1.スロットマシンの構造
本発明の一実施形態である回胴式遊技機(以下、スロットマシンともいう)について、図面に基づいて説明する。まず、図1に示す全体斜視図および図2に示す内部の正面図を参照しつつ、スロットマシン1の全体的な構造について説明する。スロットマシン1は、図1に示すように、本体部2と前面扉3とを備えている。本体部2は前面を開放した箱状をなしており、前面扉3はその本体部2の前面側に開閉自在に取り付けられている。これら本体部2および前面扉3は、スロットマシン1の筐体をなしている。例えば前面扉3が閉状態である場合(つまり、図1に示すような状態にある場合)には、前面扉3によって本体部2の前面側が閉鎖されるように構成されている。
前面扉3の中央部上寄りには、樹脂製の板材からなる表示パネル4が配置されている(図1参照)。この表示パネル4の中央には、縦長の3つの表示窓5L,5C,5Rが横並びに設けられている。具体的には、左側から順に、左表示窓5L、中表示窓5C、右表示窓5Rが並んでいる。表示窓5L,5C,5Rは、透明とされており、各表示窓5L,5C,5Rを通して上記本体部2の内部を視認可能に構成されている。なお、各表示窓5L,5C,5Rの間を仕切る部位をなくして1つの表示窓としてもよい。
本体部2の内部には、左リール6Lと、中リール6Cと、右リール6Rとが収納されている。各リール6L,6C,6Rはそれぞれ円筒状に形成されている。そして、左リール6Lの外周面、中リール6Cの外周面および右リール6Rの外周面には複数の図柄がそれぞれ付されている。
各リール6L,6C,6Rは、各々の中心軸線が当該リール6L,6C,6Rの回転軸線となるように回転可能に支持されている。そして、各リール6L,6C,6Rの回転軸線は、略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、図1に示すように、それぞれのリール6L,6C,6Rが各表示窓5L,5C,5Rと1対1で対応している。従って、各リール6L,6C,6Rの外周面の一部が、それぞれ対応する表示窓5L,5C,5Rを通して視認可能な状態とされている。
また、リール6L,6C,6Rが回転すると、各表示窓5L,5C,5Rを通してリール6L,6C,6Rの外周面が上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。これら各リール6L,6C,6Rは、それぞれステッピングモータ等のリール用モータ35L,35C,35R(図10参照)に連結されており、各リール用モータ35L,35C,35Rの駆動により各リール6L,6C,6Rがそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。
また、表示窓5L,5C,5Rを通して視認可能な図柄数は、主として表示窓5L,5C,5Rの上下方向の長さによって決まる。本形態では、遊技者に視認可能な図柄数は、リール6L,6C,6R毎に3個ずつとなっている。このため、各リール6L,6C,6Rがいずれも停止している状態では、9個の図柄が表示窓5L,5C,5Rを通じて視認可能となっている。また本形態では、左リール6Lの中段図柄,中リール6Cの中段図柄,右リール6Rの中段図柄を一直線上に結んだラインを有効ラインに設定している。
有効ライン上に図柄が所定の組み合わせで停止した場合には、入賞成立として、遊技媒体である遊技メダル(以下、単にメダルともいう)Mが所定数払い出される特典が付与されたり、遊技状態が移行される特典が付与されたりする。
表示パネル4の下方左側には、各リール6L,6C,6Rの回転を開始させるために遊技者によって操作可能なスタートレバー8が設けられている。所定数(本形態では3枚)のメダルMが投入されている状態でスタートレバー8が操作されると、各リール6L,6C,6Rが回転を開始して、表示窓5L,5C,5Rを通して図柄の可変表示が開始される。
表示パネル4の下方中央、且つ、スタートレバー8の右側には、回転している各リール6L,6C,6Rを個別に停止させるためのボタン状のストップボタン9L,9C,9Rが設けられている(図1参照)。左ストップボタン9Lが操作(押圧)された場合には左リール6Lの回転が停止し、中ストップボタン9Cが操作(押圧)された場合には中リール6Cの回転が停止し、右ストップボタン9Rが操作(押圧)された場合には右リール6Rの回転が停止する。
図1に示すように、表示パネル4の右下側の前方にはメダル投入口10が設けられている。メダル投入口10は、単位遊技(一遊技、スロットゲーム、あるいは単に遊技ともいう)を行うためのベット操作として、遊技媒体であるメダルMを本スロットマシン1に投入するためのものである。このメダル投入口10内には、投入されたメダルMを検出するための投入メダル検出センサ10aが設けられている。このため、メダル投入口10にメダルMが投入された場合には、メダルMの投入があった旨の信号が投入メダル検出センサ10aから出力されることとなる。
メダル投入口10の左方には、第1ベットボタン11および第2ベットボタン12が設けられている(図1参照)。本スロットマシン1は、余剰に投入した分のメダルMや入賞時に払い出された分のメダルMを、所定の最大値(具体的には50枚)になるまで仮想メダルとして貯留記憶するクレジット機能を有している。このクレジット機能が有効な場合には、貯留記憶されている仮想メダルの枚数が、表示パネル4内の表示窓5L,5C,5Rの下方左側に設けたクレジット数表示ランプ21に表示される。第1ベットボタン11は、仮想メダルを一度に3枚投入するためのベットボタンであり、第2ベットボタン12は、仮想メダルを1枚投入するためのベットボタンである。よって遊技者は、第1ベットボタン11又は第2ベットボタン12を操作することで、クレジット機能で記憶されている仮想メダルを単位遊技に用いることが可能である。
スタートレバー8の左方には、精算スイッチ14が設けられている。精算スイッチ14は、上記クレジット機能を有効又は無効にするためのスイッチである。このため例えば、仮想メダルが貯留記憶されている状況下で精算スイッチ14を操作した場合には、仮想メダルがクレジット数表示ランプ21に表示されていた枚数のメダルMとなって後述するホッパー装置50からメダル払出口30を通じて払い出される。
また、表示パネル4のうち右表示窓5Rの下方には、獲得枚数表示ランプ24が設けられている。獲得枚数表示ランプ24は、7セグメント表示器によって構成されており、遊技役の入賞に伴う払い出しの際にその枚数に応じたメダルMの払出枚数を表示したり、遊技中に生じたエラー(例えば、後述するホッパー装置50の異常エラー)の情報(エラーコード)を表示したりする。
また、上述したクレジット数表示ランプ21の左方には、遊技開始表示ランプ25が設けられている。遊技開始表示ランプ25は、点灯状態となることで遊技の開始が可能であること、即ち、スタートレバー8の操作を受付可能な状態であることを報知する。
また、前面扉3の下部には、メダルMを遊技者に払い出すためのメダル払出口30と、そのメダル払出口30によって払い出されたメダルMを一定量まで貯留する下皿31とが配設されている。
