以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
(自動分析装置)
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の機能構成の例を示すブロック図である。図1に示される自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、出力インタフェース6、通信インタフェース7、記憶回路8、及び制御回路9を具備する。
自動分析装置1は、ラテックス凝集法を用いて試料等の濃度を測定する装置であり、試薬に添加する不溶性の担体としては、各種の担体粒子が利用可能である。担体粒子としては、例えば、ラテックス粒子、ポリスチレン、ポリスチレンラテックス、シリカ粒子等を用いることができる。
分析機構2は、標準試料、又は被検試料等の試料に、この試料に設定される各検査項目で用いられる試薬を添加する。分析機構2は、試料に試薬を添加して得られる反応液を測定し、例えば吸光度又は散乱光量で表される標準データ、及び被検データを生成する。本実施形態において、標準データは、含まれる検出対象の濃度が既知の標準試料についての吸光度又は散乱光量の測定データを表す。また、被検データは、被検試料についての吸光度又は散乱光量の測定データを表す。
解析回路3は、分析機構2により生成される標準データ、及び被検データを解析し、検量データ、及び分析データ等を生成するプロセッサである。検量データは、例えば、標準データと、標準試料について予め設定された標準検量線との関係を示す。標準検量線は、例えば、標準試料を使って試薬メーカーが算出した測定精度の高い検量線である。また、分析データは、被検データを検量データに基づいて分析することで得られる、例えば、濃度値、及び酵素の活性値として表されるデータである。
解析回路3は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行し、この動作プログラムに対応する機能を実現することで、検量データ及び分析データ等を生成する。例えば、解析回路3は、吸光度又は散乱光量が既知で濃度が0の標準試料と、吸光度又は散乱光量が既知で、濃度がそれぞれ既知である複数の標準試料とについて得られた標準データ、これらの標準試料について予め設定された標準検量線、及び予め設定された測光タイミング等に基づき、検量データを算出する。また、解析回路3は、被検データ、この被検データに対応する検査項目の検量データ、及び予め設定された測光タイミング等に基づき、分析データを生成する。解析回路3は生成した検量データ、及び分析データ等を制御回路9へ出力する。
駆動機構4は、制御回路9の制御に従い、分析機構2を駆動させる。駆動機構4は、例えば、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
入力インタフェース5は、例えば、操作者から、又は病院内ネットワークNWを介して測定を依頼された試料に係る各検査項目の分析パラメータ等の設定を受け付ける。入力インタフェース5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース5は、制御回路9に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路9へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース5はマウス、及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路9へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース5の例に含まれる。
出力インタフェース6は、制御回路9に接続され、制御回路9から供給される信号を出力する。出力インタフェース6は、例えば、表示回路、及び印刷回路等により実現される。表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等が含まれる。なお、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する処理回路も表示回路に含まれる。印刷回路は、例えば、プリンタ等を含む。なお、印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路も印刷回路に含まれる。
通信インタフェース7は、例えば、病院内ネットワークNWと接続する。通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWを介してHIS(Hospital Information System)とデータ通信を行う。なお、通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWと接続する検査部門システム(Laboratory Information System:LIS)を介してHISとデータ通信を行っても構わない。
記憶回路8は、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。なお、記憶回路8は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、記憶回路8は、複数の記憶装置により実現されても構わない。
記憶回路8は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路9で実行される動作プログラムを記憶している。記憶回路8は、分析機構2内に保持されている試薬に関する検量線情報を記憶する。検量線情報には、試薬について予め設定された標準検量線に関するデータが、検査項目毎に含まれている。また、検量線情報には、例えば、試薬について予め設定された測光タイミング線に関するデータが、検査項目毎に含まれている。検量線情報は、通信インタフェース7を介し、例えば、試薬のロット単位で、試薬メーカーから提供される。なお、検量線情報は、例えば、試薬と共に試薬メーカーから提供され、入力インタフェース5から操作者により入力されても構わない。
測光タイミング線は、測定タイミングを規定する基準線である。測光タイミングは、検量データを生成する際に用いる吸光度等の情報を取得する時点を表す。すなわち、測光タイミングは、例えば、検出対象と結合する成分が固定化された不溶性担体である、担体粒子が含まれる試薬を標準試料に添加してからの経過時間を表す。また、測光タイミングは、分析データを生成する際に用いる吸光度等の情報を取得する時点を表す。すなわち、測光タイミングは、例えば、担体粒子が含まれる試薬を被検試料に添加してからの経過時間を表す。
図2は、所定の試薬についての測光タイミング線及び測光タイミングの例を表す図である。図2において、太い実線が測光タイミング線を表す。また、細い実線は、所定の濃度の標準試料に試薬を添加した後に測定される吸光度に基づいて取得される反応曲線を表す。図2に示される反応曲線のうち、吸光度の立ち上がりが急な反応曲線ほど、濃度の高い標準試料についての反応曲線を表す。丸印は、測光タイミング線と、反応曲線との交点であり、測光タイミングを表す。図2において、測光タイミング線は、図中の右下から左上へ斜めに伸びる。すなわち、測光タイミング線は、濃度の低い標準試料に試薬を添加した場合には測光タイミングが遅くなり、濃度の高い標準試料に試薬を添加した場合には測光タイミングが早くなるように設定されている。なお、検量線情報には、測光タイミング線に関するデータではなく、測光タイミングに関するデータが含まれていても構わない。
記憶回路8は、解析回路3により生成される検量データを検査項目毎に記憶する。記憶回路8は、解析回路3により生成される分析データを被検試料毎に記憶する。
