JP6405528B2 - 油圧制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動変速機と副変速機とを備えた車両用スプリット型自動変速機の油圧制御装置に関する。
自動変速機に副変速機を備えたスプリット型の車両用自動変速機が提供されている。変速機の変速範囲を拡大するため、自動変速機と、自動変速機の増速側より高い高速ギヤ段を有する副変速機とを備えており、発進時から高速走行までの変速は自動変速機が担い自動変速機モードで走行し、高速走行時においては副変速機に切り替えてスプリットモードで走行することで、自動変速機における高速走行時の燃費の低下を回避している。
例えば、特許文献1では、自動変速機のひとつである無段変速機に、複数の前進ギヤ段に選択的に切り換えられる副変速機を備えたスプリット型の車両用自動変速機の油圧制御装置が開示されている。しかしながら、油圧制御装置を構成する要素に何らかの不具合が生じて、通常の走行が不可能となった場合に、リンプホームを可能とするフェールセーフ回路については言及されていない。
上記のリンプホームとは、故障車両が内燃機関や自動変速機等の他の部品の損傷を抑えつつ、乗員を安全に帰宅させるために、車両用自動変速機に装備されるものである。従って、特許文献1の油圧制御装置においては、油圧制御装置に不具合が発生した場合、フェールセーフ回路が構成できず、故障車両が内燃機関や自動変速機等その他の部品の損傷を抑えながら、乗員を安全に帰宅させることが困難となるという問題が残る。
特開平5−79554号公報
本発明は、上記課題に鑑み創作されたものであり、自動変速機と副変速機とを備えたスプリット型自動変速機において、油圧制御装置を構成する要素に何らかの不具合が生じた場合に、安全かつ確実にフェールセーフ回路を構成し、リンプホームが可能な油圧制御装置の提供を目的とする。
本発明は、通常走行時には自動変速機のみが駆動する自動変速機モードで走行し、高速走行時には前記自動変速機の変速を補助するために備えた副変速機のみ、又は、該副変速機と前記自動変速機とを併用して駆動するスプリットモードで走行する自動変速機の油圧制御装置を提供する。この油圧制御装置では、副変速機を備えた自動変速機の油圧制御装置であって、ノーマルオープンソレノイドバルブと、マニュアルバルブとを備え、フェールセーフ時における、スプリットモードから自動変速機モードへの切替えは、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの出力圧に基づく第1導入圧と、前記マニュアルバルブからの第2導入圧と、によって切替えられ、前進段では、前記第2導入圧が優先されて前記スプリットモードが維持され、前進段以外では、前記第1導入圧が優先されて前記自動変速機モードに切り替わる、2段階の制御でされ、フェールセーフバルブを備え、前記フェールセーフバルブは、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの導入圧により、前記自動変速機を所定の変速比に移行し、トルクコンバータのロックアップを解除し、前記自動変速機モード用クラッチ圧を供給する。
また、前記油圧制御装置は、
第1フェールセーフバルブと、第2フェールセーフバルブと、を備え、
前記第1フェールセーフバルブは、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの導入圧により、
前記自動変速機を所定の変速比に移行し、
トルクコンバータのロックアップを解除し、
前記自動変速機モード用クラッチ圧を供給し、
前記第2フェールセーフバルブは、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの導入圧と、前記マニュアルバルブからの導入圧とにより作動し、
前記マニュアルバルブが前進段のときは、該マニュアルバルブからの導入圧が優先されて前記スプリットモードを維持し、
前記マニュアルバルブが前進段以外のときには、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの導入圧が優先されて前記自動変速機モードに切り替わる。
詳しくは後述するが、上記によって、スプリット型自動変速機において、第1フェールセーフバルブと、第2フェールセーフバルブとを備えることにより、油圧制御を指示する変速機ECU(油圧制御指示手段)が故障した場合でも、安全かつ確実にフェールセーフ回路を構成し、スプリットモードから自動変速機モードに切替えられ、リンプホーム機能により自宅や整備工場まで走行することが可能となる。
また、前記油圧制御装置は、
フェールセーフバルブと、スプリットモード用バルブと、を備え、
前記フェールセーフバルブは、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの導入圧により、
前記自動変速機を所定の変速比に移行し、
トルクコンバータのロックアップを解除し、
前記自動変速機モード用クラッチ圧を供給し、
前記スプリットモード用バルブは、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの導入圧を受けた前記フェールセーフバルブからの導入圧と、前記マニュアルバルブからの導入圧とにより作動し、
前記マニュアルバルブが前進段のときは、該マニュアルバルブからの導入圧が優先されて前記スプリットモードを維持し、
前記マニュアルバルブが前進段以外のときには、前記フェールセーフバルブからの導入圧が優先されて前記自動変速機モードに切り替わる。
詳しくは後述するが、上記によって、スプリット型自動変速機において、フェールセーフバルブと、スプリットモード用バルブとを備えることにより、油圧制御を指示する変速機ECU(油圧制御指示手段)が故障した場合でも、安全かつ確実にフェールセーフ回路を構成し、スプリットモードから自動変速機モードに切替えられ、リンプホーム機能により自宅や整備工場まで走行することが可能となる。
本発明の油圧制御装置によれば、スプリット型自動変速機の油圧回路を制御する油圧制御指示手段が故障した場合に、まず、自動変速機を所定の変速比に移行し、トルクコンバータのロックアップを解除し、自動変速機モード用クラッチ圧を供給可能にする。次に、マニュアルバルブが前進段以外にシフトされたときに、スプリットモード用クラッチ圧を遮断し、自動変速機モードによる走行へ移行させる。