一方、前面扉3の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする複数の演出用ランプ40と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ41と、遊技者に各種情報を与える画像表示装置42の表示画面42aとが設けられている。画像表示装置42は、遊技の進行に伴って各種画像演出(例えば、当選した小役を示唆する画像演出や遊技状態に応じた背景を示す画像演出)を実行するためのものである。
また、前面扉3の裏側には、前面扉3の開閉を検知する開閉検知センサ38a、リセット/設定ボタン15および設定表示ランプ28が設けられている(図10参照)。リセット/設定ボタン15は、通常時には、RAM異常エラーを除くエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能する。一方、設定変更時には、設定値を変更するための設定スイッチとして機能する。なお、この設定変更時に設定表示ランプ28には、その時点の設定値(設定値1〜設定値6)が表示される。
また、図2に示すように、本スロットマシン1の本体部2の内部には、メダルMを払い出すためのホッパー装置(遊技媒体払出装置に相当)50と、ホッパー装置50の排出口55Eから排出されたメダルMをメダル払出口30に案内する案内通路(図示しない)と、電源ボックス(図示しない)とが設けられている。電源ボックスには、本スロットマシン1への電源投入および電源断の操作を受け付ける電源スイッチ99(図10参照)、および、設定変更モードに切り替えるための設定キースイッチ16(図10参照)が設けられている。
ホッパー装置50は、図3に示すように、メダルMを貯留する貯留タンク(貯留部に相当)51と、この貯留タンク51内の底部に配設されている円盤形状のディスク(遊技媒体移送部に相当)52と、貯留タンク51の下方に位置する台座部58とを備えている。また、図6〜図9に示すように、メダルMを通過可能に形成された通路55Pと、図6,図7および図9に示すように、その通路55PにメダルMを導くための導入口55Dと、図6,図7および図9に示すように、通路からホッパー装置50の外部にメダルMを排出するための排出口55Eとを有する通路部(遊技媒体通過部に相当)55を備えている。さらに、図4、図6〜図9に示すように、通路55Pを閉塞可能な扉部57と、図4、図6〜図9に示すように、扉部57の回動を抑止する抑止部56と、図7および図9に示すように、通路55Pを通過するメダルMを検出可能な払出メダル検出センサ(媒体検出部に相当)59aと、図4および図9に示すように、扉部57の変位を検出可能な扉位置検出センサ(変位検出部に相当)59bとを備えている。
貯留タンク51は、上方が開口した矩形箱形形状を有しており、内側に多数のメダルMを貯留することが可能となっている。図3に示すように、貯留タンク51は、底部が中央に向かって徐々に下降している形態になっている。よって、底部の中央付近に設けられたディスク52にメダルMが集まり易くなっている。
台座部58には、図4に示すように、その上部に、円形凹状の凹部58Wと、この凹部58Wの一部から台座部58の側部に向かって延出する溝部58Mとが設けられている。凹部58Wは、その内側にディスク52を配置させるためのものである。台座部58は、この凹部58W内に配置されたディスク52を回転可能に支持する。また、溝部58Mは、図7に示すように、貯留タンク51の底部51Bとともに通路部55の通路55P、導入口55Dおよび排出口55Eを形成している。また、この台座部58は、ディスク52を回転駆動させるためのディスク駆動モータ53(移動部実行手段)を備えている(図3参照)。
また、ディスク52には、図5に示すように、表面52A上に、円形凹状をした複数(本形態では8個)の受入部52Hが並設されている。各受入部52Hは、貯留タンク51から供給されるメダルMを一定の姿勢で受け入れ可能となっている。具体的には、受入部52Hの内径がメダルMの外径よりもわずかに大きく(本形態では外径の1.2倍程度大きく)、受入部52Hの深さ(表面52Aからの深さ)がメダルMの厚みよりも大きくなっている。このディスク52には、各受入部52Hに受け入れたメダルMが排出可能な出口52Eが設けられている。各出口52Eは、ディスク52の内部で各受入部52Hに個別に繋がっており、受入部52H内のメダルMをディスク52の径方向外側に排出し得る。なお出口52Eは、1枚のメダルMのみ通過可能な大きさとなっている。このため、同時に複数のメダルMが出口52Eを通じて排出されることはない。
また、ディスク52は、軸52Xを中心として回転する。具体的には、台座部58のディスク駆動モータ53の駆動が、図示しないギヤ列を介して伝達されることで一方向(本形態では時計回り)に回転する(図4参照)。なお本形態では、ディスク52の回転中、各出口52Eが導入口55Dに対面する度に、当該出口52Eから飛び出したメダルMが、通路55Pを通じて導入口55Dから排出口55Eまで移動する。
ディスク駆動モータ53の駆動によってディスク52が回転すると、その回転に伴って、ディスク52の各受入部52Hに受け入れられたメダルMは受入部52Hから出口52Eに移動させられる。つまり、ディスク52の回転によって、各受入部52HにあるメダルMに、受入部52Hから径方向外側に移動しようとする力が生じている。但し本形態では、回転しているディスク52の出口52Eが導入口55Dに対面していないときには、出口52EにてメダルMの通過が生じないが、導入口55Dに対面しているときには、出口52EにてメダルMの通過が生じる。
具体的には、図6(a)に示すように、出口52Eが導入口55Dに対面していない場合には、出口52Eが凹部58Wに対面することになる。よってこの場合には、ディスク52の回転中に受入部52Hから出口52Eに移動したメダルMは、出口52Eを通過することができない。これに対し、図6(b)に示すように、出口52Eが導入口55Dに対面している場合には、径方向外側に移動しようとするメダルMは、出口52E、および、導入口55Dを通じて通路55P側に移動する。そして図4に示すように、メダルMは出口52E(および導入口55D)を通過して通路55Pを移動する。
なお本形態では、ディスク52の回転によって、受入部52Hから径方向外側に移動しようとする力が生じたメダルMは、出口52Eを通過後、導入口55Dから排出口55Eまで移動することになる。つまり本形態では、ディスク駆動モータ53によって回転するディスク52が、メダルMを導入口55Dから排出口55Eまで移動させるように構成されている。
また、導入口55D、通路55Pおよび排出口55Eを有する通路部55は、図3に示すように、貯留タンク51の下方に位置している。導入口55D、通路55Pおよび排出口55Eは、図7に示すように、貯留タンク51の底部51Bと、台座部58の上記溝部58Mとに囲まれて形成されている。具体的には、導入口55Dおよび排出口55Eはいずれも、貯留タンク51の底部51Bと台座部58の溝部58Mとに囲まれた矩形状の開口である。また、通路55Pは、貯留タンク51の底部51Bと台座部58の溝部58Mとに囲まれた略直方体形状の空間である。つまり本形態の通路部55は、貯留タンク51の底部51Bと、台座部58の溝部58Mとで構成されている。なお、通路部55の排出口55Eを通じて通路部55(ホッパー装置50)の外部に排出されたメダルMは、上述した案内通路、および、前面扉3のメダル払出口30をこの順に通過して、下皿31に払い出される。