制御回路9は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路9は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。なお、制御回路9は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えても構わない。
図3は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す模式図である。図3に示される分析機構2は、反応ディスク201、恒温部202、サンプルディスク203、第1試薬庫204、及び第2試薬庫205を備える。
反応ディスク201は、反応容器2011を所定の経路に沿って搬送する。具体的には、反応ディスク201は、複数の反応容器2011を、環状に配列させて保持する。反応ディスク201は、駆動機構4により、既定の時間間隔で回動と停止とが交互に繰り返される。
反応容器2011は、例えば、ガラスにより形成されている。反応容器2011は、四角柱状を有し、上部に開口部を有している。四角柱を形成する第1乃至第4側壁のうち、第1側壁の外面からは、測光ユニット214に設けられる光源から照射される光が入射される。第1乃至第4側壁のうち、第1側壁と対向する第2側壁の外面からは、第1側壁の外面から入射された光が出射される。
恒温部202は、所定の温度に設定された熱媒体を貯留する。恒温部202は、貯留する熱媒体に反応容器2011を浸漬させることで、反応容器2011に収容される反応液を昇温する。
サンプルディスク203は、試料を収容する試料容器を複数保持する。サンプルディスク203は、駆動機構4により回動される。
第1試薬庫204は、標準試料、及び被検試料に含まれる所定の成分と反応する第1試薬を収容する試薬容器を複数保冷する。第1試薬は、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)等を含む緩衝液である。試薬容器には、試薬ラベルが貼付されている。試薬ラベルには、試薬情報を表す光学式マークが印刷されている。光学式マークには、例えば、1次元画素コード、及び2次元画素コード等、任意の画素コードが用いられる。試薬情報は、試薬容器に収容される試薬に関する情報であり、例えば、試薬名、試薬メーカコード、試薬項目コード、ボトル種類、ボトルサイズ、容量、製造ロット番号、及び有効期間等を含む。
また、第1試薬庫204は、標準試料を収容する標準試料容器を複数保冷する。標準試料容器には、濃度が異なる同一の成分の標準試料が収容されていても構わない。なお、標準試料容器は、サンプルディスク203に保持されていても構わない。
第1試薬庫204内には、試薬ラック2041が回転自在に設けられている。試薬ラック2041は、複数の試薬容器、及び複数の標準試料容器を円環状に配列して保持する。試薬ラック2041は、駆動機構4により回動される。また、第1試薬庫204内には、試薬容器に貼付されている試薬ラベルから試薬情報を読み取るリーダ(図示せず)が設けられている。読み取られた試薬情報は、記憶回路8で記憶される。
第1試薬庫204上の所定の位置には、第1試薬吸引位置が設定されている。第1試薬吸引位置は、例えば、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、試薬ラック2041に円環状に配列される試薬容器及び標準試料容器の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。
第2試薬庫205は、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器を複数保冷する。第2試薬は、試料に含まれる所定の抗原又は抗体と、特異的抗原抗体反応により結合又は乖離する抗原又は抗体が固定化された不溶性担体、例えば、担体粒子を含む溶液である。特異的反応により結合又は乖離するものとして酵素、基質、アプタマー、受容体であっても良い。第2試薬庫205内には、試薬ラック2051が回転自在に設けられている。
試薬ラック2051は、複数の試薬容器を円環状に配列して保持する。なお、第2試薬庫205において、標準試料を収容する標準試料容器が保冷されていても構わない。試薬ラック2051は、駆動機構4により回動される。また、第2試薬庫205内には、試薬容器に貼付されている試薬ラベルから試薬情報を読み取るリーダ(図示せず)が設けられている。読み取られた試薬情報は、記憶回路8で記憶される。
第2試薬庫205上の所定の位置には、第2試薬吸引位置が設定されている。第2試薬吸引位置は、例えば、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、試薬ラック2051に円環状に配列される試薬容器の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。
また、図3に示される分析機構2は、サンプル分注アーム206、サンプル分注プローブ207、第1試薬分注アーム208、第1試薬分注プローブ209、第2試薬分注アーム210、第2試薬分注プローブ211、第1攪拌ユニット212、第2攪拌ユニット213、測光ユニット214、及び洗浄ユニット215を備える。
サンプル分注アーム206は、反応ディスク201とサンプルディスク203との間に設けられている。サンプル分注アーム206は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。サンプル分注アーム206は、一端にサンプル分注プローブ207を保持する。
サンプル分注プローブ207は、サンプル分注アーム206の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、サンプルディスク203で保持される試料容器の開口部が位置するようになっている。また、サンプル分注プローブ207の回動軌道上には、サンプル分注プローブ207が吸引した試料を反応容器2011へ吐出するためのサンプル吐出位置が設けられている。サンプル吐出位置は、サンプル分注プローブ207の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
サンプル分注プローブ207は、駆動機構4によって駆動され、サンプルディスク203で保持される試料容器の開口部の直上、又は、サンプル吐出位置において上下方向に移動する。また、サンプル分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、直下に位置する試料容器から試料を吸引する。また、サンプル分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、吸引した試料を、サンプル吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。
第1試薬分注アーム208は、第1試薬庫204の外周近傍に設けられている。第1試薬分注アーム208は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム208は、一端に第1試薬分注プローブ209を保持する。
第1試薬分注プローブ209は、第1試薬分注アーム208の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第1試薬吸引位置が設けられている。また、第1試薬分注プローブ209の回動軌道上には、第1試薬分注プローブ209が吸引した第1試薬、又は標準試料を反応容器2011へ吐出するための第1試薬吐出位置が設定されている。第1試薬吐出位置は、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