上記により、安全かつ確実にフェールセーフモードへの切替えができ、リンプホーム機能により自宅や整備工場まで走行することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る油圧制御装置を構成する油圧制御用ECUとスプリット型自動変速機を示す概念図である。 本発明の一実施形態に係る油圧制御装置が用いられる車両用スプリット型自動変速機の構造を示す略図である。 本発明の一実施形態に係る油圧制御装置が用いられる油圧制御部の油圧回路例の略図である。 本発明の一実施形態に係る油圧制御装置において、フェール時に第1段階で行われる制御の概要を示す略図である。 本発明の一実施形態に係る油圧制御装置において、フェール時に第2段階で行われる制御の概要を示す略図である。 本発明の別実施形態に係る油圧制御装置が用いられる油圧制御部の油圧回路例の略図である。 本発明の別実施形態に係る油圧制御装置において、フェール時に第1段階で行われる制御の概要を示す略図である。 本発明の別実施形態に係る油圧制御装置において、フェール時に第2段階で行われる制御の概要を示す略図である。 本発明の油圧制御装置を適用可能な、別実施形態の車両用スプリット型自動変速機の構造を例示する略図である。
《スプリット型自動変速機の走行モード切替え》
本発明の油圧制御装置60について説明する前提として、本発明の実施の形態に係るスプリット型自動変速機200の走行モード切替え制御について、本発明の一実施形態に係る油圧制御装置を構成する油圧制御用ECUと、スプリット型自動変速機とを示す概念図である図1〜図2を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、スプリット型自動変速機200(以下、単に「スプリット型変速機」とも称す)は、スプリット型変速機200の内部にベルト式自動変速機100(以下、単に「CVT」とも称す)と、副変速機110とを備える。
尚、ベルト式自動変速機100に代えて、図示しない有段自動変速機を備えることも可能である。
図2に示すように、スプリット型自動変速機200の入力軸は、流体継手の一種であるトルクコンバータ6(以下、単に「トルコン」とも称する)等の動力伝達手段を介して、内燃機関220(以下、「エンジン」とも称する)の出力軸、一例としてクランクシャフトに接続される。また、上記スプリット型変速機200の出力軸は、図示しないデファレンシャルギヤ(図2に250として示す)等を介して駆動輪130に接続される。内燃機関220の回転がスプリット型変速機200によって変速されて駆動輪130へ伝達されることにより、図示しない車両は走行する。
スプリット型自動変速機200は、概ねベルト式自動変速機100と、副変速機110と、油圧制御部120とにより構成される。内燃機関220から入力された動力はベルト式自動変速機100、及び/又は副変速機110により変速され、駆動輪130へ出力される。
上述したようにスプリット型変速機200は、図1のCVT100と、副変速機110とを有し、走行状態によって、走行に使用する変速手段をCVT100、及び/又は副変速機110に切替える。走行状態は、図示しない検出手段、例えば車速センサ、エンジン回転速度センサ等からの信号を受けたスプリット型自動変速機ECU150(油圧制御指示手段(以下、単に「変速機ECU」とも称する)により判定される。
エンジン220は、図示しない検出手段、例えば車速センサ、アクセル開度センサ等からの信号を受けた内燃機関ECU151(以下、「エンジンECU」とも称する)から出力される、燃料噴射制御信号158等により運転状態が制御される。
上記した信号を受けて走行状態を判定した変速機ECU150は、自動変速機走行モード(以下、「自動変速機モード」とも称す)と、副変速機走行モード(以下、「スプリットモード」とも称す)とのいずれのモードで走行するかを判断し、上記自動変速機走行モードを選択したときは自動変速機クラッチ圧制御信号152を、上記副変速機走行モードを選択したときは副変速機クラッチ圧制御信号154を、それぞれスプリット型変速機200が備える油圧制御部120へ出力する。
上記信号を受けた油圧制御部120は、自動変速機クラッチ圧制御信号152を受けた場合には自動変速機クラッチ圧(Pc)の制御を開始する。また、副変速機クラッチ圧制御信号154を受けた場合には副変速機クラッチ圧(Ps)の制御を開始する。
また、上記信号を受けて走行状態を判定した変速機ECU150は、上記トルクコンバータ6のロックアップクラッチ7を係合するか否かを判断し、係合を選択したときはロックアップクラッチ制御圧信号156を、スプリット型変速機200が備える油圧制御部120へ出力する。
上記信号を受けた油圧制御部120は、直結クラッチ7の係合制御を開始する。直結クラッチ7の係合が完了すると、トルコン6の内部滑りは無くなり、エンジン220のクランクシャフト回転がそのままスプリット型変速機200への入力回転となる。これにより、トルコン6の内部滑りによる動力伝達ロスが解消され、スプリット型変速機200の伝達効率が向上されて、燃費が改善される。
《スプリット型自動変速機の構造と変速方法》
次に、本発明の油圧制御装置について説明する前提として、スプリット型自動変速機の構造と変速方法の概略について、本発明の一実施形態に係る油圧制御装置が適用される車両用スプリット型自動変速機の構造を示す略図である図2を参照しながら詳細に説明する。
車両(図示せず)が、停止状態から発進しようとする場合、前進クラッチ2が係合されると、エンジン220からトルコン6を介して、スプリット型変速機200の入力軸230へ入力された動力は、ギヤ3からギヤ4へ伝達される。
また、スプリット型変速機200では、発進時から巡航速度域での走行時にかけてはCVT100により走行、及び変速を行う。このため、図1の変速機ECU150から自動変速機クラッチ圧制御信号152が出力され、油圧制御部120により、自動変速機走行モードに用いる、図2に示す自動変速機モードクラッチ10が制御油圧により係合される。
上記により、エンジン220からスプリット型変速機200の入力軸230へ入力された動力は、CVT100のCVTベルト102を介して出力軸240へ伝達され、さらにデファレンシャルギヤ250などを介して駆動輪130へ出力される。
CVT100は、入力側プーリ104と、出力側プーリ106とを具備し、各プーリの溝幅を変化させ、CVTベルト102の有効径(巻き掛け径)を入力側プーリ104と出力側プーリ106とで互いに変化させることで、変速を行う。具体的には、発進時には入力側プーリ104の溝幅を最も広くし、出力側プーリ106の溝幅を最も狭くする。上記により、入力側プーリ104のCVTベルト102の有効径(巻き掛け径)は最小となり、出力側プーリ106のCVTベルト102の有効径は最大となり、減速比が最大となる。