また、抑止部56は、金属製の棒状部材である。この抑止部56は、閉塞位置にある扉部57が導入口55D側に回動してしまうのを抑止するためのものである。具体的には、図8(a)および図8(b)に示すように、通路部55をなす台座部58の溝部58Mに設けられている。そして、図8(a)に示すように、閉塞位置にある扉部57に導入口55D側から当接し得る。
なお本形態では、抑止部56をコの字形状としている(図8(a)および図8(b)参照)。このため、扉部57の4つの端縁のうちの3つについて、当該端縁と通路部55との間のわずかな隙間から、導入口55D側に異物が侵入するのを防ぐことが可能である。また、図7に示すように、抑止部56は導入口55D側に向かって徐々に下降している。このため、導入口55Dから通路55Pを移動するメダルMが抑止部56に当たった場合に、そのメダルMが導入口55D側に跳ね返ってしまうのを防ぐことが可能である。
また、金属製の矩形板からなる扉部57は、通路部55をなす台座部58の溝部58Mに回動可能に軸支されている。具体的には、図8(a)および図8(b)に示すように、扉部57には、その側面57Sに位置し、扉部57から扉部57の長手方向両側に突出する突出部57Tが設けられている。これら2つの突出部57Tは、長手方向に平行な1本の仮想直線上に配されている。また、溝部58Mには、その上部に位置し、突出部57Tを挿入可能に窪んだ形状の軸受部58Nが設けられている。これら2つの軸受部58Nは、排出口55Eに平行、且つ、溝部58Mの底面に平行な1本の仮想直線上に配されている。図8(a)および図8(b)に示すように、2つの突出部57Tがそれぞれ溝部58Mの各軸受部58Nの内側に挿入されている。
扉部57は、図8(a)に示す閉塞位置と、図8(b)に示す非閉塞位置との間を変位可能である。扉部57が閉塞位置にある場合には、その扉部57により通路55Pが閉塞される。なお、扉部57の導入口55D側には上述した抑止部56が設けられているため、扉部57が導入口55D側に変位できない。一方、扉部57が非閉塞位置にある場合には、通路55Pが開放される。このとき、メダルMが通路55Pを通じて、導入口55Dから排出口55Eに移動することが可能である。つまり非閉塞位置とは、メダルMの移動を阻害しない位置である。
なお本形態では、扉部57は、通路55PへのメダルMの移動がない場合には、図8(a)に示す閉塞位置にある。しかし、通路55PへのメダルMの移動がある場合には、そのメダルMの押圧によって、図9(a)に示す閉塞位置にある扉部57が、閉塞位置から排出口55E側に回動して非閉塞位置に変位する(図9(b)参照)。そして、そのメダルMの移動後には、扉部57は、自重によって非閉塞位置から再び閉塞位置に戻る(図9(c)参照)。
また本形態では、図9(a)に示すように、閉塞位置にある扉部57は通路55Pの内部にある。このため、閉塞位置にある扉部57が通路部55の排出口55Eからホッパー装置50の外部に出現しておらず、その扉部57に外部から指や針金等の道具が引っかかりにくい。よって、閉塞位置にある扉部57を手や道具を使って排出口55E側に変位させて、通路55Pを開放させることは困難である。
また本形態では、図9(b)および図9(c)に示すように、閉塞位置にある場合に加えて、非閉塞位置にある場合や閉塞位置と非閉塞位置との間を変位する場合でも、扉部57は通路55Pの内部にある。このため、閉塞位置に加えて変位中や非閉塞位置でも排出口55Eからホッパー装置50の外部に扉部57が出現しない。よって、扉部57のためのスペースを排出口55Eの外部に確保する必要がない。
また、払出メダル検出センサ59aは、導入口55D付近の通路部55に設けられている。なお本形態では、払出メダル検出センサ59aに透過型のフォトセンサ(フォトインタラプタ)を用いている。図7および図9に示すように、貯留タンク51の底部51Bにフォトセンサの発光部および受光部の一方を、台座部58の溝部58Mに発光部および受光部の他方を、対向し合うように配置している。図9(b)に示すように、発光部と受光部との間で発光部からの光がメダルMによって遮られることで、払出メダル検出センサ59aがメダルMを検出する。払出メダル検出センサ59aは、メダルMを検出したら、メダル検出信号を後述する主制御基板60に出力する。
なお本形態では、図9(a),図9(b)および図9(c)に示すように、扉部57が回動できない、扉部57よりも導入口55D側にあたる通路55Pに払出メダル検出センサ59aを配置している。このため、扉部57によって発光部からの光が遮られることはなく、通路55Pを移動するメダルMを確実に検出することが可能である。また、払出メダル検出センサ59aは、閉塞位置にある扉部57よりも導入口55D側の通路部55に設けられているので、扉部57が開放されない限り、ホッパー装置50の外部からの異物の侵入による不正行為ができない。
また、扉位置検出センサ59bは、通路部55のうち、閉塞位置にある扉部57の側面57Sに対向する部位に設けられている(図4参照)。なお本形態では、扉位置検出センサ59bに、払出メダル検出センサ59aと同じく透過型のフォトセンサを用いている。図4に示すように、台座部58の溝部58Mのうち、図中左側の部位にフォトセンサの発光部および受光部の一方を、溝部58Mのうち、図中右側の部位に発光部および受光部の他方を、対向し合うように配置している。図9(a)に示すように、閉塞位置にある扉部57は、発光部と受光部との間で発光部からの光を遮る。そして、図9(b)に示すように、扉部57が閉塞位置から非閉塞位置に変位することに伴って、発光部と受光部との間で発光部からの光が扉部57に遮られなくなる。このことによって、扉位置検出センサ59bが扉部57の非閉塞位置への変位を検出する。扉位置検出センサ59bは、扉部57が非閉塞位置に変位したことを検出したら、変位検出信号を後述する主制御基板60に出力する。
なお本形態では、図9(a),図9(b)および図9(c)に示すように、図中、上下方向に見て、扉位置検出センサ59bが抑止部56の最上部よりも下方に位置している。このため、導入口55Dから移動してくるメダルMによって発光部からの光が遮られてしまうことはない。よって、扉位置検出センサ59bが扉部57の変位だけを検出することが可能である。
2.スロットマシンが備える回路の構成
次に、図10および図11を参照して本スロットマシン1の回路の構成(電気的な接続構成)について説明する。図10のブロック図に示す主制御基板60は、回路基板上に設置されたマイクロコンピュータ(遊技制御用マイコン)61を主たる構成要素とした基板(電子回路基板)である。遊技制御用マイコン61は、CPU62、ROM63およびRAM64によって構成されている。
CPU62は、ROM63に記憶された、例えば図12〜図18に示す制御プログラムに基づいて、遊技に関する制御を行う。CPU62には、クロックパルスを発生させるためのクロックパルス発生回路(図示しない)や、所定範囲の乱数(例えば、0〜65535)を発生させるための乱数発生器(図示しない)や、発生された乱数の中から用途に応じて少なくとも1つの値を抽出するサンプリング回路(図示しない)が接続されている。CPU62は、上記クロックパルス発生回路により発生するクロックパルスに基づいて制御プログラムを実行する。また、サンプリング回路によって抽出した乱数値を用いて、例えば遊技役の決定(抽選)の抽選などを行う。
