JP6404726B2 - 感温素子及び温度センサ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば内燃機関(例えば、自動車エンジンなど)の排気系などにおいて使用される感温素子及びその感温素子を備えた温度センサに関する。
従来より、内燃機関(例えば、自動車エンジンなど)の排気系において使用される温度センサとして、金属抵抗体(白金抵抗体など)を有する感温素子を備えた温度センサが知られている。この温度センサは、温度変化による金属抵抗体の電気抵抗値の変化を利用して、被測定物(被測定ガスなど)の温度を検出するものである(特許文献1参照)。
上述した感温素子としては、図12に例示するように、例えばアルミナ基板P1の表面に、白金抵抗体P2に接続されたPtからなる薄膜端子P3が形成されるとともに、薄膜端子P3の表面にPtペーストによって形成された厚膜のパッド部P4が形成され、そのパッド部P4にPtからなる出力線P5が接合されたものが知られている。なお、出力線P5は、図示しない金属芯線に接合されており、パッド部P4や出力線P5は、ガラスからなる被覆部材P6に覆われている。
特開2006−234632号公報
上述した従来技術では、高温(例えば850℃以上)での常用使用が殆どなく、熱衝撃条件が厳しくなかったために、出力線P5とパッド部P4との間の剥離は問題とされてこなかった。
しかしながら、近年では、エンジンのダウンサイズ化が図られており、それによって、温度センサの使用領域がより高温にシフトしている。その結果、温度変化の幅が大きくなるので、大きな温度変化による熱膨張の大きな変化によって、出力線P5とパッド部P4とが剥離する恐れがあった。
この出力線P5とパッド部P4とが剥離すると、温度センサの性能が劣化するので、その対策が重要である。
本発明は、こうした問題に鑑みてなされたものであり、出力線とパッド部との間の剥離を低減できる感温素子及び温度センサを提供することを目的とする。
(1)本発明は、第1態様として、セラミックス基体と、前記セラミックス基体上に形成された金属抵抗体層と、前記セラミックス基体上に形成されるとともに、前記金属抵抗体層と電気的に接続された導電性を有するパッド部と、前記パッド部の表面に接合された金属からなる出力線と、を備えた感温素子において、ガラスを主成分とする部材であって、前記出力線のうち少なくとも前記パッド部上に位置する部位を被覆するように前記パッド部上に設けられ、前記出力線より熱膨張係数の小さい被覆部材をさらに備え、前記パッド部は、金属及び前記セラミックス基体の熱膨張係数よりも熱膨張係数が小さいガラスを主成分とする、ガラス系材料からなるとともに、前記パッド部の熱膨張係数は前記出力線の熱膨張係数より小さいことを特徴とする。
本第1態様では、ガラスを主成分とし出力線より熱膨張係数の小さい被覆部材が、出力線のうち少なくともパッド部上に位置する部位を被覆するようにパッド部上に設けられ、且つ、パッド部は、金属及びガラス(即ちセラミックス基体の熱膨張係数よりも熱膨張係数が小さいガラス)を主成分とする、ガラス系材料からなるとともに、パッド部の熱膨張係数は出力線の熱膨張係数より小さく設定されている。
従って、感温素子が、例えば850℃以上の高温の状態と常温の状態との間の温度変化に晒された場合でも、被覆部材とパッド部とにより出力線に対して圧縮応力をかけることができる。これにより、出力線とパッド部との間の固着力を高めることができる。このように、出力線とパッド部との間における剥離を低減することができるので、感温素子の耐久劣化を抑制することができる。
なお、ここで、主成分とは、対象とする部材に最も多く含まれる材料(即ち含有量の割合(体積%)が最も多い材料)を示している。
(2)本発明では、第2態様として、前記パッド部は、前記セラミックス基体と直接接触する部分を有することを特徴とする。
本第2態様では、パッド部には、セラミックス基体と直接接触している部分があるので、パッド部とセラミックス基体との接合性が高いという効果がある。つまり、パッド部は強固にセラミックス基体に密着しているので、感温素子の耐久性が高いという利点がある。
(3)本発明では、第3態様として、前記パッド部は、前記金属及び前記ガラスに対して、前記ガラスを5体積%〜80体積%含むことを特徴とする。
パッド部の金属とガラスとの割合(金属及びガラスを100体積%とした場合のガラスの割合)が、本第3態様の範囲の場合には、出力線とパッド部との固着力が高い。
(4)本発明では、第4態様として、前記パッド部は、前記金属及び前記ガラスに対して、前記ガラスを10体積%〜50体積%含むことを特徴とする。
パッド部の金属とガラスとの割合が、本第4態様の範囲の場合には、出力線とパッド部との固着力が一層高い。
(5)本発明では、第5態様として、前記出力線と前記パッド部との熱膨張係数差は、0.2×10−6/℃〜4.0×10−6/℃であることを特徴とする。
出力線とパッド部との熱膨張係数差が本第5態様の範囲の場合には、出力線とパッド部との固着力が高い。
なお、この熱膨張係数差は、感温素子の使用温度範囲(例えば20〜300℃)における値である(以下特に温度範囲を規定していない場合は同様である)。
(6)本発明では、第6態様として、前記出力線と前記パッド部との熱膨張係数差は、0.4×10−6/℃〜2.5×10−6/℃であることを特徴とする。
出力線とパッド部との熱膨張係数差が本第6態様の範囲の場合には、出力線とパッド部との固着力が一層高いという効果がある。