第1試薬分注プローブ209は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第1試薬吸引位置、又は第1試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、第1試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器から第1試薬、又は標準試料を吸引する。また、第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、吸引した第1試薬、又は標準試料を、第1試薬吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。すなわち、第1試薬分注プローブ209は、本実施形態における吐出部の一例である。
第2試薬分注アーム210は、第1試薬庫204の外周近傍に設けられている。第2試薬分注アーム210は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム210は、一端に第2試薬分注プローブ211を保持する。
第2試薬分注プローブ211は、第2試薬分注アーム210の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第2試薬吸引位置が設けられている。また、第2試薬分注プローブ211の回動軌道上には、第2試薬分注プローブ211が吸引した第2試薬を反応容器2011へ吐出するための第2試薬吐出位置が設定されている。第2試薬吐出位置は、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
第2試薬分注プローブ211は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第2試薬吸引位置、又は第2試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、第2試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器から第2試薬を吸引する。また、第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。すなわち、第2試薬分注プローブ211は、本実施形態における吐出部の一例である。
第1攪拌ユニット212は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。第1攪拌ユニット212は、第1攪拌アーム2121、及び第1攪拌アーム2121の先端に設けられる第1攪拌子を有する。第1攪拌ユニット212は、第1攪拌子により、反応ディスク201上の第1攪拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている標準試料と第1試薬とを攪拌する。また、第1攪拌ユニット212は、第1攪拌子により、反応ディスク201上の第1攪拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている試料と第1試薬とを攪拌する。
第2攪拌ユニット213は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。第2攪拌ユニット213は、第2攪拌アーム2131、及び第2攪拌アーム2131の先端に設けられる第2攪拌子を有する。第2攪拌ユニット213は、第2攪拌子により、反応ディスク201上の第2攪拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている標準試料、第1試薬、及び第2試薬を攪拌する。また、第2攪拌ユニット213は、第2攪拌子により、第2攪拌位置に位置する反応容器2011内に収容されている試料、第1試薬、及び第2試薬を攪拌する。
測光ユニット214は、反応容器2011内に吐出された試料、第1試薬、及び第2試薬の反応液を光学的に測定する。測光ユニット214は、光源、及び光検出器を有する。測光ユニット214は、制御回路9の制御に従い、光源から光を照射する。照射された光は、反応容器2011の第1側壁から入射され、第1側壁と対向する第2側壁から出射される。測光ユニット214は、反応容器2011から出射された光を、光検出器により検出する。
具体的には、例えば、光検出器は、光源から反応容器2011に照射される光の光軸上の位置に配置されている。光検出器は、反応容器2011内の標準試料、第1試薬、及び第2試薬の反応液を透過した光を検出し、検出した光の強度に基づき、吸光度により表される標準データを生成する。また、光検出器は、反応容器2011内の被検試料、第1試薬、及び第2試薬の反応液を透過した光を検出し、検出した光の強度に基づき、吸光度により表される被検データを生成する。測光ユニット214は、生成した標準データ、及び被検データを解析回路3へ出力する。
洗浄ユニット215は、測光ユニット214で反応液の測定が終了した反応容器2011の内部を洗浄する。
図1に示される制御回路9は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路9は、動作プログラムを実行することで、システム制御機能91、校正制御機能92、及び測定制御機能93を有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能91、校正制御機能92、及び測定制御機能93が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能91、校正制御機能92、及び測定制御機能93を実現しても構わない。
システム制御機能91は、入力インタフェース5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。
校正制御機能92は、標準データを生成するように、分析機構2、及び駆動機構4を制御する機能である。具体的には、制御回路9は、所定のタイミングで校正制御機能92を実行する。所定のタイミングとは、例えば、初期設定時、装置起動時、メンテナンス時、及び操作者から校正動作開始の指示が入力された際等である。
校正制御機能92を実行すると制御回路9は、分析機構2、及び駆動機構4を制御する。分析機構2、及び駆動機構4が制御されることで、分析機構2では、標準データが生成される。具体的には、例えば、駆動機構4により駆動されることで、分析機構2の第1試薬分注プローブ209は、標準試料を第1試薬庫204から吸引し、吸引した標準試料を反応容器2011へ吐出する。第1試薬分注プローブ209は、第1試薬を第1試薬庫204から吸引し、吸引した第1試薬を、標準試料が吐出された反応容器2011へ吐出する。第1攪拌ユニット212は、標準試料に第1試薬が添加された溶液を撹拌する。
第2試薬分注プローブ211は、第2試薬を第2試薬庫205から吸引し、吸引した第2試薬を、標準試料と第1試薬とが混合された混合液へ吐出する。第2攪拌ユニット213は、混合液に第2試薬が添加された溶液を撹拌する。測光ユニット214は、標準試料、第1試薬、及び第2試薬が撹拌されてなる反応液を光学的に測定することで、標準データを生成する。測光ユニット214は、生成した標準データを解析回路3へ出力する。測光ユニット214は、予め設定された周期で予め設定された回数、反応液の測定を繰り返し、生成した標準データを解析回路3へ出力する。分析機構2は、予め設定した複数の濃度の標準試料について上記動作を繰り返し、生成した標準データを解析回路3へ出力する。
測定制御機能93は、被検データを生成するように、分析機構2、及び駆動機構4を制御する機能である。具体的には、制御回路9は、所定の指示に応じて測定制御機能93を実行する。所定の指示とは、例えば、操作者から入力される測定動作開始の指示、及び予め設定した時刻に到達したことを表す指示等である。