ROM63は、上記制御プログラムのほかに、役抽選テーブル等のデータテーブルや、後述するサブ制御基板70に対して送信するための各種コマンド等を記憶している。RAM64は、制御プログラムの実行により決定された各種データを格納する格納領域を備えている。
上述の遊技制御用マイコン61には、入出力回路69を介して、下記に示す各種センサ類、スイッチ類および基板類が接続されている。即ち、図10に示す投入メダル検出センサ10a、第1ベット検出センサ11a、第2ベット検出センサ12aおよびスタート検出センサ8aが接続されている。投入メダル検出センサ10aは、上述のメダル投入口10に投入されたメダルMを検出して信号を出力する。第1ベット検出センサ11aは、第1ベットボタン11の操作(押下)を検出して信号を出力する。第2ベット検出センサ12aは、第2ベットボタン12の操作(押下)を検出して信号を出力する。スタート検出センサ8aは、スタートレバー8の操作を検出して信号を出力する。
また、回胴検出センサ36a、リール位置検出センサ37a、払出メダル検出センサ59a、扉位置検出センサ59bおよびSB操作信号基板91が接続されている(図10参照)。回胴検出センサ36aは、各リール6L,6C,6Rの回転速度が所定の設定速度に達した場合に信号を出力する。リール位置検出センサ37aは、各リール6L,6C,6Rのリール基準位置がどこに停止しているかをそれぞれ検出して信号を出力する。また、SB操作信号基板91は、各ストップボタン(左ストップボタン9L,中ストップボタン9C,右ストップボタン9R)の操作(押圧)をそれぞれ検出する。そして、いずれか1つのストップボタンの操作を受け付けた場合には当該ストップボタンの操作に関する信号を出力する。
また、払出メダル検出センサ59aは、上述したように、ホッパー装置50が外部に払い出したメダルMを検出してメダル検出信号を出力する。また、扉位置検出センサ59bは、上述したように、閉塞位置にある扉部57が非閉塞位置に変位したことを検出して変位検出信号を出力する。
また、上述した開閉検知センサ38a、精算スイッチ14および設定キースイッチ16に加えて、リセット検出センサ15aおよび電源基板92が接続されている(図10参照)。リセット検出センサ15aは、上述のリセット/設定ボタン15の操作(押圧)を検出して信号を出力する。電源基板92は、主制御基板60を通じて、本スロットマシン1に電力を供給するための基板である。電源基板92には上述の電源スイッチ99が設けられている。
また、遊技制御用マイコン61には、上述した各種表示用ランプ(具体的には、クレジット数表示ランプ21、獲得枚数表示ランプ24、遊技開始表示ランプ25および設定表示ランプ28)が接続されている(図10参照)。このため、遊技制御用マイコン61は、各種表示用ランプの制御(例えば、点灯や消灯や数値の表示の制御)が可能となっている。
また、遊技制御用マイコン61には、上述したディスク駆動モータ53、および、各リール6L,6C,6Rを回転駆動するリール用モータ35L,35C,35Rが接続されている。このため、遊技制御用マイコン61は、ディスク駆動モータ53の駆動制御を通じて、ホッパー装置50によるメダルMの払い出しを制御することが可能となっている。また、リール用モータ35L,35C,35Rの駆動制御を通じて、各リール6L,6C,6Rの回転を制御することが可能となっている。
また、遊技制御用マイコン61には、図11に示すサブ制御基板70が接続されている。サブ制御基板70は、回路基板上に設置されたマイクロコンピュータ(演出制御用マイコン)71を主たる構成要素とした基板である。演出制御用マイコン71は、主制御基板60から送信されるコマンドに基づいて演出内容の決定や実行等の処理を行う。この演出制御用マイコン71は、上記遊技制御用マイコン61と同じように、CPU72、ROM73およびRAM74によって構成されている。
CPU72は、主制御基板60から送信されたコマンドに応じて、ROM73に記憶された、例えば図19,図20に示す制御プログラムに基づいて、画像を用いた演出やランプを用いた演出や音声を用いた演出に関する制御を行う。このCPU72には、主制御基板60の上記CPU62と同じように、図示しない乱数発生器およびサンプリング回路が接続されており、そのサンプリング回路によって抽出した乱数値を用いて、例えば演出パターンの選定などを行う。ROM73は、上記制御プログラムや各種データ等を記憶している。RAM74は、決定された演出内容や演出データを登録する格納領域や、主制御基板60から送信される各種データを格納する格納領域を備えている。
なお、サブ制御基板70から主制御基板60への情報伝達(信号の伝送)は、不可能となっている。つまり、サブ制御基板70からの信号が主制御基板60へ出力されることはない。
演出制御用マイコン71には、図11に示すように、サブ制御基板70の入出力回路79を介して、スピーカ41が接続されている。このため、演出制御用マイコン71は、スピーカ41を通じて音声、楽曲、効果音等の音声出力に関する制御が可能となっている。なお本形態では、演出制御用マイコン71のROM73に音声等のデータを格納している。
演出制御用マイコン71には、図11に示すように、上述した演出用ランプ40等のランプが接続されている。このため、演出制御用マイコン71は、それらランプの点灯制御が可能となっている。
画像制御基板80は、CPU82、ROM83およびRAM84を備えている(図11参照)。ROM83は、画像表示装置42(表示画面42a)に表示される静止画データや動画データを格納している。またRAM84は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板80は、画像表示装置42に表示する演出画像の出力制御を行う。即ち、演出制御用マイコン71からのコマンドに基づいて、CPU82はROM83から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データをRAM84で展開して、画像表示装置42の表示画面42a上に演出画像を表示する。
3.遊技状態および遊技役
本スロットマシン1には、通常遊技状態およびBB遊技状態の2つの遊技状態が設けられている。通常遊技状態は、標準となる通常の遊技状態である。通常遊技状態は、その遊技状態中において、所定の条件の成立を契機としてBB遊技状態に移行されるようになっている。所定の条件とは、具体的には「BB役」の対応図柄(例えば、リール上に付した「セブン」図柄)の3つ揃いが有効ライン上に停止表示されることである。
BB遊技状態は、遊技者にとって通常(上記通常遊技状態)よりも有利な遊技条件が設定される特別な遊技状態である。本形態において、遊技者にとって通常よりも有利な遊技条件とは、通常遊技状態のときよりも、ストップボタン9L,9C,9Rの操作のタイミングによらず入賞が成立する遊技役に当選し易いことである。このBB遊技状態は、その遊技状態中に所定数(本形態では、300枚)を超えるメダルMが払い出されたことで終了する。
