pigment blue 15:3)100部、及びイオン交換水30部をよく混合して、オープンロール型混練機(ニーデックス、日本コークス工業株式会社製)を用いて混練を行った。混練温度は90℃から混練を始め、その後、50℃まで徐々に冷却し、樹脂と顔料の比率(質量比)が1:1である着色剤マスターバッチE6を作製した。
これらマスターバッチEは、次表に纏められる。
冷却管、温度計及び撹拌機を装備した反応容器に、パラフィンワックス(HNP−9(融点75℃)、日本精蝋株式会社製)20部、及び酢酸エチル80部を入れ、78℃に加熱して充分溶解し、撹拌しながら1時間で30℃まで冷却を行った後、更にウルトラビスコミル(アイメックス社製)にて、送液速度1.0kg/時間、ディスク周速度:10m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズ充填量80体積%、パス数6回の条件で湿式粉砕し、酢酸エチルを加えて固形分濃度を調整し、固形分濃度20%の[ワックス分散液]を作製した。
(トナー1の製造)
温度計及び攪拌機を装備した容器中に、70部のブロック共重合体B1及び酢酸エチル57部を入れた後、ブロック共重合体B1の融点以上の温度まで昇温して溶解させた。次に、ワックスの分散液25部、36部の着色剤マスターバッチE1及び酢酸エチル36部を加えた後、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて撹拌し、第一の液を得た。
撹拌機及び温度計を装備した容器中に、イオン交換水90部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル型ノニオン性界面活性剤NL450(第一工業製薬社製)の5質量%水溶液3部及び酢酸エチル10部を入れた後撹拌し、水系媒体を得た。
水系媒体に、第一の液50部を加えた後、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、13000rpmで1分間攪拌し、第二の液を得た。
撹拌機及び温度計を装備した容器中に、第二の液を入れた後、1時間脱溶剤し、スラリーを得た。
スラリー100部を減圧濾過した。次に、濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、6000rpmで5分間攪拌した後、濾過した。さらに、濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、6000rpmで10分間攪拌した後、減圧濾過した。次に、濾過ケーキに10質量%塩酸100部を加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、6000rpmで5分間攪拌した後、濾過した。さらに、濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサー(特殊機化社製)を用いて、6000rpmで5分間攪拌した後、濾過する操作を2回繰り返した。
循風乾燥機を用いて、45℃で48時間濾過ケーキを乾燥させた後、目開きが75μmのメッシュで篩い、母体粒子を得た。
ヘンシェルミキサーを用いて、母体粒子100部及び疎水性シリカHDK−2000(ワッカー・ケミー社製)1部を混合し、トナー1を得た。
芯材として、Mnフェライト粒子(重量平均径:35μm)5,000部を用いた。
被覆材として、トルエン300部、ブチルセロソルブ300部、アクリル樹脂溶液(組成比(モル比)メタクリル酸:メタクリル酸メチル:2−ヒドロキシエチルアクリレート=5:9:3、固形分50%トルエン溶液、Tg38℃)60部、N−テトラメトキシメチルベンゾグアナミン樹脂溶液(重合度1.5、固形分77%トルエン溶液)15部、及びアルミナ粒子(平均一次粒子径0.30μm)15部をスターラーで10分間分散して調製されたコート液を用いた。
前記芯材と、前記コート液とを、流動床内において回転式底板ディスクと撹拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、前記コート液を前記芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で220℃、2時間の条件で焼成し、[キャリア1]を得た。
[キャリア1]100部に対して[トナー1]7部を、容器が転動して撹拌される型式のターブラーミキサー(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製)を用いて48rpmで5分間均一混合し、二成分現像剤である[現像剤1]を得た。
作製した二成分現像剤について、接触帯電方式、二成分現像方式、二次転写方式、ブレードクリーニング方式、及び外部加熱のローラ定着方式を採用した間接転写方式の図5に示すタンデム型画像形成装置画像の現像ユニットに装填して画像形成を行い、下記性能評価を行った。結果を表4に示した。
実施例1と同様にして、着色剤マスターバッチE1をE2に変えてトナー2を得た。また、トナー1の代わりにトナー2を用い、実施例1と同様にして、現像剤2を得た。
作製した現像剤2を用い、実施例1と同様に画像形成し、下記性能評価を行った。結果を表4に示した。
実施例1と同様にして、着色剤マスターバッチE1をE3に変えてトナー3を得た。また、トナー1の代わりにトナー3を用い、実施例1と同様にして、現像剤3を得た。
作製した現像剤3を用い、実施例1と同様に画像形成し、下記性能評価を行った。結果を表4に示した。
実施例1と同様にして、ブロック共重合体B1をPに変えてトナー4を得た。また、トナー1の代わりにトナー4を用い、実施例1と同様にして、現像剤4を得た。
作製した現像剤4を用い、実施例1と同様に画像形成し、下記性能評価を行った。結果を表4に示した。
温度計及び攪拌機を装備した容器中に、50部のブロック共重合体B1及び20部のブロック共重合体A2及び酢酸エチル90部を入れた後、ブロック共重合体B1の融点以上の温度まで昇温して溶解させた。次に、ワックスの分散液25部、36部の着色剤マスターバッチE1及び酢酸エチル36部を加えた後、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて撹拌し、第一の液を得た。