測定制御機能93を実行すると制御回路9は、分析機構2、及び駆動機構4を制御する。分析機構2、及び駆動機構4が制御されることで、分析機構2では、被検データが生成される。具体的には、駆動機構4により駆動されることで、分析機構2のサンプル分注プローブ207は、被検試料をサンプルディスク203から吸引し、吸引した被検試料を反応容器2011へ吐出する。第1試薬分注プローブ209は、第1試薬を第1試薬庫204から吸引し、吸引した第1試薬を、被検試料が吐出された反応容器2011へ吐出する。第1攪拌ユニット212は、被検試料に第1試薬が添加された溶液を撹拌する。
第2試薬分注プローブ211は、第2試薬を第2試薬庫205から吸引し、吸引した第2試薬を、被検試料と第1試薬とが混合された混合液へ吐出する。第2攪拌ユニット213は、混合液に第2試薬が添加された溶液を撹拌する。測光ユニット214は、被検試料、第1試薬、及び第2試薬が撹拌されてなる反応液を光学的に測定することで、被検データを生成する。測光ユニット214は、生成した被検データを解析回路3へ出力する。測光ユニット214は、予め設定された周期で予め設定された回数、反応液の測定を繰り返し、生成した被検データを解析回路3へ出力する。
図1に示される解析回路3は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、解析回路3は、動作プログラムを実行することで、検量データ生成機能31、及び分析データ生成機能32を有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによって検量データ生成機能31、及び分析データ生成機能32が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて解析回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することにより検量データ生成機能31、及び分析データ生成機能32を実現しても構わない。
検量データ生成機能31は、分析機構2で生成された標準データに基づいて検量データを生成する機能である。具体的には、解析回路3は、分析機構2で生成された標準データを受信すると、検量データ生成機能31を実行する。検量データ生成機能31を実行すると解析回路3は、所定の検査項目の試薬について予め設定された標準検量線に関するデータ、及び測光タイミング線に関するデータを記憶回路8から読み出す。解析回路3は、標準データ、標準検量線、及び測光タイミング線に基づき、検量データを生成する。解析回路3は、生成した検量データを記憶回路8に記憶させる。
分析データ生成機能32は、分析機構2で生成された被検データを解析することで分析データを生成する機能である。具体的には、解析回路3は、分析機構2で生成された被検データを受信すると、分析データ生成機能32を実行する。分析データ生成機能32を実行すると解析回路3は、所定の検査項目について記憶されている検量データ、及び測光タイミング線に関するデータを記憶回路8から読み出す。解析回路3は、被検データ、測光タイミング線、及び検量データに基づき、分析データを生成する。
(標準検量線、測光タイミング線、及び測光タイミングの設定)
次に、標準検量線、測光タイミング線、及び測光タイミングの設定の例について詳細に説明する。以下では、例えば、試薬メーカーにおいて、上記の自動分析装置1を用いて吸光度が測定され、測定された吸光度に基づき、標準検量線、測光タイミング線、及び測光タイミングが設定される場合を例に説明する。
まず、測光タイミング、及び測光タイミング線の設定について説明する。
試薬を設計する際、又は処方する際、標準試料についてのタイムコースが取得される。例えば、反応容器2011-1~2011-8へ、濃度が既知の標準試料S1~S8がそれぞれ分注される。例えば、標準試料S1の濃度は0であり、標準試料S2の濃度は8ng/mlであり、標準試料S3の濃度は32ng/mlであり、標準試料S4の濃度は64ng/mlであり、標準試料S5の濃度は129ng/mlであり、標準試料S6の濃度は259ng/mlであり、標準試料S7の濃度は518ng/mlであり、標準試料S8の濃度は1037ng/mlであるとする。
続いて、反応容器2011-1~2011-8へそれぞれ分注された標準試料S1~S8に、緩衝液である第1試薬が添加される。第1試薬が添加された標準試料S1~S8は撹拌される。反応容器2011-1~2011-8に収容される混合液は、撹拌後、所定の温度で所定期間インキュベーションされる。インキュベーション後、反応容器2011-1~2011-8にそれぞれ収容される混合液に、標準試料中の検出対象と結合する成分が固定化された担体粒子を含む第2試薬が添加される。第2試薬が添加された混合液は撹拌される。
反応容器2011-1~2011-8にそれぞれ収容される標準試料S1~S8、第1試薬、及び第2試薬の反応液は、所定の温度で所定期間インキュベーションされている間に光が照射される。具体的には、例えば、反応容器2011-1~2011-8には、標準試料S1~S8に第2試薬が添加された後、4.6秒の周期で33回、光源から光がそれぞれ照射される。反応容器2011-1~2011-8を透過した透過光は、光検出器により検出される。検出された光の強度に基づき、標準試料についてのタイムコースが取得される。
図4は、標準試料S1~S8についての測定値及びタイムコース(反応曲線)の例を表す図である。図4では、17サイクルから33サイクルにおいて、濃度の異なる標準試料S1~S8についての反応液で測定された吸光度が表されている。図4において、四角印は吸光度の測定値を表し、各四角印を結んだ線は反応曲線を表す。反応曲線C1は、標準試料S1の各サイクルの吸光度に基づいて算出される。反応曲線C1と同様に、反応曲線C2~C8は、それぞれ標準試料S2~S8の各サイクルの吸光度に基づいて算出される。濃度が低い標準試料S2~S4については、反応時間の増加量と、吸光度の増加量とは、略比例関係にある。一方、濃度が中程度から高い標準試料S5~S8については、反応時間が経過すると、吸光度が飽和に近づく。
第2試薬に含まれる担体粒子の凝集反応は、試料の濃度が増大すると吸光度が飽和し、フック現象を起こす特性を有する。そのため、濃度が高い標準試料との反応液については、フック現象を起こすよりも短い測光タイミングで測定されることが望ましい。本実施形態では、反応曲線C1~C8に基づき、例えば、標準試料の濃度が低濃度から高濃度になるにつれて、測光タイミングが短くなるように測光タイミング線が設定される。なお、反応曲線が交差する部分が存在する場合には、測光タイミングは、反応曲線が交差する時点より早く設定される。
より詳細には、例えば、まず、反応曲線C1~C8それぞれから1つずつ抽出した測定値をデータセットとし、吸光度を目的変数とする回帰分析を実施する。抽出する測定値を変更しながら回帰分析を繰り返し、算出された複数の回帰式のうち、所定の条件を満たす回帰式を抽出する。所定の条件とは、例えば、回帰式の決定係数が0.9以上となること、及び回帰式の次数が所定次数以下となることを含む。続いて、抽出した回帰式毎に、反応曲線C1~C8との交点を求め、隣り合う反応曲線との交点間の吸光度の差の和、又は積等を算出する。そして、抽出した回帰式のうち、算出した和、又は積の値が最も大きくなる回帰式を測光タイミング線とする。
図5及び図6は、図4に示される反応曲線C1~C8に基づいて設定される測光タイミング線、及び測光タイミングの例を表す図である。図5において、測光タイミング線は太い破線により表され、直線形状を有する。図6において、測光タイミング線は太い破線により表され、曲線形状を有する。図5及び図6において、丸印は測光タイミングを表す。測光タイミングは、測光タイミング線と、反応曲線C1~C8との交点に設定される。