次に、本形態の遊技役について説明する。単位遊技における各遊技役の当否(当選か否か)は、遊技開始表示ランプ25の点灯中にスタートレバー8が操作された時に、後述する役決定処理(ステップS205)によって決定される。具体的には、1回の単位遊技毎に取得する乱数(数値)と、設定されている設定値および遊技状態に応じた役抽選テーブルとを用いて遊技役の抽選が行われる。抽選でいずれかの遊技役に当選すると、当選した遊技役に応じた当選フラグがONされる。役抽選テーブルについては、後述する。
有効ライン上に停止表示された各リール6L,6C,6Rの3つの図柄の組み合わせが、抽選によって当選した当選フラグに対応する図柄の組み合わせと一致した場合には、遊技役の入賞が成立して、遊技者に有利な特典(例えば、所定枚数のメダルMの払い出しなど)が付与されることとなる。なお「メダルMの払い出し」とは、メダルMがメダル払出口30から払い出されることや、クレジット数表示ランプ21に表示される数値が増えることである。
なお本形態では、遊技役として、1つの特別役(BB役)と複数の小役と1つの再遊技役とが設定されている。BB役は、その入賞によって、メダルMの払い出しを伴わないが次回の単位遊技から上記BB遊技状態に遊技状態が移行される遊技役である。つまり本形態では、BB役の入賞がBB遊技状態への移行契機となっている。また、複数の小役は、入賞によって所定の枚数のメダルMの払い出しを伴う遊技役である。なお小役には、ストップボタン9L,9C,9Rの操作のタイミングによらず入賞が成立するものと、ストップボタン9L,9C,9Rの操作のタイミングによっては入賞が成立しないものとがある。また、再遊技役は、その入賞によってメダルMの払い出しを伴わないが、遊技者がメダルMを投入することなく次回の単位遊技を行うことが可能となる遊技役である。
4.主制御基板の動作
以下、本スロットマシン1において行われる主要な制御処理について、図12〜図21を参照しながら説明する。以下ではまず図12〜図18を用いて、主制御基板60において行われる制御処理のうち、特にタイマ割込処理とメイン制御処理について説明する。
[タイマ割込処理]まず、図12に示すタイマ割込処理について説明する。タイマ割込処理では、遊技制御用マイコン61は、遊技者による遊技操作に応じて出力される信号の読み込みや信号レベルの検出や確認、各種コマンドの送信等の処理を、予め設定された一定の時間(例えば、1.49msec)毎に実施する。具体的には、図12に示すようにレジスタを退避して(S101)、入力ポート読込処理を行う(S102)。入力ポート読込処理では、各種センサ類やスイッチ類や基板類から主制御基板60の入出力回路69に入力された信号の読み込みおよび格納や信号レベルの判定等が行われる。
次いで、タイマ計測を行う(S103)。具体的には、後述するメイン制御処理において任意のタイマがセットされた場合に、そのタイマの経過時間等を計測することである。次に、リール用モータ35L,35C,35Rを用いて、各リール6L,6C,6Rの回転の加速や定速維持や停止維持等を制御するためのリール回転駆動制御を行う(S104)。次いで、後述する払出異常報知処理を行い(S105)、上述した各種表示用ランプ(具体的には、クレジット数表示ランプ21、獲得枚数表示ランプ24、遊技開始表示ランプ25および設定表示ランプ28)の表示管理を行って(S106)、RAM74の出力バッファにセットされたコマンドをサブ制御基板70に送信する(S107)。次に、ホッパー装置50のディスク駆動モータ53の駆動制御を行うためのポート出力を行い(S108)、退避させていたレジスタを復帰させて(S109)、本処理を終える。
[メイン制御処理]図13に示すメイン制御処理では、遊技制御用マイコン61は、まず電源投入時処理を行う(S201)。なお電源投入時処理(S201)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。その後、遊技開始準備処理(S202)を行う。遊技開始準備処理では、スタックポインタをセットしたり、RAM64の領域の一部を初期化したりする。また、設定値に関するコマンド、および、遊技状態に関するコマンドがRAM64の出力バッファにセットされる。RAM64の領域の一部における初期化とは、具体的には例えば、獲得枚数表示ランプ24が点灯している場合には消灯することである。
次いで、ベット管理処理(S203)および開始操作受付処理を行う(S204)。ベット管理処理では、具体的には例えば、ベットされたメダルMの数(ベット数)や上記仮想メダルの数(クレジット数)の管理が行われ、メダルMがベットされたことを示すメダル投入コマンドがRAM64にセットされる。また、開始操作受付処理では、スタートレバー8の操作があったか否かが判定され、スタートレバー8の操作があった場合には、スタートレバー8が操作されたことを示すスタートコマンドがRAM64にセットされる。
次いで、後述する役決定処理を行う(S205)。そして、リール回転開始制御処理を行う(S206)。リール回転開始制御処理(S206)では、全リール6L,6C,6Rについて、回転が開始したら回転開始を示すコマンド(リール回転開始コマンド)をリール毎にセットする処理を行う。
次に、リール回転停止制御処理を行う(S207)。リール回転停止制御処理(S207)では、まず各ストップボタン9L,9C,9Rの操作について、操作されたストップボタンに対応したリールの回転を停止するリール制御をそれぞれ行う。なおこのとき、当選した小役の入賞を成立させるため、或いは、当選していない小役の入賞の成立を避けるために、必要に応じて引込制御を行ったリール制御を行う。引込制御とは、ストップボタンの操作後、所定の引込数分(例えば、最大で「4」コマ分)、リールの回転方向とは逆方向に位置する図柄までの複数の図柄のうち、任意の図柄を表示窓5L,5C,5Rの枠内に引き込んで(つまりその分リールを回転させて)停止表示させる制御である。その後、回転を停止させたリールについての回転停止を示すコマンド(リール回転停止コマンド)をセットする。
次いで、後述する停止表示図柄判定処理(S208)およびメダル払出処理(S209)を順に行う。次に、BB状態処理(S210)を行う。BB状態処理(S210)では、BB役に入賞した場合には遊技状態をBB遊技状態に移行し、また、BB遊技状態中におけるメダルMの払出枚数が上記所定数(300枚)を超えた場合には遊技状態を通常遊技状態に移行する。なおメイン制御処理では、上述したステップS202〜S210をループさせる。
[払出異常報知処理]図14に示す払出異常報知処理(S105)では、遊技制御用マイコン61は、まず、払出フラグがONかどうかを判定する(S301)。払出フラグは、後述の払出実行処理(図18)に示すように、ディスク駆動モータ53の駆動に伴って、ディスク52がメダルMの払い出しを開始してから払い出しを停止するまでの期間にONされる。よって払出フラグがONとは、ディスク52がメダルMを払い出し中であることを示している。払出フラグがONであれば(S301でYES)、そのまま本処理を終えるが、払出フラグがONでなければ(S301でNO)、つまり払出フラグがOFFの場合には、扉位置検出センサ59bから上述した変位検出信号を受信したかどうかを判定する(S302)。