上記で減速比が最大(最Low状態)となった状態で、エンジン220からの入力回転を最小にまで減速して駆動輪130へ出力し、図示しない車両を発進させる。発進後は、運転者(図示せず)の所望する車両速度が、アクセルペダル(図示せず)により図1の変速機ECU150、及びエンジンECU151へ入力され、変速機ECU150からの制御に応じて図2に示す入力側プーリ104の溝幅を徐々に狭めるとともに、出力側プーリ106の溝幅を徐々に広げ、減速比を連続的に無段階に変化させるよう制御を行う。
図1に示すように、変速機ECU150と、エンジンECU151とは情報(データ)、例えばアクセル開度、車速、変速比等を相互間で授受している。これにより、上記したCVT100の減速比制御と同時に、エンジン220を、エンジンECU151からの燃料噴射制御信号158等により高効率回転領域で運転することにより、運転者の所望する車両速度で走行しながら低燃費を可能としている。
しかし、ベルト式自動変速機100は、高速走行時、即ち減速比が小さく、入力回転より出力回転が大となるオーバードライブ状態(High状態)ではエネルギー効率が悪化する。詳述すると、図2において、オーバードライブ状態では入力側プーリ104の溝幅を最も狭くし、出力側プーリ106の溝幅を最も広くして走行する。
上記の場合、入力側プーリ104のCVTベルト102の有効径(巻き掛け径)は最大となり、出力側プーリ106のCVTベルト102の有効径は最小となり、出力側プーリの回転数が入力側プーリの回転数より大きくなって、エンジン220からの入力回転数よりも大きな出力回転を駆動輪130に付与することができ、高速走行が可能となる。
上述したように、オーバードライブ状態での高速走行時には入力側プーリ104の溝幅を最も狭くした状態を維持する必要がある。上記の状態を維持するためには、油圧ポンプ(図示せず)で高圧の作動油を大量に発生させ、入力側プーリ104を押し付け、溝幅を狭くした状態を維持する必要がある。
上記の図示しない油圧ポンプはエンジン220により駆動される構造となっており、高圧の作動油を大量に発生させるとエンジン220が発生させたエネルギーのうち、油圧ポンプの駆動のために消費される割合が増加し、図示しない車両を走行させるために使用可能なエネルギーが減少する。このため、オーバードライブ状態での高速走行時にはエネルギー伝達効率が低下し、燃費が悪化してしまう。
また、高速走行時にはCVTベルト102も高速で回転するが、CVTベルト102を構成する図示しないエレメント部材同士の摩擦によるエネルギー損失(熱ロス)が高速回転状態では大きくなり、これもエネルギー伝達効率の低下や燃費の悪化の一因となる。
上述した、高速走行時のエネルギー効率の低下や燃費の悪化を防止するため、スプリット型自動変速機200には副変速機110が備えられる。
図2の副変速機110は、スプリットモードクラッチ20を係合することで、遊星ギヤ30のリングギヤ32の外周部に設けられた大径スプロケット34から、小径スプロケット36へ、チェーン38を介して入力軸230からのエンジン回転を出力軸250へ増速して出力するように構成されている。
かかる構成にしておくことにより、図示しない車両がベルト式自動変速機100を用いて停車状態から発進し、低速走行状態(Low状態)から加速してオーバードライブ状態(High状態)での巡航走行や高速走行に至った場合、動力の伝達手段を副変速機110に切り替えることが可能となる。
上述した方法により、停車状態から発進、加速し高速走行状態に至るまでの間は、CVT100により変速しエンジン220を高効率回転領域で運転させ、高速走行状態では副変速機110により増速状態を維持し、エンジン220の運転を高効率回転領域で継続させることで、高速走行時の低燃費化を実現し得る。
尚、上記では大径スプロケット34から、小径スプロケット36へ、チェーン38を介して、入力回転を増速して出力することとしたが、動力伝達手段、及び増速手段はこれに限られるものではない。例えば、大径ギヤから小径ギヤへ、カウンターギヤ(中間ギヤ)を介して動力を伝達し、増速すること等も可能である。
上記の自動変速機モードと、スプリットモードとの切替えは、図2の自動変速機モードクラッチ10と、スプリットモードクラッチ20と、を持ち替えることで行われる。
自動変速機モードからスプリットモードへ移行した後、CVT100は、CVTベルト102の減速比を、オーバードライブ状態時のHigh状態から、低速走行状態時のLow状態の方向へ移行させる。
スプリットモードにおいて、CVT100の減速比をHigh状態からLow状態の方向へ移行させることにより、スプリットモードでの減速比はさらに小さく(増速状態)なる。これにより、エンジン220の回転速度をさらに低下させて高効率な状態で運転しながら、高速で走行することを可能としている。
また、トルクコンバータ6は、図示しない車両が停止状態から発進して、巡航走行や高速走行等の定常走行状態に移行すると、上述したように、走行状態を判定した図1の変速機ECU150からのロックアップクラッチ制御圧信号156により、直結クラッチ7が係合される。これにより、トルコン6の内部滑りは無くなり、エンジン220のクランクシャフト回転がそのままスプリット型変速機200への入力回転となり、さらなる燃費の低減が可能となる。
換言すれば、巡航走行や高速走行等の定常走行状態では、スプリットモードクラッチ20が係合され、かつ自動変速機モードクラッチ10が解放されて、スプリットモードで走行している。このとき、トルコン6は直結クラッチ7が係合されて、直結状態となっている。
上記のスプリットモードでの走行中に、油圧制御装置160を構成する要素、一例として油圧制御部120に何らかの不具合が生じて、通常の走行が不可能となった場合に、上述したリンプホームを可能とするフェールセーフ回路が構成される。
リンプホームを可能とするためには、フェールセーフ回路を構成することにより、ベルト式自動変速機100の変速比(減速比)を略1とし、トルコン6の直結状態を解除し、走行モードをスプリットモードから自動変速機モードへ移行させる必要がある。
しかしながら、スプリットモードでの走行中にフェールセーフ回路を構成した場合、スプリットモードから自動変速機モードへ強制的に、瞬時に移行することとなる。このスプリットモードでは、上述したようにCVT100はLow状態の方向に移行している。