なお、測光タイミング線は、図5及び図6で示されるような、回帰式に基づく線に限定されない。測光タイミング線は、回帰分析に用いられた測定値に基づいて設定されても構わない。具体的には、例えば、回帰分析により算出された複数の回帰式のうち、所定の条件を満たす回帰式を抽出する。抽出した回帰式毎に、回帰分析に用いた反応曲線C1~C8毎の測定値を取得し、隣り合う反応曲線の測定値間の吸光度の差の和、又は積等を算出する。そして、算出した和、又は積の値が最も大きくなる測定値を結んだ線を測光タイミング線とする。
図7は、回帰分析に用いられた測定値に基づいて設定される測光タイミング線、及び測光タイミングの例を表す図である。このように、実際に計測した測定値を利用して測光タイミング線を設定することが可能となる。
次に、標準検量線の生成について説明する。標準検量線は、例えば、反応曲線C1~C8毎に設定された測光タイミングで測定される吸光度に基づいて生成される。標準検量線は、濃度と吸光度との相関関係を表す。
図8は、図7に示される測光タイミングに基づいて生成される標準検量線の例を表す図である。図8に示される標準検量線によれば、吸光度は、検出対象の濃度の増加と共に増加する。このため、検出対象の濃度の高低に関わらず、吸光度から、検出対象の濃度を一意に求めることが可能となる。
なお、本実施形態において設定される測光タイミング線は、図5乃至図7で示されるような1本の測光タイミング線に限定されない。標準試料の濃度に応じ、複数本の測光タイミング線が設定されても構わない。例えば、図9に示されるように2本の測光タイミング線L1,L2が設定されてもよい。このとき、低い濃度の標準試料S1~S3についての測光タイミングT1~T3は、標準試料S1~S3についての反応曲線C1~C3と、測光タイミング線L1との交点に設定される。また、中程度から高い濃度の標準試料S4~S8についての測光タイミングT4~T8は、標準試料S4~S8についての反応曲線C4~C8と、測光タイミング線L2との交点に設定される。なお、図9において、低濃度帯と、高濃度帯とで照射する光の周波数を変えても構わない。
図10は、図9に示される測光タイミングに基づいて生成される標準検量線の例を表す図である。図10に示される標準検量線は、濃度と吸光度との相関関係を表す。図10に示される吸光度は、例えば、反応液内での反応が進んでいない初期サイクルにおける吸光度と、図9に示される測光タイミングT1~T8で測定される吸光度との差から算出される。図10によれば、検出対象の濃度帯毎に、吸光度が検出対象の濃度の増加と共に増加する標準検量線が生成される。これにより、短サイクルでの測定については中高濃度帯用の標準検量線を参照し、長サイクルでの測定については低濃度帯用の標準検量線を参照することで、吸光度から、検出対象の濃度を一意に求めることが可能となる。
また、本実施形態では、標準試料S1~S8を利用した測定結果に基づいて測光タイミング線及び測光タイミングを設定する場合を例に説明したが、これに限定されない。利用される標準試料の数は、8以下、例えば、6程度であっても構わない。
以上のように、第1の実施形態では、標準試料S1~S8それぞれに、標準試料S1~S8内の検出対象と結合する成分が固定化された不溶性担体を含む試薬が添加される。標準試料S1~S8に試薬が添加されたそれぞれの反応液は、異なる測光タイミングで光学的に測定される。そして、標準試料毎の測光結果に基づき、標準検量線としての検量線が生成される。これにより、濃度毎に異なる測光タイミングで取得された測光結果を用いて検量線を生成することが可能となる。
また、第1の実施形態では、測光タイミングは、標準試料の濃度が高濃度から低濃度になるに伴い、段階的に遅くなるように設定されている。これにより、濃度が高いほど早くに取得された測光結果を用いて検量線が生成されるようになる。
また、第1の実施形態では、測光強度の経時変化を表す強度曲線を標準試料毎に算出する。標準試料毎の強度曲線に基づき、情報を取得する時点が高濃度の標準試料から低濃度の標準試料へ段階的に遅くなるように測光タイミング線を設定する。そして、標準試料毎の強度曲線と、測光タイミング線との交点を測光タイミングとするようにしている。これにより、検量線を生成するための情報を、検出対象の濃度毎に適した反応時間で取得することが可能となる。
(自動分析装置1による検量データの生成)
次に、以上のように構成された自動分析装置1が検量データを生成する動作の例を詳細に説明する。
まず、自動分析装置1は、ロット単位で入荷した第2試薬の検量線情報を、例えば、ネットワークを介して取得する。検量線情報には、ロット単位で入荷された第2試薬の標準検量線に関するデータ、及び測光タイミング線に関するデータが含まれている。取得した検量線情報は、記憶回路8に記憶される。
制御回路9は、例えば、自動分析装置1の起動時に、校正制御機能92を実行する。校正制御機能92を実行すると制御回路9は、分析機構2、及び駆動機構4を制御することで所定の検査項目についての標準データを生成する。具体的には、例えば、第1試薬庫204に設けられている試薬ラック2041が回動され、試薬ラック2041に保持されている、標準試料S1~S8の少なくとも1つの標準試料の容器の開口部が第1試薬吸引位置に配置される。容器に収容されている標準試料は、第1試薬分注プローブ209により吸引される。吸引された標準試料は反応容器2011へ吐出される。
続いて、試薬ラック2041が回動され、試薬ラック2041に保持されている、第1試薬の試薬容器の開口部が第1試薬吸引位置に配置される。試薬容器に収容されている第1試薬は、第1試薬分注プローブ209により吸引される。吸引された第1試薬は、標準試料が吐出された反応容器2011へ吐出される。標準試料及び第1試薬が吐出された反応容器2011は、反応ディスク201により、第1攪拌位置へ搬送される。標準試料に第1試薬が添加された溶液は、第1攪拌ユニット212により撹拌され、所定の温度で所定期間インキュベーションされる。
続いて、第2試薬庫205に設けられている試薬ラック2051が回動され、試薬ラック2051に保持されている、第2試薬の試薬容器の開口部が第2試薬吸引位置に配置される。試薬容器に収容されている第2試薬は、第2試薬分注プローブ211により吸引される。吸引された第2試薬は、標準試料と第1試薬とが混合された混合液へ吐出される。標準試料、第1試薬、及び第2試薬が吐出された反応容器2011は、反応ディスク201により、第2攪拌位置へ搬送される。標準試料に第1試薬及び第2試薬が添加された溶液は、第2攪拌ユニット213により撹拌される。
第2攪拌ユニット213により撹拌された反応容器2011は、反応ディスク201により、測光ポイントへ搬送される。測光ユニット214の光源は、測光ポイントに搬送された反応容器2011へ光を照射する。測光ユニット214の光検出器は、反応容器2011を透過した光を検出する。検出された光の強度に基づき、吸光度としての標準データが生成される。生成された標準データは、解析回路3へ出力される。測光ユニット214による測定は、予め設定された周期で予め設定された回数繰り返され、生成された標準データは、解析回路3へ出力される。なお、標準データを生成するのに用いられる標準試料は1つに限定されない。例えば、2つの標準試料が用いられても構わない。このとき、例えば、標準試料S2,S5が用いられる。
解析回路3は、分析機構2から出力された標準データを受信すると、検量データ生成機能31を実行する。検量データ生成機能31を実行すると解析回路3は、第2試薬の所定の検査項目についての標準検量線に関するデータ、及び測光タイミング線に関するデータを記憶回路8から読み出す。解析回路3は、標準データに含まれる標準試料についての測定値に対して近似曲線を引くことで、反応曲線を算出する。解析回路3は、反応曲線と、測光タイミング線との交点である測光タイミング(標準試料S2,S5を用いる場合には測光タイミングT2,T5)における吸光度を算出する。