本形態では、上述したように、メダルMの払い出し以外に扉部57が閉塞位置から非閉塞位置に変位することはない。このため、ディスク52がメダルMの払い出し中に、扉位置検出センサ59bから変位検出信号を受信することは通常あり得ない。即ち、払い出しの開始から停止までの期間以外の期間(つまり払出フラグがOFFの期間)に変位検出信号を受信した場合には、閉塞位置にあるべき扉部57に異常が生じていることになる。そこで、ステップS302で変位検出信号を受信した場合には(S302でYES)、ステップS303に進み、エラー処理を行う。具体的には、異常報知コマンドをRAM74にセットする。また、ホッパー装置50の異常エラーを、上記獲得枚数表示ランプ24を用いて表示する。なお本形態では、RAM74にセットされた異常報知コマンドは、上述したステップS107の処理で、サブ制御基板70に加え、ホールコンピュータにも送信される。
一方、ステップS302で変位検出信号を受信していない場合には(S302でNO)、ホッパー装置50の扉部57が閉塞位置にあることになるため、そのまま本処理を終える。
[役決定処理]図15に示す役決定処理(S205)では、遊技制御用マイコン61は、図示しない乱数発生器により生成される乱数の中から1つの乱数(数値)を選出する乱数ラッチを行う(S401)。次に、ラッチされた乱数(以下、「ラッチ乱数」ともいう)を読み込み(S402)、読み込んだラッチ乱数とROM63に記憶する役抽選テーブルに基づいて遊技役の当否を判定する(S403)。なお、役抽選テーブルは、予め設定した設定値、および、現在の遊技状態に対応したものを参照する。本形態の役抽選テーブルには、遊技状態が通常遊技状態のときに用いる役抽選テーブル(第1役抽選テーブル)と、遊技状態がBB遊技状態のときに用いる役抽選テーブル(第2役抽選テーブル)とがある。第2役抽選テーブルは、第1役抽選テーブルよりも、ストップボタン9L,9C,9Rの操作のタイミングによらず入賞が成立する遊技役に当選し易いテーブルとなっている。
遊技役に非当選の場合には(S403でNO)、そのまま本処理を終えるが、遊技役に当選して遊技役が選出された場合には(S403でYES)、その遊技役に応じて当選フラグをONして(S404)、当選した遊技役の情報を所定の記憶領域に格納する。次いで、選出された遊技役に基づき、制御図柄をセットする(S405)。制御図柄とは、当該遊技役の入賞となる図柄のことである。その後、上記ステップS403において選出された遊技役に関する役決定結果コマンドをセットして(S406)、本処理を終了する。
[停止表示図柄判定処理]図16に示す停止表示図柄判定処理(S208)では、遊技制御用マイコン61は、まず、表示窓5L,5C,5Rの枠内に停止表示されている停止表示図柄を確認する(S501)。次に、停止表示図柄によって、有効ライン上に遊技役の入賞が成立している場合には、その入賞情報(いずれの遊技役も入賞していない場合にはそのことを示す情報)を、所定の記憶領域に格納する(S502)。次いで、停止表示図柄コマンドをRAM64にセットして(S503)、本処理を終える。停止表示図柄コマンドは、入賞した遊技役を示す情報(コマンド)である。
[メダル払出処理]図17に示すメダル払出処理(S209)では、遊技制御用マイコン61は、まず、払い出すメダルMの枚数(メダルMの払い出しが無い場合には0枚)を示す払出開始コマンドを、RAM64にセットする(S601)。次に、メダルMの払い出しがあるか否かを判定し(S602)、払い出しがない場合には(S602でNO)、そのまま本処理を終える。一方、払い出しがある場合には(S602でYES)、上記仮想メダルの枚数とメダルMの払出枚数との和が、クレジットし得る最大数を示す上限値(本形態では「50」)を超えているかどうかを判定する(S603)。
仮想メダルの枚数とメダルMの払出枚数との和が「50」以下の場合には(S603でYES)、メダルの払出枚数をクレジット数表示ランプ21に示す仮想メダルの枚数に加算して(S604)、ステップS606に進む。一方、仮想メダルの枚数とメダルMの払出枚数との和が「50」を超えている場合には(S603でNO)、クレジット数表示ランプ21には「50」を表示した上で、仮想メダルの枚数とメダルMの払出枚数との和のうち「50」を超える分のメダルMの枚数(以下、払出予定数ともいう)を払い出す払出実行処理を行う(S605)。ステップS606では、遊技メダルの払い出しが終了したことを示す払出終了コマンドをセットして、本処理を終了する。
[払出実行処理]図18に示す払出実行処理(S605)では、遊技制御用マイコン61は、まず、ホッパー装置50のディスク駆動モータ53を駆動して、ディスク52を回転させる(S701)。これにより、ディスク52が貯留タンク51内のメダルMを通路部55の導入口55Dに移送することで、メダルMの払い出しが開始される。次に、上述した払出フラグをONする(S702)。
次いで、払出メダル検出センサ59aからメダル検出信号を受信しているかどうかを判定する(S703)。受信していなければ(S703でNO)、ステップS705に進むが、受信していればステップS704に進み、払出枚数カウンタに1を加算する。払出枚数カウンタは、払出メダル検出センサ59aからのメダル検出信号に基づいて、払い出したメダルMの枚数を計測するためのものである。
次に、扉位置検出センサ59bから変位検出信号を受信しているかどうかを判定する(S705)。受信していなければ(S705でNO)、ステップS707に進むが、受信していればステップS706に進み、変位回数カウンタに1を加算する。変位回数カウンタは、扉位置検出センサ59bからの変位検出信号に基づいて、扉部57が閉塞位置から非閉塞位置に変位した回数を計測するためのものである。なお本形態では、通路55Pを移動する1枚のメダルMの押圧によって、扉部57が閉塞位置から非閉塞位置に変位する。そして、当該メダルMの移動後には、扉部57は閉塞位置に再び戻ってくる。つまり、扉部57の変位の回数と、通路55Pを移動したメダルMの枚数とは対応している。よって、変位回数カウンタは、扉部57を閉塞位置から非閉塞位置に変位させて通路55Pを通過したメダルMの枚数を計測している。
次いで払出枚数カウンタの値が払出予定数に到達したかどうかを判定する(S707)。到達していなければ(S707でNO)、ステップS703に戻って、ステップS703〜S707の処理を再び行う。一方、到達していれば(S707でYES)、続いて変位回数カウンタの値が払出枚数カウンタの値と同じであるか否かを判定する(S708)。上述したように、変位回数カウンタの値とは、扉部57を変位させて通路55Pを移動したメダルMの枚数である。よって、その値が払出枚数カウンタの値と同じであるかどうかを判定することで、払い出されたメダルMの数を払出メダル検出センサ59aに加えて、扉位置検出センサ59bも用いて監視することが可能となっている。
変位回数カウンタの値が払出枚数カウンタの値と同じであれば(S708でYES)、ディスク駆動モータ53の駆動を停止して、ディスク52の回転を停止させる(S709)。次に、払出フラグをOFFして(S710)、さらに、払出枚数カウンタおよび変位回数カウンタをいずれもゼロクリアして(S711)、本処理を終える。
一方、変位回数カウンタの値が払出枚数カウンタの値と同じでなければ(S708でNO)、ステップS712に進み、エラー処理を行う。具体的には、上述した払出異常報知処理(図14)のステップS303と同様、異常報知コマンドをRAM74にセットする。また、ホッパー装置50の異常エラーを、上記獲得枚数表示ランプ24を用いて表示する。なお本形態では、RAM74にセットされた異常報知コマンドは、上述したステップS107の処理で、サブ制御基板70に加え、ホールコンピュータにも送信される。