(7)本発明では、第7態様として、前記パッド部のガラスの軟化点は、900℃以上であることを特徴とする。
本第7態様では、パッド部のガラスの軟化点は900℃以上であるので、感温素子は900℃に到る高温の範囲まで好適に使用することができる。
(8)本発明では、第8態様として、前記パッド部のガラスは、アルカリ金属の含有率が、0.2質量%以下であることを特徴とする。
本第8態様では、パッド部に含まれるガラスは、アルカリ金属の含有率が、0.2質量%以下であるので、マイグレーションの発生を抑制できるという利点がある。
なお、アルカリ金属の含有率は、アルカリ金属を酸化物換算した値である。
(9)本発明では、第9態様として、前記パッド部の少なくとも一部と前記セラミックス基体との間には、金属及びガラスを含む中間層を備えるとともに、前記パッド部中の金属の割合が前記中間層中の金属の割合より大であることを特徴とする。
本第9態様では、パッド部中の金属(例えばPt)の割合が中間層中の金属(例えばPt)の割合より大(従って、例えばパッド部及び中間層が、金属及びガラスからなる場合には、パッド部中のガラスの割合が中間層中のガラスの割合より小)であるので、パッド部において十分な導通を確保できるとともに、パッド部は中間層を介してセラミックス基体に強固に接合することができる。
つまり、本第9態様では、出力線と金属抵抗体層との間の十分な導通の確保と、パッド部とセラミックス基体との間の十分な固着力の確保とを両立できるという顕著な効果を奏する。
(10)本発明では、第10態様として、前記出力線と前記パッド部を、ガラスからなる被覆部材で覆うとともに、前記被覆部材のガラスと前記パッド部のガラスとが同じであることを特徴とする。
本第10態様では、被覆部材とパッド部のガラスとのガラス成分が同じであるので、(そうでない場合に比べて)被覆部材とパッド部との熱膨張係数の値が近く、よって、剥離抑制の効果が高い。特に、被覆部材とパッド部とが直接に接触する構造の場合には、被覆部材とパッド部との密着性が高いので、一層剥離抑制の効果が高い。
(11)本発明では、第11態様として、前記第1〜10態様のいずれかの感温素子を備えたことを特徴とする温度センサが挙げられる。
ここでは、上述した感温素子を備えた温度センサが挙げられる。この温度センサは、例えば850℃以上の高温で使用された場合でも、感温素子における前記剥離を抑制できるので、高温耐久性が高く、好適に高温下で使用できるという利点がある。
以下、本発明の各構成について説明する。
・金属抵抗体層を構成する金属抵抗体(測温抵抗体)は、温度によって抵抗が変化する物質であり、この金属抵抗体としては、例えばPtが挙げられる。なお、金属抵抗体としては、JIS C 1604−1997に規定されるPt100、Pt10が挙げられる。
・出力線やパッド部に含まれる金属としては、Pt又はPt合金からなる金属や、Ni又はNi−Cr合金等の金属が挙げられる。Pt合金としては、Ptを主成分とする例えばPt−Rh、Pt−Ir、Pt−Pd、Pt−Sr、Pt−ZrOの各合金が挙げられる。なお、出力線としては、Pt又は前記Pt合金からなる線材が挙げられる。
・パッド部又は中間層に含まれるガラスとしては、例えば下記のガラスが挙げられる。
[ケイ酸塩ガラス]SiOを含み、その他の元素としては、アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、BaO、SrO)を含む。
[アルミノケイ酸塩ガラス]SiO、Alを含み、その他の元素としては、アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、BaO、SrO)を含む。
[ホウ酸塩ガラス]Bを含み、その他の元素としては、アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、BaO、SrO)を含む。
[ホウケイ酸塩ガラス]B、SiOを含み、その他の元素としては、アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、BaO、SrO)を含む。
[リンケイ酸塩ガラス]P、SiOを含み、その他の元素としては、アルカリ土類金属酸化物(MgO、CaO、BaO、SrO)を含む。
・ガラス系材料としては、金属及びガラス(即ちセラミックス基体の熱膨張係数よりも熱膨張係数が小さいガラス)のみが好ましいが、金属及びガラスを主成分(50体積%を上回る割合)として他の成分を加えてもよい。例えばセラミックフィラーを混在させてもよい。これにより、ガラスの流動性を低減することができるので、耐熱性を向上できる。
なお、セラミックフィラーとしては、アルミナ、マグネシア、ジルコン、スピネル、コージエライト、ムライト、ステアタイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミ等のセラミックを用いることができる。
・ガラス系材料のガラスとして、結晶化ガラスを用いることができる。これにより、ガラスの流動性を低減することができるので、耐熱性を向上できる。
・被覆部材のガラス成分としては、上述したガラスと同様な各種の材料を使用できる。なお、被覆部材とパッド部や中間層のガラス成分は異なっていてもよい。
