以下、図面を参照しながら本実施形態に係る自動分析装置を説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
図1は、本実施形態に係る自動分析装置の全体構成の概略を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1(以下、単に本自動分析装置1と呼ぶ。)は、反応機構20及びデータ処理装置で構成される。
反応機構20は、反応テーブル22、サンプルテーブル23、第1試薬庫24、第2試薬庫26、サンプルアーム28、第1試薬アーム30、第2試薬アーム32、撹拌機構34、洗浄機構36、測光部38、第1検出部41、第2検出部42、第3検出部43及び第4検出部44を備える。
反応テーブル22は、環状に配列された複数の反応容器22aを保持する。例えば、反応テーブル22は、円周上に等間隔で一列に配置された165個の反応容器22aを保持する。反応テーブル22は、ある一定のサイクルで所定の角度だけ回転して停止する間欠的回転動作を行う。
サンプルテーブル23は、反応テーブル22の近傍に配置されている。サンプルテーブル23は、検体が収容されたサンプル容器23aを保持する。サンプルテーブル23は、分注対象の検体が収容されたサンプル容器23aが検体吸引位置に配置されるように回動する。
第1試薬庫24は、反応テーブル22の内側に配置される。第1試薬庫24は、検体の検査項目に選択的に反応する第1試薬が収容された複数の第1試薬容器24aを保持する。第1試薬庫24は、分注対象の第1試薬が収容された第1試薬容器24aが第1試薬吸引位置に配置されるように回動する。
第2試薬庫26は、反応テーブル22の近傍に配置される。第2試薬庫26は、第2試薬が収容された複数の第2試薬容器26aを保持する。第2試薬庫26は、分注対象の第2試薬が収容された第2試薬容器26aが第2試薬吸引位置に配置されるように回動する。
サンプルアーム28は、反応テーブル22とサンプルテーブル23との間に配置される。サンプルアーム28の先端には、サンプル分注プローブ28aが取り付けられている。サンプルアーム28は、サンプル分注プローブ28aを上下動可能に支持する。また、サンプルアーム28は、予め決められた円弧状の移動軌道に沿って移動可能にサンプル分注プローブ28aを支持する。サンプル分注プローブ28aの移動軌道は、検体吸引位置や反応テーブル22上の検体吐出位置を通る。サンプル分注プローブ28aは、検体吸引位置に配置されている検体容器から検体を吸引し、反応テーブル22上の検体吐出位置に配置されている反応容器22aに検体を吐出する。
第1試薬アーム30は、反応テーブル22と第1試薬庫24との間に配置される。第1試薬アーム30の先端には第1試薬分注プローブ30aが取り付けられている。第1試薬アーム30は、第1試薬分注プローブ30aを上下動可能に支持する。また、第1試薬アーム30は、予め決められた円弧状の移動軌道に沿って移動可能に第1試薬分注プローブ30aを支持する。第1試薬分注プローブ30aの移動軌道は、第1試薬庫24上の第1試薬吸引位置と反応テーブル22上の第1試薬吐出位置とを通る。第1試薬分注プローブ30aは、第1試薬庫24上の第1試薬吸引位置に配置されている第1試薬容器24aから第1試薬を吸引し、反応テーブル22上の第1試薬吐出位置に配置されている反応容器22aに第1試薬を吐出する。
第2試薬アーム32は、反応テーブル22の外周近傍に配置される。第1試薬アーム30の先端には第2試薬分注プローブ32aが取り付けられている。第2試薬アーム32は、第2試薬分注プローブ32aを上下動可能に支持する。また、第2試薬アーム32は、予め決められた円弧状の移動軌道に沿って移動可能に第2試薬分注プローブ32aを支持する。第2試薬分注プローブ32aの移動軌道は、第2試薬庫26上の第2試薬吸引位置と反応テーブル22上の第2試薬吐出位置とを通る。第2試薬分注プローブ32aは、第2試薬庫26上の第1試薬吸引位置に配置されている第2試薬容器26aから第2試薬を吸引し、反応テーブル22上の第2試薬吐出位置に配置されている反応容器22aに第2試薬を吐出する。
撹拌機構34は、反応テーブル22の外周近傍に配置される。撹拌機構34の先端には撹拌子34aが取り付けられている。撹拌機構34は、撹拌子34aを上下動可能に支持する。また、撹拌機構34は、予め決められた円弧状の移動軌道に沿って移動可能に撹拌子34aを支持する。撹拌子34aは、反応テーブル22上の撹拌位置に配置された反応容器22a内の検体と第1試薬との混合液、または、検体と第1試薬と第2試薬との混合液を攪拌する。
反応テーブル22の外周近傍には、洗浄機構36が設けられている。洗浄機構36は、分析機構制御部による制御に従って作動する。具体的には、洗浄機構36は、洗浄ノズルと乾燥ノズルとを有する。洗浄機構36は、反応テーブル22上の洗浄位置にある反応容器22aを洗浄ノズルで洗浄し、乾燥ノズルで乾燥させる。
測光部38は、反応テーブル22近傍に設けられている。測光部38は、分析機構制御部による制御に従って作動する。具体的には、測光部38は、光源と光検出器とを有する。光源は、反応テーブル22内の測光位置にある反応容器22a内の混合液に向けて光を照射する。なお、混合液は、標準試料等であってもよい。光検出器は、測光位置と反応容器22aを挟んで光源に対向する位置に配置される。光検出器は、光源から照射され反応容器22a及び混合液を透過した光、反応容器22a及び混合液により反射された光、あるいは、反応容器22a及び混合液により散乱された光を検出する。光検出器は、検出された光の強度に応じた値を有するデータ(以下、測光データと呼ぶことにする。)を発生する。本実施形態では、被検試料と試薬の混合液に対応する測光データを、被検データと呼ぶ。一方、標準試料と試薬の混合液に対応する測光データを、標準データと呼ぶ。測光部38は、測光データを解析部11に出力する。