5.サブ制御基板の動作
次いで、図19〜図21を用いて、サブ制御基板70において行われる制御処理のうち、特に、サブ制御処理について説明する。
[サブ制御処理]図19に示すサブ制御処理では、演出制御用マイコン71は、電源投入時処理(S4001)を行う。具体的には、CPU72は、RAM74等のエラーチェックや初期化を行う。続いて、主制御基板60から受信したコマンドから遊技情報を作成し(S4002)、後述するコマンド解析処理を行う(S4003)。
次いで、コマンド解析処理において決定した演出のうち画像に関する演出(画像演出)を画像制御基板80に実行させる画像演出実行処理を行う(S4004)。なお本形態の画像演出実行処理では、画像演出に加え、図21に示す画像MSを用いた異常報知を画像制御基板80に実行させる。次に、演出用ランプ40等を用いたランプ演出を実行するランプ演出実行処理を行い(S4005)、スピーカ41を用いた音声演出を実行する音声演出実行処理を行う(S4006)。なお、サブ制御処理では、電源投入時処理(S4001)を初回に行った後、ステップS4002〜S4006をループさせる。
[コマンド解析処理]図20に示すコマンド解析処理では、演出制御用マイコン71は、まず、役決定結果コマンドを受信したか否かを判定する(S4101)。役決定結果コマンドを受信したと判定した場合には(S4101でYES)、役決定結果コマンド受信処理を実行して(S4102)、本処理を終える。役決定結果コマンド受信処理では、例えば、役決定結果コマンドが示す情報(当選した遊技役の情報)に基づいた演出データ(例えば、遊技役の当選等を報知するための画像演出に関するデータ)がセットされる。
一方、役決定結果コマンドを受信しなかったと判定した場合には(S4101でNO)、続いて停止表示図柄コマンドを受信したか否かを判定する(S4103)。停止表示図柄コマンドを受信したと判定した場合には(S4103でYES)、停止表示図柄コマンド受信処理を実行して(S4104)、本処理を終了する。停止表示図柄コマンド受信処理では、例えば、停止表示図柄コマンドが示す情報に基づいた演出データ(例えば、入賞した遊技役を表示画面42a上に画像で示すための演出データ)がセットされる。
一方、停止表示図柄コマンドを受信しなかったと判定した場合には(S4103でNO)、異常報知コマンドを受信したか否かを判定する(S4105)。異常報知コマンドを受信したと判定した場合には(S4105でYES)、異常報知コマンド受信処理を実行して(S4106)、本処理を終える。
異常報知コマンド受信処理(S4106)では、異常報知コマンドが示す情報に基づいた演出データがセットされる。具体的には、図21に示すに示すような、ホッパーエラーのため係員を呼ぶのを促す画像MSを表示画面42aに表示させる。
一方、異常報知コマンドを受信しなかったと判定した場合には(S4105でNO)、上記のコマンド以外のコマンド(例えば、メダルMがメダル投入口10に投入されたことを示すメダル投入コマンドや、スタートレバー8が操作されたことを示すスタートコマンドや、各リール6L,6C,6Rの回転開始を示すリール回転開始コマンド)の受信に基づくその他の処理を行って(S4107)、本処理を終える。
6.本形態の効果
以上詳細に説明したように本形態のスロットマシン1のホッパー装置50によれば、図9(a)に示すように、扉部57は閉塞位置にある場合には通路55P内に配置されている。このため、閉塞位置にある扉部57が通路部55の排出口55Eからホッパー装置50の外部に出現しておらず、その扉部57に外部から指や針金等の道具が引っかかりにくい。よって、閉塞位置にある扉部57を手や道具を使って排出口55E側に変位させて、通路55Pを開放させることは困難である。
しかもホッパー装置50は、閉塞位置から導入口55D側への扉部57の回動を抑止する抑止部56を備えている。このため、閉塞位置にある扉部57を、道具等を用いて導入口55D側に変位させて通路55Pを開放させることはできない。かくして、扉部57よりも導入口55D側の通路55Pやディスク52への異物(道具等)の侵入を防いで、メダルMが抜き取られる不正行為の発生を予防したホッパー装置50とすることが可能となっている。なお不正行為としては、例えば、通過中のメダルMを検出し続けているかのように、払出メダル検出センサ59aに異物を検出させ続けて、その間ディスク52にメダルMを排出させる行為や、道具を使ってディスク52を回転させてメダルMを排出させる行為が挙げられる。
また、上記ホッパー装置50を備えた本形態のスロットマシン1では、筐体をなす前面扉3のメダル払出口30を通じて挿入された道具を使って、閉塞位置にある扉部57を排出口55E側に変位させて通路55Pを開放させることは困難である。かくして、メダル払出口30からのホッパー装置50内への異物(道具等)の侵入を防いで、メダルMが抜き取られる不正行為の発生を予防したスロットマシン1とすることが可能である。
また、本形態のスロットマシン1のホッパー装置50によれば、扉部57は、非閉塞位置にある場合には通路55P内に配置されており(図9(b)参照)、閉塞位置と非閉塞位置との間を変位する場合には通路55Pの内部を回動する(図9(c)参照)。このため、閉塞位置に加えて変位中や非閉塞位置でも排出口55Eからホッパー装置50の外部に扉部57が出現しない。よって、扉部57のためのスペースを排出口55Eの外部に確保する必要がないホッパー装置50とすることが可能となっている。
また、上記ホッパー装置50を備えた本形態のスロットマシン1では、扉部57のためのスペースを、ホッパー装置50と筐体をなす前面扉3との間に確保する必要がない。このため、上述した案内通路の形態について、扉部57による制約が生じることがない。
また、本形態のスロットマシン1によれば、払い出しを開始してから払い出しを停止するまでの期間以外の期間、つまり上述した払出フラグがOFFである期間に、変位検出信号を受信した場合には、図21に示す画像を用いるなどして異常を報知する。よって、扉部57を人為的に開放させる不正がなされても、速やかにホール関係者等にその不正を知らせることが可能となっている。
また、本形態のスロットマシン1によれば、変位回数カウンタの値が、払出枚数カウンタの値と同じであるかどうかを判定する。このため、ホッパー装置50によって払い出されたメダルMの枚数を2重で監視することが可能となっている。従って、払い出しの異常をより正確に検出することが可能となっている。
7.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記第1形態のスロットマシン1と同様の構成については、上記第1形態と同じ符号を付して説明を省略する。
上記第1形態では、ディスク52が、メダルMを導入口55Dから排出口55Eまで移動させるように構成されているホッパー装置50とした。しかしながら、ディスク52(遊技媒体移送部)に代えて、遊技媒体通過部がメダルMを導入口から排出口まで移動させるように構成されているホッパー装置としてもよい。具体的には、導入口から排出口まで下降している傾斜路からなる通路を含んだ遊技媒体通過部を備えたホッパー装置が挙げられる。このような形態では、導入口のメダルが通路を進むにしたがって加速される。よって、メダルは導入口から排出口まで通路を移動することが可能であり、通路内の扉部を押圧して、扉部を閉塞位置から非閉塞位置に変位させることが可能である。
