JP6300401B2 - サーミスタ素子、及び、これを用いた温度センサ - Google Patents

サーミスタ素子、及び、これを用いた温度センサ Download PDF

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Description

本発明は、温度によって電気特性が変化するサーミスタ素子、及び、これを備えた温度センサに関する。
自動車の排気ガス等の測定雰囲気の温度を測定する温度センサとして、温度によって電気特性(抵抗値)が変化する温度検出素子を用いたサーミスタ素子と、このサーミスタ素子を自身の内部に収容した金属カバーとを有する温度センサがある。サーミスタ素子としては、測定雰囲気の温度変化によって電気特性が変化する導電性酸化物からなるサーミスタ部と、サーミスタ部に接続される一対の電極線とを備えた構成が知られている。一対の電極線としては、耐熱性の観点から、白金線や白金−ロジウム合金等の白金合金が一般的に用いられている。
ところで、このような温度センサは、自動車の排気ガスの温度測定に用いられた場合など900℃程度の高温に晒されると、金属カバーの内面が熱酸化して当該金属カバー内が還元雰囲気になる。このとき、金属カバーの内側に配置されるサーミスタ素子(サーミスタ部)が還元雰囲気に晒されると、サーミスタ部が変質して(還元されて)、その電気特性が変化してしまうおそれがある。そこで、サーミスタ部を電極線の一部と共に、ガラス(具体的には、結晶化ガラス)からなる被覆部で被覆して、サーミスタ部が直接還元雰囲気に晒されるのを抑制することが検討されている(特許文献1、2)。
特開2009−170555号公報 特開2012−074604号公報
ところで、サーミスタ素子では、上記したように、電極線として白金や白金合金が用いられているが、電極線とガラスとのなじみは決して良好とはいえない。そのため、サーミスタ部を単純な白金や白金合金製の電極線の一部と共にガラスで被覆した場合、電極線と被覆部との間に隙間が生じ易く、この隙間を介してサーミスタ部が還元雰囲気に晒される問題がある。そこで、ガラスと電極線との接着強度を高めた上でサーミスタ部をガラスで封止し、高温でも使用可能なサーミスタ素子が求められている。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ガラスを主成分とする被覆部と電極線との接着強度を高め、高温でも使用可能なサーミスタ素子、及び、これを用いた温度センサを提供しようとするものである。
上記課題を解決するため、本発明のサーミスタ素子は、測定雰囲気の温度変化によって電気特性が変化するサーミスタ部と、前記サーミスタ部に接続される一対の電極線と、前記サーミスタ部を当該サーミスタ部の外部に露出した前記電極線の一部と共に被覆する被覆部とを有するサーミスタ素子であって、前記電極線は、白金に、又は、白金と少なくとも1種以上の白金族元素(白金を除く)とからなる白金合金に、Srが含有された材料よりなり、前記被覆部は、ガラスを主成分とした材料よりなり、前記電極線のうち、前記サーミスタ部の外部に露出し、且つ前記被覆部にて被覆される領域の表面から、5μm内部までの表層部において、Sr酸化物が0.5〜10.0vol%の範囲内で不連続に析出していることを特徴としている。
本発明のサーミスタ素子によれば、電極線のうち、被覆部に被覆される領域の表面から5μm内部までの表層部において、Sr酸化物が不連続に析出しているため、電極線とガラスを主成分に構成された被覆部とのなじみを広範囲にわたって良くすることができる。そのため、ガラスを主成分とした被覆部と電極線との接着強度を高められ、サーミスタ部を被覆部にて完全に封止することが可能となる。なお、被覆部を構成するガラスは、結晶化ガラス、又は、非晶質ガラスを用いることができ、被覆部はガラスが主成分(最も多い成分)を占めていれば良く、絶縁性セラミック等の副成分が含まれていても良い。
電極線の表層部におけるSr酸化物の析出割合が0.5vol%未満では、被覆部との間のなじみを高める効果を十分に得られないことがある。一方、Sr酸化物の析出割合が10.0vol%を超えると、電極線の表層部に多くの酸化物が形成されることになるため、電極線の強度が低下するおそれがある。なお、Sr酸化物の析出割合は、1.0〜7.0vol%の範囲内とするのが、被覆部の密着強度、及び、電極線自体の強度を考慮したときに好ましい。
