以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置と、その駆動方法について説明する。
図1に、本発明の一態様に係る半導体装置として、記憶装置200を示す。図1に示す記憶装置200は、駆動回路201、駆動回路202、メモリセルアレイ203、メモリコントローラ204、及びイニシャライズ回路205を有する。
メモリセルアレイ203には、複数のメモリセル100がマトリクス状に配置されている。
駆動回路201及び駆動回路202は、各メモリセル100への信号の供給を制御し、データの読み出し時には各メモリセル100から信号を取得する。例えば、駆動回路201をロー駆動回路とし、駆動回路202をコラム駆動回路とする。
駆動回路201は、m本のワード線WL1〜ワード線WLmを介して、複数のメモリセル100と電気的に接続される。また、駆動回路202は、n本のビット線BL1〜ビット線BLn、及びn本のビット線BLの反転データが入力されるビット線BL1B*〜ビット線BLnB*を介して、複数のメモリセル100と電気的に接続される。また、複数のメモリセル100のそれぞれは、イニシャライズ回路205と電気的に接続される。
また、駆動回路202は、コラムデコーダ212及びセンスアンプ群213を有し、センスアンプ群213は、センスアンプ213_1〜213_nと、コラムアドレス線CA〜CA_nを介して接続されている。
メモリコントローラ204には、複数のアドレス信号線ADと、複数のI/O信号線I/Oと、ライトイネーブル信号線WEと、リードイネーブル信号線REと、イニシャライズ信号線Iとが接続されている。メモリコントローラ204には、それぞれの信号線を介して各種制御信号である、アドレス信号AD、I/O信号I/O、ライトイネーブル信号WE、リードイネーブル信号RE、イニシャライズ信号Iが入力される。そして、メモリコントローラ204から、各種制御信号が駆動回路201、駆動回路202、イニシャライズ回路205にそれぞれ出力される。
イニシャライズ回路205は、トランジスタ221と、トランジスタ222と、を有するインバータである。以下、トランジスタ221はpチャネル型トランジスタであり、トランジスタ222は、nチャネル型トランジスタであるとして説明するが、これに限定されず、双方nチャネル型トランジスタとしてもよいし、双方pチャネル型トランジスタとしてもよい。
イニシャライズ回路205は、メモリコントローラ204から出力されたイニシャライズイネーブルバー信号IEBに従って、プレート電圧VPLATEを生成し、各メモリセル100に出力する。
次に、メモリセル100の回路構成の一例を図2(A)に示す。以下、ビット線BLに接続されたメモリセルについて説明するが、ビット線BLB*と接続されたメモリセルについてもメモリセル100と同様の構成を有する。
メモリセル100は、トランジスタ101と、トランジスタ102と、を有する。以下、トランジスタ101及びトランジスタ102は、nチャネル型トランジスタであるとして説明するが、pチャネル型トランジスタとしてもよい。なお、トランジスタ101のしきい値電圧は、Vth101と表し、トランジスタ102のしきい値電圧は、Vth102と表す。
トランジスタ101のゲートは、ワード線WLと電気的に接続され、ソース又はドレインの一方は、ビット線BLと電気的に接続され、ソース又はドレインの他方は、トランジスタ102のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。また、トランジスタ102のゲート、及びソース又はドレインの他方は、イニシャライズ回路205と電気的に接続され、プレート電圧VPLATEが印加される。
また、トランジスタ101のソース又はドレインの他方と、トランジスタ102のソース又はドレインの一方とによって、データ保持ノードSN(Storage Node)が形成される。
トランジスタ101及びトランジスタ102は、オフ電流が小さいトランジスタであり、例えば、シリコンのバンドギャップ(1.1eV)よりも広いバンドギャップを有し、真性キャリア密度がシリコンよりも低い半導体にチャネルが形成される。このような半導体としては、例えば、シリコンの2倍以上のバンドギャップを有することが好ましく、例えば、酸化ガリウム、少なくともインジウム及び亜鉛を含む酸化物半導体、窒化ガリウムなどの窒化物半導体、炭化シリコン、ガリウムヒ素等が挙げられる。本実施の形態では、トランジスタ101及びトランジスタ102は、酸化物半導体にチャネルが形成されるトランジスタとする。
なお、本明細書で説明するオフ電流とは、トランジスタがオフ状態のときに、ソースとドレインの間に流れる電流をいう。nチャネル型のトランジスタ(例えば、閾値電圧が0乃至2V程度)では、ゲートとソースとの間に印加される電圧が0または負の電圧の場合に、ソースとドレインとの間を流れる電流のことをいう。
トランジスタ101及びトランジスタ102は、例えば、チャネル幅1μmあたりのオフ電流が、例えば、室温(25℃程度)にて1×10−18A以下、好ましくは1×10−21A以下、更に好ましくは1×10−24A以下、又は85℃にて1×10−15A以下、好ましくは1×10−18A以下、更に好ましくは1×10−21A以下とする。
図1に示す記憶装置200に対して、イニシャライズを行う場合は、全てのメモリセルに対してリセットしなければならない。そのためには、全てのメモリセルに順次アクセスして、アドレス指定によって特定されたメモリセルに所定の値(ハイレベルまたはローレベルのデータ)を書き込むことが行われてきたが、このような方式では、イニシャライズに時間がかかってしまうという問題がある。
また、特許文献1に示すように、ビット線BL、ビット線BLの反転データが入力されるビット線BLB*のそれぞれにメモリセルが接続されていると、全てのメモリセルに対して、一括で同じデータを書き込むことはできない。また、イニシャライズを行う際に、ビット線BL及びビット線BLB*のそれぞれに対して、チャージまたはディスチャージを行う必要があるため、そのための電力が必要となり消費電力が増加してしまう。
そこで、本発明の一態様では、メモリセルアレイ203が有する全てのメモリセル100において、図2(A)に示すように、トランジスタ102のゲートを、ソース又はドレインの他方と電気的に接続し、トランジスタ102を、いわゆるダイオード接続とする。そして、トランジスタ102のゲート、及びソース又はドレインの他方を、イニシャライズ回路205と電気的に接続することにより、プレート電圧VPLATEによってトランジスタ102のオンまたはオフを制御することができる。これにより、全てのメモリセル100に対して一括で同じデータを書き込むことで、イニシャライズを行うこととする。
次に、図1に示す記憶装置200において、複数のメモリセル100に対して一括で同じデータを書き込むことでイニシャライズする場合について、図2(B)に示すタイミングチャートを参照して説明する。なお、複数のメモリセル100のそれぞれは、データ保持ノードSNに、電位VDDまたは電位VSSの2状態を保持するとし、電位VDDを保持している状態をデータ”1”、電位VSSを保持している状態をデータ”0”とする。
図2(B)に示す期間T1は、記憶装置200の電源がオンした直後である。期間T1においては、ワード線WL1〜WLmの電圧はGNDであり、ビット線BL1〜BLnの電圧及びビット線BLの反転データが入力されるビット線BL1B*〜BLnB*の電圧はX(Don’t care)であり、プレート電圧VPLATEはGNDである。また、各メモリセル100のデータ保持ノードSNの電圧は不定である。
図2(B)に示す期間T2は、各メモリセル100のイニシャライズの期間である。期間T2においては、イニシャライズ回路205に、メモリコントローラ204から出力されたイニシャライズイネーブルバー信号IEBが入力されると、トランジスタ221がオン状態、トランジスタ222がオフ状態となり、プレート電圧VPLATEを各メモリセル100に出力する。なお、プレート電圧VPLATEは、VDD+Vth102とする。これにより、各メモリセル100が有するトランジスタ102はオン状態になり、各メモリセル100のデータ保持ノードSNの電圧は、VDD+Vth102からトランジスタ102のしきい値電圧Vth102分低下したVDDとなる。