実施例1の温度センサの構造を示す部分破断断面図である。 (a)は(b)のA−A断面を示す断面図、(b)は実施例1の感温素子の平面を示す平面図である(但し被覆部材は除き、セラミックス被覆層は透過して示す)。 実施例1の感温素子を分解して示す斜視図である(被覆部材は除き、セラミックス被覆層は透過して示す)。 実施例1の感温素子の製造工程を順を追って示す説明図である。 実施例1感温素子の製造手順を平面視で示す説明図である。 (a)は(b)のB−B断面を示す断面図、(b)は実施例2の感温素子の平面を示す平面図である(但し被覆部材は除き、セラミックス被覆層は透過して示す)。 実施例2の感温素子を分解して示す斜視図である(被覆部材は除き、セラミックス被覆層は透過して示す)。 (a)は(b)のC−C断面を示す断面図、(b)は実施例3の感温素子の平面を示す平面図である(但し被覆部材は除き、セラミックス被覆層は透過して示す)。 実施例3の感温素子を分解して示す斜視図である(被覆部材は除き、セラミックス被覆層は透過して示す)。 実施例3の感温素子の製造工程を順を追って示す説明図である。 (a)は(b)のD−D断面を示す断面図、(b)は実施例4の感温素子の平面を示す平面図(但し被覆部材は除き、セラミックス被覆層は透過して示す)、(c)はパッド部と端子部の平面形状を示す説明図である。 従来技術の説明図である。
以下に、本発明の感温素子及び温度センサの好適な形態(実施例)を説明する。
a)まず、本実施例1の温度センサの構造を説明する。
図1に示すように、本実施例の温度センサ1は、内燃機関の排気管などの流通管に装着することにより、測定対象ガスが流れる流通管内に配置させ、測定対象ガス(排気ガス)の温度検出に用いられるものである。
なお、ここでは、温度センサ1の長手方向が軸線方向であり、図1の上下方向である。また、温度センサ1の先端側は図1の下側であり、後端側は図1の上側である。
この温度センサ1には、感温素子3と、シース部7と、金属チューブ9と、取付け部11と、ナット部13と、が主に設けられている。
感温素子3は、測定対象ガスが流れる流通管内に配置される測温素子であり、金属チューブ9の内部に配置されるものである。
この感温素子3には、後に詳述するように、温度によって内部の金属抵抗体の電気的特性(電気抵抗値)が変化する感温部4と、この感温部4に接続された一対の出力線(素子電極線)5とが設けられている。
シース部7は、一対の金属芯線(シース芯線)15を外筒17の内側にて絶縁保持するものである。このシース部7には、金属製の外筒17と、導電性金属からなる一対の金属芯線15と、外筒17と2本の金属芯線15との間を電気的に絶縁して金属芯線15を保持する絶縁粉末(図示せず)と、が設けられている。
金属チューブ9は、軸線方向に延びる筒状の部材の先端側を閉塞して形成した部材であり、耐腐食性金属(例えば、耐熱性金属でもあるSUS310Sなどのステンレス合金)から形成されたものである。
この金属チューブ9は、鋼板の深絞り加工によりチューブ先端(底部)19が閉塞した軸線方向に延びる筒状に形成され、筒状のチューブ後端が開放した形状に形成されている。また、金属チューブ9は、チューブ後端側が取付け部11の第2段部21の内面に当接するように、軸線方向寸法が設定されている。
更に、金属チューブ9の内部には、感温素子3およびセメント(保持部材)23が配置されている。この金属チューブ9には、先端部分に小径部25が形成され、その後端側に小径部25よりも径が大きな大径部27が形成されている。そして、この小径部25および大径部27の間は、段差部29により接続されている。
セメント23は、感温素子3の周囲に充填されるものであり、感温素子3を保持してその揺動を防止するものである。このセメント23としては、熱伝導率が高く、高耐熱、高絶縁性の材料を用いることが好ましい。
例えば、AlやMgOなどの酸化物、AlNやTiNやSiやBN等の窒化物、および、SiCやTiCやZrC等の炭化物が主体のセメントを用いることが好ましい。または、AlやMgOなどの酸化物、AlNやTiNやSiやBN等の窒化物、および、SiCやTiCやZrC等の炭化物が主体で、AlやSiOやMgO等の無機バインダーを混合したセメントを用いることが好ましい。
取付け部11は、金属チューブ9を支持する部材であり、少なくとも金属チューブ9の先端が外部に露出する状態で金属チューブ9の後端側の外周面を取り囲んで、金属チューブ9を支持するものである。この取付け部11には、径方向外側に突出する突出部31と、突出部31の後端側に位置すると共に軸線方向に延びる後端側鞘部33と、が設けられている。
突出部31は、先端側に取り付け座35が設けられた環状の部材である。取り付け座35は、先端側に向かって径が小さくなるテ―パ形状の部材であり、排気管(図示せず)のセンサ取り付け位置に形成された後端側に向かって径が大きくなるテ―パ形状と対応したものである。
なお、前記取付け部11は、排気管のセンサ取り付け位置に配置されると、取り付け座35がセンサ取り付け位置のテーパ部に密着し、排気管外部への排気ガスの漏出を防止するものである。
後端側鞘部33は、環状に形成された部材であり、この後端側鞘部33には、先端側に位置する第1段部37と、第1段部37よりも外径が小さな前記第2段部21と、が形成されている。
ナット部13は、六角ナット部39およびネジ部41を有するものである。
金属芯線15は、先端部が溶接点(接合部:図示せず)により、感温素子3の出力線5と電気的に接続されるものであり、後端部が抵抗溶接により加締め端子43と接続されるものである。つまり金属芯線15は、自身の後端が加締め端子43を介して外部回路、例えば車両の電子制御装置(ECU)等の接続用のリード線45と接続されるものである。