解析回路3は、測光タイミングにおける吸光度に基づいて標準検量線を補正・補間することで、当該検査項目の被検データ測定が可能となる検量線を得る。解析回路3は、例えば、補正された検量線を検量データとして記憶回路8に記憶させる。なお、少なくとも1つの標準試料の測定により得られた標準データに基づいて標準検量線を補正することで検量線を得る手法は、試薬を節約する観点から一般的に用いられる手法である。しかしながら、これに限定されない。解析回路3は、標準検量線を用いずに検量線を取得してもよい。
具体的には、例えば、全ての標準試料S1~S8についての測定が実施され、吸光度としての標準データが生成される。解析回路3は、分析機構2から出力された標準データを受信すると、検量データ生成機能31を実行する。検量データ生成機能31を実行すると解析回路3は、第2試薬の所定の検査項目についての測光タイミング線に関するデータを記憶回路8から読み出す。解析回路3は、標準データに含まれる標準試料についての測定値に対して近似曲線を引くことで、反応曲線を算出する。解析回路3は、反応曲線と、測光タイミング線との交点である測光タイミングにおける吸光度を算出する。解析回路3は、測光タイミングにおける吸光度に基づいて検量線を得る。解析回路3は、例えば、検量線を検量データとして記憶回路8に記憶させる。これにより、現環境下におけるより適正な検量線を得ることが可能となる。
以上のように、第1の実施形態では、自動分析装置1は、第1試薬分注プローブ209により、標準試料S1~S8の少なくともいずれかに、標準試料に含まれる検出対象と結合する成分が固定化された不溶性担体を含む試薬を添加する。測光ユニット214は、標準試料に試薬が添加された反応液を光学的に測定することで、標準試料についての測光強度を取得する。記憶回路8は、測光強度に関する情報を取得する時点が、高濃度の標準試料から低濃度の標準試料へ段階的に長くなるように設定された測光タイミング線を記憶している。そして、解析回路3は、検量データ生成機能31により、取得した測光強度に基づいてこの測光強度の経時変化を表す強度曲線を取得し、強度曲線と測光タイミング線との交点で取得される情報に基づいて検量データを生成するようにしている。これにより、自動分析装置1は、検出対象の濃度に適した反応時間で情報を取得することで、ダイナミックレンジの広い検量データを生成することが可能となる。
(自動分析装置1による分析データの生成)
次に、自動分析装置1が分析データを生成する動作の例を詳細に説明する。
制御回路9は、例えば、操作者から測定動作開始の指示が入力されると、測定制御機能93を実行する。測定制御機能93を実行すると制御回路9は、分析機構2、及び駆動機構4を制御することで所定の検査項目についての被検データを生成する。
解析回路3は、分析機構2から出力された被検データを受信すると、分析データ生成機能32を実行する。分析データ生成機能32を実行すると解析回路3は、被検データと対応する検査項目について記憶されている検量データ、及び測光タイミング線に関するデータを記憶回路8から読み出す。解析回路3は、被検データに含まれる、実際に測定された複数の吸光度に対して近似曲線を引くことで、被検データ近似曲線を算出する。なお、被検データ近似曲線は、吸光度に基づいて算出される近似曲線に限られず、吸光度間を線形補間した直線であっても構わない。近似式の精度が高いことが前提となるが、近似曲線により表される方が、直線により表される場合よりもノイズに対してロバストとなる。
図11は、標準試料S1~S8についての反応曲線C1~C8、測光タイミング線、及び被検データに基づいて算出された被検データ近似曲線の例を表す図である。図11に示される例では、被検データ近似曲線は、太い二点鎖線により表され、測光タイミングT4とT5との間で測光タイミング線と交差している。
被検データに基づき、試料中の検出対象の濃度を求めるためには、測光タイミング線と被検データ近似曲線との交点の位置を求め、その位置を検量データ上に置き換える必要がある。解析回路3では、例えば、次の処理によって検量データ上の位置が特定される。
図12は、記憶回路8に記憶されている補正済み検量データの例を表す図である。まず、解析回路3は、図11に示される測光タイミング線上のT4とT5とを直線で結ぶ。測光タイミング線と被検データ近似曲線とが交差するポイントをXとした場合、T4X:XT5=a:bであるとする。解析回路3は、被検データと対応する検査項目についての補正済み検量データ上において線分T4T5をa:bに分割するポイントを計算により求める。このポイントが、測光タイミング線上の交点が検量データ上に置き換えられた交点Xとなる。図12において、交点Xからグラフのx軸に垂線を下し、x軸と交わった値が、試料中の検出対象の濃度となる。
以上のように、第1の実施形態では、自動分析装置1は、第1試薬分注プローブ209により、被検試料に、所定成分が固定化された不溶性担体を含む試薬を添加する。測光ユニット214は、被検試料に試薬が添加された反応液を光学的に測定することで、被検試料についての測光強度を取得する。そして、解析回路3は、分析データ生成機能32により、取得した被検試料の測光強度に基づいてこの測光強度の経時変化を表す強度曲線を取得し、強度曲線と測光タイミング線との交点で取得される情報、及び検量データに基づいて分析データを生成するようにしている。これにより、自動分析装置1は、ダイナミックレンジの広い検量データを用い、分析データを生成することが可能となる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、標準検量線及び検量線は、例えば、濃度と吸光度との相関関係を表すものとして説明した。第2の実施形態では、標準検量線及び検量線が、例えば、濃度と反応時間との相関関係を表すものである場合を説明する。
(標準検量線、測光タイミング線、及び測光タイミングの設定)
第2の実施形態において標準検量線は、例えば、濃度と反応時間との相関関係を表す。標準検量線は、例えば、試薬メーカー等において、反応曲線C1~C8毎に設定された測光タイミングに到達するまでの反応時間に基づいて生成される。
具体的には、例えば、測光タイミング線が図6に示されるような曲線形状を有する場合、測光タイミングT1~T8にそれぞれ到達するまでの反応時間は、図13に示されるように表される。このとき、標準検量線は、取得した反応時間を縦軸とし、濃度を横軸として算出される。図14は、図13に基づいて算出される、濃度と反応時間とから表される標準検量線の例を表す図である。図14に示される標準検量線によれば、反応時間は、検出対象の濃度の増加と共に減少する。
なお、第2の実施形態において、測光タイミング線により規定される測光タイミングは、最大測定回数内で設定されることに限定されない。すなわち、測光タイミングは、例えば、33サイクルよりも遅い時間で設定されても構わない。
例えば、標準試料についてのタイムコース(反応曲線)の少なくともいずれかに基づき、最大測定回数を超える区間の反応曲線を推測する。そして、反応曲線、及び推測した反応曲線に基づき、測光タイミング線が設定される。
具体的には、例えば、図4に示される、標準試料S1~S8についての反応曲線C1~C8を想定する。反応曲線C1~C8について、例えば、それぞれ観測区間30~33の4点を用いた線形回帰分析を実施する。なお、線形回帰分析に用いる区間は任意であり、ユーザ及び試薬メーカーで選択可能である。
線形回帰分析により算出した近似直線のうち、決定係数が例えば0.5以上の近似直線を抽出する。観測区間30~33の4点により算出される近似直線の決定係数が負の値、又は0.5未満である場合、直線近似よりも曲線近似の方が望ましいからである。抽出した近似直線は、当該近似直線と対応する反応曲線についての33サイクルより後の反応を表す。決定係数が0.5未満の近似直線が算出された反応曲線については、33サイクルより後の反応は考慮しない。