第1検出部41は、サンプル分注プローブ28aの通過を検出する。第2検出部42は、第1試薬分注プローブ30aの通過を検出する。第3検出部43は、第2試薬分注プローブ32aの通過を検出する。第4検出部44は、撹拌子34aの通過を検出する。サンプル分注プローブ28a、第1試薬分注プローブ30a、第2試薬分注プローブ32a、及び撹拌子34aをまとめて検出対象物と呼ぶ。また、第1検出部41、第2検出部42、第3検出部43及び第4検出部44をまとめて検出部40と呼ぶ。
検出部40は、検出対象物の通過を検出する受発光式の光学センサである。受発光式の光学センサは、投光器と受光器で構成される。投光器は受光器に対向して配置される。受発光式の通過センサは、投光器から受光器に対して照射された光が遮光されることにより、検出対象物の通過を検出することができる。このとき、検出部40は、投光器から照射された光が受光器に到達している間をOFF(0値)、到達していない(遮光されている)間をON(1値)としたデジタル信号(以下、通過信号と呼ぶ。)として、検出対象物の通過を検出する。検出部40は、通過信号を判定部18に対して出力する。
図2は、図1の第1検出部41を構成する受発光式の光学センサの配置の一例を示す平面図である。図2は、サンプルアーム28及びサンプルアーム28の移動軌道28−1を上から見た図である。図2に示すように、第1検出部41は、2つの光学センサ(第1光学センサ41−1及び第2光学センサ41−2)で構成される。図2に示すように、サンプル分注プローブ28aは、サンプルアーム28により、検体吸引位置P1から検体吐出位置P2まで、予め決められた移動軌道28−1に沿って、移動可能に支持される(図中矢印方向)。第1光学センサ41−1と第2光学センサ41−2は、移動軌道28−1に沿って配置される。移動軌道28−1の接線方向Xと直交方向YからなるXY平面は、サンプル分注プローブ28aの移動座標系である。以下、図3と図4を参照して、光学センサの配置を説明する。
図3は、図1の第1検出部41を構成する第1光学センサ41−1の配置の一例を示す断面図である。図3に示すように、第1検出部41を構成する受発光式の光学センサは、投光器41−1sと受光器41−1rとから成る。投光器41−1sと受光器41−1rは、サンプル分注プローブ28aの移動軌道28−1を挟んで対向するように配置される。投光器41−1sと受光器41−1rは、本自動分析装置1のカバー1−10内に収容される。このとき、投光器41−1sから照射された光が受光器41−1rに届くように、投光器41−1sの投光面と受光器41−1rの受光面は、それぞれ光が透過する透過カバー1−11で覆われる。投光器41−1sと受光器41−1rは、サンプル分注プローブ28aが変形しやすい部分の通過を検出可能に配置される。例えば、サンプル分注プローブ28aは、細長い形状を有する。したがって、変形しやすい部分は先端部分である。そのため、投光器41−1sと受光器41−1rは、例えば、図2に示すように、その投光ライン41−1nをサンプル分注プローブ28aの先端部分が通過するように配置される。投光ライン41−1n(投光ライン41−2n)は、投光器41−1s(投光器41−2s)の投光面の中心位置と受光器41−1r(受光器41−2r)の受光面の中心位置とを結ぶ線である。投光器41−1s(投光器41−2s)の投光面の中心位置から受光器41−1r(受光器41−2r)の受光面の中心位置に向かう方向を通過検出方向41−1h(通過検出方向41−2h)と呼ぶ。
図4は、図2のサンプル分注プローブ28aの移動座標系における2系統の光学センサの配置の一例を示す図である。図4に示すように、第1光学センサ41−1と第2光学センサ41−2は、第1光学センサ41−1の投光ライン41−1nと第2光学センサ41−2の投光ライン41−2nが平行にならないように配置される。言い換えると、第1光学センサ41−1と第2光学センサ41−2は、投光ライン41−1nと移動軌道28−1の接線方向Xの交差角が、投光ライン41−2nと移動軌道28−1の接線方向Xの交差角と異なるように配置される。後述の判定部18は、投光ラインにおけるサンプル分注プローブ28aの通過を検出する。具体的には、後述の判定部18は、通過検出方向41−1hから見たときのサンプル分注プローブ28aの変形を特定する。物体の形状を精度高く捉えるためには、少なくとも直交する2つの方向から、その物体を捉えることが必要である。すなわち、本実施形態の第1検出部41のように、2系統の光学センサを用いる場合、第1光学センサ41−1と第2光学センサ41−2は、第1光学センサ41−1の投光ライン41−1nと第2光学センサ41−2の投光ライン41−2nの交差角が90度になるように配置するのが好適である。これにより、2系統の光学センサを用いる場合において、後述の判定部18は、サンプル分注プローブ28aの変形を最も精度高く特定することができる。
図2乃至図4で説明した第1検出部41の配置は、第2検出部42、第3検出部43及び第4検出部44に対しても適用できる。
また、図2乃至図4で説明した第1検出部41の配置例は一例である。