一対の金属芯線15は、絶縁チューブ47によって互いに絶縁されており、一対の加締め端子43も絶縁チューブ47により互いに絶縁されている。リード線45は、導線を絶縁性の被覆材により被覆したものであり、このリード線45は、耐熱ゴム製の補助リング49の内部を貫通して配置されている。
b)次に、本実施例1の要部である感温素子3の構成について説明する。
図2及び図3に示すように、本実施例1の感温素子3は、セラミックス基板(セラミックス基体)51と、セラミックス基板51の一方(図2(a)の上側)の主面に形成された金属抵抗体層53と、同じ主面に形成された揮発抑制層55と、同じ主面の後端側(図2(a)の左側)にて金属抵抗体層53の表面の一部に形成された一対のパッド部59a、59b(59と総称する)と、各パッド部59の表面に接合された前記一対の出力線5a、5b(5と総称する)と、金属抵抗体層53の先端側の上側(図2(a)の上側)を覆うセラミックス被覆層63と、出力線5の先端側及び一対のパッド部59等を覆う被覆部材65と、を備えている。
なお、感温部4は、感温素子3のうち、出力線5以外の板状部分である。
以下、各構成について説明する。
セラミックス基板51は、例えば純度99.9%のアルミナからなる(平面視で)長方形の板材である。このセラミックス基板51の熱膨張係数は、例えば7.0×10−6/℃(20−300℃)である。
金属抵抗体層53は、金属抵抗体である例えばPtからなる(例えば厚さが0.5〜3.0μmの)導電性を有する薄膜であり、先端側の細線部71と後端側の一対の端子部73a、73b(73と総称する)とからなる。
このうち、細線部71は、線幅の狭い(例えば幅20μmの)細線であり、セラミックス被覆層63で覆われた領域内にて複数回蛇行するように形成されている。
一方、各端子部73は、細線部71の後端側の一対の端部にそれぞれ接続されて後端側に伸びるように形成された(細線部71より幅の広い)端子である。
詳しくは、各端子部73は、(細線部71と接続された)先端側の長方形の端子先端部73a1、73b1と、後端側の長方形の端子後端部73a2、73b2とから構成され、全体として(平面視で)凸形状となっている。なお、端子後端部73a2、73b2は、端子先端部73a1、73b1より幅(図2(b)のY方向の寸法)が広く、面積が大きな端子である。
揮発抑制層55は、金属抵抗体層53と同様な材料からなる同様な厚さの層であり、金属抵抗体層53と同じ平面にて、金属抵抗体層53の細線部71の先端側及び幅方向(Y方向)の両側を囲むように(平面視で)コ字状に形成されている。これにより、揮発抑制層55は、その形成材料である白金の揮発に伴い白金蒸気圧を発生し、金属抵抗体層53の揮発を抑制する。
パッド部59は、端子後端部73a2、73b2の表面にて、端子後端部73a2、73b2の外周より僅かに内側に形成された(平面視で)長方形の導電性を有する層であり、その厚みは、金属抵抗体層53より厚い(例えば厚さ1〜30μmの)厚膜である。
このパッド部59は、Pt及びガラス(即ちセラミックス基板51の熱膨張係数よりも熱膨張係数が小さいガラス)からなる混合材料で形成されており、ここでは、Ptとガラスの割合は、Pt及びガラスを100体積%とした場合、ガラスが5体積%〜80体積%(好ましくは10体積%〜50体積%)の範囲内の例えば40体積%である。
なお、前記金属及びガラス以外に、金属及びガラスに例えばセラミックフィラー等を添加した(金属及びガラスを主成分とする)ガラス系材料を使用してもよい。
パッド部59に含まれるガラスは、例えば転移点700℃以上で軟化点900℃以上の高耐熱ガラスであり、ここでは、その組成は、例えばSiO:52質量%、CaO:25質量%、Al:15質量%、SrO:8質量%である。
前記ガラスとしては、上述したようにセラミックス基板51の熱膨張係数よりも熱膨張係数が小さいだけでなく、出力線5の熱膨張係数より熱膨張係数が小さいガラス(例えば熱膨張係数が4.0×10−6/℃〜6.8×10−6/℃(20−300℃)の範囲のガラス)が使用される。
なお、このガラスとしては、セラミックス基板51及び出力線5の熱膨張係数より小さい熱膨張係数を有する各種のガラス、例えば上述したケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、リンケイ酸塩ガラス等、各種のガラスを採用できる。
そして、上述した金属及びガラスを含むパッド部59の熱膨張係数は、温度センサ1の使用温度領域(例えば20−300℃)において、例えば6.0×10−6/℃〜9.5×10−6/℃の範囲内であり、出力線5の熱膨張係数より小さい熱膨張係数に設定されている。
更に、出力線5とパッド部59との熱膨張係数差は、例えば0.2×10−6/℃〜4.0×10−6/℃の範囲(詳しくは、0.4×10−6/℃〜2.5×10−6/℃の範囲)の例えば2.0×10−6/℃である。
出力線5は、Ptからなる熱膨張係数が9.5×10−6/℃(20−300℃)の線材(Pt線)であり、その先端は、パッド部59の表面に接合されている。なお、出力線5としては、Pt合金を用いてもよい。
この出力線5は、パラレル溶接(抵抗溶接)によってパッド部59に接合されるので、出力線5とパッド部59との接合部分75(図2(a)参照)はスポット状に形成される。
セラミックス被覆層63は、例えば純度99.9%のアルミナからなる基板であり、このセラミックス被覆層63によって、金属抵抗体層53の細線部71及び端子先端部73a1、73b1の先端側と揮発抑制層55とが覆われている。