メモリセル100には、データ保持ノードSNと基板との寄生容量や、データ保持ノードSNと他の配線との寄生容量、データ保持ノードSNとトランジスタ102のゲートとの寄生容量、トランジスタ102のLovによる寄生容量が存在する。以下、これらの寄生容量を、寄生容量Csと記す。なお、Lovとは、トランジスタのソース電極層またはドレイン電極層と、ゲート電極とが、チャネル長方向に重畳する幅のことをいう。
この寄生容量Csに、ビット線BLからトランジスタ101を介して電荷が蓄積されることにより、データ保持ノードSNの電圧がVDDとなり、データ”1”が保持される。その後、プレート電圧VPLATEを、トランジスタ102がオフ状態となる電位(例えば、GND)として、トランジスタ102をオフ状態とする。
以上により、各メモリセル100のデータ保持ノードSNにはデータ”1”が書き込まれ、イニシャライズが完了する。
このように、本発明の一態様に係る記憶装置200では、複数のメモリセル100に対して一括で同じデータを書き込むことでイニシャライズを行うことができる。これにより、全てのメモリセルに順次アクセスして、アドレス指定によって特定されるメモリセル100に所定の値を書き込む必要がなくなるため、イニシャライズにかかる時間を短縮することができる。また、イニシャライズの際に、ビット線BLおよびビット線BLB*へのチャージ又はディスチャージをする必要がなく、全てのメモリセルに一括で特定の値を書き込むことができる。これにより、イニシャライズに必要な消費電力を低減することができる。
トランジスタ101及びトランジスタ102のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ101及びトランジスタ102がオフ状態の際に、トランジスタ101及びトランジスタ102を介してリークする電荷量を著しく小さく抑えることができる。よって、寄生容量Csに蓄積された電荷は、長期間にわたって保持することができる。
なお、図2(B)に示すT2期間において、プレート電圧VPLATEとして、VDD+Vth102を印加する場合について説明したが、これに限定されず、電圧VDDを印加してもよい。この場合には、データ保持ノードSNの電位は、電圧VDDからトランジスタ102のしきい値電圧Vth102分低下したVDD−Vth102となる。
図2(B)に示す期間T3において、記憶装置200はスタンバイ状態となる。
次に、図2(A)に示すメモリセル100にデータを書き込み、保持する場合について説明する。
はじめに、ワード線WLの電位を、トランジスタ101がオン状態となる電位(例えば、VDD)として、トランジスタ101をオン状態とする。このときプレート電圧VPLATEをGNDとして、トランジスタ102をオフ状態とする。
メモリセル100が有する寄生容量Csに、ビット線BLからトランジスタ101を介して電荷が蓄積されることにより、データ保持ノードSNの電圧がVDDまたはGNDとなり、にデータ”1”または”0”が保持される。その後、ワード線WLの電位を、トランジスタ101がオフ状態となる電位(例えば、GND)として、トランジスタ101をオフ状態とする。
トランジスタ101及びトランジスタ102のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ101及びトランジスタ102がオフ状態の際に、トランジスタ101及びトランジスタ102を介してリークする電荷量を著しく小さく抑えることができる。よって、寄生容量Csに蓄積された電荷は、長期間にわたって保持される。また、データ保持期間においてメモリセル100のリフレッシュ頻度を低減することができる。結果として、図1に示す記憶装置200の消費電力を十分に低減することができる。
次に、メモリセル100に保持されたデータを読み出す場合について説明する。はじめに、ビット線BLを定められた電圧にプリチャージする(例えば、VDD/2)。次に、例えば、ワード線WLの電位をトランジスタ101がオン状態となる電位(例えば、VDD)として、トランジスタ101をオン状態とする。これにより、浮遊状態であるプリチャージされたビット線BLと、寄生容量Csとが導通し、ビット線BLの寄生容量CBLと寄生容量Csとの間で電荷が再分配される。このとき、寄生容量Csにおいて、”1”が保持されている場合には、ビット線BLの電位がΔv上昇し、”0”が保持されている場合には、ビット線BLの電位はΔv下降する。なお、Δvは以下の式で表すことができる。
ビット線BLの電位の変化(Δv)を、ビット線BLと電気的に接続されたセンスアンプ(図示せず)によって増幅させることで、メモリセル100に保持されたデータを読み出すことができる。
このようにして、メモリセル100にデータの書き込み、保持、及び読み出しを行うことができる。
このように、図2(A)に示すメモリセル100において、トランジスタ101及びトランジスタ102のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ101及びトランジスタ102を介してリークする電荷量を著しく小さく抑えることができる。よって、寄生容量Csに記憶されたデータは、長期間にわたって保持される。また、データ保持期間においてメモリセル100のリフレッシュ頻度を低減することができる。結果として、図1に示す記憶装置200の消費電力を十分に低減することができる。
次に、図2(A)に示す回路構成とは一部異なる回路構成の一例を、図3(A)に示す。
メモリセル110は、トランジスタ101及びトランジスタ112を有する。トランジスタ112は第2のゲート(バックゲートともいう)を有する。トランジスタ112のバックゲートの電圧を変動させることにより、トランジスタ112のしきい値電圧を制御することができる。以下、トランジスタ112のしきい値電圧を、Vth112と表す。
トランジスタ101のゲートは、ワード線WLと電気的に接続され、ソース又はドレインの一方は、ビット線BLと電気的に接続され、ソース又はドレインの他方は、トランジスタ112のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。また、トランジスタ112の第1のゲート、並びにソース又はドレインの他方は、イニシャライズ回路205と電気的に接続され、プレート電圧VPLATEが印加される。また、トランジスタ112の第2のゲートは、配線V1と電気的に接続される。
トランジスタ112がオン状態の際に、配線V1に正の電位を与えることにより、トランジスタ112のしきい値電圧Vth102をマイナスシフトさせることができる。これにより、図2(B)に示す期間T2(イニシャライズ期間)において、プレート電圧VPLATEとしてVDDを印加した場合であっても、トランジスタ112のしきい値電圧Vth112分低下することを抑制し、データ保持ノードSNに電圧VDDを与えることができる。
また、トランジスタ112がオフ状態の際に、配線V1に負の電位を与えることにより、トランジスタ112のしきい値電圧Vth112をプラスシフトさせることができる。これにより、トランジスタ112のオフ電流をさらに低減させることができる。結果として、図2(B)に示す期間T3(スタンバイ期間)において、寄生容量Csからトランジスタ112を介して電荷がリークすることをさらに抑制することができる。
なお、図3においては、トランジスタ112にバックゲートを設ける構成としたが、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、図2(A)に示すトランジスタ101及びトランジスタ102の双方にバックゲートを設ける構成としてもよいし、トランジスタ101のみにバックゲートを設ける構成としてもよい。
次に、図2(A)に示す回路構成とは一部異なる回路構成の一例について、図4(A)に示す。
メモリセル120は、トランジスタ101、トランジスタ102、及び容量素子103を有する。
トランジスタ101のゲートは、ワード線WLと電気的に接続され、ソース又はドレインの一方は、ビット線BLと電気的に接続され、ソース又はドレインの他方は、トランジスタ102のソース又はドレインの一方、並びに容量素子103の一対の電極の一方と電気的に接続される。また、トランジスタ102のゲート、及びソース又はドレインの他方は、イニシャライズ回路205と電気的に接続され、プレート電圧VPLATEが印加される。また、容量素子103の一対の電極の他方は、配線V2と電気的に接続される。
トランジスタ101のソース又はドレインの他方、及びトランジスタ102のソース又はドレインの一方と電気的に接続される容量素子103を有することにより、寄生容量Csだけでなく、容量素子103にも電荷を蓄積させることができる。