副変速機110を介して動力伝達を行って高速で走行しているスプリットモードから、CVT100で動力伝達を行う自動変速機モードに瞬時に移動した場合、高速走行状態で、Low状態にあるCVT100による走行モードに移行するため、エンジンが過回転して損傷したり、大きなエンジンブレーキ力が生じて車両の挙動が乱れてしまうことが懸念される。
また、図2のCVT100に代えて、図示しない有段自動変速機を備えるスプリット型自動変速機においても、1速(最Low状態)で発進、加速して、最上変速段、一例として6速でのオーバードライブ状態(High状態)での巡航走行や高速走行に至った場合、動力の伝達手段を副変速機110に切り替える。即ち、自動変速機モードからスプリットモードへ切り替える。
自動変速機モードからスプリットモードへ移行した後、上記有段自動変速機は、その減速比を、オーバードライブ状態時の6速から、低速走行状態時のLow状態の1速方向へ変速させる。
従って、有段自動変速機(図示せず)を備えるスプリット型自動変速機においても、副変速機110を介して動力伝達を行って高速で走行しているスプリットモードから、図示しない自動変速機で動力伝達を行う自動変速機モードに瞬時に移動した場合、上述したCVTの場合と同様に、高速走行状態において、Low状態の1速側にある上記有段自動変速機による走行モードに移行するため、エンジンが過回転して損傷したり、大きなエンジンブレーキ力が生じて車両の挙動が乱れてしまうことが懸念される。
《本発明の油圧制御装置における制御ついて》
本発明の油圧制御装置60は、上述したようなスプリットモードから自動変速機モードへ強制的に、瞬時に移行することを防止し、安全かつ確実にフェールセーフモードへの切替えができ、リンプホームが可能となる。以下、本発明の一実施形態に係る油圧制御装置60における、スプリットモードで走行中のフェールセーフ回路の構成について図1、及び図3を参照しながら説明する。
油圧制御装置60は、通常走行時には図1に示すベルト式自動変速機100のみが駆動する自動変速機モードで走行し、巡航走行や高速走行時にはベルト式自動変速機100の変速を補助するために備えた副変速機110のみ、又は、副変速機110とベルト式自動変速機100とを併用して駆動するスプリットモードで走行するスプリット型自動変速機200の油圧制御を行う。
本発明の一実施形態に係る油圧制御装置60が用いられる、図1に示す油圧制御部120の油圧回路例の略図である図3に示すように、油圧制御装置60は、少なくとも、非制御時に油圧経路が連通するノーマルオープンのプライマリプーリ用ソレノイドバルブ55と、シフト操作により油路を切り換えるマニュアルバルブ27と、第1フェールセーフバルブ11と、第2フェールセーフバルブ12とを備える。
図1のスプリット型自動変速機200の変速機ECU150から、油圧制御部120への制御信号である自動変速機クラッチ圧制御信号152や副変速機クラッチ圧制御信号154が出力されなくなった場合、例えば、変速機ECU150が故障したり、変速機ECU150から油圧制御部120へ制御信号等を伝えるハーネス(図示せず)が断線した場合、通常の制御を行うことは不可能である。
従って、スプリットモードから自動変速機モードへの切替えが不能となる。換言すれば、変速機ECU150が故障したり、変速機ECU150から油圧制御部120へ制御信号等を伝えるハーネスが断線した状態では、スプリットモードクラッチ20が係合したままとなり、自動変速機モードへの移行は不可能である。
上記のフェール状態となったことは、変速機ECU150が故障等した場合においては、一例として以下に記す手順により判定することが可能である。図1において、例えばスプリットモードでの走行中にアクセル開度が不変であるにも関わらず、車両速度が低下した場合、エンジンECU151が備える車速センサ(図示せず)やアクセル開度センサ(図示せず)によりアクセル開度と、車両速度の低下とが検知され、エンジンECU151により、車両(図示せず)が上り坂に突入したと判定される。
上述したように、エンジンECU151と、変速機ECU150とは情報(データ)、例えばアクセル開度、車速、変速比等を相互間で授受している。従って、上記の判定がされると、エンジンECU151から変速機ECU150へ、スプリットモードを中止して、自動変速機モードへ移行し、変速比を最適化する指示信号が出力される。
変速機ECU150が正常であれば、変速比が最適化されて走行を続けることができる。しかし、エンジンECU151から変速機ECU150へ、スプリットモードを中止して、自動変速機モードへ移行し、変速比を最適化する指示信号が出力された後も車両速度が継続して低下していることが、エンジンECU151が備える車速センサ(図示せず)等により検知された場合、エンジンECU151により、変速機ECU150は故障したと判定される。
《本発明の油圧制御装置の一実施形態におけるフェール時の第1段階の制御ついて》
上記のように、変速機ECU150が故障したフェール状態と判定された場合、本発明の油圧制御装置60では、2段階に分けて自動変速機モードへ移行させる。まず、第1段階の制御について図4を参照しながら詳細に説明する。第1段階の制御では、図1の自動変速機100を所定の変速比に移行し、トルクコンバータ6のロックアップを解除し、自動変速機モード用クラッチ10の係合圧Pcを供給可能な状態に準備する。
本発明の油圧制御装置60は、少なくとも、第1フェールセーフバルブ11と、第2フェールセーフバルブ12とを備える。第1フェールセーフバルブ11はフェール状態のとき、ノーマルオープンのプライマリプーリ用ソレノイドバルブ55からの導入圧P1により、図1〜図2に示す自動変速機100を所定の変速比に移行し、トルクコンバータ6のロックアップを解除し、自動変速機モード用クラッチ10の係合圧Pcを供給する。
また、第2フェールセーフバルブ12は、ノーマルオープンのプライマリプーリ用ソレノイドバルブ55からの導入圧P1と、マニュアルバルブ27からの導入圧Pdとにより作動する。マニュアルバルブ27が前進段のときは、マニュアルバルブ27からの前進段時クラッチ元圧Pdが優先されてスプリットモードを維持し、マニュアルバルブ27が前進段以外のときには、ノーマルオープンのプライマリプーリ用ソレノイドバルブ55からの導入圧P1が優先されて自動変速機モードに切り替わる。
スプリットモードでの走行中にフェール状態と判定されると、本発明の一実施形態に係る油圧制御装置60において、フェール時に第1段階で行われる制御の概要を示す略図である図4に示すように、プライマリプーリ用ソレノイドバルブ55からのP1圧が、第1フェールセーフバルブ11に導入される。