なお、セラミックス被覆層63は、例えば純度99.9%のアルミナからなる接合層64(図2(a)参照)によって、セラミックス基板51等に接合されている。
被覆部材65は、例えば前記パッド部59のガラスと同じガラス材料(異なっていてもよい)からなるガラス被覆層であり、その熱膨張係数は、出力線5の熱膨張係数より小さい。この被覆部材65によって、出力線5の先端側、パッド部59、セラミックス被覆層63の後端側が覆われて気密される。
特に、本実施例1では、上述したように、ガラスを主成分とし出力線5より熱膨張係数の小さい被覆部材65が、出力線5のうち少なくともパッド部59上に位置する部位を被覆するようにパッド部59上に設けられ、且つ、パッド部59は、金属及びセラミックス基板51の熱膨張係数よりも熱膨張係数が小さいガラスを主成分とする、ガラス系材料からなるとともに、パッド部59の熱膨張係数は出力線5の熱膨張係数より小さく設定されている。
詳しくは、パッド部59は、Ptとガラスとの混合割合は、Pt及びガラスを100体積%とした場合、ガラスが5体積%〜80体積%(好ましくは10体積%〜50体積%)の範囲内である。しかも、そのパッド部59は、出力線5より熱膨張係数が小さく、出力線5とパッド部59との熱膨張係数差は、0.2×10−6/℃〜4.0×10−6/℃(好ましくは0.4×10−6/℃〜2.5×10−6/℃)以内である。
c)次に、感温素子3の製造方法について説明する。
図4及び図5に示すように、まず、セラミックス基板51の母材(図示せず)を、超音波洗浄によって洗浄する。なお、この母材とは、複数の感温素子3を1枚の大判の基板から作製するための板材であり、図5では、1枚の感温素子3の部分を示している。
次に、金属抵抗体層53及び揮発抑制層55を形成するために、母材(従ってセラミックス基板51)の表面のうち、金属抵抗体層53及び揮発抑制層55の形成する表面部分に、周知のPVD法(例えば、スパッタリング法)によってPt膜(図示せず)を形成する。
次に、周知のレジスト膜形成、露光処理、現像、エッチング、レジスト膜剥離等のフォトリソグラフィ工程によって、図5(a)に示すように、金属抵抗体層53及び揮発抑制層55を形成する。
次に、アニール処理(エイジング処理)を行う。なお、アニール処理としては、ここでは、大気又はN雰囲気下で、1000〜1400℃に加熱し、その後、自然冷却を行う。
次に、パッド部59の組成となるように、例えばPt材料(粉末)93質量部及び前記組成のガラス粉末7質量部の合計100質量部に対してセルロース樹脂10質量部を加えた材料を用いて、Pt−ガラスペースト59Pを作製する。
そして、図5(b)に示すように、そのPt−ガラスペースト59Pを、パッド部59を形成する箇所に印刷する。即ち、Pt−ガラスペースト59Pを、金属抵抗体層53の端子部73の端子後端部73a2、73b2の表面に、(端子後端部73a2、73b2の外周より内側の範囲にて)長方形状に印刷する。
次に、アルミナ粉末90質量部とブチラール樹脂10質量部とを加えてアルミナペースト(図示せず)を作製し、そのアルミナペーストを、母材(従ってセラミックス基板51)上のセラミックス被覆層63で覆う箇所(接合層64となる箇所)に印刷する。
次に、同じく図5(b)に(透視して)示すように、アルミナペーストを印刷した箇所に重ねるように、(焼成済みのセラミックス基板である)セラミックス被覆層63を配置する。
次に、上述したように、表面に各層などが配置された母材(従ってセラミックス基板51)を、焼成温度1000〜1400℃で2時間焼成する。これによって、各ペーストが焼成される。
次に、ダイシングによって、母材を後述する溶接向けのワークサイズにカットする。
次に、図5(c)に示すように、パッド部59上に出力線5を配置し、パラレル溶接(抵抗溶接)によって、出力線5をパッド部59に接合する。
次に、被覆部材65の組成のガラス材料(粉末)90質量部とブチラール樹脂10質量部とを加えてガラスペースト(図示せず)を作製し、そのガラスペーストを、被覆部材65を形成する箇所に塗布する。即ち、ガラスペーストを、出力線5の先端側、パッド部59、セラミックス被覆層63の後端側を覆うように塗布する。
次に、例えば焼成温度1000〜1400℃で2時間、ガラスを焼成する。
次に、ダイシングによって、ワークサイズの基板をカットして、各感温素子3を分離する。
このように、上述した工程によって、感温素子3を製造することができる。
なお、温度センサ1は、上述したように製造された感温素子3を、従来と同様な手順で組み付けることによって製造することができる。
d)次に、本実施例1の効果を説明する。
本実施例1の感温素子3では、ガラスを主成分とし出力線5より熱膨張係数の小さい被覆部材65が、出力線5のうち少なくともパッド部59上に位置する部位を被覆するようにパッド部59上に設けられ、且つ、パッド部59は、金属及びセラミックス基板51の熱膨張係数よりも熱膨張係数が小さいガラスを主成分とする、ガラス系材料からなるとともに、パッド部59の熱膨張係数は出力線5の熱膨張係数より小さく設定されている。
詳しくは、パッド部59は、Pt及びガラス100体積%に対して、ガラス5体積%〜80体積%(好ましくは10体積%〜50体積%)のPt及びガラスからなり、しかも、そのパッド部59は、出力線5より熱膨張係数が小さく、出力線5とパッド部59との熱膨張係数差は、0.2×10−6/℃〜4.0×10−6/℃(好ましくは0.4×10−6/℃〜2.5×10−6/℃)以内である。