33サイクルより後の区間を含む反応曲線C1~C8それぞれから、例えば、1つずつ抽出した測定値をデータセットとし、吸光度を目的変数とする回帰分析を実施する。抽出する測定値を変更しながら回帰分析を繰り返し、算出された複数の回帰式のうち、所定の条件を満たす回帰式を抽出する。続いて、抽出した回帰式毎に、反応曲線C1~C8との交点を求め、隣り合う反応曲線との交点間の吸光度の差の和、又は積等を算出する。そして、抽出した回帰式のうち、算出した和、又は積の値が最も大きくなる回帰式を測光タイミング線とする。
図15は、33サイクルより後の区間を含む反応曲線C1~C8に基づいて設定される測光タイミング線、及び測光タイミングの例を表す図である。図15において、測光タイミング線は太い破線により表され、曲線形状を有する。図15において、丸印は測光タイミングを表す。図15では、反応曲線C1~C4について算出された近似直線が、33サイクルより後の反応を表している。図15では、測光タイミング線と反応曲線C1~C3とが、33サイクルを超える区間で交差している。つまり、標準試料S1~S3についての測光タイミングT1~T3は、33サイクルを超える区間で発生している。図15に示される測光タイミングT1~T8に到達するまでの反応時間に基づいて標準検量線が生成される。
図16は、図15に示される測光タイミングに基づいて生成される標準検量線の例を表す図である。図16に示される標準検量線によれば、反応時間は、検出対象の濃度の増加と共に減少する。
なお、決定係数0.5未満の近似直線が算出された反応曲線については、観測区間30~33の4点を用いて近似曲線を改めて算出し、算出した近似曲線により、33サイクルより後の反応を表しても構わない。また、近似直線を抽出する際の決定係数の閾値は、0.5に限定されない。当該閾値は、任意に設定可能である。
また、測光タイミング線は、33サイクルより後の反応曲線を算出した後に設定されることに限定されない。例えば、測光タイミング線は、33サイクルより後の反応曲線を算出する前に設定されてもよい。例えば、吸光度がどの値になった点(反応時間)を標準検量線上の点として採用するかを反応曲線毎に決定する。決定された点に基づいて測光タイミング線が設定される。
このとき、33サイクルより後の反応曲線を算出する必要があるか否かは、設定した測光タイミング線に基づいて判断され得る。例えば、設定した測光タイミング線と反応曲線との交点が33サイクル以内に存在しない場合、33サイクルより後の反応曲線を算出する必要があると判断する。33サイクルより後の反応曲線を算出する必要がある場合、反応曲線における所定の区間の測定値を用いて回帰分析を実施し、33サイクルより後の反応曲線を算出する。
また、第2の実施形態において、測光タイミング線は、右下から左上へ斜めに伸びる線でなくても構わない。例えば、測光タイミング線は、横軸と平行な直線であっても構わない。
例えば、測光タイミング線を吸光度が固定された直線として設定する。図17は、吸光度が固定された測光タイミング線、及び測光タイミングの例を表す図である。図17において、測光タイミング線は太い破線により表され、測光タイミングは丸印により表される。図17では、反応曲線C1~C4について算出された近似直線が、33サイクルより後の反応を表している。図17では、測光タイミング線と反応曲線C2,C3とが、33サイクルを超える区間で交差している。なお、反応曲線C2は、横軸に対して所定の角度を有しているため、これらの反応曲線を延伸させるといずれ測光タイミング線と交差することになる。これにより、標準試料S2,S3についての測光タイミングT2,T3は、33サイクルを超える区間で発生することになる。図17に示される測光タイミングT2~T8に到達するまでの反応時間に基づいて標準検量線が生成される。
図18は、図17に示される測光タイミングに基づいて生成される標準検量線の例を表す図である。図18に示される標準検量線によれば、低濃度で急な傾斜を有することになるため、演算濃度の分解能がさらに向上することになる。
以上のように、第2の実施形態では、標準試料S1~S8それぞれに、標準試料S1~S8内の検出対象と結合する成分が固定化された不溶性担体を含む試薬が添加される。標準試料S1~S8に試薬が添加されたそれぞれの反応液は、異なる測光タイミングで光学的に測定される。そして、標準試料毎の測光結果に基づき、所定の吸光度に達するまでの反応時間から検量線が生成される。これにより、検出対象の濃度の高低に関わらず、所定の吸光度に達するまでの反応時間から、検出対象の濃度を一意に求めることが可能となる。
なお、標準検量線は、濃度と吸光度との相関関係と、濃度と反応時間との相関関係とが組み合わされたものであっても構わない。標準検量線は、例えば、検出対象の濃度が低い場合には濃度と吸光度との相関関係で表され、検出対象の濃度が中程度から高い場合には濃度と反応時間との相関関係で表される。具体的には、例えば、図19に示されるように、濃度が中程度から高い標準試料に対しては測光タイミングT5~T8にそれぞれ到達するまでの反応時間を取得する。そして、取得した反応時間に基づき、検出対象の濃度が中程度から高い試料についての標準検量線を生成する。また、濃度の低い標準試料に対しては反応液内での反応が進んでいない初期サイクルで測定される吸光度と、図19に示される測光タイミングT1~T5において測定される吸光度との差から吸光度を算出する。そして、算出した吸光度に基づき、検出対象の濃度が低い試料についての標準検量線を生成する。
図20及び図21は、図19に示される手法で生成される標準検量線の例を表す図である。図20に示される標準検量線は、濃度と吸光度との相関関係で表され、濃度が低い検出対象の測定に用いられる。図21に示される標準検量線は、濃度と反応時間との相関間関係で表され、濃度が中程度から高い検出対象の測定に用いられる。これにより、濃度が低い検出対象の測定については吸光度から、検出対象の濃度を求めることが可能となる。また、濃度が中程度から高い検出対象の測定については所定の吸光度に達するまでの反応時間から、検出対象の濃度を求めることが可能となる。すなわち、検出対象の濃度の高低に関わらず、検出対象の濃度を一意に求めることが可能となる。
(自動分析装置1による検量データの生成)
次に、自動分析装置1が検量データを生成する動作の例を説明する。
まず、分析機構2で、所定の検査項目に係る標準試料S1~S8の少なくとも1つについての標準データが生成される。標準データが生成されると、解析回路3は、検量データ生成機能31を実行する。検量データ生成機能31を実行すると解析回路3は、所定の検査項目についての標準検量線に関するデータ、及び測光タイミング線に関するデータを記憶回路8から読み出す。解析回路3は、標準データに含まれる標準試料についての測定値に対して近似曲線を引くことで、反応曲線を算出する。
解析回路3は、測光タイミング線と反応曲線との交点が最大測定回数内、例えば、33サイクル内に存在するか否かを判断する。図13に示されるように測光タイミング線が33サイクル内に収まっている場合、測光タイミング線と反応曲線とは33サイクル内で必ず交差する。解析回路3は、反応曲線と、測光タイミング線との交点である測光タイミングに到達するまでの反応時間を算出する。解析回路3は、測光タイミングに到達するまでの反応時間に基づき、例えば、図14のように設定されている標準検量線を補正・補間する。これにより、所定の検査項目の被検データ測定が可能となる検量線を得る。解析回路3は、例えば、補正された検量線を検量データとして記憶回路8に記憶させる。
図15に示されるように測光タイミング線が33サイクル内に収まっていない場合、算出された反応曲線によっては、測光タイミング線との交点が33サイクルを超えたサイクルに存在する。測光タイミング線と反応曲線との交点が33サイクル内に存在しない場合、解析回路3は、算出した反応曲線について、例えば、観測区間30~33の4点を用いた線形回帰分析を実施する。解析回路3は、線形回帰分析により算出した近似直線で、当該反応曲線を延伸する。解析回路3は、33サイクルより後に延伸した反応曲線と、測光タイミング線との交点である測光タイミングに到達するまでの反応時間を算出する。