また、本発明では、電極線が、白金又は白金合金にストロンチウムを含有した材料から構成されているため、電極線自体の強度を高めつつ、被覆部との接着強度を高められるという利点がある。なお、白金合金を構成する白金を除く白金族元素としては、具体的に、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスニウム(Os)、パラジウム(Pd)が該当する。
さらに、本発明のサーミスタ素子であって、前記電極線は、前記ストロンチウムを0.1〜1.0質量%の範囲内で含有していると良い。
ストロンチウムの含有量が0.1質量%未満では、電極線の強度を十分に高められず、サーミスタ素子の製造時において電極線が熱処理された際に、被覆部とのなじみを高めるSr酸化物を上記した範囲内まで析出できないおそれがある。一方、ストロンチウムの含有量が1.0質量%を超えると、電極線自体の強度が低下するおそれがある。
さらに、本発明のサーミスタ素子であって、前記ガラスは、結晶化ガラスよりなると良い。
被覆部を構成するガラスが結晶化ガラスよりなることで、高い熱的安定性を有する被覆部が得られ、高温環境下でサーミスタ素子を使用に供した場合にも被覆部に熱劣化が生じにくくなる。なお、結晶化ガラスは、非晶質ガラスよりも熱的安定性が高いものの、非晶質ガラスよりも白金合金からなる電極線に対する濡れ性が悪い傾向があるが、上記表層部を有する電極線を適用した場合には、結晶化ガラスを用いた被覆部であっても電極線とのなじみが良くなるため、電極線と被覆部との接着強度を良好に得ることができる。
さらに、上記のサーミスタ素子であって、前記結晶化ガラスは、Sr、Baのうちの少なくとも1成分を含有すると良い。
被覆部を構成する結晶化ガラスが、電極線の表層部に析出するSr酸化物のSr成分と同じアルカリ土類金属である、Sr、Baのうちの少なくともいずれかを含むことで、被覆部と電極線との間の濡れ性をより高め、電極線と被覆部との接着強度をより良好に得ることができる。
また、本発明の温度センサは、上述したサーミスタ素子と、前記サーミスタ素子を自身の内側に収容する金属カバーとを備えることを特徴とする。
本発明の温度センサによれば、自動車の排気ガス等の温度測定といった高温環境下での使用に供した場合にも、金属カバー内に収容されるサーミスタ素子の電気特性が変化するのを抑制することができ、信頼性の高い温度センサを得ることができる。
この発明によれば、ガラスを主成分とする被覆部と電極線との接着強度に優れた、高温でも使用可能なサーミスタ素子、及び、これを用いた温度センサが得られる。
実施形態の温度センサの全体構造を示す部分破断断面図である。 サーミスタ素子の構成(被覆層は図示せず)を示す説明図である。 サーミスタ部を電極線の一部と共に、ガラスよりなる被覆部にて被覆してなるサーミスタ素子を示す説明図である。 実施例2の熱処理後の電極線の断面のEPMAによる元素マッピング分析結果を示す図である。 電極線の引っ張り試験方法を示す図(模式図)である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
まず、本実施形態の温度センサ100の全体構成の概要について説明する。図1は、温度センサ100の全体構造を示す部分破断断面図である。温度センサ100は、一対の信号線3を金属製の筒状部材5の内側に絶縁保持したシース部材7と、一端側に底部91が形成された軸線方向に延びる筒状の金属カバー9と、金属カバー9を支持するハウジング11と、六角ナット部13及びネジ部15を有するナット部材17と、ハウジング11の基端側に内嵌する金属製の継手19とを備えている。なお、軸線方向とは、温度センサ100の長手方向であり、図1においては上下方向に相当する。また、温度センサ100における一端側は図における下側であり、温度センサ100における他端側は図における上側である。
この温度センサ100は、金属カバー9の一端側の内側に、感温素子としてのサーミスタ素子21を収納したセンサであり、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジンの排気管などの流通管に装着され、上記サーミスタ素子21が、測定対象物(この場合は排気ガス)が流れる流通管内に配置されることにより、排気ガスの温度を検出するセンサである。
以下、温度センサ100を構成する各部材について詳細に説明する。