従って、感温素子3が、例えば850℃以上の高温の状態と常温の状態との間の温度変化に晒された場合でも、被覆部材65とパッド部59とにより出力線5に対して圧縮応力をかけることができ、よって、出力線5とパッド部59との間の固着力を高めることができる。これによって、出力線5とパッド部59との間における剥離を低減することができるので、感温素子3の耐久劣化を抑制することができる。
また、本実施例1では、パッド部59に含まれるガラスの軟化点は900℃以上であるので、感温素子3は900℃に到る高温の範囲まで好適に使用することができる。
更に、実施例1では、パッド部59に含まれるガラスは、アルカリ金属の含有率が、0.2質量%以下であるので、マイグレーションの発生を抑制できるという利点がある。
また、本実施例1では、出力線5とパッド部59とは、ガラスからなる被覆部材65で覆われるとともに、被覆部材65とパッド部59のガラスとのガラス成分が同じである。よって、被覆部材65とパッド部59との熱膨張の程度が近いので、剥離抑制の効果が高いという効果がある。
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例2の温度センサは、前記実施例1とは、感温素子のパッド部及び金属抵抗体層の端子部の構成が異なる。
図6及び図7に示すように、本実施例2の感温素子103は、前記実施例1とほぼ同様に、セラミックス基板151と、セラミックス基板151の一方(図6(a)の上側)の主面に形成された金属抵抗体層153と、同じ主面に形成された揮発抑制層155と、同じ主面の後端側(図6(a)の左側)にて金属抵抗体層153の表面の一部に形成された一対のパッド部159a、159b(159と総称する)と、各パッド部159の表面に接合された一対の出力線105a、105b(105と総称する)と、金属抵抗体層153の先端側の上側(図6(a)の上側)を覆うセラミックス被覆層163と、出力線105の先端側及び一対のパッド部159等を覆う被覆部材165とを備えている。
本実施例2においても、金属抵抗体層153は、先端側にて複数回蛇行する細線部171と、細線部171の両端に接続された一対の端子部173a、173b(173と総称する)とから構成されているが、各端子部173の平面形状が実施例1とは異なる。
詳しくは、各端子部173は、長方形の各端子先端部173a1、173b1と(端子先端部173a1、173b1より幅が広く面積が大きな)各端子後端部173a2、173b2とから構成されているが、各端子後端部173a2、173b2は(平面視で)出力線105の存在する領域まで至っていない。
そして、各パッド部159は、各端子後端部173a2、173b2の表面全体を覆うとともに、同じ幅で後端側に延びており、その後端側にてセラミックス基板151と直接に接触している。
つまり、出力線105の下方(図6(a)の下方)の領域及びその径方向(図6(b)の上下方向)においては、各端子後端部173a2、173b2は存在せず、各パッド部159とセラミックス基板151とが直接に接合して密着している。
なお、各部材の材料等は、前記実施例1と同様であり、製造手順も(パッド部159や端子部173の形状は異なるが)基本的に前記実施例1と同様である。
本実施例2は、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、(Pt及びガラスからなる)パッド部159とセラミックス基板151とが直接に接触しているので、パッド部159とセラミックス基板151との接合強度が高いという利点がある。
次に、実施例3について説明するが、前記実施例2と同様な内容の説明は省略する。
本実施例3の温度センサは、前記実施例2とは、感温素子のパッド部とセラミックス基板との間に中間層を備えている構成が異なる。
a)まず、本実施例3の感温素子の構成について説明する。
図8及び図9に示すように、本実施例3の感温素子203は、前記実施例2とほぼ同様に、セラミックス基板251と、セラミックス基板251の一方(図8(a)の上側)の主面に形成された金属抵抗体層253と、同じ主面に形成された揮発抑制層255と、同じ主面の後端側(図8(a)の左側)に形成された一対の中間層257a、257b(257と総称する)と、金属抵抗体層253の後端側の一部及び中間層257を覆うように形成された一対のパッド部259a、259b(259と総称する)と、各パッド部259の表面に接合された一対の出力線205a、205b(205と総称する)と、金属抵抗体層253の先端側の上側(図8(a)の上側)を覆うセラミックス被覆層263と、出力線205の先端側及び一対のパッド部259等を覆う被覆部材265とを備えている。
本実施例3においても、金属抵抗体層253は、先端側にて複数回蛇行する細線部271と、細線部271の両端に接続された一対の端子部273a、273b(273と総称する)とから構成されており、各端子部273も、実施例2と同様な形状の各端子先端部173a1、173b1と各端子後端部173a2、173b2とから構成されている。
特に本実施例3では、各端子後端部173a2、173b2の後端から、(各端子後端部173a2、173b2と同じ幅で)後端側に延びるように一対の長方形の中間層257(図8(b)のメッシュ部分)が形成されている。なお、中間層257は、金属抵抗体層253より厚い、例えば1〜30μmの厚膜である。