なお、線形回帰分析により所定の決定係数以上の近似直線が算出できない反応曲線については、当該反応曲線と、測光タイミング線とが33サイクル内で交差するように測光タイミング線が予め設定されていても構わない。こうすると、反応時間の算出がより正確になる。
解析回路3は、測光タイミングに到達するまでの反応時間に基づき、例えば、図16に設定されている標準検量線を補正・補間する。これにより、所定の検査項目の被検データ測定が可能となる検量線を得る。解析回路3は、例えば、補正された検量線を検量データとして記憶回路8に記憶させる。
なお、検量線を取得する手法は上記に限定されない。解析回路3は、標準検量線を用いずに検量線を取得してもよい。
具体的には、例えば、全ての標準試料S1~S8についての測定が実施され、吸光度としての標準データが生成される。解析回路3は、標準データに含まれる標準試料S1~S8についての測定値に対して近似曲線を引くことで、反応曲線を算出する。解析回路3は、反応曲線と、測光タイミング線との交点である測光タイミングT1~T8にそれぞれ到達するまでの反応時間を算出する。解析回路3は、測光タイミングT1~T8にそれぞれ到達するまでの反応時間に基づいて検量線を得る。解析回路3は、例えば、検量線を検量データとして記憶回路8に記憶させる。
以上のように、第2の実施形態では、自動分析装置1は、解析回路3の検量データ生成機能31により、取得した測光強度に基づいてこの測光強度の経時変化を表す強度曲線を取得し、強度曲線と測光タイミング線との交点に到達するまでの反応時間に基づいて検量データを生成するようにしている。これにより、自動分析装置1は、ダイナミックレンジの広い検量データを生成することが可能となる。
(自動分析装置1による分析データの生成)
次に、自動分析装置1が分析データを生成する動作の例を説明する。
測定動作が開始されると、所定の検査項目についての被検データが分析機構2で生成される。解析回路3は、分析機構2から出力された被検データを受信すると、分析データ生成機能32を実行する。分析データ生成機能32を実行すると解析回路3は、被検データと対応する検査項目について記憶されている検量データ、及び測光タイミング線に関するデータを記憶回路8から読み出す。解析回路3は、被検データに含まれる、実際に測定された複数の吸光度に対して近似曲線を引くことで、被検データ近似曲線を算出する。
解析回路3は、測光タイミング線と反応曲線との交点が最大測定回数内、例えば、33サイクル内に存在するか否かを判断する。図22は、標準試料S1~S8についての反応曲線C1~C8、測光タイミング線、及び被検データに基づいて算出された被検データ近似曲線の例を表す図である。図22では、被検データ近似曲線は、太い二点鎖線により表され、測光タイミング線と反応曲線とは33サイクル内で交差している。
測光タイミング線と反応曲線との交点が33サイクル内に存在する場合、解析回路3は、交点近傍の測光タイミング、例えば、測光タイミングT4,T5を用いて分析データを生成する。例えば、解析回路3は、図22に示される測光タイミング線上のT4とT5とを直線で結ぶ。ここで、測光タイミング線と被検データ近似曲線とが交差するポイントをXとした場合、T4X:XT5=a:bであるとする。解析回路3は、被検データと対応する検査項目についての補正済み検量データ上において、線分T4T5をa:bに分割する点を計算により求める。この点が、測光タイミング線上の交点Xが検量データ上に置き換えられた点Xである。図23は、図22と対応する補正済み検量データ、及び算出した点Xの例を表す図である。図23において、点Xからグラフのx軸に垂線を下し、x軸と交わった値が、試料中の検出対象の濃度となる。
図24に示されるように測光タイミング線が33サイクル内に収まっていない場合、被検データ近似曲線によっては、測光タイミング線との交点が33サイクルを超えたサイクルに存在する。測光タイミング線と被検データ近似曲線との交点が33サイクル内に存在しない場合、解析回路3は、算出した被検データ近似曲線について、例えば、観測区間30~33の4点を用いた線形回帰分析を実施する。解析回路3は、線形回帰分析により算出した近似直線で、当該被検データ近似曲線を延伸する。解析回路3は、33サイクルより後に延伸した被検データ近似曲線と、測光タイミング線との交点Xを求める。
解析回路3は、交点近傍の測光タイミング、例えば、測光タイミングT2,T3を用いて分析データを生成する。例えば、解析回路3は、図24に示される測光タイミング線上のT2とT3とを直線で結ぶ。このとき、T2X:XT3=a:bであるとする。解析回路3は、被検データと対応する検査項目についての補正済み検量データ上において、線分T2T3をa:bに分割する点Xを計算により求める。この点Xは、測光タイミング線上の交点Xと対応する。図25は、図24と対応する補正済み検量データ、及び算出した点Xの例を表す図である。図25において、点Xからグラフのx軸に垂線を下し、x軸と交わった値が、試料中の検出対象の濃度となる。
なお、試料中の検出対象の濃度を取得する手法は上記に限定されない。例えば、解析回路3は、測光タイミング線と被検データ近似曲線との交点Xまで到達する反応時間を算出するようにしてもよい。解析回路3は、例えば、図23に示される補正済み検量データに、算出した反応時間を照らし合わせ、試料中の検出対象の濃度を算出する。
また、試料中の検出対象の濃度によっては、例えば、観測区間30~33における測光値がばらつくことがある。このような場合、観測区間30~33の4点を用いた線形回帰分析により算出された近似直線の精度は高くない。解析回路3は、例えば、観測区間30~33における測光値のばらつきが予め設定した以上である場合、算出した近似直線の精度が高くないことを表す識別子、例えば、エラーフラグを立てても構わない。
以上のように、第2の実施形態では、自動分析装置1は、解析回路3の分析データ生成機能32により、取得した被検試料の測光強度に基づいてこの測光強度の経時変化を表す強度曲線を取得する。そして、自動分析装置1は、取得した強度曲線と測光タイミング線との交点に到達するまでの反応時間に基づいて分析データを生成するようにしている。ところで、強度曲線と測光タイミング線との交点における吸光度を利用して生成した検量線に基づいて検出対象の濃度を測定する場合、測定時における吸光度の微小なばらつきが測定結果に大きく影響を与えることがある。このことは濃度が低いときに特に顕著である。これに対し、強度曲線と測光タイミング線との交点に到達するまでの反応時間を利用して生成した検量線では、低い濃度においても高い分解能を有する。このため、測定時における反応時間に微小ばらつきがあった場合であっても測定結果が大きく変動しにくくなる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、抗体又は抗原を固定化した不溶性担体を用いた測定において、検出対象を高感度かつ高濃度まで測定可能とすること、すなわち、高感度かつ広いダイナミックレンジを実現することができる。
実施形態の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路8に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路8にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、上記各実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、上記実施形態における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。