サーミスタ素子21は、図2、及び、図3に示すように、温度変化に応じて電気特性(抵抗値)が変化する板状の金属酸化物焼結体であるサーミスタ部10と、このサーミスタ部10の両面に形成された一対の導通部20と、それぞれの導通部20に接続された一対の電極線40と、導通部20と電極線40とを接続する接合部30と、を有している。そして、サーミスタ部10は、電極線40の一部、及び、接合部30と共にその全体が、ガラスよりなる被覆部50にて被覆されている。なお、被覆部50の詳細については、後述する。
サーミスタ部10は、(Y0.90Sr0.10)(Al0.60Mn0.38Cr0.02)Oの組成を有するペロブスカイト型の結晶構造の金属酸化物である導電体と、当該サーミスタ部10の抵抗値を調整するための絶縁性酸化物とを含有している。また、導通部20は、白金から構成され、サーミスタ部10との密着力を向上させるための共材として、サーミスタ部10に含まれている絶縁酸化物が少量含まれている。接合部30は、白金又は金から構成されている。なお、電極線40の詳細については、後述する。
図1に戻り、信号線3は、一端部がサーミスタ素子21の電極線40に溶接されており、基端部が加締め端子27と接合されている。これにより、信号線3は、自身の後端側が加締め端子27を介して外部回路(例えば、自動車のエンジン制御装置等)接続用のリード線29と電気的に接続される。
なお、一対の信号線3及び一対の加締め端子27は、絶縁チューブ31により互いに絶縁され、リード線29は、導線を絶縁性の被覆材にて被覆され耐熱ゴム製の補助リング33の内部を貫通する状態で配置される。
シース部材7は、ステンレス合金からなる筒状部材5と、ステンレス合金からなる一対の信号線3と、筒状部材5と2本の信号線3との間を電気的に絶縁して当該信号線3を保持するシリカやマグネシア等の絶縁粉末(図示せず)とから構成されている。
ハウジング11は、径方向外側に突出する突出部35と、突出部35の基端側に位置すると共に軸線方向に延びる基端側鞘部37とを有している。このハウジング11は、金属カバー9の基端側の外周面を取り囲みつつ当該金属カバー9と全周レーザ溶接されている。また、ハウジング11には、継手19が全周レーザ溶接され、この継手19の内側に加締め端子27、絶縁チューブ31、補助リング33等が配置されている。
金属カバー9は、ステンレス合金やインコネルなどの耐腐食性金属からなり、鋼板の深絞り加工によりチューブ先端側に底部91が形成された軸線方向に延びる筒状をなし、筒状のチューブ基端側が開放した形態で構成されている。この金属カバー9は、径が小さく設定された一端側の小径部41と、径が小径部41よりも大きく設定された基端側の大径部43と、小径部41と大径部43との間の段差部45とを備えている。
また、金属カバー9の内側(内部空間)には、サーミスタ素子21およびセメント39が収納されている。このセメント39は、サーミスタ焼結体23の一端と金属カバー9の底部91との間の領域を含めた金属カバー9に包囲された内部空間の全体に充填され、温度センサ100に振動が加わった際のサーミスタ素子21の揺動を防止する効果等をもたらしている。なお、セメント39は、非晶質のシリカにアルミナ骨材を含有した絶縁材や酸化マグネシウムよりなる。
また、本実施形態では、サーミスタ素子21の電極線40の基端側と信号線3の一端側とが軸方向に重ね合わされて、さらにレーザ溶接されている。なお、本実施形態では、電極線40と信号線3の重ね合わせ部に対して、2箇所にレーザ溶接が施されている。
さらに、本実施形態の温度センサ100では、ハウジング11の基端側であって継手19の外側に回動自在な形態でナット部材17が設けられている。そして、ナット部材17を排気管の取付けボスに装着しつつ、ナット部材17にてハウジング11を排気管の外面に対して密着させることで、本実施形態の温度センサ100は排気管に対して気密状に取り付けられることになる。
次いで、本発明のサーミスタ素子21の特徴部分である、電極線40、及び、被覆部50について説明する。
電極線40は、白金又は白金合金にSr(ストロンチウム)を含有させた材料よりなる。この電極線40におけるSrの含有量は、0.1〜1.0質量%の範囲内であることが好ましい。なお、本実施形態では、電極線40として、線径0.30mmを有し、白金にSrを0.5質量%含有させた線材を用いている。なお、この電極線40を製造する手法は特に限定されないが、原材料としての白金又は白金合金に所定量のストロンチウムを加え、加熱溶解炉の中で不活性雰囲気下に溶融し、その後に線引き加工を施すことで製造することができる。