例えば、サンプル分注プローブ28aの移動軌道28−1に沿って配置される光学センサの数は2つではなく、3つ以上でもよい。サンプル分注プローブ28aの移動軌道28−1に沿って配置される光学センサの数が多い程、判定部18によるサンプル分注プローブ28aの変形の有無の判定精度を高くすることができる。例えば、図2に例示した2つの光学センサに加えて、第3光学センサを配置する場合を想定する。このとき、第3光学センサは、第3光学センサに対応する第3投光ラインが第1投光ライン41−1n及び第2投光ライン41−2nに平行とならないように配置される。通過検出方向が多い程、判定部18によるサンプル分注プローブ28aの変形の有無を判定する方向が多くなる。したがって、光学センサが多い程、判定部18による判定結果の精度を高くすることができる。すなわち、3つ以上の光学センサを配置することにより、図2に例示した2つの光学センサを配置する場合に比べて、判定部18によるサンプル分注プローブ28aの変形の有無の判定精度を高くすることができる。
また、サンプル分注プローブ28aの移動軌道28−1に沿って配置される光学センサの数は1つでもよい。この場合、図2に例示した2つの光学センサを配置する場合に比べて、判定部18によるサンプル分注プローブ28aの変形の有無の判定精度は低くなる。しかしながら、1つの光学センサを配置する場合でも、検出対象物の形状及び移動軌道の形状等に応じて当該1つの光学センサの配置を工夫することで、判定部18による検出対象物の変形の有無の判定精度を向上させることができる。
図5は、図1の第4検出部44を構成する受発光式の光学センサの配置の一例を示す平面図である。検出対象物は、撹拌子34aである。図5に示すように、第4検出部44は、1つの光学センサ44−1で構成される。図5に示すように、撹拌子34aは、撹拌機構34により、予め決められた移動軌道34−1に沿って移動可能に支持される。光学センサ44−1は、撹拌子34aの形状に応じて配置される。具体的には、撹拌子34aは、移動座標系における断面が矩形であり、一方向の厚みに比べて他の方向の厚みが薄い場合を想定する。このような撹拌子34aは、撹拌子34aに加わる力によって、厚みの薄い方向に変形しやすい。したがって、光学センサ44−1は、撹拌子34aの他の方向の変形を特定可能に配置される。例えば、図5に示す撹拌子34aは、方向34rの厚みが薄い。したがって、光学センサ44−1を構成する投光器44−1sと受光器44−1rは、その投光ライン44−1nが、当該方向34rに直交するように配置されるのが好適である。これにより、後述の判定部18は、撹拌子34aの厚みが薄いことにより発生する変形を検出しやすくなる。
図6は、図1の第4検出部44を構成する受発光式の光学センサの配置の他の例を示す平面図である。図6に示すように、第4検出部44は、1つの光学センサ44−2で構成される。図6に示すように、撹拌子34aは、撹拌機構34により、予め決められた移動軌道34−1に沿って移動可能に支持される。光学センサ44−2は、撹拌子34aの移動軌道に応じて配置される。撹拌子34a等は、その剛体性が弱い。そのため、撹拌子34aは、移動に伴って撹拌子34aに加わる力により、移動方向Aに曲がり等の変形が発生しやすい。したがって、光学センサ44−2は、撹拌子34aの移動方向に直交するように配置される。例えば、図6に示す撹拌子34aの移動軌道34−1は、直線状である。そのため、光学センサ44−2は、その投光ライン44−2nが移動軌道34−1に直交するように配置されるのが好適である。これにより、移動に伴って撹拌子34aに加わる力により発生する撹拌子34aの変形を検出しやすくなる。
なお、図5及び図6で説明した第4検出部44の配置は、第1検出部41、第2検出部42、及び第3検出部43に対しても適用できる。
また、検出対象物の通過を検出するセンサは他のセンサであってもよい。例えば、受発光式の光学センサは、図3で述べたような、投光器41−1sと受光器41−1rが別々であってもよいし、一体型であってもよい。また、光学センサは、図2で述べたような、透過光を利用したセンサであってもよいし、反射光を利用したセンサであってもよい。また、センサは、光を利用したものでなくてもよい。センサには、超音波センサ、誘導型センサ、及び静電容量型センサ等が適用可能である。
超音波センサを適用した場合、図2乃至図4で説明した投光器41−1sを投波器に、受光器41−1rを受波器に入れ替えて説明が可能である。投波器は、超音波を発信する装置であり、受波器は、投波器から発信された超音波を受信する装置である。超音波センサは、投波器と受波器との間を通過する検出対象物によって生じる超音波の減衰または遮断を検出することにより、検出対象物の通過を検出することができる。
誘導型センサは、外部磁界の影響により、導体表面に発生する渦電流による磁気損失を検出する。具体的には、誘導型センサは、検出コイルを有する。検出コイルに交流磁界を発生させ、検出対象物に発生した渦電流によるインピーダンスの変化を検出することにより、検出対象物の通過(有無)を検出することができる。静電容量型センサは、検出対象物と静電容量型センサの間に生じる静電容量の変化を検出することにより、検出対象物の通過(有無)を検出することができる。
データ処理装置は、解析部11、出力部12、入力部13、記憶部14、システム制御部15、特定部17及び判定部18を有する。
解析部11は、標準データに基づいて、検量線のデータを発生する。具体的には、例えば、解析部11は、標準試料の濃度の異なる複数の標準データに基づいて、標準試料に対応する検量線のデータを発生する。検量線は、吸光度と特定成分の濃度(または、活性値等)の関係を表した関係線である。検量線のデータは、記憶部14に記憶される。試料分析部は、検量線のデータと被検データとに基づいて、被検試料に含まれる特定成分の濃度(または活性値)等に関する分析データを発生する。発生された分析データは、記憶部14に記憶されるとともに、出力部12へ出力される。