後は実施例1と同様にしてトナー5及び現像剤5を得た。作製した現像剤5を用い、実施例1と同様に画像形成し、下記性能評価を行った。結果を表4に示した。
温度計及び攪拌機を装備した容器中に、40部のブロック共重合体B1及び酢酸エチル72部を入れた後、ブロック共重合体B1の融点以上の温度まで昇温して溶解させた。次に、ワックスの分散液25部、60部の着色剤マスターバッチE1及び酢酸エチル30部を加えた後、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて撹拌し、第一の液を得た。
後は実施例1と同様にしてトナー6及び現像剤6を得た。作製した現像剤6を用い、実施例1と同様に画像形成し、下記性能評価を行った。結果を表4に示した。
温度計及び攪拌機を装備した容器中に、65部のブロック共重合体B1、5部の結晶性ポリエステル5部及び酢酸エチル70部を入れた後、ブロック共重合体B1の融点以上の温度まで昇温して溶解させた。次に、ワックスの分散液25部、30部の着色剤マスターバッチE1及び酢酸エチル36部を加えた後、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて撹拌し、第一の液を得た。
後は実施例1と同様にしてトナー7及び現像剤7を得た。作製した現像剤7を用い、実施例1と同様に画像形成し、下記性能評価を行った。結果を表4に示した。
実施例1と同様にして、着色剤マスターバッチE1をE4に変えて、トナー8を得た。
また、トナー1の代わりにトナー8を用い、実施例1と同様にして、現像剤8を得た。
作製した現像剤8を用い、実施例1と同様に画像形成し、下記性能評価を行った。結果を表4に示した。
温度計及び攪拌機を装備した容器中に、94部のブロック共重合体B1及び酢酸エチル部を入れた後、ブロック共重合体B1の融点以上の温度まで昇温して溶解させた。次に、ワックスの分散液25部、12部の着色剤マスターバッチE5及び酢酸エチル30部を加えた後、TK式ホモミキサー(特殊機化社製)を用いて撹拌し、第一の液を得た。
後は実施例1と同様にしてトナー9及び現像剤9を得た。
作製した現像剤9を用い、実施例1と同様に画像形成し、下記性能評価を行った。結果を表4に示した。
比較例1と同様にして、着色剤マスターバッチE4をE6に変えてトナー10を得た。
また、トナー8の代わりにトナー10を用い、比較例1と同様にして、現像剤10を得た。
作製した現像剤10を用い、比較例1と同様に画像形成し、下記性能評価を行った。結果を表4に示した。
・装置:GPC(東ソー社製)、検出器:RI、測定温度:40℃
・移動相:テトラヒドロフラン、流量:0.45mL/min.
・数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分子量分布Mw/Mnは、それぞれ、分子量既知のポリスチレン試料によって作成した検量線を標準としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した。
対象試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットした。次いで、窒素雰囲気下、40℃から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した。その後、150℃から降温速度10℃/minで−60℃まで冷却し、更に、昇温速度10℃/minで150℃まで加熱して、示差走査熱量計([Q−2000]、TAインスツルメンツ社製)を用いてDSC曲線を計測した。
得られたDSC曲線から、システム中の解析プログラムを用いて、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、そのピークトップから対象試料の最高ピーク温度(融点)を求めた。
<<定着性(定着下限温度)>>
図5に示す画像形成装置を用いて、転写紙(リコービジネスエキスパート株式会社製、複写印刷用紙<70>)上に、転写後のトナーの付着量が0.85±0.10mg/cm2の紙全面ベタ画像(画像サイズ3cm×8cm)を作像し、定着ベルトの温度を変化させて定着を行い、得られた定着画像表面を描画試験器AD−401(株式会社上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260μmR〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とした。また、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。なお、定着装置のニップ部を通過する速度は、280mm/秒間である。定着下限温度は、低い程、低温定着性に優れる。以下の評価基準で評価した。
◎:110℃以下
○:110℃超120℃以下
△:120℃超130℃以下
×:130℃超
トナーをエポキシ樹脂中に包埋し、一晩固化させた後、ウルトラミクロトーム(ダイヤトーム社製)を用いて、平均厚みが80nmの切片を作製した。次に、透過型電子顕微鏡H7000(株式会社日立製作所製)を用いて、顔料の分散状態を観察した。以下の評価基準で評価した。
○:図2に示すように顔料がトナーの内部に分散している(均一なもの、不均一なものに関わらず、トナー表面ではなく、内部に存在しているもの)。
△:顔料がトナーの表面にやや偏在しているが、トナーの内部にも分散している。
×:図1に示すように顔料がほとんどトナー表面に偏在している。
透過型電子顕微鏡で観察した画像から顔料の面積率を求めた。まず、包埋樹脂とトナーとの境界面から50nm内側の部分だけ切り出し、2値化した後、切り出した画像中の顔料部分の面積率を求めた。これをトナー20個分測定し、平均値をとった。画像処理するソフトは、レーザーテック社製のOPTELICS C130のLM eyeを用いた。
結果は表4に示される。
現像剤を用いて、A4サイズの用紙(T6000 70W T目、リコー社製)に面積率20%の単色画像をトナー量が0.40mg/cm2となるように出力し、定着画像をX−Rite938(X−Rite社製)のステータスAモード、d50光にて色度a*b*を測定し、このa*とb*の2乗の和の平方根から彩度c*を計算し求めた。
彩度c*の評価結果より、以下のようにトナーの合否判定を行った。