このとき、変速機ECU150が故障したフェール状態であるため、通常時に電気的に制御可能なバルブ、即ちソレノイドバルブは、制御が中止された状態となっている。従って、上記でプライマリプーリ用ソレノイドバルブ55から出力されるP1圧は、プライマリプーリ用ソレノイドバルブ55で制御された圧ではなく、油圧、及び/又はバネ力のバランスにより作動する、一般にスプールバルブと称されるバルブのみによって調圧された油圧である。
詳述すると、油圧発生手段、一例として、図示しないエンジン(図1に220として示す)で駆動される図示しないオイルポンプで発生された油圧Ppが、クラッチモジュレータバルブ70で調圧されてクラッチモジュレータ圧(以下、単に「モジュレータ圧」とも称する)Pmとなり、プライマリプーリ用ソレノイドバルブ55に導入される。
このとき、プライマリプーリ用ソレノイドバルブ55は、ノーマルオープン(非制御時に連通)であるため、制御の中止により全開状態となっている。これにより、モジュレータ圧Pmが、プライマリプーリ用ソレノイドバルブ55を介してP1圧として出力される。
P1圧が、第1フェールセーフバルブ11へ導入されると、図示しないベルト式自動変速機(図1〜図2に100として示す)は、変速比が略1の状態に移行される。
詳述すると、P1圧が第1フェールセーフバルブ11に導入されると、第1フェールセーフバルブ11は、図4の左半分に示す状態から、右半分に示す状態へ移行する。第1フェールセーフバルブ11が図4の右側の状態になると、クラッチモジュレータバルブ70で調圧されたモジュレータ圧Pmが、第1フェールセーフバルブ11を介してプライマリレギュレータバルブと、プライマリプーリ制御バルブ(図示せず)とに供給される。
上記プライマリレギュレータバルブの移動により、制御元圧であるライン圧はフェール時ライン圧Pfへ、上記プライマリプーリ制御バルブに供給されるプライマリ制御圧はフェール時プライマリ圧Ppfへ、各々低下される。
このとき、図示しないセカンダリプーリ用ソレノイドバルブは、上述したようにフェール状態のため制御が中止されている。セカンダリプーリ用ソレノイドバルブ(図示せず)は、ノーマルオープン(非制御時に連通)であるため、制御の中止により全開状態となるが、元圧がフェール時ライン圧Pfであるため、セカンダリプーリ用ソレノイドバルブ(図示せず)からの出力圧は、フェール時ライン圧Pfとなる。
即ち、図4において、図示しないプライマリプーリ制御バルブに供給される圧力は、フェール時プライマリ圧Ppfとなる。また、図示しないセカンダリプーリ制御バルブに供給される圧力は、フェール時ライン圧Pfとなる。これにより、図示しないプライマリプーリ(入力プーリ)と、セカンダリプーリ(出力プーリ)(図2に104、106として示す)とにおいて、図示しないCVTベルト(図2に102として示す)を挟持する力は略同一となり、変速比が略1の状態に移行される。
また、図4において、上記で第1フェールセーフバルブ11が図4の右側の状態になると、図示しないロックアップコントロールバルブには、第1フェールセーフバルブ11を通過してモジュレータ圧Pmが供給される。
上記により、トルコン(図示せず)の直結クラッチ(図示せず)を係合させていた、図示しないセカンダリレギュレータバルブからのロックアップ元圧Puの連通先が、上記トルコンの上記直結クラッチを係合させるポート(図示せず)から、上記直結クラッチを解放させるポート(図示せず)に切り替わる。これにより、上記トルクコンバータのロックアップが解除される。
また、スプリットモードでの走行中にフェール状態と判定されると、図4に示すように、プライマリプーリ用ソレノイドバルブ55からのP1圧が、第2フェールセーフバルブ12にも導入される。これにより、第2フェールセーフバルブ12を、図4の左半分に示す状態から、右半分に示す状態へ移行させようとする力が発生する。
しかしながら、このとき、第2フェールセーフバルブ12のバネ室12sに、モジュレータ圧Pmがマニュアルバルブ27を介して前進段時クラッチ元圧Pdとして供給されている。これにより、第2フェールセーフバルブ12は図4の左半分に示す状態に維持される。
詳述すると、図示しないシフトレバーが前進段(前進レンジ)、例えば通常走行用のDレンジにあるとき、マニュアルバルブ27は図4の上半分に示す状態にある。これにより、モジュレータ圧Pmがマニュアルバルブ27を介して、前進段時クラッチ元圧Pdとして、第2フェールセーフバルブ12へ供給される。
上記において、前進段時クラッチ元圧Pdは、クラッチモジュレータバルブ70からマニュアルバルブ27を介して、第2フェールセーフバルブ12へ供給される。これは上記したSレンジ、及びBレンジにおいても同様である。
このとき、図4の左半分に示す状態にある第2フェールセーフバルブ12に供給された前進段時クラッチ元圧Pdは、一旦、第2フェールセーフバルブ12を通過して、上述した第2フェールセーフバルブ12のバネ室12sに供給される。
第2フェールセーフバルブ12に付加される力に注目すると、前進段時クラッチ元圧Pdによる力と、バネ室12sに配設されたバネ(図示せず)の力との合算が、プライマリプーリ用ソレノイドバルブ55からのP1圧による力よりも大となることにより、第2フェールセーフバルブ12は、図4の左半分に示す状態に維持される。
第二リニアソレノイドバルブ22はノーマルオープン(非制御時に連通)であるため、制御の中止により全開状態となる。第二リニアソレノイドバルブ22には、マニュアルバルブ27から上記前進段時クラッチ元圧Pdが供給されており、第2フェールセーフバルブ12が図4の左半分に示す状態に維持されることにより、クラッチ元圧Pdは第2フェールセーフバルブ12を通過して、副変速機用第二スプールバルブ26へ供給される。
このとき、副変速機用第二スプールバルブ26は、油圧バランスにより図4の左半分に示す状態にあるよう構成されている。このため、クラッチ元圧Pdは、副変速機用第二スプールバルブ26を通過してスプリットモードクラッチ20の係合圧Psとして供給されている。これにより、スプリットモードクラッチ20の係合状態は維持される。
また、図4において、上記で調圧された前進段時クラッチ元圧Pdは、ソレノイドリレーバルブ24にも供給されている。前進段時、ソレノイドリレーバルブ24は油圧バランスにより図4の左半分に示す状態にあるよう構成されている。ソレノイドリレーバルブ24に供給された前進段時クラッチ元圧Pdは、ソレノイドリレーバルブ24を介して、第1フェールセーフバルブ11へ供給される。