出力部12は、印刷部121と表示部122とを有する。出力部12は、解析部11で発生された検量線のデータと分析データとを、印刷または表示として出力する。印刷部121は、例えば、プリンタ等の出力デバイスを用いて、検量線のデータと分析データを、プリンタ用紙に所定のレイアウトで印刷する。表示部122は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ等のモニタを備える。表示部122は、後述の疑似座標系を表示する。また、表示部122は、後述の変形検知機能を実行した結果を表示する。さらに、表示部122は、検量線のデータと分析データとを所定のレイアウトで表示する。また、表示部122は、各測定項目に関する被検試料の液量、試薬の液量、測光ビームの波長等の分析条件を設定するための分析条件設定画面、被検試料に関して被検体IDや被検体名等を設定するための被検体情報設定画面、被検試料ごとの測定項目を選択するための測定項目選択画面等を表示する。
入力部13は、キーボード、マウス、各種ボタン、タッチキーパネル等の入力デバイスを有する。入力部13は、本自動分析装置1に対して、操作者が指示情報を入力するための、ユーザインターフェースとして機能する。指示情報は、例えば、各測定項目の分析条件、被検試料ごとに測定する測定項目、変形検知機能のON/OFF、変形検知機能がONのときの変形検知の頻度、及び、後述する各種閾値の設定等が該当する。入力部13は、入力デバイスを介して操作者により入力された指示情報を、操作信号としてシステム制御部15へ出力する。また、入力部13を介して操作者により入力された情報は、記憶部14に記憶されてもよい。
記憶部14は、ハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部14は、基準通過時間と基準到達時間に関するデータを記憶する。記憶部14は、測光データを記憶する。また、記憶部14は、検量線のデータを対応する標準試料と関連付けて記憶する。さらに、記憶部14は、分析データを、対応する被検試料と関連付けて記憶する。
システム制御部15は、本自動分析装置1を統括して制御する。システム制御部15は、入力部13を介して入力された分析項目、検体数等に基づいて、複数種類の動作プログラムを構成する。システム制御部15は、動作プログラムに従って、反応機構20を構成する各要素を制御する。これにより、一連の分析処理が実行される。
以下、本自動分析装置1が備える変形検知機能について説明する。変形検知機能は、動作中の本自動分析装置1において、検出対象物の変形を自動的に検出する機能である。変形検知機能に係る処理は、主に検出部40、特定部17、及び判定部18各々の処理により行われる。
特定部17は、検出部40からの出力に基づいて、検出対象物の所定位置を通過するタイミングを特定する。具体的には、特定部17は、前記検出部40からの出力に基づいて、検出対象物が所定位置の通過に要する通過時間を特定する。また、特定部17は、基準位置を通過する時刻と所定位置を通過する時刻に基づいて、移動軌道上の基準位置から所定位置までの移動に要する到達時間を特定する。
図7は、図1の特定部17の通過時間と到達時間の特定方法を説明するための補足説明図である。ここでは、図2のように第1光学センサ41−1と第2光学センサ41−2が配置された場合を例に説明する。第1光学センサ41−1にとっての基準位置は停止位置P1であり、所定位置は投光ライン41−1nである。第2光学センサ41−2にとっての基準位置は停止位置P1であり、所定位置は投光ライン41−2nである。第1光学センサ41−1から出力された通過信号を通過信号S1、第2光学センサ41−2から出力された通過信号を通過信号S2とする。後述の基準通過時間と基準到達時間との特定時の通過信号S1に対応する信号を通過信号S1r、通過信号S2に対応する信号を通過信号S2rとする。システム制御部15からパルスモータに出力されたパルス信号をパルス信号S0とする。図7において、通過信号S1、通過信号S1r、通過信号S2、通過信号S2r及びパルス信号S0を、時間整合して示している。
パルスモータは、入力されたパルス数に応じて、サンプルアーム28を回転させる。これにより、サンプル分注プローブ28aが、図2に示すように、移動軌道28−1に沿って移動される。サンプル分注プローブ28aが停止位置P1から停止位置P2まで移動されるために必要なパルス数は予め決められている。パルス信号S0に含まれる複数のパルス各々は、停止位置P1から停止位置P2までの移動軌道28−1の複数の位置にそれぞれ対応する。例えば、パルス信号S0の最初のパルスがパルスモータに出力されたタイミングは、停止位置P1に対応する。
特定部17は、パルス信号S0に基づいて、パルスモータに対して基準パルスPuが出力された時刻t0を特定する。特定部17は、通過信号S1に基づいて、サンプル分注プローブ28aが投光ライン41−1nの通過に要する通過時間Δtm1と、サンプル分注プローブ28aが投光ライン41−1nに差し掛かった時刻t1mを特定する。特定部17は、時刻t0と時刻t1mに基づいて、システム制御部15により基準パルスPuが出力されてから、サンプル分注プローブ28aが投光ライン41−1nに差し掛かるまでの到達時間dTm1を特定する。