本実施形態の電極線40は、上記したように、白金又は白金合金に対してSrを含有させており、電極線40の強度が高いものとなっている。電極線40自体の強度を高められる理由は定かではないが、ストロンチウムを含有させたことで、白金とストロンチウムからなる金属間化合物(白金−ストロンチウム化合物)が生成され、この金属間化合物の存在によって、電極線の白金又は白金合金の結晶の粒子の粗大化が抑制されるためと推測される。
また、電極線40は、被覆部50に被覆される領域の表面から5μm内部までの表層部(図4参照)において、Sr酸化物が不連続に析出した構成をなしている。なお、上記表層部におけるSr酸化物の析出割合は、0.5〜10vol%の範囲内に設定されている。
ここで、本実施形態では、電極線40をサーミスタ部10の導通部20に対して接合部30を用いて接合する際の熱処理によって、電極線40の表層部に対して所定割合のSr酸化物を析出させるようにしている。
電極線40の線引き加工後には、その外表面にSr酸化物は実質的に存在せず、SrはPtマトリクス内に分散して存在している。この状態の電極線40に対して、上記したように、電極線40をサーミスタ部10に接合部30を用いて接合する際の熱処理を施すことによって、電極線40の外表面、つまりは表層部にSr酸化物を析出させている。このとき、電極線40に含有されるSrの含有量を考慮して接合部30の熱処理条件を適宜設定することによって、表層部におけるSr酸化物の析出量を制御することが可能となる。例えば、熱処理温度が低かったり、熱処理時間が短かったりするほど、電極線40の表層部におけるSr酸化物の析出割合は低くなる傾向にある。逆に、熱処理温度が高かったり、熱処理時間が長かったりするほど、電極線40の表層部におけるSr酸化物の析出割合は高くなる傾向にある。なお、この熱処理条件としては、熱処理温度1150〜1500℃とし、熱処理時間を1〜4時間の範囲内で適宜設定して、上記した範囲の析出割合のSr酸化物を析出させることが好ましい。
図4に示すように、電極線40のうち、被覆部50に被覆される領域の表面(外表面)から5μm内部までの表層部における、Sr酸化物の析出割合は、電極線40の軸線方向に沿った断面について、外表面から深さ5μmまでの領域をEPMA(電子線マイクロアナライザ)でSr及びO(酸素)の元素マッピング分析を行い、輝度からSr酸化物であるとみなした面積を、外表面から深さ5μmまでの領域の面積で除した割合(面積率)で求めることができる。EPMAで検出されたSr化合物は、電極線40の外表面側(高輝度)と深部(低輝度)とで輝度が異なっており、各部分のスペクトル分析から、いずれの輝度がSr酸化物の形態であるかを予め同定しておくことで、Sr酸化物であるとみなした面積を算出することができる。なお、図4において、高輝度のSr化合物は、Sr酸化物に該当し、低輝度のSr化合物は、Pt−Sr化合物に該当する。
また、電極線の上記表層部において、Sr酸化物が「不連続に」析出するとは、上記した断面のEPMAによる分析にて、Sr酸化物が表層部(換言すれば、外表面)全体に形成されておらず、表層部の一部に断続的にSr酸化物が検出される状態のことをいう。Sr酸化物が電極線40の表層部に連続的に(一様に)析出すると、電極線40の強度が低下することになり、サーミスタ素子21に振動がかかった際に断線が生じ易い等、信頼性を低下させることになる。
次に、被覆部50は、図3に示すように、一対の電極線40の一端側と、サーミスタ部10全体と、接合部30を被覆している。被覆部50は、サーミスタ部10を内部に封止し、サーミスタ部10を還元雰囲気に直接晒されないよう保護する役目を果たす。被覆部50の材質は、ガラスを主成分とすればよく、このガラスとしては公知の組成からなる結晶化ガラスのほか、公知の組成からなる非晶質ガラスを用いてもよい。ただし、被覆部50の熱的安定性を考慮した場合、ガラスとしては結晶化ガラスを用いることが好ましく、本実施形態ではSiOを含むと共にSr成分(SrO)を含む結晶化ガラスを用いた。この被覆部50は、例えば、ガラス粉末を含有するガラスペーストを準備し、このガラスペースト中に電極線40が接合されたサーミスタ部10をディップし、その後にガラスペーストを加熱(熱処理)することにより得ることができる。