上述したように、第1フェールセーフバルブ11はP1圧が導入されることにより、図4の左半分に示す状態から、右半分に示す状態へ移行している。これにより、第1フェールセーフバルブ11へ供給された前進段時クラッチ元圧Pdは、第1フェールセーフバルブ11を通過してソレノイドリレーバルブ24に供給される。
上記でソレノイドリレーバルブ24に供給された前進段時クラッチ元圧Pdは、ソレノイドリレーバルブ24を介して、自動変速機用第一スプールバルブ25へ供給され、自動変速機モード用クラッチ10の係合圧Pcとして準備される。
以上で、本発明の一実施形態に係る油圧制御装置60における、フェール時の第1段階の制御が完了する。
《本発明の油圧制御装置の一実施形態におけるフェール時の第2段階の制御ついて》
次に、第2段階の制御について図5を参照しながら詳細に説明する。第2段階の制御では、スプリットモードクラッチ20の係合圧Psを遮断し、スプリットモードクラッチ20を解放してスプリットモードから脱出し、係合圧Pcを自動変速機モードクラッチ10へ供給し、自動変速機モードに切り替える。
スプリットモードで高速走行中にフェール状態となり、道路が上り坂になる、或いは車両(図示せず)の進行方向の信号が停車信号に切り換わるなどしてブレーキ操作がされる等により、車両速度が低下した場合、変速機ECU150が故障しているため通常の制御で自動変速機モードに切り換えることはできない。スプリットモードにおける変速比は増速状態、換言すれば有段変速機の6速程度の変速比にあるため、車両速度は低下して、停止状態となる。
車両が停止状態となったとき、上述した第1段階の制御により、トルクコンバータ(図示せず)のロックアップは解除されている。これにより、図示しないエンジン(図1〜図2に220として示す)が停止することが防止される。従って、オイルポンプ(図示せず)がエンジン220により駆動されている場合において、車両が停止状態でもエンジン220は運転が継続され、油圧は出力される。
意図しない車両速度の低下が生じたり、車両(図示せず)の停止が予測される状態になると、一般に運転者(図示せず)は、車両を道路の路肩等に停止させ、シフトレバー(図示せず)をPレンジ(駐車用レンジ)や、Nレンジ(ニュートラルレンジ)に切替え、駐車ブレーキを操作して、車両を安全に停車させる。その後、整備解説書等を読む、シフトレバーを他のレンジへ入れる等、問題解消のための行動をとることを本発明の発明者は知得した。
本発明の第2段階では、上記シフトレバーが前進段以外のレンジにシフトされた場合に、スプリットモードクラッチ20が解放されてスプリットモードから脱出し、係合圧Pcが自動変速機モードクラッチ10へ供給されて、自動変速機モードに切り替わる。
一般に、車両のシフトレンジは、例えばP−R―N−D−S−B(Pは駐車用レンジ、Rは後退用レンジ、Nはニュートラルレンジ、Dは通常変速走行レンジ、Sはスポーティー走行用レンジ、Bはエンジンブレーキ用レンジ)の順のシフトパターンを備えている。
運転者がシフトレバーをDレンジからPレンジへ操作すると、図5のマニュアルバルブ27も、図示しない連動手段によりDレンジ位置からPレンジ位置へ軸方向に移動される。図5に示すマニュアルバルブ27の図の下半分は、Rレンジ(後退用レンジ)位置の状態を示す。上記したシフトパターンで、シフトレバーがDレンジからPレンジへ操作されるとき、Rレンジを通過する。
上記でシフトレバーがRレンジとなったとき、図5のマニュアルバルブ27は、図の下半分に示す状態となる。
上記によって、マニュアルバルブ27へ供給されているフェール時ライン圧Pfは、マニュアルバルブ27により遮断される。このため、前進段時クラッチ元圧Pdがマニュアルバルブ27から出力されない状態となる。
上記により、第2フェールセーフバルブ12を図4の左半分に示す状態に維持していた前進段時クラッチ元圧Pdも供給されなくなり、第2フェールセーフバルブ12は、プライマリプーリ用ソレノイドバルブ55からの導入圧が優先されて、図4の左半分に示す状態から、右半分に示す状態へ移行する。
第2フェールセーフバルブ12が右半分に示す状態へ移行すると、スプリットモードクラッチ20を制御する第二リニアソレノイドバルブ22から、副変速機用第二スプールバルブ26への回路が、第2フェールセーフバルブ12により遮断される。これにより、スプリットモードクラッチ20の係合圧Psは遮断され、スプリットモードクラッチ20は強制的に解放状態となる。
また、上記により、副変速機用第二スプールバルブ26は、図5の左半分に示す状態から、右半分に示す状態へ移行する。自動変速機用第一スプールバルブ25は、紙面上方から下方押し下げていた圧Pdが供給されなくなる。これにより、自動変速機用第一スプールバルブ25は、図5の右半分に示す状態から、左半分に示す状態へ移行される。
自動変速機用第一スプールバルブ25が左半分に示す状態へ移行することにより、上述した第1段階の制御において、予め自動変速機モード用クラッチ10の係合圧として準備されていた係合圧Pcが、自動変速機モードクラッチ10へ供給される。これにより、自動変速機モードクラッチ10が係合され、自動変速機モードに切り替わる。
本発明の油圧制御装置60における第2段階の制御では、上述したように、まず、上記シフトレバーが前進段以外のレンジに操作されたとき、即ちマニュアルバルブ27が前進段以外の位置へ移動されたとき、スプリットモードクラッチ20の係合圧Psが遮断され、スプリットモードクラッチ20は強制的に解放状態となる。これにより、スプリットモードから脱出する。次に、係合圧Pcが自動変速機モードクラッチ10へ供給されることで、自動変速機モードに切り替わる。
以上で、本発明の油圧制御装置60における第2段階の制御が完了する。
上述した第1段階の制御、及び第2段階の制御によれば、第1段階の制御では、図示しないトルクコンバータのロックアップを解除しており、車両(図示せず)が停車した場合でもエンジン220が停止することを防止できる。また、自動変速機100の変速比を略1に移行し、自動変速機モード用クラッチ圧Pcを供給可能な状態にしている。
第2段階の制御では、スプリットモード用クラッチ20の係合圧Psを遮断し、スプリットモードから脱出させ、次に、自動変速機モードクラッチ10へ係合圧Pcが供給されることで、自動変速機モードに切り替わる。これにより、安全かつ確実にフェールセーフモードへの切替えができ、変速比が略1、即ち有段変速機の3速相当の変速比で走行してリンプホームが可能となる。