また、特定部17は、通過信号S2に基づいて、サンプル分注プローブ28aが投光ライン41−2nの通過に要する通過時間Δtm2と、サンプル分注プローブ28aが投光ライン41−2nに差し掛かった時刻t2mを特定する。特定部17は、時刻t0と時刻t2mに基づいて、システム制御部15により基準パルスPuが出力されてから、サンプル分注プローブ28aが投光ライン41−2nに差し掛かるまでの到達時間dTm2を特定する。
基準パルスPuは、図7に示すように、パルス信号S0の最初のパルスである。したがって、基準パルスPuが出力された時刻t0は、停止位置P1からサンプル分注プローブ28aが動き出した時刻である。すなわち、到達時間dTm1は、移動軌道28−1上の基準位置(停止位置P1)から所定位置(投光ライン41−1n)までの移動に要する到達時間に対応する。また、到達時間dTm2は、移動軌道28−1上の基準位置(停止位置P1)から所定位置(投光ライン41−2n)までの移動に要する到達時間に対応する。
なお、ここでは、基準パルスPuをパルス信号S0の最初のパルスとしているが、基準パルスPuは、パルス信号S0に含まれる複数のパルスのうち、いずれであってもよい。言い換えると、基準位置は、停止位置P1ではなく、移動軌道28−1上のどこであってもよい。基準パルスPuは予め決められているが、ユーザ指示に従って適宜変更が可能である。また、特定部17は、システム制御部15からパルスモータに基準パルスPuが出力されてから、サンプル分注プローブ28aが投光ライン41−1n及び投光ライン41−2n各々に差し掛かるまでの経過時間に基づいて、到達時間dTm1及び到達時間dTm2を特定してもよい。
以上の処理により、特定部17は、サンプル分注プローブ28aに対応する到達時間(以下、特定到達時間と呼ぶ。)と通過時間(以下、特定通過時間と呼ぶ。)を特定する。また、特定部17は、基準のサンプル分注プローブ28aに対応する到達時間(以下、基準到達時間と呼ぶ。)と通過時間(以下、基準通過時間と呼ぶ。)を特定する。基準のサンプル分注プローブ28aは、変形がない状態のサンプル分注プローブ28aである。したがって、基準のサンプル分注プローブ28aは、サンプル分注プローブ28aと同一のものである。基準到達時間及び基準通過時間は、サンプル分注プローブ28aがサンプルアーム28に取り付けられ、特定部17により本自動分析装置1による分析処理の開始直後に特定されるのが好適である。しかしながら、基準到達時間及び基準通過時間は、過去にサンプル分注プローブ28aと同じものを使用したときに特定されたデータであってもよい。特定部17により特定された基準到達時間及び基準通過時間は記憶部14に対して出力される。
具体的には、特定部17は、通過信号S1rに基づいて、基準のサンプル分注プローブ28aが投光ライン41−1nの通過に要する通過時間Δtr1と、基準のサンプル分注プローブ28aが投光ライン41−1nに差し掛かった時刻t1rを特定する。特定部17は、時刻t0と時刻t1rに基づいて、システム制御部15により基準パルスPuが出力されてから、基準のサンプル分注プローブ28aが投光ライン41−1nに差し掛かるまでの到達時間dTr1を特定する。
また、特定部17は、通過信号S2rに基づいて、基準のサンプル分注プローブ28aが投光ライン41−2nの通過に要する通過時間Δtr2と、基準のサンプル分注プローブ28aが投光ライン41−2nに差し掛かった時刻t2rを特定する。特定部17は、時刻t0と時刻t2rに基づいて、システム制御部15により基準パルスPuが出力されてから、基準のサンプル分注プローブ28aが投光ライン41−2nに差し掛かるまでの到達時間dTr2を特定する。
判定部18は、特定部17により特定されたサンプル分注プローブ28aの所定位置を通過するタイミングに基づいて、サンプル分注プローブ28aの変形の有無を判定する。具体的には、判定部18は、特定部17により特定された特定到達時間と特定通過時間とのうち、少なくとも一方に基づいて、サンプル分注プローブ28aの変形の有無を判定する。以下、判定部18は、特定部17により特定された特定到達時間と特定通過時間との両方に基づいて、判定する場合を例に説明する。このとき、判定部18は、特定到達時間及び特定通過時間を、それぞれ基準到達時間及び基準通過時間に対して比較することにより、サンプル分注プローブ28aの変形の有無を判定する。
判定部18によるサンプル分注プローブ28aの変形の有無の判定結果として、判定部18は、疑似座標系のデータを発生する。疑似座標系は、第1検出部41の投光ラインを軸とした座標系である。したがって、光学センサが1つであれば、疑似座標系は1次元座標軸となり、光学センサが2つであれば、疑似座標系は2次元座標面となる。疑似座標系には、基準のサンプル分注プローブ28aを模した図形と、使用中のサンプル分注プローブ28aを模した図形とが配置される。図8に示すように、これらの図形の形状は矩形形状である。しかしながら、検出対象物に応じて形状が設定されていてもよい。例えば、検出対象物が、プローブ等であれば円(楕円)形状、撹拌子34a等であれば矩形形状に設定されていてもよい。これらの設定は、入力部13を介したユーザ指示に従って適宜変更が可能である。
判定部18は、疑似座標系のデータを表示部122に対して出力し、表示部122は、疑似座標系を表示する。ユーザは、表示部122に表示された疑似座標系を見ることで、使用中のサンプル分注プローブ28aがどの方向にどれだけ変形しているかを目視でも確認することができる。