また、上記第1形態のディスク52(遊技媒体移送部)に加えて、遊技媒体通過部もメダルMを導入口から排出口まで移動させるように構成されているホッパー装置としてもよい。
また上記第1形態は、図9(b)および図9(c)に示すように、非閉塞位置にある場合や閉塞位置と非閉塞位置との間を変位する場合でも、扉部57が通路55Pの内部にあるものとした。しかしながら、図22に示すように、閉塞位置にある場合には通路55Pの内部にあるが、閉塞位置と非閉塞位置との間を変位している場合や非閉塞位置にある場合には、一部が排出口55Eから外部に出てしまう扉部57を通路部(遊技媒体通過部)155に軸支した形態としてもよい。
また上記第1形態では、通路部55をなす溝部58M上に部材を配置した形態の抑止部56とした。しかしながら、通路部(遊技媒体通過部)が抑止部を兼ねた形態としてもよい。具体的には例えば、図23に示すように、通路部255をなす溝部258Mには、第1溝部258Bと、この第1溝部258Bよりも上方に隆起した第2溝部258Xとがある。そして、第2溝部258Xの側面258Sが、閉塞位置にある扉部57に導入口55D側から当接している。この形態の場合、上記第1形態とは異なり、通路部255の第2溝部258X上にメダルMの移動を妨げてしまうような部材が無いため、より確実にメダルMが扉部57を回動させることが可能である。
また、扉部に抑止部を備えた形態としてもよい。具体的には例えば、図24に示すように、扉部357には、軸支された部位から導入口55D側に延出する延出部357Tが設けられている。この延出部357Tは、扉部357が閉塞位置にあるときに、通路部355をなす底部51Bに当接する当接面357Fを有している。よって、扉部357が導入口55D側に回動させられたとしても、延出部357Tがその回動を妨げる。
また上記第1形態では、コの字形状の抑止部56を通路部55に設けた。しかしながら、扉部57の4つの端縁のうちの2つについて、導入口55D側から当接する抑止部を通路部55に設けてもよい。その際、抑止部が単一でなくてもよい。また、扉部57の4つの端縁のうちの1つについて、導入口55D側から当接する抑止部を通路部55に設けてもよい。また、扉部57の4つの端縁の全てについて、導入口55D側から当接する抑止部を通路部55に設けてもよい。また、扉部57の4つの端縁のうち、上記第1形態以外の組み合わせとなる3つの端縁について、導入口55D側から当接する抑止部を通路部55に設けてもよい。
また上記第1形態は、扉部57の自重によって閉塞位置に位置するものとした。しかしながら、扉部57と抑止部56とに永久磁石を設けた形態としてもよい。具体的には、抑止部56の少なくとも一部に永久磁石を取り付ける。そして、扉部57のうち、抑止部56に取り付けた永久磁石と当接する部位に永久磁石を取り付ける。但し、この場合、移動するメダルMの押圧によって扉部57が閉塞位置から非閉塞位置に変位可能な程度の磁力で、扉部57と抑止部56とが接続していることとする。
また上記第1形態では、遊技媒体移送部をディスク52とした。しかしながら、遊技媒体移送部は、貯留タンク(貯留部)にあるメダル(遊技媒体)を導入口55Dに移送するものであればよく、ディスク52以外に、例えば、リフター(昇降機)やベルトコンベアやクレーン(起重機)としてもよい。
また上記第1形態では、払出メダル検出センサ59aを、導入口55D付近の通路部55に設けた。しかしながら、排出口55E付近の通路部55に設けてもよい。また、排出口55Eとメダル払出口30との間のうち、排出口から排出されたメダルMのみが流通する部位に設けてもよい。
また上記第1形態では、扉位置検出センサ59bを、通路部55のうち、閉塞位置にある扉部57の側面57Sに対向する部位に設けた。しかしながら、閉塞位置から変位して非閉塞位置になったときの扉部57を検出するように、扉位置検出センサ59bを設けてもよい。
また上記第1形態では、主制御基板60が払出メダル検出センサ59aおよび扉位置検出センサ59bから信号を受信したり、ディスク駆動モータ53を制御したりする。しかしながら、主制御基板60とは別にホッパー装置用の基板(ホッパー装置用基板)を別途設けてもよい。具体的には、払出メダル検出センサ59aおよび扉位置検出センサ59bからの信号がホッパー装置用基板に入力される。また、ホッパー装置用基板を介してディスク駆動モータ53の駆動制御が行われる。なおこのような場合には、ホッパー装置用基板を、スロットマシン(遊技機)1内に設けても、ホッパー装置(遊技媒体払出装置)50内に設けてもよい。
また上記第1形態では、払出異常報知処理(図14)のステップS303で、異常報知コマンドをセットすると、その異常報知コマンドが、サブ制御基板70とホールコンピュータとに送信される構成とした。しかしながら、サブ制御基板70のみ、又は、ホールコンピュータのみに異常報知コマンドを送信する構成としてもよい。但し、ホールコンピュータのみに異常報知コマンドを送信する構成の場合には、ステップS303の実行後、払出異常報知処理を終了する構成とする。
また上記第1形態では、払出実行処理(図18)のステップS712で、異常報知コマンドをセットすると、その異常報知コマンドが、サブ制御基板70とホールコンピュータとに送信される構成とした。サブ制御基板70のみ、又は、ホールコンピュータのみに異常報知コマンドを送信する構成としてもよい。但し、ホールコンピュータのみに異常報知コマンドを送信する構成の場合には、ステップS712の実行後、払出異常報知処理を終了する構成とする。
また上記第1形態では、払出メダル検出センサ59aからの信号に基づいて払い出されたメダルMの枚数を計測する構成を示した。しかしながら、扉位置検出センサ(変位検出部)59bからの信号に基づいて払い出されたメダルMの枚数を計測する構成としてもよい。具体的には、払出実行処理(図18)において、ステップS703,S704の処理を実行せずに、ステップS707を、変位回数カウンタの値が払出予定数に到達したかどうかを判定する処理に変更する。そして、ステップS708の処理を実行しない。これにより、払出メダル検出センサ(媒体検出部)59aを設けない安価なスロットマシンとすることが可能となる。
また上記第1形態では、払出メダル検出センサ(媒体検出部)59aに透過型のフォトセンサを用いた。しかしながら、透過型のフォトセンサに代えて、反射型のフォトセンサ(フォトリフレクタ)を用いてもよい。また、フォトセンサのような光信号を媒体に用いたセンサの他に、音などの圧力波や磁力などを媒体としたセンサを用いてもよい。
また上記第1形態では、扉位置検出センサ(変位検出部)59bに透過型のフォトセンサを用いた。しかしながら、透過型のフォトセンサに代えて、反射型のフォトセンサを用いてもよい。また、フォトセンサのような光信号を媒体に用いたセンサの他に、音などの圧力波や磁力などを媒体としたセンサを用いてもよい。
また上記第1形態では、遊技機をスロットマシン1としたが、これ以外に例えば、払出口からメダル(遊技媒体)を払い出すようなパチンコ遊技機でもよい。