◎:彩度c*が60以上
○:彩度c*が55以上60未満
×:彩度c*が55未満
◎および○を合格とし、×を不合格判定とした。
100 画像形成装置
100B 画像形成装置
10 感光体
20 帯電ローラ
30 露光装置
40 現像器
41 現像ベルト
42C 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42K 現像剤収容部
43C 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43K 現像剤供給ローラ
44C 現像ローラ
44M 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44K 現像ローラ
45C シアン現像ユニット
45M マゼンタ現像ユニット
45Y イエロー現像ユニット
45K ブラック現像ユニット
50 中間転写体
51 ローラ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
L 露光装置
(図5について)
10(K、Y、M、C) 感光体ドラム
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング手段
18 画像形成手段
21 露光手段
22 二次転写手段
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着手段
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読み取りセンサ
49 レジストローラ
50 中間転写体
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
62 転写ローラ
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
(図6について)
10 静電潜像担持体
18 画像形成手段
50 中間転写体
61 現像器
62 一次転写装置
63 クリーニング手段
64 除電装置
160 帯電器
L 露光
(図7について)
110 プロセスカートリッジ
10 感光体ドラム
40 現像器
58 コロナ帯電器
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 記録紙
L 露光光
Claims (10)
- ポリ乳酸骨格を有する樹脂(ただし、−SO3 −基を有するものを除く)を含むトナーであって、
前記ポリ乳酸骨格を有する樹脂として、ポリ乳酸セグメントとポリ乳酸以外のポリエステルセグメントとの共重合体(A)を含み、
前記共重合体(A)は酢酸エチルに難溶な共重合体(A)であり、
該トナーの母体粒子の最表面からその中心部に向かって50nm以内の領域よりもさらに内部の領域に着色剤が存在し、前記内部領域における着色剤の面積率が5%以上であることを特徴とするトナー。 - ポリ乳酸骨格を有する樹脂(ただし、−SO 3 − 基を有するものを除く)を含むトナーであって、
前記ポリ乳酸骨格を有する樹脂として、ポリ乳酸セグメントとポリ乳酸以外のポリエステルセグメントとの共重合体(A)を含み、
前記共重合体(A)におけるポリ乳酸セグメントの比が50wt%以下であり、
該トナーの母体粒子の最表面からその中心部に向かって50nm以内の領域よりもさらに内部の領域に着色剤が存在し、前記内部領域における着色剤の面積率が5%以上であることを特徴とするトナー。 - ポリ乳酸骨格を有する樹脂(ただし、−SO 3 − 基を有するものを除く)を含むトナーであって、
前記ポリ乳酸骨格を有する樹脂として、ポリ乳酸セグメントとポリ乳酸以外のポリエステルセグメントとの共重合体(A)を含み、
前記共重合体(A)が非晶性ポリエステルセグメントと非晶質ポリ乳酸セグメントの共重合体であり、
該トナーの母体粒子の最表面からその中心部に向かって50nm以内の領域よりもさらに内部の領域に着色剤が存在し、前記内部領域における着色剤の面積率が5%以上であることを特徴とするトナー。 - 前記内部領域における着色剤の面積率が10%以上30%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
- ポリ乳酸骨格を有する樹脂を含むトナーであって、
前記ポリ乳酸骨格を有する樹脂として、ポリ乳酸セグメントとポリ乳酸以外のポリエステルセグメントとの共重合体(A)を含み、
前記ポリ乳酸骨格を有する樹脂として、さらに、結晶性ポリエステルセグメントと非晶質ポリ乳酸セグメントの共重合体(B)を含有し、
該トナーの母体粒子の最表面からその中心部に向かって50nm以内の領域よりもさらに内部の領域に着色剤が存在し、前記内部領域における着色剤の面積率が5%以上であることを特徴とするトナー。 - 前記共重合体(B)が、グラフト共重合体であることを特徴とする請求項5に記載のトナー。
- 含有質量比(共重合体(A)/共重合体(B))が50/50〜20/80であることを特徴とする請求項5又は6に記載のトナー。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載のトナーと、キャリアを含む現像剤。
- 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記トナーが、請求項1乃至7のいずれかに記載のトナーであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された前記静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記トナーが、請求項1乃至7いずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
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JP2014051248A JP6409293B2 (ja) | 2014-03-14 | 2014-03-14 | 静電像現像用トナー、現像剤、画像形成装置、プロセスカートリッジ |
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