以下、図7乃至図10を参照して、判定部18によるサンプル分注プローブ28aの変形の有無の判定方法と、そのとき発生される疑似座標系とについて説明する。
図8は、図7に対応し、サンプル分注プローブ28aを疑似座標系で表した図である。これまで説明したように、第1検出部41は第1光学センサ41−1と第2光学センサ41−2を有する。そのため、疑似座標系は、図8に示すように、2次元の疑似座標面として表せる。図8において、疑似座標面は、第1光学センサ41−1の投光ライン41−1nに対応する軸をx軸、第2光学センサ41−2の投光ライン41−2nに対応する軸をy軸とする。
第1光学センサ41−1は、サンプル分注プローブ28aの投光ライン41−1nの通過を検出する。これにより、判定部18は、通過検出方向41−1hからサンプル分注プローブ28aを見たときの見かけ上の幅を推定する。第2光学センサ41−2は、サンプル分注プローブ28aの投光ライン41−2nの通過を検出する。これにより、判定部18は、通過検出方向41−2hからサンプル分注プローブ28aを見たときの見かけ上の幅を推定する。
つまり、判定部18は、2つの光学センサからの出力に基づいて、サンプル分注プローブ28aを2つの通過検出方向から見たときの見かけ上の幅を推定することができる。したがって、疑似座標面のx軸は、サンプル分注プローブ28aを通過検出方向41−1hから見たときの見かけ上の幅の大きさと位置を表し、疑似座標面のy軸は、サンプル分注プローブ28aを通過検出方向41−2hから見たときの見かけ上の幅の大きさと位置を表す。判定部18は、サンプル分注プローブ28aの幅を、画像等から直接特定しているわけではない。疑似座標面は、サンプル分注プローブ28aの2つの方向に関する見かけ上の幅の大きさと位置を疑似的に表した座標面である。
判定部18は、疑似座標面に基準のサンプル分注プローブ28aを模した図形及び使用中のサンプル分注プローブ28aを模した図形を配置することにより、基準のサンプル分注プローブ28a(以下、基準プローブ28arと呼ぶ。)に対する使用中のサンプル分注プローブ28a(以下、検出プローブ28as)の変形の有無を判定する。以下、基準プローブ28arを模した図形を単に基準プローブ28arと呼び、検出プローブ28asを模した図形を単に検出プローブ28asと呼ぶ。
まず、疑似座標面に基準プローブ28arを配置する。判定部18は、基準プローブ28arを、その中心位置Orが原点(0,0)となるように配置する。そして、判定部18は、基準通過時間Δtr1及び基準通過時間Δtr2に基づいて、基準プローブ28arの基準幅Lxr及び基準幅Lyrをそれぞれ特定する。具体的には、判定部18は、基準通過時間Δtr1に移動速度を乗算することによりLxrを導出し、基準通過時間Δtr2に移動速度を乗算することによりLyrを導出する。基準幅Lxrは、投光ライン41−1nを通過した基準プローブ28arの幅を表す。また、基準幅Lyrは、投光ライン41−2nを通過した基準プローブ28arの幅を表す。
以上の説明により、判定部18は、図8に示すように、基準プローブ28arを疑似座標面に配置することができる。
次に、疑似座標面に検出プローブ28asを配置する。判定部18は、検出プローブ28asの検出幅Lxm、検出幅Lymおよび変形ベクトルv(x1、y1)を特定する。検出幅Lxmは、投光ライン41−1nを通過した検出プローブ28asの幅を表す。また、検出幅Lymは、投光ライン41−2nを通過した検出プローブ28asの幅を表す。変形ベクトルv(x1、y1)は、基準プローブ28arに対する検出プローブ28asの変形方向と変形量を表す。言い換えると、変形ベクトルv(x1、y1)は、検出プローブ28asが基準プローブ28arに比べて、どの方向にどれだけ曲がっているかを表す。変形ベクトルv(x1、y1)は、基準プローブ28arの中心位置Or(0,0)から検出プローブ28asの中心位置Om(x1、y1)へのベクトルである。変形ベクトルv(x1)は、通過検出方向41−1hから見たときの検出プローブ28asの基準プローブ28arに対する変形方向と変形量を表す。変形ベクトルv(y1)は、通過検出方向41−1hから見たときの検出プローブ28asの基準プローブ28arに対する変形方向と変形量を表す。
判定部18は、特定通過時間Δtm1に移動速度を乗算することにより検出幅Lxmを導出し、特定通過時間Δtm2に移動速度を乗算することによりLymを導出する。また、判定部18は、シフト時間に基づいて、変形ベクトルv(x1、y1)を特定する。シフト時間は、基準到達時間からの時間的ずれを表す。シフト時間は、特定到達時間から基準到達時間を減算した値である。したがって、シフト時間には正負の符号が含まれる。判定部18は、特定到達時間dTm1から基準到達時間dTr1を減算したシフト時間Sh1に移動速度を乗算することにより、変形ベクトルv(x1)を導出する。また、判定部18は、特定到達時間dTm2から基準到達時間dTr2を減算したシフト時間Sh2に移動速度を乗算することにより、変形ベクトルv(y1)を導出する。以上の説明により、判定部18は、図8に示すように、検出プローブ28asを疑似座標面に配置することができる。
以下、図9及び図10を参照して、図8に示す疑似座標面に配置された検出プローブ28asについて、基準プローブ28arと比較して説明する。
図9は、図8に対応し、第1の通過検出方向41−1hから見たときの検出プローブ28asの変形を示す図である。
図10は、図8に対応し、第2の通過検出方向41−2hから見たときの検出プローブ28asの変形を示す図である。