次に、図4(A)に示す回路構成とは一部異なる回路構成の一例について、図4(B)に示す。図4(B)に示す回路構成が、図4(A)に示す回路構成と異なる点は、トランジスタ112が第2のゲートを有する点にある。
図4(B)に示すメモリセル130は、トランジスタ101、トランジスタ112、及び容量素子103を有する。
トランジスタ101のゲートは、ワード線WLと電気的に接続され、ソース又はドレインの一方は、ビット線BLと電気的に接続され、ソース又はドレインの他方は、トランジスタ112のソース又はドレイン一方、並びに容量素子103の一対の電極の一方と電気的に接続される。また、トランジスタ112の第1のゲート、並びにソース又はドレインの他方は、イニシャライズ回路205と電気的に接続され、プレート電圧VPLATEが印加される。トランジスタ112の第2のゲートは、配線V1と電気的に接続される。また、容量素子103の一対の電極のうち他方は、配線V2と電気的に接続される。
トランジスタ112がオン状態の際に、配線V1に正の電位を与えることにより、トランジスタ112のしきい値電圧Vth112をマイナスシフトさせることができる。これにより、図2(B)に示す期間T2(イニシャライズ期間)において、プレート電圧VPLATEとしてVDDを印加した場合であっても、トランジスタ112のしきい値電圧Vth112分低下することを抑制し、データ保持ノードSNに電圧VDDを与えることができる。
また、トランジスタ112がオフ状態の際に、配線V1に負の電位を与えることにより、トランジスタ112のしきい値電圧Vth112をプラスシフトさせることができる。これにより、トランジスタ112のオフ電流をさらに低減させることができる。結果として、図2(B)に示す期間T3(スタンバイ期間)において、データ保持ノードSNからトランジスタ112を介して電荷がリークすることをさらに抑制することができる。
なお、図4(B)においては、トランジスタ112にバックゲートを設ける構成としたが、これに限定されない。例えば、図4(A)に示すトランジスタ101及びトランジスタ102の双方のトランジスタにバックゲートを設ける構成としてもよいし、トランジスタ101のみにバックゲートを設ける構成としてもよい。
次に、図1に示す記憶装置とは一部異なる記憶装置の一例について、図5に示す。
図5に示す記憶装置210では、メモリセルアレイ203が、4つのブロック213a〜213dに分割されている例を示す。なお、図5において、駆動回路202の構成は図1に示す駆動回路202と同様であるため、詳細な図示は省略している。
図5に示すように、メモリセルアレイ203において、ブロック213a〜213dごとに、イニシャライズ回路205から、プレート電圧VPLATE1〜VPLATE4が印加される。ブロック213aの各メモリセルは、プレート電圧VPLATE1が印加され、ブロック213bの各メモリセルは、プレート電圧VPLATE2が印加され、ブロック213cの各メモリセルは、プレート電圧VPLATE3が印加され、ブロック213dの各メモリセルは、プレート電圧VPLATE4印加される。
また、イニシャライズ回路205は、ブロックの数に応じて、インバータが設けられている。図5においては、イニシャライズ回路205は、インバータを4つ有している。また、4つのインバータの入力端子にはそれぞれ、イニシャライズイネーブルバー信号IEB1〜IEB4が入力される。また、イニシャライズイネーブルバー信号IEB1〜IEB4に応じて、4つのインバータの出力端子のそれぞれは、プレート電圧VPLATE1〜プレート電圧VPLATE4を出力する。
ブロック213a〜213dのイニシャライズは、図2(B)に示す方法と同様にして行うことができる。つまり、図2(B)に示す期間T2においては、イニシャライズ回路205は、メモリコントローラ204から出力されたイニシャライズイネーブルバー信号IEB1〜IEB4に従って、プレート電圧VPLATE1〜VPLATE4を各ブロック213a〜213dに順次出力する。なお、プレート電圧VPLTE1〜VPALTE4は、VDD+Vth102とする。これにより、プレート電圧VPLATE1〜VPLATE4が印加された順に、各ブロック213a〜213dが有する各メモリセル100のトランジスタ102はオン状態となり、各メモリセル100のデータ保持ノードSNの電圧は、VDD+Vth102からトランジスタ102のしきい値電圧Vth102分低下したVDDとなる。以上により、各メモリセル100のデータ保持ノードSNにはデータ1が書き込まれ、イニシャライズが完了する。
メモリセルアレイ203において、複数のブロックにプレート電圧VPLATEを順次印加することにより、イニシャライズを分割して行うことができる。図5に示すメモリセルアレイ203において、ブロック数が4つの場合について説明したが、これに限定されない。また、メモリセルアレイ203におけるブロック数は、一度にイニシャライズしたいメモリセル数や、一度にイニシャライズできる電力に応じて適宜設定することができる。また、この場合、イニシャライズ回路205が有するインバータは、ブロック数に応じて設けることが好ましい。
本実施の形態は、他の実施の形態等と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、図1に示すメモリセル100や、その他周辺回路に適用することができるトランジスタについて、図6を参照して説明する。
以下の説明においては、トップゲート構造のトランジスタについて説明するが、トランジスタの構造は、特に限定されず任意の構造とすることができる。トランジスタの構造として、ボトムゲート構造のスタガ型やプレーナ型などを適用することができる。また、トランジスタは、チャネル形成領域が1つ形成されるシングルゲート構造でも、2つ形成されるダブルゲート構造若しくは3つ形成されるトリプルゲート構造などのマルチゲート構造であってもよい。また、チャネル形成領域の上下にゲート絶縁膜を介して配置された2つのゲート電極を有する構造(本明細書においては、これをデュアルゲート構造という。)でもよい。
図6に、トップゲート型トランジスタの一種であるトップゲートトップコンタクト構造のトランジスタ420の構成例を示す。図6(A)は、トランジスタ420の平面図であり、図6(B)は、図6(A)中の一点鎖線A1−A2における断面図である。
トランジスタ420は、絶縁表面を有する基板400上に設けられた絶縁膜401と、絶縁膜401上に設けられた酸化物半導体層404と、酸化物半導体層404に接して設けられた導電層405a及び導電層405bと、酸化物半導体層404、導電層405a及び導電層405b上に設けられたゲート絶縁膜406と、ゲート絶縁膜406を介して酸化物半導体層404と重畳する導電層408と、を有する。なお、導電層405a及び導電層405bは、ソース電極及びドレイン電極として機能し、導電層408は、ゲート電極として機能する。
以下、トランジスタの各構成要素について説明する。
基板400は、材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する材料を用いる。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイヤ基板、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)基板等を、基板400として用いることができる。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板等を用いることもできる。
また、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板400として用いてもよい。
また、基板400として、プラスチックなどの可撓性基板を用い、該可撓性基板上に直接、トランジスタ420を形成してもよい。または、基板400とトランジスタ420との間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上層にトランジスタの一部あるいは全部を形成した後、基板400より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その結果、トランジスタ420は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