ここで、本実施形態では、上記したように、電極線40の表層部において、所定割合のSr酸化物が不連続に析出しているため、結晶化ガラスよりなる被覆部50と電極線40の外表面とのなじみが広範囲にわたって良好となり、被覆部50と電極線40との密着強度が高いものとなっている。とりわけ、結晶化ガラスとして、電極線40の表層部に析出するSr酸化物のSr成分と同じアルカリ土類金属である、Sr、Baのうちの少なくともいずれかを含有させることにより(なお、本実施形態では、結晶化ガラスの構成成分としてSr成分を用いた)、被覆部50と電極線40との間の濡れ性がより高まり、電極線40と被覆部50との接着強度が良好に得られている。
このように、本実施形態の温度センサ100によれば、ガラスを主成分とする被覆部50にて覆われる電極線40の表層部に、所定割合のSr酸化物を不連続に析出しているため、被覆部50と電極線40との接着強度が高くなっている。これにより、電極線40と被覆部50との間に隙間が生じず、金属カバー9の内部空間が還元雰囲気になったとしても、被覆部50の内部に配置されるサーミスタ部2の電気特性が変化することを抑制することができる。したがって、本実施形態のサーミスタ素子21及びこれを用いた温度センサ100は、高温でも使用可能な信頼性の高いサーミスタ素子21、温度センサ100となる。
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、サーミスタ素子としては、上記形態に限定されず、接合部を用いずに、サーミスタ部の内部に電極線の一端側を埋設させると共に、その他端側を外部に露出させるようにして、電極線をサーミスタ部に一体化させた形態であっても良い。
また、被覆部50はガラスペーストをディップして形成するものに限定せず、ガラス粉末をサーミスタ部に対してプレス成形した後に熱処理して形成するものや、円筒状のガラス管の内側に電極線が接合されたサーミスタ部を配置し、その後に熱処理を施してガラス管を溶融させて被覆部を形成するものであっても良い。
さらに、本実施形態では、電極線40を、白金にSrを含有させた材料で構成したが、白金−ロジウム合金や白金−イリジウム合金にSrを含有させた材料で構成しても良い。
また、本実施形態の温度センサ100では、金属カバー9をハウジング11に固着し、その内部にサーミスタ素子21及びシース部材7を配置させる構成を採用したが、温度センサの構成はこれに限定されない。例えば、シース部材7の一端側をハウジング11の一端から突出させるようにして、シース部材7をハウジング11にて取り囲むように配置及び固着し、さらにシース部材7の一端にキャップ状の金属カバーを溶接して当該金属カバー内にサーミスタ素子21を収容させた温度センサにしても良い。
互いに平行な一組の面に一組の導通部20が形成された、導電性酸化物焼結体からなる略直方体のサーミスタ部10を用意した。次いで、表1に示す組成の電極線40を用意し、接合部30の前駆体である白金ペーストを用いてサーミスタ部10の導通部20に電極線40を接合した。なお、電極線40を接合部30にて接合する際の熱処理条件を、表1に示した。
そして、結晶化ガラスの被覆部50を形成すべく、ガラス粉末を含有するガラスペースト中に、電極線40が接合されたサーミスタ部10をディップし、サーミスタ部10全体と電極線40の一部を該ペーストで覆った。その後、ガラスペーストを乾燥させ、さらに所定の温度で熱処理し、被覆部50を形成し、サーミスタ素子21を得た。なお、各実施例、比較例の被覆部50を構成するガラス組成を、表1に示した。
得られた各サーミスタ素子21を用いて耐還元性試験を行った。まず、900℃の大気中にてサーミスタ素子21の初期抵抗値R1を測定し、その後、900℃の還元雰囲気(アルゴン濃度95%、水素濃度5%)中にサーミスタ素子21を1時間保持した後の抵抗値R2を測定した。そして、{(R2−R1)/R1}×100の計算式に基づき、サーミスタ素子21の抵抗値変化率を算出した。各実施例、各比較例共に10個のサーミスタ素子について抵抗値変化率をそれぞれ求め、抵抗値変化率が1%未満のものを合格、1%以上のものを不合格とした。