図9と図10では、図8に示す疑似座標面に対応する検出プローブ28asを説明するために、検出プローブ28asとともに基準プローブ28arを示す。検出ライン28L1及び検出ライン28L2は、第1光学センサ41−1及び第2光学センサ41−2による通過を検出する位置を表す。
判定部18は、基準幅と検出幅に基づいて、検出プローブ28asの変形の有無を判定する。具体的には、判定部18は、基準幅に対する検出幅の変化幅を特定し、変化幅が予め設定された閾値以上のときに、検出プローブ28asに変形が有ると判定する。検出プローブ28asの検出幅は、検出プローブ28asに破損、ねじれ等の形状の変化が発生したときに変化する。例えば、基準幅に対して検出幅が小さいとき、検出対象物に破損等が生じたことが示唆される。基準幅に対して検出幅が大きいとき、検出プローブ28asに、検出プローブ28asの破損物が付着したこと、または検出プローブ28asに液体や薬剤等が付着したこと等が示唆される。例えば、図8に示すように、基準幅Lxrに対する検出幅Lxmの変化幅dLxは小さい。つまり、検出幅Lxmは基準幅Lxrに比べて大きな変化がないと言える。したがって、図9に示すように、通過検出方向41−1hから見た場合に、検出プローブ28asに変形が無いことが示唆される。一方、基準幅Lyrは検出幅Lymよりも狭く、基準幅Lyrに対する検出幅Lymの変化幅dLyは大きい。したがって、図10に示すように、通過検出方向41−2hから見た場合に、検出プローブ28asが欠けていることが示唆される。
判定部18は、変化幅dLx及び変化幅dLyをそれぞれ変化幅の閾値に対して比較する。判定部18は、変化幅dLx及び変化幅dLyのうち、少なくとも一方が変化幅の閾値以上のときに、検出プローブ28asに変形が有ると判定する。一方、判定部18は、変化幅dLx及び変化幅dLyの両方が、変化幅の閾値未満のときに、検出プローブ28asに変化が無いと判定する。なお、ここでは、判定部18は、変化幅dLx及び変化幅dLyをそれぞれ同じ閾値に対して比較しているが、変化幅dLx及び変化幅dLyをそれぞれ個別の閾値に対して比較してもよい。これにより、検出プローブ28asの少しの変形も許容できない向きと少しの変形であれば許容できる向きとを設定することができる。このように設定できることで、特定の方向に関する小さな変形を許容できる場合であっても、検出プローブ28asに変形が有るとする、不要な判定を少なくすることができる。
判定部18は、変形ベクトルに基づいて、検出プローブ28asの変形方向と変形量を特定する。例えば、図8に示す変形ベクトルv(x1、y1)を用いて説明する。図8に示すように、変形ベクトルv(x1)の向きは、正の方向である。この場合、図9に示すように、通過検出方向41−1hから検出プローブ28asを見たときに、検出プローブ28asが移動方向に向かって変形していることが示唆される。このときの変形量は、v(x1)の絶対値x1である。また、変形ベクトルv(y1)の向きは、負の方向である。この場合、図10に示すように、通過検出方向41−2hから検出プローブ28asを見たときに、検出プローブ28asが移動方向とは逆方向に変形していることが示唆される。このときの変形量v(y1)の絶対値y1である。
判定部18は、変形量x1及び変形量y1を変形量の閾値に対して比較する。判定部18は、変形量x1及び変形量y1のうち、少なくとも一方が変形量の閾値以上のときに、検出プローブ28asに変形が有ると判定する。一方、判定部18は、変形量x1及び変形量y1の両方が、変形量の閾値未満のときに、検出プローブ28asに変形が無いと判定する。なお、ここでは、判定部18は、変形量x1及び変形量y1をそれぞれ同じ閾値に対して比較しているが、変形量x1及び変形量y1をそれぞれ個別の閾値に対して比較してもよい。これにより、検出プローブ28asの少しの変形も許容できない向きと少しの変形であれば許容できる向きを設定することができる。このように設定できることで、特定の方向に関する小さな変形を許容できる場合であっても、検出プローブ28asに変形が有るとする、不要な判定を少なくすることができる。
判定部18は、検出プローブ28asの変形の有無の結果を表示部122に対して出力する。表示部122は、検出プローブ28asの変形の有無の結果を表示する。このとき、表示部122は、検出プローブ28asの変形の有無の結果を、疑似座標系とともに表示してもよい。例えば、表示部122は、検出プローブ28asに変形がない場合に「変形がありません」等のテキスト情報を表示し、検出プローブ28asに変形がある場合に「変形があります」等のテキスト情報を表示する。このとき、変形した方向、変形量に関するテキスト情報が表示されてもよい。
なお、判定部18は、判定結果を「変形が有る」及び「変形が無い」の2段階で判定しなくてもよい。例えば、判定結果は、検出プローブ28asの変形度合いに応じて3段階以上で判定されてもよい。例えば、3段階で判定する場合、変形量x1及び変形量y1を比較するために第1閾値と第2閾値が設けられる(第1閾値<第2閾値)。このとき、判定部18は、変形量が第1閾値未満であれば変形度合いを「0」、第1閾値以上第2閾値未満であれば変形度合いを「0.5」、第2閾値以上であれば変形度合いを「1」と判定する。判定部18は、検出プローブ28asの変形の度合いを表示部122に対して出力する。表示部122は、検出プローブ28asの変形の度合いに応じたテキスト情報を表示する。例えば、表示部122は、変形度合いが「0」の場合に「変形がありません」等の検出プローブ28asに変形がない旨を通知するためのテキスト情報を表示する。また、表示部122は、変形度合いが「0.5」の場合に「変形はあるがそのまま分析可能」等の分析に支障となる変形がない旨を通知するためのテキスト情報を表示する。そして、表示部122は、変形度合いが「1」の場合に「すぐに停止すべき」等の分析に支障のある変形が検出プローブ28asに発生している旨を通知するテキスト情報を表示する。このように、判定部18による判定結果に複数の段階が設けられることで、ユーザは、現在の検出プローブ28asの状態を把握することができる。これにより、例えば、ユーザは、検出プローブ28asに変形が出始めた段階で、交換用のプローブを用意し、その交換用のプローブを交換するタイミングを良いタイミング(例えば、複数のロットの間)で行うことができる。