絶縁膜401は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により一部の酸素が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物絶縁膜である。
絶縁膜401としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
また、絶縁膜401と酸化物半導体層404との間に、酸素を透過する酸化物膜を設けてもよい。
酸素を透過する酸化物膜としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。なお、本明細書中において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い膜を指し、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指す。
導電層405a、405bは、導電材料として、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を用いることができる。また、導電層405a、405bは、これらの材料を用いて単層構造で形成しても良いし、二層以上の積層構造で形成してもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。
また、導電層405a、405bは、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属の積層構造とすることもできる。
ゲート絶縁膜406は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn系金属酸化物、窒化シリコンなどを用いればよい。また、ゲート絶縁膜406は、これらの材料を用いて単層構造で形成してもよいし、二層以上の積層構造で形成してもよい。
また、ゲート絶縁膜406として、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
導電層408は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属、または上述した金属を成分とする合金か、上述した金属を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属を用いてもよい。また、導電層408は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数の金属を組み合わせた合金膜、もしくはこれらの窒化膜を用いてもよい。
また、導電層408は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属の積層構造とすることもできる。
また、導電層408とゲート絶縁膜406との間に、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜、In−Sn系酸窒化物半導体膜、In−Ga系酸窒化物半導体膜、In−Zn系酸窒化物半導体膜、Sn系酸窒化物半導体膜、In系酸窒化物半導体膜、金属窒化膜(InN、ZnN等)等を設けてもよい。これらの膜は5eV、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、酸化物半導体の電子親和力よりも大きい値であるため、酸化物半導体を用いたトランジスタのしきい値電圧をプラスにシフトすることができ、所謂ノーマリーオフ特性のスイッチング素子を実現できる。例えば、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体層404より高い窒素濃度、具体的には7原子%以上のIn−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる。
また、絶縁膜409は、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜を用いることが好ましい。ゲート絶縁膜406及び導電層408上に、絶縁膜409を設けることで、酸化物半導体層404からの酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体層404への水素、水等の侵入を防ぐことができる。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。絶縁膜409は、これらの材料を用いて、単層構造で形成してもよいし、積層構造で形成してもよい。
次に、トランジスタ420が有する酸化物半導体層404について詳細に説明する。
酸化物半導体層404に適用することができる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)又は亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特に、In及びZnを含むことが好ましい。また、それらに加えて、酸素を強く結びつけるスタビライザーを有することが好ましい。スタビライザーとしては、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、及びアルミニウム(Al)の少なくともいずれかを有すればよい。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種又は複数種を有してもよい。
酸化物半導体層404に適用することができる酸化物半導体としては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、In−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系酸化物、In−Ti−Zn系酸化物、In−Sc−Zn系酸化物、In−Y−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物等がある。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=3:1:2、あるいはIn:Ga:Zn=2:1:3の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
酸化物半導体層に水素が多量に含まれると、酸化物半導体と結合することによって、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生じてしまう。これにより、トランジスタの閾値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。そのため、酸化物半導体層の形成後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体層から、水素、又は水分を除去して不純物が極力含まれないように高純度化することが好ましい。
なお、酸化物半導体層への脱水化処理(脱水素化処理)によって、酸化物半導体層から酸素が減少してしまうことがある。よって、酸化物半導体層への脱水化処理(脱水素化処理)によって減少してしまった酸素を酸化物半導体に加える、又は酸素を供給し酸化物半導体層の酸素欠損を補填することが好ましい。本明細書等において、酸化物半導体層に酸素を供給する場合を、加酸素化処理、又は過酸素化処理と記す場合がある。
このように、酸化物半導体層は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素又は水分が除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化又はi型に限りなく近く実質的にi型(真性)である酸化物半導体層とすることができる。なお、実質的に真性とは、酸化物半導体層中にドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼロに近く)、キャリア密度が1×1017/cm3以下、1×1016/cm3以下、1×1015/cm3以下、1×1014/cm3以下、1×1013/cm3以下であることをいう。