《本発明の油圧制御装置の別実施形態におけるフェール時の第1段階の制御ついて》
本発明の別実施形態に係る油圧制御装置260の、フェール時の第1段階の制御ついて、図1、及び図6〜図7を参照しながら、主に、上記で説明した本発明の一実施形態に係る油圧制御装置60と異なる点について説明する。
本発明の別実施形態に係る油圧制御装置260が用いられる、図1の油圧制御部120の油圧回路例の略図である図6に示すように、油圧制御装置260は、少なくとも、フェールセーフバルブ(第1フェールセーフバルブ)11と、副変速機用第二スプールバルブ126とを備える。副変速機用第二スプールバルブ126はプランジャースプールバルブであって、上述した本発明の一実施形態に係る油圧制御装置60における第2フェールセーフバルブ12と、副変速機用第二スプールバルブ26とを兼ねる。
油圧制御装置260においてフェール時に第1段階で行われる制御の概要を示す略図である図7に示すように、フェールセーフバルブ11は、フェール時に図1の自動変速機100を所定の変速比に移行し、トルクコンバータ(図示せず)のロックアップを解除し、図7の自動変速機モード用クラッチ10に自動変速機モード用クラッチ10の係合圧Pcを供給可能にする。ここで自動変速機モード用クラッチ10の係合圧Pcは、上述したものと同様に、モジュレータ圧Pmがマニュアルバルブ27を介して供給された前進段時クラッチ元圧Pdである。
また、副変速機用第二スプールバルブ126は、プライマリプーリ用ソレノイドバルブ55からの導入圧P1を受けたフェールセーフバルブ11からのモジュレータ圧Pmと、モジュレータ圧Pmがマニュアルバルブ27を介して供給される前進段時クラッチ元圧Pdとにより作動する。
マニュアルバルブ27が前進段のときは、マニュアルバルブ27からの前進段時クラッチ元圧Pdが優先されてスプリットモードを維持する。詳述すると、マニュアルバルブ27が前進段のとき、副変速機用第二スプールバルブ126は図7の左半分に示す状態にある。
これにより、第二リニアソレノイドバルブ22からの前進段時クラッチ元圧Pdが副変速機用第二スプールバルブ126を通過して、スプリットモード用クラッチ20へ係合圧Psとして供給される。これにより、スプリットモードが維持され、自動変速機モードへの急激なモード切替えが防止される。
《本発明の油圧制御装置の別実施形態におけるフェール時の第2段階の制御ついて》
本発明の油圧制御装置の別実施形態におけるフェール時の第2段階の制御ついて、本発明の別実施形態に係る油圧制御装置においてフェール時に第2段階で行われる制御の概要を示す略図である図8を参照しながら、主に、上記で説明した本発明の一実施形態に係る油圧制御装置60と異なる点について説明する。
第2段階の制御では、マニュアルバルブ17が前進段以外にシフトされると、フェールセーフバルブ11からのフェール時ライン圧Pfが優先されて自動変速機モードに切り替わる。換言すると、上記シフトレバーが前進段以外のレンジにシフトされた場合に、スプリットモードクラッチ20が解放されてスプリットモードから脱出し、係合圧Pcが自動変速機モードクラッチ10へ供給されて、自動変速機モードに切り替わる。
本発明の油圧制御装置の一実施形態で説明したように、運転者がシフトレバーをDレンジからPレンジへ操作すると、マニュアルバルブ27も、図示しない連動手段によりDレンジ位置からPレンジ位置へ軸方向に移動される。図8に示すマニュアルバルブ27の図の下半分は、Pレンジ(駐車用レンジ)位置の状態を示す。
上記によって、マニュアルバルブ27へ供給されているモジュレータ圧Pmは、マニュアルバルブ27により遮断される。このため、前進段時クラッチ元圧Pdがマニュアルバルブ27から出力されない状態となる。これにより、副変速機用第二スプールバルブ126を図8の左半分に示す状態に維持していた前進段時クラッチ元圧Pdが供給されなくなる。
上記により、副変速機用第二スプールバルブ126は、図8の左半分に示す状態から、右半分に示す状態へ移行する。これにより、自動変速機用第一スプールバルブ25を紙面上方から下方押し下げていた前進段時クラッチ元圧Pdが遮断され、自動変速機用第一スプールバルブ25は、図8の右半分に示す状態から、左半分に示す状態へ移行される。
自動変速機用第一スプールバルブ25が左半分に示す状態へ移行することにより、上述した第1段階の制御において、予め自動変速機モード用クラッチ10の係合圧として準備されていた係合圧Pcが、自動変速機用第一スプールバルブ25を通過して自動変速機モードクラッチ10へ供給される。これにより、自動変速機モードクラッチ10が係合され、自動変速機モードに切り替わる。
本発明の別実施形態に係る油圧制御装置260における第2段階の制御では、上述したように、まず、上記シフトレバーが前進段以外のレンジに操作されたとき、即ちマニュアルバルブ27が前進段以外の位置へ移動されたとき、スプリットモードクラッチ20の係合圧Psが遮断され、スプリットモードクラッチ20は強制的に解放状態となる。これにより、スプリットモードから脱出する。次に、係合圧Pcが自動変速機モードクラッチ10へ供給されることで、自動変速機モードに切り換わる。
以上で、本発明の別実施形態に係る油圧制御装置260における第2段階の制御が完了する。
尚、上記ではフェール状態となったときに、運転者(図示せず)が車両(図示せず)を道路の路肩等に停止させ、シフトレバーを操作することを前提として説明したが、例えば、車両の備える情報表示手段、例えば警告灯やマルチインフォメーションディスプレー(図示せず)により、運転者に路肩へ停車するよう促すことが好ましい。
また、上記ではオイルポンプ(図示せず)はエンジン220により駆動されることとしたが、電動ポンプを備えることとしても良い。これにより、フェールセーフ時の停車時にエンジン220が運転を停止した場合でも、上記電動ポンプにより発生させた油圧を用いてトルコン(図示せず)の図示しない直結クラッチを開放して、エンジンを再始動させることができる。
尚、本実施形態では、ノーマルオープンのプライマリプーリ用ソレノイドバルブ55からの導入圧P1によりフェールセーフモードへの切替えが行われることとしたが、これに限られるものではなく、所要の圧を発生可能であれば、どのソレノイドバルブを用いても良い。
また、本発明の油圧制御装置60は、上述した実施形態に限られるものではなく、自動変速機等の主変速機と、副変速機とを備えたスプリット型自動変速機に適用可能であり、その構成の一例を図9に略示する。