次に、得られたサーミスタ素子21から被覆部50で覆われていない部分の電極線40を採取し、図5に示す引っ張り試験機により、電極線40の強度を測定した。引っ張り試験は、採取した電極線40の両端を上チャックと下チャックで把持し、上チャックを1mm/秒で上方に引っ張っていき、電極線40が断線したときの強度(引っ張り強度)を求めた。引っ張り強度が20N以上であれば強度が良好(OK)と判定し、20N未満を強度不十分(NG)と判定した。
各種の評価によって得られた結果を表1に示す。
また、電極線にSrを含有させた実施例、比較例における各10個のサーミスタ素子とは別に、実施例1〜12、及び、比較例1、2に関しては、もう1つずつサーミスタ素子を製造した。そして、接合部の熱処理後であって、電極線の上記表層部におけるSr酸化物の析出割合を算出した。この析出割合についても表1に示した。なお、Sr酸化物の析出割合の算出(測定)については、上述の通りである。
表1から理解できるように、白金または白金合金に対してSrを含有させた材料からなる電極線を用い、且つ、電極線の表層部にSr酸化物が0.5〜10.0vol%の範囲で不連続に析出している各実施例の場合、耐還元性(つまり、被覆部によるサーミスタ部及び電極線の一部に対するシール性)、及び、電極線の強度がいずれも優れていた。とりわけ、被覆部を構成する結晶化ガラスとして、Sr成分またはBa成分を含有させた実施例1〜10については、これら成分を含有しなかった実施例11、12と比較して良好な耐還元性が得られる結果となった。
一方、電極線の表層部のSr酸化物が0.5vol%未満である比較例1の場合、耐還元性が劣った。また、電極線の表層部のSr酸化物が10.0vol%を超えた比較例2の場合、電極線の強度が劣った。電極線にSrを含有させなかった比較例3、4の場合も、耐還元性が劣った。これは電極線と被覆部との接着強度が得られなかったことに起因するものと考えられる。なお、比較例5は、900℃のような高温で使用すると、電極線の粒界部分が酸化して消耗したため、各種の評価は行わなかった。
なお、実施例2の熱処理後の電極線を軸方向に切断した断面を樹脂に埋め込んで研磨し、EPMAにて、電極線の表面(外表面)から深さ5μmまでの領域のCP(反射電子組成像)、及び、O(酸素)、Sr、Ptの元素マッピング分析を行った結果をそれぞれ図4に示す。図4(実施例2)では、電極線の表層部にSr酸化物が析出し、かつ、その酸化物が不連続に析出していることが分かる。
100 温度センサ
9 金属カバー
10 サーミスタ部
21 サーミスタ素子
40 電極線
50 被覆部

Claims (5)

  1. 測定雰囲気の温度変化によって電気特性が変化するサーミスタ部と、前記サーミスタ部に接続される一対の電極線と、前記サーミスタ部を当該サーミスタ部の外部に露出した前記電極線の一部と共に被覆する被覆部とを有するサーミスタ素子であって、
    前記電極線は、白金に、又は、白金と少なくとも1種以上の白金族元素(白金を除く)とからなる白金合金に、Srが含有された材料よりなり、
    前記被覆部は、ガラスを主成分とした材料よりなり、
    前記電極線のうち、前記サーミスタ部の外部に露出し、且つ前記被覆部にて被覆される領域の表面から、5μm内部までの表層部において、Sr酸化物が0.5〜10.0vol%の範囲内で不連続に析出している
    ことを特徴とするサーミスタ素子。
  2. 請求項1に記載の温度センサであって、
    前記電極線は、前記ストロンチウムを0.1〜1.0質量%の範囲内で含有している
    ことを特徴とするサーミスタ素子。
  3. 請求項1または請求項2に記載の温度センサであって、
    前記ガラスは、結晶化ガラスよりなる
    ことを特徴とするサーミスタ素子。
  4. 請求項3に記載の温度センサであって、
    前記結晶化ガラスは、Sr、Baのうちの少なくとも1成分を含有する
    ことを特徴とするサーミスタ素子。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のサーミスタ素子と、
    前記サーミスタ素子を自身の内側に収容する金属カバーと、を備える
    ことを特徴とする温度センサ。
JP2014011806A 2014-01-24 2014-01-24 サーミスタ素子、及び、これを用いた温度センサ Active JP6300401B2 (ja)

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