また、このように、i型又は実質的にi型である酸化物半導体層を備えるトランジスタは、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。例えば、酸化物半導体層を用いたトランジスタがオフ状態のときのドレイン電流を、室温(25℃程度)にて1×10−18A以下、好ましくは1×10−21A以下、更に好ましくは1×10−24A以下、又は85℃にて1×10−15A以下、好ましくは1×10−18A以下、更に好ましくは1×10−21A以下とすることができる。
このように、トランジスタ420は、オフ電流を極めて小さくすることができる。よって、トランジスタ420を、図2に示すメモリセル100が有するトランジスタ101、102に適用することにより、トランジスタ101、102がオフ状態の際に、トランジスタ101、102を介してリークする電荷量を著しく小さく抑えることができる。よって、寄生容量Csに蓄積された電荷を、長期間にわたって保持することができる。また、データ保持期間においてメモリセル100のリフレッシュ頻度を低減することができる。結果として、図1に示す記憶装置200の消費電力を十分に低減することができる。また、記憶装置200に電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であっても、長期にわたってデータを保持することができる。
以下では、酸化物半導体膜の構造について説明する。
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに大別される。非単結晶酸化物半導体膜とは、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜、多結晶酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜などをいう。
まずは、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
CAAC−OS膜を透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって観察すると、明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
CAAC−OS膜を、試料面と概略平行な方向からTEMによって観察(断面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、CAAC−OS膜を、試料面と概略垂直な方向からTEMによって観察(平面TEM観察)すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
図14(a)は、CAAC−OS膜の断面TEM像である。また、図14(b)は、図14(a)をさらに拡大した断面TEM像であり、理解を容易にするために原子配列を強調表示している。
図14(c)は、図14(a)のA−O−A’間において、丸で囲んだ領域(直径約4nm)の局所的なフーリエ変換像である。図14(c)より、各領域においてc軸配向性が確認できる。また、A−O間とO−A’間とでは、c軸の向きが異なるため、異なるグレインであることが示唆される。また、A−O間では、c軸の角度が14.3°、16.6°、26.4°のように少しずつ連続的に変化していることがわかる。同様に、O−A’間では、c軸の角度が−18.3°、−17.6°、−15.9°と少しずつ連続的に変化していることがわかる。
なお、CAAC−OS膜に対し、電子回折を行うと、配向性を示すスポット(輝点)が観測される。例えば、CAAC−OS膜の上面に対し、例えば1nm以上30nm以下の電子線を用いる電子回折(ナノビーム電子回折ともいう。)を行うと、スポットが観測される(図15(A)参照。)。
断面TEM観察および平面TEM観察より、CAAC−OS膜の結晶部は配向性を有していることがわかる。
なお、CAAC−OS膜に含まれるほとんどの結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさである。従って、CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、一辺が10nm未満、5nm未満または3nm未満の立方体内に収まる大きさの場合も含まれる。ただし、CAAC−OS膜に含まれる複数の結晶部が連結することで、一つの大きな結晶領域を形成する場合がある。例えば、平面TEM像において、2500nm2以上、5μm2以上または1000μm2以上となる結晶領域が観察される場合がある。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に概略垂直な方向を向いていることが確認できる。
一方、CAAC−OS膜に対し、c軸に概略垂直な方向からX線を入射させるin−plane法による解析では、2θが56°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。InGaZnO4の単結晶酸化物半導体膜であれば、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行うと、(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。これに対し、CAAC−OS膜の場合は、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合でも、明瞭なピークが現れない。
以上のことから、CAAC−OS膜では、異なる結晶部間ではa軸およびb軸の配向は不規則であるが、c軸配向性を有し、かつc軸が被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向を向いていることがわかる。従って、前述の断面TEM観察で確認された層状に配列した金属原子の各層は、結晶のab面に平行な面である。
なお、結晶部は、CAAC−OS膜を成膜した際、または加熱処理などの結晶化処理を行った際に形成される。上述したように、結晶のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルに平行な方向に配向する。従って、例えば、CAAC−OS膜の形状をエッチングなどによって変化させた場合、結晶のc軸がCAAC−OS膜の被形成面または上面の法線ベクトルと平行にならないこともある。
また、CAAC−OS膜中において、c軸配向した結晶部の分布が均一でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の結晶部が、CAAC−OS膜の上面近傍からの結晶成長によって形成される場合、上面近傍の領域は、被形成面近傍の領域よりもc軸配向した結晶部の割合が高くなることがある。また、不純物の添加されたCAAC−OS膜は、不純物が添加された領域が変質し、部分的にc軸配向した結晶部の割合の異なる領域が形成されることもある。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。従って、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
微結晶酸化物半導体膜は、TEMによる観察像では、明確に結晶部を確認することができない場合がある。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、TEMによる観察像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある(図15(B)参照。)。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
酸化物半導体膜が複数の構造を有する場合、ナノビーム電子回折を用いることで構造解析が可能となる場合がある。
図15(C)に、電子銃室10と、電子銃室10の下の光学系12と、光学系12の下の試料室14と、試料室14の下の光学系16と、光学系16の下の観察室20と、観察室20に設置されたカメラ18と、観察室20の下のフィルム室22と、を有する透過電子回折測定装置を示す。カメラ18は、観察室20内部に向けて設置される。なお、フィルム室22を有さなくても構わない。
また、図15(D)に、図15(C)で示した透過電子回折測定装置内部の構造を示す。透過電子回折測定装置内部では、電子銃室10に設置された電子銃から放出された電子が、光学系12を介して試料室14に配置された物質28に照射される。物質28を通過した電子は、光学系16を介して観察室20内部に設置された蛍光板32に入射する。蛍光板32では、入射した電子の強度に応じたパターンが現れることで透過電子回折パターンを測定することができる。