判定部18は、検出プローブ28asに変形が有ると判定した場合において、システム制御部15に対して停止信号を出力する。システム制御部15は、判定部18により停止信号が出力されたのを契機に、本自動分析装置1の分析処理を停止する。つまり、サンプルアーム28の回動も停止される。なお、判定部18により検出プローブ28asの変形が検出されたのを契機に、自動的に本自動分析装置1を停止するかはユーザ指示に従って変更されてもよい。
なお、判定部18は、疑似座標系に検出プローブ28asの吐出対象及び吸引対象の容器の口を模した枠を配置してもよい。
図11は、疑似座標系に、基準プローブ28arと、検出プローブ28asと、吐出対象及び吸引対象の容器の口を模した枠Moを重ねた図である。基準プローブ28arに対応する図形を図形28ar、時刻t6に特定された検出プローブ28asを図形28as6、時刻t7に特定された検出プローブ28asを図形28as7とする。ただし、時刻t6<時刻t7とする。また、検出プローブ28asの吐出対象及び吸引対象の容器の口を模した枠を枠Moとする。ここでは、吐出対象の容器の口と吸引対象の容器の口が同一とする。枠Moの大きさに対する図形28r、図形28as6及び図形28as7の大きさの比は、実際の比に対応する。つまり、ユーザは、疑似座標系に表示された枠Mo内に、検出プローブ28asを模した図形が入っているかで、検出プローブ28asの容器の口に対する変形度合いを確認することができる。例えば、図11に示す疑似座標系において、図形28as6のように、枠Mo内に配置されている状態であれば、時刻t6の時点で、検出プローブ28asは容器の口に入ることが示唆される。一方、図形28as7のように、枠Mo内からはみ出る位置に配置されている状態であれば、時刻t7の時点で、検出プローブ28asは容器の口に入らないことが示唆される。このように、ユーザは、図11に示す疑似座標面を見ることで、検出プローブ28asに変形が発生しているかを確認できるとともに、その検出プローブ28asの変形が、このまま分析処理を続行しても大丈夫な変形であるのかを判定部18による判定結果と併せて判断することができる。これにより、検出プローブ28asに発生した変形が分析処理に支障があるものかを、ユーザは、判定部18により自動的に判定された結果と、疑似座標系の目視との2つの結果により判断することができる。
また、図11に示す疑似座標面のように、変形検知機能により特定された検出プローブ28asを模した図形を特定された時系列に従って配置して表示されることで、ユーザは、検出プローブ28asが、どの方向に変形し始めているか、その変形がどれぐらいの量で変形しているのかを時系列で確認することができる。これにより、ユーザは、現在の検出プローブ28asの状態を過去の検出プローブ28asと照らし合わせて把握することができる。
なお、第1検出部41、特定部17及び判定部18によるサンプル分注プローブ28aに対する変形検知機能について説明した。しかしながら、この変形検知機能は、第1試薬分注プローブ30a、第2試薬分注プローブ32a、及び撹拌子34aに対しても適用が可能である。
以上説明した、本自動分析装置1の変形検知機能の効果をまとめる。
本自動分析装置1は、検出対象物が移動軌道上の所定位置を通過するタイミングを特定することにより、検出対象物の変形の有無を判定することができる。変形検知機能は、本自動分析装置1が稼働中に所定の頻度で繰り返し実行される。これにより、本自動分析装置1を止めることなく、検出対象物の変形の有無をリアルタイムに判定することができる。
本自動分析装置1は、検出対象物の変形の有無の判定結果をテキスト情報等で表示することができる。このとき表示されるテキスト情報等は、検出対象物の変形の度合いに対応していてもよい。また、テキスト情報には、例えば、変形の有無に関する情報と稼働を止める必要の有無に関する情報が含まれてもよい。これにより、ユーザは、検出対象物に変形が発生しているのか、変形が発生している場合にどれぐらいの変形であるのか、また、稼働を停止しなければならないのか等の判断をすることができる。
また、本自動分析装置1は、変形検知機能の一部として、検出対象物を模した図形と基準となる検出対象物を模した図形とを配置した疑似座標系を表示することができる。ユーザは、表示された疑似座標系を見ることで、基準となる検出対象物に対する検出対象物の位置の変化と形状の変化とをリアルタイムに確認することができる。現在の検出対象物の状態を確認することができることで、例えば、ユーザは、検出対象物に変形が出始めた段階で、交換用のプローブを用意し、その交換用のプローブを交換するタイミングを良いタイミングで行うことができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。