この中間層257は、パッド部259と同様に、Pt及び(パッド部259と同種の)ガラスとから構成されているが、パッド部259とはPt及びガラスの割合(含有率が異なる)。
詳しくは、パッド部259におけるPtの割合は中間層257におけるPtの割合より大きく設定されている。具体的には、パッド部259のPt/ガラスは例えば60/40体積%であるが、中間層257のPt/ガラスは例えば50/50体積%である。
b)次に、本実施例3の感温素子の製造方法について説明する。
なお、本実施例3の感温素子の製造方法は、基本的には前記実施例1とほぼ同様であるので、簡単に説明する。
図10に示すように、本実施例3では、前記実施例1と同様に、基板洗浄、Pt膜形成、フォトリソグラフィ工程、アニール処理を実施する。
次に、中間層257を形成するために、中間層257の組成に対応したPt−ガラスペーストを作製する。具体的には、Pt85質量部及びガラス15質量部の合計の100質量部に対してセルロース樹脂10質量部を加えた材料を用いて、中間層用のPt−ガラスペーストを作製する。
そして、この中間層用のPt−ガラスペーストを、中間層257の形成部分に印刷する。
次に、パッド部259を形成するために、パッド部259の組成に対応したPt−ガラスペーストを作製する。具体的には、Pt93質量部及びガラス7質量部の合計10質量部大してセルロース樹脂10質量部を加えた材料を用いて、パッド部層用のPt−ガラスペーストを作製する。
そして、このパッド部用のPt−ガラスペーストを、パッド部259の形成部分に印刷する。
その後、前記実施例1と同様に、(接合層の)アルミナペースト印刷、セラミックス被覆層263の装着、各ペーストの焼成、(ワークサイズの)ダイシング、出力線205の溶接、(被覆部材265の)ガラスペースト塗布、(被覆部材265の)ガラス焼成、感温素子203のダイシングを行って、感温素子203を作製する。
c)本実施例3では、前記実施例1の効果を奏するとともに、Pt及びガラスからなるパッド部259とセラミックス基板251との間に、Pt及びガラスからなる中間層257を備えているので、パッド部259及び中間層257及びセラミックス基板251間における接合強度が高いという利点がある。
しかも、パッド部259中のPtの割合が中間層257中のPtの割合より大(従ってパッド部259中のガラスの割合が中間層257中のガラスの割合より小)であるので、パッド部259おいて十分な導通を確保できるとともに、パッド部259は中間層257を介してセラミックス基板251に強固に接合することができる。
つまり、本実施例3では、出力線205と金属抵抗体層253との間の十分な導通の確保と、パッド部259とセラミックス基板251との間の十分な固着力の確保とを両立できるという顕著な効果を奏する。
次に、実施例4について説明するが、前記実施例1と同様な内容の説明は省略する。
本実施例4の温度センサは、感温素子の金属抵抗体層の形状(配置)が、前記実施例1とは異なる。
具体的には、図11に示すように、本実施例4の感温素子303は、前記実施例1と同様に、セラミックス基板351と、セラミックス基板351の主面に形成された金属抵抗体層353と、同じ主面に形成された揮発抑制層355と、金属抵抗体層353の一対の端子部173の後端側を覆うように形成された一対のパッド部359と、各パッド部359の表面に接合された一対の出力線305と、金属抵抗体層353の先端側の上側を覆うセラミックス被覆層363と、出力線305の先端側及び一対のパッド部359等を覆う被覆部材365とを備えている。
本実施例3では、金属抵抗体層353の一対の端子部373の後端側は、(平面視で)パッド部359より幅(図11(c)の上下方向に寸法)が狭く、出力線305の直下の範囲まで形成されている。
従って、パッド部359は、セラミックス基板351と直接接触する部分(幅方向の両端や先端側の一部)を有している。
本実施例4も、前記実施例1と同様な効果を奏するとともに、パッド部359とセラミックス基板351との接合性が高いという効果がある。つまり、パッド部359は強固にセラミックス基板351に密着しているので、感温素子303の耐久性が高いという利点がある。
[実験例1]
次に、本発明の効果を確認した実験例1について説明する。
本実験例1では、実験に使用する試料として、前記実施例1と同様な感温素子を作製するとともに、そのパッド部の成分を、下記表1のように変更して、出力線とパッド部との間の固着力を調べた。なお、ガラスの組成は、SiO:52質量%、CaO:25質量%、Al:15質量%、SrO:8質量%であり、各試料は、それぞれ10個作製した。
固着力を調べる試験は、金属材料引張試験(JIS Z2241:2011)に準拠した方法により行なった。この試験では、試料である感温素子のセラミックス基板側を固定し、出力線を引っ張り、出力線の断線や抜け(パッド部からの剥がれ)の状態により、固着力を調べた。その結果を同じく表1に示す。なお、引っ張りの際には、出力線の断線又は抜けが生じるまで、150MPa(必要荷重)以上の荷重を加えた。
また、下記表1において、熱膨張係数差は、(20−300℃における)Ptからなる出力線の熱膨張係数と下記表1のパッド部のPt及びガラスからなる混合材料の熱膨張係数との差(熱膨張係数差)を示している。
なお、表1の固着力の判定基準として、◎は「全数、必要荷重以上となっても抜けがなく断線したこと」を示し、○は「全数、必要荷重以上となった場合に抜けが生じたこと」を示し、×は「全数、抜けが発生し、必要荷重までに抜けが生じたものもあること」を示している。