カメラ18は、蛍光板32を向いて設置されており、蛍光板32に現れたパターンを撮影することが可能である。カメラ18のレンズの中央、および蛍光板32の中央を通る直線と、蛍光板32の上面と、の為す角度は、例えば、15°以上80°以下、30°以上75°以下、または45°以上70°以下とする。該角度が小さいほど、カメラ18で撮影される透過電子回折パターンは歪みが大きくなる。ただし、あらかじめ該角度がわかっていれば、得られた透過電子回折パターンの歪みを補正することも可能である。なお、カメラ18をフィルム室22に設置しても構わない場合がある。例えば、カメラ18をフィルム室22に、電子24の入射方向と対向するように設置してもよい。この場合、蛍光板32の裏面から歪みの少ない透過電子回折パターンを撮影することができる。
試料室14には、試料である物質28を固定するためのホルダが設置されている。ホルダは、物質28を通過する電子を透過するような構造をしている。ホルダは、例えば、物質28をX軸、Y軸、Z軸などに移動させる機能を有していてもよい。ホルダの移動機能は、例えば、1nm以上10nm以下、5nm以上50nm以下、10nm以上100nm以下、50nm以上500nm以下、100nm以上1μm以下などの範囲で移動させる精度を有すればよい。これらの範囲は、物質28の構造によって最適な範囲を設定すればよい。
次に、上述した透過電子回折測定装置を用いて、物質の透過電子回折パターンを測定する方法について説明する。
例えば、図15(D)に示すように物質におけるナノビームである電子24の照射位置を変化させる(スキャンする)ことで、物質の構造が変化していく様子を確認することができる。このとき、物質28がCAAC−OS膜であれば、図15(A)に示したような回折パターンが観測される。または、物質28がnc−OS膜であれば、図15(B)に示したような回折パターンが観測される。
ところで、物質28がCAAC−OS膜であったとしても、部分的にnc−OS膜などと同様の回折パターンが観測される場合がある。したがって、CAAC−OS膜の良否は、一定の範囲におけるCAAC−OS膜の回折パターンが観測される領域の割合(CAAC化率ともいう。)で表すことができる場合がある。例えば、良質なCAAC−OS膜であれば、CAAC化率は、50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上となる。なお、CAAC−OS膜と異なる回折パターンが観測される領域を非CAAC化率と表記する。
一例として、成膜直後(as−sputterdと表記。)、または酸素を含む雰囲気における450℃加熱処理後のCAAC−OS膜を有する各試料の上面に対し、スキャンしながら透過電子回折パターンを取得した。ここでは、5nm/秒の速度で60秒間スキャンしながら回折パターンを観測し、観測された回折パターンを0.5秒ごとに静止画に変換することで、CAAC化率を導出した。なお、電子線としては、プローブ径が1nmのナノビームを用いた。なお、同様の測定は6試料に対して行った。そしてCAAC化率の算出には、6試料における平均値を用いた。
各試料におけるCAAC化率を図16(A)に示す。成膜直後のCAAC−OS膜のCAAC化率は75.7%(非CAAC化率は24.3%)であった。また、450℃加熱処理後のCAAC−OS膜のCAAC化率は85.3%(非CAAC化率は14.7%)であった。成膜直後と比べて、450℃加熱処理後のCAAC化率が高いことがわかる。即ち、高い温度(例えば400℃以上)における加熱処理によって、非CAAC化率が低くなる(CAAC化率が高くなる)ことがわかる。また、500℃未満の加熱処理においても高いCAAC化率を有するCAAC−OS膜が得られることがわかる。
ここで、CAAC−OS膜と異なる回折パターンのほとんどはnc−OS膜と同様の回折パターンであった。また、測定領域において非晶質酸化物半導体膜は、確認することができなかった。したがって、加熱処理によって、nc−OS膜と同様の構造を有する領域が、隣接する領域の構造の影響を受けて再配列し、CAAC化していることが示唆される。
図16(B)および図16(C)は、成膜直後および450℃加熱処理後のCAAC−OS膜の平面TEM像である。図16(B)と図16(C)とを比較することにより、450℃加熱処理後のCAAC−OS膜は、膜質がより均質であることがわかる。即ち、高い温度における加熱処理によって、CAAC−OS膜の膜質が向上することがわかる。
このような測定方法を用いれば、複数の構造を有する酸化物半導体膜の構造解析が可能となる場合がある。
次に、図6に示すトランジスタとは、一部異なるトランジスタの一例について、図7を参照して説明する。
図7(A)に、デュアルゲート構造のトランジスタ431を示す。
図7(A)に示すトランジスタ431は、絶縁表面を有する基板400上に設けられた導電層402と、導電層402上に設けられたゲート絶縁膜415と、ゲート絶縁膜415を介して導電層402と重畳する酸化物半導体層404と、酸化物半導体層404と接して設けられた導電層405a、405bと、導電層405a、導電層405bを覆い、酸化物半導体層404と接するゲート絶縁膜406と、ゲート絶縁膜406を介して酸化物半導体層404と重畳する導電層408と、を有する。
トランジスタ431では、導電層402及び導電層408は、ゲート電極として機能する。一対のゲート電極のうち、一方のゲート電極は、トランジスタのオン状態またはオフ状態を制御するための信号が与えられ、他方のゲート電極は、接地電位や、負の電位などの固定電位が与えられていてもよい。他方のゲート電極に与えられる電位の高さを制御することで、トランジスタ431のしきい値電圧を制御することができる。
また、図6では、トランジスタ420が有する酸化物半導体層404は、単層構造で構成されている例について示したが、本発明の一態様はこれに限定されない。例えば、二層以上の積層構造で構成された酸化物半導体層であってもよい。
図7(B)に、酸化物半導体層が2層積層されているトランジスタ432を示す。
図7(B)に示すトランジスタ432は、絶縁表面を有する基板400上に設けられた絶縁膜401と、絶縁膜401上に積層して設けられた酸化物半導体層403、404と、酸化物半導体層404に接して設けられた導電層405a及び導電層405bと、酸化物半導体層404、導電層405a及び導電層405b上に設けられたゲート絶縁膜406と、ゲート絶縁膜406を介して酸化物半導体層404と重畳する導電層408と、を有する。なお、酸化物半導体層403及び酸化物半導体層404の結晶性は、同じでも良いし、異なっていても良い。
図7(C)に、酸化物半導体層が3層積層されているトランジスタ433を示す。
図7(C)に示すトランジスタ433は、絶縁表面を有する基板400上に設けられた絶縁膜401と、絶縁膜401上に積層して設けられた酸化物半導体層403、404、414と、酸化物半導体層414に接して設けられた導電層405a及び導電層405bと、酸化物半導体層414、導電層405a及び導電層405b上に設けられたゲート絶縁膜406と、ゲート絶縁膜406を介して酸化物半導体層414と重畳する導電層408と、を有する。なお、酸化物半導体層403、酸化物半導体層404、及び酸化物半導体層414の結晶性は、同じでも良いし、
そして、酸化物半導体層403及び酸化物半導体層414は、酸化物半導体層404を構成する金属元素の少なくとも1つを、その構成要素に含み、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体層404よりも0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上又は0.15eV以上、かつ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下又は0.4eV以下、真空準位に近い酸化物膜である。さらに、酸化物半導体層404は、少なくともインジウムを含むと、キャリア移動度が高くなるため好ましい。
なお、酸化物半導体層414は、図7(D)に示すように、導電層405a、及び導電層405bの上層で重畳させて設ける構成としてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、図6に示すトランジスタ420が適用されたメモリセルの平面図及び断面図について、図8を参照して説明する。