以上、本発明の油圧制御装置についての実施形態およびその概念について説明してきたが本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲および明細書等に記載の精神や教示を逸脱しない範囲で他の変形例、改良例が得られることが当業者は理解できるであろう。
2 前進クラッチ
3、4 ギヤ
6 トルクコンバータ
7 ロックアップクラッチ
10 自動変速機モードクラッチ
11 第1フェールセーフバルブ
12 第2フェールセーフバルブ
20 スプリットモードクラッチ
21 第一リニアソレノイドバルブ
22 第二リニアソレノイドバルブ
24 ソレノイドリレーバルブ
25 自動変速機用第一スプールバルブ
26(126) 副変速機用第二スプールバルブ
30 遊星ギヤ
32 リングギヤ
34 大径スプロケット
36 小径スプロケット
38 チェーン
55 プライマリプーリ用ソレノイドバルブ
60 本発明の一実施形態に係る油圧制御装置
260 本発明の別実施形態に係る油圧制御装置
70 クラッチモジュレータバルブ
100 ベルト式自動変速機(CVT)
102 CVTベルト
104 プライマリプーリ
106 セカンダリプーリ
110 副変速機
120 油圧制御部
130 駆動輪
150 スプリット型自動変速機ECU
151 内燃機関ECU
152 自動変速機クラッチ圧制御信号
154 副変速機クラッチ圧制御信号
156 ロックアップクラッチ制御圧信号
158 燃料噴射制御信号
160 油圧制御装置
200 スプリット型自動変速機
220 内燃機関
240 出力軸
250 デファレンシャルギヤ
P1 フェール時のプライマリプーリ用ソレノイドバルブからの出力圧
Pf フェール時ライン圧
Pc 自動変速機モード用クラッチの係合圧
Ps スプリットモード用クラッチの係合圧
Pp 油圧発生手段で発生される圧
Pm クラッチモジュレータ圧
Pu ロックアップ元圧
Pd 前進段時クラッチ元圧
Ppf フェール時のプライマリ圧

Claims (4)

  1. 副変速機を備えた自動変速機の油圧制御装置であって、
    ノーマルオープンソレノイドバルブと、マニュアルバルブとを備え、
    フェールセーフ時における、スプリットモードから自動変速機モードへの切替えは、
    前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの出力圧に基づく第1導入圧と、
    前記マニュアルバルブからの第2導入圧と、によって切替えられ、
    前進段では、前記第2導入圧が優先されて前記スプリットモードが維持され、
    前進段以外では、前記第1導入圧が優先されて前記自動変速機モードに切り替わる、2段階の制御でされ、
    フェールセーフバルブを備え、
    前記フェールセーフバルブは、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの導入圧により、
    前記自動変速機を所定の変速比に移行し、
    トルクコンバータのロックアップを解除し、
    前記自動変速機モード用クラッチ圧を供給する、
    ことを特徴とする油圧制御装置。
  2. 通常走行時には自動変速機のみが駆動する自動変速機モードで走行し、高速走行時には前記自動変速機の変速を補助するために備えた副変速機のみ、又は、該副変速機と前記自動変速機とを併用して駆動するスプリットモードで走行する自動変速機の油圧制御装置であって、
    ノーマルオープンソレノイドバルブと、マニュアルバルブとを備え、
    フェールセーフ時における、前記スプリットモードから自動変速機モードへの切替えは、
    前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの出力圧に基づく第1導入圧と、
    前記マニュアルバルブからの第2導入圧と、によって切替えられ、
    前進段では、前記第2導入圧が優先されて前記スプリットモードが維持され、
    前進段以外では、前記第1導入圧が優先されて前記自動変速機モードに切り替わる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の油圧制御装置。
  3. 第1フェールセーフバルブである前記フェールセーフバルブと、第2フェールセーフバルブと、を備え、
    前記第1フェールセーフバルブは、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの導入圧により、
    前記自動変速機を所定の変速比に移行し、
    トルクコンバータのロックアップを解除し、
    前記自動変速機モード用クラッチ圧を供給し、
    前記第2フェールセーフバルブは、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの導入圧と、前記マニュアルバルブからの導入圧とにより作動し、
    前記マニュアルバルブが前進段のときは、該マニュアルバルブからの導入圧が優先されて前記スプリットモードを維持し、
    前記マニュアルバルブが前進段以外のときには、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの導入圧が優先されて前記自動変速機モードに切り替わる、
    ことを特徴とする請求項1〜2に記載の油圧制御装置。
  4. 前記フェールセーフバルブと、スプリットモード用バルブと、を備え、
    前記フェールセーフバルブは、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの導入圧により、
    前記自動変速機を所定の変速比に移行し、
    トルクコンバータのロックアップを解除し、
    前記自動変速機モード用クラッチ圧を供給し、
    前記スプリットモード用バルブは、前記ノーマルオープンソレノイドバルブからの導入圧を受けた前記フェールセーフバルブからの導入圧と、前記マニュアルバルブからの導入圧とにより作動し、
    前記マニュアルバルブが前進段のときは、該マニュアルバルブからの導入圧が優先されて前記スプリットモードを維持し、前記マニュアルバルブが前進段以外のときには、前記フェールセーフバルブからの導入圧が優先されて前記自動変速機モードに切り替わる、
    ことを特徴とする請求項1〜2に記載の油圧制御装置。
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