この表1から、熱膨張係数差が、0.2×10−6/℃〜4.0×10−6/℃の範囲である場合には、固着力が強く、更に、熱膨張係数差が、0.4×10−6/℃〜2.5×10−6/℃の範囲である場合には、一層固着力が強く好適であることが分かる。
[実験例2]
次に、本発明の効果を確認した実験例2について説明する。
本実験例2では、パッド部のガラスのアルカリ金属量(含有率)とマイグレーションとの関係について調べた。
具体的には、パッド部として、前記実施例1と同様なPt60体積%、ガラス40体積%の組成とするとともに、前記ガラスを下記表2に示す成分として、前記実施例1と同様な感温素子を備えた温度センサの試料を作製した。
そして、各試料の温度センサを900℃という条件下で100時間使用した後、各試料を用いて、温度が既知の雰囲気(例えば600℃)の温度を測定し、その測定の精度誤差を調べた。その結果を下記表2に示す。
なお、表2において、ROは、アルカリ金属の酸化物成分として、NaO及びKOを示す。また、◎は精度誤差が0.5℃以内を示し、○は精度誤差が0.5℃を上回り1℃以内を示し、×は精度誤差が1℃より大きいことを示す。
マイグレーションの影響で電気絶縁性(従って電気導電性)が変化すると、温度センサの精度誤差が大きくなるので、この表2から、パッド部のガラスのアルカリ金属の含有率(酸化物換算)が、0.2質量%以下の場合には、マイグレーション耐性が高いことが分かる。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)例えば感温素子を収容する温度センサの構成としては、公知の各種の構成を採用できる。
(2)また、感温素子を構成する、例えばセラミックス基板、金属抵抗体層、出力線、被覆部材などの材料としても、本発明の範囲において、公知の各種の材料を使用できる。
1…温度センサ
3、103、203、303…感温素子
5a、5b、5、105a、105b、105、205a、205b、205、305…出力線
51、151、251、351…セラミックス基板
53、153、253、353…金属抵抗体層
257a、257b、257…中間層
59a、59b、59、159a、159b、159、259a、259b、259、359…パッド部
63、163、263、359…セラミックス被覆層
65、165、265、365…被覆部材
73a、73b、73、173a、173b、173、273a、273b、273、373…端子部

Claims (11)

  1. セラミックス基体と、
    前記セラミックス基体上に形成された金属抵抗体層と、
    前記セラミックス基体上に形成されるとともに、前記金属抵抗体層と電気的に接続された導電性を有するパッド部と、
    前記パッド部の表面に接合された金属からなる出力線と、
    を備えた感温素子において、
    ガラスを主成分とする部材であって、前記出力線のうち少なくとも前記パッド部上に位置する部位を被覆するように前記パッド部上に設けられ、前記出力線より熱膨張係数の小さい被覆部材をさらに備え、
    前記パッド部は、金属及び前記セラミックス基体の熱膨張係数よりも熱膨張係数が小さいガラスを主成分とする、ガラス系材料からなるとともに、前記パッド部の熱膨張係数は前記出力線の熱膨張係数より小さいことを特徴とする感温素子。
  2. 前記パッド部は、前記セラミックス基体と直接接触する部分を有することを特徴とする請求項1に記載の感温素子。
  3. 前記パッド部は、前記金属及び前記ガラスに対して、前記ガラスを5体積%〜80体積%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の感温素子。
  4. 前記パッド部は、前記金属及び前記ガラスに対して、前記ガラスを10体積%〜50体積%含むことを特徴とする請求項3に記載の感温素子。
  5. 前記出力線と前記パッド部との熱膨張係数差は、0.2×10−6/℃〜4.0×10−6/℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の感温素子。
  6. 前記出力線と前記パッド部との熱膨張係数差は、0.4×10−6/℃〜2.5×10−6/℃であることを特徴とする請求項5に記載の感温素子。
  7. 前記パッド部のガラスの軟化点は、900℃以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の感温素子。
  8. 前記パッド部のガラスは、アルカリ金属の含有率が、0.2質量%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の感温素子。
  9. 前記パッド部の少なくとも一部と前記セラミックス基体との間には、金属及びガラスを含む中間層を備えるとともに、前記パッド部中の金属の割合が前記中間層中の金属の割合より大であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の感温素子。
  10. 前記被覆部材のガラスと前記パッド部のガラスとが同じであることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1項に記載の感温素子。
  11. 前記請求項1〜10のいずれか1項に記載の感温素子を備えたことを特徴とする温度センサ。
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