図8(A)に、トランジスタ421及びトランジスタ422の平面図を、図8(B)は、図8(A)中の一点鎖線B1−B2における断面図である。なお、図8(A)においては、ゲート絶縁膜406、絶縁膜409、410、導電層413については省略して記載している。
トランジスタ421及びトランジスタ422は、絶縁表面を有する基板400上の絶縁膜401上に設けられている。
トランジスタ421は、絶縁膜401上に設けられた酸化物半導体層404aと、酸化物半導体層404aに接して設けられた導電層405a及び導電層405bと、酸化物半導体層404a、導電層405a、及び導電層405b上に設けられたゲート絶縁膜406と、ゲート絶縁膜406を介して酸化物半導体層404aと重畳する導電層408aと、を有する。なお、導電層405a及び導電層405bは、ソース電極及びドレイン電極として機能し、導電層408aは、ゲート電極として機能する。
また、トランジスタ422は、絶縁膜401上に設けられた酸化物半導体層404bと、酸化物半導体層404bに接して設けられた導電層405b及び導電層405cと、酸化物半導体層404b、導電層405b、及び導電層405c上に設けられたゲート絶縁膜406と、ゲート絶縁膜406を介して酸化物半導体層404bと重畳する導電層408bと、を有する。また、トランジスタ422において、導電層408bは、コンタクトホール407を介して導電層405cと接している。なお、導電層405b及び導電層405cは、ソース電極及びドレイン電極として機能し、導電層408bは、ゲート電極として機能する。
トランジスタ421及びトランジスタ422において、微細化に起因して素子間に生じるリークを抑制するために、島状に加工された酸化物半導体層404a及び酸化物半導体層404bを用いているが、酸化物半導体層404a及び酸化物半導体層404bがひとつの半導体領域であってもよい。
ゲート絶縁膜406、導電層408a、導電層408bを覆うように、絶縁膜409、絶縁膜410が設けられている。そして、絶縁膜409及び絶縁膜410に設けられたコンタクトホール411には、導電層412が埋め込まれている。さらに、絶縁膜410及び導電層412上には、導電層413が設けられている。なお、導電層412及び導電層413は、ビット線BLとして機能する。
なお、図8には示していないが、図1に示す駆動回路201、202、イニシャライズ回路205などの周辺回路も、酸化物半導体を用いたトランジスタで形成することができる。よって、メモリセルアレイ203と、周辺回路とを、酸化物半導体を用いたトランジスタで形成する場合には、半導体装置の作製工程を簡略化することができるため、好ましい。
または、図1に示す駆動回路201、202、イニシャライズ回路205などの周辺回路は、例えば、単結晶シリコンを用いたトランジスタで形成し、メモリセルアレイ203は、酸化物半導体を用いたトランジスタで形成してもよい。このような場合、周辺回路上にメモリセルアレイ203を形成することができるため、半導体装置の面積を縮小することができる。
また、図9(A)に示すように、酸化物半導体を用いたトランジスタが形成された素子層250a上に、さらに、酸化物半導体を用いたトランジスタが形成された素子層250bを形成することができる。図9(A)に示す半導体装置では、素子層250aには、駆動回路251a、駆動回路252a、メモリセルアレイ253aが設けられ、素子層250bには、駆動回路251b、駆動回路252b、メモリセルアレイ253bが設けられている。
従来のフラッシュメモリでは、フローティングゲートに電荷を保持させるため、またはその電荷を除去するために高い電圧が必要である。よって、膜質のよいゲート絶縁膜が要求され、かつ記憶素子の構造が複雑であるため、メモリセルアレイ等を積層することは困難であった。また、従来のDRAMでは、高い集積度を得るために、高さ方向に大きな容量素子の形成が必要であるので、やはり、メモリセルアレイを積層することは困難であった。
これに対し、酸化物半導体を用いたトランジスタを含むメモリセルは、フラッシュメモリやDRAMと比較して、作製工程を簡略化することができる。また、高温の熱処理も必要ない。また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が極めて小さいために、電荷を保持する容量素子が小さくてもよい。例えば、図2(A)において説明したように、容量素子は寄生容量であってもよい。これらの特徴から、酸化物半導体を用いたトランジスタを含むメモリセルアレイを積層して作製することが可能であり、半導体装置を集積化することができる。
また、図9(B)に示すように、例えば、単結晶シリコンを用いたトランジスタが形成された素子層260上に、酸化物半導体を用いたトランジスタが形成された素子層270a、270bを形成することもできる。図9(B)に示す半導体装置では、素子層260には、駆動回路や、イニシャライズ回路、メモリコントローラなどの周辺回路261が設けられ、素子層270a及び素子層270bには、それぞれメモリセルアレイ273a及びメモリセルアレイ273bが設けられている。なお、周辺回路261は、メモリセルアレイ273a、273bとそれぞれ電気的に接続されている。
半導体装置を、図9(B)に示す構成とすることにより、周辺回路261をメモリセルアレイ273a、273bの真下に設けることができるため、半導体装置の小型化を図ることができる。
図9(B)に示す周辺回路261に設けられるトランジスタは、シリコンの他に、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、またはガリウムヒ素等の半導体を用い形成することができ、単結晶半導体を用いることが好ましい。このような半導体材料を用いたトランジスタは、十分な高速動作が可能である。したがって、該トランジスタにより、高速動作が要求される各種回路(論理回路、駆動回路など)を好適に実現することが可能である。
なお、図9(A)及び図9(B)に示す半導体装置において、積層する素子層の数は限定されない。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、先の実施の形態で示した半導体装置を携帯電話、スマートフォン、電子書籍などの電子機器に応用した場合の例を図10乃至図13を用いて説明する。
図10に携帯型通信機器のブロック図を示す。図10に示す携帯機器はRF回路901、アナログベースバンド回路902、デジタルベースバンド回路903、バッテリー904、電源回路905、アプリケーションプロセッサ906、フラッシュメモリ910、ディスプレイコントローラ911、メモリ回路912、ディスプレイ913、タッチセンサ919、音声回路917、キーボード918などより構成されている。ディスプレイ913は表示部914、ソースドライバ915、ゲートドライバ916によって構成されている。アプリケーションプロセッサ906はCPU907、DSP908、インターフェイス909(IF909)を有している。一般にメモリ回路912はSRAMまたはDRAMで構成されているが、この部分に先の実施の形態で説明した半導体装置を採用することによって、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減することができる。
図11に、ディスプレイのメモリ回路950に先の実施の形態で説明した半導体装置を使用した例を示す。図11に示すメモリ回路950は、メモリ952、メモリ953、スイッチ954、スイッチ955およびメモリコントローラ951により構成されている。また、メモリ回路950は、信号線から入力された画像データ(入力画像データ)、メモリ952、及びメモリ953に記憶されたデータ(記憶画像データ)を読み出し、及び制御を行うディスプレイコントローラ956と、ディスプレイコントローラ956からの信号により表示するディスプレイ957が接続されている。
まず、ある画像データがアプリケーションプロセッサ(図示しない)によって、形成される(入力画像データA)。入力画像データAは、スイッチ954を介してメモリ952に記憶される。そしてメモリ952に記憶された画像データ(記憶画像データA)は、スイッチ955、及びディスプレイコントローラ956を介してディスプレイ957に送られ、表示される。
入力画像データAに変更が無い場合、記憶画像データAは、通常30〜60Hz程度の周期でメモリ952からスイッチ955を介して、ディスプレイコントローラ956から読み出される。
次に、例えば、ユーザーが画面を書き換える操作をしたとき(すなわち、入力画像データAに変更が有る場合)、アプリケーションプロセッサは新たな画像データ(入力画像データB)を形成する。入力画像データBはスイッチ954を介してメモリ953に記憶される。この間も定期的にメモリ952からスイッチ955を介して記憶画像データAは読み出されている。メモリ953に新たな画像データ(記憶画像データB)を記憶し終わると、ディスプレイ957の次のフレームより、記憶画像データBは読み出され、スイッチ955、及びディスプレイコントローラ956を介して、ディスプレイ957に記憶画像データBが送られ、表示がおこなわれる。この読み出しはさらに次に新たな画像データがメモリ952に記憶されるまで継続される。
このようにメモリ952及びメモリ953は交互に画像データの書き込みと、画像データの読み出しを行うことによって、ディスプレイ957の表示をおこなう。なお、メモリ952及びメモリ953はそれぞれ別のメモリには限定されず、1つのメモリを分割して使用してもよい。先の実施の形態で説明した半導体装置をメモリ952及びメモリ953に採用することによって、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力を十分に低減することができる。
図12に電子書籍のブロック図を示す。図12はバッテリー1001、電源回路1002、マイクロプロセッサ1003、フラッシュメモリ1004、音声回路1005、キーボード1006、メモリ回路1007、タッチパネル1008、ディスプレイ1009、ディスプレイコントローラ1010によって構成される。
ここでは、図12のメモリ回路1007に先の実施の形態で説明した半導体装置を使用することができる。メモリ回路1007の役割は書籍の内容を一時的に保持する機能を持つ。機能の例としては、ユーザーがハイライト機能を使用する場合などがある。ユーザーが電子書籍を読んでいるときに、特定の箇所にマーキングをしたい場合がある。このマーキング機能をハイライト機能と言い、表示の色を変える、アンダーラインを引く、文字を太くする、文字の書体を変えるなどによって、周囲との違いを示すことである。ユーザーが指定した箇所の情報を記憶し、保持する機能である。この情報を長期に保存する場合にはフラッシュメモリ1004にコピーしても良い。このような場合においても、先の実施の形態で説明した半導体装置を採用することによって、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力を十分に低減することができる。
以上のように、本実施の形態に示す携帯機器には、先の実施の形態に係る半導体装置が搭載されている。このため、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力を低減した携帯機器が実現される。
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本発明の一態様に係る半導体装置は、さまざまな電子機器に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等のカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。上記実施の形態で説明した半導体装置を具備する電子機器の例について説明する。
図13(A)は、ノート型のパーソナルコンピュータであり、本体3001、筐体3002、表示部3003、キーボード3004などによって構成されている。また、図示しないが、本体内部にある記憶回路として先の実施の形態に係る記憶装置を適用することができる。先の実施の形態に係る半導体装置を適用することにより、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力を低減したノート型のパーソナルコンピュータとすることができる。
図13(B)は、携帯情報端末(PDA)であり、本体3021には表示部3023と、外部インターフェイス3025と、操作ボタン3024等が設けられている。また操作用の付属品としてスタイラス3022がある。また、図示しないが、本体内部にある記憶回路として先の実施の形態に係る記憶装置を適用することもできる。先の実施の形態に係る半導体装置を適用することにより、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力を低減した携帯情報端末(PDA)とすることができる。
図13(C)は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、筐体2701および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図13(C)では表示部2705)に文章を表示し、左側の表示部(図13(C)では表示部2707)に画像を表示することができる。また、図示しないが、本体内部にある記憶回路として先の実施の形態に係る記憶装置を適用することもできる。先の実施の形態に係る半導体装置を適用することにより、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力を低減した電子書籍2700とすることができる。
また、図13(C)では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカー2725などを備えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
図13(D)は、スマートフォンであり、筐体2800と、ボタン2801と、マイクロフォン2802と、タッチパネルを備えた表示部2803と、スピーカー2804と、カメラ用レンズ2805と、を具備し、携帯型電話機としての機能を有する。また、図示しないが、本体内部にある記憶回路として先の実施の形態に係る記憶装置を適用することもできる。先の実施の形態に係る半導体装置を適用することにより、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力を低減したスマートフォンとすることができる。
表示部2803は、使用形態に応じて表示の方向が適宜変化する。また、表示部2803と同一面上にカメラ用レンズ2805を備えているため、テレビ電話が可能である。スピーカー2804及びマイクロフォン2802は音声通話に限らず、テレビ電話、録音、再生などが可能である。
また、外部接続端子2806はACアダプタ及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能であり、充電及びパーソナルコンピュータなどとのデータ通信が可能である。また、外部メモリスロット(図示せず)に記録媒体を挿入し、より大量のデータ保存及び移動に対応できる。
また、上記機能に加えて、赤外線通信機能、テレビ受信機能などを備えたものであってもよい。
図13(E)は、デジタルビデオカメラであり、本体3051、表示部(A)3057、接眼部3053、操作スイッチ3054、表示部(B)3055、バッテリー3056などによって構成されている。また、図示しないが、本体内部にある記憶回路として先の実施の形態に係る記憶装置を適用することもできる。先の実施の形態に係る半導体装置を適用することにより、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力を低減したデジタルビデオカメラとすることができる。
図13(F)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。また、図示しないが、本体内部にある記憶回路として先の実施の形態に係る記憶装置を適用することもできる。先の実施の形態に係る半導体装置を適用することにより、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力を低減したテレビジョン装置9600とすることができる。
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。また、リモコン操作機に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部を設ける構成としてもよい。
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。